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僕はファンタジー作品が好きだが、好きなファンタジー作品には共通点がある。 それは、深い知識とその作者ならではの新しい要素がきちんと折り合って、奥深い世界観が構築されているかということである。 例えばファンタジーと言えば魔法であり、火の魔法、雷の魔法、水の魔法、いろいろある。 でも単にそういう魔法があるというのではなく、例えばそこに陰陽五行説の考え方を組み入れると、その魔法体系がいっきにリアルに感じられる。 火は水に弱い、水は土に弱い、土は木に弱いと、まあ、そんな感じだが、そうした考え方はおそらく世界中に共通するんじゃないかと思う。 熱に関しても物理法則に基づけば、 「龍が吐いた真っ赤な炎は周囲…
綾辻行人の館シリーズ第4弾。『人形館の殺人』は、京都の古い邸宅で起こる殺人事件を描いたミステリで、人形(マネキン)が作品のモチーフになっています。 シリーズの中でも異色として語られることの多い作品です。 『人形館の殺人』あらすじ 父親が遺し
書くことに定年はない。 70過ぎた方が新人賞を受賞することもあり、そういうニュースを聞くと大いに励みにも感じる。ぜんぜん焦る必要なんかなく、まだまだ時間はたっぷり残されているんだと思っている。 ただそういうこととは別に、やっぱり文学の歴史、いや、あらゆる分野において、新しいうねりを作っていくのは若者なんだと思う。 若い人の新しい感性、情熱が古くさい常識やら、固まり切ったしがらみを断ち切っていく。 そう言う意味で、僕は若い人の書く物語の方に興味がある。 興味というか、若い人には熱い物語を書いて欲しい。 激しい恋愛をし、友情を深め合い、理想に燃えて、挫折して、苦悩して、泣いて、笑って、怒って、叫ん…
「十角館の殺人」面白かった!久々に夜更かししても読み続けたい本に出会いました。作者・綾辻行人氏のデビュー作にして最高傑作との呼び声が高い傑作ミステリです。 ミステリ小説のネタバレ感想は無粋だと思うので、概略だけ。 『十角館の殺人』あらすじ
向田邦子はどんな本を読んでいたのか、どんな本が「向田邦子」を作ったのか。『向田邦子の本棚』は彼女が読んでいた本と本にまつわるエッセイです。 本読みの幸福 将来の夢は「本屋の女房」だと語るほど、本好きな幼少期を過ごした向田邦子さん。すぐに子供
書店まんが『書店員 波山個間子2』で紹介されていた棟方志功の自伝エッセイ『板極道』。 志功センセイの文は、上村松園や小村雪岱のように洗練されているわけでもなく、話は前後するし、言葉遣いは独特。正直、読みやすいとは言えない文章です。 (序文を
以前、好きな時代と書きたい時代は違うみたいな話をしましたが、それと同様に、書きたいジャンルと読みたいジャンルの違いということを書いてみたいと思います。 僕が書きたいものは何度も取り上げているように、人間の叫び声が文章の中から聞こえてくるんじゃないかっていうぐらいの物語です。 当然、そういう物語が好きで読みもしますが、読者の立場となると、実は一番好きなのはミステリーです。それも、少しホラーなりオカルト要素が入ったもの。そういうのが凄く好きです。 映画の方が皆さん分かると思いますので、映画で言うと「セブン」とか。「エクソシスト3」という映画があります。僕はあんまり続編は好まないんですが、これは「エ…
【小説の書き方について考える】いつまでも心の中に残り続けるもの
「ぐりとぐら」という絵本がある。 その中で、ぐりとぐらがリュックを背負い、大きなフライパンを持って森の中でパンケーキをつくるという話がある。 大きなボールに卵と牛乳と小麦粉を入れて、持ってきた大きなフライパンで焼き上げるのだ。 そうするといい匂いが森中に漂ってきて動物たちが集まってくる。 みんな、どんな美味しい食べ物ができるのかと期待しながら待っている。 ようやく出来上がったパンケーキ。 まっ黄色くて、フライパンからあふれんばかりにふっくらして。 僕は今でもその絵を鮮明に覚えている。 大人になって、美味しいパンケーキやホットケーキもたくさん食べたが、やっぱり僕の中では、あのパンケーキ以上のもの…
最近、お笑いにはまっている。 一時、内輪ネタばっかりで盛り上がる風潮に飽き飽きして、全く見なくなっていたが、嫁さんと娘が「有吉の壁」という番組が好きで、毎回見せられるたびにはまってしまった。 この番組の何がいいって、よくある順繰りに出てきてコントや漫才披露っていうのではなく、毎回ロケ場所を変えてそこにあるもので笑わせるという芸人の臨機応変さがみられるところや、コンビ間のコラボにより新しい魅力が出てくるところ、いろんな企画があってその芸人の意外な面白さを感じられるところだ。 みんな面白いけど、とりわけチョコレートプラネットやシソンヌ、ジャングルポケット、パンサー、友近さんなどは本当に面白い。 こ…
「(省略)ぼくはただ自分の根本思想を信じているだけです。それはつまり、人間は自然の法則によって二つの層に大別されるということです。つまり低い層(凡人)と、これは自分と同じような子供を生むことだけをしごとにしているいわば材料であり、それから本来の人間、つまり自分の環境の中で《新しい言葉》を発言する天分か才能をもっている人々です。それを更に細分すれば、むろんきりがありませんが、二つの層の特徴はかなりはっきりしています。第一の層、つまり生殖材料は、一般的に言うと、保守的で、行儀がよく、言われるままに生活し、服従するのが好きな人々です。ぼくに言わせれば、彼らは服従するのが義務なのです、だってそれが彼ら…
書きたい時代というのがある。 でも、それは好きな時代とは少し違う。 どういうことかというと、例えば僕は例にもれず戦国時代が好きだ。 特に信長に憧れる。 幕末も好きだ。 新選組、特に土方歳三の大ファンだ。 でも、その時代を舞台に書きたいとはあまり思わない。 まあ、その時代はすでにたくさんの作家が書いていて名作も多いし、いまさら僕が書いてもなという気が起こってしまう。 というわけではないが、僕が書きたい時代として一番にあがるのは奈良飛鳥、平安時代だ。 どういうわけかこの時代に憧れる。 なんというか、豪奢な平安貴族がいる一方で道端に腐った死体が転がっているような妙なアンバランス。統治能力がまったく感…
山崎拓巳:『お金のポケットが増える スゴイ!稼ぎ方』を読んで学んだ5つのポイント【セブンポケッツの考え方を学んで人生損なし】
山崎拓巳先生作『お金のポケットが増える スゴイ!稼ぎ方』という書籍を読みました。 本書から学んだことと私自身の体験談を含め重要だと思ったマインドをピックアップでご紹介いたします。
今日はカクヨムで書いている人にとって非常に関心の高い「注目の作品」コーナーへの掲載条件に関する考察をしてみたいと思います。 読者にとって唯一の導線といってもいい「注目の作品」コーナー。 ここに載る条件は、前日に★をもらうことというのが定説のようですが、カクヨムで1年ほど書いてきて、もう少し複雑な条件があるような気がしているので、今日は僕の仮説を述べてみたいと思います。 まず、カクヨムには通常のデスクトップ画面と、スマホアプリ用の画面があると思います。 通常の画面は、トップページにでかでかと注目の作品が11個並んでいるのは誰でも知っていると思います。とりわけ上の2つは大きいので相当インパクトあり…
昨日、ある方からこんなコメントを頂戴した。 ……世の中に山ほどあることから百個を選んでそのウチの一つを著者が面白そうだと思う。 世の中に山ほどあることから百個を選んでそのウチの一つを読者の一人が面白そうだと思う。 著者の面白そうと読者の面白そうが一致する確率は 1/100 X 1/100 = 1/10000 一万に一つ。…… 一万人いて一人にしか読まれないか。 だが、意外とそんなものかなと思った。 ベストセラーと呼ばれるものは、だいたい10万部くらいか。だが、それは宣伝の効果もかなりある。 大抵の新人作家の初版は5千部か、よほど大きいところなら1万部も刷るのか。 日本人の中で赤ちゃんや病気の方…
★★★ Excellent!!! カクヨムビギナーの必読エッセイ カクヨムビギナーでPVの少なさに落ち込み、カクヨム辞めようかなと思っている人がいたら(数日前の私です)、まずこのエッセイを読むことをお勧めします。 カクヨム歴長めの方も勇気付けられる内容かもしれませんね。 個人的には、たくさん勇気と知恵をいただきました。作者のぶんちくさんに心からお礼を言いたいです。 昨日、ある方(Kさん)から、こんなレビューをいただきました。 なんでこんなPV少ないんだ、やめようかな…… みんなそう思ったことあると思います。僕も初めてもらったMさんからの応援マークがなかったら、やめていたと思います。 人間はずっ…
【本】小川洋子『不時着する流星たち』~物語の世界で明滅する10の綺羅星たち~
1、作品の概要 『不時着する流星たち』は、小川洋子の短編小説集。 10編からなる。 2017年1月28日に刊行された。 単行本で252ページ。 『本の旅人』2016年2月号~11月号に掲載された。 実在の人物や起こったことなどがら着想を得た10編の物語。 2、あらすじ ①誘拐の女王 血の繋がらない17歳年上の姉。 彼女がいつも持ち歩いていた裁縫箱には、彼女がかつて誘拐されていた時に窮地を救ってくれた品々が詰まっていた。 ②散歩同盟会長への手紙 かつて有能な梱包係だった男。 精神療養施設の限定された世界を散歩する彼は、散歩同盟の会長への手紙を胸の内でつぶやく。 ③カタツムリの結婚式 遠く離れた孤…
目的? どういう意味? って思うかもしれませんね。 でも、これって物凄く大事です。 つまり、あなたは何のためにカクヨムで書いているんですかってことです。 読んでもらうために書いているに決まっているじゃないか! みんなそういうでしょうね。 じゃあ、何人に読んでもらえば満足するんですか? 百人のフォロワーがつけば満足しますか、それとも千人ですか。 一万PVまでいけば満足ですか、十万までいかないとダメですか。 ★が100あれば満足ですか、それとも300は欲しいですか。 それはとめどない欲望の海です。 どこまでいってもキリはありません。 仕事の合間に物語を書くのが好きなだけなので、誰かに読んでもらえた…
一般文芸書いている人がカクヨムで読まれたいというなら、まあ、これに尽きるでしょう。 その前に、一つ大事なことを言っておきます。 いい作品を書けば読んでくれるだろうなどという甘い幻想は捨てなさい。 カクヨムでは良い作品を書いたところで基盤がなければ全く読まれません。 唯一カクヨムで何もしなくても読まれる可能性があるのは、エロラブコメと妄想系異世界ものだけです。つまり妄想好きな中高生のハートをがっちり掴んだ作品だけがガンガン読まれます。だって、そういう人がユーザーの圧倒的多数を占めているんだから。 じゃあ、一般文芸作家が読まれるためにはどうすればいいか。 同じく読んで欲しいと思ってる作者同士が仲間…
【本】江國香織『がらくた』~あなたを所有したい。存在も不在もすべて。~
1、作品の概要 『がらくた』は江國香織の長編小説。 2007年5月22日に刊行された。 文庫本で352ページ。 島清恋愛文学賞受賞。 45歳の柊子と15歳の美海が、一人の男性への恋慕を募らせる。 2、あらすじ 45歳の翻訳家の柊子は、母親の桐子と海外でバカンス中に、美しい15歳の少女・美海と懇意になり、その父親ともディナーを共にする。 「遠くに行っておいで」挑戦的に言い放つ夫の言葉に導かれるように、美海の父親と性交する柊子。 日本に戻ったあと、美海と交流を続けていた柊子と桐子は、桐子の誕生日のディナーに美海を招待して、夫の原も同席する。 恋愛依存症の母と、2人暮らしの美海は学校では1人周囲から…
カクヨムを始めた直後は継続的に投稿した方がいいと以前に書いたと思うが、ストックがないならとにかく書くしかない。 ここで一つ忠告だが、いきなり長編を書くのはやめた方がいい。 長編は大変なエネルギーを要求されるし、読まれないときの心的ダメージは計り知れない。幸い僕はある程度読者を確保してから長編を書き始めたので、今連載中の長編はどれもフォローしてくれる人が結構いるが、これがフォロワー数0になって、PVまで0になったらさすがに心が折れると思う。小説なんて二度と書くかという気にすらなってしまうかもしれない。 そういうリスクがあるので、最初はとにかく短編を書くべきだ。 その際には、同題異話ということで、…
ponpoco『66歳、まずやってみる。人生を愉しむシンプル暮らし』は、世代を超えて学びを得られる一冊だ。
購入して母にプレゼントしようと思った。 読みおわったら貸してと前から言われていたのだが、僕の読んだ本は、例のごとく、気になったところをガシガシ折ってしまうのでなんとなく気恥ずかしいのである。 60代の女性の暮らし、というのは僕自身に直接当て
今日たまたま文芸ニュースを読んでいたら、芥川賞や直木賞作品よりも、本屋大賞受賞作品の方が圧倒的に売れるというような記事があって興味深く読んだ。 そもそも本屋大賞が創設されたきっかけの一つは、2002年に横山秀夫さんの書いた「半落ち」という作品が、圧倒的な読者支持を得ていたにも関わらず、直木賞を受賞することができなかったことらしい。横山さんは、この選考結果に納得がいかず、今後直木賞とは決別するとして大きな話題になったようだ。そして、同じくこの結果に納得できなかった書店員さんたちの思いが、本屋大賞を創ったそうだ。 本屋大賞が売れる理由は、自分たちが選んだ本だということで、当然、販売コーナーも目を引…
八咫烏シリーズ10巻『望月の烏』が刊行されました。以下、がっつり内容にふれるネタバレ考察です。そしてあくまで個人の感想ですのでお許しを。なるべくというか必ず『望月の烏』をお読みになってから御覧ください。澄生の正体 今回、澄生の正体が紫苑の宮
僕はカクヨムのユーザー層に対して一つの仮説を持っています。 カクヨムのユーザーは2種類に大別される。 書く人と書かないで読む人の2種類だ。 書く人というのは、それぞれいろいろな動機を持っているとは思うが、この連載で何度も取り上げているように、誰もが少なからず読まれたいという秘められた欲望を抱えている。 だから自分の作品を読んでくれる人、自分と交流している人の作品は読むが、そうでなければよほど自分にためになるか、共感できる作品でないと積極的に読むことは少ないんだろうと感じる。 もう一つのタイプ、すなわち書かないで読む人だが、僕はこの層の大半が10~30代だと感じる。 まあ、もっとぶっちゃけて言え…
「犬神家の一族」、皆さんも見たことはなくても聞いたことはあるでしょう。 この作品は何回もリメイクされいますが、もし見るなら、1976年の市川崑監督の作品が断トツでトップです。 自分でも小説まがいのものを書いていると、絶世の美女とか貫禄がある女性というのをイメージするときがありますが、絶世の美女は「犬神家の一族」の野々宮珠代こと島田陽子さん、貫禄ある女性は犬神松子こと高峰三枝子さんが真っ先に頭に浮かんできます。 それくらい、この映画のこの二人の存在感は圧倒的で、主人公の石坂浩二さんがかすんでしまうくらい素晴らしい演技だと思います。 島田陽子さんの美しさと言ったら、ほとんど空前絶後です。こんな人が…
今、執筆中の長編で僕の中で課題にしていることがある。それはキャラの個性を書き分けられるかということだ。 人にはいろいろな個性がある。 勇敢、賢い、優しい、元気、そういういわゆる誰からも好かれるような性格もあるが、頑固、臆病、ずる賢い、自分勝手、傲慢というようなどちらかと言えばマイナスの性格もある。 僕はこの長編で6人の少年少女をメインキャラとして扱っているが、この6人にも当然性格の違いがあり、その違いをしっかりと書き分けたいと思っているのだ。 さらに付け加えていけば、主人公と敵役というポジションすら無くしてしまいたい。どちらが正しくて、どちらが悪かということすら固定せずそれぞれのキャラたちを書…
【本】川上未映子『あこがれ』~誰しもが通り過ぎて失ってしまうかけがえのない記憶の残照~
1、作品の概要 『あこがれ』は川上未映子の長編小説。 『ミス・アイスサンドイッチ』『苺ジャムから苺をひけば』の2編が収録されている。 第一回渡辺淳一文学賞受賞。 麦彦とヘガティー、それぞれの視点で思春期直前の揺れ動く気持ちを描いた。 2、あらすじ ①ミス・アイスサンドイッチ 小学4年生の麦彦は、スーパーのサンドイッチ屋の店員、ミス・アイスサンドイッチのことがとても気になっていた。 彼女の大きな目もかっこいいと思っていたが、ある時クラスの女子がミス・アイスサンドイッチのことを整形を失敗した酷い顔と評しているのを聞いてショックを受ける。 仲良しのヘガティーにミス・アイスサンドイッチのことを話すと、…
三淵嘉子 日本法曹界に女性活躍の道を拓いた「トラママ」感想・レビュー
2024年朝ドラ「虎に翼」は女性初の弁護士となり、後に判事・家庭裁判所長となった三淵嘉子さんがモデルです。弁論好きで明るい彼女の性格は弁護士に向いていると言ってもよさそうです。朝ドラモデルになったせいか、関連本がいくつか出版されています。その中の一冊の感想・レビューをお伝えします。ドラマ予習に最適な本です。
長編をどこで終わらせるかということは、いろいろ議論があるだろう。 ちゃんと終わりを見据えているのであれば何も問題ないが、マンネリになってしまうことも少なくない。 たとえば、北斗の拳という漫画がある。 あくまでも僕個人の意見だが、あれはやっぱりラオウの死で終わった方が良かったのではないかと思う。 カイオウ編がだめだと言うのではない。ただ、ラオウの死までがあまりに完璧すぎて、そこで終わればまさに伝説となっただろうなと思うのだ。 だがそんなことを思いつつ、カイオウ編が始まったとき、まだ続くんだと喜んだ記憶も自分の中には確かにあったのだ。 つまり僕の言っていることは、全部終わったあとにあそこで終わって…
今、僕が書いている物語は群像劇的な性格を持たせている。 メインキャラは確かにいるのだが、そのキャラの視点だけでない別なキャラの視点での世界観を描きたいと思っているからだ。 だがそういう群像劇を成立させるためには、主人公以外のキャラにもメインキャラに匹敵するくらいの存在感と存在理由を与える必要がある。 そういう書き方はある意味でかなり難しい作法であることは確かだと思う。 一人の人生を書くのですら大変なのに、複数の人間のドラマを並行的に書かなければならないのだから。だが上手くいけば、それぞれのキャラが一つの楽器のように音を奏ではじめ、まさにオーケストラのような重奏的な調べを生み出し始める。 複数の…
小説のネタというのは至る所に転がっているが、やはり自分が経験したことが一番リアルに書きやすい。 でも、そんな小説のネタになるような体験なんてしてないしなあという人がいるかもしれないが、それは物事を表層的にしか見ないからそういう発想になるんだと思う。 以前、自分の恋愛体験をもとに女は謎だというテーマのエッセイを書いたが、意外と好評だったようで、男は謎だという逆パターンを書かれた書き手さんもいた。やはり恋愛ものは多かれ少なかれ万人が興味を持つテーマだと思うし、男と女が織りなす最高の駆け引きであり、人間ドラマの縮図だと思う。どんな恋愛だって、そこには人と人との心の交錯があり、ネタにならないはずがない…
国破れて山河在り 城春しろはるにして草木深し 時に感じて花にも涙を濺そそぎ 別れを恨んで鳥にも心を驚かす 峰火ほうか三月に連なり 家書萬金ばんきんに抵あたる 白頭はくとう掻かいて更に短かし 渾すべて簪しんに勝たえざらんと欲す 引用:『春望』(作:杜甫) この有名な詩は中学の時、僕が初めて学んだものであり、いまだに最も心惹かれる漢詩です。 戦により荒廃した街並み、しかし山や川は何も変わらぬようにそこにあり、春を前に草花もいよいよ深く生い茂っている。 戦争を知らない僕ですら、ありありとその情景を感じられ、おそらく戦争に負けて帰ってきた日本兵も、焼け野原と化した故郷とともに変わらぬ姿で聳える山々や、…
今日も聖書ネタから。 僕が聖書に興味を持ち始めた最初のきっかけは、たぶん20世紀の終わりのころだったと思います。その頃、世界が滅びるとかそんな本がたくさん出てましたが(ノストラダムスの大予言とか日本沈没とか)、その中に聖書の黙示録があったのです。 僕は黙示録の世界に引き込まれました。 七つのラッパを吹く天使、四人の騎士、龍(サタン)、666の獣、バビロンの大淫婦、新しい天と地…… 最初は、こうした謎めいた言葉や世界観に引き込まれましたが、今は、まさに現代と黙示録の世界との対比という視点で関心が深まっています。 四人の騎士がというものがいます。 黙示録には、こう書かれています。 「小羊がその七つ…
マイク・マクマナス:『あなたの人生の源はワクワクすることにある』を読んでワクワクの秘訣を5つ学んだ【楽しく生きる!】
マイク・マクマナス先生作『あなたの人生の源はワクワクすることにある』という書籍を読みました。 本書から学んだことと私自身の体験談を含め重要だと思ったマインドをピックアップでご紹介いたします。
聖書は面白い話の宝庫なので、今日も少し取り上げてみたいと思います。 創世記にカインとアベルという兄弟が出てきます。この二人はエデンを追放されたアダムとイブが生んだ最初の子どもたちです。 このうちカインは畑を耕し、アベルは羊を飼うものとなります。ところが神はアベルの捧げものは受け取ったのにカインの捧げものには見向きもしません。これに腹を立てたカインは野原にアベルを呼び出して、殺してしまいます。 そして神が「アベルはどこにいるか?」とカインに尋ねると、カインは「知りません。私は弟の見張り番なのですか」と神に対して嘘をつきます。 神はこの罪に対して、カインを荒れ野に追放するのです。 つまりカインは人…
昨年の10月から始めた取り組みも気がつけば半年が経過していた。 何事も継続してみるものである。(絶対挫折すると思っていた) 読んだ本を記録することは、半分は自分自身のためなのだが、 何か本を読んでみようかな、でもどんな本を読めば良いのかなと
2024年も3ヶ月終わってしまいました単調な日々を過ごしていると1年てあっという間です動画のサブスクを契約しましたが、見たのは最初だけやっぱり動画より本や漫画のほうが好きです BUTTERposted with ヨメレバ柚木 麻子 新潮社
僕は別にキリスト教信者でもないし、聖書に造詣があるわけでもありませんが、意外と僕の書く作品には聖書を題材にしたものが多いです。 僕が聖書に惹かれるのは神と呼ばれる存在にあまりに理不尽な点が多いことと、それに振り回される人間たちのドラマが物凄く魅力的だからです。 例えば、アブラハムという人がいます。 アブラハムはいわばユダヤ人の始祖みたいな人で、神はアブラハムに約束の地を与え、お前の子孫を星の数ほど増やそうと言われた。 ところがそう言っているにも関わらず、神はアブラハムに試練を与えます。 ある日、神の声が聞こえて、大事な一人息子のイサクを神への捧げものとして、燔祭(いけにえの動物を祭壇上で焼き殺…
今、書き終わった作品の推敲に時間をかけているのですが本当に難しいです。改めて見ると、だめなところがたくさんありすぎて嫌になります。 今日はどういうところが駄目なのか、少し一般化してご紹介したいと思います。 その一 接続詞が多すぎる これはついつい使っちゃんですが、文芸作品として見たときにほんと余計。「そして」なんて、相当省きました。 結局、話し言葉の感覚で地の文で書いちゃうから、なんとなく書いちゃうんですが、改めて見ると邪魔な感じが物凄くあります。 その二 意味の分からない喩えを使っている 作家マニュアルには陳腐な形容詞を使うななどとありますけど、それを真に受けて、意味不明な喩えをすると読みに…
小説を書くときにWeb向けと紙向けとでは全然違います。 特に横書きと縦書きの差というのは歴然としてあります。 このことについても少し旧エッセイに書いたのでご紹介します。 最近、書き方を紙向けの仕様に戻している。 一時、WEBで読みやすいように敢えて間隔をあけたり、段落を早めに変えたりしたが、やめた。 なので皆さんが僕の作品を見たときに、うわっ、字いっぱいで見ずらいっていう方もいるだろう。でもまあ、それは勘弁してくださいという言うほかはない。 いずれどこかの新人賞に出そうするならば、やはり縦書きの作品として形になるような体裁を取りたいと思うし、そういう表現にしたいと思っているからだ。 もちろんW…
昨日女性キャラのことを書いたので、今日は魅力的な脇役について考えてみます。 面白いエンタメ小説の鉄則として、主人公と同じくらい、いや、それ以上に魅力的な脇役が存在するというのがあります。 漫画の方が分かりやすいので適当に並べてみますが、 『機動戦士ガンダム』の赤い彗星のシャア『北斗の拳』の世紀末覇者ラオウ『ジョジョの奇妙な冒険』の悪の帝王ディオ『進撃の巨人』の人類最強の兵士リヴァイ 僕がちょっと思いついただけでもこれだけ出てきますが、皆さんの中にも、いやあいつだ! こいつもいるぞ! と百家争鳴、山のように出てくるでしょう。 ルパン三世などはルパンの魅力もさることながら、次元大介、石川五右衛門、…
昨日女性のことを書いたので、関連して、女性キャラの書き方について考えてみたいと思います。 僕は男です。 当然、女性の心理などはまったく分かりません。 女性の心理が分かっていたら、あんなにふられることもなかったろうな……そんなことはどうでもいい。 とにかく、僕は男なので女性キャラを書くのにいつも難しさを感じます。 長編では、だいたいヒロイン的なキャラを配置することが多いのですが、それは、人生において男と女の関係というものは切っても切れないし、それが抜け落ちたものは人間ドラマとして完全ではないと思っているからです。 まあ、常に恋愛に発展させるわけではありませんが、男として、女としての感情はなるべく…
なぜこれほどまでに本に惹かれるのだろうか。おそらく僕にとっての刺激なのだ。 読書は、ジェットコースターのような強烈な刺激ではなく、マッサージされているような、心地よいじんわりとする刺激だ。 僕は、本を求めて旅をする。旅と読書は相性が良いと思
皆さんは、どういう方に読んでもらおうとして書いているでしょうか。 これは意識してない人もいるかもしれませんが、実は、うっすらとは心の中にあるはずだと思うのです。 女性、男性、学生、中年、エロい人、妄想好きなWeb住民…… 僕が最初想定していたのは若者でした。 僕が書くのはほとんどが人生ドラマであり、その中で一番言いたいのは、夢や希望を持って欲しい、困難なことであっても挑戦する気概を忘れて欲しくない、生きることはやっぱり素晴らしいんだということをまさに現代の若者たちにぶつけたいと思っているからです。 ただ、カクヨムで書き始めてから感じてきたのは、意外と女性の方が読んでくれているような気がするので…
【離職率の高い職場について】上村紀夫:「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」より人手不足の3つの理由を学んだ【人手不足の深刻化】
上村紀夫先生作『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?』という書籍を読みました。 本書から学んだことと私自身の体験談を含め重要だと思ったマインドをピックアップでご紹介いたします。
コロナ渦で旅行に行けない今だからこそ、じっくりと読んでおきたいのが森井ユカさんの『旅のアイデアノート』です。旅のアイデアがもりだくさんで、外に出れないモヤモヤを準備期間のワクワクに変えてしまいましょう。
僕は、常に何かにはまってないとだめなタイプで、しかも、はまった以上は結構突き詰めるまで頑張るタイプなんです。 学生時代はギター、麻雀、そして狂ったようにビリヤードにはまりましたし、仕事についてからは、サッカー、マラソン、そして今はまっているのが小説を書くことなんです。 そして、自分がはまったこと全てに共通するのは、自分が納得するまでとことんやるってことなんです。負けたからとか、上手くできないとか、そういう理由では辞めない。とにかく、頑張って練習する。 そうしているうちに、自分の器が見えてくるんですよね。 自分はこのくらいかなと。 そこまでたどり着いて、ようやく納得するんです。まあ、このくらいで…