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「フォーチュンクッキー」2025年6月27日(金)新宿シネマカリテにて。午後3時より鑑賞(スクリーン1/A-10) ~アフガンから来た女性のほろ苦くも温かさにあふれたドラマ 「国宝」「フロントライン」などまだ観ていないメジャーな映画がたくさんあるのに、なぜに私はアメリカのインディーズ映画に足を運ぶ? ま、人とは違う道を行きたがる、へそ曲がりなのでしょうがない。 観たのは「フォーチュンクッキー」という映画。フォーチュンクッキーとは、中華レストランなどで出てくるおみくじの入ったクッキーのこと。 そういえばAKB48のヒット曲に「恋するフォーチュンクッキー」というのがあったな。あの曲が流行った頃に、…
予告編を見てから、ずっと見たいと思っていたレバノン映画、「判決、ふたつの希望」。米国の法廷ドラマはよく見ますが、レバノンの裁判はどんなふうなのかも興味がありました。予想以上に激しい弁護、暴かれる被告の逮捕歴、原告の出身地の秘密、トニーの妻の悲しい過去が次々と飛び出し、裁判の行方にハラハラしました。簡単なあらすじキリスト教徒のレバノン人、トニーとパレスチナ難民のヤーセル。ふたりの些細な口論が、レバノ...
【ボスニアヘルツェゴビナ】戦時中の女性たちの静かな強さ 「雪が降るまでに」
すっかり古い映画になってしまったけれど、何度も思い出す美しい作品がある。女性たちが楽しそうに、物真似をしている。誰の物真似をしているのかを当てるゲームだ。サラエボ出身のアイダ・ベジッチ監督による映画、「雪が降るまでに」(または「雪が降るころまでに」)は、こんなシーンから始まる。原題は「雪」だが、邦題がわかりやすくて、いいと思った。舞台は、ボスニア紛争後の小さな村。男たちは敵に連れ出され、生きている...
あんたはね、政府の批判ばっかりしているから、もう映画を撮影しちゃダメ。そう言われても、尚、カメラを止めないジャファール・パナヒ監督。よくも、こういう手を思いつくなぁと感心するような方法でもって撮影を続ける。あらすじ「熊は、いない」では、イランからトルコへ、トルコからヨーロッパへ国境を越えようとするカップルたちを、ドキュメンタリーという形で撮る。映画なのか、ドキュメンタリーなのか、途中でこんがらがる...
「BS松竹東急」の「J:COM BS」へのチャンネル名変更と放送継続のお知らせ
懐かしドラマ「熱中時代」や「映画ノーカット放送」など自分は重宝して利用していた無料のBS260「BS東急松竹」放送撤退から何とか放送継続になってひとまず安心 …
争いと平和という難しいテーマをそういうふうに表現するのかと、いつも驚かせてくれるモフセン・マフマルバフ監督の作品が「パンと植木鉢」。あらすじ革命運動の最中、17歳だったモフセン・マフマルバフは警官を刺して逮捕されました。20年後、マフマルバフが、刺された元警官(ミルハディ・タイエビ)と再会。あの日の事件を映画にすることを決めます。若き日の監督と元警官を演じる少年をオーディションで選び、当時何があっ...
【ベルギー】守れない約束 果たそうとする約束 「イゴールの約束」
ドナルドちゃんの「お誕生日パレード」は散々だったらしい。相方が笑いながら言う。「パレードの戦車が、キコキコと音がしちゃって、『パレードにこれだけお金をかけておきながら、錆止め(WD-40)を買う予算もない』って誰かがレビューしていて笑ったよ」WD-40(ダビュリュ・ディー・フォーティーと呼びます)というのは、日本で言えばクレ556みたいなもので、米国ではほとんど普通名詞化している。さて、ダルデンヌ兄弟の3作...
81歳になるブロガー、辺利未来さんのブログで紹介された街を歩くのが好きです。私なら見落としてしまいそうなところを、この方はよく見ていらっしゃり勉強になります。ただいまスリランカをお元気に旅行中!!やはり脚だな。ちゃんと歩けることが大事だなと思います。思いますが、私は怠け者でダメだな。暑くなると、家で寝っ転がりながら映画ばっかり観ています。さて、ロシア映画。2019年の「小さな兵士」は、ロシアで最年少の兵...
「ラ・コシーナ/厨房」2025年6月14日(土)シネ・リーブル池袋にて。午後3時10分より鑑賞(シアター2/C-4) ~修羅場の厨房から見える過酷な労働環境と移民の現実 何事も舞台裏を覗くのは面白いものだ。普段は見ることのない様々なことを目撃できる。レストランもそう。だから、「厨房ドラマ」がたくさん作られることになる。最近でも「ボイリング・ポイント/沸騰」などの面白い厨房ドラマがあった。 「ラ・コシーナ/厨房」もレストランの舞台裏を描いた厨房ドラマだ。ただし、イギリスの劇作家アーノルド・ウェスカーによる1959年初演の戯曲が原作ということもあり、他の厨房ドラマとはやや趣を異にしている。監督・脚…
【イラン】キアロスタミ監督・お金をかき集めてサッカーを観に行く
貧しい少年、ガッセム (ハッサン・ダラビ)が悪だくみでお金を儲け、そのお金でサッカーの試合を見にテヘランへ。映画「トラベラー」の主人公は、アッバス・キアロスタミ監督お約束の、田舎の貧乏な少年ですよ。このガッセムっていうのが、はっきり言って、犯罪者。フィルムなんか入っちゃいないカメラで、「写真を撮ってやるぞー」と村人たちの写真を撮影したフリをして、お金を巻き上げるハッサン。現像した写真は後で渡すから、...
マーティン・スコセッシが映画館には行かなくなった理由には、私も同意。私は、定年退職後にシニア割引を受けられる年齢になり、もっと映画館へ行くぞーと喜んでいたのもつかの間、マナーが悪い人がいて残念です。そういう人は館内にたったひとりでも目立つし、そんな人に限ってどういうわけだか私の隣とか前に座る・・・。私、何かを引き寄せるニオイでも発しているのでしょうか・・・。さて、イラン映画。あのアスガー・ファルハ...
「我来たり、我見たり、我勝利せり」2025年6月8日(日)新宿武蔵野館にて。午後2時5分より鑑賞(スクリーン2/B-6) ~大富豪の趣味は「人間狩り」。現在の格差社会を痛烈に風刺 何だか体調が今ひとつで映画館にもあまり行かなかったのだが、そんな時にタレントの山田邦子が言った言葉が耳に残った。彼女はガンになって以来、体調が万全などという日はあまりないという。それでも「今日はまあまあ」と思って行動しているらしい。 昨日の私も完調ではないものの、まあまあな感じだったので新宿武蔵野館へ。オーストリア映画「我来たり、我見たり、我勝利せり」を鑑賞。何だか戦争映画のようなタイトルだが、そうではない。気の遠く…
青春ものは見ない私が、珍しく高校生主演の台湾映画「共犯」をDVDで鑑賞しました。SNSで多くの人と「繋がっている」のは幻想なのか。なぜ、こんなにも寂しいのか。いい作品でした。あらすじ(ネタバレなし)住宅街の路地に、頭から血を流した女子高生、ウェイチャオ(ヤオ・アイニン)の遺体が横たわる。発見したのは、いじめられっ子のリーファイ。そこへ偶然通りかかった不良のイーカイと秀才で頼りにする同級生が多いヨンチュン...
『二度目のはなればなれ』(2023 イギリス)と『ボストン 1947』(2023 韓国)どちらも家のTVで録画を観たのですが…久々に、いろいろもの想うせいで或いは、あまりに自分がその国の現代史に疎いのがわかって、ボー然となるせいで(^^;感想を書くのがおっくうになって
2018年、イギリス・カナダ映画「ルイの9番目の人生」は、サスペンスのつもりで図書館でDVDを借りてきました。サンフランシスコに住むルイ・ドラックスくんは、毎年、危険な事故に遭い、9歳の誕生日に転落死します。それは単なる事故だったのか。なにしろ、こちらはサスペンスのつもりで見ているものだから、ワカメのモンスターが病院内をうろつくあたりから、「こりゃ、ファンタジー系か?」と、ファンタジー系が嫌いな私は白け...
「サスカッチ・サンセット」2025年6月2日(月)ヒューマントラストシネマ渋谷にて。午後12時45分より鑑賞(シアター1/C-11) ~人間は登場せずセリフもなし! サスカッチたちの四季折々の生態 ちょっと前に通り魔的な刺傷事件が起きた東京メトロ南北線・東大前駅。実は私が定期的に通っている大学病院の最寄り駅だったりもする。だからといって乗降時に緊張したりはしないのだが。 昨日、その東大前駅で降りて大学病院へ行ってきた。あまり調子がよろしくない感じがしていたのだが、先週実施した検査の結果は特に問題になるところもないらしい。まあ医師が言うのだから信用するしかない。 思いのほか病院が早く終わって、映…
「サブスタンス」2025年5月29日(木)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時35分より鑑賞 ~超過激なホラー映画の怪作。エグさの向こうに見える激しい怒り 話題の映画「サブスタンス」をようやく観た。聞きしに勝る超刺激的なホラー映画だった。 50歳になった元人気女優のエリザベス(デミ・ムーア)は、若返りを図るプロデューサー(デニス・クエイド)によってレギュラー番組からの降板を告げられてしまう。失意と焦りから彼女は再生医療「サブスタンス」に手を出し、薬剤を注射する。すると、背中が裂けて若い美女スー(マーガレット・クアリー)が現れる。若さと美貌に加え、これまでのエリザベスの経験を持つスーは、…
有給休暇を取得して、病院の付き添いに行ってきました。時計を見るたびに、「今頃、朝礼している頃だな」「仕事の片づけをしている頃だな」「お昼ごはんはどこで食べよー。きゃー、とはしゃいでいる頃だな。」それなのに、今日の自分ときたら・・・。いけない、いけない。たまには修行も必要よ、と自分に言い聞かせ、役目を果たしてぐったり。さて、すごい監督を知ってしまいました。1913年、オーストリア・ハンガリー帝国にあ...
実在した有名な殺し屋について紹介します。ただし、こうした人物は犯罪者であり、彼らの行動は法律や倫理に反しています。以下は歴史的・社会的に名前が知られている暗殺者やヒットマンの例です。 --- ### 1. **リチャード・チェイス(Richard Chase)** アメリカの連続殺人犯。殺し屋というよりは精神疾患を抱えた殺人者ですが、狂気の犯罪者として知られています。 --- ### 2. **リチャード・ブルックス(Richa…
【イスラエル映画】元兵士たちの視点から レバノン侵攻の意外な面
私には相方の世話をする義務はないし、それが嫌なら自分のマンションへ逃げることもできます。文句を言いながらも、私ができる範囲での世話をしている一番の理由は、結局、私のためだと思います。ここで投げ出して、後になってから後悔したくないから。ここまで耐えたのに逃げてしまうと、バチが当たりそうで怖いから。自分勝手ですが、高齢者の世話をしている人すべてが、善良で心優しい人ばかりではありません。優しくできないと...
珍しいオランダ映画「素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店」のDVDを赤坂図書館で借りました。「キャラクター/孤独な人の肖像」のマイケ・ファン・ディム監督の作品。大富豪のヤーコブ(イェルーン・ファン・コーニングスブリュッヘ)は、自殺を試みるもうまく死ねない。こういう設定は、いくつかの映画で見ましたが、コメディっぽく始めておいて、実は中身のあるドラマなんですよね。自殺ほう助の代理店でサプライズ・コ...
施設に預けられたシリル、12歳。迎えに来てくれると信じていた父親に裏切られ、町の美容師に救われるも、今度はシリルが彼女を裏切り、悪の道へ。映画「少年と自転車」に、果たして救いはあるのだろうか。やってくれました、ダルデンヌ兄弟。日本でおとなしい生活をしている私の位置からは見えにくい存在を映画にするのが、憎たらしいくらい優れています。「息子のまなざし」など、悪い後味が残るけれど好き、という作品を作る兄弟...
「未完成の映画」2025年5月14日(水)池袋シネマ・ロサにて。午後12時55分より鑑賞(CINEMA ROSA 2/C-8) ~映画撮影中に襲うパンデミックの恐怖。コロナ禍をリアルに描いたフェイクドキュメンタリー 先日、「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」をもう一度観てきた。初見ではわかりにくかったところもほぼ理解できて、改めて良い映画だと思った。買いたかったパンフレットが売り切れで、入手できなかったのが残念だったけれど。 さて、前回取り上げたジャ・ジャンクー監督の「新世紀ロマンティクス」の終盤は、2020年のコロナ禍を背景としたドラマだったが、そのコロナ禍そのものに焦点を当てたのが、…
「ロザリー」2025年5月6日(火・祝)新宿武蔵野館にて。午後2時50分より鑑賞(スクリーン1/B-8) ~ヒゲを生やして自己を解放する女性のたくましい姿 「うちの女房にゃ髭がある」という映画がある。1936年(昭和11年)公開の千葉泰樹監督の日活映画で、恐妻家のサラリーマンと妻とのドタバタ劇とのこと。映画は観ていないのでよく知らないのだが、主演を演じた杉狂児と美ち奴の歌った同名の主題歌はなぜか知っている。YouTubeにもあるが、きわめてノーテンキな歌である。 ともあれ、この場合の「髭がある」というのはあくまでも比喩だが、実際にヒゲを生やした女性がいたのだという。19世紀フランスに実在したク…
ローマ法王が決まりました。アフリカ系、アジア系の法王云々の話は、もう、ミス・ユニバースじゃないんだから、「前回は南米だったし、その前は白人。そろそろアジア人を出さないと、まずいんじゃない?」なんていう忖度は、必要ないでしょう。でも、米国人とは意外でした。なにしろ、米国という国はカトリック教徒を低く見ている国です。ポーランド系、イタリア系、メキシコ系、アイルランド系は、悪く言われることが多く、蔑称が...
「KIDDO キドー」2025年5月2日(金)新宿シネマカリテにて。午後2時30分より鑑賞(スクリーン1/A-6) ~疎遠だった母娘の不器用な交流とすれ違いを独特のタッチで描いたロードムービー 今年のアカデミー監督賞を受賞した「ANORA アノーラ」のショーン・ベイカー監督が絶賛したという映画が「KIDDO キドー」だ。オランダのザラ・ドヴィンガー監督の長編デビュー作でベルリン国際映画祭に出品された。母と娘によるロードムービーである。 オランダの児童養護施設で暮らす11歳の少女ルー(ローザ・ファン・レーウェン)のもとに、離ればなれになっていた母のカリーナ(フリーダ・バーンハード)が突然やって来…
「異端者の家」2025年4月28日(月)TOHOシネマズ 池袋にて。午後2時より鑑賞(スクリーン4/D-7) ~若い2人のシスターの受難。「ラブコメの帝王」ヒュー・グラントがブチ切れた演技を披露 映画館に行けばA24に当たる、というぐらい目立つA24製作の作品。「異端者の家」はお得意のスリラー映画。「クワイエット・プレイス」の脚本家コンビ、スコット・ベック&ブライアン・ウッズが脚本を書き、監督を担当した。 布教中の若い2人のシスター、パクストン(クロエ・イースト)とバーンズ(ソフィー・サッチャー)は森に囲まれた一軒家を訪れる。ドアベルを鳴らすと、出てきたのはリード(ヒュー・グラント)という気さ…
街中で、病院で、車椅子を押す女性を見かけます。辛いと思うことは、ないのだろうか。車椅子に座る人にやさしい口調で語りかけることができるのは、どうしてなのか。私は4世代の共同生活を体験しているし、ボランティアもよくやっているから、高齢者には慣れていると思っていたけれど、相方と外出をすると、ついイライラしてしまいます。歩くのが遅いからイライラするのではなくて、足が弱くなった原因(=運動不足)は、彼自身。...
Lady of the City(2021年)のあらすじ無実の罪で終身刑を言い渡されたシャルバヌー。11年めにして、仮出所をする。息子の結婚式に参加するためだ。久しぶりの外は、なんだか太陽の光がまばゆくて、シャルバヌーは思わず目を細める。しかし、刑務所にいる年月が長すぎた。知らぬ間に、ふたりの娘の人生は狂い始めており、彼女は危険を冒してでも、娘たちの問題を解決しようと奔走するのだが、嘘まみれの世界で、もう誰を何を信じ...
「シンシン SING SING」2025年4月21日(月)キノシネマ新宿にて。午後2時45分より鑑賞(シアター2/A-4) ~限りなくリアルに描いた刑務所の収容者たちによる舞台演劇 「シンシン SING SING」という映画のタイトルを聞いた時に、ミュージカル映画かと思った。ところが実際は全く違った。シンシンとはニューヨークに実在するシンシン刑務所のこと。厳重なセキュリティが施された刑務所として知られているらしい。 「ということは脱獄劇なのか?」と思ったのだが、それも違った。この刑務所では舞台演劇を通じた更生プログラム「RTA」というものが行われているという。そのRTAを描いたドラマが「シンシ…
エジプトの都会、アレクサンドリアからイスラエルへ招待された警察音楽隊。アラブ文化センター開設のお祝いで生演奏することになっている。ところが、迎えは来ないわ、行先を間違えて、とんでもない田舎に着いてしまうわ、ホテルはないわで、大ピンチ。村に1件しかないレストランの女主人は、「アラブ文化センター?ここはイスラエルだよ?そんなモノ、あるわけないじゃん」とけんもほろろ。あらすじ詳細は「映画で巡るイスラエル...
トルコ中が大絶賛し、日本でも上映された「父と息子」は有名ですが、My Father というトルコ映画もなかなかの力作でした。「父と息子」で頑固おやじを演じていたÇetin Tekindorが、気難しい父さんを演じています。あらすじ妻を亡くしたユーセフ(Çetin Tekindor)に残されたのは、知的障害のある息子、アリフ(Berker Güven)。(あれ、この話はどこかで。そうだ、イスラエル映画「靴ひも」だ。)障がいのある息子を、ずっと恥じて...
「ベイビーガール」2025年4月17日(木)TOHOシネマズ池袋にて。午後2時25分より鑑賞(スクリーン1/D-5) ~女性視点のエロティックスリラー。ニコール・キッドマンの大胆なチャレンジ 今年のアカデミー主演女優賞は「ANORA アノーラ」のマイキー・マディソンが受賞したわけだが、下馬評では「ベイビーガール」のニコール・キッドマンも有力だと言われていたようだ。いったいどんな映画なのか。公開から20日ほど経ってようやく観ることができた。 ハリナ・ライン監督によるオリジナル脚本作品だ。ライン監督はオランダ生まれ。主な監督作品にA24製作の「BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・…
今週の「憤怒の人」は、愛子さんのかつての不倫相手のことが。響子さん、ここまで書いちゃっていいのかな。愛子さんから別れを切り出した時の騒動は、昔、瀬戸内寂聴さんと愛子さんとの対談でも愛子さんが語っていたことがあったけれど、娘、響子さんの立場から書いた「別れ・その後」も壮絶。だけど、響子さんの書き方が可笑しくて、笑っちゃった。糸杉紗依の頃より、断然イイよ、響子さん。さて。イラン映画になじみがないけれど...
「教皇選挙」2025年4月16日(水)TOHOシネマズ池袋にて。午後3時40分より鑑賞(スクリーン3/C-12) ~教皇選びの裏で繰り広げられる人間臭い争い。上質の選挙サスペンス さる映画プロデューサーから、「某作家が書いた選挙ものの小説を映画化したいからプロットを書いてほしい」と言われて書いて提出したのだが、あれから1年以上が経ち何も連絡がないのでいまだに実現していないのだなぁ~。すぐにでも映画化できそうな口ぶりではあったのだが。 それはともかく選挙を巡るドラマは面白い。カトリック教会の最高指導者であるローマ教皇を選ぶ選挙を描いた「教皇選挙」も、抜群に面白いサスペンスドラマなのであった。原作…
1922年、米国へ向かう大型客船に乗船したギリシャやロシアの「ピクチャー・ブライド」たちの人間模様を描いたBrides。元・写真家のノーマン・ハリスは、ギリシャのサモトラキ島出身のニキ・ドゥカ(Victoria Haralabidou)に惹かれていくのですが。Bridesでは、ギリシャやロシアの貧しい村の未婚女性の家族が、まるで家畜でも売るかのように、米国行きを決めてしまいます。女性に渡されるのは一枚の花婿の写真と彼の職業と住んでい...
「プロフェッショナル」2025年4月14日(月)池袋HUMAXシネマズにて。午後3時15分より鑑賞(シネマ3/E-12) ~ジャンル映画の枠を超えた佳作。哀愁漂うリーアム・ニーソンの演技が魅力 かつては重厚な人間ドラマなどで性格俳優として活躍していたリーアム・ニーソンだが、いつの頃からかジャンル映画のスターに様変わりした。新作の「プロフェッショナル」もジャンル映画には違いないが、そこには彼ならではの個性が発揮されている。 ちなみに邦題の「プロフェッショナル」は、同時期に公開の「アマチュア」を意識したものだろうか。原題の「IN THE LAND OF SAINTS AND SINNERS」のほう…
今年の桜は長く咲いてくれています。桜田通りから日比谷通りへ、そして芝公園へ。ボランティアの方たちが植えたネモフィラもきれいに咲いています。あらすじ(ネタバレ無し)医者もいない村落で看護師として働くズィナット。両想いのハミードと結婚をするためには、仕事を諦めなくてはなりません。ズィナットが仕事を辞めて家事に専念することを決心できるのかどうか、これが前半までの見どころとなります。映画監督のこと行ったこ...
あらすじジョージア州のブルーリッジの秘境に住む高齢女性、アニー。子供たちと夫、ヘクターに先立たれ、一人暮らし。そこへやってきたのが、調子のいい不動産開発会社のプリンス。プリンスって面じゃないが、「いい値段で買い取りますよ。ほら、隣村の別荘街ね、あそこもウチが買い取って開発したんですよ。」とアニーに言い寄ります。しかし、この土地にはアニーの夫や子供たちのお墓、それに数えきれないほどの思い出が詰まって...
「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」2025年4月9日(水)シネ・リーブル池袋にて。午後3時20分より鑑賞(シアター2/C-3) ~パレスチナに対するイスラエルの迫害とわずかな希望の光 イスラエルがガザでやっていることは間違いなく蛮行だ。絶対に間違っている。「ネタニヤフとその支持者は呪われて死んでしまえ!」と思ったりもするのだが、もちろんそんなことにはならないし、事態はますます悪化しているようだ。 「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」はパレスチナ問題を扱ったドキュメンタリー映画。ただし、ガザ地区の惨状を描いているわけではない。ヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地区でイスラエル軍によって進…
【イランアフガニスタン映画】コンテナの中でしか遭えない関係
惹かれ合う、それだけでは許されないのか。アフガニスタン難民の女性、マロナ(ハッシバ・エブラヒミ Hasiba Ebrahimi)と、イラン人労働者のサベル(サイド・ソヘイリSaed Soheili)は、マロナの父親の目を盗み密会を重ねます。ナウィド・マームディとジャムシド・マームディ兄弟の長編デビュー作、「数立方メートルの愛」(A Few Cubic Meters of Love)。タイトルの通り、数立方メートルのコンテナの中でふたりの、もっと近づきた...
「エミリア・ペレス」2025年4月7日(月)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時55分より鑑賞(スクリーン7/E-8) ~麻薬王の驚愕の運命をミュージカル仕立てで描くエンターティメント映画 今年のアカデミー賞で作品賞や国際長編映画賞をはじめ、非英語作品としては史上最多となる12部門13ノミネートを果たした「エミリア・ペレス」。結局、「ANORA アノーラ」が主要な賞を席巻し、助演女優賞(ゾーイ・サルダナ)と主題歌賞の2部門しか受賞できなかったわけだが、はたしてどんな映画なのだろう。ちょっと出遅れたけれど、興味津々で劇場に足を運んでみた。 「ディーパンの闘い」「君と歩く世界」「預言者」「…
パレスチナを取り上げたドキュメンタリーや映画をいろいろと観てきましたが、ドキュメンタリー「壊された5つのカメラ」は、撮影者がパレスチナ人、そして監督がイスラエル人という異色の組み合わせです。農業を営んでいたイマード・ブルナートがカメラを持ち、イスラエル人監督のガイ・ダビディと共同で作り上げたドキュメンタリー、「壊された5つのカメラ」をDVDで視聴しました。(文京区、港区、北区の図書館でDVDを借りること...
「ミッキー17」2025年4月1日(火)イオンシネマ板橋にて。午後3時45分より鑑賞(スクリーン9/F-10) ~社会を投影させたポン・ジュノ監督らしいSFアドベンチャー 4月1日はエイプリルフール。以前は映画サイトなどでも、派手に嘘の情報を乗せたりして面白かったのだが、最近はあまり見なくなった。普段でも偽の情報が飛び交うネット社会だけに、致し方ないところかもしれない。ちょっと寂しいけれど。 というわけで、4月1日に観た映画は「ミッキー17」。ポン・ジュノ監督がアメリカで撮った映画だ。エドワード・アシュトンのSF小説「ミッキー7」の映画化で脚本も自ら担当。ブラッド・ピットの製作会社「プランB」…
テロで家族全員を失ったアルメニア系フランス人女性、ISISの人質になった若い女性、そして米国から帰国したトルコ人男性の三人が、運命のいたずらで出逢い、危険を承知で行方不明の人質を探しに出ます。「私の娘の香り」(Kizim Gibi Kokuyorsun/Scent of My Daughter)は、2021年のイスラーム映画祭6にて日本初上映された作品。戦争、殺戮とは縁を切りたくても切れないトルコの歴史的複雑さが、よく表れた映画でした。主な登場人...
週末ではなく、平日のうちに千鳥ヶ淵に桜を見に行くとすれば、今日しかない。行こうか、行くまいか。平日と言えども、混む。それを考えるだけで面倒くさくなってしまうイナカモノ。どうせ外出するなら、某・作家のご自宅の桜を見に行こうか。こうやって脳内花見をしているだけで、行った気になるのは、岸本佐知子さんの悪影響。さて、それで、久々のルーマニア映画。悩みのあるカップルたちが、セラピーキャンプで7日間を一緒に過...
【ボスニアヘルツェゴビナ】「泣けない男たち」戦争の後遺症
シーズンオフのホテルに、男たちが集まる。1990年代のボスニア戦争で心に傷を負った男たちの集団セラピーが行われるが、果たしてセラピーの行方は。戦争そのものを映像で伝える映画ではありませんが、セラピーの場面を私たちに見せることによって、戦争の悲惨さを伝えるという、戦争映画です。男性ゆえの辛さもあるのでしょう。男だから涙を見せてはいけないという無言のプレッシャーが。これと対照的なのは、ボスニア戦争で残され...
「ロングレッグス」2025年3月23日(日)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後4時15分より鑑賞(スクリーン6/C-7) ~怪しく、謎めいて、異様な緊張感の途切れないホラー・サスペンス 最近の予告編で最も面白そうだと思った作品が「ロングレックス」。あの「サイコ」の主演俳優アンソニー・パーキンスの息子オズグッド・パーキンス監督によるホラー・サスペンスだ。アメリカではプロモーションが話題になったこともあり、予想を超える大ヒットになったという。 内容は、連続殺人事件を捜査するFBI捜査官のドラマだ。1990年代半ばのオレゴン州。FBIの新人捜査官リー・ハーカー(マイカ・モンロー)は、上司から過…
あらすじ中学生のレザ。母親と大学生の姉を支えるため、学校へ行く前にジャラールの工房で働いている。レザの仕事は、染め上がった絹糸の束を絨毯を織る職人たちに渡すこと。しかし、経営不振のため、工房閉鎖を余儀なくされている。工房が閉鎖されれば、レザはもちろん、絨毯を織る職人たちも失業してしまう。工房を守るために、レザは奮闘する。果たして工房の行方は。雑感映画、Wing of Imaginationでは絨毯の手織り場面や絹糸...