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20240417 ショルツ首相訪中についてのドイツメディアの報道ぶり
今回のショルツ首相2回目の訪中についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通り。 今回の訪中の主な目的は、①【最重要】ウクライナ問題への協力要請/ロシア支援阻止、②補助金で支援された輸出ダンピング(特にEVや再エネ関連)の阻止、③中国市場へのアクセス改善、④その他経済協力の可能性模索、⑤地政学的野心の牽制、⑥人権尊重要請など。 ショルツ首相は中国行きの政府専用機の中でイランによるイスラエル攻撃を知った。上記に中東和平への協力要請/イラン支援阻止が加わり、もともと複雑だった今回の訪中がさらに難しいものになった。 独中両首脳の会談は3時間20分にもわたったが、ウクライナ問題(平和会議への参加要請)や…
20230713 ドイツ新対中戦略閣議決定についてのドイツメディアの報道ぶり
https://www.tagesschau.de/china-strategie-bundesregierung-102.pdf ドイツ政府が本日閣議決定/発表した独自の対中戦略(①独中2国間関係、②ドイツとEUの連携強化、③国際協調の3つの観点から、約60ページで構成)についてのドイツメディアの報道ぶりは(今のところ)以下の通りです。 ショルツ首相:「この戦略は中国との協力の新たな枠組み。経済と気候変動に関する協力は継続する。但し過度の対中依存は要修正。」 ベアボック外相:「中国は変わった。私たちの対中政策も変えざるを得ない。」 中国がインド太平洋地域において人権を軽視し、国際法の原則に背…
ドイツ経営者団体のシンクタンクであるIW(ケルン研)は、ドイツの対中直接投資がここ2年間過去最高規模になっていることに対して強い警鐘を鳴らしています。 www.iwkoeln.de 2022年のドイツ企業による対中投資は115億EUR(1.7兆円規模)と過去最高を記録。2021年も既に100億EURと高水準だった。 対中依存度の一層の高まりを示しており、これは大変危険な状況。 中国政府はゼロコロナ政策の間違いを取り戻すべく、ドイツ企業幹部に魅力的なオファーを提示してきている。 中国市場の成長見通しが魅力的なこともあり、多くのドイツ企業が喜んでこれに応じ、生産を中国に移してしまっている。 しかし…
先ほどドイツ連邦統計局から1月貿易統計が発表され、輸出が前年同月比+8.6%と大きく回復(輸入は+5.2%)していたため、下図青線の通り、一時縮小継続が懸念されていた貿易黒字もぐっと持ち直してきました。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/03/PD23_083_51.html ifo輸出期待(青)、コンテナ物流量(赤)を見ると、この先どんどん伸びるという感じではないものの、大きく悪化することはなさそうです。 但し、対中依存度の一つの指標である対中貿易赤字は1月も拡大が続いていました。 <速報値ベース 1月分の比較…
リオープン後にコロナ患者激増で低迷していた中国のPMIが上図の通り最近急回復しており、中国経済の復活⇒世界経済へのサポートという期待が高まっています。 しかし、ドイツ連銀2月月報(残念ながらまだ英語版は出ていません)での中国経済分析によると、中国のコロナ感染が沈静化しても、以下2つの理由から中国経済が力強い回復軌道に戻るとは期待しない方が良い、と評価されています。 コロナ後、家計の状況が大きく悪化したままであること。長期トレンドから、可処分所得は▲9%、消費支出は▲14%下振れており、かつ回復モメンタムが感じられない(下図)。 不動産不況を克服するのが非常に難しいと思われること。 (上:可処分…
20230301 ドイツが輸入する太陽光発電機器の9割が中国製
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/03/PD23_N012_43.html 先ほどドイツ連邦統計局から、2022 年の太陽光発電機器(ソーラーパネル、周辺装置など)について、以下のような発表がありました。 全輸入金額は約36億ユーロ、そのうち中国が31億ユーロ(87%) 中国以外では、オランダ、台湾、マレーシア、ベトナム(規模小) ドイツでの生産も増えており、輸出も14億ユーロに達した 昨年のドイツの総電力量の12%が太陽光発電によって生み出されている 2045年のカーボンニュートラル(前倒し)実現を目指すドイツ…
20230211 ショルツ政権「Zeitenwende(ターニングポイント)」進捗状況
今週のWirtschaftswoche の特集記事(掲題)の内容をごく簡単にまとめておきます。非常に厳しい評価となっています。 ①戦争 ショルツ首相はプーチンのウクライナ侵攻前に外交でいろいろ奔走したものの、結局止められなかった。 ウクライナ戦争勃発後「ターニングポイント」宣言で、軍事積極方針に転換。 大きな予算はつけたもののうまく使われておらず、ウクライナへの武器提供の影響もあって、ドイツ国防軍の防衛力はボロボロの状態。 レオパルト2でブレークスルーを実現して好評のピストリウス新国防相の手腕に期待するしかない。 ずっと昔からEUは域内共通の外交と防衛の実現を目指しているが、全く機能していない…
(紺:輸入全体に占める中国の割合、灰:同輸出、黄:対中貿易赤字年額~10億EUR) ドイツ経済研究所 (IW、経営者団体傘下、@ケルン) の推計(公式統計は未発表)によると、ドイツの対中貿易赤字は昨年841億ユーロ(GDPの2%強)に急拡大し、これは中国への過度の依存であり台湾有事の際に極めて危険と警鐘を鳴らしています。 2021年に既に対中赤字は394 億ユーロに達しており、危険視されていましたが、昨年はその2倍を超える規模に急拡大しています。世界有数の輸出競争力を誇る輸出大国ドイツですらこのような赤字になってしまうわけですから、尋常な状況ではありません。 ちなみに日本の昨年の対中赤字は5.…
20230120 ドイツの対中戦略見直し、落としどころ見えず前途多難
こちら↓のリンクから無料入手できるドイツ取引所新聞年末特集号の中の、ドイツ対中戦略見直し関連の記事(P45)のエッセンスを(いつものように私なりの言葉にかみ砕いて)ご紹介します。 https://daten.boersen-zeitung.de/download_jsa.php?variant=bz 万一中国が台湾に侵攻すれば、ロシア同様の制裁発動により、ドイツが高度に依存している中国から、販売市場としても調達源としても一気に切り離される。 しかし、自動車(中国は最大の海外市場)、機械(年170億ドルを中国に輸出)、電機(スマート部品の7-8割を中国に依存)、化学(海外売上の半分が中国)といっ…
https://www.iwkoeln.de/fileadmin/user_upload/Studien/Report/PDF/2023/IW-Report_2023-Abh%C3%A4ngikeit-von-China.pdf ドイツ産業界のシンクタンクIW(@ケルン)から、ドイツ製造業の個別セクターの対中依存度を分析した興味深いデータが発表されています。調達(輸入)、販売(輸出)、雇用の3つの側面(評価が困難な直投は含まず)から分析したものです。 ポイントを以下簡潔にご紹介します。 ドイツ製造のサプライチェーン内における中間財調達の観点(最終財は除く)で見ると、 ・海外調達分中に占める中国…
<Japanese> ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、ドイツでも日本でも、企業の対中戦略が急ピッチで見直されています。今のように厳しい低成長環境下で、中国市場を自ら捨てる余裕など普通ありませんが、万一中国が台湾に侵攻すれば、ロシア同様の制裁発動により、販売市場としても調達源としても中国は一気に切り離されることになります。 あくまで私見ですが、企業の対中戦略見直しにおいては、①原材料・部品調達における中国依存をできるだけ引き下げる、②輸送ルートも含めて、サプライチェーンにおける中国リスクをできるだけ引き下げる、③中国での売上がなくなっても耐えられる財務体力を確保する、といった観点が最も重要な…
20230203 ドイツ経済の輸出・中国依存型ビジネスモデル、修正の方向性
掲題テーマに関するバイエルン州立銀行/調査会社Prognosの分析・提言のエッセンスを以下ご紹介します(メアド提供と引き換えにpdf入手可能)。 https://www.prognos.com/de/geschaeftsmodell-deutschland2023?mtm_campaign=GeschaeftsmodellDeutschland2023&mtm_content=button ●ウクライナ戦争、米中対立激化、パンデミックをきっかけに、グローバリゼーション逆流のリスクが高まっている。グローバリゼーションのメリットをフルに享受してきたドイツにとっては試練の時。 ●ドイツの財輸出はGD…