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「…」実地終了後の買い物帰り、れいりは部屋のドアノブを掴みながら、ふと隣の部屋を見た(一ヶ月以上なるけど、いざないとこんな長い間顔合わせなかった事ってあったっけ…?) 何かしら会ってたもんなぁ (おソノさんはしょっちゅうだから別にいいんだけど)見かけないいざないを自分なりに推理しドアを開けて部屋に入って行く
【本】小川洋子『シュガータイム』~普通とは何か、惹かれ合う二つの魂、モラトリアムと最後の残光~
1、作品の概要 『シュガータイム』は小川洋子の初の長編小説。 『妊娠カレンダー』で芥川賞受賞後、1991年に刊行された。 文庫版で215ページ。 砂糖菓子みたいにもろく甘い、青春の最後の日々を描いた。 2、あらすじ 大学生のかおるは、唐突に訪れた異常な食欲に戸惑いながら、その日食べたものをひたすらに記録する奇妙な日記を書き始めていた。 バイト先のホテルで余った大量のアイスクリームロイヤルをみんなで食べたこと、8歳から身長が伸びない病気にかかってしまった小さな弟の航平が隣に引っ越してきたこと、この二つが異常な食欲のきっかけにおそらくなった、と彼女は考えていた。 親友の真由子たちと大学野球を観戦に…
ああ、【永遠】という言葉が、こんなにも儚く虚しく霧散していく。 「大丈夫。アナタたちのことは、私が守る」 僕はよっぽどな表情をしていたんだろう。幼い子供を宥めるような優しい笑みを浮かべ、でもきっぱりと云ってくれたのは、僕たちの所属している小さな音楽事務所の社長。あのとき、僕たちを見つけてくれた。そして必死で育ててくれた。彼女がいたからこそ僕たちはこうして存在していられる。このひとは、身内を捨てたりしない。僕たちを、放り出したりしない。このひとがこう云ってくれるのならきっと大丈夫。僕が頷こうとすると、 がたっ、と。―――大きな音。 眼を向けると、計登さんが足をテーブルにかけ、揺らしていた。「・・…
れいりとソルムは両手一杯に街で買って来た袋を抱えディックの部屋へと入って行く 「ソルム! 最初はこれとこれとこれね。これはこーして」「…御意」 カチャ 「これからソルムさんの償いですか?」「うん〓」聞きつけてジンホウがやって来た。ディックは拳を作り入口近くでワクワクして待っている「終わったらこっち来て…
「どうぞ」「あ、すみません」まいちがれいりの荷物を持って来て渡す〈ダイヤ君、ありがとう〉 シャッ館内から出る準備をしてる際まいちはれいりの手首を見ている「赤いですね」「あれ…ほんとだ」左手首が擦り傷を負った様で赤くなっていた「床に擦ったみたいです。これくらいならすぐ治…
《百年》 (…今は静かだけど、お昼後かぁ……今のソルム、何でもありだし…どうしよ……)講習が終了してもれいりは席を立たずにソルム対策を考えていた「れいり! これからコスプレコンテスト見に行くけどどう?」「へ?」ミヨシが派手なビラをれいりに見せる「アイドルも誰か分かんないけど参加するんだって〓」「これは行かないとです…
なんの冗談かと思った。それで思わず周囲を見回してしまった。どこかに隠しカメラでもあるのかと思って。 でも見知った事務所の小会議室には、見慣れた物しか置いていなくて。そこに座る社長の表情も、帽子を目深にかぶって腕組みをしてどっかりと座っている計登さんも、そんな冗談を仕掛けるような空気なんて全く纏っていない。 「今後のことを決めないといけない」 招集がかかった。事務所の会議室。社長にそう云われた。その言葉の意味。4人いる《eternal》のうち、ここにいるのはふたり。僕と計登さんのふたりだ。・・・・・・時雨さんと十蒼(とおあ)さんは、いない。 「今後のことを決めないといけない」 『あのこと』があっ…
【本】川上弘美『真鶴』~ぼやけて滲んでいく境界線。常世と現世。現実と夢想。果たして実存とは?~
1、作品の概要 『真鶴』は2006年に刊行された川上弘美の長編小説。 平成18年度芸術選奨文部科学大臣賞した。 文庫版で259ページ。 突然失踪した夫を想いながら、京は日記に残された手がかり「真鶴」へと向かう。 2、あらすじ 12年前、突然失踪した夫の礼。 残された妻の京は、娘の百と母の3人暮らし。 恋人の青茲と逢瀬を重ねても、礼のことを忘れられず、彼の生存と帰還をあきらめることはできなかった。 礼の日記に残された「真鶴」の文字に導かれて、真鶴に何度も足を運ぶ京。 京は、女の亡霊に導かれて、礼の姿をあの日に何があったかを追い求めるが・・・。 3、この作品に対する思い入れ、読んだキッカケ 川上弘…
(いよいよか……!) にわかにアンドレスは身の引き締まる思いがして、手綱を握る手に力を込める。 それから、思い出したように、早朝の蒼天を振り仰いだ。 清々しい陽光を跳ね返しながら翼を羽ばたかせてい
二時間休憩《百六十年》 「では、僕達は陰ながら見守ってますので」「二人共ファイト―」「はい!」二人の応援を受け、れいりは元気よく返事。しかし後方でソルムが近づいている事に気付かない「…やはり掴むのが一番良いか」 ハッ ばっ 気配に気付き急いで距離を取る「あ…あぶな…」「……
ガシ 「戻るぞ!」「今良い所なのにー」ジンホウの腕を掴みぐいぐい引っ張るイン「お前はしばらく自分の目の届く所にいるんだ!」 少し目を離すとこれだインの力に抗えないジンホウは困っている 「外にディックがいるなら問題ない」 ギョッ! ソルムが美しさを保ったまま近づく気配を…
――次の日 「れいり!」 「おはようございます」扉を開けると待ち構えていたディックがニコニコと出迎えた「できたよ!」「……これは、シール?」「うん〓」パッと見ブローチの様な立体感があるが触ると平面になっている異物を受け取った「アクセサリーの陰にでも皮膚に直に貼り付けて」「はい」言わ…
1、作品の概要 『なつのひかり』は江國香織の書下ろし長編小説。 1995年に刊行された。 文庫で336ページ。 わたしと兄をめぐる、ひと夏の冒険ファンタジー。 2、あらすじ ある夏の朝、逃げたやどかりを探しに、マンションの隣に住む男の子・薫平が訪ねてきた。 20歳の栞は、やどかりを探しながら、兄・幸裕をめぐる奇妙な物語に巻き込まれていく。 書置きを残していなくなった兄の妻・遥子さん、愛人の順子さん、裕幸(?)の妻を名乗るめぐみ・・・。 やがて兄も栞の前から姿を消してしまい、キャラメルの箱から彼の途切れ途切れのメッセージが届くようになる。 少しずつ現実は融解し、夏の幻想に吞み込まれていき、栞は兄…
――三日後「ソルム、波長室行っていいかな」「御意」扉を開け、普段着のれいりはふいとソルムを見た 「………~~」ガチコン 五メートル近く距離を取り両手両足を大きく広げ固まってしまう「悪化してますが、どうしたんですか?」「ジンホウさん!」久々にやって来たジンホウがれいりの変さに訊ねている
第25話 インド編「シッキムのラマ教寺院で究極の悟りに至る」
河口慧海の場合、チベットに行こうと思えば関所破りしかなかったので、彼はヒマラヤの周囲をかなり遠回りした。当時は関所破りが見つかれば重罪で、死刑は免れなかったからである。それに比べてMは…
「ありゃ、観光船か? ずっと止まって煙出してるが大丈夫なのか?」朝の変化界。空を飛行する船を見つけたいさいが双眼鏡で眺めては心配している「おっ 動き出した」 なら良いんだ停止していた船が旋回し動き出したのでホッとした(…あいつらの船か…目立つ動きをしている。一緒にいなくて良かった)同じく上…
「よし、日本に帰ろう!」Mはやっと決心した。だが何のためにインドに来たのだったか。これといって具体的な目的があったわけではない。こんなところまで来ておきながら、収穫もないまま手ぶらで帰っていいのか。そんなことが頭のなかでグルグルし始めた。
ガン! ガンガンガン バキッ ゴオオオオオオオ 何度も足蹴りを繰り返し扉が落下すると、突風が船内に入って来る「ずい分手こずラセタ!」鼻息荒く必死で頑張ったプロパガショネムは、外に出ようと出口際に手を掛けた 「まちやがれ!!」 「と言われて待つ奴がいるか、アホダラ!!」プロパガショネムは笑いながら飛び出し…
Mは昨日から今いち体調が優れない。今朝も頭がボーッとして寝起きが悪かった。そういえばインドに来てからどれだけ痩せただろう。ヨーロッパから来た人たちは平気なのに彼だけがどんどん痩せていく。そしてとうとう…
凪良さんの本、これで3冊目(「私の美しい庭」「流浪の月」)になります。 2023年本屋大賞を受賞されたそうで、話題になっていてずっと気になっていました。 やっとやっと読めて、そしてあっという間に読んで […]
ビリビリビリビリビリ 動かなくなったプロパガショネムは纏わり付く痺れを受け俯いていた「僕はふる氏の所へ行きます」「戦人はとんでもねー奴しかいねーな」 えらい目にあった…いざないの眉間に皺が寄る。回復は当分先かもしれない「二人! そいつ見張ってろ、着陸させて来る」「はっ」何でもバ…
その後、トゥパク・アマルとスペイン人医師サレス、老練のインカ族の従軍医、コイユールたちはアレッチェの治療について協議を重ねていた。 会議室用の広間は、かつてはこの砦を取り仕切っていたアレッチェがいか
ふわりと軽く 飄々と こんにちは風◯りです☺️皆さまいかがお過ごしでしょうか❓ さて皆さんは『現実には存在しないもの』とコンタクトをとってみたいと思いますか❓ 回りくどくて何を言いたいのかわからない❓(笑) では、わかりやすく😁 『幽霊』や『神様のような存在』を見てみたいですか❓ 人によっては『幽霊』は嫌だけど、『天使』なら見てみたいと言う人は多いかも…😊 怖いのは嫌😱でも『天使』ならOK💕その心理わかります。私も怖いのはちょっと💦 でも自分の親しい人の『幽霊』なら❓私ならおばあちゃんの『幽霊』なら会ってみたいなぁ〜☺️ 今回紹介するのはそんな『幽霊』が見える少年が主人公の物語📖 【中古】心霊…
軽く痺れる手を押さえ、いざないは何も無い部屋の中を警戒しながら見回している。『カチ』と言う音がしカベのパネルがスライドすると無数の穴が出現した ブシュウウウウ 「!!」穴から大量の煙が噴出しいざないに噴きかかる「ヒャヒャ…」窓で観察してたプロパガショネムは煙で充満した部屋を見て歪んだ笑いをしている「できた…あたしゃ…
ある日のこと、近所のユルグがサイババのところまで行ってもらってきた、ビブーティなるものを見せてくれた。ちょっと見はお焼香の灰みたいで、あまりありがたくない。「どうせならもっとイイものをもらってくればよかったのに」Mがそんなことをいうと彼は・・・
1、作品の概要 『劇場』は又吉直樹の長編小説。 『新潮』2017年4月号に掲載されて、同年5月に単行本が刊行された。 単行本で207ページ。 表紙の装丁には、大竹伸朗『路上Ⅰ』が使われている。 2020年7月に映画化された。 監督が行定勲監督、主演は山崎賢人、松岡茉優。 東京で演劇にのめり込む永田と、彼を支える沙希の物語。 2、あらすじ 演劇に魅せられた永田は高校の友人・野原とともに上京して劇団「おろか」を結成。 劇団は上手くいかず、酷評される毎日の永田だったが、偶然路上で出会った沙希と付き合いだし彼女の家に転がり込むようになる。 夢を一心に追い続け演劇の脚本を書き続ける永田だったが、次第に自…
ウィン ドサドサ! 後方の大きな音にNo.10は計器を見るのを止めて振り返る「あんたは程…コルチ団だな」見張りとして立っていた暗人が床に倒れいざないと兵がそこにいた「んで、人質か」暗人はアドとオフィによって拘束される「何処に向かってんのか知らねーが、停止だ! 妙な動きしたらあんたも縛る」 ガタッ「…お願いしま…
第19話 インド編「特大パワーストーンの魔除け効果とヒーリング」
Mの住むコミュニティから少し離れたエリアにパワーストーンを扱う人たちがいた。そこへ出かけて行くと、色も大きさもちがう珍しい石がズラリと並んでいる。説明によれば、石にはそれぞれちがったパワーがあって、水晶などはヒーリングにも使われるのだという。確かに…
「……あの………ソルム?」〈えーと……んーと…これって…特訓であったから…あれ? ディックさんで…〉今の状況が飲み込めなくなりこの前の出来事を振り返り始めた 「プリセプスを 失うかと思った」 前の主を失ったソルムにはれいりの大ケガは精神的に大きなダメージを負っていた。ソルムは沈痛な面持ちでれいりをしっかり包みとても辛そうだ …
今週のお題「読みたい本」 今読んでいる本があります。話題になっていたので早速図書館に予約し、やっと順番が回って来たところなのですが、、。まるで映画を観ているかのように情景が鮮明に浮かび上がり、登場人物たちの心情が胸に響いて、なかなか先に進めないのです。 そのページにずっと留まって味わいたくなる不思議な本。 「あなたを想う花」上・下 ヴァレリー・ぺラン <Amazonの本の紹介より> フランスで130万部突破の国際的ベストセラー2020年イタリアで一番売れた本2022年ノルウェーで一番売れた本ウォールストリートジャーナルが選ぶベストブックに選出 ネタバレにならないように簡単にご紹介すると、主人公…
「パラレルワールド・ラブストーリー」東野圭吾著、講談社文庫、1998年3月パラレルワールド・ラブストーリー(講談社文庫)東野圭吾講談社一方の世界では親友の恋人である女性が、もう一方の世界では自分の恋人になっている話。ファンタジーでもありそうな話ですが、理系出身の著者が科学的な恋愛ミステリーに仕上げています。序章で自分とその女性が並走する電車のドア越しに毎週目を合わせていることが、ストーリーをよりミステリアスにしています。1995年2月単行本出版、1998年3月文庫化、自分が購読したのは2008年6月発行版。出版から28年、自分が購読してから15年経っていますが、科学に関する記述も含め、色あせた感じはしませんでした。そのせいか映画化されたのは2019年と比較的最近。まだ見ていないですが見てみたくなりました。...パラレルワールド・ラブストーリー
マルー、夜中 パチ 「れいり、起きた!」「ディックさん…ソルム…」目が覚めたれいりは、側に寄り添うディックとソルムを見る。頭はボーっとしているが、最後の記憶を辿り何故自分が部屋にいるのか考えた「…私…Mさんの前に出て……」「そう! 大ケガして倒れちゃったの」「……」椅子にはれいりの装備袋が乗っ…
包帯に巻かれているにもかかわらず、火のように激昂した表情が見えるかのようなアレッチェの暴言に、スペイン人医師サレスは冷静さを失わぬままに答える。 「お気持ちは察するに余りあります。 ですが、閣下の
「あのねぇ、ずっと、」 なんの脈略もなく、だけどとても自然に、空を見上げていた時雨さんが口を開いた。どこまでも青い空に、綿あめみたいな真っ白な雲がひとつ、ふわふわと時雨さんの視線を誘いながら流れていった。「ずっと、探している気がするんだ」 夢のなかにまだ、半分くらい居る。そんな表情をして時雨さんはそう云った。 独り言なんだろうか。隣に立つ僕は、どう返せばいいのかそれとも聞こえない振りをしていれば良いのか、迷い、半端に口を開いたまま、時雨さんの端正な横顔をただ見つめる。「なにを、だろう。なにを・・・・・・、なんだろう。でも、わかんない、」 漂う雲を追っているのか、それともあの空の向こうをただ見て…
「飲んだわね」「ええ」空のグラスをテーブルへ置いた「じゃあ答えなさい、本当にあなたは誰にも言ってないの?」「言ってません」「マルーとの繋がりは?」「仲介者です」「名前は?」「ジンホウ…ジンと言って下さい」尋問に詰まる事なく答えていく「あなたの名前は?」「ベスで良いわ」
第17話 インド編「本場インドのオイルマッサージ師と頂上対決!?」
私が治療もどきのことをしているのを聞きつけて、あのマッサージ師のアドンがたずねてきた。どうやら私の実力のほどを確かめたいらしい。二人でお互いを治療し合って、得意の技を競おうというのだ。私は一瞬身構えた。
ああ、そうか、おれは、 約束をしたんだ、―――約束を、だから、 だからそうか、たいせつな■■を手放したから、だから、 だからおれはまた、 空っぽだ。
数分前「オチデドゥムも行ったか――」上り坂付近の見晴らしの良い場所で、オチデドゥムが暗へ還って行くのを二人は眺めていた「残った暗は収容済み。追って来る前に行きましょ。又違うの考えてね、プロッパ〓」「……」ベスは大きな鳥を腕で支えながら軽い動きで目的地へと走り出す「羽の子達は又どっかで作れば良いし、置いてくわ」
第16話 インド編「カルカッタの人混みでインド人のひざ痛を治す」
オーロビルでは、1年間ボランティアをすればオロビリアンに認定されて、そのまま永住資格がもらえる。まわりの友人たちが、私も何かボランティアをやってオロビリアンになるように勧めてくれた。そのためには、何でもいいから特技はないのかと聞いてくる。Mが「少しだけなら治療らしいことができる。東京で腰痛を治したことがある」と話してみると…
第15話 インド編「奇跡の輪郭 フランス人青年ミシェルとマッサージ師アドン」
ある日、隣の部屋にミシェルという青年が住み始めた。彼は交通事故のせいで下半身付随になったときから、車いすの生活らしい。毎年フランスから一人でやってきて、バカンスの時季の数か月だけオーロビルで過ごすのだという・・・
「どうする? れいりこのまま二層連れてく?」『明との会話は疲れる…』と呟き歩くいざないは、サニタ―の一言に動きが止まる「でも、れいりこっちに恋人いるし二層行ったら会えなくなっちゃう」「あ、そうなんだ」サニタ―はディックの言った事を考えた「…ん? じゃ、二十歳なっても二層行けないよ」「あ、本当だ!」「……」
夢なのか現実だったのか、 それすらも曖昧で、 しあわせという言葉の意味が、 何故かひどくかなしく響く。 どうしてだろう、 なにかを忘れてきた気がするんだ。 でもなんなのか、 それがなんなのか、 わからないんだ。 何処かにあるんだろうか、 まだ何処かにあるんだろうか、 けれど何処へ行けばいいのか、 わからなくておれはずっと途方に暮れてる。 あのきんいろのひかりと、あの空の色。 どうしてこんなにも、 くるしくなるんだろう。
【本】村上春樹『海辺のカフカ』~くぐり抜けた先でなされた世界との和解~
1、作品の概要 『海辺のカフカ』は村上春樹の書き下ろし長編小説。 2002年に新潮社より、上下巻で刊行された。 翻訳版が『ニューヨーク・タイムズ』紙で年間のベストブック10冊、世界幻想文学大賞に選出された。 蜷川幸雄の演出で、2度舞台化されている。 この作品が刊行されるタイミングでホームページが作られ、村上春樹自身が読者との交流の場を設けた。 現在はホームページは閉鎖されたが、メールのやり取りは『少年カフカ』に掲載されている。 運命の呪いに翻弄される15歳の田村カフカと、導かれるように四国へと旅する不思議な老人・ナカタさんの物語。 2、あらすじ 田村カフカは、15歳の誕生日に家出をすることを決…
雑踏の中、―――そう、見知らぬひとたちが行き交う、その中に居る。ゆめ。そう、これはゆめ。ゆめのなかで、おれだけが立ち止まり、人の流れに眼を凝らす。 だけどどうして、 そんな風に立ち止まってしまうのかわからない。 けれど確かに、 なにかを探している。そんな気がする。ゆめを、―――夢をみているって知っている。わかっている。けれど。 それがなんなのかわからない。 なにを? ―――なにを? おれは、・・・・・・ねぇ? 探している気がする。夢のなかで探しているずっと、 なにを? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・誰れを? 〈fragment〉 時折過る、音の欠片。 きんいろのひ…
琥珀の夏 辻村深月 久しぶりに辻村深月さんの作品。 地味でおとなしめの、自分に自信のない内向的な感受性高めの女の子を描くと辻村さんの右に出る人はいないんじゃないかしらと思います。 * ※ […]
ゆめをみてた。 焦燥感が残っている。 起き上がって両手をじっと見た。 なんだろう、 なにかを掴みたかった。そう、おれはなにかを掴みたかった。けれど、 届かなかった。あれは、 ・・・・・・・・・・・・なんのゆめだったか忘れたけど。あれは、 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんだったのかなぁ、
ザッ…ン ドバッ 噴き上がる鮮血にいざないは目を見開く。ディック、るうりん達は戦慄した コテッ れいりは風に吹かれた様に軽く倒れた「れいり!!」 だっディックは急いでれいりに近づき状態を把握する「れいり! れいり!!」「…」「血が凄いよ!! どうしようっ…
胸の奥で花が揺らめく。 ―――【 】が尋ねる。心底不思議そうにぼくに問う。 胸の奥で花が震える。 ああ、こんなにもぼくの躰には花がみっしりと根を張っているのに。 ああ、こんなにもぼくの心は果てしなく空虚なんだ。 花たちはほろほろと花弁を散らす。それは涙のようにはらりはらりと足許に零れる。 ―――【 】が尋ねる。心底不思議そうにぼくを眺める。 もう、いいんだ。もう、終わらせたんだ。なのに、 ――――――――――――なのに、―――――――――――――――どうして? 〈暗転〉
オーロビルでは有名な話がある。あるところに、がんにおかされて医師からも見放された男がいた。彼はダライ・ラマのところに行けばチベット医学の秘薬があると聞いて、人づてにダライ・ラマを紹介してもらった。そこで手渡された秘薬を飲んだら・・・