全員英語なのに訛りがバラバラ。バンドメンバー5人の英語事情〈裏話ノート〉
1980年代の日本╳UK――洋楽が彩る物語
ブログに登場の楽曲リストはコチラ↓ https://1980s-y-s-m.hatenablog.com/entry/2022/01/15/YouTube_list
全員英語なのに訛りがバラバラ。バンドメンバー5人の英語事情〈裏話ノート〉
バンドメンバーのルックスの元ネタになった、80年代アーティストたちを紹介〈裏話ノート〉
本屋にテーブルはあったのか。映画を観るまで知らなかった、ロンドンの本屋事情〈裏話ノート〉
ジェムが16歳で働いたバイト先「スイーツ・ショップ」の時代設定と、あの制服の話〈裏話ノート〉
物語に登場する音の職人・ライリー。金もない、顔も怖い、でも頼もしいキャラが生まれた理由〈裏話ノート〉
ブログのトップページ=最新記事、というのがずっと気になっていたので、物語への入り口となる、いわゆる「固定ページ」を作りました✨話数も増えてきたので、各章へのリンクと各話を一覧にした「目次」もあります! Key Visual は生成画を参考に主人公を描き、背景は自分の絵柄に合うテイストに調整(ビッグベンなんて自力じゃ描けない💧)でも実際のテムズ川の風景とは違いますね……そこはAIなので、雰囲気ということで🙏 雰囲気といえば、今回のイラストのポイントはヘッドフォン! オレンジのスポンジって懐い〜🤣 これも実在した商品ではなく、80sっぽいという感じで描きました (笑) こんな内容ですが、物語の世界…
昔の洋楽が彩るオリジナル・ストーリー。全10章のうち7章まで完成し、2026年を迎えました🎍 今回は7章の振り返りと、8章の予告をお届けします! 🔎まずは7章をおさらい この物語の舞台は1980年代――ロンドンから来日を果たしたバンド The Starlight Night のフロントマン・ジェムが、過去を振り返る形で進行中。 でも7章「Next Christmas Time~次のクリスマスの頃に」は特別編☝️ジェムの知らない、弟フレッドが父アランと過ごす1970年代を描いた、過去と未来をつなぐ重要な章です。 当時、アランの病は原因不明。ジェムも知らないまま最終章へ──(知っているのは読者だけ…
70年代UKクリスマス・ソングを、物語とともに振り返る。第7章「Next Christmas Time〜次のクリスマスの頃に」に登場した冬の楽曲を紹介。家族、別れ、恋、仲間――少年フレッドの心に刻まれた8年分の音の記憶【80s洋楽が響く創作物語】
(feat. The Beatles) 想い出のマスコットを手に、告白するフレッド。あの日のキスが時をつなぎ、二人の絆が深まる。日本での最後の夜、兄弟の会話は遠距離恋愛の期待と不安を映す。酔いながらも未来を見据えて――【80s洋楽が響く創作物語】
(pick out: Katrina and the Waves)幼い頃から言葉にできなかった想いを共有しながら、少しずつ自信を取り戻すフレッド。パティの囁く〝あの言葉〟が、二人の距離を一気に縮める――【80s洋楽が響く創作物語】
(pick out: Shakin' Stevens)電話では自然に話せても、パティを前にすると頭が真っ白になるフレッド。楽屋に漂う沈黙のなか、ささやかな花束と手土産がぎこちなく行き交う――【80s洋楽が響く創作物語】
★メンバー総出! 楽屋は恋の応援団⁉︎ 「明日の取材の後か、明後日のライブ前か?」 「ライブ後の打ち上げパーティーに、来てもらえばいいじゃん⁉︎ 皆んなで盛り上がろうゼ!」 「そんな遅い時間は駄目だろ⁉︎ 女子高生だぞ」 「記者がいる取材とパーティーは、やめといたほうがよくねぇか? あいつら目ざといぞ」 そして、ジェム、トニィ、ヤス、マークは声を揃えた。 囃したてる4人に、フレッドは小さく拳を握りしめて答えた。 「わ、わかった。明後日、学校が終わった後に来てもらえるか、聞いてみるよ」 ここは仙台、ライブ会場の楽屋。サウンドチェックの前にメンバーは、フレッドがパティに告白するタイミングを探ってい…
No.7-031 公開告白⁉︎ ――Next Christmas Time (章末)
feat. Scritti Politti ヤスの笑いも止まらない。 「俺たちが声を被せて誤魔化して、洋子さんも『まだ彼女はいないけど、素敵な女の子はいっぱいいるね』って、いい感じに日本語を被せてきて最高だった!」 「本当のこと答えて何が悪いのさ⁉︎ いいんだよ、わかる人にだけわかれば」 むくれるフレッドにヤスは意地悪く続けた。 「でもさ、好きな子が、パティとまでは言ってないじゃん? 彼女が聴いていても、自分のことだと思うかどうか……? 他の女子のことかと誤解されてるかも」 僕も大きく頷いた。 「確かに。リクエスト曲を『Oh パティ』にでもしていたら、伝わったかもしれないけどね?」 ※曲紹介は…
No.7-030 1枚のブロマイド ――Next Christmas Time
色あせたブロマイドに映るのは、父の母の淡い面影。母方の物語はまだ霧の中――それでも兄弟は、確かめ合うように家族の時を紡いでいく。遠い記憶が、静かに二人の間に息づく――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-029 もうこれ以上は・・・ Next Christmas Time
(feat. Roxy Music)仲間の旅立ち、バンドの解散、父との別れ――去りゆく街で、フレッドは父のギターを胸に抱いた。刻まれた痛みが、遠いロンドンへと歩みを促す――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-028 僕らのラスト・ソング ――Next Christmas Time
転校を前に、最後のステージにすべてをかけるフレッド。夏が終われば離ればなれになる――パティへの想いは、すれ違いの中でぶつかり合う。水面に残ったのは、13歳の彼らが奏でたラスト・ソング――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-027 蘇る面影 ――Next Christmas Time
(pic out: John Lennon)母との再会で、長く封じ込めてきた感情を一気に解き放つ13歳のフレッド。離散と再会、選択と決意が交錯する家族の狭間で、親子に刻まれた絆と葛藤が静かに揺れ動く――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-026 残された時間 ――Next Christmas Time
(pic out: The Blow Monkeys)原因も治療法もわからぬ未知の病が、静かに父を蝕み始める。やがて世界中を震撼させるその影は、フレッドの未来を暗く覆い隠す。親子に残された時間が迫る――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-025 切ない距離 ――Next Christmas Time
(feat. Slade)二人の距離が広がり、パティは切なさを募らせる一方、フレッドは仲間と音楽に夢中な日々を過ごしていた。しかし父には知らぬ間に病魔が忍び寄り、静かに親子の運命を揺さぶり始める――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-024 初めてのキス ――Next Christmas Time
(pic out: Bee Gees)彼女の唇のぬくもりが、フレッドの胸に小さなときめきを残す。エレキギターとバンド仲間を得て、少年はまだ知らない新しい世界へ踏み出していく――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-023 さよならの前に ――Next Christmas Time
(feat. Paul McCartney)託児所の最後のクリスマスに、フレッドのギターが思い出と未来を繋ぐ。パティへの想いを隠し、少年の指先は弦を弾き続けた。小さな別れが、新たな季節を呼び込む――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-022 隠された真実 ――Next Christmas Time
父の秘めた苦悩と葛藤が、穏やかな日々に影を落とす。愛と現実の狭間で揺れるMissエドワーズは、悲しみを胸に親子の前から姿を消した。フレッドは中学生になる自覚と孤独を抱え、新たな一歩を踏み出す――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-021 偽りの代償 ――Next Christmas Time
(pic out: The Kinks)Missエドワーズの献身に支えられ、親子の生活は穏やかに続く。だがベンの結婚報告がアランの心を揺らし、彼は真剣に未来を見据え始める――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-020 ライバルは兄 ――Next Christmas Time
(feat. Wizzard)フレッドは初めて、クリスマスと誕生日を分けて祝う喜びを知る。父のもとで始まったギターレッスンは、兄へのライバル心を燃やし、親子で夢のクリスマスステージに挑む――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-019 ヤドリギの下の決意 ――Next Christmas Time
ヤドリギの下のキスは、Missエドワーズと父が交わした誓いの証。クリスマスの温もりが親子の未来をそっと照らし、フレッドの頬に笑顔が咲く――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-018 家族のかたち ――Next Christmas Time
泣き疲れて眠るフレッドを見守った夜、Missエドワーズは教師としての理性と一人の女性としての想いの狭間で揺れていた。親子を支えるうちに芽生えた「新しい家族の形」――彼女はその未来を選ぶのか?【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-017 大人の事情 ――Next Christmas Time
(pic out: Dusty Springfield)義祖母の登場で揺れるフレッド。父の疲労と大人の事情が絡み合い、夕闇の静けさに少年の叫びが響く。その声を、Missエドワーズがすべて受け止めた――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-016 自慢のダディ ――Next Christmas Time
(pick out: Ob-La-Di, Ob-La-Da)ギターを封印していた父が、子供たちの前でひとときの輝きを取り戻す。音楽が繋ぐ親子の絆と、やがて訪れる変化の予感に、Missエドワーズの胸が高鳴る――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-015 お隣は先生 ――Next Christmas Time
家では隣人、学校では先生。Missエドワーズの優しいピアノと仲間たちの笑顔が、荒れた暮らしに小さな希望を灯す。フレッドの不安に寄り添う、あたたかな支え――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-014 7色の彼女 ――Next Christmas Time
(feat. The Rolling Stones)モノトーンのスーツを脱いだアンジーが、ポップな部屋で見せた7色の素顔。街に出てアイスを分け合った楽しいひとときも束の間、フレッドの父への不安が現実となる――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-013 ギターが泣いた午後 ――Next Christmas Time
(feat. George Harrison)父のギターが奏でた幸せは、大人たちのすれ違いで儚く消えた。不安な夜を迎えたフレッドを包んだのは、秘書アンジーの優しい読み聞かせだった――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-012 天使の魔法 ――Next Christmas Time
(pic out: Wet Wet Wet)心を閉ざした少年と、声を持たない少女。ふたたび結んだ絆が、クリスマスの舞台で静かに魔法へと変わっていく――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-011 8人の仲間 ――Next Christmas Time
(pic out: Ringo Starr)転校先で加わった8人のチーム。嘲笑と衝突に追い詰められたフレッドの前に、再びあの少女が怒りをにじませ立ちはだかっていた――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-010 拒絶の白い部屋 ――Next Christmas Time
(feat. Cream)白い部屋に閉じ込めたのは、孤独に震える7歳の願い。フレッドの静かな抵抗が、クリスマスの記憶と誕生日の夜に影を落とす――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-009 夢見るクリスマス ――Next Christmas Time
(feat. Gilbert O'Sullivan)去年は静寂なクリスマス、今年は――? ホワイトクリスマスは夢見ない、フレッドが天辺の星に込めたのは、家族のぬくもりと、ささやかな願い――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-008 消えた子守唄 ――Next Christmas Time
父の体調不良と共に始まった、小さな変化。ギターの音色が途切れた夜、迎えを待つフレッドの隣には、声はなくとも温もりをくれる少女が寄り添っていた――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-007 沈黙の少女 ――Next Christmas Time
託児所の裏で出会った、言葉を失くした少女。小さなぬいぐるみと無言のまなざしが、フレッドの心に過去の痛みを呼び覚ます――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-006 リバプールへ ―Next Christmas Time
屋敷を離れた親子がたどり着いたのは、リバプールの町。簡素なアパート、聞きなれない方言、夕暮れの託児所、そして夜ごとのギターが、フレッドの新しい日々をあたためていく――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-005 肖像画の貴婦人 ―Next Christmas Time
白布の下に封印されていたのは、美しい貴婦人の肖像画。明かされた記憶に、イライザの言葉が影を落とす。けれど父の静かな決意を聞いて、フレッドはそっと希望を抱いた――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-004 灰色の屋敷 ―Next Christmas Time
北イングランドの古い屋敷に連れて来られた、幼いフレッド。冷たく威圧的な祖父や厳しいナニーの影に、笑顔が消えていく。家族の温もりを求めても、誰も寄り添えないまま、暗く重い日々が続く――【80s洋楽が響く創作物語】
No.7-003 寂れた故郷 ―Next Christmas Time
feat. The Specials 「もしかするとヤス、日本の大学に行くかもしれないよ?」 「えっ、日本に帰っちゃうの⁉︎ じゃあバンドは――?」 フレッドは躊躇うように言葉を濁し、僕も深く頷きながら話を続けた。 「ヤスは僕等には言わなかったけど、今回日本に帰った目的は法事だけじゃなく、大学受験の模試を受けるためでもあるって」 ヤスの祖父は教育熱心な人で、孫が日本の大学に行くことを望んでいるという。 ヤスのお父さんもアメリカに留学していたぐらいだし、伯父と伯母、その子供のいとこ達も共に優秀で、祖父は一番可愛がっていた末っ子の忘れ形見であるヤスへの期待も大きいそうだ。 ユミコはヤスの将来に関し…
No.7-002 我が家が一番 ―Next Christmas Time
「君たちのピアノ・マンも、それでOK?」 ヨーコがキーボード担当のフレッドに声をかけたけど彼は皆んなの会話に耳を傾けず、黙々とアイディア・ノートにペンを走らせている。 ヨーコが僕に小声で耳打ちしてきた。 「フレッドって、普段もこんなに大人しいの?」 「そうでもないんだけど、今は〝心ここに非ず〟なんだ」 理由を知っているメンバー全員ニヤニヤしながら一斉にフレッドを見た。その視線に気付いたフレッドが、突然口を開いた。 「ねえ、今の時期にクリスマス・ソングをリクエストするのって、変かな?」 えっ、まだ10月なんだけど⁉︎ ★ ★ ★ 夏も終わりに近づく頃フレッドは無事に大学が決まり、僕は失恋の傷を忘…
No.7-001 ラジオ局で衝突 ―Next Christmas Time
feat. Queen 一日中プロモーションに追われた今日、最後のミッションはラジオ番組への生出演だ。 時間が押してしまいラジオ局に到着すると、すぐにパーソナリティーのヨーコと打ち合わせに入った。 ヨーコは小柄だけど、とてもエネルギッシュでチャーミングな女性だ。英語も完璧で、新人の僕等にも気さくに接してくれる。 「――で、中盤にはファンからの電話質問に答えてもらうから。2~3人ね? どんな内容になるか予測できないから、覚悟してよ⁉︎」 からかい交じりのヨーコの説明に、僕は少し溜め息を漏らした。 「ファンの質問だと、プライベートな内容になるだろうね? 僕等、放送禁止なこと言わなきゃいいけど」 す…
クイーンの映画 (2018) の方です 「コロナ禍の暇つぶし」に書いた物語のベースは、1985年に描いたオリキャラだけど(詳細はコチラ)それを思い出したきっかけが、2021年6月に金曜ロードショーで放送された『ボヘミアン・ラプソディ』でした。 映画自体は劇場で見て〜と言いたいところだけど見逃してしまい、DVDレンタルで内容を把握。 80s な自分にとってクイーンは 70s の大御所で、ちょっと管轄外。 正直、リアルタイムで見ていた「ライブエイド」のシーン目当てで、クイーンの〝大御所・ラスボス感〟の半端ない再現に、大満足して終了――といった感じでした。 (function(b,c,f,g,a,d…
久々の投稿でなんですが (笑) 毎回物語の末に添えている「ト書き」で書ききれない、熱い思いを「note」にUPしたいと思います。こっちの「はてなブログ」に書くと物語の流れを止めてしまうので、新たに立ち上げることにしました! 「note」へのリンクはこちらから! ★描いては消して・・・ イラストを制作していると「うぉー! ギャー! うっへっへ・・・」など一人ノリツッコミも激しく、友達に(LINEで)聞いてもらうのも申し訳なくなってきたので、制作過程の悲喜こもごもは、こちらにぶつけようかと。けっこうマニアなこだわり有り (笑) ★教えてChat先生! 去年ChatGPTによる監修を導入。間違いや表…
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)ペコリ 〝ご挨拶〜始まりは1985年〟にもあるとおり、コロナ禍の暇つぶしで書き終えた物語をブログにしたのが2022年1月。当初は毎日のようにUPして、一年ぐらいで終わるだろうと思っていたんです。 でも始めてみたら「もっとアーティストや曲を絡ませたい! ト書き(という体のツッコミw)も挿絵も載せたい!」と、思った以上に手間をかける事態に陥ってしまいました (汗) 特にイラストは、落書きですら20年以上も描いていなかったので、最初は全く描く気になれず、せっかく買ったペンタブも放置…… なんとか重い腰を上げ…
No.6-033 Blue Dreaming (章末) 最後に残るのは?
「僕が君を忘れるわけないじゃない⁉︎ 君のほうこそ僕を忘れてたでしょ? いや、忘れたかったよね、あんな追い詰めるようなことをしたんだもの……」 フレッドの言葉にパティは首を静かに横に振り、大きな丸い瞳を潤ませた。 「あの時は、ごめんなさい。黙って行ってしまって、ごめんなさい。ずっと後悔してて、私――」 そこへヤマグチさんがやって来た。 「おーい、早く車に乗ってくれ!」 急かされたメンバーは次々と楽屋を後にしていく。僕はオロオロしているフレッドの肩を軽く叩いて促した。 「一緒に来てもらったら?」 「あ、うん! サム、パティ、まだ時間ある?」 兄妹は顔を見合わせ頷くと、フレッドはホッとした様子で二…
No.6-032 Blue Dreaming シャイな彼女と奇跡の再会
feat.Kajagoogoo 「なに言ってんだ?」ってぼやきながら、鏡に映った自分を見て分かった。 両耳のピアスは両性愛者バイセクシャルを表すからねーって、ちょっと待て⁉︎ 右にも付けろって言ったのお前じゃないか? 二日酔いじゃなかったら制裁を打つのに……覚えてろよ⁉︎ ★ ★ ★ スタジオに入った僕等は盛大な拍手に迎えられた。テレビカメラの前で代わり映えしない司会者の質問に、お決まりの答えを並べる。 それにしてもすごいスタジオセットだな。 日本のミュージシャンは、いつもこんな豪華なセットで歌っているんだ?さすが金持ち日本! 「どうぞ」と通訳の合図でセットの中に入り、司会者の紹介で曲が流れ出…
No.6-031 Blue Dreaming 足りない愛のレッスン
feat.Level 42 「僕も振られたよ!」 「えっ!? もしかしてジェム、ケイトのこと本気だったの?」 驚くフレッドに一連の出来事を話して聞かせた。アルコールが進む進む。 「――そしてコレが、行き場を失った可哀想なピアスさ!」 ポケットから取り出して見せると、フレッドは興味津々に手に取った。 「もったいないねぇ、すご〜くきれいなのにぃ」 しげしげと眺める弟を見てピンときた! 「そうだ、君がつければいいんだよ⁉︎ 同じような瞳の色だし、兄弟でペアっていいじゃない?」 「えーヤダよぉ、穴を開けるの痛そうだもん。それよりジェムの右耳に嵌めたら⁉︎ せっかく開けた穴が塞がっちゃってるよ? ほらほ…
No.6-030 Blue Dreaming ドライブ、夏の終わり
feat.The Cars バックミラーに映る二人の姿を確認すると、手を振るケイトの唇がスローモーションのように動いた。 「ありがとう、お義兄にいさん」 二人の姿が、完全に見えなくなる頃ラジオから『ドライブ』が流れ始めた。 [The Cars『Drive』Released:23 July 1984] 曲を口ずさみながら〝もう彼女を車で送るのは、僕じゃない〟そう実感すると辺りの景色が滲み出し、海に沈む太陽と流れるヘッドライトが揺らめいて、地平線を上手く捉えることができなかった―― ◆ ◆ ◆ 家に着いたら22時を回っていた。シャワーを終えてキッチンに向かうとフレッドの気配を感じて、元気よくドアを…
「ずっと、そう考えていて……だけど夢を諦めてしまうようで、なかなか君に言い出せなかった」 照れながらはにかむアシュリーにケイトは何度も頷きながら、彼の頬を両手で優しく包んだ。 「やっぱり私の好きな青は、この瞳とブライトンの海ね」 そう囁き、彼の唇に優しくキスをしたケイトは、もう無理に明るく振る舞う必要もなさそうだ。 二人が抱き合う姿を背に静かにドアを開けると、レイチェルの瞳から涙がこぼれた。僕は彼女の肩を支えて、そっと声をかけた。 「3度目のチャンスを待つ?」 レイチェルは肩を竦め、お互い小さく微笑みながら部屋を後にした。 ◆ ◆ ◆ アシュリーがレイチェルを送りに行っている間、僕とケイトは彼…
feat.The Outfield 「そもそも、ケイトが家を出た原因はお前だろ⁉︎」 確かに、愛する女性ひとに先を越されるのは男として辛いことだと理解できる。でもケイトにだって、辛く苦しいことがあるはずなんだ。 それなのに彼女は決して泣き言を言わない。だからこそ、自分の夢に近づくことができるんだ。 「もういいの、やめて!」 ケイトに腕を押さえられるも、言わずにはいられなかった。 「君は……いつも笑顔で明るく前向きで、逞しささえ感じる。でもそれは、弱さを隠すためのカモフラージュなんだ」 ケイトは母親を知らず、父親にも滅多に会うことなく育った。高齢の祖父母に心配をかけまいと明るく振る舞ってきたのだ…
「幸せって、好きな人と一緒にいることじゃないの? 家を出た私には、もう『あなただけ』なのに、何度電話しても連絡くれなかったのは……レイチェルを愛してたからじゃないの?」レイチェルが、たまらず声を上げた。「私のせいなの! あなたからの留守録を消して、アシュリーには一切伝えなかった。あなたからアシュリーを奪おうとしたのよ!」
feat. Cutting Crew 「でも、こんな口うるさい女、嫌われて当然よ!? レイチェルは私とは正反対ね、必死にアシュリーを庇って……きっと何もかも包み込む、聖母のよう人なんだわ。私はダメ、突き放してばかりでバチが当たっちゃった」 ケイトはゆっくりと視線を僕に移し、話を続けた。 「私、ジェムを好きな気持ちは嘘じゃないの。一目見て素敵だと思ったし、あなたと過ごす甘い時間は、女性として至福のひとときだった。だから、アシュリーがレイチェルを選んだように、私も次へ進もうって、そう決心したんだけど……」 涙と雨で顔をグズグズにしてもケイトは凛とした表情を崩さなかった。 「でも、もうこれ以上、気づ…
pick out:A Flock Of Seagulls 霧雨の中、足早に駐車場まで 向かっている途中、ケイトが不動産屋の張り紙に目をとめた。すると、偶然にも中からアシュリーが出てきたんだ。 驚きの表情の二人。ケイトは震える声で言った。 「……どうして、ここに?」 彼は僕に目をやり、控えめに口を開いた。 「……もしかして、二人で住む家を探してる?」 黙って俯くだけのケイトにアシュリーは話を続けた。 「だったら、戻ってくるといい。僕があそこを出るから」 「レイチェルと一緒に住むのね⁉︎」 鋭い口調のケイトをなだめるように彼は説明した。 「いや、彼女は変わらず親元にいるよ。あの家は一人で住むには広…
feat. Olivia Newton-John 「聞けばケイトは、彼の不甲斐なさに呆れて出て行ったそうじゃない? だから確信したの。アシュリーにはケイトじゃない、私が必要だって。これは『運命のいたずら』? いいえ、神様がくれた〝2度目のチャンス〟よ」 [Olivia Newton-John『Twist of Fate』Released:21 October 1983] レイチェルとアシュリーが上手くいけば、それは確かに僕にもチャンスとなる。そんな思惑を巡らしていると、彼女がさらに強く訴えかけてきた。 「ケイトは強い女性だし、誰にでも愛されてるわ。父の会社でも人気なのよ、ケイトが来ると社内が明…
「今は僕の思いのほうが強いかもしれない。でも、絶対にケイトからアシュリーを忘れさせてみせる」 そう自分に言い聞かせるように答えると、レイチェルは目を見開き小さく吹き出した。 「ふふ、ごめんなさい。じゃあ安心して話せるかしら? 私たち、同志になれるかも」 彼女の瞳が鋭く光り女の表情に変わった―― ◆ ◆ ◆ 「時々、カフェのこの席で本を読みながら、ケイトを待つアシュリーを見かけたわ」 窓から見える書店を眺めながら眩しそうに話すレイチェル。 「アシュリーはカフェに入る前、書店に立ち寄る常連さんでね。本の話を通じてお互いを知っていくうちに、彼は私にとって特別な存在になっていたの……」 彼女は紅茶を一…
feat.OMD せっかく恋人同士なんだからラブラブなドライブ・デートをしたかったのに、ケイトはどこか上の空だ。 アシュリーに電話したけれど留守電にもならなかったのが気になっているみたいで車内の空気も、なんだか重い。 「ケイト、疲れてる? 寝てていいよ。着いたら起こすから」 彼女は申し訳なさそうにしたものの、ほどなく静かな寝息を立てた。 不安な気持ちに駆られてしまうとラジオから流れる曲にさえつい、過剰反応してしまう。 〜♫ もし君が離れていくとしても、今はいかないで お願いだから僕の心を奪わないで もう一晩いると約束して そして僕たちは別々の道を歩むのだから ♫〜 [OMD『If You Le…
次の日、僕は郊外まで車を走らせた。助手席には愛しのケイトではなく弟を乗せてね! 「今日はヘレンとの予定がキャンセルになったから、久しぶりにお墓参りに行きたいな。ちょうどこの前、命日だったし」 僕はケイトのことばかり考えていたから少し恥ずかしい気持ちでフレッドの提案にOKした。 そんなわけで、墓地まで1時間ほどのドライブ。道すがら、音楽談義に花を咲かせた僕等兄弟は、「絶対デビューするから」とダッドに誓いを立てた。 それからフレッドのリクエストでホームセンターやスーパーに寄って、ロンドンに戻ってきたら16時を過ぎていた。 思ったより時間かかっちゃったけど(フレッドの買い物が長い!)まあ確かに、くす…
ロンドンに帰って来た僕等を見てフレッドは少し驚いた様子で、こっそり僕の部屋にやって来た。 「ケイトが戻って来たってことは、彼氏とうまくいかなかったの?」 僕はカバンを開けて、中身を片付けながら答えた。 「そういうことに、なるかな」 「ふーん……じゃあ、このまま一緒に住むことになるの?」 「そういうことに、なるかな。あっ、コレお土産――どうした?」 レコードを渡そうとしたらフレッドがニンマリしているのに気が付いた。 「別に、サンキュー!」 彼はレコードを受け取りドアノブに手を掛けると、 「あんまり見せつけないでよね⁉︎」 とウィンク一つ、部屋を後にした。 途端に顔が熱くなる。弟の勘の良さには、感…
feat.David Bowie まずは、派手で有名なロイヤル・パビリオン。外観はインド風なのに、中身はシノワズリー[中国趣味]一色。 それから、ザ・レーンズ。アンティーク・ショップや古着屋が連なるショッピング・ストリートだ。 「わあ、ステキ!」 アクセサリー・ショップに目を輝かせるケイト。 「見て行く?」僕が尋ねると 「ん……ジェムは、あっちで待ってて?」 と彼女は、セカンド・ハンズ[中古]レコードショップを指差した。さすが、分かってる! 夢中でレコードを物色していると、ほどなくしてケイトが手を振り戻ってきた。 ランチは、ケイトお勧めのレストランへ。 オーダーを済ませると僕は袋から〝デヴィッ…
「酷い、酷いアシュリー!」 「そうだ、あいつは酷い奴だ!」 「浮気してたなんて、許せない!」 「そうだ、ケイトを泣かすなんて許さない!」 「私じゃなくレイチェルをって、どういうことなの⁉︎」 「そうだ、ケイトのほうがグラマーなのに!」 〈ペチッ!〉 ケイトは軽く僕の頬を叩いて、まだ涙が残る笑顔を見せた。 「あースッキリした! こんな大声出したのって、初めてかも⁉︎」 彼女は背中を向けて海の方へゆっくり歩きながら、恥ずかしそうに口にした。 「不思議だな……私、ジェムにはこんな風に甘えて、不安な気持ちまでさらけ出せるなんて。きっと頼りがいがあるって、あなたのような男性ひとのことを言うのね?」 僕は…
黙ったまま俯いているアシュリーの腕にそっと手を添えて、レイチェルは静かに語りかけた。 「でもあなた、本当はずっとケイトを待っていたのよね? 彼女が戻ってきたなら、私なんて邪魔者で――」 「そんな! いや、その……僕が今こうしていられるのは君のおかげだし、だからこそ――」 「よく分かったわ!」 苛ついた様子でケイトが話を遮ると、なぜか極上の笑みを見せた。 「さようならアシュリー。今まで、どうもありがとう。私の荷物は、また後日あらためるから」 そして、ドアを勢いよく開け僕を手招く。 「行きましょう、ジェム?」 僕は違和感を抱くも何も言えないまま、ただケイトの後を付いて行った。 家を出て少し坂を登り…
掴まれた手を振り払うケイトを必死で止めるレイチェル。 「なんで今さら帰ってきたの⁉︎」 「あなたに、そんなこと言われる筋合いはないわ」 「ケイト落ち着いて!」 咄嗟にケイトを押さえた僕にレイチェルは目をやると、ケイトを睨み付けた。 「もう他の男性ひとがいるクセに……あなたはアシュリーを捨てたんでしょう⁉︎」 「捨てたって、なに言って――!」 そこへドアが開きアシュリーが入って来た。 彼は一瞬、驚きの表情を見せたもののすぐ視線を逸らし、買い物袋をテーブルに置いた。 アシュリーは、小柄で貧相な男だったけど、スッキリと整えた黒髪にブラック・スクエアの眼鏡から覗く伏し目がちな深みのある灰色の瞳は、確か…
pick out:The Who 「実際のところはどう? 落ち込んでる?」 「ん……」 そのままケイトはステージのほうを向き数秒後、ポソッと呟いた。 「明日、帰ろうかな……」 予想外の答えに、僕は動揺を隠しきれなかった。 「帰るって、ち、ちょっと待ってよ⁉︎」 「そろそろ仕事を始めないとね? それに――」 彼女はこっちに振り返ると躊躇いがちに理由を語った。 「私って待つタイプじゃなかったみたい。意地張ってたけど、なんでアシュリーは連絡くれないんだろうって心配になっちゃって……」 もしかすると、病気や事故にでも合ってるんじゃないかと不安になったらしい。 「僕も行くよ!」 思わず拳に力が入る。 「…
feat.The Style Council そんな連絡一つ寄越さない薄情な男なんか忘れさせてやる!って、つい躍起になってしまう。 今夜はフレッドもいないしバイトも休みだから、ちょっと背伸びをしてライブが楽しめるレストランにケイトを誘った。 「こんなところ初めて……大人の世界って感じね? ドキドキしちゃう!」 レストランの入り口で目を輝かせるケイト。 「ブライトンならナイトスポット、色々あるでしょ? 年上の彼だし、もっと大人な場所でデートしてるんじゃないの?」 なんて、ちょっと勝ち誇ったように意地悪く言うと、彼女は軽く溜め息を吐いた。 「彼はこういう場所は苦手だし、お金もないしね。それに私、ア…
まさか今でもその子を思っていたなんて! 項垂れる彼の肩を叩き、励ますように言ってみた。 「残念だけど、その彼女のことをいつまでも思い続けるのは、建設的じゃないと思うよ? ヘレンと付き合ってみなよ。今、君の側にいてくれる女性ひとを大切にしたほうがいい」 フレッドは納得いかない様子だったけれど、構わず続けた。 「それに女の子と付き合ったら、何か素晴らしい詩や曲ができるヒントになるんじゃないかな? やっぱりラブソングって王道だし」 するとフレッドの表情がパッと明るくなった。 「うん……そうだね、そうかもしれないね⁉︎ 僕、ヘレンと付き合ってみるよ!」 こうして彼は前向きになり部屋を後にした。 いいよ…
feat.Tracey Ullman 「実は……ヘレンと付き合うことに、なっちゃったんだ」 「へぇ! 良かったじゃないか、おめでとう!」 軽く拍手をしながらちょっとからかってみた。 「君ってモテるんだねぇ。他の女の子たちも、君に好意を持ってるんだろ?」 「モテないよ! 彼女たちのアレは、ゲームだよゲーム! 僕はからかわれてるだけなんだ。だから昨日、やっと断れて清々してたのに、ヘレンは――」 フレッドは顔を上げ、僕の肩を揺さぶってきた。 「彼女は他の子とは違うって、『皆んなは分かってないのよ』って泣きながら言うんだ!」 [Tracey Ullman『They Don't Know』Release…
「写真撮ってくれてる。ほら、ジェムも入って⁉︎」 「えっ、僕はいいよ」 ロンドンに20年も住んでいる身としては、さすがにライオンと一緒の記念撮影は恥ずかしすぎる! 「照れちゃって。ダメ、逃がさない!」 ケイトがクスクス笑いながら腕を絡めて、引き寄せてきた。 僕の腕は、彼女の胸の感触を捉えもう力なんて入らないよ⁉︎勘弁してくれー! って苦笑しつつピースしながら写ってしまった…… 子供たちの母親に礼を言われて、撮ったばかりのポラロイド写真を貰いニコニコしているケイト。 そんな明るく気さくで愛らしい彼女にどんどん惹かれていくのを、もう止められそうになかった。 こんな気持ちは初めてで、自分で自分の感情…
pick out:The Alan Parsons Project 男のピアスって今は一部の人がファッション感覚で身に付けてるぐらいだけど、昔は男女の区別なくしていたんだって。 例えば夫婦が戦争や仕事で長期間離ればなれになってしまうとき、同じピアスを片方ずつ分け合って必ずまた再会できるようにと願ったんだ。 ピアスは2個で1組だから、お互いを強く引き付け合うって信じられてたんだね。 あとカップルで歩くときは、大抵男の左腕と女の子の右腕が組まれるでしょ? それって男は利き腕の右手を自由にしていざというとき、女の子を守れるようにするためなんだよ。 つまり、男の左耳ピアスと女の子の右耳ピアスはいつもお…
feat.Wang Chung ケイトの提案で木漏れ日が揺れるセント・ジェームズ・パークを歩くことにした。 「きれいなところ……池も大きいのね」 「ここはロンドンの数ある公園の中でも、一番優雅で人気があるんだ。色々な人が来てるでしょ?」 サラリーマン、犬を連れた老紳士、並んでベビーカーを押すご婦人方に団体で賑やかに歩く観光客。ベンチで肩を寄せ合う学生らしきカップルを見て、ケイトが悪戯っぽく微笑んだ。 「私達も、カップルに見えたりして?」 そんな風に言われるとつい深読みしてしまい、淡い期待が思わず声になる。 「――兄妹とはいえ、血は繋がってないからね」 思い切って彼女の肩に手を回そうとした、その…
「ではこれから、ロンドンの正しい観光巡りをします! 準備はいいですか?」と、ちょっと先生風の僕。 「はーい!」と元気良く返事をするケイト。 二人で顔を見合わせ微笑んだ。 まずは、ケンジントン・ハイ・ストリートからケンジントントン・ロードへ。左側にハイド・パークの緑が見えて身を乗り出すケイト。 「ダイアナ妃が住んでいる、ケンジントン宮殿があるのよね?」 しばらくして右折するとエキシビション・ロードに入る。 「右は国立工科大学、奥に楽器博物館があるんだ。向こうに見えてきたのは自然史博物館。左はヴィクトリア&アルバート博物館で、この周辺は博物館のオンパレードなんだ」 「わあ、行ってみたいところばかり…
僕はいつもと違い(!)きちんと身なりを整えてから下に降りると、ケイトが満面の笑みで迎えてくれた。 「焼きたてのトースト、カリカリのベーコンエッグ。フライド・トマトにキュウリ、マッシュルーム、ベイクド・ビーンズ。デザートには蜂蜜ヨーグルト。これぞ、フル・イングリッシュ・ブレックファースト! どうぞ召し上がれ♩」 朝食はいつもコーヒーやシリアルの僕には、眩しいぐらいの豪華メニュー!昨日のパスタもそうだけど女の子が料理を作ると、こんなにも華やかになるんだ⁉︎テーブルに、庭の花まで飾ってあるよ。 ケイトが手渡してくれた新聞を見ながら、チラッとエプロン姿の彼女に目をやり結婚したら、こんな感じか……って思…
feat.Wham! そんなウィンク一つ、見つめられるとドキッとしちゃうよ⁉︎ ステイシーに似てるなんて(よく言われる)いつもなら憤慨するところだけど、僕はこの、笑顔の素敵な義妹にすっかり魅了されてしまったみたいだ。 ケイトは軽く頭を下げた。 「ブライトンの家には、ここの電話番号を留守録に入れておいたから、そのうちアシュリーから連絡がくると思うの。そんなわけで、少しの間お世話になります」 そこへ電話の音が。さっそくアシュリーって奴からか?と受話器を取ると、ステイシーだった。 「ケイト着いたのね? じゃあ、そういうことだから、あと頼んだわよ。私はこのままパリに行くから、まだ帰れないから」 ハイハ…
溜め息混じりでムクれたと思ったら 「つい、うるさく言っちゃうけど、彼に夢を諦めてほしくなくて……だって私の一番の夢は、彼の小説の挿し絵を描くことなの」 そう照れて、はにかむ彼女のクルクル変わる表情に、僕は目を離せずにいた。 ケイトは勢いで家を飛び出したもののずっと友達の家にはいられず、祖父母の元に戻ればアシュリーとの同居に理解を示してくれた二人に心配をかけてしまう―― そう駅のベンチで悩んでいたら、偶然、ステイシーに会ったそうだ。 「事情を話したら『ギルは今NYでいないから、家にいらっしゃい』って言ってくれて」 ステイシー の奴、自分も家にいないくせに相変わらず勝手だよな! 「ステイシーって素…
ケイトが鼻歌を歌いながら手慣れた様子で料理をしてる間に、僕は身なりを整えてダイニングに降りた。すると、まるでレストランのように色鮮やかなパスタとサラダが用意されていた。 そして美味しくランチをしながら、ケイトの話に耳を傾けた。 サラサラのブラウンのロングヘア。瞳はミスターと同じグレーだけど彼には、さほど似ていないと思う。(良かった!)声の感じが少しだけ、メアリーに似てるかな…… ◆ ◆ ◆ 「私ね、ブライトンに程近い、祖父母の家に預けられてたの」 祖父母はミスターの両親ではなく、母方のほうだという。 「小さい頃から絵を描くのが好きで、勉強はそっちのけだったから、16歳になるとギルがチューター[…
pick out:The Dream Academy なんて羨ましい奴なんだ!まあ、当の本人は迷惑気味で足取りも重く、出かけて行ったけどね。 昨日はバイトの遅番だった僕はもう昼近くなんだけど、起き抜けの目を擦りながらコーヒーを淹れにキッチンへ。すると、またチャイムの音。 モニターに映るのは、女の子が一人。さっきの子達の仲間だなと思いながら、エントランスに出て対応した。 「フレッドだよね? さっき女の子達と出かけて行ったよ。あっちの裏通りのほうに向かったから、急げば追い付くかも」 そう、手を伸ばして案内すると彼女は笑顔で、自ら手を差し出した。 「じゃあ、あなたがジェームズね? 初めまして、お兄さ…
「実は、パティを連れて来てるんだ。後で会ってやってくれないか……?」 躊躇うようなサムの言葉に、フレッドは明らかに動揺していた。 「も、もちろんOKだよ!」 真っ赤になっているフレッドの背中を皆んなでバンバン叩きながら、スタジオに向かった。 「おいおい、隅に置けないなぁ?」「あの人の妹とは、どういう関係?」「パティってどんな子? 可愛い?」 矢継ぎ早に飛んでくる皆んなの攻撃を、必死で交わすフレッド。 「わ、わかんないよ! もう何年も会ってないもの」 こんな突然に、しかも外国で初恋の相手と再会だなんて、奇跡じゃないか!? 僕は感動のあまり、可愛い弟に勢いよく飛び付いた。 「やめて、ジェム! テレ…
大阪公演の後、バンドは再び東京に戻ってきた。今はテレビ局の控え室にいて出番を待っているところ。 この番組は海外からのアーティストも多数出演していて、ありがたいことに僕等にもオファーが来たんだ。まあ、演奏は当て振りで、僕の歌も口パクなんだけどね。 ヘアメイクも整い出番を待つ間、皆んなそれぞれの形でくつろいでいた。 そこへ、スティーブンがやって来て 「フレッド、プロデューサーの知人が君に面会したいそうだが、心当たりはあるかい?」 と訝しげな顔で、後ろにいた男を手招きした。彼を一目見るなり、フレッドは驚いたように叫んだ。 「サミュエル・ヒューストン!」 「覚えていてくれたか、フレデリック・スチュアー…
「もう終わりだなんて思うなよ?」ヤスが真剣な表情を向けた。 僕は、いつまでも歌っているトニィを遠目に見ながら 『例え目の前に壁が立ちはだかっても、僕等は決して負けはしない』 そんな歌の意味を噛みしめた―― ★ ★ ★ 清水の舞台から京都の街を一望していると、マークがサングラスを外し眩しそうに呟いた。 「ウォルターに見せたかったな……」 あれからカナダの更生施設に入ったウォルターは身体はすっかり回復したものの、依存を断ち切るための治療は続いているそうだ。 でも、その施設で出会った10歳も年下の看護師さんとステディな仲になり、ボランティア活動に力を入れて充実した日々を過ごしているという。 「そのほ…
feat. Crowded House そして、久々に5人揃ったバンドは思い切り演奏を楽しんだ。 ――ああ、これ、この音と一体感なんだ、求めていたのは! メンバー全員がそれを噛み締めていると確信した。許されるならマークには本当に早く戻って来て欲しい。 「待ってるよ、マーク」 笑顔を見せる皆んなの姿が強く胸に残った。 ◇ ◇ ◇ マークがウォルターを連れカナダへ帰国して数日後、僕等はスティーブンのオフィスに集まっていた。 「もちろんジェム、君が無実なのは分かっている。しかし知っての通り今ノーマンレーベルの内情は非常に厳しく、イメージダウンやスキャンダルになる事は極力避けたいと、非常にナーバスな状…
「急に連絡よこしてスタジオ貸せって、お陰で予約してたバンドに『機械の調子が悪い』とか何とか誤魔化して、キャンセルさせる羽目になったんだぞ⁉︎」 「サンキュー、ライリー! 分かってんじゃん」 「このクソガキが! 変わらず元気そうじゃねぇか」 スタジオ・オーナーのライリーとマークが、お互い叩き合いながら抱擁を交わしているのをバイトを無断欠勤となってしまった僕は、バツの悪い思いで眺めていた。 するとライリーが 「おめーはよく、警官ボビーの言いなりにならなかったな? 思いのほか気骨があるじゃねーか! 見直しだぞ、頑張ったな」 そう笑いながら大きな手で僕の頭を揺らした。 恥ずかしさと嬉しさで目頭が熱くな…
feat. Big Country 「仕方ねーだろ」 マークはビッグバーガーを頬張った。 『シャバの旨い飯でも食いに行こうぜ! 社会人のオレちゃんが、奢ってやるよ』 そうドヤ顔で言われて入った店は世界中どこでも安定供給のファストフード……美味い飯? 「フィッシュ&チップスより断然、旨いだろうが⁉︎」 「やっぱハンバーガーは、最高のご馳走だよな!」 アメリカ(トニィ)とカナダ(マーク)の2大『ビッグ・カントリー』に徒労を組まれちゃ適わないよ? [Big Country『In a Big Country』Released:20 May 1983] でも、2人と一緒に食べれば不思議とご馳走になる。 …
pick out: EastEnders 「僕は無実だ」もう、説明する気も起きない。 「普段フラフラしてるから、こういう目に遭うのよ! 警察沙汰になるなんて――」 ほら見ろ、息子が無実かどうかなんてどうでもいいんだ。親の顔に泥を塗られたことに御立腹で口角泡を飛ばしている。 「聞いてるのジェームス!? フレッドにまで怪我させて! Aレベル[大学入学資格試験]前の大事な時期でしょう⁉︎」 それに関しては深く反省している。 「少し落ち着きなさい」 ステイシーをなだめるミスターに疑問を投げた。 「2人とも、ニューヨークに居たはずじゃ?」 「ああ、深夜の便で帰って来た。フレッドから大体の話は聞いている。…
feat. Tears for Fears 「動くな! 全員止まれ!」 心配したジョージが、警官を連れて様子を見に来てくれたんだ。 男は裏口から逃げ去り僕はヤスが伸ばした手を掴むと必死に叫んだ。 「病院に早く! フレッドが――」 ◇ ◇ ◇ それから1時間、僕は取調室でイラつきを抑えられずにいた。 「だから、何度説明すれば分かるんですか⁉︎」 「あれはジェムの物じゃない。あの場に落ちてたのを拾っただけだ!」 ヤスの必死の説明も真面目なロンドンのお巡りさんは聞いてくれなかった。 あのとき拾ったドラッグの小袋を持っていたせいで、疑いをかけられてしまったんだ。 もちろん、僕がドラッグをやっていないこ…
pick out: Bronski Beat 僕等はセント・ブライアンズの1階入り口までやって来た。 店の看板は外されていたけど外側からは、何ら変わった様子は見受けられない。 扉に鍵は掛かってなかったのでゆっくり寂れた暗い階段を下り地下入口のドアを開けると、甘い異臭を感じた。 元々ライブハウスやクラブではアルコールや煙草と同じようにマリファナ程度のドラッグは珍しいものではないけれど、今のこの状況はそんな類の物だけではないと容易に察せた。 ぼんやりとしたフットライトを頼りにそのまま受付、そしてスタッフルームの前を進むも人の気配は無い。 不意にヤスが足元の感触に気付きそれを拾い上げ、僕に手渡した。…
feat. The Stranglers 「君達こそ希望の光だ。君達なら世界を手に入れることができると、そう信じている――」 そのままウォルターは静かな寝息を立てた。 僕等はそっと病室を後にするとドクターが待ち受けていた。 「彼は警察が保護してきたんだ。失礼だが君達とは、どういう関係だろうか? 家族の方と連絡を取りたいんだが――」 僕は皆んなと視線を合わせると、躊躇いつつ答えた。 「僕等は、彼のライブハウスでお世話になってました。最近は店に行ってなかったから、彼がこんな状態だなんて知らなかったんです」 「ウォルターがジャンキーだなんて、信じられない!」 「ドラッグに溺れるような人じゃ、ないと思…
「だけど、売った相手が悪かった」 溜め息を吐きジョージは続けた。 セント・ブライアンズを奪ったのは表向きは再開発で暴利を目論む不動産業者だったが、その実バックに付いているのはある闇組織のシンジケートだと噂されている。 ウォルターはセント・ブライアンズを最後まで守ろうとしていたけど度重なる営業妨害に客も出演者も離れてしまい抵抗虚しく、彼等のいいように扱われているという。 「オレは音楽から離れてしまったし、もう駅の向こう側に行くこともないから、この目で確かめたわけじゃないが……」 とても信じられない話だった。ウォルターは、今どうしているのか?なぜ連絡が付かないのか? 僕等の気を察したジョージが「今…
feat. Depeche Mode 「実は色々あって、デビューが伸びちゃったんだ」 僕等は事の流れを説明した。 「そうだったのか……まあレーベル側の思惑はともかく、こっちとしては〝Depeche Mode〟じゃないが、掴めるものは掴んでおきたいね。何事にもタイミングというものはある」 「『全てのことに意味がある』 よね? きっと、もっと良いタイミングで、デビューできるはずよ」 [Depeche Mode『Everything Counts』Released:11 July 1983] 励ましてくれる2人に感謝し、トニィが本題を切り出した。 「ジョージ、去年会ったとき話してたよな? セント・ブ…
feat. Everything But the Girl 「どうぞ入って」 2人はドアを開け僕等をフラットに招き入れるとジョージは、うとうとしているベビーをそっとバスケットに寝かせた。トニィが中を覗き込む。 「可愛いね、男の子? 女の子?」 「男だよ、名前はエリック」 「ギターの神様と同じだね⁉︎ 将来はジョージパパを超える、名ギタリストになるかな?」 僕の台詞に、ジョージは軽く微笑んだ。 「できればコイツには、真っ当な道を進んでもらいたいけど」 「あら、私達は真っ当じゃないって言うの?」 アンは呆れながらティーポットとカップのセットをテーブルに置いた。 僕からすれば、2人は〝Eurythm…
「誰かサポートに入ってもらうとか?」トニィはそう言ってフレッドの顔色をうかがった。 曲はともかく、詩の大半を書いているフレッドには気を使ってしまうみたいだ。 「……僕達の曲を、メンバーじゃない人に弄られるのは嫌だよ。アイディアを盗まれたくないしね」 案の定、ムスッとするフレッド。Aレベル[大学入学資格試験]が近いせいか、イラついてるな。 僕は彼の肩を軽くさすってご機嫌を取った。 「オリジナル曲じゃなければ、サポートしてもらってもいいんじゃない? たまには息抜きも必要だよ」 しょんぼりとしていたトニィがパッと顔を輝かせた。 「だったら久々に、セント・ブライアンズで演らないか? ウォルターに頼んで…
pick out: G.I. Orange そら面白い! って皆んなで一生懸命木の箱を振っている姿が笑えるな。外国人観光客が多い京都はおみくじも、ちゃんと英語で書いてあるんだ。 「見ろよこれ?『大吉』だってさ!」マークは引いたおみくじを得意気にヒラヒラさせる。 「僕は『中吉』、北の方角がラッキーだって」フレッドも嬉しそうだ。 「私は『末吉』だ。これは、どのぐらい良い結果なんだい?」とスティーブン。 「オレは『吉』だった。ジェムは?」 「トニィと同じ『吉』だよ。悔しいな『大吉』狙いだったのに」 そして皆んなの視線はおみくじを紐に結ぼうとしているヤスに注がれた。 「あのさー、こんなのはお遊びなんだ…
清水寺、金閣寺、平安神宮 etc.――一日中オフをもらった僕等は待ちに待った二度目の京都見物にテンションを上げていた。 前回プロモーションで来日した時は番組収録を兼ねていたから観光らしい観光はできなかったけど、今日は自由に回れるってことで皆んな凄く楽しみにしてたんだ! 東京のハイテクな街並みも面白いけどやっぱり京都の、このエキゾチックな雰囲気には魅了されてしまう…… 僕は買ったばかりの日本製カメラでフィルム代のことも忘れあちこちシャッターを切って回った。 好奇心一杯のマークが 「うぉー! すげぇエキサイティング! ヤス、あれは何だ!?」 と、そこら中を駆け回り同行のカメラマンが困ってるよ。マー…
物語に入れられなかった アーティスト・楽曲シリーズ〔第7弾〕 クリスマスは当日より イブの方がメインって印象なのは 1980年代後半のバブル時期、 恋人達が主役に躍り出てから……? シャンパンで乾杯の豪華ディナー 夜景の美しいシティホテル プレゼントはブランド品の数々―― そんなトレンディーな方々の様子を TVや雑誌で垣間見つつ クリスマスは本来、家族で過ごすもの と鼻息荒くした英国かぶれの自分が 一番好きなクリスマス・ソングは クリス・レアの 『ドライビング・フォー・クリスマス』 一見、恋人達がイチャラブしながら ゲレンデに向かう(←色々混ざったw) ドライブ・ソング? と思ったけど 原題は…
「そんな時間あんのか⁉︎ また強引にプロモ入るんじゃねーの?」 「縁起でもないこと言うなよ!」 〈バサッ!〉 マークを小突いたトニィの振動で僕がシートに置いていた手紙の束が落ちてしまった。それをフレッドが拾いつつ 「まだファンレター読んでんの? 車の中で、よく読めるね……僕は気持ち悪くなっちゃうよ」 と呆れながら手渡してくれた。Thank you ! 「だって溜まっちゃってさぁ、昨日読めなかったから」 手紙の山を軽く叩くとマークが覗き込んできた。 「これってファン・レターってよりも、ラブ・レターだよなぁ?」 「オレなんか凄いの貰ったよ!『トニィ、第二夫人でいいから結婚して♡』って、もうルイスの…
feat. The Cure ゲートに向かって歩き出した2人にフレッドは手を振りながらほっこりとして呟いた。 「なんだかルイス、綺麗になったみたい。穏やかで満たされてる感じ……? きっと好きな人と一緒にいるからだね」 「欲求不満、解消されただけだろ」 鼻で笑うヤスの前に不意にルイスが踵を返して舞い戻って来た。ギクッとなる一同。 ルイスはヤスの正面で立ち止まると 「今度会う時までに、少しはレディへの接し方を学んでおきなさいね?」 そう言って、ヤスの頬にキスしたんだ! 「それはあんたの方が、先ずレディにならないと――痛っ!」 ヤスの腕を軽く小突いてルイスはクスクス笑いながらトニィの後ろに隠れた。 …
「泊めるならジェムん家ちの方が、広くて余ってる部屋あんだろ⁉︎」 そう、ルイスはヤスの家で世話になることになったんだ。 「だって僕の家は基本フレッドと僕の男2人だけだから、いつ始まっちゃってもおかしくな――痛っ!」 僕の下品な冗談にトニィの鉄拳が飛んだ。彼は僕を押し退けヤスの両手をガッシリ握ると大きく上下に振り出した。 「すまないなぁ、ヤス。君の家なら超〜安心さ!」 「あ〜らヤスアキ、私が居たら迷惑かしら?」ルイスが横目でヤスを見る。 「恭章、何してるの⁉︎ 寒いんだから、早くリビングに上がってもらって?」奥からユミコの声がして仕方なくルイスを手招きするヤス。 そんな2人を見て、ほくそ笑んでい…
feat. Deniece Williams 甘くキスを交わす2人にいつの間に集まっていたのかギャラリーが〈ヒューヒュー♩〉と口笛を鳴らし、拍手を送っていた。 誰かが 『男の子に声援を送ってあげて!』 [Deniece Williams『Let’s Hear It For The Boy』Released:February 14, 1984] と大きな声を出すと口々に2人に応援の声がかかり一斉に歌い出したんだ! そういえば、このホテルアメリカ人観光客の御用達だっけ。そりゃ『フットルース』で盛り上がるわけだ。 その様子に背中を押されたのかルイスは恥じらいながらトニィの耳元で囁いた。 「今日こそ、…
feat. Eighth Wonder 「でも、デビューがどうなるか分からないし……」 トニィはルイスを抱き寄せるも一人前になる見通しが立たないのに軽はずみなことはできないと、頑なだ。 それに関しては僕も気が気じゃなくて気休めも言えずにいたけれど。 「オレが待たせてる間に、君に相応しい人が現れたら――」 「相応しいって、何⁉︎」 ルイスは鋭い視線を送った。 「だったら私の方こそ、バンドマンの彼女として失格よね? 音楽の事なんか全然わかんないし、嫉妬深いし我慢も足りない。トニィの彼女に相応しくないでしょ!?」 「そんなこと、関係ないよ!」 「そうよ、関係ないのよ!」 ピシャリと言い放つとルイスは…
feat. Samantha Fox カクカク揺れる僕を尻目にフレッドがクスッと笑う。 「大丈夫だと思うよ? ルイスの方も〝その気〟なんじゃないかな!? あのスーツケースの中の高級そうなランジェリー、セクシーなドレスにブランド物の化粧品なんて、気合い十分――」 「見ないでよ⁉︎」 振り向くと、真っ赤な顔したルイスが立っていた。 「化粧品は、お姉ちゃんの会社のサンプル品だから」 別に気張ってるわけじゃないと憤慨するルイスの後ろに棒立ち状態のヤスもいたのは驚いた。 安堵のトニィが立ち上がり「良かった、心配したよ」とルイスを抱き締める。 そんな2人にフレッドは 「だって、スーツケースをあんな風におっ…
全員英語なのに訛りがバラバラ。バンドメンバー5人の英語事情〈裏話ノート〉
バンドメンバーのルックスの元ネタになった、80年代アーティストたちを紹介〈裏話ノート〉
本屋にテーブルはあったのか。映画を観るまで知らなかった、ロンドンの本屋事情〈裏話ノート〉
ジェムが16歳で働いたバイト先「スイーツ・ショップ」の時代設定と、あの制服の話〈裏話ノート〉
物語に登場する音の職人・ライリー。金もない、顔も怖い、でも頼もしいキャラが生まれた理由〈裏話ノート〉
ブログのトップページ=最新記事、というのがずっと気になっていたので、物語への入り口となる、いわゆる「固定ページ」を作りました✨話数も増えてきたので、各章へのリンクと各話を一覧にした「目次」もあります! Key Visual は生成画を参考に主人公を描き、背景は自分の絵柄に合うテイストに調整(ビッグベンなんて自力じゃ描けない💧)でも実際のテムズ川の風景とは違いますね……そこはAIなので、雰囲気ということで🙏 雰囲気といえば、今回のイラストのポイントはヘッドフォン! オレンジのスポンジって懐い〜🤣 これも実在した商品ではなく、80sっぽいという感じで描きました (笑) こんな内容ですが、物語の世界…
昔の洋楽が彩るオリジナル・ストーリー。全10章のうち7章まで完成し、2026年を迎えました🎍 今回は7章の振り返りと、8章の予告をお届けします! 🔎まずは7章をおさらい この物語の舞台は1980年代――ロンドンから来日を果たしたバンド The Starlight Night のフロントマン・ジェムが、過去を振り返る形で進行中。 でも7章「Next Christmas Time~次のクリスマスの頃に」は特別編☝️ジェムの知らない、弟フレッドが父アランと過ごす1970年代を描いた、過去と未来をつなぐ重要な章です。 当時、アランの病は原因不明。ジェムも知らないまま最終章へ──(知っているのは読者だけ…
70年代UKクリスマス・ソングを、物語とともに振り返る。第7章「Next Christmas Time〜次のクリスマスの頃に」に登場した冬の楽曲を紹介。家族、別れ、恋、仲間――少年フレッドの心に刻まれた8年分の音の記憶【80s洋楽が響く創作物語】
(feat. The Beatles) 想い出のマスコットを手に、告白するフレッド。あの日のキスが時をつなぎ、二人の絆が深まる。日本での最後の夜、兄弟の会話は遠距離恋愛の期待と不安を映す。酔いながらも未来を見据えて――【80s洋楽が響く創作物語】
(pick out: Katrina and the Waves)幼い頃から言葉にできなかった想いを共有しながら、少しずつ自信を取り戻すフレッド。パティの囁く〝あの言葉〟が、二人の距離を一気に縮める――【80s洋楽が響く創作物語】
(pick out: Shakin' Stevens)電話では自然に話せても、パティを前にすると頭が真っ白になるフレッド。楽屋に漂う沈黙のなか、ささやかな花束と手土産がぎこちなく行き交う――【80s洋楽が響く創作物語】
★メンバー総出! 楽屋は恋の応援団⁉︎ 「明日の取材の後か、明後日のライブ前か?」 「ライブ後の打ち上げパーティーに、来てもらえばいいじゃん⁉︎ 皆んなで盛り上がろうゼ!」 「そんな遅い時間は駄目だろ⁉︎ 女子高生だぞ」 「記者がいる取材とパーティーは、やめといたほうがよくねぇか? あいつら目ざといぞ」 そして、ジェム、トニィ、ヤス、マークは声を揃えた。 囃したてる4人に、フレッドは小さく拳を握りしめて答えた。 「わ、わかった。明後日、学校が終わった後に来てもらえるか、聞いてみるよ」 ここは仙台、ライブ会場の楽屋。サウンドチェックの前にメンバーは、フレッドがパティに告白するタイミングを探ってい…
feat. Scritti Politti ヤスの笑いも止まらない。 「俺たちが声を被せて誤魔化して、洋子さんも『まだ彼女はいないけど、素敵な女の子はいっぱいいるね』って、いい感じに日本語を被せてきて最高だった!」 「本当のこと答えて何が悪いのさ⁉︎ いいんだよ、わかる人にだけわかれば」 むくれるフレッドにヤスは意地悪く続けた。 「でもさ、好きな子が、パティとまでは言ってないじゃん? 彼女が聴いていても、自分のことだと思うかどうか……? 他の女子のことかと誤解されてるかも」 僕も大きく頷いた。 「確かに。リクエスト曲を『Oh パティ』にでもしていたら、伝わったかもしれないけどね?」 ※曲紹介は…
色あせたブロマイドに映るのは、父の母の淡い面影。母方の物語はまだ霧の中――それでも兄弟は、確かめ合うように家族の時を紡いでいく。遠い記憶が、静かに二人の間に息づく――【80s洋楽が響く創作物語】
(feat. Roxy Music)仲間の旅立ち、バンドの解散、父との別れ――去りゆく街で、フレッドは父のギターを胸に抱いた。刻まれた痛みが、遠いロンドンへと歩みを促す――【80s洋楽が響く創作物語】
転校を前に、最後のステージにすべてをかけるフレッド。夏が終われば離ればなれになる――パティへの想いは、すれ違いの中でぶつかり合う。水面に残ったのは、13歳の彼らが奏でたラスト・ソング――【80s洋楽が響く創作物語】
(pic out: John Lennon)母との再会で、長く封じ込めてきた感情を一気に解き放つ13歳のフレッド。離散と再会、選択と決意が交錯する家族の狭間で、親子に刻まれた絆と葛藤が静かに揺れ動く――【80s洋楽が響く創作物語】
(pic out: The Blow Monkeys)原因も治療法もわからぬ未知の病が、静かに父を蝕み始める。やがて世界中を震撼させるその影は、フレッドの未来を暗く覆い隠す。親子に残された時間が迫る――【80s洋楽が響く創作物語】
(feat. Slade)二人の距離が広がり、パティは切なさを募らせる一方、フレッドは仲間と音楽に夢中な日々を過ごしていた。しかし父には知らぬ間に病魔が忍び寄り、静かに親子の運命を揺さぶり始める――【80s洋楽が響く創作物語】
(pic out: Bee Gees)彼女の唇のぬくもりが、フレッドの胸に小さなときめきを残す。エレキギターとバンド仲間を得て、少年はまだ知らない新しい世界へ踏み出していく――【80s洋楽が響く創作物語】
(pic out: Wet Wet Wet)心を閉ざした少年と、声を持たない少女。ふたたび結んだ絆が、クリスマスの舞台で静かに魔法へと変わっていく――【80s洋楽が響く創作物語】
(pic out: Ringo Starr)転校先で加わった8人のチーム。嘲笑と衝突に追い詰められたフレッドの前に、再びあの少女が怒りをにじませ立ちはだかっていた――【80s洋楽が響く創作物語】
(feat. Cream)白い部屋に閉じ込めたのは、孤独に震える7歳の願い。フレッドの静かな抵抗が、クリスマスの記憶と誕生日の夜に影を落とす――【80s洋楽が響く創作物語】
(feat. Gilbert O'Sullivan)去年は静寂なクリスマス、今年は――? ホワイトクリスマスは夢見ない、フレッドが天辺の星に込めたのは、家族のぬくもりと、ささやかな願い――【80s洋楽が響く創作物語】
父の体調不良と共に始まった、小さな変化。ギターの音色が途切れた夜、迎えを待つフレッドの隣には、声はなくとも温もりをくれる少女が寄り添っていた――【80s洋楽が響く創作物語】
託児所の裏で出会った、言葉を失くした少女。小さなぬいぐるみと無言のまなざしが、フレッドの心に過去の痛みを呼び覚ます――【80s洋楽が響く創作物語】
屋敷を離れた親子がたどり着いたのは、リバプールの町。簡素なアパート、聞きなれない方言、夕暮れの託児所、そして夜ごとのギターが、フレッドの新しい日々をあたためていく――【80s洋楽が響く創作物語】
白布の下に封印されていたのは、美しい貴婦人の肖像画。明かされた記憶に、イライザの言葉が影を落とす。けれど父の静かな決意を聞いて、フレッドはそっと希望を抱いた――【80s洋楽が響く創作物語】
北イングランドの古い屋敷に連れて来られた、幼いフレッド。冷たく威圧的な祖父や厳しいナニーの影に、笑顔が消えていく。家族の温もりを求めても、誰も寄り添えないまま、暗く重い日々が続く――【80s洋楽が響く創作物語】
feat. The Specials 「もしかするとヤス、日本の大学に行くかもしれないよ?」 「えっ、日本に帰っちゃうの⁉︎ じゃあバンドは――?」 フレッドは躊躇うように言葉を濁し、僕も深く頷きながら話を続けた。 「ヤスは僕等には言わなかったけど、今回日本に帰った目的は法事だけじゃなく、大学受験の模試を受けるためでもあるって」 ヤスの祖父は教育熱心な人で、孫が日本の大学に行くことを望んでいるという。 ヤスのお父さんもアメリカに留学していたぐらいだし、伯父と伯母、その子供のいとこ達も共に優秀で、祖父は一番可愛がっていた末っ子の忘れ形見であるヤスへの期待も大きいそうだ。 ユミコはヤスの将来に関し…
「君たちのピアノ・マンも、それでOK?」 ヨーコがキーボード担当のフレッドに声をかけたけど彼は皆んなの会話に耳を傾けず、黙々とアイディア・ノートにペンを走らせている。 ヨーコが僕に小声で耳打ちしてきた。 「フレッドって、普段もこんなに大人しいの?」 「そうでもないんだけど、今は〝心ここに非ず〟なんだ」 理由を知っているメンバー全員ニヤニヤしながら一斉にフレッドを見た。その視線に気付いたフレッドが、突然口を開いた。 「ねえ、今の時期にクリスマス・ソングをリクエストするのって、変かな?」 えっ、まだ10月なんだけど⁉︎ ★ ★ ★ 夏も終わりに近づく頃フレッドは無事に大学が決まり、僕は失恋の傷を忘…
feat. Queen 一日中プロモーションに追われた今日、最後のミッションはラジオ番組への生出演だ。 時間が押してしまいラジオ局に到着すると、すぐにパーソナリティーのヨーコと打ち合わせに入った。 ヨーコは小柄だけど、とてもエネルギッシュでチャーミングな女性だ。英語も完璧で、新人の僕等にも気さくに接してくれる。 「――で、中盤にはファンからの電話質問に答えてもらうから。2~3人ね? どんな内容になるか予測できないから、覚悟してよ⁉︎」 からかい交じりのヨーコの説明に、僕は少し溜め息を漏らした。 「ファンの質問だと、プライベートな内容になるだろうね? 僕等、放送禁止なこと言わなきゃいいけど」 す…
クイーンの映画 (2018) の方です 「コロナ禍の暇つぶし」に書いた物語のベースは、1985年に描いたオリキャラだけど(詳細はコチラ)それを思い出したきっかけが、2021年6月に金曜ロードショーで放送された『ボヘミアン・ラプソディ』でした。 映画自体は劇場で見て〜と言いたいところだけど見逃してしまい、DVDレンタルで内容を把握。 80s な自分にとってクイーンは 70s の大御所で、ちょっと管轄外。 正直、リアルタイムで見ていた「ライブエイド」のシーン目当てで、クイーンの〝大御所・ラスボス感〟の半端ない再現に、大満足して終了――といった感じでした。 (function(b,c,f,g,a,d…
久々の投稿でなんですが (笑) 毎回物語の末に添えている「ト書き」で書ききれない、熱い思いを「note」にUPしたいと思います。こっちの「はてなブログ」に書くと物語の流れを止めてしまうので、新たに立ち上げることにしました! 「note」へのリンクはこちらから! ★描いては消して・・・ イラストを制作していると「うぉー! ギャー! うっへっへ・・・」など一人ノリツッコミも激しく、友達に(LINEで)聞いてもらうのも申し訳なくなってきたので、制作過程の悲喜こもごもは、こちらにぶつけようかと。けっこうマニアなこだわり有り (笑) ★教えてChat先生! 去年ChatGPTによる監修を導入。間違いや表…