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www.bundesbank.de 昨日発表されたドイツ連銀2月月報の経済分析部分のエッセンスは以下の通りです: 景気低迷とディスインフレーションの流れが続いている。 コロナ後にたまった受注残はまだ高水準にあるものの、長期にわたる受注低迷(37%の製造業企業が受注不足を実感)が生産を一段と慎重化させている。 外需の回復もまだ手ごたえがない。 加えて利上げによる資金調達コスト増加と財政緊縮で投資も減少。 冬場の悪天候(北部では長雨で洪水発生)も、建設業に逆風となった。 繰り返される鉄道や空港のストライキもダメージになる可能性あり。 インフレ低下、堅調な労働市場、力強い賃金の伸びが個人消費を支えて…
20240216 ドイツ商工会議所(DIHK)「立ち直れないドイツ経済」
https://www.dihk.de/de/aktuelles-und-presse/aktuelle-informationen/deutsche-wirtschaft-kommt-nicht-auf-die-beine-112962 ドイツ商工会議所(DIHK)が27千社を対象に実施した年頭経済アンケート調査結果(上記リンク)のエッセンスは以下の通りです。 タイトルは「立ち直れないドイツ経済」(Deutsche Wirtschaft kommt nicht auf die Beine)。景況感の更なる悪化を強く懸念。 DIHKとしては今年▲0.5%の実質マイナス成長を予想(世の中で最も悲…
https://economy-finance.ec.europa.eu/economic-surveillance-eu-economies/germany/economic-forecast-germany_en 先ほどEU委員会から発表された「欧州経済予測(2024冬版)」のドイツ部分のエッセンスは以下の通りです。 今年の実質GDP予想+0.3%と、昨年1月の予測+1.2%から大幅下方修正。2025 年は+1.2%で据え置き。 今年のGDPの弱さは、ドイツ政府(+0.2%へ下方修正見込み)やOECDと同じレベル感(上表)。当局としての共通認識と言ってよい。 昨年▲0.3%とマイナス成長に…
①HDE消費者信頼感~昨年前半までの改善が止まり、コロナ前を下回る水準でほぼ横ばいの動きが続いています。 https://einzelhandel.de/konsumbarometer ②GfK消費者信頼感~こちらの方は上記HDEより悲観的で、低下トレンドを維持しています。インフレへの警戒と貯蓄性向上昇が顕著とのこと。 https://www.gfk.com/de/presse/konsumklima-herber-rueckschlag-zum-jahresbeginn ●昨年以降、大幅な名目賃金(赤)引き上げが続いているため、実質賃金(青)は小幅ながらプラスに転じています。この実質賃金増加…
20240213 ドイツの気になるデータ5選(ZEW、SENTIXなど)
①ZEW景況感指数(1月)~期待指数(赤)は+19.9と市場予想以上に改善する一方、現況指数(緑)は▲81.7と市場予想以上に一段の悪化。欧米中銀の利下げが心待ちにされている状況。 https://www.zew.de/presse/pressearchiv/lageeinschaetzung-auf-tiefstem-wert-seit-juni-2020 ②SENTIX投資家景況感~上記ZEW同様、将来に対する期待は悪くないが、現況は悲惨なまま。 投資家相場サーベイでは、米欧株に「過度の楽観」「ロング蓄積」⇒売り警戒シグナル点灯中(中国株や米欧国債には「売られ過ぎ」⇒買いシグナル)。 ③ド…
20240209 ドイツの対中対米貿易額が肉薄!米国が首位になる可能性高まる
上表は2022年のドイツの貿易パートナーランキング表で、貿易額(輸出入合計)と貿易赤字額で中国がトップとなっています(貿易相手国として中国は8年連続首位)。米国は貿易量で2位、貿易黒字でトップです。 こちらは2021年のデータですが、オランダが貿易額で2位で米国を上回っているものの、ドイツの貿易における米国と中国の立ち位置はほぼ同様でした。 ところが最近、ドイツの中国と貿易額がかなり落ち込んできています(青:対中輸出、赤:対中輸入)。 一方で、ドイツと米国の貿易額は比較的しっかり持ち堪えています(青:対米輸出、赤:対米輸入)。 その結果、2023年の貿易額は対中2,530億ユーロ(前年比▲16…
https://www.ifw-kiel.de/publications/news/greix-real-estate-prices-fell-to-an-unprecedented-extent-in-2023/ キール研(IfW)が本日発表した上記リンク先のレポートによると、ドイツの住宅価格(コンドミニアム、一戸建、集合住宅)は上図の通り足元ピーク比1~2割程度の下落となっている模様です。 リーマンショック以降の長期にわたる低金利を背景に、住宅価格は2022年まで上昇を続けてきたが、その後のECB大幅利上げ(インフレ退治)のため大きめの反落を見せています。 キール研所長の評価「価格調整は適…
20240208 ドイツの労使交渉とストライキ:旅行や出張の計画に影響
最近ドイツでは鉄道(遠距離/近距離)と空港でのストライキが繰り返されており、旅行や出張の計画がうかつに立てられない状況が続いています。 下表は今後予定されている労使交渉の一覧表ですが、現時点では以下黄色網掛け部分にほとんど歩み寄りや妥結に向けた動きが見られないので、この状況は当面続いてしまうものと思われます(但しドイツ鉄道は2月いっぱいストを我慢する見込み)。 なお、今年の労使交渉のヤマ場は、赤字部分:夏の金属・電機と年末の公務員となる見込みです。 もともとドイツはそれほどストライキが頻発するような国ではなかったのですが(下図でも中位)。。。 最近の人手不足(特にある程度の専門スキルを要するポ…
20240207 ドイツの気になるデータ5選(GDPナウキャスト、受注/生産など)
①ifoCAST(GDPナウキャスト)~Q1実質GDP予想(左)は前期比▲0.12%(ドイツ銀も▲0.1%予想)、Q2(右)は+0.29%。 https://www.ifo.de/en/ifoCAST ②製造業受注(12月、実質)~航空機の大口受注獲得で前月比+8.9%と大きく挽回したが、大口受注を除くベース(薄い方の線)では同▲2.2%と軟調継続。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/02/PD24_047_421.html ③鉱工業生産(12月、実質)~製造業(青)前月比▲1.6%、建設業(赤)同▲3.4%と、…
20240206 ドイツで去年最も人通りが多かった商店街ベスト10
https://www.handelsdaten.de/ranking-der-einkaufsstrassen-deutschland-nach-passantenfrequenz-2023?utm_source=Newsletter&utm_medium=email&utm_content=Link-Hd-Frequenz&utm_campaign=nl-kw-4-24 ノイハウザー通り(ミュンヘン) カウフィンガー通り(ミュンヘン) この上位2つは東西につながっています ツァイル(フランクフルト) ゲオルク通り(ハノーファー) シルダ―通り(ケルン) テアティナー通り(ミュンヘン) ヴェ…
20240206 OECD世界経済予測:ドイツ成長率下方修正
https://www.oecd.org/economic-outlook/february-2024/ https://www.oecd-ilibrary.org/sites/0fd73462-en/index.html?itemId=/content/publication/0fd73462-en 昨日発表されたOECD世界経済予測では、ドイツのGDP/CPI(2023/24/25年)は、 実質GDP: ▲0.1%/0.6%(11月予想比修正▲0.3%)/1.1%(同▲0.1%) CPI : 6.0%/2.6%(同▲0.1%)/2.0%(同▲0.1%) と今年分の成長予測が大きく下方修正さ…
20240204 ドイツ住宅不動産市場、供給不足で早くも価格底打ち
https://www.iwkoeln.de/presse/pressemitteilungen/pekka-sagner-michael-voigtlaender-mieten-steigen-stark-kaufpreise-erholen-sich.html 経営者団体系シンクタンクIW(ケルン研)からドイツ住宅市場(価格や家賃の推移)について興味深いレポート(リンク↑)が出ていますので、そのエッセンスをご紹介します。 ●住宅用不動産価格は、ECBの強烈な利上げ開始以降下落が続いていたが、昨年第4四半期には前期比(青棒)がプラス転換。住宅市場に底打ちの兆候(家賃は住宅需給逼迫を背景にもと…
ドイツの1月HICP速報は前月比▲0.2%/前年同月比+3.1%と、市場予想比良好な内容となっていました。 下図の通り、前月比の基調はマイナスであり、これまでの利上げと足元のドイツ経済不振(PPI低下に顕著)の影響が顕在化した格好になっています。 Germany Harmonised Inflation Rate MoM ①前年同月比で見た1月の発射台が+3.1%と思っていたほど高くなく、②当面は前年の水準が高かったことによるベーシス効果も効いてくることから、今後4月頃までは前月比+0.4%が続いても前年同月比は2%割れに向けて急低下しているように見える(ECB利下げの背中が押される)局面に入…
先ほどドイツの1月雇用統計が発表され、季調済失業者数は前月比▲2千人と、市場予想(+10千人強)よりややや強い内容となっていました。 ちなみに米雇用統計からの連想で、市場の一部ではこちらがヘッドラインであるかのように勘違いされていますが、ドイツでは全く重視されていませんのでご注意ください(季節調整が難しい欧州では前年同期比が重視される)。 ●失業率~失業率上昇の大半は2022年6月からのウクライナ難民カウント開始によるもの。連邦雇用庁は「経済低迷の割に良好」との評価。 国際労働機関(ILO)ベースでは3.1%と超定位安定推移。他国比でもかなりの優等生ぶり(EU内で下から4番目)。 https:…
20240131 ドイツの気になるデータ5選(IMF、小売売上など)
①IMF世界経済見通しアップデート(3ヶ月毎)~ドイツGDP予想は今年・来年とも▲0.4%ポイント下方修正。去年、今年とユーロ圏の足を引っ張る恰好。日本は潜在ペースを上回る成長継続。 https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2024/01/30/world-economic-outlook-update-january-2024 ②ドイツGDP~通年でも第4四半期前期比でも▲0.3%。水準的にはずっと弱含み横ばいが続いているが、四半期前期比(年率換算なし)で▲0.4、+0.1、0、0、▲0.3%となっているので、2期連続マイナスはずっと回避…
20240130 ドイツの気になるデータ5選(GDPナウキャスト類、インフル流行度合いなど)
①ドイツ経済省GDPナウキャスト~2024Q1は前期比+0.1%予想。(2023Q4は前期比▲0.3%で着地する見込み)。 https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Schlaglichter-der-Wirtschaftspolitik/2024/02/11-konjunktur-bip-nowcast.html ②ifoCAST~2024年Q1は前期比▲0.21%の予想(今回大幅に悪化)。 https://www.ifo.de/en/ifoCAST ③ドイツ連銀週次経済活動指数(WAI)~足元のGDP換算3m/3mモメンタム+0.54%。但し、ドイツ連銀は1月月報で…
https://www.bundesbank.de/resource/blob/920552/c9c89e23644dee70a9db8691087b8aa3/mL/2024-01-monatsbericht-data.pdf 欧州中央銀行(ECB)のドイツ担当支店であるドイツ連銀(Deutsche Bundesbank)が毎月20日頃に発表している月報(Monatsbericht)の経済分析部分(Kurzberichte/Konjunkturlage)のエッセンスを以下まとめておきます。 2024年第1四半期GDPは良くて前期比横ばい(マイナス継続可能性大) 外需が弱く、金利/借入コストの上…
先ほど1月ifo景況指数が発表され、上図の通りモメンタム下向きかつ予想(下表)をやや下回る弱い内容となっていました。ドイツ経済復活の兆しは全く感じられません。 業種別で見ると、サービス業(右上)だけ何とか現況プラス、総合ゼロ近傍ですが、それ以外の製造業(左上)、建設業(右下)、小売・卸売業(左下)3指数ともすべてマイナス圏内に留まっています。 景気サイクル的<縦軸:期待、横軸:現況>に見ても、リセッション領域(第3象限)からの脱出はまだまだ遠い先といった感じです。 業種別ヒートマップを確認すると、好況(赤)業種が再び減少しており、旅行関連(79)、その他運送機器<航空機、鉄道など>(30)の2…
https://www.bundesbank.de/resource/blob/844970/a5a1f26d59d1e1ef7c4f33786fada36b/mL/2024-01-china-data.pdf 本日発表されたドイツ連銀月報の中に、ドイツ経済の対中依存問題についての分析レポートが出ていましたので、そのポイントをご紹介します。 中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟して以来、ドイツは経済面で中国とますます緊密な関係を築き、中国経済の成長から大きな恩恵を受けてきた。 しかし、今やこうした相互依存関係に対するリスクが高まっている。 中国は現在、(バブル崩壊で)大きな経済問題に…
20240124 ドイツ鉄道ストについてのドイツメディアの報道ぶり
ドイツ機関車運転士組合(GDL)が、全独のドイツ鉄道で6日間のストライキに突入し、大規模な混乱と経済損失が発生していることについて、ドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。 交渉の最大の争点は、労働時間の短縮(週38⇒35時間)。DGLは賃金目減りなしでの短縮を要求しているが、そもそも運転士不足に苦しむドイツ鉄道は対応に苦慮している。 GDLが4 回目のストに突入することはあらかじめ完全に予見できた。GDLのヴェセルスキー委員長としては、ライバルとして意識するEVGへのオファーより低いものは受け入れられない(下表ご参照)。 ドイツ鉄道は、GDLに資金を使わせて(ストの間は参加者に賃金が出ない…
<現在交渉中/今後交渉開始予定の賃金交渉一覧>足元はドイツ鉄道を6日麻痺させようとしているGDL(組合員はごく少数)に注目が集まりやすいですが、今年通年では夏のIGメタル/年末のヴェルディ(ドイツ2大労組)が重要です。 <2022年以降の主な妥結結果一覧> <ドイツの労働組合の全体感> <ドイツ連銀マクロ経済予測(賃金関連)> <ドイツ経済の全体感> note.com <ドイツで生き残るためのビジネス塾> www.newsdigest.de
20240119 ドイツの気になるデータ5選(ガス備蓄、水害、インフルなど)
①天然ガス備蓄〜この2週間ほどかなり寒い日々が続いており、ガス備蓄率(橙)が昨年(青)を結構下回り始めており、一応要警戒。但し、近年のレンジの中ではまだ平均以上を維持。今後の気温については次項②ご参照。 https://www.bundesnetzagentur.de/DE/Gasversorgung/aktuelle_gasversorgung/start.html ②今後1ヶ月の気温と降水量〜来週以降は2週間ほど平年より暖かくなり、暖房用ガス消費も落ち着く見こみ(上)。降水量は月内やや多め(下)。 https://www.dwd.de/DE/leistungen/kvhs_de/1_bas…
20240118 ドイツ女性の時給は男性より18%低い?ジェンダーギャップの実態
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/01/PD24_027_621.html ドイツ統計局(DESTATIS)が今朝、2023年のジェンダーギャップについて興味深い統計を発表していましたので、以下整理しておきます。 ドイツの女性の時給は男性より平均18% 低い(男25.30 vs 女20.84ユーロ)。 東西別では旧西独地区の格差が大きい(西19%、東7%)。 2006年の調査ではギャップが23%(西24%、東6%)だった。 職務内容、資格、職歴などで調整した後での格差は6%(2023年)。 18%の格差のうち64…
https://www.ifo.de/en/facts/2023-12-18/ifo-business-climate-index-falls-december-2023 ifo 業種別ヒートマップ(上図、直近2023年12月分)によると、不況に喘ぐドイツ経済の中で、好況(赤)とされているのは、旅行(79)、その他(車以外の)輸送機器(30)、下水処理(37)、法務・会計(69)の4業種のみとなっています。 そんな中、年初(1月3日)にドイツ旅行協会(DRV)が「今年も売上増見込み」というプレスリリースを出していましたので、そのポイントを以下ご紹介します。 www.drv.de 旅行業界は、好…
20240116 ドイツの気になるデータ5選(ZEW、ガス備蓄など)
①ZEW景況感指数(企業ではなく市場参加者の景況感)~現況(カーキ色線)は▲77.3と引き続き悪いものの、期待(赤線)は+15.2と予想以上に改善。拠りどころは米欧利下げ期待。 https://www.zew.de/presse/pressearchiv/konjunkturerwartungen-trotzen-inflation ②2023年通年のCPI~前年比+5.9%(HICPでは+6%)と市場予想よりやや低めの着地。 エネルギー(赤)は前年比+5.3%、食品(ピンク)は同+12.4%と切り上がっている。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Presse…
20240116 ドイツマイナス成長についてのドイツメディアの報道ぶり
ドイツは昨年実質GDP成長率前年比▲0.3%と先進国唯一のマイナス成長に陥りました。この経済不振についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです(日本を抜いたかどうかなどという議論は皆無です)。 https://tradingeconomics.com/germany/full-year-gdp-growth 高インフレ(含むエネルギーコスト)、海外経済の低迷、高金利、財政緊縮のため、ドイツ経済はマイナス成長に終わった。 多くのドイツ国民とドイツ企業にとって、できれば忘れたい最悪の1年となった。 この状況は当面大きく改善する見込みはなく、今年もわずかなプラス成長に留まる見込み。 債務ブレーキ…
20240115 ドイツの気になるデータ5選(2023年GDP、政治家ランキング、政党別支持率など)
①実質GDP(2023年通年)~市場の予想通り前年比▲0.3%で着地。但し名目成長は+6.3%(2022年は+7.2%)と非常に高く(高インフレのせいだけで実質ベースでマイナスに転じている)、売上げを落としてよい言い訳にはならない。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/01/PD24_019_811.html ②ドイツ連銀週次経済活動指数(WAI)~若干のプラス成長モメンタムを回復。 https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woe…
20240112 ドイツの気になるデータ5選(企業倒産、ガス備蓄など)
①企業倒産件数(10月)〜コロナ対策で低水準の去年と比べると+19%(青)となっているが、2ヶ月先の先行指標(赤)は横ばいで落ち着いている。長期的に見ても(下のグラフ)かなりの低水準にとどまっており、失業や銀行貸出へのダメージは限定的。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/01/PD24_016_52411.html https://tradingeconomics.com/germany/bankruptcies ②ホテルなど宿泊件数(11月)〜30.9百万人(前年比+4.1%/コロナ前比▲4.9%)まで回復。う…
20240111 ドイツの気になるデータ5選(GDPナウキャスト、消費者センチメントなど)
①GDPナウキャスト(ifoCAST)~Q4前期比▲0.32%(左)、Q1同+0.11%。 www.ifo.de ②消費者センチメント(HDE)~ドイツ経済の先行きやドイツ政府の財政政策を巡る混迷を嫌気してやや悪化。但し、前年同月(ガス危機への不安でいっぱいだった)比ではずっと上。 https://einzelhandel.de/konsumbarometer ③薬局販売医薬品のコスト構造~平均的小売価格13.97ユーロ、うち製造コスト1.91ユーロ(14%)、付加価値税2.23ユーロ、薬局(最終販売者)マージン6.44ユーロ(46%)、健康保険などへの拠出金2.41ユーロ、卸売業者マージン0…
20240110 鉄道(DB)ストに対するドイツメディアの報道ぶり
鉄道運転手労組DGLがドイツ鉄道(DB)のストライキ(1/10:2時~1/12:18時)に突入し、通常の2割程度の運転になっています。本件についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。 ドイツ鉄道は、その気になれば労組のストライキの軍資金がなくなるまでストライキを放置することができるが、乗客たちのためにそんなことをしてはならない。 ドイツ鉄道のストライキによる経済損失は1日1億ユーロとも言われている。 ドイツ鉄道は、賃金の据え置きではなく一部カットを伴う労働時間短縮になら同意可能と言っている。双方が痛みを受け入れて妥結を模索するべきだ。 労使は交渉のテーブルに戻らなければならない。自分の…
IMD人材力ランキング(2023年)の結果を私なりにまとめてみました。 (サブ項目は私のチョイスによるもので、他にもたくさんあります) www.imd.org これにより浮かび上がった各国の特徴は以下の通りです。 ドイツ:6カ国内では総合評価トップだが、少子高齢化とスキル人材不足が深刻 日本 :語学力と少子高齢化がネック。社員教育も意外と見劣り 米国 :移民で労働力人口確保も、ドイツと並んで所得税負担大 中国 :少子高齢化も、税負担低く、スキル人材豊富で、子供の学力は世界一 インド:スキル人材豊富も、教育制度や女性活用で大きく見劣り 韓国 :労働力人口は意外と増加中も、モチベにやや問題あり な…
20240109 ドイツの気になるデータ5選(製造業受注、生産など)
①製造業受注~11月前月比+0.3%/前年同月比▲4.4%と冴えない展開継続(下図では総合:赤、国内:黒、海外:青)。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/01/PD24_007_421.html ②鉱工業生産~11月前月比▲0.7%/前年同月比▲4.8%と低調。コロナ前の2018年あたりから長期的低下トレンドにある。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/01/PD24_010_421.html 前月比でこれほどマイナスが続くことは珍し…
20240108 ドイツ農民の抗議活動に関するドイツメディアの報道ぶり
ドイツ政府が財政緊縮の必要に迫られて導入を計画しようとしている農業用ディーゼル補助金の段階的廃止に対して、全国の農家が、トラクターなどによるアウトバーン入口の閉鎖や大規模抗議集会などを始めようとしています。これに対するドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。 道路封鎖、車両パレード、大規模デモなどにより、今週月曜日から、ドイツの農民たちが一週間、ドイツを試練にさらそうとしている。 休暇中のハーベック経済相に対する脅迫事件(搭乗中のフェリーに大挙して殺到しようとした)は環境過激派の活動(絵画や歴史的建造物を汚すなど)同様、一線を超えている。 農民協会はこういった過激な抗議活動から距離を置いてい…
IMD国際競争力ランキング(2023年)の結果をまとめてみました。 www.imd.org これにより浮かび上がった各国の特徴は以下の通りです。 ドイツ:大国としてはかなり総合力高いが、税・社保負担が重い 日本 :財政、マネジメントを中心に弱点がかなり多い 米国 :科学インフラと金融で世界トップに君臨 中国 :特段大きな弱みなく(??)、総合ランクドイツ並み インド:マクロ経済への期待大きいが、健康・環境、教育面で大きく見劣り 韓国 :科学インフラで米国に次ぐ高い評価を獲得 上位は①デンマーク、②アイルランド、③スイス、④シンガポール、⑤オランダといった常連小規模諸国。近年はUAEやカタールも…
https://www.gdl.de/aktuelles/news/abschluss-mit-go-ahead-erreicht/ 本稿では、再びいつ実施されてもおかしくないドイツ鉄道の本格ストライキへの備え方について、その背景も含めてご説明します。 昨年後半から鉄道をストでマヒさせているのは、鉄道運転士組合DGLです。鉄道関連では別途、運転手以外の職員組合EVGがあり、そちらは2025年3月末までの賃金協定を妥結済です(下表黄色網掛け部分)。 昨日DGLはドイツ鉄道以外の小規模地域鉄道会社(ドイツ鉄道より経営体力が弱く、これ以上のストによる損害に耐えられない)からかなり良い条件での妥結(2…
20240105 ドイツの気になるデータ5選(CPI、小売売上、インフル、洪水関連など)
①CPI(12月速報)~ドイツ国内基準で11月の+3.2%から12月は+3.7%に上昇。2023年通年で+5.9%の着地(予想比やや低め)。 前月比では非常に落ち着いた推移ながら、前年同期比では昨年の政策発動(エネルギー代補填)の反動が大きく出ている格好(ベーシス効果)。 次の1月分では年初の各種値上げが上昇圧力となる見込みで、既に年内大幅利下げを期待している市場がこれをネガティブに捉える可能性がある。 ちなみにドイツ連銀/ECBの予測では、HICPの下げ渋りが覚悟されている。 ②小売売上~速報ベーㇲで2023年は前年比名目+2.6%/実質▲2.9%。主因はもちろん上記の6%近くにも及んだイン…
20240105 昨年の排出量大幅減についてのドイツメディアの報道ぶり
昨日、気候変動対応関連シンクタンク「Agora Energiewende」が昨年のドイツのCO2排出量について以下の内容の調査レポートを発表しました。 2023年のドイツ温室効果ガス排出量は、推計6億7,300 万トン。 1990年(基準年)比46% 減少。1950 年代以来の最低レベル。 気候保護法に基づく年間目標7億2,200万トンを約4,900万トン下回る。 主因1)石炭火力発電が1960年代以来の最低レベルに低下。4,400万トン削減に寄与。電力需要の大幅な減少、近隣諸国からの電力輸入の増加(その約半分は再生可能エネルギーによるもの)/電力輸出の減少、グリーン電力の発電量増加、がその背…
<2022年のドイツの輸出入、貿易量、貿易収支における国別ランキング> ドイツの輸出入においては、中国、米国、オランダ、フランスの4カ国が重要(英国の地位はBREXIT以降急低下中)。 ドイツの貿易黒字は米国、フランス、英国、オーストリア向けが大きい。 貿易赤字は中国向けがダントツに大きく、ノルウェー、ロシアが続く(天然ガスの輸入大。但しロシアは翌2023年には輸出入とも大幅減少)。 中国からの輸入(下図赤)が増え続ける一方、輸出(黄)はすでに減少に転じているため、対中貿易赤字(≒中国依存度:黒)が拡大中。 日本は輸出入ともシェア1%台でかなり下位ながら、貿易黒字の大きさでは9位と奮闘。 ht…
①ドイツ経済省〜Q4前期比▲0.4%、Q1+0.2% https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Schlaglichter-der-Wirtschaftspolitik/2024/01/10-konjunktur-bip-nowcast.html ②ドイツ連銀(WAI)〜Q4前期比+0.1% https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex ③ifo研(ifoCAST)Q4前期比▲0.53%、Q1+0.12% https://www…
tradingeconomics.com 先ほどドイツの12月雇用統計が発表され、季調済失業者数は前月比+5千人と、市場予想(20千人前後)よりややや強い内容となっていました。ちなみに米雇用統計からの連想で、市場の一部ではこちらがヘッドラインであるかのように勘違いされていますが、ドイツでは全く重視されていませんのでご注意ください。 ●失業率~スタグフレーション真っ只中の割に失業率の上昇はわずか(大半は2022年6月からのウクライナ難民カウント開始によるもの)。 国際労働機関(ILO)ベースでは超定位安定推移。他国比でもかなりの優等生ぶり(後述)。 https://tradingeconomic…
ドイツの鉱工業生産(インデックス)は、上図の通り、コロナ前から既に減少トレンドに入っているわけですが、 本日ドイツ連邦統計局(DESTATIS)から今年一発目の統計データとして発表された、2023年の業種別就業者数統計によると、就業者総数は4,593万人と過去最高記録を更新する一方で、コロナ前(2019年)との比較で、製造業の就業者数は24万人も減少していました。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/01/PD24_001_13321.html 2023年のドイツの業種別就業者数シェアは下図の通りですが、製造業のシ…
www.bundeskanzler.de (新年おめでとうございます。今年も日独経済日記をどうぞよろしくお願いします) https://note.com/nobuo_date 昨夜放送された「Neujahrsansprache:年頭演説」(約3分、上記リンク)で、ショルツ首相はドイツ国民に対して、ドイツは困難に耐えることができる強い国であり、環境保護や社会正義などの重要課題に取り組むことで、より良い未来を築くことができるので、楽観と連帯の心を持って共に行動して欲しいと呼びかけていました。ポイントを簡単にまとめると以下の通りです。 コロナ、ウクライナ戦争、ハマスのテロなど、ネガティブな事象が続い…
20231231 来年も日独経済日記をどうぞよろしくお願いします
今年も1年間、ご愛読ありがとうございました。ドイツ関連の日本語情報(特にビジネスに役立つもの)はまだまだ意外に少ないので、毎日しつこく発信してゆくつもりです。来年も引き続きどうぞよろしくお願いします。皆さま、良いお年を! ●ブログ、コラム、動画のすべてをこちらのnoteに束ねています。 note.com 各種ドイツ関連情報を「ドイツ経済」「マーケット」「対中依存度」「ドイツ語学習」「小ネタ」などのカテゴリーで「マガジン」に束ねています。 ●YouTubeには日本語とドイツ語の動画を上げています。スライドのデータをスクショなどしてご活用いただければと思います。 www.youtube.com ●…
note.com <Japanse> 世の中を明るい光に照らしてみると、コロナが収まって旅行やコンサートを思う存分楽しめるようになり、失業者はほとんど増えず、(日本ではインフレ差引後の実質ベースでまだマイナスですが)賃金も増えています。米国の巨額財政出動(インフレ抑制法とCHIPS法〜デジタル関連投資支援)のおかげで米国/世界景気は思ったほど悪くならず、中国のデフレ輸出のおかげで世界のインフレは意外と早めに沈静化に向かい、海外のインフレのおかげで日本は脱デフレを達成しつつあります。 ドイツ経済はスタグフレーションの真っ只中にあり、「危機モード(Krisenmodus)」が今年の流行語大賞になっ…
①暴動 昨年の大みそか、ベルリンで警察官や消防官を花火や投石などで攻撃する大きな暴動がありました。低所得者層を中心に社会に不満が募っていることもあり、今年も大都市を中心に、同様の暴動の発生が懸念されています。 ②洪水/水害 https://www.hochwasserzentralen.de/ 現在ドイツ北部(地図赤丸部分)を中心に洪水/水害が発生し、連日ドイツのトップニュースとなっています。 上記地域と異なり、ライン川のような大規模河川は護岸がしっかりしているので今のところ大丈夫なのですが、長雨が続いているので、ライン川(下図はデュッセルドルフ)でも来年1/6~8に正念場を迎える見込みです。…
●現在交渉中/来年以降交渉開始の主なものを一覧表にしたのがこちらです。 (対象人数は少ないですが)鉄道運転士の労使交渉は、ストを繰り返しつつ前進感なく難航し続けており、年明けの鉄道麻痺リスクが心配されています。 来年注目すべき大口ラウンドは、9月の金属・電機(週休3月制警戒)、12月の公務員となっています。 ●ドイツ連銀は直近経済予想の中で、賃金について以下のようなマクロ予想を提示: 一人当たり賃金(名目)は高水準の上昇が来年まで続き、2025年以降、インフレ目標2%と整合的な3%程度の巡航速度に落ち着く見込み。 2023年 / 2024年 / 2025年 / 2026年 協定上の賃金: +4…
こちらのドイツ経済省の月次レポートの主要グラフを私のコメント付きでご紹介します。 https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Infografiken/Schlaglichter-der-Wirtschaftspolitik/2024/01/grafiken-und-tabellen-download.pdf?__blob=publicationFile&v=6 ドイツ経済の足元の全体感把握のお役に立てれば幸甚です。 ●実質GDP~2022年初あたりからほぼ横ばいが続いている 内外主要機関の予測によると、今年▲0.3%、来年+0.3~+0.8% 業種的には製造業(左、ウェ…
https://www.dbresearch.de/MAIL/RPS_DE-PROD/PROD0000000000531099.pdf?undefined&realload=gpxDjNuqm3/mrg2bF5kv0g8kxpqZ86WayKyDOQuWpAcEZ32EBAAZ1vBvcsdzX9vm ドイツ銀行の経済見通し(ドイツ語版)が公開されていますので、そのエッセンスを私なりに抽出して以下まとめておきます。 2024年は「幻滅の年」か? 海外経済、金利、財政政策は引き続き強い逆風となる可能性が高い。 不況が長引く中で各種構造問題への不満も高まり、景況感が圧迫される。 違憲判決後難航して…
https://www.iwkoeln.de/presse/pressemitteilungen/michael-groemling-miserable-lage-duesterer-ausblick.html ドイツ経営者系シンクタンク、ドイツ経済研究所(IW、ケルン研)のアンケート調査結果によると、ドイツ企業の足元のセンチメントは、エネルギー危機まっただ中だった去年末とほぼ同様の悪さで、低迷した今年より来年さらに悪化を見込んでいるという意味では過去最悪に悪いと言ってよい状況です(上図)。 ちょうど1年前の経済専門紙ハンデルスブラットの見出しが「企業のムードは最悪の状態」のデジャブを見ている…