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【本】川上未映子×村上春樹『みみずくは黄昏に飛びたつ』~川上未映子が村上春樹に創作の裏側をインタビュー~
1、作品の概要 『みみずくは黄昏に飛びたつ』は、川上未映子が村上春樹にインタビューしたものを編集した本。 2017年4月27日に、新潮社より刊行された。 単行本で全345ページ。 文庫版も刊行されている。 全4章からなり、第1章は2015年にされたインタビューが雑誌『MONKEY』に掲載された。 第2~4章は、『騎士団長殺し』刊行後の2017年に3回に分けてインタビューが実施された。 2、あらすじ 第一章 優れたパーカッショニスト、一番大事な音を叩かない 第二章 地下2階で起きていること 第三章 眠れない夜は、太った郵便配達人と同じくらい珍しい 第四章 たとえ紙がなくなっても、人々は語り継ぐ …
【雑記】そういや、月が2個に増えたんだってね?って、『1Q84』かよっ!?
☆月が2個になりました!!☆ やあやあ、皆さんご機嫌はいかがですか? 朝夕めっきり涼しくなってきて、やっと暑さともさよならできるかな? なーんて思っちゃう今日この頃ですが、秋の夜は月が美しくて良いですね。 今年の15夜は、満月でめっちゃ綺麗でしたよ。 月と言えば、実は昨日ぐらいから月が2つになったみたいっすよ~? えっ、酒飲みすぎて頭もおかしくなったかって、いやいやこれはNASAもビックリなガチネタなんですよ!! あれ、もしかして僕がこの間ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』が流れるタクシーに乗っていて、渋滞したから首都高の非常階段降りたせいで月増えちゃった? というのは村上春樹好きにしかわか…
1、作品の概要 映画『めくらやなぎと眠る女』は、フランス、ルクセンブルク、カナダ、オランダ合作ののアニメ映画。 2022年に公開された。 2024年7月26日に日本でも字幕版、吹き替え版が公開された。 原作は村上春樹で、『めくらやなぎと眠る女』『かえるくん、東京を救う』『UFOが釧路に降りる』『ねじまき鳥と火曜日の女たち』『かいつぶり』『バースデイ・ガール』の6編の短編小説を編集した。 村上春樹作品では、はじめてのアニメ映画化。 監督はフランス人のピエール・フォルデス。 上映時間は109分。 日本語版の吹き替えを、小村(磯村勇斗)キョウコ(玄理)片桐(塚本晋也)が担当した。 2011年、東日本…
【本・音楽】村上春樹×JAZZ!!音楽と文学の幸福なマリアージュ♪
☆村上春樹とJAZZ☆ JAZZ好きな作家は多くて、中上健次、平野啓一郎らもJAZZ好きですが、村上春樹ほどJAZZ好きのイメージが強い作家もいないように思います。 クラシック音楽への造詣が深く、たびたび物語そのものに深く関わってきますが、JAZZも村上春樹の物語に大きく関与していて、短編では特にJAZZやJAZZミュージシャン、レコードなどにまつわるエピソードが描かれたりしています。 音楽が絡むエピソードが多くてビートルズ、ストーンズ、ビーチボーイズ、スライ&ザ・ファミリーストーンなど、短編でタイトルになっていたりもしますね。 ジャズも『アフターダーク』はカーティス・フラーの『ファイブ・スポ…
【本】村上春樹『アフターダーク』~ゆっくり歩け、たくさん水を飲め~
1、作品の概要 『アフターダーク』は村上春樹の長編小説。 2004年9月7日に刊行された。 書下ろし長編小説。 単行本で288ページ。 装丁は和田誠。 深夜の東京を舞台に、23:56から6:52までの一夜の出来事が描かれた。 2、あらすじ 深夜の東京。 デニーズで一人本を読みながら過ごしていたマリに大きな楽器を持った大学生のタカハシが声をかける。 2人にはマリの姉のエリも含めてダブルデートをしたことがあった。 タカハシはトロンボーン奏者でバンドの練習に行くが、ホテル「アルファヴィル」のマネージャーである大柄な女性・カオルがマリに中国語の通訳を頼みに訪れる。 ホテルで男に身ぐるみを剝がされた中国…
【本】村上春樹『バースデイ・ガール』~20歳の誕生日に彼女がしたひとつの願いごと~
1、作品の概要 『バースデイ・ガール』は村上春樹の短編小説。 2017年11月に刊行された。 初出は、村上春樹翻訳の誕生日をテーマにした短編小説のアンソロジー『バースデイ・ストーリーズ』に掲載された。 イラストはカット・メンシックが担当。 1編の短編小説に挿画が多く掲載されている。 あとがきを含めて61ページ。 『めくらやなぎと眠る女 TWENTY STORIES』にも収録されている。 2、あらすじ 20歳の誕生日を迎えた女の子は、彼氏とも喧嘩した上に、体調を崩した他のスタッフの穴埋めでアルバイトをしていた。 女の子がアルバイトをしていたイタリア料理店では、フロアマネージャーがオーナーに毎日夕…
【本】村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』~少なくとも最後まで歩かなかった~
1、作品の概要 『走ることについて語るときに僕の語ること』は村上春樹が走ることと自身の小説とのつながりを語ったエッセイ集。(本人はメモワールと呼んでいる) 2007年10月15日に刊行された。 文庫版で262ページ。 1部の引用などを除いて書下ろしで書かれている。 タイトルは、村上春樹自身が敬愛するレイモンド・カーヴァーの短編小説『愛について語るときに我々の語ること』から取られている。(承諾は得ているとのこと) 2、あらすじ 1982年の秋から走り始めて、1983年にアテネーマラトンのマラソンオリジナルコースを1人で走破して以来、ほぼ毎年のようにフルマラソンに参加している村上春樹。 彼はいかに…
村上春樹が今年もまたノーベル文学賞の候補のままで終わりました。毎年ハルキストしょぼんみたいなニュースや新聞記事*1を見ます。でも、よくは知らないんですが、候補といったってイギリスかどっかのブックメーカーが勝手に出した予想なんじゃないのかな。 *1: ハルキストに今年も吉報届かず…「来年こそは」 神戸の料理店、村上春樹さん母校でため息 社会 神戸新聞NEXT
【ハルキスト推薦】Audibleで聞ける全15作品とこれから聞ける4作品を紹介
この記事では自称ハルキストのわたしが、Audibleで聞ける村上春樹作品の紹介をします。また、最新の長編小説「街とその不確かな壁」のAudibleナレーターの予想もしています。次に読む一冊の参考にしてみてください。
10月に入ると世界中がざわついてスウェーデンとノルウェーに注目する、ノーベル賞ウィークがやってきました 10月2日生理学・医学賞同 3日物理学賞同 4日化学賞…
【本】村上春樹『風の歌を聴け』~あらゆるものは通り過ぎていく~
1、作品の概要 『風の歌を聴け』は村上春樹のデビュー作。 文庫版で155ページの中編小説。 1979年『群像』6月号に掲載されて、7月に単行本化された。 第22回群像新人賞受賞、第81回芥川賞候補、第1回野間文芸新人賞候補となった作品。 1981年に映画化されている。 『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』を鼠三部作、『ダンス・ダンス・ダンス』も加えて初期四部作などとも言われて、「僕」と鼠をめぐる作品群となっている。 21歳の大学生の「僕」と友人の鼠をめぐるひと夏の物語を綴った。 2、あらすじ 1970年の夏、大学生の「僕」は地元の海辺の街に帰省し、友人の鼠と毎日のように…
【本】村上春樹『海辺のカフカ』~くぐり抜けた先でなされた世界との和解~
1、作品の概要 『海辺のカフカ』は村上春樹の書き下ろし長編小説。 2002年に新潮社より、上下巻で刊行された。 翻訳版が『ニューヨーク・タイムズ』紙で年間のベストブック10冊、世界幻想文学大賞に選出された。 蜷川幸雄の演出で、2度舞台化されている。 この作品が刊行されるタイミングでホームページが作られ、村上春樹自身が読者との交流の場を設けた。 現在はホームページは閉鎖されたが、メールのやり取りは『少年カフカ』に掲載されている。 運命の呪いに翻弄される15歳の田村カフカと、導かれるように四国へと旅する不思議な老人・ナカタさんの物語。 2、あらすじ 田村カフカは、15歳の誕生日に家出をすることを決…
【本】村上春樹『街とその不確かな壁』~心は空を羽ばたく鳥のように自由で、それだけ高い壁でも飛び越えてしまう~致命的にネタバレしている考察&感想
○村上春樹『街とその不確かな壁』の考察&詳細な感想を書いてみた[ネタバレ注意!!] 村上春樹『街とその不確かな壁』についての紹介と、簡単な感想を先日書きましたが、濃厚な感想&考察編も書いてみたいと思います。 ゴタゴタ感想を書く前に『街とその不確かな壁』について大筋の僕の感想を書くとすると、「めっちゃ良かった」です。 好きや嫌いや、良かったや良くなかったや、いろいろな感想があると思いますが、個人的には好きな作品だし、文章に無駄がないというか、成熟を感じさせれました。 hiro0706chang.hatenablog.com 今回も示唆的な内容や、暗示的な内容が数多くみられましたね。 壁や影が何を…
【本】村上春樹『街とその不確かな壁』~そう、心とは捉えがたいものであり、捉えがたいものが心なのだ~
1、作品の概要 『街とその不確かな壁』は村上春樹の新作長編小説。 2023年4月13日に新潮社から刊行された。 書き下ろし。 ページ数は655ページ。 電子書籍も同時に発売された。 装画をタダジュンが担当。 1980年に『文學界』に掲載された、単行本収録の中編小説『街と、その不確かな壁』を書き直した作品。 2、あらすじ 17歳のぼくは、16歳のきみに恋をしていた。 文通をして、電車を乗り継いでお互いの街でかけがえのない濃密な時間を過ごしていた2人。 ある時、きみが語った高い壁に囲まれたある「街」の話。 今目の前にいるきみは本当の自分ではなくて、影だと言う話を聞かされるぼく。 ある時、突然きみと…
【本】村上春樹の新刊『街とその不確かな壁』がいよいよ発売!!その本を買わなければならない。なんとしてもー。
☆昨日4/13は村上春樹の新刊の発売日でした!!☆ いやー、めでたい!! 何がめでたいって、昨日4/13が村上春樹の新作長編小説『街とその不確かな壁』の発売日だったのですよ!! 前作『騎士団長殺し』より、実に6年ぶりの新作長編小説ということで、ファンや読書好きの人たちは大盛り上りでしたね。 発売日まで今か今かと待ち続けていよいよ発売日を迎えました。 本当は発売日当日は仕事を休みにしたかったのですが、そうもいかず。 ずっとそわそわしながら一日と過ごしました。 休憩中にツィッターをみていると、買いましたっていうツイートが続々・・・。 うわぁ、俺も休み取っとくんだったよ~、とか悶絶しながら仕事をして…
【本】村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』~遠い場所で起こった災害がさざ波のように人々の心に押し寄せる~
1、作品の概要 『神の子どもたちはみな踊る』は、2000年2月に刊行された村上春樹の短編小説集。 全6編からなる。 『新潮』に『地震のあとで』という副題付きの連作短編集として1999年8月号~12月号に5編が掲載され、『蜂蜜パイ』が書き下ろしされた。 『神の子どもたちはみな踊る』が2008年にアメリカで映画化された。 装画は北脇昇の『空港』で、挿画も彼の作品が使われている。 (現在の文庫の装画はカエルのイラストに変更になっている) 1995年に起こった阪神・淡路大震災に間接的に関わる人々の姿を描いた。 2、あらすじ ①UFOが釧路に降りる オーディオ機器の会社に勤めていてハンサムな小村は平凡な…
【本】村上春樹『街と、その不確かな壁』~新作長編小説『街とその不確かな壁』との関連が予想される1980年に『文學界』に掲載された単行本未収録の幻の中編小説~
1、作品の概要 『街と、その不確かな壁』は、1980年に『文學界』9月号に掲載された中編小説。 『1973年のピンボール』のあとに書かれた。 『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の習作のような作品。 単行本などには未収録の作品で、村上春樹自身が「あれは失敗」と語っている。 2023年4月13日刊行の新作長編小説のタイトルが『街と不確かな壁』で「、」がひとつ抜かれたものになっている。 2、あらすじ 18歳だった「僕」は、大好きだった「君」から、その街の話を聞く。 「僕」は「君」が死んだあとに、影を捨てて予言者として街を訪れる。 その街は壁に囲まれて、影=暗い夢を捨ててひっそりと暮らし…
【本】村上春樹の新作長編のタイトルが『街とその不確かな壁』らしい!!まさかあの幻の作品が・・・。
☆ついに新作長編のタイトルが発表!!『街とその不確かな壁』☆ つ、ついに4月13日発売の村上春樹の新作長編小説のタイトルが明らかになりました!! そのタイトルは・・・。 『街とその不確かな壁』 です!! ん? んん? どっかで聞いたことがある気が・・・。 そうです。 実はこのタイトルは1980年9月号の『文學界』に掲載された『街と、その不確かな壁』のタイトルとほとんど同じなのですよ!! 「、」だけ、違ってますね!! 『街と、その不確かな壁』は、単行本化しておらず幻の中編として村上主義者の間では語り草となっている作品でした。 村上春樹曰く未完成な作品だった的なことを言っていたようでしたが、まさか…
【本】村上春樹の新作長編小説が4月13日に刊行されます!!祭りじゃ!!祭りじゃ!!絶対に当たらない内容とタイトルの予想がもはや妄想!!
☆てぇへんだ、てぇへんだ!!村上春樹の新作長編小説が発売するわ!!☆ 今日から2月。 なんか2月って、寒いし短いし、あんま好きじゃないんすよね~。 気持ちが落ちるっていうか。 寒いし、短いし・・・。 ってな感じで目覚めたヒロ氏。 お布団の中でスマホイジイジからのツィッターオープン。 するとBIGニュースが!! な、な、なんと・・・。 村上春樹の新作長編小説が4月13日に発売決定しました!! いやー、こいつぁ春(冬だけど)から縁起がいいや!! そろそろかなとは思ってましたが、嬉しいっすね!! 春がめちゃくちゃ待ち遠しいですね!! 春よ来い!! しかも原稿用紙1200枚で、めっちゃ長い感じっすね!…
【本・村上春樹】村上春樹の作品の感想まとめ&名刺代わりの村上春樹作品10選!!
☆村上春樹作品の感想をまとめてみます☆ このブログの運営も3年を超えました。 色々書いてはおるのですが、作家さんによっては作品が複数になる方もいるので、まとめ記事を作ってみました。 まぁ、カテゴリーもあるんですけどね・・・。 これからは過去記事の貼り付けもこの記事をひとつペタっと貼ればいいので良いかな、と。 村上春樹はやっぱり何だかんだ一番好きな作家で、何度も何度も再読しています。 もう25年以上読んでいますが、全く飽きないどころか歳を経たことで、余計に深く惹かれるようになった作品も多くあります。 例えば19歳の時に読んだ『ノルウェイの森』と、45歳の時に読んだ『ノルウェイの森』は感じ方が全く…
1、作品の概要 村上春樹初の短編小説集。 1980年~82年に掲載された7編の短編小説が、1983年に刊行されたもの。 時期的には、「羊をめぐる冒険」と「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の間に刊行された。 hiro0706chang.hatenablog.com 2、あらすじ ①中国行きのスロウ・ボート 主人公の「僕」は、港街に住んでいたせいか中国人と知り合う機会が多かった。1人目は小学校時代の学力テストを受けに行った試験官、2人目はアルバイト先で知り合った女の子、3人目は高校時代の同級生で28歳の時に再会する。 「僕」は、3人との一瞬の関わりを叙情的に振り返り、遠い中国のことを思…
【本】村上 春樹『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』~交錯し、共鳴し合う2つの世界。自意識と現代社会の病理を物語で表現した村上春樹史上最高の傑作!!~
1、作品の概要 1985年に刊行された村上春樹の4作目の長編小説。 初めての書き下ろし小説。 第21回谷崎潤一郎賞受賞。 文庫版では上下巻で刊行された。 物語は「ハードボイルドワンダーランド」と「世界の終わり」の2つの物語からなり、全部で40章からなる。 2、あらすじ 「ハードボイルドワンダーランド」 近未来、データを計算しロックをかける計算士として有能な「私」は風変わりな生物学の博士からシャフリングの技術を用いた依頼を受ける。 シャフリングは計算士を統合する「組織(システム)」より禁止された技術のはずだったが、博士は許可を取っており、「私」は言われた通りにデータをシャフリングにかける。 お礼…
1、作品の概要 1983年に刊行された18編からなる短編集。 伊勢丹主催のサークル会誌「トレフル」に連載された。 2、あらすじ?・目次 えっと、18偏もあるので細かいあらすじは割愛しますが、不思議な話と、エッセイとショートショートの間の子みたいな話が多いようにおもいます。 カンガルー日和 4月のある晴れた朝に100%の女の子に出会うことについて 眠い タクシーに乗った吸血鬼 彼女の町と、彼女の緬羊 あしか祭り 鏡 1963年/1982年のイパネマ娘 バート・バカラックはお好き? 5月の海岸線 駄目になった王国 32歳のデイトリッパー とんがり焼の盛衰 チーズ・ケーキのような形をした僕の貧乏 ス…
☆前書き、父親との関係を語る内容☆ 村上 春樹の新刊が出ました!! 「文藝春秋」2019年6月号に掲載されていた『猫を棄てる』ー父親についてかたるときーというエッセイです。 そろそろ短編集が刊行されるかなと思っていたら、エッセイのほうが先でしたね。 薄くて小さい本で100ページぐらいです、 挿絵も多くてさらっと読めますが、内容はなかなか濃くて満足でした。 エッセイ『職業としての小説家』でも感じましたが、随分と村上春樹自身の内面、考え方やパーソナルな部分について語っている内容だなと感じました。 元々、そんなにオープンな性格の方(いや、会ったことないけどw)ではないし、海外で暮らす時期も長かったの…
【本】村上春樹『螢・納屋を焼く・その他の短編』~ノルウェイの森の基になった短編『螢』が収録~
1、作品の概要 1984年に刊行された短編集。 ノルウェイの森の基になった短編『螢』、韓国で2018年に映画化された『バーニング』の原作『納屋を焼く』などの5編が収録されている。 2、あらすじ ①螢 18歳の大学生「僕」は、学生寮でユーモアな同居人共にどちらかというと厭世的な学生生活を送っていた。 地元で自殺してしまった友人の彼女と偶然再会し、デートするようになる。 少しずつ距離が縮まっていくが、「彼女」の求めていたのは「誰か」であることを「僕」は知っていた。 ②納屋を焼く 2年前に31歳だった「僕」は、結婚パーティーで20歳のパントマイムを習っていた「彼女」と仲良くなり、時々会うようになる。…
【本】村上春樹『回転木馬のデッドヒート』~人生のエアポケットに現れる奇妙な物語の断片たち~
1、作品の概要 1985年10月に刊行された村上春樹の全9編からなる短編集。 講談社の文芸PR誌『IN☆POCKET』で隔月で連載された作品と、2編の書き下ろしを加えてた。 2、あらすじ ①はじめに・回転木馬のデッド・ヒート この短編集の前口上的序文。 今作の短編たちは、事実に即した文章であり、それらを小説の容れ物を用いたスケッチである。 ある種の無力感のように春樹の心中にたまっていったおりたち。 回転木馬のデッドヒートのようにどこにも行けない。 ②レーダーボーゼン 妻の友人とひょんことから2人きりになった筆者は、彼女から父親と母親が離婚したきっかけについて語られる。 とても唐突な離婚で、母は…
【本】村上 春樹『一人称単数』~現実と夢想が入り交じり魔界が現出する~
村上春樹の最新の短編集が発売しましたっ!! ワッショイワッショイ└(゚∀゚└) (┘゚∀゚)┘ 好きな作家の新刊はワクワクしますね~。 1、作品の概要 2020年7月18日に刊行された村上春樹の短編集。 8編からなり、7編は文藝春秋に掲載され、『一人称単数』は書き下ろして収録された。 私小説的な雰囲気を醸す短編。 2、あらすじ 1、石のまくらに 『僕』は大学2年生の時に、行きがかり上からアルバイト先の女性と一夜を共にすることになった。 彼のアパートで交わる時に、彼女はオーガズムに達する時、他の男性の名前を呼んで良いか聞いてきた。 感じる時に大きな声を出してしまう彼女にタオルを噛ませながら一夜を…
1、作品の概要 1986年に刊行された村上春樹の短編集。 装丁は佐々木マキが手がけた。 「文學界」「月刊カドカワ」「新潮」など様々な雑誌で連載された作品が収録されている。 2、あらすじ ①パン屋再襲撃 新婚の二人をある夜に襲った強烈な空腹。 それは、便宜的に満たされるべきではない特殊な飢餓で、「僕」にかつてつパン屋を襲撃したことを想起させた。 パン屋を襲撃した際に受けた呪いのような重大な間違い。 それを振り払うために妻は再びパン屋を襲うことを提案する。 ②象の消滅 ある日、町の象舎から象が消えた。 飼育員と共に忽然と姿を消した象に、様々な憶測が飛び交う。 「僕」は会社のキャンペーンのためのパー…
【本】村上 春樹『レキシントンの幽霊』~記憶は薄れて影の影になり、やがて消えていく~
1、作品の概要 『レキシントンの幽霊』は1996年に刊行された村上春樹の短編小説集。 『レキシントンの幽霊』『緑色の獣』『沈黙』『氷男』『トニー滝谷』『7番目の男』『めくらやなぎと眠る女』の7篇からなる。 『トニー滝谷』は2005年に市川準監督・脚本で映画化された。 主演はイッセー尾形、宮沢りえ。音楽は坂本龍一が担当した。 2、あらすじ ①『レキシントンの幽霊』 友人のケイシーが住んでいる古い屋敷。 「僕」はロンドンに1週間出張をするケイシーの代わりに留守番をすることに。 最初の晩の夜中に目を覚ました僕は奇妙な物音を耳にする。 ②『緑色の獣』 夫の不在時に地の底から這い出してきて、家の中に侵入…
【本】村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』~デタッチメントからコミットメントへ、ねじまき鳥に導かれて抗いようもなく運命の大いなる渦に巻き込まれていく~
1、作品の概要 『ねじまき鳥クロニクル』は、1994(第1部第2部)~1995年(第3部)に刊行された村上春樹の長編小説。 第1部『泥棒かささぎ編』、第2部『予言する鳥編』、第3部『鳥刺し男編』の3冊からなる。 第1部は「新潮」1992年10月号~1993年8月号に連載され、第2部と第3部は書き下ろされた。 第47回読売文学賞を受賞。 短編小説集『パン屋再襲撃』に収録されている『ねじまき鳥と火曜日の女たち』が『ねじまき鳥クロニクル』が冒頭部分になっている。 短編小説集『TVピープル』に収録されている『加納クレタ』に加納クレタ・マルタが出てくるが、キャラクターは大幅に異なっている。 『パン屋再襲…
【本】村上春樹『TVピープル』~資本主義社会とバブルへの密やかなるアンチテーゼ~
1、作品の概要 1990年に刊行された村上春樹の短編集。 『TVピープル』(par AVION1989年6月号掲載)、『飛行機ーあるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったかー』(ユリイカ臨時増刊号1989年6月号掲載)、『我らの時代のフォークロアー高度資本主義前史』(SWITCH1989年6月号掲載)、『加納クレタ』(書き下ろし)、『ゾンビ』(書き下ろし)、『眠り』(文學界1989年11月号掲載)の6編からなる。 1990年アメリカ『ザ・ニューヨーカー』に『TVピープル』が掲載された。 2、あらすじ ①TVピープル ある日曜日の夕方にTVピープルたちが僕の部屋にやってきて、TVを置…
ときおりやってくるマイブームの波。この春、ふたたびMy村上春樹ブームがやってきました。何度も何度でもやってくる、ハルキ祭りのようなものです。
村上春樹さんチノ・デルドゥカ世界文学賞受賞おめでとうございます〜私なりの春樹ワールドを語る
日付が2022年5月19日になったばかりの頃、村上春樹さんにチノ・デルドゥカ世界文学賞が授与されることになったとのニュースが飛び込んできた。今宵さっそく、喜びを噛み締めながら家族と一緒にお祝いの宴を設けました。おめでとうございます🥂 【パリ共同】フランス学士院は18日までに、イタリア出身の文化人チノ・デルドゥカ氏の名前を冠した世界文学賞の今年の受賞者に作家の村上春樹さんが選ばれたと発表した。賞金は20万ユーロ(約2700万円)で、ノーベル文学賞に次いで高額とされる。 *村上春樹さん関連記事⇨ 小説ノルウェイの森が四半世紀たっても映像で脳に記憶されいた このところ村上春樹ワールドが波打ってる 先…