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好きな本の挿絵 ーメアリー・ポピンズとメアリー・シェパードー
子供の頃、岩波少年文庫の本が自分の本棚の何割かを占めていました。母が買ったのだと思うのですが、小学校に上がるときに、本棚と机をもらった時点で入っていた(と思います)ので、岩波少年文庫シリーズが、しれっと本棚を占領していることに疑問を持ったことはありませんでした。 一度も読みなさい、と親に言われたことはなく、小学校2年生くらいまでは、全く触りもしなかったと思います。それが、何かの拍子に一冊手に取り、読みだしたらはまってしまって、本棚の岩波少年文庫を読みつくし、図書館に月に2回通っては、本を借りまくる子供になりました。中学生の受験生になるくらいまで、ずっと毎月、図書館に通っていました。 岩波少年文…
「ずっと、そう考えていて……だけど夢を諦めてしまうようで、なかなか君に言い出せなかった」 照れながらはにかむアシュリーにケイトは何度も頷きながら、彼の頬を両手で優しく包んだ。 「やっぱり私の好きな青は、この瞳とブライトンの海ね」 そう囁き、彼の唇に優しくキスをしたケイトは、もう無理に明るく振る舞う必要もなさそうだ。 二人が抱き合う姿を背に静かにドアを開けると、レイチェルの瞳から涙がこぼれた。僕は彼女の肩を支えて、そっと声をかけた。 「3度目のチャンスを待つ?」 レイチェルは肩を竦め、お互い小さく微笑みながら部屋を後にした。 ◆ ◆ ◆ アシュリーがレイチェルを送りに行っている間、僕とケイトは彼…
「え?」パチクリ顔のれいり。れいりが入って来られたのは同じ派だったのでまりもが許可していた為だ「かんこさんの所にれいりさんがいます」「ウオルシルクリ…!」気付いたまいちがいざないに伝える 〈まりもさん、ソルムも入っていい?〉〈はいですぅ〉 すんなり二人が最上部の観客室へ進入 『レオ!! そこの…
「今は僕の思いのほうが強いかもしれない。でも、絶対にケイトからアシュリーを忘れさせてみせる」 そう自分に言い聞かせるように答えると、レイチェルは目を見開き小さく吹き出した。 「ふふ、ごめんなさい。じゃあ安心して話せるかしら? 私たち、同志になれるかも」 彼女の瞳が鋭く光り女の表情に変わった―― ◇ ◇ ◇ 「時々、カフェのこの席で本を読みながら、ケイトを待つアシュリーを見かけたわ」 窓から見える書店を眺めながら眩しそうに話すレイチェル。 「アシュリーはカフェに入る前、書店に立ち寄る常連さんでね。本の話を通じてお互いを知っていくうちに、彼は私にとって特別な存在になってた……」 彼女は紅茶を一口す…
ヴォン 「部屋の一角か」「まずはどしやを探さねばならん」着いた先は明かりの無い薄暗い部屋。客間の様で高級家具がふんだんに置かれていた「いざない、どうだ?」「この部屋にいた事は確かだ」周りを観察するいざないはどしやがいた事を確信する 「お待ちしておりました」 「!!」「四名様ですね。…
キウド邸からほど近い高原に設置されたロケット型バンガローに到着すると、取りあえず休憩となった「中々良い所だの」 景色も良い!「私達はこのままのんびりしてて良いのでしょうか…」「どしやが出て来ない限り仕方ない」各々寛ぎ、一丁は目の前の景色に満足している。一人いざないはその場にいないジンホウを探しに違う…
次の日、僕は郊外まで車を走らせた。助手席には愛しのケイトではなく弟を乗せてね! 「当日はヘレンと約束しちゃったけど、久しぶりにお参りしたいんだ」 ダッドの命日より、彼女優先か!そういう僕も実はケイトのことで頭が一杯で、すっかり忘れていたなんてフレッドには言えない…… そんなわけで墓地まで1時間程度のドライブ。僕等兄弟は「絶対デビューするから」とダッドに誓いを立てた。 それからフレッドのリクエストでホームセンターやスーパーに立ち寄り家に着いたのは16時を過ぎていた。 思ったより時間がかかっちゃったけど(フレッドの買い物が長い!)まあ確かに、くすぶっていたしいい気分転換になったよ。きっとフレッドな…
ロンドンに帰って来た僕等を見てフレッドは少し驚いた様子で、こっそり僕の部屋にやって来た。 「ケイトが戻って来たってことは、彼氏とうまくいかなかったの?」 僕はカバンを開けて、中身を片付けながら答えた。 「そういうことに、なるかな」 「ふーん……じゃあ、このまま一緒に住むことになるの?」 「そういうことに、なるかな。あっ、コレお土産――どうした?」 レコードを渡そうとしたらフレッドがニンマリしているのに気付いた。 「別に、サンキュー!」 彼はレコードを受け取りドアノブに手を掛けると、 「あんまり見せつけないでよね⁉︎」 とウィンク一つ、部屋を後にした。 途端に顔が熱くなる。弟の勘の良さには、敬服…
「酷い、酷いアシュリー!」 「そうだ、あいつは酷い奴だ!」 「浮気してたなんて、許せない!」 「そうだ、ケイトを泣かすなんて許さない!」 「私よりレイチェルをって、どうしてよ⁉︎」 「そうだ、ケイトの方がグラマーなのに!」 〈ペチッ!〉 ケイトは軽く僕の頬を叩いて、まだ涙が残る笑顔を見せた。 「あースッキリした! こんな大声出したのって、初めてかも⁉︎」 彼女は背中を向けて海の方へゆっくり歩きながら、恥ずかしそうに口を開いた。 「不思議だな……私、ジェムにはこんな風に甘えたり、不安な気持ちをさらけ出せるなんて。きっと頼りがいがあるって、あなたのような男性ひとのことを言うのね?」 僕は一歩一歩、…
黙ったまま俯いているアシュリーの腕にそっと手を添え、レイチェルは静かに語りかけた。 「でもあなた、本当はずっとケイトを待っていたのよね? 彼女が戻ってきたなら、私なんて邪魔者で――」 「そんな! いや、その……僕が今こうしていられるのは君のおかげだし、だから――」 「よく分かったわ!」 イラついた様子でケイトは話を遮ると何故か極上の笑みを見せた。 「さようならアシュリー。今まで、どうもありがとう。私の荷物は、また後日あらためるから」 そして、ドアを勢いよく開け僕を手招く。 「行きましょう、ジェム?」 僕は違和感を抱くも何も言えないままただケイトの後を付いて行った。 家を出て少し坂を登り人気のな…
掴まれた手を振り払うケイトを必死で止めるレイチェル。 「なんで今さら、帰ってきたの⁉︎」 「あなたに、そんなこと言われる筋合いは無いわ」 「ケイト落ち着いて!」 咄嗟にケイトを押さえる僕にレイチェルは目をやるとケイトを睨み付けた。 「もう他の男性ひとがいるクセに……あなたはアシュリーを捨てたんでしょう⁉︎」 「捨てたって、なに言って――!」 そこへドアが開きアシュリーが入って来た。 彼は一瞬、驚きの表情を見せるも直ぐ視線を逸らし、買い物袋をテーブルに置いた。 アシュリーは小柄で貧相な男だったけどスッキリと整えた黒髪にブラック・スクエアの眼鏡から覗く伏し目がちな深みのある灰色の瞳は、確かに〝物静…
まさか今でもその子を思っていたなんて! 項垂れる彼の肩を叩き、励ますように言ってみた。 「残念だけど……その彼女のこと、いつまでも思い続けてても建設的とは思えないよ? ヘレンと付き合ってみなよ。今、君の側にいてくれる女性ひとを大切にしたほうがいい」 フレッドは納得いかない様子だったけど、構わず続けた。 「それに女の子と付き合ったら、何か素晴らしい詩や曲ができる、ヒントになるんじゃないかな? やっぱラブソングって王道だし」 するとフレッドの表情がパッと明るくなった。 「うん……そうだね、そうかもしれないね⁉︎ 僕、ヘレンと付き合ってみるよ!」 こうして彼は前向きになり部屋を後にした。 いいよな〜…
「写真撮ってくれてる。ほら、ジェムも入って⁉︎」 「えっ、僕はいいよ」 20年もロンドンに住んでいる身としては、今更ライオンと一緒に記念撮影なんて恥ずかしすぎる! 「照れちゃって。ダメ、逃がさない!」 ケイトがクスクス笑いながら腕を絡めて、引き寄せてきた。 僕の腕は、彼女の胸の感触を捉えもう力なんか入らないよ⁉︎勘弁してくれー! って苦笑しつつピースしながら写ってしまった…… 子供達の母親にお礼を言われ、撮ったばかりのポラロイド写真を貰いニコニコしているケイト。 そんな明るく、気さくで愛らしい彼女にどんどん惹かれていくのをもう止められそうになかった。 こんな気持ちは初めてで、自分で自分の感情に…
――続目洞 ヴォン 「くそぅ…また洞の中か」法陣に入るも出た先は仄かに明るさがある洞窟の中だった「小若、この洞窟は何なんだ?」「続目洞と言うて、十になったら跡継ぎを決める為に入らねばならん所だ」歩く度足音が奥に吸い込まれ、先の見えない道のりを延々と歩いていく。よ小若は子象へと変化し、その背にはハナエンが座っていた
扇風機だって、呼吸をしている。涼しい息を吐くばかりではない。電源が入っていない時は、扇風機はひたすら周りの少しでも涼しいところの空気を吸うのだ。扇風機をただ置いておくと、周りが暑くなるだけなのである。だからと言ってつけっぱなしにしておくと、扇風機は怒って生暖かい息を吐くようになるので、たまには休憩させてやらねばならない。そんなに完璧な器具など、なかなかないのである。...
僕はいつもと違い(!)きちんと身なりを整えてから下に降りると満面の笑みで、ケイトが迎えてくれた。 「焼きたてのトースト、カリカリのベーコンエッグ。フライド・トマトにキュウリ、マッシュルーム、ベイクド・ビーンズ、デザートは蜂蜜ヨーグルト。これぞ、フル・イングリッシュ・ブレックファースト! どうぞ召し上がれ♩」 朝食はいつもコーヒーやシリアルの僕には眩しいぐらいの豪華メニュー!昨日のパスタもそうだけど女の子が料理を作るとこんなにも華やかになるんだ⁉︎テーブルに、庭の花まで飾ってあるよ。 ケイトが手渡してくれた新聞を見ながらチラッとエプロン姿の彼女に目をやり結婚したら、こんな感じか……って思わず妄想…
溜め息混じりにムクれたと思ったら 「ついうるさく言っちゃうけど、彼に夢を諦めて欲しくなくて……だって私の一番の夢は、彼の小説の挿し絵を描くことなの」 そう照れて、はにかむ彼女のクルクル変わる表情に、僕は目を離せずにいた。 ケイトは勢いで家を飛び出したもののずっと友達の家にいるわけにもいかず、だからといって祖父母の元に戻ればアシュリーと住む事を理解してくれた2人に心配かけてしまう―― そう駅のベンチで悩んでいたら、偶然ステイシーに会ったそうだ。 「事情を話したら『ギルは今NYでいないから、家にいらっしゃい』って言ってくれて」 ステイシー の奴、自分も家にいないくせに相変わらず勝手だよな! 「ステ…
ケイトが鼻歌を歌いながら手慣れた様子で料理をしてる間に僕は身なりを整えダイニングに降りてくると、まるでレストランのように色鮮やかなパスタとサラダが用意されていた。 そして、美味しくランチをしながらケイトの話に耳を傾けた。 サラサラしたブラウンのロングヘア。瞳はミスターと同じグレーだけど彼には、さほど似ていないと思う。(良かった!)声の感じが少しだけメアリーに似てるかな…… ◇ ◇ ◇ 「私ね、ブライトンに程近い、祖父母の家に預けられてたの」 祖父母はミスターの両親ではなく母方の方だという。 「小さい頃から絵を描くのが好きで勉強はそっちのけだったから、16歳になるとギルがチューター[家庭教師]を…
暗世界。轟々と唸り空高く昇る風を数キロ離れた邸で冷ややかに見つめる女性の姿があった。床に付く程の長い髪をした女性の側には、法で書かれた紙に囲まれて咲いている萎れかけの花が花瓶に生けられている 「女帝、いさい殿がお見えです」 「……十日と九時間二十二分三十七秒の遅刻だ!!」「!!」そそくさと部屋を出て行くも、いさいを見る目は怒りを含み厳し…
「実はパティを連れて来てるんだ。後で会ってやってくれないか?」 躊躇うようなサムの台詞に明らかに動揺し、声が上ずるフレッド。 「も、もちろんOKだよ!」 真っ赤になってるフレッドの背中を皆んなでバンバン叩きながらスタジオに向かった。 「おいおい、隅に置けないなぁ?」「あの人の妹とは、どういう関係?」「パティってどんな子? 可愛い?」 矢継ぎ早な皆んなの攻撃を必死で交わすフレッド。 「わ、分かんないよ! もう何年も会ってないもの」 こんな突然、しかも外国で初恋の相手と再会できるなんて奇跡じゃないか!? 僕は感動のあまり、可愛い弟に勢い良く飛び付いた。 「やめてジェム! テレビに映ってるよ⁉︎」 …
大阪公演の後、バンドは再び東京に戻ってきた。今はテレビ局の控え室にいて出番を待っているところ。 この番組は海外からのアーティストも多数出演していて、有り難いことに僕等にもオファーがきたんだ。ま、演奏は当て振り[口パク]なんだけどね。 ヘアメイクも整えもうすぐ出番がくる間、皆んなそれぞれの形で寛いでいた。 そこへ、スティーブンがやって来て 「フレッド、プロデューサーの知人が君に面会したいそうだけど、彼を知ってるかい?」 そう訝しげな表情で後ろにいた男を手招いた。彼を一目見るなり、フレッドが叫ぶ。 「サミュエル・ヒューストン!」 「覚えていてくれたか、フレデリック・スチュアート!」 嬉しそうにハグ…
コンビ派メンバー、りん(姉)とらん(妹)が人気の無い裏通路を見回っていた「こっちには誰もいないかなー」「うん。せんぱいに伝えよー」預かった連絡機を操作するりん。らんはその間少し離れて何か無いか探索している〈えーと〉手こずるりんの背後から人影が現れそっと近づいた〈初めてで使い方わかんなーい〉人影の右手には穴が二つ開い…
「もう終わりだ、なんて思うなよ?」ヤスが真剣な表情を向けた。 僕はいつまでも歌っているトニィを遠目に 『例え目の前に壁が立ちはだかっても、僕等は決して負けはしない』 そんな歌の意味を噛み締めた―― ★ ★ ★ 清水の舞台から京都の街を一望しているとマークがサングラスを外し眩しそうに呟いた。 「ウォルターに見せたかったな……」 あれからカナダの更生施設に入ったウォルターは身体はすっかり回復したものの、依存を断ち切るための治療は続いているそうだ。 でも、その施設で出会った10歳も若い看護師さんとステディな仲になり、ボランティア活動に力を入れて充実した日々を過ごしているという。 「その方が、ウォルタ…
「急に連絡よこしてスタジオ貸せって、お陰で予約してたバンドに『機械の調子が悪い』とか何とか誤魔化して、キャンセルさせる羽目になったんだぞ⁉︎」 「サンキュー、ライリー! 分かってんじゃん」 「このクソガキが! 変わらず元気そうじゃねぇか」 スタジオ・オーナーのライリーとマークが、お互い叩き合いながら抱擁を交わしているのをバイトを無断欠勤となってしまった僕は、バツの悪い思いで眺めていた。 するとライリーが 「おめーはよく、警官ボビーの言いなりにならなかったな? 思いのほか気骨があるじゃねーか! 見直しだぞ、頑張ったな」 そう笑いながら大きな手で僕の頭を揺らした。 恥ずかしさと嬉しさで目頭が熱くな…
オリジナル絵本『かなしみさん、君と素敵な絵を描こう』の作画過程を記しています オリジナル絵本『かなしみさん、君と素敵な絵を描こう』の作画過程を記しています
ご依頼者様が自然環境や幼児教育の専門員であることから、忠実な描写も残しつつ、愛着のあるキャラクターとなるよう心がけました。 ハンコで手押ししたときのような、温かく懐かしい、優しい表現も大切にしました。 Illustratorのみで描いているベクター画像のため、拡大縮小や色彩変更等も可能となっています。
「博士は冒険家と言ってるけど、本当は発明が専門なんだ」「そうなんですか」いざない達が見えるくらいの距離を進むジンホウとれいり「自分に必要な物しか作らないから、今みたいに欲しいと意思表示しないと協力してくれないけどね♪」 〈いざない、ペース落とすし!〉〈これくらいついてこい!〉 「へえ~」「いざない君の眼鏡作ったのも…
1月中の仕事 チベットビールラベルと「しかばねの物語」絵画展
■1月中の仕事 2024年明けまして、遅くなりましたが、 皆さま今年もどうぞよろしくお願いいたします。 今年は元旦から悲しい衝撃の出来事が立て続けに起こり…どうか、少しずつ皆さんが平穏な日常を取り戻されますように…。 いつもお世話になっている、 東京・曙橋のチベットレストラン&カフェ タシデレさんの オリジナルクラフトビールのラベルを描かせて頂きました。 絵は私蔵西、デザインは辰砂です。 ビールのお披露目がまだなので、ラベルが公開できないので、 ラベル作成途中のラフと、クリスタでの作成途中の画像を貼ります。 タシデレ オリジナルチベットビール ラベルラフ4点。ここから選んで頂き、本描きをしてい…
「誰かサポートに入ってもらうとか?」トニィはそう言ってフレッドの顔色をうかがった。 曲はともかく、詩の大半を書いているフレッドには気を使ってしまうみたいだ。 「……僕達の曲を、メンバーじゃない人に弄られるのは嫌だよ。アイディアを盗まれたくないしね」 案の定、ムスッとするフレッド。Aレベル[大学入学資格試験]が近いせいか、イラついてるな。 僕は彼の肩を軽くさすってご機嫌を取った。 「オリジナル曲じゃなければ、サポートしてもらってもいいんじゃない? たまには息抜きも必要だよ」 しょんぼりとしていたトニィがパッと顔を輝かせた。 「だったら久々に、セント・ブライアンズで演らないか? ウォルターに頼んで…
菩提樹から「光明」という小冊子が送られ、この中に「仏教童話」があります。「仏教童話」とは、仏教の教えを子どもでも理解しやすいように物語にしたものです。仏教中心の問題が書かれているのですが、平明に書かれており、とても読みやすいです。挿絵もあるので、私は好
清水寺、金閣寺、平安神宮 etc.――一日中オフをもらった僕等は待ちに待った二度目の京都見物にテンションを上げていた。 前回プロモーションで来日した時は番組収録を兼ねていたから観光らしい観光はできなかったけど、今日は自由に回れるってことで皆んな凄く楽しみにしてたんだ! 東京のハイテクな街並みも面白いけどやっぱり京都の、このエキゾチックな雰囲気には魅了されてしまう…… 僕は買ったばかりの日本製カメラでフィルム代のことも忘れあちこちシャッターを切って回った。 好奇心一杯のマークが 「うぉー! すげぇエキサイティング! ヤス、あれは何だ!?」 と、そこら中を駆け回り同行のカメラマンが困ってるよ。マー…
――五日後「うれしいですねぇ」幻獣の森入口では明るく陽気な声が響いていた「まさかこんな早くに又ビイス君達に会えるとは」「…頼むから邪魔だけはすんなよ」「分かってますって〓」いざないは面倒くさそうにジンホウを見ている「…大丈夫かなぁ。十人くらいいるんでしょ…捕まえられるかな私……」マルーの仕事と聞いていた…
■12月中の仕事 東京の出版社で打ち合わせがあり、その準備をしたり、 鶴見大学での講演イベント「内陸アジアの高地文化に触れてみる」に 物販売り子としても参加したり、 その他来年のイベントの打ち合わせをしたり。 師走らしい、来年への準備をした月でした。 そして、3か月かかったリフォーム工事が終わりました。 長かった…。 12月は最後の追い上げで、塗装やクロス工事や新しい畳、襖、障子が入り… と、工事が目に見えてぐいぐい進み、 決めることも多くて、慌ただしかったです。 3か月の工事が進んでいくうちに、 様子が見えるのでアイデアが次々浮かんでしまい、 追加で間接照明を設置して頂いたり、 給湯器やエア…
ここのところ、断続的にPixivに自作の超短編小説を投稿してました。 随分と前に書いたものだったのですけど、「そういえばPixivは絵だけでなく、小説もあげられるんだった」と気づきまして。 で、Pixivの小説投稿機能を見てみたんですが、これが素晴らしい! ルビはつけられ...
「そんな時間あんのか⁉︎ また強引にプロモ入るんじゃねーの?」 「縁起でもないこと言うなよ!」 〈バサッ!〉 マークを小突いたトニィの振動で僕がシートに置いていた手紙の束が落ちてしまった。それをフレッドが拾いつつ 「まだファンレター読んでんの? 車の中で、よく読めるね……僕は気持ち悪くなっちゃうよ」 と呆れながら手渡してくれた。Thank you ! 「だって溜まっちゃってさぁ、昨日読めなかったから」 手紙の山を軽く叩くとマークが覗き込んできた。 「これってファン・レターってよりも、ラブ・レターだよなぁ?」 「オレなんか凄いの貰ったよ!『トニィ、第二夫人でいいから結婚して♡』って、もうルイスの…
本日の体重は、51.9㎏。ポカポカ陽気の中を7.5㎞走ってきました~ 暑いのなんのって、冬じゃなくて秋のような気候ですね~ このまま暖冬で終わってくれるといいのですが…。 今日は、朝から洗濯槽と換気扇のお掃除もしました。そして、息子からのリクエストに応えて大学芋をつくっ...
「泊めるならジェムん家ちの方が、広くて余ってる部屋あんだろ⁉︎」 そう、ルイスはヤスの家で世話になることになったんだ。 「だって僕の家は基本フレッドと僕の男2人だけだから、いつ始まっちゃってもおかしくな――痛っ!」 僕の下品な冗談にトニィの鉄拳が飛んだ。彼は僕を押し退けヤスの両手をガッシリ握ると大きく上下に振り出した。 「すまないなぁ、ヤス。君の家なら超〜安心さ!」 「あ〜らヤスアキ、私が居たら迷惑かしら?」ルイスが横目でヤスを見る。 「恭章、何してるの⁉︎ 寒いんだから、早くリビングに上がってもらって?」奥からユミコの声がして仕方なくルイスを手招きするヤス。 そんな2人を見て、ほくそ笑んでい…
feat. Samantha Fox カクカク揺れる僕を尻目にフレッドがクスッと笑う。 「大丈夫だと思うよ? ルイスの方も〝その気〟なんじゃないかな!? あのスーツケースの中の高級そうなランジェリー、セクシーなドレスにブランド物の化粧品なんて、気合い十分――」 「見ないでよ⁉︎」 振り向くと、真っ赤な顔したルイスが立っていた。 「化粧品は、お姉ちゃんの会社のサンプル品だから」 別に気張ってるわけじゃないと憤慨するルイスの後ろに棒立ち状態のヤスもいたのは驚いた。 安堵のトニィが立ち上がり「良かった、心配したよ」とルイスを抱き締める。 そんな2人にフレッドは 「だって、スーツケースをあんな風におっ…
「お願いね」『キャン!』れいりの装備袋を背中に置いたモコモコは、小さな足を前後に動かし奥へと走って行った 「よし!」 足を肩幅に広げ腕を伸ばしストレッチ。大きく深呼吸すると眼前の森を見据えた わしゃわしゃわしゃ…ボフッ 「…お前等マジでこれ気に入ってんのか!?」 くく…<…
「と、とにかくLAに帰るんだ! オレ達のことは大丈夫だから」 「なんで⁉︎ こんな時こそ側にいたいのに、どうして分かってくれないの?」 2人のやり取りで察した僕は思わず口をついて出てしまった。 「もしかして、まだ⁉︎」 もしかすると僕は、トニィより先にルイスのヌードを見ちゃったのかもしれない……(Oh God !) ◇ ◇ ◇ 次の日の夕方慌てた様子のトニィから電話が掛かってきて、僕とフレッドはトニィが待つルイスの宿泊先ホテルへ向かった。 ロビーには「ルイスと、はぐれた」と青ざめた表情のトニィが立ち竦んでいた。 昨日のことで、デート中に話し合っていたらルイスが怒って駆け出して行き雑踏の中に消え…
僕はヤスの頭を、軽く小突いた。 「まさか学校の女の子にも、あんな態度じゃないだろうね? そんなんじゃ彼女できないよ!?」 「あんなウザイ女に比べたら、クラスのお喋りな女子達の方が、まだマシじゃん」 ヤスの奴、鼻で笑ってるよ。 そして勢いよくドアが開きトニィとルイスが戻って来た。何か揉めてるみたいだ。 「もう知らない、トニィのバカ!」 「とにかく最初の予定通り、明後日の便で帰るんだ!」 珍しくトニィが大声を出し、僕は慌てて2人の側に駆け寄った。 「どうしたんだよトニィ、ルイス泣いてるじゃないか⁉︎ ルイス、両親にOKもらえなかった?」 ルイスは首を横に振る。 「ママは理解してくれたわ。でも私、も…
「分かりました。もうしばらくかかると団長には伝えておきます」「すみません。よろしくお願いします」言伝を受け歩いて行くまいちの背を深々とお辞儀してれいりは見送った (いざない、許すまじ!!) 鬼の形相をしたれいりは握り拳に力を込め怒りに満ちている「やはり血筋か。もう一人のプリセプスと似てる所がある」「!?」
僕等は帰る気にもなれずだからといって何をできるわけでもなくその場に、たたずんでいた。 そんな重々しい空気の中とうとうルイスが口を開いた。 「ちょっと、皆んな元気出しなさいよ?」 しかし、彼女に応える者はいない。 「まさか、デビューできないってわけじゃ、ないんでしょう?」 ルイスはトニィの袖を引っ張っるも、彼は深く考え込んでしまっている。 「……駄目なの? ねえ、どうなの⁉︎」 そんなルイスにヤスの堪忍袋の緒が切れた。 「うるせーなっ、少し黙ってろ!」 「あんたの方が、うるさいっつーの!」 僕は溜め息一つ、なだめるようルイスに説明した。 「仮にデビューできたとしても、それだけで成功できるわけじゃ…
「なんなの、あの態度⁉︎ ちょっとは認めてくれても良くない?」 口を尖らせてトニィに訴えるルイスに反応してヤスは意地悪そうに笑った。 「へえー、俺に認めてもらいたいんだ?」 次の瞬間、ルイスはヤスの足を勢いよく踏んだんだ! 「だ、大丈夫かヤス⁉︎」焦るトニィに 「……別に」と顔色一つ変えないヤス。 だけど休憩時間トニィとイチャついてるルイスを見て彼女には分からない日本語でずっと悪口を言ってたんだ。(ヤスって冷静なのか陰険なのか、分からない) とにかくこの2人は、すっかり犬猿の仲となってしまったみたいだ。 この後も僕等は順調に進めていき全てが上手くいっていると思えたのに突然、予想外のトラブルが起…
「別に。ただ、あの手の女は気に入らない。あの甘えた甲高い声も虫唾が走る」 ヤスにしては、珍しく感情的だ。そこへスティーブンが2人の男を連れてやってきた。 「紹介しよう。彼が米国本社の重役広報部長レッド・レイノルズだ。そしてこちらは、プロデューサーのチャールズ・カーツ君だ」 スティーブンの話では、レッドは先ず僕等の写真に目が止まりデモを聴いて興味を持つと直ぐ英国支社に連絡したそうだ。そして、ロバートとの経緯を知ると新進気鋭のプロデューサーチャールズに白羽の矢を当てた。 僕等が2人の前で演奏するとレッドもチャールズもバンドの才能を確信してくれたんだ。これでロバートは、お払い箱さ! 早速、心機一転ス…
フレッドの学校は共学だからクラスに可愛い子がいるかもしれないしね!? 「好きな子ぐらい、いるんだろう?」 僕の執拗な突っ込みに観念したのか真っ赤になりながらも、話してくれたよ。 「恋……かどうかは分からないけど、忘れられない女の子はいるよ」 「へえ〜どんな子⁉︎ その子、今どうしてる?」 好奇心いっぱいにそう尋ねると 「さあ……どうしてるだろうね。その子はダッドと住んでいた時、仲良くしてたんだ。ほら、前に話したでしょ? 僕にキーボードを教えてくれたガキ大将のサム、あいつの妹なんだ。でも――」 うつむいていた顔を上げ遠い目をして 「僕、彼女を傷つけちゃったんだ。謝る間もなく彼女達は引っ越して行っ…