【本】小川洋子『余白の愛』~現実と記憶の狭間で揺蕩う~
1、作品の概要 『余白の愛』は小川洋子の長編小説。 1991年に福武書店より単行本が刊行された。 2004年に中公文庫より新装文庫版が刊行された。 234ページ。 耳を病んだ「わたし」と速記者Yの、現実と記憶の狭間で語られる物語。 2、あらすじ 「わたし」は夫と離婚後、耳を病んでしまって長く入院生活をしていた。 雑誌のインタビューで知り合った速記者のY。 美しい指を持つ彼の虜になり、次第に親密な関係になっていく。 消えてしまった『十三歳の少年』、ベートーヴェンの補聴器を展示していた博物館、屋敷とジャスミンの間・・・。 現実と記憶が入り混じり、意識は虚構へと揺蕩っていく。 余白の愛 (中公文庫)…
2025/06/29 19:20