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20240730 ドイツの気になるデータ5選(Q2GDP、インフレ率など)
①ドイツ第2四半期GDP速報~前期比▲0.1%と、ドイツ連銀や市場の小幅プラス予想を裏切った。下添グラフの赤線の通り、2022年以降はほぼ横ばい(ゼロ成長)の状態が続いている。但し、名目ベースでは前年比+4.3%と決して弱くない。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/07/PD24_289_811.html 直後にリリースされた経営者団体系シンクタンクIW(@ケルン)の分析によると、ドイツ経済がマイナス成長に陥っている理由は以下4点(カッコ内は補足説明): ①企業の投資低迷(不確実性、エネルギー/労働コスト/金利面…
20240612 ドイツの気になるデータ5選(生活費レベル感国際比較など)
①生計費水準(PPPベース、2021年)~ドイツを100とした場合の物価水準。米国はドイツより7%高く、中国は24%安いということを示唆。市場の為替レートではなく購買力平価ベースであることと、その後のインフレを反映していないことなどによりやや違和感あるも、(円安修正後ベースで)日本の食品、酒、通信費が高く、たばこが安いのは実感に合う。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/06/PD24_N026_61621.html ②IMF購買力平価~足元のEUR/JPY=169円はユーロを4割過大評価。 https://www…
20240514 ドイツの気になるデータ5選(CPI、ユーロ円など)
①CPI内のエネルギー価格~前年比ではかなり落ち着いているものの、ウクライナ侵攻前よりは切り上がったままの高水準が続いている。 (赤:ガソリン、青:電気、黒:ガス、桃:暖房油) https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/05/PD24_188_611.html ②HICPシミュレーション~5月は昨年の水準が低いので前年比が高く出やすい。直近3ヶ月、前月比+0.6%と強い上昇が続いている点が非常に気がかり。 ③ドイツ連銀週次経済活動指数(WAI)~四半期実質GDP換算前期比(3m/3m)ベースで▲0.1%と軟調継続。 ht…
ドイツの1月HICP速報は前月比▲0.2%/前年同月比+3.1%と、市場予想比良好な内容となっていました。 下図の通り、前月比の基調はマイナスであり、これまでの利上げと足元のドイツ経済不振(PPI低下に顕著)の影響が顕在化した格好になっています。 Germany Harmonised Inflation Rate MoM ①前年同月比で見た1月の発射台が+3.1%と思っていたほど高くなく、②当面は前年の水準が高かったことによるベーシス効果も効いてくることから、今後4月頃までは前月比+0.4%が続いても前年同月比は2%割れに向けて急低下しているように見える(ECB利下げの背中が押される)局面に入…
20240105 ドイツの気になるデータ5選(CPI、小売売上、インフル、洪水関連など)
①CPI(12月速報)~ドイツ国内基準で11月の+3.2%から12月は+3.7%に上昇。2023年通年で+5.9%の着地(予想比やや低め)。 前月比では非常に落ち着いた推移ながら、前年同期比では昨年の政策発動(エネルギー代補填)の反動が大きく出ている格好(ベーシス効果)。 次の1月分では年初の各種値上げが上昇圧力となる見込みで、既に年内大幅利下げを期待している市場がこれをネガティブに捉える可能性がある。 ちなみにドイツ連銀/ECBの予測では、HICPの下げ渋りが覚悟されている。 ②小売売上~速報ベーㇲで2023年は前年比名目+2.6%/実質▲2.9%。主因はもちろん上記の6%近くにも及んだイン…
https://www.bundesbank.de/de/presse/pressenotizen/deutschland-prognose-der-bundesbank-sinkende-inflation-aber-noch-keine-entwarnung-920336 つい先ほど、ドイツ連銀(Bundesbank)から2026年までのドイツ経済見通しが発表されました。2026年までのマクロ計数を発表しているのは、これとIMFの世界経済見通し(10月)くらいだと思います。 現時点でドイツ経済に関して最も権威ある経済予測ですので、来年の予算や計画を策定する際のベース(マクロデータ)としてご…
20231129 ドイツの気になるデータ5選(OECD、HICP、ガス不足リスクなど)
①OECD経済予測のドイツ部分~違憲判決に伴う財政緊縮リスクをある程度勘案した上で、GDPは今年▲0.1%、来年+0.6%、再来年+1.2%/HICPは今年+6.2%、来年+2.7%、再来年+2.1%の予想。 https://www.oecd-ilibrary.org/sites/7a5f73ce-en/1/3/2/19/index.html?itemId=/content/publication/7a5f73ce-en&_csp_=ff1338015957b6cc89df6710d74ff9f1&itemIGO=oecd&itemContentType=book ②OECDの全体感と金融政策…
https://www.bundesbank.de/de/aufgaben/themen/finanzstabilitaetsbericht-918354 ドイツ連銀から今年分の金融安定報告書が発表され、有益なデータも見せてくれていましたので、そのエッセンスをまとめておきます。 今局面の特徴は、金利急上昇と不透明性の増大。 ドイツの金融システムはこれまでのところ金利上昇にうまく対処し、財務体質改善にうまく結びつけている。 今のうちに、自己資本と流動性を充実させ、特にサイバーリスクなどへの対応力をしっかり高めていって欲しい。 急速な金利上昇の影響が出てくるのはむしろこれからであり、リスクを過小評…
20231120 ドイツ連銀/経済省それぞれの月報のエッセンス
毎月この二つを読み合わせておけば、ドイツ経済の変調を見落とすことはないと思って続けているものです。 ①ドイツ連銀月報のエッセンス https://www.bundesbank.de/de/publikationen/berichte/monatsberichte/monatsbericht-november-2023-918674 10月インフレはエネルギー価格の低下(+前年からのベーシス効果)で急低下したが、今後数か月はさほど下がらない見込み(筆者注:一番下のグラフご参照)。 雇用は引き続き堅調、かつ大幅な賃上げ(昇給+インフレボーナス)が進行中で、実質賃金もプラスに転じてきたが、消費者は依…
①週次経済活動指数(WAI)~GDP前期比+0.3%ペースとまあまあ好調です。 https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex 実質GDPは仮にQ4ゼロ成長でも通年▲0.1%で着地できそうな走りとなっています。 ②インフレ(HICP)~10月はベーシス効果もあって前月比▲0.2%/前年同月比+3.0%と下振れましたが、恐らくここがボトムで今後しばらく反転上昇しそうな点には注意が必要です。 https://www.destatis.de/DE/Presse…
https://www.zeit.de/wirtschaft/energiemonitor-deutschland-gaspreis-spritpreis-energieversorgung ドイツにおける各種エネルギーの小売価格を日次ベースでモニタリングするには、上のZEIT紙特設サイトが最も便利なのですが、今朝ドイツ連邦統計局(DESTATIS)から公式統計データが発表されたのでそのエッセンスをお届けします。 www.destatis.de 【結論】家庭用エネルギー価格は最近落ち着いてはいるものの、2023年9月時点で2020年平均を+55.7%も上回っている(下図赤線)。 その内訳は、電…
https://www.bundesbank.de/de/publikationen/berichte/monatsberichte/monatsbericht-oktober-2023-912962 今月(2023年10月)のドイツ連銀(BUBA)月報のエッセンスは以下の通りです。 2023年第3四半期の実質GDPは前期比で若干マイナスとなる可能性が高い(筆者注:先月とほぼ同じ表現/評価、公式統計は10/30発表)。今月)Das reale Bruttoinlandsprodukt (BIP) dürfte im dritten Quartal 2023 etwas geschrumpft …
20231011 ドイツのHICP、12月の大幅反動増に注意
https://tradingeconomics.com/germany/harmonised-inflation-rate-mom ●ドイツのインフレ状況をフォローする上では、コロナで歪んでいるドイツ国内基準のCPIではなく、ECBが見ているEU統一ベースのHICPの前月比(上図)を見るのが最も重要です。 dateno.hatenablog.com ●9月の前月比+0.2%(冒頭図)と前年同月比+4.3%への低下(下図)は、まだまだ水準が高すぎるとは言え、低下モメンタムを維持しているという意味ではなかなかの朗報です。 ●但し、昨年冬は政府のエネルギー補助金(電気とガスの価格上限設定)などでイ…
https://tradingeconomics.com/germany/retail-sales-annual 先ほどドイツ連邦統計局から7月小売売上(ドイツの個人消費の約1/3、GDPの2割弱を占める)が発表され、実質ベース(インフレ分差し引き後)で前年同月比▲2.2%と、市場予想(▲1%前後)比かなり弱い内容となっていました(上図)。 名目ベース(薄赤)の伸びが最近頭打ちになり、6%超の水準からなかなか下がらないインフレに食われて(2線の差)実質ベースも(赤)軟調な推移となっています。 <HICP前年同月比は+6.4%と最近下げ渋っています。> <ECBのインフレ目標は年2%ですから、H…
コロナ完全終了で、航空旅客数は世界的に爆増(急回復)しているわけですが、 ドイツの航空旅客数(青)も同様に爆増(急回復)しています。景気低迷のあおりで低迷する航空貨物量(赤)とは対照的です。 ドイツ連邦統計局(DESTATIS)のデータによると、今年前半の航空関連料金の値上げ状況(前年同期比)は以下の通りとなっています: 国内航空運賃:+3.9% (CPIウェート:0.032%) 国際航空運賃:+24.9% (同:0.459%) うちアジア・オーストラリア:+42.5% 欧州:31.9% 南米:19.6% アフリカ:16.6% 国内パッケージ旅行:+14.5% (同:0.075%) 海外パッケ…
●ドイツHICP(EU共通ベース)とドイツCPI(国内ベース)のウェートの違い ドイツCPIの基準年(5年毎改定)は2020年なのでコロナ直後 ⇒水道光熱費はインフレ前なので過小評価 コロナによる需要減で、交通、娯楽、ホテル、レストランなどは過小評価 そのしわ寄せとして家賃が過大評価になっている HICPはウェートを毎年見直すので、現在の実勢に近い ⇒★経済の分析においては当面HICPを見るべき ●ユーロ圏(20カ国)とドイツのHICP(ユーロ圏の28%を占める)のウェートの違い ユーロ圏諸国の平均値と比べて、ドイツの家賃と交通費は高めで ドイツ人は食事の代わりに、余暇、娯楽にカネをかけている…
ECBから、2021年12月以降の一連の金融政策正常化のマクロ経済に対する影響の分析結果が発表されています。ECBがイメージしている利上げインパクトの規模感をつかむのに使えるので、そのエッセンスを簡単にまとめておきます。 www.ecb.europa.eu これまで実施されてきたECBの金融政策の正常化は、2023年から2025年にかけて実質GDPを大きく減速させ、インフレ率を相応に押し下げる。 今回の一連の金融政策正常化の影響はまだ十分に現れ切っておらず、今後の人々のインフレ期待の変化などにも左右される。 金融政策変更⇒イールドカーブ変化⇒マクロ経済への影響、というステップでモデルを使って分…
Inflationsrate im April 2023 bei +7,2 % - Statistisches Bundesamt (destatis.de) 先ほどドイツ4月インフレ(前月比+0.4%、前年同月比+7.2%)の品目別明細が発表されたので、私たちの日常生活で肌身に染みる食品価格の上がり具合を軽く調べてみました。 ●食品全体としては、コロナ前(3年前)から累計で3割程度値上がりしているわけですが、食品の品目別でこの1年特に大きく値上がりしているのは、以下4つです。 ①青:乳製品(前年同期比+34.8%)、②橙:パン・穀類(同+21.3%)、③灰:魚・魚介類(同+19.7%)、④黄…
https://www.bundesbank.de/resource/blob/906392/cfee7ae26ec263ab2b8d2b99b4dfc2f7/mL/2023-03-monatsbericht-data.pdf 本日ドイツ連銀月報(3月号)が公表されたので、その経済分析部分のポイントをざっと抽出しておきます。 3 月のドイツのCPI(3/30発表)はベース効果により大きく低下する可能性高いが、コアは高止まる見込み。 HICPの年次改定で、パッケージ旅行(1.2⇒3.5%)、レストラン(2.8⇒4.9%)、宿泊(0.8⇒1.8%)などでウェート上昇、家賃(11.3⇒7.3%)、エ…
20230317 ECB利上げに対するドイツメディアの報道ぶり
昨日ECBは前回予告通りの50bp利上げを断行しましたが、それに対するドイツ主要メディアの報道ぶりをご紹介します。 利上げ決定直前まで、CSがガダガタしていたのでどうするかが注目されていたが、ECBは以下の二つのメッセージを明確に示した。①予告通り、まずしっかりインフレ退治に取り組む方針であること(インフレはまだあまりにも高く、その放置による弊害~特に貧困層への打撃 ~の方がよほど心配)②万一の銀行危機の際には断固として対応できること(ユーロ圏の銀行には特段預金流出などは発生していない) 市場は「ほっとした」という反応で、株価は反発。但し欧銀株の反応はMIX。(CSと似たスキャンダル多きインベ…
Our monetary policy statement at a glance - March 2023 こちらの一般市民向け説明で超シンプルにエッセンスを説明しているのでまずこちらからいきます(1分で済みますので、毎回スタッフプロジェクションより先にこちらに目を通すことをお勧めします)。 ①本日0.5%利上げしたが、今後はデータ次第(フォワードガイダンスなし)。 ②インフレはまだしばらく高すぎ。 ③景気は思ったほど悪くないが、まだ脆い。 ④雇用は強く、賃金は上がっている。 ⑤GDP予想~直近の金融不安による影響は不透明(SVB破綻前に作成されている) ⑥インフレ予想~同上、12月予測比大…
20230309 新ユーロ圏におけるGDPとHICPの各国シェア
ユーロ圏メンバーが変わる(今年からクロアチア加盟で20カ国に)度に必要になる基礎作業を片付けました。お手元ご参考用です。 日米英中などと違って、ユーロ圏は複数の国の集合体なので、ユーロ圏各国のインフレ関連ニュースはHICPのウエートで、経済関連ニュースはGDPウェートで消化する、というのが基本動作です。 ちなみに余談ですが、HICPは消費支出のウェートに基づいているので、GDPとは少しずれています(イタリアは消費支出のシェアが大きく、アイルランドは小さい)。 実務上、イタリアのインフレはユーロ圏全体へのインパクトが気持ち大きいということだけ覚えておきましょう。
ドイツのCPIの基準年がこれまでの2015年から2020年に変更されており、本日その詳細が発表になりました。2020年はコロナの影響が最も大きく、かつインフレの襲来前だったので、2023年現在の実際のウェートとかなり異なります。 一方、ユーロ圏/ECBで使用するHICP(調和CPI)のウェートは毎年見直されていますので、足元の実態により近いと思われます。 実際以下の主要項目別ウェート推移をインフレでかさばった食費や、コロナ鎮静化で増えたお出かけ関連のウェートが上昇しています。 ECBはもともとそうしているのであまり大きな問題にはなりませんが、今年以降はドイツ固有のCPIよりHICPをより重視し…