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1980s 洋楽★創作物語 https://1980s-y-s-m.hatenablog.com/

1980年代ロンドンが舞台のバンドデビュー物語。あの頃の曲が登場します!イラスト描くの20数年振りで、物語も絵柄も一昔前・・・( ˘ω˘ )

ブログに登場予定の曲はコチラ↓ YouTubeリスト〔随時更新中〕 https://1980s-y-s-m.hatenablog.com/entry/2022/01/15/YouTube_list

usagiara
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2023/06/08

  • リラックスできない!?

    物語に入れられなかった アーティスト・楽曲シリーズ〔第6弾〕 今年のGWは有給を取って 9連休にしたのは 旅行や帰省ではなく ただただ、休みたかったから バタバタの年度末を乗り越えたものの 肩こり腰痛、むくみ、疲れ目が酷くて ここでリフレッシュ&リラックス しとかなくちゃね! で、思い出す 『リラックス』ってタイトルなのに 怪しさ全開で 全然リラックス感のない曲 フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの『Relax』 ボーカルのホリー・ジョンソンが ゲイなのは当時から知っていたので この曲が、男性同士の行為の際 「リラックスしなよ」っていってる 内容だからと分かり、納得w 世界中で大ヒットしたも…

  • No.3-032 Believe In(章末)

    「あー撮影だけは、どうも苦手だ」 ぐったりしているマークを見て、タナベさんがクスッと笑う。 「紙面でしか君達に会われへん、たくさんのファンのために頑張らな!」 「でもインタビューって、どこも同じ様なこと聞かれるし……」 そう溜め息を漏らすヤスの肩を軽く叩きながら僕も頷いた。 「そうだよね。逆に僕等の方から、インタビューしてみたいもんだよ?」 「おっ、それイイじゃん! ねぇ君、電話番号は? 今晩、空いてる?」 すかさず、タナベさんに言い寄るマーク。 取材から逃げようとしたクセに彼女が若くて美人だと知ったらコレだよ、現金なヤツ! トニィは笑ってるけどフレッドも「そんなのインタビューじゃなくて、ただ…

  • No.3-031 Believe In

    feat. Howard Jones - Things Can Only Get Better 「ジェム、有難いけどそれは――」 マークの言葉を遮り話を続けた。 「君の言いたいことは分かる。僕等だって、この先どうなるかなんて分からない。このバンドが成功する保証なんて無いんだ。でも約束する、僕等は The Starlight Night を No.1 にして見せる」 トニィ、フレッド、ヤスも深く頷いている。動揺するマークに、僕は詰め寄った。 「だから君も約束して欲しい。絶対に、また僕等の元に戻ってくると――」 「そうだよ、音楽の道を諦めちゃ駄目だよ!」とフレッド。 「ベースはその時々で、サポート…

  • No.3-030 Believe In

    「ポールに相談した結果、この中でオレ達に相応しいと思うのはノーマンレーベルだ。なんたって母体のノーマン・ミュージック・レコードは、アメリカが本社の巨大なレコード会社だしな。ただ、契約金が他所に比べるとイマイチで――」 「君達が私をマネージャーとして雇ってくれたら、ノーマンレーベルの契約金を倍にしてあげよう」 そう言いながらドアを開けて入って来たのはポールの友人、スティーブンだった。 彼の言葉に、皆んな驚きを隠せなかった。 スティーブンは若い頃ポールのいた世界的に有名なバンドのサポート・ミュージシャンとしてポールと共に世界中を駆け巡り、音楽業界のことを知り尽くしていた。 ステージから離れた後は活…

  • No.3-029 Believe In

    「取り敢えず、シーケンサーという手はあるけど……」と僕。 「でも機械の音なんてな……」とトニィ。 「変わりの奴を探さ――」とヤスが言い終わらないうちにフレッドがテーブルを揺らした。 「そんなこと、できないよ! 僕は絶対認めない。マーク以外のベーシストなんて」 「じゃあ、ベース無しで演れって?」ヤスはフレッドの方を見向きもしない。 「だって、だってさ⁉︎ マークは辞めたくて辞めるんじゃないのに『ベースは君じゃなくても、いくらだっているよ』って感じで、やるせないよ」 憤るフレッドに構わずヤスは続けた。 「このバンドはマークがいたから生まれたんだし、彼が実質的なリーダーでもある。だからこそ彼を失った…

  • No.3-028 Believe In

    するとウォルターが気付いたように、まくし立てた。 「そういえばジェム、君も彼女はいないのかい? ちょっと小耳に挟んだけど、界隈で有名なグルーピーの娘としけこんだらしいって、ここの常連のリズ達が憤慨してたぞ⁉︎ 遊びが過ぎると誠実なファンを逃すから、気をつけた方がいい」 僕は慌てて、その場を誤魔化し店を後にした。 確かに、あのセクシーな子に押されるがままそうなっちゃったことがあったんだけど、マークには「シロウトが手を出す相手じゃねーよ」って、呆れられるしヤスには「趣味悪っ」って、ケーベツの視線を向けられフレッドも怒っちゃって、暫くの間口を利いてもらえなかったからトニィが庇ってくれて助かったんだ!…

  • No.3-027 Believe In

    そしてマークはいつものように戯けて見せた。 「ふだん口煩い姉貴がさ、だまーってんのがスゲェ怖かったけど、でもライキーに出るのはOKもらったから。オレのラストステージ、成功させてくれるよな⁉︎」 「もちろんだよ!」皆んな口々に声を上げた。 バンドからマークがいなくなるなんて考えもしなかったし、こうしていつもと変わりなく演奏しているとライブが終わった後は、マークのいないThe Starlight Night になるなんてとても信じられなかった。 ◇ ◇ ◇ ライブ前日、僕は開店前のセント・ブライアンズを訪ねてみた。 ウォルターはカウンターでドリンクの補充をしながら話してくれたよ。 「マークはあれで…

  • No.3-026 Believe In

    「オレの親父、小型船を扱う小さい会社の社長なんだ。社長ったって、ただの飲んだくれジジイだけどな。 オレも海は嫌いじゃないけど優秀でしっかり者の姉貴や病弱で年の離れた弟に比べるとオレは出来損ないでさ、親父の後を継ぐなんて微塵も思わず遊んでばかりいた悪ガキだ。 親父に反発しては殴られる、そんな日々が続いていた頃ウォルターがオレん家ちの居候になった。 プロのミュージシャンを諦めた彼はスタジオ経営に失敗して奥さんにも逃げられて…… 落ちこぼれ同士のオレ達は直ぐに気が合いオレはウォルターの影響で音楽を始めたんだ」 ウォルターと音楽を演っていた時は聞き分けが良かったとマークは笑う。 「だけどウォルターは『…

  • No.3-025 Believe In

    「うわっ、何だよ⁉︎」驚き慌てるマーク。 トニィがマークの背中から両腕を押さえると僕は彼のTシャツの左側の袖を勢いよく肩まで捲った。 「タトゥーあった!」歓声を上げるメンバー。 マークの左腕には、彼の大好きなダークヒーローのシンボル、コウモリが描かれていたんだ。 ヤスが隠し持っていたアルバムをマークの目の前に差し出すと彼は両手で大きく頭を抱えた。 「おーい勘弁してくれよー! トニィ、お前だな? コイツがLA出身だって聞いた時から、いつかこんな日が来るとは思ってたんだ。えーい、コイツめ、コイツめっ!」 マークがトニィを小突いて皆んな大爆笑!そんな和やかな雰囲気の中重々しい表情のウォルターがやって…

  • No.3-024 Believe In

    feat. Def Leppard 「マークだ!」叫ぶフレッド。 そこには、金髪ロングヘアでトレードマークのサングラスをしている今の姿からは想像も付かない派手な恰好をした16歳のマークがいた。 しかも袖を引き裂いたTシャツから覗く左腕に見えるのはタトゥー?そんなの、あったっけ⁉︎ 「ブラッディ・レイン……聞いたことないバンドだ」ヤスもアルバムを手に取って繁々と眺める。 僕は中身をプレイヤーに乗せて音を出してみた。 すると〝IRON MAIDEN〟や〝Def Leppard〟も呆れそうな程の強烈なドラムと切り裂くようなギター音が瞬時に放たれ、思わず絶句! 「ブラッディ・レインって、最近LAで人気…

  • No.3-023 Believe In

    すかさずマークは、ポケットからデモテープを取り出した。スティーブンも驚いたようだ。 「これは用意がいいな。早速、聴かせてもらうよ」 そして遠くから彼等に声が掛かると 「じゃあライキーでのライブ、頼んだよ。詳しい話はマネージャーにさせるから」 「ライキーでの君達のプレイ、楽しみにしている」 そう言い残し去って行く2人を見送ると皆んな一斉にマークを見た。 「デモテープを用意してくるなんて、凄いな」 「デモテープぐらい、いつも持ち歩いてる。いつチャンスが来るか、分かんねーからな」 相変わらず事を鮮やかに進めていくマークに感嘆の溜め息が漏れた。 僕は次の日『バージンレコードロック年間』と『メロディーメ…

  • No.3-022 Believe In

    レジュームとは、最近ロンドンで話題になり始めたロックバンドだ。 「ゴシップ誌で読んだことある。今でこそ人気のレジュームだけど、以前サイドトークと契約して酷い目にあったって」 ヤス、ゴシップ誌なんて読むの⁉︎(ユミコの資料らしい) ポールが、真剣な表情で説明してくれた。 「この世界で成功するには、大手のレコード会社と契約した方が断然有利だ。どこぞの落ちぶれたレーベルや出版社と契約しても、売れないだけじゃなく評判まで悪くする。そうなると、レジュームのように成功するのは、難しいんだ」 「やっぱり、いくらオレ達が頑張っても、レコード会社とプロデューサー、それと優秀なマネージャーが必要なんだ」マークも頷…

  • No.3-021 Believe In

    そういうのに疎い僕は「ポール・エドソンのライブは最高!」なんてことを口にしながらポールが来てくれるのを待ち侘びるばかりだった。 やっと姿を現したポールだけどあちこちの関係者に挨拶して回っている。 ポールはマネージャーから何やら耳打ちされると不安げな僕等に気付いたようで人の波をかき分け、来てくれた。 「やあ、楽しんでるかい?」 彼の笑顔を見て皆んな、ようやっと安堵した。 「そうそう、君達にお願いがあるんだ。来月はライキーでプレイするんだけど、君達にその前座を勤めてもらいたいんだが、どうだろう? もう一組、前座を増やしたいと思ってたところなんだ」 Club1000 より、更に大きなライブ会場での要…

  • No.3-020 Believe In

    マークの合図でステージに立つと皆んな無我夢中で演奏した。まばらだった歓声がだんだん津波のように押し寄せてきてあっと言う間の15分だった―― 「終わったー!」 ステージを降りて興奮冷めやらぬまま楽屋に向かって歩き出した。すると 「君達のステージ、なかなか良かったよ」 そう一人の男が、拍手をしてくれた。 「「ポール・エドソン!」」 僕等は驚き、声を上げた。 なんと、このステージの主役60年代から活躍するビッグ・アーティストのポール・エドソンが直々に声を掛けてくれたんだ。まさか彼が、僕等の演奏を見てくれたなんて! 大体、彼のようなアリーナクラスの大物が、こんな小さな箱で演ること自体信じられないのに!…

  • No.3-019 Believe In

    ユミコは軽く頷き 「やっぱり、イギリスに戻ってきて正解ね。日本だと足並み揃えないと厳しいけど……」 とテーブルに置かれた書類の山を揃えながら話を続けた。 「今、日本は経済的に過度期にあるみたい。仕事も原稿料も、どんどん増えてるの。お父さんが遺してくれたものもあるし、恭章が直ぐ大学に行かなくても構わないのよ?」 「でも、祖父ちゃんが――」 困惑するヤスにユミコは笑顔を見せた。 「自分の人生なんだから、自分が納得するまで全力で取り組んでごらんなさい? 大丈夫! 恭章なら、この先どこを目指そうと何をしようと、道を誤ったりしない。お父さんの子だもの」 ユミコが肩を抱いて励ますとヤスは小さく頷いた。 「…

  • No.3-018 Believe In

    帰り道、ずっと黙り込んでいたヤスが意を決したように口を開いた。 「ジェム、頼みがあるんだけど」 僕とフレッドはその足で岡部家に向かった。 「あら、2人とも久し振りね?」 笑顔のユミコが、出迎えてくれた。 ユミコの淹れてくれたお茶で喉を潤すと、Club1000 でのライブの話を切り出しヤスの出演許可を求めた。 「そう、あの Club1000 で……」ユミコは感慨深げに頷くとソファに沈んでいる、神妙な面持ちの息子を見つめた。 ユミコの意外な反応に僕は意表を突かれた。 「Club1000、ご存知でしたか?」 「まだ結婚する前ロンドンに来た時、主人と何回か行ったことがあるのよ。あそこはジャズのライブで…

  • No.3-017 Believe In

    feat. Pet Shop Boys - West End Girls 「よーし、気合い入れてこうぜ! Club1000 で成功すれば、レコード会社の目に止まる、千載一遇のチャンスだ!」 マークの掛け声で皆んな張り切って準備を進めた。 そして熟考を重ねたセットリストに合わせ一通り演奏し終わると 「そろそろ一息いれようか?」とトニィがスナックを配り出した。 僕はそのスナックを手にしたままマークとフレッドが曲間について意見を戦わせているのをぼんやり眺めていると 「またやってるな、あの2人」トニィは僕の手からスナックを奪いそれを頬張りながら、隣に腰を下ろした。 「マークにやり込められてる、弟が心配…

  • 新しい年へ、セイル・アウェイ!

    物語に入れられなかった アーティスト・楽曲シリーズ〔第5弾〕 明けましておめでとうございます 去年の今頃は物語を完成させて ブログにしてみようと 試行錯誤していたかと思うと ほんと一年なんて、アッという間です! すっかりブログにも慣れたところで 早速、新年に相応しい80年代洋楽をと 思考を巡らせてみたものの 脳内リストはU2一択(笑) 検索しても、New Yearの曲って あまりヒットしないのは 向こうの方々はクリスマスが主流なので 新年には特に思い入れがなく 曲も無い……といった感じ? そこで、新しい年=スタート として選んだのは エンヤの『オリノコ・フロウ』 (Orinoco Flow) …

  • No.3-016 Believe In

    するとライリーから「空いている時間なら構わねーぞ」とスタジオ使用の了承を得たんだ。 マークの社交性の高さには、脱帽だよ! さっそく、僕とマークとトニィでデモテープ作りに取りかかり休日にはフレッドとヤスを呼んで完成を目指した。 デモテープが完成した頃にはマークが少しでも場慣れするようにと他のライブハウスにも出演するようになった。 こんな感じで僕等はバンドが生活の中心となって月日が流れていった―― ◇ ◇ ◇ バンドを結成して、もうすぐ一年。 マークに呼ばれた僕等はセント・ブライアンズに集まっていた。 約束の時間に現れなかったマークは1時間も遅れてやって来た。僕等が怒るより前に大声で叫びながらね。…

  • No.3-015 Believe In

    ちょっとしたフレーズや小曲なら僕も今までいくつか作ってきたけどちゃんとした作曲となると経験があるのは、マークだけだった。 なので、開店前のセント・ブライアンズに集まりマークに色々教わりながら何とか形にしていった。 問題は〝詩〟 ここで、またもや弟の新たな才能が発覚したんだ! 「えっ、詩ったって、あんまりちゃんとしたヤツじゃないよ?」 フレッドが照れながら見せてくれたノートにはラフなイラスト(女の子の絵⁉︎)と共に、細かいフレーズがいくつも散りばめられていた。 ここからアイディアを集めれば歌詞として、まとまりそうだ。 でき上がった曲をウォルターに聴いてもらおうと僕等は彼の前で演奏してみた。 「う…

  • No.3-014 Believe In

    feat. Echo & The Bunnymen - The Killing Moon 少なくとも、昨日マークに追い立てられなければ鍵を閉め忘れることもなく今ここで、トニィに会うことは無かっただろう。 「じゃあバンド名は、スターライト・ルームにする?」と僕。 しかし、ヤスが少し考えてから口を開いた。 「いや、なんていうか……スターライト・ルームって一種の象徴だろ? それよりも俺は今日この日の、この夜の神秘性を感じるんだ」 「スターライト・ナイトだ!」僕は声を上げた。 「スターライト・ナイトか……うん、なかなかロマンチック! 女の子に受けそうじゃん?」〈ヒュー♩〉っとマークは口笛を吹いた。 「…

  • No.3-013 Believe In

    「君達、ドラマーいらないか? 昨日ずっと見てたんだけど、途中でベースの奴が入ってきただろ? オレだってドラムがあったら、飛び入り参加したのに!」 彼は悔しそうに拳を振って話を続けた。 「君達が此処から出て来たときに声を掛けようとしたんだけど、あっという間に行っちゃっただろ? ずっと気になってて……で、来てみた」 「だからって、何もこんな時間に来なくても」呆気にとられる僕等を見て彼は恥ずかしそうに説明した。 「実はフラット・メイトに追い出されたんだ、打音がうるさいって。でもなんだか無性に叩きたくて、此処なら大丈夫かな〜なんて」 そして、頭を掻きつつ自己紹介。 「オレはトニィ・ダスティ。先月LAの…

  • No.3-012 Believe In

    そういえば、昨日慌ててマークに付いて行ったから門の鍵を閉め忘れていたこと、今頃になって気が付いた。 僕等が端の方から恐る恐る様子を伺ってみると男は荷物をほどき何かを組み立て始めた。 あれは……練習用のドラムパッド⁉︎ 空が橙色に染まる静寂の中スティックのカウントが鳴り響く。ぼんやりとした街灯がスポットライトのようだ。 ――なんて、なんて楽しそうに演奏するんだろう。まるで本物のドラムの音が聞こえてくるようで、すっかり惹き込まれてしまった。 彼の動きが止まると僕等は迷わず拍手した。 「うわっビビった! 人がいると思わなかった」彼は驚きの声を上げスティックを重ねて振り向いた。 明るいブラウンの小ざっ…

  • No.3-011 Believe In

    feat. The Smiths - This Charming Man 「ジェム、落ち着きなよ⁉︎ 物に当たるのは良くない!」慌てるフレッド。ヤスも呆れている。 「僕は落ち着いてるよ⁉︎ 君らに八つ当たらないだけ、十分落ち着いてるっ!」 そんな僕にフレッドは溜め息を吐いた。 「ねえジェム、いい加減あの2人のことは、気にせずいようよ? それに僕、意外だなと思って――」 「何がー⁉︎」僕は勢いよく振り返った。 「ギルだよ。あの人、普段僕達に関心ないみたいなのに、ちゃんとジェムのこと見てるなって……」 「俺も思った。仕事できる人なんだって、分かる気がする」ヤスも頷く。 「はぁーっ⁉︎ 2人とも何言…

  • No.3-010 Believe In

    「駄目だと言っても、君達はやるだろう? ただ、まだ未成年なんだから、勉強に差し支えない程度にしておきなさい」 「僕は成人[18歳]している」 と言おうとしたらフレッドが制して笑顔で応えた。 「ありがとうございます!」 仕方なく僕も小声で「どうも」と言い部屋を出ようとした。すると 「ああ、それとジェームス」ミスターが新聞を閉じた。 「9月からの学校が決まったようだが、ビジネスカレッジも検討しておきなさい。ギャップイヤー※という手もある。そうすれば就職先の伝は、いくらでも用意できる」 ※高校や大学の入学前から就職するまでの間を利用して、ボランティアやインターン、海外留学などを経験するための猶予期間…

  • No.3-009 Believe In

    僕等は昨夜のステージの余韻が残るままバンド名やステージ映えする曲のアイディアを出し合っていたんだ。(至って健全でしょ?) 気付けば時計の針はもうすぐ20時になろうとしていた。 「お腹空いちゃったね? 何か作るよ」 フレッドが立ち上がり、僕とヤスも手伝おうとキッチンに向かった。 皆んなで作ったサンドイッチをパクついてると、フレッドの愛犬ビーグルのティックルが尻尾を振っておやつを催促してきた。先住猫のベルは、窓際の定位置であくびをしている。 程なくしてドアが開きステイシーとミスターが帰って来た。 「え、今日は帰らないはずじゃ……」僕が軽く舌打ちすると 「予定変更よ。フレッド、ティックルを退けてちょ…

  • No.3-008 Believe In

    「僕、キーボードなら、少しできるけど?」 フレッドが手を挙げた。えっ⁉︎ 「ダッドと住んでた頃に演ってたバンドの、キーボードだった友達に教わって……あんまり上手くないけどね」 照れ臭そうに答えるフレッド。キーボード? バンド?そんなこと、初耳だよ! 「それならジェムもバッキングできるし、曲の幅が広がりそうだな!」 前のめりになるマークを見てウォルターが嬉しそうに声を掛けた。 「そういえば、この前ジョン達のバンドのオーディションに、アメリカ訛りのドラマーが来てたな。6.2フィートはありそうな長身で、なかなかの男前だった。ジョン達とはスタイルが違ったけど、君達とは上手くいくかもしれない。連絡してみ…

  • No.3-007 Believe In

    「あのガーデンで演ってたのと、同じでいいんだ。大丈夫、初めは誰だって初心者だ!」 ウォルターがドラムのスティックでカウントを取るとマークのベースがルートを刻みフレッドのギターとヤスのサックスで、イントロが始まる。 そして、わずかに震えた僕の声がマイクを通して、会場中に響き渡った。 気付けばパーカッションやホーン、コーラスの女性陣までステージに上がり会場中が踊り出した。 無我夢中で演奏し終わると僕等は客席から、拍手喝采を浴びた。ステージを降りるとマークが笑顔で肩を叩いてきた。 「あの反応、聞こえるだろ?」 放心状態の僕等を見てマークはケラケラ笑い出した。 「おいおい、大丈夫かよ?」 「いいね君達…

  • No.3-006 Believe In

    feat. Kate Bush 僕等はマークに引っ張られステージの正面を陣取った。 先ず、パンクっぽいバンドの演奏からスタート。シンプルながらも激しいビートで掴みはOKだ。 次は女性ヴォーカル。幼げなルックスの割に独自の世界観で歌い上げる様は〝ケイト・ブッシュ〟を彷彿とさせる。 気が付くと、次から次へと入れ替わり立ち替わり常連達で盛り上がっていた。 フロアにいる何人かが、慣れたようにステージに上がっている。もちろんマークも、その一人だ。 もう、どこまでが客だか演奏者だか分からない。ハードロックから弾き語りまでまるで音の洪水だ。 かつて僕が BAD MOUTH で演っていた空間とは、全然違う。こ…

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