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20240214 ドイツの貿易相手国トップ、米国が中国に肉薄
<2023年 ドイツ貿易相手国 ランキング> https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2024/02/PD24_056_51.html 今朝ドイツ連邦統計局から発表された2023年国別貿易統計速報(上リンク)を集計したところ、ドイツと中国の間の貿易額(輸出+輸入)は前年比▲15.5%と激減し、米国がほぼ同額(前年比+1.1%)でトップに肉薄していることが判明しました。 中国は8年連続でドイツの貿易相手国トップの座を守りましたが、今年は米国に抜かれる可能性が高くなっています。 トップ10の顔ぶれはほぼ同じですが、昨年11位の英国が…
https://www.bundesbank.de/resource/blob/844970/a5a1f26d59d1e1ef7c4f33786fada36b/mL/2024-01-china-data.pdf 本日発表されたドイツ連銀月報の中に、ドイツ経済の対中依存問題についての分析レポートが出ていましたので、そのポイントをご紹介します。 中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟して以来、ドイツは経済面で中国とますます緊密な関係を築き、中国経済の成長から大きな恩恵を受けてきた。 しかし、今やこうした相互依存関係に対するリスクが高まっている。 中国は現在、(バブル崩壊で)大きな経済問題に…
20230716 恒例の夏の首相記者会見についてのドイツメディアの報道ぶり
ドイツの首相が夏季休暇に入る前に毎年実施される夏の首相記者会見についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。ショルツ首相の政治スタイルが浮き彫りになっていてなかなか興味深いと思いましたのでご紹介します。 夏休みを前に、ショルツ首相は極力楽観的な発言に努め、終始明るく、上機嫌だった。 国民が将来に対して極力前向きになれるような語り方をするのは、彼の統治スタイルでもある。 しかしメディアの期待は今回あまり高くなく、会見開始時点で会場にはやや空席が目立った。 新対中戦略については、過剰な国家管理に対する企業の懸念を払拭しようと努めた。 冷静に見れば、ショルツ首相のこの2年はそれほど悪いものでは…
●ドイツ経済の現状について、とりあえずざっと確認されたい方はこちら: note.com ●ドイツニュースダイジェスト連載の「ビジネス塾」はこちら: note.com ●金融マーケット関連情報はこちら: note.com ●ドイツ銀行業界関連はこちら: note.com ●ドイツの対中依存度が気になる方はこちら: note.com ●世界的ニュースのドイツでの報道ぶりをまとめたのがこちら: note.com ●ドイツ関連の小ネタ・トピック類はこちら: note.com ●日独関連ビジネストークネタ(毎週末発信)はこちら: note.com ●ドイツ語学習関連はこちら: note.com ●ドイツ…
https://www.iwkoeln.de/presse/pressemitteilungen/christian-rusche-geldabfluesse-in-deutschland-so-hoch-wie-nie.html ドイツ経済研究所(IW、@ケルン、経営者団体系)の分析によると、直接投資におけるネット流出超が近年急拡大しており、ドイツの産業空洞化リスクが強く懸念されています。 対外直接投資(青線)、対内直接投資(橙線)、ネット(紺棒) 当該報告書のポイントは以下の通り: 2022年のドイツから海外へ直接投資ネット流出は約1,317億ドル(1,250億ユーロ)で過去最高を記録。 …
20230621 独中政府間協議についてのドイツメディアの報道ぶり
ベルリンで開催された独中政府間協議(2011年来7回目)についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。 ドイツとヨーロッパは、結局中国との強力な通商関係を必要としている。中国も経済面でヨーロッパを必要としている。最大のリスクは協力の欠如だ。 ドイツはさまざまなレベルで中国との協力関係を強化し、一緒に世界的課題の解決に取り組みたいと考えている。 基本的価値観の問題とはある程度切り離してでも、協力できるところは協力すべきである。 主要なCO2排出国としてドイツも中国も、特に気候変動問題では特別な責任を負っている。 SPD(筆頭与党)としては、中国といたずらに対立することを避けるため、敬意を払…
https://www.iwkoeln.de/presse/pressemitteilungen/juergen-matthes-bei-welchen-produkten-die-abhaengigkeit-besonders-gross-ist.html 本日、ケルン研(IW、経営者団体系)が最近のドイツの対中貿易を分析したレポートを発表していますので、以下そのエッセンスを抽出しておきます。 ●2022年のドイツの対中貿易:中国向け輸出(青)は3%しか増加しなかったが、輸入(赤)は34%も増加。その結果対中貿易赤字は凄まじく拡大。 dateno.hatenablog.com ●2023年第…
20230608 中国ドイツ商工会議所業況サーベイ結果について
Post-COVID Flash Survey.pdf 中国ドイツ商工会議所(AHK)から本日、「ポスト・コロナ臨時業況サーベイ」の結果が発表されましたので、そのエッセンスをご紹介します。 【全体的な印象】 ゼロコロナ政策終了で期待されていたほどの景気回復は実現していない。 地政学的な緊張がある上、当面の市場見通しが思わしくないので、中国に進出しているドイツ企業は将来についてやや悲観的。 ●状況が良くなるという企業と悪くなるという企業が両方同じくらい増加。 ●ここ数年の対中警戒の高まりとともに投資意欲は相応に低下も、引き続き高水準。 ●売上と利益の見通しは、前回調査比悪化。 ●投資を増やさない…
ドイツ経済基礎知識的なスライド(とお役立ちリンク)を集めて貼っておきます。タイトルだけざっと見て頂ければイメージがわくと思います。特にドイツ駐在ビジネスパーソン用お手元資料として少しでもお役に立つようなら幸甚です。 ★ドイツ経済の最近の状況(随時更新中)についてはこちらをご覧ください。 note.com <ドイツ駐在ビジネスマン向けコラム> www.newsdigest.de <日本語WIKI> ja.wikipedia.org <各種経済統計一覧> tradingeconomics.com こちらはドイツ連邦統計局のダッシュボード(ドイツ語) https://www.dashboard-de…
20230517 ドイツの対中直接投資残高:1,140億ユーロ(17兆円相当)
本日ケルン研(IW)よりドイツ企業の対中直接投資に関する分析レポートが発表されたので、そのエッセンスを抽出しておきます。 ドイツからの対中直接投資は2021年末時点で1026億ユーロ(対外直投全体に占めるシェアは7.2%)<ご参考:日本は2021年末、中国16兆円、香港4兆円>。 昨年は推計115億ユーロの追加投資があったため、2022年末時点での直投残高は1140億ユーロとなっているはず。 <対中直接投資年次フロー> この2年、毎年100億ユーロ超が対中直投に投下されているが、現地で上げた利益の再投資(上図黄土色部分)によるものが大半。近年は撤退(茶色部分:持分売却)も相応に出ている。 ドイ…
日独経済日記ではYouTubeでもドイツ経済についての各種解説動画を発信しています。 スライドはお手元資料としてお使い頂けるよう工夫してあります。 ドイツ経済を短時間で理解したい方は、是非こちらの動画をご活用ください。 ●ドイツ経済関連 youtu.be youtu.be ●ドイツ銀行業界関連 youtu.be youtu.be ●ドイツ駐在者用情報収集関連 youtu.be youtu.be ●ドイツ生活関連 youtu.be youtu.be
<Japanese> ドイツの今年第1四半期(1-3月)の実質GDP成長率は、前期比プラスゼロ(+0.047%)と意外に低調な結果に終わりました。昨年は第2、第4四半期と2回前期比マイナスとなっており、頻繁に前期比マイナスとなってしまうところは日本そっくりになってきました。これはドイツの潜在成長率が最近年1%以下に低下しているためです。日本の「0%台前半」よりはまだ遥かにマシですが、前期比プラス0.2%強という低水準が潜在成長ペースとなると、ちょっとした在庫減少でも簡単に前期比マイナスに転じてしまいます。 植田新総裁就任後初の日銀金融政策決定会合(4月28日)では、金利正常化にかなり慎重なトー…
20230421 ドイツ企業の対中直投に関する報告書のエッセンス
https://bdi.eu/#/artikel/news/gemeinsame-pressemitteilung-von-bertelsmann-stiftung-iw-merics-und-bdi ドイツ産業連盟(BDI)、ベルテルスマン財団、ドイツ経済研究所(IW)、メルカトル中国研究所が共同で、ドイツ企業の中国への直接投資とその利益還元についての報告書を発表しました。 そのエッセンスをざっとまとめると以下の通りです。 ドイツ企業の対中依存度は一般に思われているほど高いわけではない。 2017年から2021年の在中ドイツ企業からドイツへの利益還元は、年間70~110億EURの規模で、EU…
20230419 高まるインドの重要性についてのドイツメディアの報道ぶり
最近、ドイツで中国脅威論が台頭する中で、人口が同規模の大国インドと今後どうつきあっていくべきかについての議論もメディアでよく目にするようになってきました(上図は経済専門日刊紙ハンデルスブラットの線週末号表紙)。 ドイツメディアの報道ぶりは概ね以下の通りです。 中国の台頭が世界を激変させたのと同様に、これからはインドの台頭が世界をさらに変えていくことは間違いない。 直近IMF世界経済見通しの中では、世界の経済成長の約半分が中国とインドによって支えられている。 国連の計算によると、4月19日にインドは中国を抜いて世界で最も人口の多い国となった。 しかし、長年にわたりインドは中国と比べると「眠れる巨…
ドイツ経営者団体のシンクタンクであるIW(ケルン研)は、ドイツの対中直接投資がここ2年間過去最高規模になっていることに対して強い警鐘を鳴らしています。 www.iwkoeln.de 2022年のドイツ企業による対中投資は115億EUR(1.7兆円規模)と過去最高を記録。2021年も既に100億EURと高水準だった。 対中依存度の一層の高まりを示しており、これは大変危険な状況。 中国政府はゼロコロナ政策の間違いを取り戻すべく、ドイツ企業幹部に魅力的なオファーを提示してきている。 中国市場の成長見通しが魅力的なこともあり、多くのドイツ企業が喜んでこれに応じ、生産を中国に移してしまっている。 しかし…
<Japanese> 先週、日独政府間協議が初めて開催され、両国で大きく報道されました。平和で繁栄した世界の実現に向けて、日独間で具体的協力を推し進めるためのプラットフォームとなります。長年、ドイツにとってのアジアといえば日本ではなく中国でした。メルケル前首相は、中国を12回訪問したのに対して、日本はわずか6回でした。しかしショルツ首相は、最初のアジア訪問先に日本を選び、日本重視を鮮明にしました。コロナとウクライナ戦争をきっかけに、対中依存への危機感を強めた日独両国は、特に経済安全保障面での協力を深めるため、このショルツ首相訪日時に政府間協議開始で合意したのでした。 基本的価値観(民主主義、普…
20230321 日独政府間協議についてのドイツメディアの報道ぶり
先週18日に開催された日独首脳会談と、防衛・経済・金融・運輸・外務の主要閣僚による2国間協議を含めた初の日独政府間協議についてのドイツでの報道ぶりをご紹介します。(日本での報道ぶりとあまりズレてはいないと思いますが、念のため) 長年、ドイツにとってアジアといえば日本ではなく中国だった。(メルケル前首相の中国訪問12回に対して、日本訪問は6回) しかし、コロナとウクライナ戦争をきっかけに、対中依存への危機感を強めた日独両国は、経済安全保障を中心に協力を深めるため、前回ショルツ訪問訪日時(2022年4月)に政府間協議開始で合意した。 ショルツ首相は就任最初のアジア訪問先を日本に選び、日本重視を鮮明…
先ほどドイツ連邦統計局から1月貿易統計が発表され、輸出が前年同月比+8.6%と大きく回復(輸入は+5.2%)していたため、下図青線の通り、一時縮小継続が懸念されていた貿易黒字もぐっと持ち直してきました。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/03/PD23_083_51.html ifo輸出期待(青)、コンテナ物流量(赤)を見ると、この先どんどん伸びるという感じではないものの、大きく悪化することはなさそうです。 但し、対中依存度の一つの指標である対中貿易赤字は1月も拡大が続いていました。 <速報値ベース 1月分の比較…
リオープン後にコロナ患者激増で低迷していた中国のPMIが上図の通り最近急回復しており、中国経済の復活⇒世界経済へのサポートという期待が高まっています。 しかし、ドイツ連銀2月月報(残念ながらまだ英語版は出ていません)での中国経済分析によると、中国のコロナ感染が沈静化しても、以下2つの理由から中国経済が力強い回復軌道に戻るとは期待しない方が良い、と評価されています。 コロナ後、家計の状況が大きく悪化したままであること。長期トレンドから、可処分所得は▲9%、消費支出は▲14%下振れており、かつ回復モメンタムが感じられない(下図)。 不動産不況を克服するのが非常に難しいと思われること。 (上:可処分…