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「鶴八鶴次郎」は昭和9年(1934年)にオール讀物に掲載され、翌年、第一回直木賞を受賞しています。大正時代、新内の鶴八、鶴次郎は息が合い、巷の人気者だった。二人は赤の他人だが、心の奥では魅かれあっていた。芸の道を究めようとする二人は、稽古の間も芸道の喧嘩ばかり。単なる言葉のやり取りを真に受けた二人は別れ、鶴八は料亭の息子のところに嫁いでゆく。それから三年。鶴次郎の芸は荒れ、酒浸り。興行師の思惑で、...
一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編『ホテルローヤル』 読書感想文
第149回(2013年上半期)直木賞受賞作です。 この作品の舞台は、廃墟となった「ホテルローヤル」という名のラブホテル。 作者 桜木紫乃さんのご実家が営まれていたラブホテルと同じ名前です。 ホテルローヤル 感想 「BOOK」データベースより ささやかな昂揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。 7つの連作短編集。進み方が非常に好みで一気読みでした。 舞台がラブホテルなので、多少の性描写ありますが、過激な表現はありません。 作者が描く情事は時に優しく...時に哀しい。 全てのお話がグレーというか、白黒の世界でした。 湿った埃っぽい悲しい物語。 …
藍を継ぐ海/伊予原新 著/純文学・直木賞受賞作/感想レビューなど
” 私はふと足下をみた。 黒く焦げた敷石に、野菊の類だろか、小さな花びらと細い茎の影がくっきりと残ってゐた。この小さな生命さへ、熱線に焼かれる刹那、ここに自らの影を残したのだ。" ー 祈りの破片 より ー 藍を継ぐ海/伊予原新・著/新潮社 〖 祈りの破片 〗 過疎の高齢者ばかりの集落。ずうっと空家で電気も通っていない古い民家が、夜中になると青白く光るから調べてほしいといわれ、町役場の小寺が見に行くというミステリ仕立てで語られる話です。 その家は何のために使われてきたのか、そうしてなぜ夜中に光を放っているかなど、やがてその正体が科学的に徐々に解明されていくと、過去の「原爆」という重い現実につきあ…
相変わらず週末は読書三昧の私♪今はちびあがハイスクールに提出するポートフォリオ作成の追い込みの時期なので、ここ数週間はちびあが作品に向き合っている横で静かに読書をしたり、家事をしたりして過ごしています。常時20冊以上の積読本があるので、追いかけっこみたいに読み進めているところ。最近読んで特に「凄っ!」と思ったのがこちらの本です。メキシコ、インドネシアと日本の川崎市を舞台にした、圧倒的な迫力と残酷さを...
「ツミデミック」は、2024年上期直木賞受賞作品です。単行本を読みました。「ツミデミック」の感想・レビューをお伝えします。とても面白い本です。直木賞作品ですが、難しい内容ではありません。著者はBL(ボーイズラブ)作品をたくさん執筆された大阪出身の一穂ミチさんです。「ツミデミック」とはどんな意味かも説明しています。
『吉原手引草』で、は吉原一の花魁・葛城の失踪について関係者たちがそれぞれの立場で語る形式で物語が進んでいきます。 物語の中心人物である葛城花魁が一切語らないのがまた、この話をいっそう面白くしています。 第137回直木賞受賞作品。 『吉原手引
金城一紀さんの『GO』は在日コリアンの少年・杉原の暴力と恋、葛藤の青春を描いた小説。20年ぶりに再読しても色褪せない物語の力に惹きつけられました。 2000年直木賞受賞作。 『GO』あらすじ 「広い世界を見るんだ。」在日コリアンの少年、杉原
◆読んだ本◆ ・書名:ともぐい ・著者:河﨑秋子 ・初版出版社:新潮社 ・初版発行日:2023/11/20 ◆おすすめ度◆ ・マタギと熊の壮絶な戦い度:★★★★ ・自然の中で生きるマタギが獣そのもの度:★★★★ ・猟師であることを見失った主人公の死に様度:★★★ ◆感想◆ 先日、第170回直木賞を受賞した「ともぐい」。 厳しい自然や、それを具現化したようなヒグマが登場する、けっこうハードなマタギ小説です。 ...
夜に星を放つ/窪美澄/感想・レビュー・あらすじなど/文藝春秋
行きつけの本屋さんで、直木賞受賞作という黄色い帯がある本が目にとまりました。 「夜に星を放つ」というこの本は、夜をイメージした黒地にカラフルな色のイラストがファンタスティックだったので、手に取ってページをパラパラと繰ってみました。 なかには、5つの短編がありました。 🌟真夜中のアボカド 🌟銀紙色のアンタレス 🌟真珠星スピカ 🌟湿りの海 🌟星の随に(まにまに) 夜に星を放つ/窪美澄・作/文藝春秋 🌟 真夜中のアボカド コロナ禍にリモートワークで自宅に籠りがちの日々、32歳のOL綾ちゃんは、アボカドの種を思いつきで水耕栽培をはじめます。 そんな綾ちゃんには半年位前に婚活アプリで出会った恋人の麻生さ…
【最新情報】芥川賞・直木賞の違いはなに?発表はいつ?[第170回]
芥川賞・直木賞の発表はいつ?芥川賞と直木賞は、なにが違うの? 芥川賞・直木賞の発表は年に2回、7月(上半期)と翌年1月(下半期)に行われます。 2023年7月(上半期)【第169回】芥川
今村翔吾「塞王の楯」!"最強の楯"と"至高の矛" 勝利はどちらの手に?
こんにちは。夢中図書館へようこそ! 館長のふゆきです。 今日の夢中は、今村翔吾「塞王の楯」!"最強の楯"と"至高の矛" 勝利はどちらの手に?です。 「夢中図書館 読書館」は、小説や雑誌などの感想や読み
また小説を読むようになった。今読んでいるのは宮部みゆき氏の「クロスファイヤ」。読んでいるうちに物語に引き込まれる感じで、なかなか面白いと思う。宮部みゆき氏は他にも「小暮写真館」とかも読んだ。他には、村上春樹氏や東野圭吾氏あたりも好きで読んで
書名 塞王の楯 [ 今村 翔吾 ] 感想 第166回直木賞受賞作。 いやあ、これ面白かった〜!! 552頁と分厚いのだけど、後半もう一気に読んじゃった。 タイトルから、私はてっきり「中国の三国志的な時代の
小川哲さんの直木賞受賞作「地図と拳」を図書館から借りてきました。 日清戦争の直後、中国東北部の覇権を争う日本とロシアと主権と安寧を求める中国人たちの物語。 …
【感想】青山文平『つまをめとらば』女に翻弄される男たちの物語
今回は第154回直木賞を受賞した青山文平さんの作品『つまをめとらば』を紹介します。 タイトルからわかるように、
書名 地図と拳 [ 小川 哲 ] 感想 分厚かった…。 というのがまず印象。 640p。 京極夏彦の「レンガ本」を思い出す分厚さ。しかも単行本。ハードカバー。 単行本としては限界に近い厚さなのではないか。
直木賞受賞作:佐藤正午の「月の満ち欠け」 Kindle Unlimited のサマーセールに登録 生まれ変わってもあなたに会いたい、「月の満ち欠け」 「月の満ち欠け」で気に入った格言と和歌 黛ジュン「夕月」について Kindle Unlimited のサマーセールに登録 まんまとアマゾンの戦略にのせられ、「今月末までの登録で2カ月間99円になります。」というKindle Unlimited のサマーセールに登録してしまった。 ところでKindle Unlimited を利用するのはこれが初めてではない。 じつは以前、「カラマゾフの兄弟」悲願の読破に取り組んだことがあるのだ。 そしてようやく「カ…
【感想】直木賞・山本周五郎賞受賞作『木挽町のあだ討ち』永井紗耶子
第36回山本周五郎賞、第169回直木賞を受賞した永井沙耶子さんの作品「木挽町のあだ討ち」を読んでみました。 私
書名 しろがねの葉 [ 千早 茜 ] 引用 「隼人には野心もある。あいつには見返そうという意地が見え隠れしとる。悪いことじゃないが、躍起になれば目は曇る」 喜兵衛の喋り方が変わる。土や岩肌に目を凝らす
あっというまにもう5月!2023年4月に読んだ小説をメモしておきます。4月もすごく面白い小説が読めました! 量質ともになかなかヘヴィーなものが多めだったかったかも。◆無月の譜 松浦寿輝将棋にかかわる物語。一時は、プロ棋士を目指していた主人公の男性が、その夢をあ
若竹千佐子「おらおらでひとりいぐも」(河出書房新社)・門井慶喜「銀河鉄道の父」(講談社)
何故だかわかりませんが、2018年の春の芥川賞、直木賞は二作品とも宮澤賢治がらみで不思議な感じがしました。 芥川賞は若竹千佐子さんの「おらおらでひとりいぐも」(河出書房新社)
今年の試験が終わり、ひとつ大きな山を越えた気分ですが、昨日からすっかり試験勉強ロスになってしまいました。かといって、今年受けた科目を引き続き勉強するような気持ちにはなれません。今後2~3週間は、昨日も書いたような試験後やりたかったことと、勉強を理由に後回
Amazon 楽天市場 題名 : 藍を継ぐ海 著者 : 伊与原新 出版社 : 新潮社 発売日 : 2024/09/26 備考 : 第172回直木賞受賞作 数百年先に帰ってくるかもしれない。懐かしい、この浜辺にーー。なんとかウミガメの卵を孵化させ、自力で育てようとする徳島の中学生の女の子。老いた父親のために隕石を拾った場所を偽る北海道の身重の女性。山口の島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の...
1935年から芥川賞とともに始まった直木賞。もともとは芥川賞は純文学の作品。直木賞は大衆小説の作品が選考対象になっていましたが、現在では純文学と大衆小説の垣根は曖昧になっている感...
気になるタイトル、気になる表紙 » 直木賞と、直木賞のノミネート作品一覧 題名 : 爆弾 著者 : 呉勝浩 出版社 : 講談社 発売日 : 2022/4/20 備考 : 第167回直木賞ノミネート作品 「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。 警察は爆発を止めることができるのか。 爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。 引用元:爆弾 【第167回直木賞ノ...
週末は運動不足解消のためなるべく長時間歩くようにしてます。夏日のようだった土曜日少し歩いたら、体がだるくて、だるくて。。。すぐに帰宅。季節の変わり目、特にこの時期はいつもこうして体の調子が悪くなります。。。無理せずおうちにこもり読書三昧とな
毎日夜寝る前に本を読むのが長年の習慣。面白い本に出会うと目がピカっとし、寝不足になりますが久しぶりに寝不足にしてくれた2冊。特捜部Q アサドの祈りここ数年北欧ミステリが面白くていろんな本を読んでますが北欧ミステリを好きになったきっかけがデン
お気に入りのミステリー作家、米沢穂信氏が直木賞を受賞しました。早速、ハードカバーを購入し読み始めたところ、さすがは受賞作、すぐに引き込まれ短期間のうちに読破してしまいました。時代は戦国。一般的には無名ながら実在した武将、荒木村重の盛衰を...
黄金旅程 / 馳 星周 黄金旅程 / 馳 星周 馳星周、直木賞受賞第一作 競走馬に託した人々の想い 馳星周、直木賞受賞第一作 北海道の馬産地浦河で装蹄師をしながら競走馬の養老牧場を営んでいる主人公。一流の素質を秘めながら、重賞レースで勝利をあげられずにいた地元浦河で誕生した尾花栗毛のエゴンウレア。著者/馳星周「黄金旅程 (集英社文芸単行本)」 ≫ 「黄金旅程」のレビューをチェック 黄金旅程 (集英社文芸単行本) 競走馬に託した人々の想い 馬産地浦河の人々の想いをのせて引退レースの挑んだエゴンウレア。そこに待つ結末とは。 ≫ 馳星周のその他の著書 (function(b,c,f,g,a,d,e)…
「何者」 著者:朝井リョウ(新潮文庫)レビュー 直木賞受賞作
多くの人が人生で経験する青春ストーリー。 直木賞受賞作『何者』は、中々内定を貰えない就職活動学生達が過ごす時間の中で、自身や他人に葛藤するストーリー。 ある時、仲間の1人が内定を貰ったことをきっかけに、喜びや嫉妬、不安等の様々な感情が入交り、仲間の関係に変化が起こります。 果たして自分は「何者なのか?」と自問自答する若者の姿を書いた作品です。 もう一度あの時の自分を生きている気が出来る内容です。