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20240318 ドイツの気になるデータ5選(企業倒産、住宅関連など)
①企業倒産件数~2023年通年で前年比+22.1%と大きめの増加かつ先行指標も上昇傾向(下図赤線)ながら、コロナ前(2019年)比では▲5%とまだまだ低水準。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/03/PD24_103_52411.html 超長期チャートで見てもこのような感じなので、現在の不景気が企業の倒産やそれによる大量失業を生むようなものではない(高い名目成長~失業や倒産は起こりにくい~がインフレで食われて実質マイナスになっているだけである)ことが判る。 ②住宅着工許可件数(1月)~1月単月ではわずか1680…
IFH(ケルン商業研究所)の「持続可能性消費者モニター」(やハンデルスブラットの解説記事)によると、インフレとエコ意識の高まりのため、ドイツで中古品の売買が活発化している模様です。ポイントは以下の通り。 ドイツにおける持続可能性の重要性/意識は年々高まっている。 特にZ世代は地球環境問題への関心が高く、積極的に街頭デモに参加するし、小売業には具体的なサステナビリティの追求を求めている。 小売においては、修理(Repair)、再利用(Reuse)、リサイクル(Recycle)への対応が重視されている。 一部の小売店はこのトレンドを捉え、中古品を積極的に取り扱ったり(H&M、Zalandoなど)、…
20240314 独DAX18000ポイント超えについてのドイツメディアの報道ぶり
ドイツのベンチマーク株価指数DAX40が節目の18千ポイントに到達していることについてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。 ドイツの株価指数が連日過去最高値を更新し、節目の18千ポイントをクリアしたことは大変感慨深い。 これは恐らく今後の上昇トレンド継続の中でのひとつの通過点に過ぎない。 こういった株式市場の高揚感とは対照的に、ドイツ経済の足元の状態は非常に悪く、回復の兆しがほとんど見られない。 一般国民の経済に対する不安と政府に対する不満は高まるばかりである。 しかし、株式市場は国内経済の状態以外の他の多くの要因によっても左右されていることを認識する必要がある。 グローバル市場を股に…
20240313 ドイツの気になるデータ5選(GDPナウキャスト、CPIなど)
①ドイツ連銀週次経済活動指数(WAI)~足元の実質GDPモメンタム(3m/3m)は▲0.3%まで急低下。ちなみに、ドイツ経済省の2024/Q1のGDPナウキャストは前期比+0.1%。ifoCASTは同▲0.52%。ドイツ銀行の予想は同▲0.2%、総合PMIはかなりの大幅マイナス示唆となっている。2024/Q1GDP速報は4/30発表予定。 https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex ②インフレ2月確報~2020年平均(ほぼコロナ前の水準と考えてよい)…
https://www.bundesbank.de/en/statistics/sets-of-indicators/system-of-indicators-for-the-german-commercial-property-market/system-of-indicators-for-the-german-commercial-property-market-795270 掲題についてのドイツ連銀のデータがアップデートされましたので、そのエッセンスを以下ご紹介します(少なくともドイツ連銀がどんなデータを重視して見ているかが把握できます)。 ●商業用不動産価格は小売店舗用物件を中心にピー…
20240310 ECB理事会についてのドイツメディアの報道ぶり
3月のECB理事会結果についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。ドイツの景気が悪いからといって、利下げを急いで欲しいという論調は殆どありません(実質マイナス成長はインフレが原因と広く認識されているため)。 今回ECB主要金利はすべて据え置きで変動なし。 ユーロ圏のインフレ率は目標の2%に徐々に近づいてきている。 多くの専門家は今年6月に最初の利下げが実施されると予想している。 但し、賃金上昇が予想以上に強ければ、利下げ開始見送りの可能性もある。 トランプ氏が米大統領に再選された場合、その後の予測不能性が世界経済にリスクをもたらす可能性がある。例えば、彼が中東紛争を激化させ、エネルギー…
20240308 ドイツの気になるデータ5選(受注、生産、PPIなど)
①製造業受注(1月)~12月の前月比+12.0%をほぼ吐き出す▲11.3%(濃い赤)。除く大口受注(薄い赤)ベースでは明確な減少トレンド持続。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/03/PD24_086_421.html ②鉱工業生産(1月)~前月比+1.0%と一見強めながら、12月の▲2.0%(▲1.6%から下方修正)の反動程度/3m移動平均では前期比▲1.5%であり、2018年以降の低下トレンド継続(青線)。上記受注も弱く、生産の増加基調への転換は期待薄(赤線は建設業)。 https://www.destati…
https://www.ifo.de/en/facts/2024-03-06/ifo-economic-forecast-spring-2024-german-economy-paralyzed ifo研のドイツ経済見通しのアップデートが発表されましたので、そのエッセンスをご紹介します。 景気回復の兆しが見られず、年前半も不調が続きそうなので、今年のGDP見通しは+0.2%と12月予測比▲0.7%下方修正。 冬の悪天候や病欠(インフルエンザ流行)も悪影響。 インフレは来年+1.6%に低下するが、高めの賃金上昇が続くため、コアは+2.2%と高止まり。 リスクは①地政学的背景などによるエネルギー価…
https://www.handelsblatt.com/politik/konjunktur/bahnstreik-kostet-fast-nichts-ausser-die-nerven/100020978.html?utm_source=sf&utm_medium=nl&utm_campaign=hb-eveningbriefing&utm_content=07032024&key=0031t00000QBKYoAAP 今日明日とドイツではまた長距離鉄道がストでマヒしていますが、ドイツ鉄道のストによるドイツ経済の損失は、ざっくり1日あたり1億ユーロと言われています。 今朝ハンデルスブラッ…
IfW(キール研、ドイツ5大研の一角)から新たなドイツ経済予測(上図の通り今年ははずか+0.1%成長、12月予想比▲0.8%下方修正)が発表されていますので、以下、そのエッセンスをご紹介します。 各種構造問題やECB利上げによるブレーキのため、ドイツ経済の低迷長期化。 実質可処分所得の増加(賃上げ+インフレ低下)に伴う個人消費の回復と海外ビジネスの緩やかな増加の2つが今後の景気回復の原動力として期待される。 しかしこれらの原動力は、以前の予想よりも弱く、かつその起動が遅れている。 2025年のGDPは、コロナ(6年)前の水準を2%上回るにとどまる。 経済低迷にもかかわらず労働市場は引き続き堅調…
20240306 ドイツの気になるデータ5選(PMI、輸出動向など)
①総合PMI~製造業、サービス業とも軟調で、GDPベースでかなりのマイナスペースとなっていることを示唆。 https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/c3ca100bd86d4b528803a06337a6220f ②ドイツ連銀週次経済活動指数(WAI)~実質GDP3m/3m換算で前期比▲0.1%のモメンタム。経済省GDPナウキャストのQ1前期比予想は+0.1%、ifoCASTは▲0.24%であり、いずれにせよゼロ近傍の攻防となっている模様。 https://www.bundesbank.de/de/statistiken/kon…
https://www.iwkoeln.de/presse/pressemitteilungen/juergen-matthes-thomas-obst-samina-sultan-zweite-trump-aera-koennte-die-deutsche-wirtschaft-bis-zu-150-milliarden-euro-kosten.html 経営者団体系シンクタンクIWが「もしトランプが再選されたら」という興味深いレポートを発表していますので、そのエッセンスをご紹介します。 このまま第2次トランプ政権が誕生すれば、ドイツ経済に4年間で最大1,500億ユーロ(24.5兆円相当@1…
20240303 ドイツの気になるデータ5選(GDPナウキャスト、ウクライナ支援など)
①経済省GDPナウキャスト~Q1前期比+0.1%を予想。一方、ドイツ銀行は▲0.1%、ドイツ連銀は「恐らく(小幅)マイナス」との読み。 https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Schlaglichter-der-Wirtschaftspolitik/2024/03/09-konjunktur-bip-nowcast.html ②新車販売に占める動力のシェア~いい時は3割を超えていたEVは1月に10.6%まで急低下(PHVは6.7%)。昨年末急遽補助金が打ち切られたため(財政憲法違反判決の余波)。ガソリン(52.1%)、ディーゼル(26.0%)でほぼ8割を占める。 ht…
<Japanese> ドイツの景気は、昨年▲0.3%のマイナス成長で着地した後も全く改善の手応えがなく、経済界が首相に苦情を申し入れるほど芳しくありませんが、ドイツのベンチマーク株価DAXは2月21日から負けなしの8連騰で毎日高値更新を繰り返しています。但し、株主の2/3が海外投資家なので、実はめでたさも中くらいなのかもしれません。 日経平均も負けてはいません。2月22日のバブル後高値更新後も堅調で、シカゴの日経平均先物の週末引け値(40190円)からすると、来週初の4万円の大台突破がほぼ確実な情勢です。年初来上昇率は、DAXの+5.9%に対し、日経平均は+19.3%という好調ぶりです。円株の…
20240301 ドイツCPI、4月分までは低下して見えやすい
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/02/PD24_078_611.html 2月のドイツCPI速報は、前年同月比ベースで総合+2.5%(ベーシス低下による低下であり、前月比+0.4%は本質的にはイマイチ)、コア(除く食品・エネルギー)+3.4%、エネルギー(ウェート7.39%)▲2.4%、食品(同10.469%)+0.9%と、ほぼ市場予想通りの着地となっていました。 HICPベースでも、前月比は+0.6%と大幅上昇ながら、(前年の比較対象が高かった)ベーシス効果のおかげで、前年同月比は+2.7%に低下しています。…
先ほどドイツの2月雇用統計が発表され、季調済失業者数は前月比+11千人と、市場予想(+7千人)より気持ち弱めの内容となっていました。 ちなみに米雇用統計からの連想で、市場の一部ではこちらがヘッドラインであるかのように勘違いされていますが、ドイツでは全く重視されていませんのでご注意ください(日曜祝祭日に経済活動がほぼ止まるため、季節調整が難しい欧州では前年同期比が重視される)。 ●失業率~5.9%で横ばい。2022年以降の失業率上昇の大半は2022年6月からのウクライナ難民カウント開始によるもの。連邦雇用庁は「経済低迷の爪痕あるももの、しっかり」との評価。 国際労働機関(ILO)ベースでは3.1…
20240229 ドイツの気になるデータ5選(賃金、小売売上、インフルなど)
①賃金~2023年通年ベースでは、インフレ+5.9%に対し、名目賃金+6.0%で実質賃金が辛うじてプラス転換(+0.1%)。2023年Q4では各+3.5%/+5.4%/+1.8%と実質ベースでしっかりプラス転換。 労組はコロナ後数年間続いた実質賃金のマイナスを取り返すべく、今年も強気の高賃上げ要求(+10%前後)を続けてくる見込み。 マクロベースでの今年の名目賃金上昇率見込みは+5~6%。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/02/PD24_076_62321.html ②小売売上(1月)~実質(赤)/名目(ピンク…
ドイツの鉱工業生産(上図黒線、実質ベースインデックス)は、2023年前年比▲1.2%(2022年▲0.2%)と減少しました。2018年頃から既に長期低下傾向にあり、コロナからの回復後もその低下トレンドが再開しているように見えます。 水準としては2018年のピークから9%も切り下がっている上、昨年後半のマイナスが今年は負の統計上のゲタになるので、今年も▲2%程度のマイナスが予想されます。 鉱工業生産不振の背景には、輸出の不振(特に中国向け)、人手不足(特に熟練者)、資材不足/サプライチェーン障害(コロナ後)、エネルギー価格高騰(ウクライナ戦争後)、高金利、投資不足(不透明な政策への不安、海外移転…
20240227 ドイツの気になるデータ5選(GDPナウキャストなど)
①ifoCAST(ifo研が2週間毎に発表しているGDPナウキャスト)~Q1が前期比▲0.27%、Q2が+0.17%と軟調継続。 https://www.ifo.de/en/ifoCAST ②WAI(ドイツ連銀が毎週月曜夕刻に発表しているGDPナウキャスト系指標)~実質GDP換算(3m/3m前期比)で+0.3%とプラス圏ながら、足元モメンタムは下向き(右図)。 https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex ③ifo輸出期待~低水準ながらも底打ちの気配。…
20240224 ドイツ政府の競争力強化計画、日本にもそのまま当てはまります
note.com <Japanese> 2月21日にドイツ経済・気候保護省から発表された政府年次経済報告のメインテーマは「競争力の持続的強化」で、最近とみに不安視されているドイツの産業立地を抜本的に改善したいという政府の意向がにじみ出ていました。以下の10分野で重点的な取り組みが必要とされていますが、全てそのまま日本がやるべきことと読み替えられるような気がします。 ①投資促進(的を絞った税制優遇措置など)②官僚主義の削減(規制緩和や手続き簡素化など)③イノベーションやデジタル化促進、技術主権の強化(投資促進、枠組整備など)④労働供給の強化(海外熟練労働者誘致、女性/シニア/移民フル活用など)⑤…
20240223 ドイツオフィス不動産市場指数(pbbIX)続落
https://www.pfandbriefbank.com/kunden/pbbix.html ドイツファンドブリーフ銀行(PBB)が昨日発表した2023年第4四半期のドイツオフィス不動産市場指数(pbbIX)は、▲1.96と続落し、2009年第1四半期以来の低水準となっていました(上図)。 pbbXIはドイツ7大都市(ベルリン、ハンブルク、ミュンヘン、ケルン、フランクフルト、デュッセルドルフ、シュトゥットガルト)のオフィス用不動産市況を、景気全般、賃貸、投資の3面から評価したもの(ゼロ=長期平均)。 ドイツ経済全体の低迷と金利上昇を背景に、投資家の慎重スタンスが強まり、7大都市のオフィスス…
20240223 ドイツの気になるデータ5選(PMI、ifoなど)
①総合PMI(2月)~製造業の状況(右)が再び悪化し、総合アウトプット指数(左)から見てQ1GDPは前期比マイナス不可避の情勢(市場予想は前期比▲0.1%程度)。景気回復の手がかりが全く見えない状態が続いてしまっている。 https://www.pmi.spglobal.com/Public/Release/PressReleases ②ifo景況指数(2月)~ほぼ市場予想通りの低水準横ばい。頼みのサービス業(下右上)もマイナス圏入り。 https://www.ifo.de/fakten/2024-02-23/ifo-geschaeftsklimaindex-gestiegen-februar…
ドイツ連銀HPの不動産価格データが更新されたのでチェックしておきます(説明は筆者分析)。 www.bundesbank.de ①住宅用不動産価格~2023年は前年比▲4.6%/2004年比+127%(この間CPIは、各+5.9%/+46%)。 低金利と住宅不足を背景に住宅価格は上昇を続けてきたが、高価格(環境対策も影響)+利上げ後の住宅ローン金利負担増大(下添④)で住宅購入者減少⇒住宅価格小反落。 購入を断念した人々が賃貸に流れたため、新規契約家賃は昨年5~7%と強い上昇となった。 まだ15~20%程度過大評価となっている可能性高いが、大量の移民流入を背景とする強い住宅需要と人手・建設資材不足…
20240222 ドイツ経済4年間低迷の経済損失5,450億ユーロ
https://www.iwkoeln.de/presse/pressemitteilungen/michael-groemling-der-deutschen-wirtschaft-fehlen-545-milliarden-euro.html 先ほど経営団体系シンクタンクIW(ケルン研)から発表された経済損失試算がなかなか興味深いので、そのエッセンスをご紹介します。 IWの試算によると、コロナと戦争(ウクライナ+中東)の複合要因による4年間にわたる経済危機により、ドイツ経済は5,450億ユーロ(89兆円相当 @163)を失った。 その大半が個人消費抑圧分約▲4,000億ユーロ(一人当たり約…
https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Pressemitteilungen/2024/02/20240221-jahreswirtschaftsbericht-2024.html 本日ドイツ経済省から発表されたドイツ政府の年次経済報告(単なる経済予測というよりは経済政策のベースとなるもの)のエッセンスは以下の通りです。 メインテーマは「競争力の持続的強化」(10の取り組み分野後述、筆者としては日本がやるべきことと完全に重なっているものと思料)。 ドイツ経済は困難な状況にあり、昨年▲0.3%のマイナス成長の跡、今年も成長率は+0.2%どまり。 短期的には、外需低迷、イ…
20240221 ドイツの気になるデータ5選(製造業受注残、企業倒産件数など)
①製造業受注残(12月)~コロナ後に蓄積された受注残(受注急回復VS人手・資材不足+サプライチェーン障害)は、月商の7.0か月分と高水準が維持され、一層の景気悪化を防ぐためのクッションとなっている。但し、海外分(青)の減少はきつめ。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/02/PD24_063_421.html ②ホテル・レストラン売上(2023年)~コロナ前(2019年)比実質ベースで▲11.3%(ホテル▲5.2%、レストラン▲12.9%)。但し大幅なインフレのため名目ベースではコロナ前の水準を大きく上回っている。…
www.bundesbank.de 昨日発表されたドイツ連銀2月月報の経済分析部分のエッセンスは以下の通りです: 景気低迷とディスインフレーションの流れが続いている。 コロナ後にたまった受注残はまだ高水準にあるものの、長期にわたる受注低迷(37%の製造業企業が受注不足を実感)が生産を一段と慎重化させている。 外需の回復もまだ手ごたえがない。 加えて利上げによる資金調達コスト増加と財政緊縮で投資も減少。 冬場の悪天候(北部では長雨で洪水発生)も、建設業に逆風となった。 繰り返される鉄道や空港のストライキもダメージになる可能性あり。 インフレ低下、堅調な労働市場、力強い賃金の伸びが個人消費を支えて…
20240216 ドイツ商工会議所(DIHK)「立ち直れないドイツ経済」
https://www.dihk.de/de/aktuelles-und-presse/aktuelle-informationen/deutsche-wirtschaft-kommt-nicht-auf-die-beine-112962 ドイツ商工会議所(DIHK)が27千社を対象に実施した年頭経済アンケート調査結果(上記リンク)のエッセンスは以下の通りです。 タイトルは「立ち直れないドイツ経済」(Deutsche Wirtschaft kommt nicht auf die Beine)。景況感の更なる悪化を強く懸念。 DIHKとしては今年▲0.5%の実質マイナス成長を予想(世の中で最も悲…
https://economy-finance.ec.europa.eu/economic-surveillance-eu-economies/germany/economic-forecast-germany_en 先ほどEU委員会から発表された「欧州経済予測(2024冬版)」のドイツ部分のエッセンスは以下の通りです。 今年の実質GDP予想+0.3%と、昨年1月の予測+1.2%から大幅下方修正。2025 年は+1.2%で据え置き。 今年のGDPの弱さは、ドイツ政府(+0.2%へ下方修正見込み)やOECDと同じレベル感(上表)。当局としての共通認識と言ってよい。 昨年▲0.3%とマイナス成長に…
①HDE消費者信頼感~昨年前半までの改善が止まり、コロナ前を下回る水準でほぼ横ばいの動きが続いています。 https://einzelhandel.de/konsumbarometer ②GfK消費者信頼感~こちらの方は上記HDEより悲観的で、低下トレンドを維持しています。インフレへの警戒と貯蓄性向上昇が顕著とのこと。 https://www.gfk.com/de/presse/konsumklima-herber-rueckschlag-zum-jahresbeginn ●昨年以降、大幅な名目賃金(赤)引き上げが続いているため、実質賃金(青)は小幅ながらプラスに転じています。この実質賃金増加…
20240213 ドイツの気になるデータ5選(ZEW、SENTIXなど)
①ZEW景況感指数(1月)~期待指数(赤)は+19.9と市場予想以上に改善する一方、現況指数(緑)は▲81.7と市場予想以上に一段の悪化。欧米中銀の利下げが心待ちにされている状況。 https://www.zew.de/presse/pressearchiv/lageeinschaetzung-auf-tiefstem-wert-seit-juni-2020 ②SENTIX投資家景況感~上記ZEW同様、将来に対する期待は悪くないが、現況は悲惨なまま。 投資家相場サーベイでは、米欧株に「過度の楽観」「ロング蓄積」⇒売り警戒シグナル点灯中(中国株や米欧国債には「売られ過ぎ」⇒買いシグナル)。 ③ド…
20240209 ドイツの対中対米貿易額が肉薄!米国が首位になる可能性高まる
上表は2022年のドイツの貿易パートナーランキング表で、貿易額(輸出入合計)と貿易赤字額で中国がトップとなっています(貿易相手国として中国は8年連続首位)。米国は貿易量で2位、貿易黒字でトップです。 こちらは2021年のデータですが、オランダが貿易額で2位で米国を上回っているものの、ドイツの貿易における米国と中国の立ち位置はほぼ同様でした。 ところが最近、ドイツの中国と貿易額がかなり落ち込んできています(青:対中輸出、赤:対中輸入)。 一方で、ドイツと米国の貿易額は比較的しっかり持ち堪えています(青:対米輸出、赤:対米輸入)。 その結果、2023年の貿易額は対中2,530億ユーロ(前年比▲16…
https://www.ifw-kiel.de/publications/news/greix-real-estate-prices-fell-to-an-unprecedented-extent-in-2023/ キール研(IfW)が本日発表した上記リンク先のレポートによると、ドイツの住宅価格(コンドミニアム、一戸建、集合住宅)は上図の通り足元ピーク比1~2割程度の下落となっている模様です。 リーマンショック以降の長期にわたる低金利を背景に、住宅価格は2022年まで上昇を続けてきたが、その後のECB大幅利上げ(インフレ退治)のため大きめの反落を見せています。 キール研所長の評価「価格調整は適…
20240208 ドイツの労使交渉とストライキ:旅行や出張の計画に影響
最近ドイツでは鉄道(遠距離/近距離)と空港でのストライキが繰り返されており、旅行や出張の計画がうかつに立てられない状況が続いています。 下表は今後予定されている労使交渉の一覧表ですが、現時点では以下黄色網掛け部分にほとんど歩み寄りや妥結に向けた動きが見られないので、この状況は当面続いてしまうものと思われます(但しドイツ鉄道は2月いっぱいストを我慢する見込み)。 なお、今年の労使交渉のヤマ場は、赤字部分:夏の金属・電機と年末の公務員となる見込みです。 もともとドイツはそれほどストライキが頻発するような国ではなかったのですが(下図でも中位)。。。 最近の人手不足(特にある程度の専門スキルを要するポ…
20240207 ドイツの気になるデータ5選(GDPナウキャスト、受注/生産など)
①ifoCAST(GDPナウキャスト)~Q1実質GDP予想(左)は前期比▲0.12%(ドイツ銀も▲0.1%予想)、Q2(右)は+0.29%。 https://www.ifo.de/en/ifoCAST ②製造業受注(12月、実質)~航空機の大口受注獲得で前月比+8.9%と大きく挽回したが、大口受注を除くベース(薄い方の線)では同▲2.2%と軟調継続。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/02/PD24_047_421.html ③鉱工業生産(12月、実質)~製造業(青)前月比▲1.6%、建設業(赤)同▲3.4%と、…
20240206 ドイツで去年最も人通りが多かった商店街ベスト10
https://www.handelsdaten.de/ranking-der-einkaufsstrassen-deutschland-nach-passantenfrequenz-2023?utm_source=Newsletter&utm_medium=email&utm_content=Link-Hd-Frequenz&utm_campaign=nl-kw-4-24 ノイハウザー通り(ミュンヘン) カウフィンガー通り(ミュンヘン) この上位2つは東西につながっています ツァイル(フランクフルト) ゲオルク通り(ハノーファー) シルダ―通り(ケルン) テアティナー通り(ミュンヘン) ヴェ…
20240206 OECD世界経済予測:ドイツ成長率下方修正
https://www.oecd.org/economic-outlook/february-2024/ https://www.oecd-ilibrary.org/sites/0fd73462-en/index.html?itemId=/content/publication/0fd73462-en 昨日発表されたOECD世界経済予測では、ドイツのGDP/CPI(2023/24/25年)は、 実質GDP: ▲0.1%/0.6%(11月予想比修正▲0.3%)/1.1%(同▲0.1%) CPI : 6.0%/2.6%(同▲0.1%)/2.0%(同▲0.1%) と今年分の成長予測が大きく下方修正さ…
20240204 ドイツ住宅不動産市場、供給不足で早くも価格底打ち
https://www.iwkoeln.de/presse/pressemitteilungen/pekka-sagner-michael-voigtlaender-mieten-steigen-stark-kaufpreise-erholen-sich.html 経営者団体系シンクタンクIW(ケルン研)からドイツ住宅市場(価格や家賃の推移)について興味深いレポート(リンク↑)が出ていますので、そのエッセンスをご紹介します。 ●住宅用不動産価格は、ECBの強烈な利上げ開始以降下落が続いていたが、昨年第4四半期には前期比(青棒)がプラス転換。住宅市場に底打ちの兆候(家賃は住宅需給逼迫を背景にもと…
ドイツの1月HICP速報は前月比▲0.2%/前年同月比+3.1%と、市場予想比良好な内容となっていました。 下図の通り、前月比の基調はマイナスであり、これまでの利上げと足元のドイツ経済不振(PPI低下に顕著)の影響が顕在化した格好になっています。 Germany Harmonised Inflation Rate MoM ①前年同月比で見た1月の発射台が+3.1%と思っていたほど高くなく、②当面は前年の水準が高かったことによるベーシス効果も効いてくることから、今後4月頃までは前月比+0.4%が続いても前年同月比は2%割れに向けて急低下しているように見える(ECB利下げの背中が押される)局面に入…
先ほどドイツの1月雇用統計が発表され、季調済失業者数は前月比▲2千人と、市場予想(+10千人強)よりややや強い内容となっていました。 ちなみに米雇用統計からの連想で、市場の一部ではこちらがヘッドラインであるかのように勘違いされていますが、ドイツでは全く重視されていませんのでご注意ください(季節調整が難しい欧州では前年同期比が重視される)。 ●失業率~失業率上昇の大半は2022年6月からのウクライナ難民カウント開始によるもの。連邦雇用庁は「経済低迷の割に良好」との評価。 国際労働機関(ILO)ベースでは3.1%と超定位安定推移。他国比でもかなりの優等生ぶり(EU内で下から4番目)。 https:…
20240131 ドイツの気になるデータ5選(IMF、小売売上など)
①IMF世界経済見通しアップデート(3ヶ月毎)~ドイツGDP予想は今年・来年とも▲0.4%ポイント下方修正。去年、今年とユーロ圏の足を引っ張る恰好。日本は潜在ペースを上回る成長継続。 https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2024/01/30/world-economic-outlook-update-january-2024 ②ドイツGDP~通年でも第4四半期前期比でも▲0.3%。水準的にはずっと弱含み横ばいが続いているが、四半期前期比(年率換算なし)で▲0.4、+0.1、0、0、▲0.3%となっているので、2期連続マイナスはずっと回避…
20240130 ドイツの気になるデータ5選(GDPナウキャスト類、インフル流行度合いなど)
①ドイツ経済省GDPナウキャスト~2024Q1は前期比+0.1%予想。(2023Q4は前期比▲0.3%で着地する見込み)。 https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Schlaglichter-der-Wirtschaftspolitik/2024/02/11-konjunktur-bip-nowcast.html ②ifoCAST~2024年Q1は前期比▲0.21%の予想(今回大幅に悪化)。 https://www.ifo.de/en/ifoCAST ③ドイツ連銀週次経済活動指数(WAI)~足元のGDP換算3m/3mモメンタム+0.54%。但し、ドイツ連銀は1月月報で…
https://www.bundesbank.de/resource/blob/920552/c9c89e23644dee70a9db8691087b8aa3/mL/2024-01-monatsbericht-data.pdf 欧州中央銀行(ECB)のドイツ担当支店であるドイツ連銀(Deutsche Bundesbank)が毎月20日頃に発表している月報(Monatsbericht)の経済分析部分(Kurzberichte/Konjunkturlage)のエッセンスを以下まとめておきます。 2024年第1四半期GDPは良くて前期比横ばい(マイナス継続可能性大) 外需が弱く、金利/借入コストの上…
先ほど1月ifo景況指数が発表され、上図の通りモメンタム下向きかつ予想(下表)をやや下回る弱い内容となっていました。ドイツ経済復活の兆しは全く感じられません。 業種別で見ると、サービス業(右上)だけ何とか現況プラス、総合ゼロ近傍ですが、それ以外の製造業(左上)、建設業(右下)、小売・卸売業(左下)3指数ともすべてマイナス圏内に留まっています。 景気サイクル的<縦軸:期待、横軸:現況>に見ても、リセッション領域(第3象限)からの脱出はまだまだ遠い先といった感じです。 業種別ヒートマップを確認すると、好況(赤)業種が再び減少しており、旅行関連(79)、その他運送機器<航空機、鉄道など>(30)の2…
https://www.bundesbank.de/resource/blob/844970/a5a1f26d59d1e1ef7c4f33786fada36b/mL/2024-01-china-data.pdf 本日発表されたドイツ連銀月報の中に、ドイツ経済の対中依存問題についての分析レポートが出ていましたので、そのポイントをご紹介します。 中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟して以来、ドイツは経済面で中国とますます緊密な関係を築き、中国経済の成長から大きな恩恵を受けてきた。 しかし、今やこうした相互依存関係に対するリスクが高まっている。 中国は現在、(バブル崩壊で)大きな経済問題に…
20240124 ドイツ鉄道ストについてのドイツメディアの報道ぶり
ドイツ機関車運転士組合(GDL)が、全独のドイツ鉄道で6日間のストライキに突入し、大規模な混乱と経済損失が発生していることについて、ドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。 交渉の最大の争点は、労働時間の短縮(週38⇒35時間)。DGLは賃金目減りなしでの短縮を要求しているが、そもそも運転士不足に苦しむドイツ鉄道は対応に苦慮している。 GDLが4 回目のストに突入することはあらかじめ完全に予見できた。GDLのヴェセルスキー委員長としては、ライバルとして意識するEVGへのオファーより低いものは受け入れられない(下表ご参照)。 ドイツ鉄道は、GDLに資金を使わせて(ストの間は参加者に賃金が出ない…
<現在交渉中/今後交渉開始予定の賃金交渉一覧>足元はドイツ鉄道を6日麻痺させようとしているGDL(組合員はごく少数)に注目が集まりやすいですが、今年通年では夏のIGメタル/年末のヴェルディ(ドイツ2大労組)が重要です。 <2022年以降の主な妥結結果一覧> <ドイツの労働組合の全体感> <ドイツ連銀マクロ経済予測(賃金関連)> <ドイツ経済の全体感> note.com <ドイツで生き残るためのビジネス塾> www.newsdigest.de
20240119 ドイツの気になるデータ5選(ガス備蓄、水害、インフルなど)
①天然ガス備蓄〜この2週間ほどかなり寒い日々が続いており、ガス備蓄率(橙)が昨年(青)を結構下回り始めており、一応要警戒。但し、近年のレンジの中ではまだ平均以上を維持。今後の気温については次項②ご参照。 https://www.bundesnetzagentur.de/DE/Gasversorgung/aktuelle_gasversorgung/start.html ②今後1ヶ月の気温と降水量〜来週以降は2週間ほど平年より暖かくなり、暖房用ガス消費も落ち着く見こみ(上)。降水量は月内やや多め(下)。 https://www.dwd.de/DE/leistungen/kvhs_de/1_bas…
20240118 ドイツ女性の時給は男性より18%低い?ジェンダーギャップの実態
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/01/PD24_027_621.html ドイツ統計局(DESTATIS)が今朝、2023年のジェンダーギャップについて興味深い統計を発表していましたので、以下整理しておきます。 ドイツの女性の時給は男性より平均18% 低い(男25.30 vs 女20.84ユーロ)。 東西別では旧西独地区の格差が大きい(西19%、東7%)。 2006年の調査ではギャップが23%(西24%、東6%)だった。 職務内容、資格、職歴などで調整した後での格差は6%(2023年)。 18%の格差のうち64…
https://www.ifo.de/en/facts/2023-12-18/ifo-business-climate-index-falls-december-2023 ifo 業種別ヒートマップ(上図、直近2023年12月分)によると、不況に喘ぐドイツ経済の中で、好況(赤)とされているのは、旅行(79)、その他(車以外の)輸送機器(30)、下水処理(37)、法務・会計(69)の4業種のみとなっています。 そんな中、年初(1月3日)にドイツ旅行協会(DRV)が「今年も売上増見込み」というプレスリリースを出していましたので、そのポイントを以下ご紹介します。 www.drv.de 旅行業界は、好…