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今日の卦辞:兌爲沢 兌/兌 兌爲沢 兌。亨。利貞。 兌は亨る。貞しきに利あり。 上卦、下卦、いずれも兌(沢)。 兌とは「喜び」です。 剛爻二本の上に柔爻が乗っています。 内側に強いものを保ち、外側には柔らかな態度を示す。 喜びが外に表れていると、周囲にいる人たちは喜びますね。 沢が二つ重なると、互いに潤し合います。 暮らしであれば、心が通い合う形。 学友であれば、互いに向上するため助け合う姿。 社会と個人の間でも、自分だけが得るようなことはしない振る舞いを象徴します。 喜び、潤し合う、そんな意味の卦です。 易経と新井白蛾の「易学小筌」にある兌爲沢の卦辞は以下の記事もご参照ください。 ekili…
大きな問題を噛み砕いて、いくつかの小さな問題に変えるのも一手 火雷噬嗑【易暮し】
震(雷)卦が二つ重なっています。遠くで大きな雷鳴が轟きます。それに人々が驚く様子。そして、天の怒りを恐れ、身の回りを整えたりします。その驚きが落ち着けば、むしろ大丈夫だったことに安心して、笑みがこぼれます。 このように遠くで大きな雷鳴が轟いた時は、自分の身を引き締めるよい機会。まさに今がそのような時ではないでしょうか。
Kindleで出版している本の増補版とペーパーバック版を作成していました 先週やっていたこと
こんにちは、暖淡堂です。 先週は「暖淡堂書房」で出版しているKindle本関連の作業をしていました。 易経(周易)を江戸時代の儒学者新井白蛾が解説した「易学小筌」の現代語訳を出版していて、多くの方に読んでいただけています。 今回、その増補版をまず作成しました。 で、増補版と一緒に、ずっと作ろうと思っていたペーパーバック版も作成しました。 増補版は、原稿と表紙のデータの差し替えでよいのですが、ペーパーバック版はちょっと追加で作業が必要になります。 まずペーパーバック版の判型を決めます。 その次に、判型のサイズに合わせて原稿データを修正します。 縦と横の長さ、マージン(余白)などを設定して、PDF…
震(雷)卦が二つ重なっています。遠くで大きな雷鳴が轟きます。それに人々が驚く様子。そして、天の怒りを恐れ、身の回りを整えたりします。その驚きが落ち着けば、むしろ大丈夫だったことに安心して、笑みがこぼれます。 このように遠くで大きな雷鳴が轟いた時は、自分の身を引き締めるよい機会。まさに今がそのような時ではないでしょうか。
震(雷)卦が二つ重なっています。遠くで大きな雷鳴が轟きます。それに人々が驚く様子。そして、天の怒りを恐れ、身の回りを整えたりします。その驚きが落ち着けば、むしろ大丈夫だったことに安心して、笑みがこぼれます。 このように遠くで大きな雷鳴が轟いた時は、自分の身を引き締めるよい機会。まさに今がそのような時ではないでしょうか。
余るところを減らし、不足しているところに加える 地山謙【易暮し】
今日の卦辞:地山謙 坤/艮 地山謙 謙亨。君子有終。 謙は、亨る。君子に終わりあり。 地上に聳えているはずの山が地よりも低くなっています。 謙譲の形、謙虚である姿。 へりくだった態度など、ですね。 新井白蛾は「先に屈んで後に伸びる」卦だといいます。 今は苦労していることも、後には良い結果が得られます。 この卦の彖伝に以下のように書かれています。 天道虧盈而益謙、地道變盈而流謙、鬼神害盈而福謙、人道惡盈而好謙。 天道は盈みちたものを虧かき謙を益し、地道は盈ちたものを變かえ謙に流しき、鬼神は盈ちたものを害し謙を福さいわいし、人道は盈ちたものを惡にくみ謙を好む。 「謙」を守ることで、天、地、鬼(先祖…
手放せば得られるもの 動くことで安定するもの 天山遯【易暮し】
今日の卦辞:天山遯 乾/艮 天山遯 遯。亨。小利貞。 遯は、亨る。小、貞しきに利あり。 上卦が乾(天)、下卦が艮(山)。 山はいくら高くなっても天を越えることはできません。 卦の形、下に陰爻が二本。 小さいものが育ってきている形です。 そして大きなものが追い出される様子。 そのような状況からは、自分から身を引くのがよいでしょう。 小さいものが大きなものを追い出そうとしているとき。 力の無いものが無理に力を入れているので加減ができないかもしれません。 無駄な事故を避けるためにも、自分からそっと譲るのが世の中にとってもよいことかもしれません。 場所を得た小さいものが、多少穏やかならぬことをしていて…
今日の卦辞:風沢中孚 巽/兌 風沢中孚 中孚。豚魚吉。利渉大川。利貞。 中孚は、豚魚にして吉。大川を渉るに利あり。貞しきに利あり。 上卦の巽は木舟、下卦兌は大川のイメージ。 小さな小舟で大きな川に漕ぎ出す様子。 身構えることなく柔らかな態度で、笑顔を浮かべながら旅立ちます。 巽は風でもあります。 柔らかな風が川面を渡る形。 身軽に旅立つこと。 そのときに、自分の在り方を守ること。 正しい在り方であること。 そうすることで願いが叶います。 易経と新井白蛾の「易学小筌」にある風沢中孚の卦辞は以下の記事もご参照ください。 ekilife.hatenadiary.com 風沢中孚の原文全文は以下の記事…
今日の卦辞:雷山小過 震/艮 雷山小過 小過。亨。利貞。可小事不可大事。飛鳥遺之音。不宜上宜下。大吉。 小過は、亨る。貞しきに利あり。小事に可にして大事に不可なり。飛鳥はこれ音を遺す。上るに宜しからずして下るに宜し。大いに吉。 三爻と四爻が陽爻、その上下に陰爻が並んだ形。 胴体にしなやかな羽がついているように見えます。 それで鳥のイメージになります。 飛ぶ鳥が声を残します。 上るのは自然に逆らう方向。 下るのは自然の流れ。 今は、下ることで大いに吉が得られます。 無理に高い位置に登ろうとしているのを止めるべきとき。 下ることで本来の自分が得られることを象徴しています。 易経と新井白蛾の「易学小…
今日の卦辞:風沢中孚 巽/兌 風沢中孚 中孚。豚魚吉。利渉大川。利貞。 中孚は、豚魚にして吉。大川を渉るに利あり。貞しきに利あり。 上卦が巽で柔らかな態度、下卦が兌で喜び従う様子。 国を導く者が穏やかな政治を行うと、人々は喜んで日々の暮らしを送ることができる。 そんな様子を象徴しています。 また巽は木の舟、兌は大きな川。 小さくて荷物もほとんど積まれていない木舟で、大河に乗り出す様子でもあります。 それでも、正しい心で進むのであれば吉。 願いが叶います。 易経と新井白蛾の「易学小筌」にある風沢中孚の卦辞は以下の記事もご参照ください。 ekilife.hatenadiary.com 風沢中孚の原…
今日の卦辞:風地観 巽/坤 風地観 観。盥而不薦。有孚顒若。 観は、盥して薦めず、孚あって顒若たり。 今回は三爻が変爻でした。 六三。観我生進退。 象曰、観我生進退、未失道也。 「我が生を観て進退す」 自分の生き様を観て進退を決める、という意味ですね。 自分自身の在り方を見つめ直して、今後の進むべき方向を見定める時期になっているようです。 ここまでは自分のあるべき在り方から外れてはいません。 今後も、本来の自分の在り方を守っていくべき。 そうすることが求められています。 上卦の巽は柔らかな態度、下卦の坤もまた柔らかで、物事を大きく受け止める在り方。 今、急激で大きな変化をしてはいけません。 穏…
今日の卦辞:風山漸 巽/艮 風山漸 漸。女歸吉。利貞。 漸は、女歸(とつ)ぐに吉。貞しきに利あり。 上卦巽は木、下卦艮は山。 山の上に木が育っている様子ですね。 そして、木々の育ちはゆっくりです。 特に冬の間は、成長が止まっているようにも見えます。 それでも、じわりじわりと大きくなっていますね。 やがて春になって暖かくなると、その勢いを増します。 内卦の艮は止まる、外卦の巽は柔らかな態度。 足を止めて、柔軟に振る舞う。 それは、困難さが理由で立ち止まったのではなく、状況を確認して、時宜に合わせた行動を取るため。 やがてゆっくりと進み始めます。 そして、そのときには願いが叶います。 急がず、慌て…
今日の卦辞:火水未済 離/坎 火水未済 未済。亨。小狐汔済。濡其尾。无攸利。 未済は亨る。小狐汔(ほと)んど済(わた)らんとす。その尾を濡らす。利するところなし。 陽爻が陰位、陰爻が陽位にあります。 少しずつ進むと出来上がる状態ですが、その一歩手前にあります。 小さな狐が川を渡ろうとしているのですが、渡り切る前に尾を濡らしてしまう。 まだまだ物事の完成には至っていない。 そんなことを意味している卦です。 易経と新井白蛾の「易学小筌」にある火水未済の卦辞は以下の記事もご参照ください。 ekilife.hatenadiary.com 今日の暮らしのヒント 物事はまだ出来上がっていません。 成長の途…
今日の卦辞:風火家人 巽/離 風火家人 家人。利女貞。 家人は、女の貞しきに利あり。 離は火、知性、巽は風、しなやかな態度。 内側に明晰さを持ちながら、外側には柔軟な態度を示す。 そんな姿です。 父は父として、母は母として、子は子として。 それぞれのあるべきあり方をすること。 それが家の平和であり、世の中の平和の基礎になっているもの。 世の中の不穏さは、その多くが家庭における混乱が原因になっているかもしれません。 易経と新井白蛾の「易学小筌」にある風火家人の卦辞は以下の記事もご参照ください。 ekilife.hatenadiary.com 今日の暮らしのヒント 自分の夢や希望を叶えるための基盤…
今日の卦辞:風山漸 巽/艮 風山漸 漸。女歸吉。利貞。 漸は、女歸(とつ)ぐに吉。貞しきに利あり。 巽は木、艮は山。 山に木が育つのには時間がかかります。 じわりじわりと育ち続けて、やがて山を緑で覆います。 巽はしなやかさ、艮は止まること。 一歩一歩、確かめながら進んでいる様子でもあります。 その際には、外側に柔らかさを示すこと。 自分の在り方を守り、やるべきことを少しずつ行っていくようにすることで吉。 そんなことが求められています。 易経と新井白蛾の「易学小筌」にある風山漸の卦辞は以下の記事もご参照ください。 ekilife.hatenadiary.com 今日の暮らしのヒント 結婚するため…
今の困難さは必ず解消される 口先での言い繕いは不要 沢水困【易暮し】
今日の卦辞:沢水困 兌/坎 沢水困 困。亨。大人吉无咎。有言不信。 困は、亨る。大人吉にして咎なし。言うことあるも信じられず。 兌は沢、坎は水。 沢の下を水が流れている形。 涸れた沢の下に伏流水の水脈があるような様子ですね。 表面的には動いていませんが、目に見えないところでは冷たく清らかなものが動き続けています。 この水は、本来あるべき動き方をしています。 そしてやがて現れるべきところに現れます。 今はそれが現れるのを待つ時。 それは必ず願いが叶う形での現れ方になります。 不安になって、あれこれと言い募る必要はありません。 言葉は控えめに、静かに過ごしましょう。 易経と新井白蛾の「易学小筌」に…
日々の出来事を料理する 暮らしの味わいを変えるスパイスを見つける 火風鼎【易暮し】
今日の卦辞:火風鼎 離/巽 火風鼎 鼎。元亨。 鼎は、元いに亨る。 鼎(かなえ)は足のついた鍋のようなものです。 それを使って食物を煮炊きします。 以下の記事のイラストをご参照ください。 東京の国立博物館に行くと、いくつか例を見ることができます。 ekilife.hatenadiary.com 卦の形は上卦が離(火)で下卦が巽(風)。 巽は木の意味もあります。 火に木を焚べる様子。 また、卦の形が鼎に似ています。 食物を煮炊きして、硬いものを柔らかくして食べやすくする、消化されやすくする。 そこから火風鼎は物事を処理して解決する、改革する、改めるという意味を持ちます。 日々の出来事を、じっくり…
今日の卦辞:火水未済 離/坎 火水未済 未済。亨。小狐汔済。濡其尾。无攸利。 未済は亨る。小狐汔(ほと)んど済(わた)らんとす。その尾を濡らす。利するところなし。 陽爻が陰位、陰爻が陽位にあります。 すべての爻があるべき位置にない。 未完成の形です。 ただ、並び合ったそれぞれは、互いに助け合う用意ができています。 すべてが一斉に一歩踏み出すことで完成します。 その時機を待っているとき。 もう一息。 今はもう少し待つべき。 諦めるには早いです。 易経と新井白蛾の「易学小筌」にある火水未済の卦辞は以下の記事もご参照ください。 ekilife.hatenadiary.com 今日の暮らしのヒント こ…
今日の卦辞:地雷復 坤/震 地雷復 復。享。出入无疾。朋來无咎。反復其道。七日來復。利有攸往。 復は、亨る。出入疾なし。朋來りて咎なし。その道を反復す。七日にして來り復す。往くところあるに利あり。 陰爻が重なっている一番下に陽爻が生じたような形。 外卦が坤(地)で内卦が震(雷)。 力強い動きが内側から生じてきますが、世間との関係は従順。 生じた陽爻による暖かさ、強さのようなものも、世間との接触ではぶつかることなくしなやかに広がる様。 これまで暗い冬に耐えてきたものが、これからゆっくりと伸びていく姿ですね。 それが天行の巡り。 自然な四季の移り変わりのようなもの。 伸び切ったものは縮み、縮み切っ…
今日の卦辞:天風姤 乾/巽 天風姤 姤。女壯。勿用取女。 姤は、女壯(さかん)なり。女を取(めと)るに用いる勿れ。 陽爻が重なっているところの一番下に陰爻が現れます。 異性の人がポンと顔を出す形。 この異性の人は性別などにこだわらずに、自分の力を発揮します。 このようにして現れた人は、仕事上の良き協力者、協働者となるでしょうね。 そのような存在を大切にせよ、というメッセージでしょう。 乾(天)の下に巽(風)。 天下に風が広く柔らかく吹き渡る形。 自分の思いや存在を、広く知ってもらう好機です。 易経と新井白蛾の「易学小筌」にある天風姤の卦辞は以下の記事もご参照ください。 ekilife.hate…
今日の卦辞:離爲火 離/離 離爲火 離。利貞。亨。畜牝牛。吉。 離は、貞しきに利あり。亨る。牝牛を畜(やしな)う。吉。 離は交わる、つく(付く)という意味。 現代の日本語では離れるという意味で使われることが多いので、ちょっと戸惑うかもしれません。 時代と共に、また国境を越えることで、意味が変わったのでしょうね。 英語の「of」とか「from」または「on」くらいの意味かなとも思います。 で、離はつく。 これが二つ重なっています。 人の行いは天につくのがよく、人の在り方は地につくのがよい。 天行に従うべきでしょう、そして大地に足を下ろすべきでしょう。 その際に、明智を守っていること。 明徳である…
今日の卦辞:雷天大壮 震/乾 大壮。利貞。 大壮は、貞しきに利あり。 震(雷)が乾(天)の上にあります。 力強い動きで天に昇りゆく形。 大いに壮(さか)んであるという状況。 強者の姿です。 そのような時は、多くの人から見られています。 もし礼を欠くような振る舞いをしてしまえば、たとえ力があっても人々から信用されません。 上部だけで従う人だけが自分の周りに集まって、本当の力は発揮できなくなります。 礼を欠いた人を中心とした集まりは、皆目先の利益を求めているだけです。 力のある時こそ礼にかなった振る舞いをするべき。 礼こそが強者の振る舞いです。 易経と新井白蛾の「易学小筌」にある雷天大壮の卦辞は以…
山は高すぎると不安定になります。まして、柔らかいものだけで支えられると、一層不確かです。身体に例えると、柔軟さを欠いた硬いものが、身体のどこかに凝り固まっている状態。それを剥ぎ取るようにしてほぐすのがいいですね。
困難な状況は解ける 残った問題は早く片付けると功績となる 雷水解【易暮し】
これまで苦労していたこと、心配していたこと、辛かったこと、それらが解消します。そして、自分自身には力が宿ってきていることに気が付きます。困難さは解消します。また、問題が残っていたら、それを片付けると吉。そのことは功績として人々から認められるでしょう。苦労が報われるときです。
努力をしていても、なかなか自分の思い通りに結果がでないもの。そんな時は焦らずに時を待つのが大切ですね。子供はこんな状況では、待ちきれずにウロウロとしはじめ、やがて迷子になってしまいます。やることはやった。あとは待つだけ。そんな状況で、時を待てるのが大人。そういう振る舞いができるようになるまでには、時間がかかるのでしょう。
外卦の兌(沢)は喜び、内卦の坎(水)は困難な状況。内側に困難さを抱えていても、外側には柔軟な喜びを示すという形。難しい状況でも、笑顔を絶やさない、やさしさを示す。そういうことが求められています。
乾(天)が来て、震(雷)が動く。力強い卦です。正しい心で、あるべきものを願うと、それは大いに叶います。新しい年の始まりにあたって、人は様々な願いごとをするものですね。その願い事も、自然の流れに沿ったものであれば叶うものです。自分が得るものも大きいし、得たものはいつまでも自分とともにある。しかし、自分のためだけに、過剰に何かを求めたりすると、それは得られたとしてもほんの短い間だけのこと。すぐに得たものは自分から離れていってしまいます。
震(雷)卦が二つ重なっています。遠くで大きな雷鳴が轟きます。それに人々が驚く様子。そして、天の怒りを恐れ、身の回りを整えたりします。その驚きが落ち着けば、むしろ大丈夫だったことに安心して、笑みがこぼれます。 このように遠くで大きな雷鳴が轟いた時は、自分の身を引き締めるよい機会。まさに今がそのような時ではないでしょうか。
今まで自分が築き上げてきたものを他の人に手渡すのは辛いかもしれません。せっかく自分が作り上げてきたのに、経験の未熟な人に手渡すのは惜しいと感じたりもしますね。しかし、自分がこれまでやってきたことは、本当に自分だけでやってきたものでしょうか。自分の先にやっていた人から引き継いだ部分はないでしょうか。あるいは、先人たちの教えに導かれたものではないでしょうか。
自分の行動が周囲から見られている時です。姿勢を正して、無駄なこと、ことさらなことなどはしないようにしましょう。 特に、自分が目上の人に対して取る態度が重要。過剰に謙遜したり、卑屈になったりする必要はありません。相手を尊重して、穏やかに接すること。
易の八卦について、新井白蛾が「易学小筌」の付録に書いている説明を紹介します。 爻を三本重ねたのが一つの卦になります。 爻は陰と陽の二つしかないので、これを三本重ねる組み合わせは 2(陰または陽)×2(陰または陽)×2(陰または陽)=8 で、八通り。それで八卦です。 新井白蛾の「易学小筌」には付録として、この八卦を物や現象などに喩えています。 「そもそもこの世にあるものごとを持ってきて説明にもちいることは易の本義ではない。それは易の一つの在り方を知るためのものにすぎないのである。そうではあるが、ものごとを使って易を理解したり説明に用いたりすることは今始まったことではなく、すでに中国古代の三国時代…
ここでいう師とは、人々を率いて戦をすること。 多くの人々とともに戦うこと。 そのような場合、老成した指導者として人々を導くことができれば吉。
自らの弱みが多ければ、それを減らすこと 山沢損 四爻 【易暮し】
山沢損卦の卦辞の大意は、過剰なものを減らして、不足している部分に移すこと。 六四は、特に疾病に注目して、その部分を減らすことを言っています。 病があるのであれば、速やかにそれを癒すべし。 そうすることで、喜びもあり、さらに病を原因にした不幸な状態も解消されます。 そのような行動が求められているとき。
大地(坤)の上に雷(震)が出てきている形。 力強い行動を象徴します。 それも、しっかりと大地に足をつけた状態で。 このようなときは、やるべきことをやると成果が出ます。 願いが叶います。 ただ、その場合も、無駄なことはしないこと。 無駄なことをしてしまうと、行動の力強さが損なわれてしまいます。 目標に向かうために、やるべきことに狙いを定めて、最短距離で目指すのがいいでしょう。
沢水困 困難な状況から救い出してくれるのは、口先の言葉ではない 【易暮し】
上卦の兌(沢)は喜び、下卦の坎(水)は困難な状況。 困難な状況を内側に抱えていても、外側に対しては柔軟な喜びの態度で振る舞う。 そうすることで吉。 願いが叶います。 ただし、困難さを口先の言葉だけでしのいではいけないとき。 言葉は聞き入れられにくい状況ですね。 行動と態度で、あるべき在り方を示して、それで乗り切るときです。
新井白蛾はこの卦は、学者や僧侶などにとってはいい卦であると言っています。 明晰さが示されるからでしょう。 ただ、孤立します。 他の人々から離れてしまいます。 一般の人にとっては辛い状況かもしれません。
山沢損 生活を振り返り、過剰なものを減らし、足りないものを増やす 【易暮し】
余りあるところを減らして、不足しているところを補う。 そうすることで吉。 願いが叶います。 それもあるべきあり方に近づける方向で。 今の自分の暮らしで不足しているもの。 今の自分の暮らしで余っているもの。 それぞれ、どんなものがあるのでしょうね。 時間の使い方などは、少し整理してもいいのかなと思います。 最近は読書をする時間が減っているかもしれません。 どちらかというと、細かな作業に時間を取られている感じです。
上卦の坎は危難、困難な状況。 下卦の兌は喜び。 困難な状況を前にして、心には喜びがあります。 楽しみながら困難な状況を乗り越えていく形。 過剰に苦労している気になる必要はありません。 難しい問題も、少し整理して解きほぐすと、それぞれではそれほど解決が難しいものではなかったりします。 個別に解決していけばいい。
「元おおいに亨とおる、貞ただしきに利あり。」 正しい心で振る舞うと、願い事が叶います。 よい結果が得られます。 ここでいう「正しい心」というのは、自分の正論を周囲に押し付けるということでは決してありません。 心を鎮め、無駄なこと、ことさらなことをせず、自然の動きに適うような態度のことですね。
天沢履 五爻 願いは叶うが、正しさだけで進めると危うい 【易暮し】
「夬さだめて履む。貞なれど厲あやうし。」 自分の能力も、立場も、それぞれふさわしいものであるが、それに甘んじて、自分が正しいと思ったことだけをしていては危うい。 そんな風に読めます。 今やれること、やるべきことをやっている。 それを進めることは問題ない。 しかし、自分が正しいと思ったことだけを進めていると危うさがある。 助言者の言葉に耳を傾けたり、身近な人の言葉を聞き入れたり。 自分だけの独断で進めないこと。
「无妄(むぼう)」は迷いがないこと。 正しい心で物事に取り組めば、願いが叶うこと。 ただし、正しい心と言っても、世の中の「正論」を集めてきて心に詰め込むのはよくないですね。 心の中であれこれと衝突が起こってしまいます。 菅子四篇にある「心術」のよれば、正しい心の在り方とは「空っぽ」のこと。 空っぽにして、さらに掃除もして。 余計なものは一切残らないようにした状態。 そうすることで、心の中に、自然のあるべき在り方をしている「道」が宿ります。
雷風恆 終わればまた始まる 変化のときは孤独を感じるもの 【易暮し】
上卦が震(雷)で力強い動き。 下卦が巽(風)でしなやかな動き。 いずれも動くことを象徴します。 変化のとき、自ら力強く、かつ柔軟に動くことで吉。 願いが叶います。 自分の周囲で起こっている変化でも、自分が中心になることで物事がうまくいく。 そんなことを教えてくれています。
水天需 待つもよし、進むもよし 心を貞正に保てば、大きなことも成功が得られるとき 【易暮し】
今、動くべきこと、待つべきこと。 それぞれを見極めるのはとても難しいですね。 いずれも貞正であれば願いは叶う。 それがどのようなことなのか、いつも考え続けていることが求められるのでしょう。 大袈裟なこと、殊更なこと、無駄なこと。 少なくとも、これらのことを少なくするように心がけたいと思います。
天沢履 急な変化に感じることも柔軟に受け入れることで願いが叶う 【易暮し】
上卦が乾(天)で、自然の流れ、現れ。 下卦は兌(沢)で、喜び、柔軟さ。 自然とは、自分の周りにある物事全てのことと理解できます。 自分を取り巻く世界ですね。 それはいつも変化しています。 ときに、その変化は自分にとって大きすぎるように感じることも。 変化が感じられるとき、受け身だと、ただしんどい思いをするだけ。 それを積極的に受け入れて、さらに自分自身も変わっていくように、変化を加速させる。 そうすることで、変化に従わされるのではなく、変化の中心にいることができます。
火地晉 自分がこれまでにやってきたことを振り返る 【易暮し】
上卦が離(火)で、下卦が坤(地)。 地上に太陽が昇っている形です。 人々はその姿を遠くからでも見ることができます。 このような時、自分はオタオタと動揺していてはいけないですね。 明晰さ、落ち着き、徳、成熟、そんな言葉で表されるようなものを体現していることが求められるでしょう。 しっかりとしていないと。 火地晉の要点は、「高く評価される」ということ。 自分が感じているよりも、周囲から信頼されているのかもしれません。 それを裏切らないことも大切なことでしょう。
変化の時は、何かを失ったと感じてしまいます。 それまで頼りにしていたものと、離れないといけないことも多くあります。 しかし、失ったものよりも、もっと大切なものが手に入るかもしれません。 自分の状況をよく見ること。 変化を受け入れること。 そうすることで大きな願いも叶います。
この卦は、口の中にあるものを噛み砕くという意味もあります。 硬いものを噛み砕くというのが、困難な問題を解決するということ。 たまたまですが、自分の歯の調子がよくありません。 少し考えていたのですが、思い切って歯科医院に行くことにしました。 その結果、治療済みの部分をやり直すことになりました。 まあ、還暦前に、色々と変化してきている身体の状態を、整え直すべき時なのでしょうね。
この卦は、爻が陰と陽交互に並んでいます。 形が出来上がっています。 取り組んできたことが、一旦は仕上がった状態。 その状態に満足していても、時の経過とともに、やがて出来上がったものは朽ち始めます。 出来上がった状態をいつまでも維持するのは不可能ですね。 そんな時は新しいことを始めないといけません。 出来上がったものをいったん解体することが必要です。 崩して、不要になったもの、余計な混ざり物はその機会に取り除く。 そして、新しいもの、次に必要になるものを取り入れる。 それらを組み上げて、また新しいものを作っていく。 そんなことを求められている時期です。
上卦、下卦、いずれも乾(天)。 六十四卦の冒頭にある卦であり、力のある者を象徴します。 正しい在り方を守っていれば、願いは叶い、その行動は多くの人たち、世の中の万物にも恩恵をもたらします。 そんな時にこそ、次の準備を進めておくべきでしょうね。 現在は勢いが頂点にあります。 それはやがて下り坂に向かいます。 一つの時代が終わるような感じですね。 頂点を過ぎることは、決して悪いことではありません。 むしろ自然なこと。 次のことを始める準備期間は、これまでやってきたことを整理しないといけないし、自分自身の充電もしないといけないでしょう。 新たなことを学んで身につける必要もあるでしょうし、新しい仲間を見つけないといけないかもしれません。 そんなことに時間を使うべき時。