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クイーンの映画 (2018) の方です 「コロナ禍の暇つぶし」に書いた物語のベースは、1985年に描いたオリキャラだけど(詳細はコチラ)それを思い出したきっかけが、2021年6月に金曜ロードショーで放送された『ボヘミアン・ラプソディ』でした。 映画自体は劇場で見て〜と言いたいところだけど見逃してしまい、DVDレンタルで内容を把握。 80s な自分にとってクイーンは 70s の大御所で、ちょっと管轄外。 正直、リアルタイムで見ていた「ライブエイド」のシーン目当てで、クイーンの〝大御所・ラスボス感〟の半端ない再現に、大満足して終了――といった感じでした。 (function(b,c,f,g,a,d…
相変わらずふっるい洋楽しか聴いていない自分であるけれどこの冬〜春先はますます輪がかかっていた。 なんといっても『名もなき者 A Complete Unknow…
【決定版】ロバート・ジョンソンと《クロスロード伝説》:悪魔との契約の真実
はじめにロバート・ジョンソンの名とともに語られる《クロスロード伝説》は、ブルース界のみならず、音楽史全体に影響を与えた神秘的な物語です。彼がギターの腕を上達させた驚異的な速さは、当時の音楽仲間たちを驚かせました。その結果、「彼は悪魔と契約し...
No.6-032 Blue Dreaming シャイな彼女と奇跡の再会
feat.Kajagoogoo 「なに言ってんだ?」ってぼやきながら、鏡に映った自分を見て分かった。 両耳のピアスは両性愛者バイセクシャルを表すからねーって、ちょっと待て⁉︎ 右にも付けろって言ったのお前じゃないか? 二日酔いじゃなかったら制裁を打つのに……覚えてろよ⁉︎ ★ ★ ★ スタジオに入った僕等は盛大な拍手に迎えられた。テレビカメラの前で代わり映えしない司会者の質問に、お決まりの答えを並べる。 それにしてもすごいスタジオセットだな。 日本のミュージシャンは、いつもこんな豪華なセットで歌っているんだ?さすが金持ち日本! 「どうぞ」と通訳の合図でセットの中に入り、司会者の紹介で曲が流れ出…
No.6-030 Blue Dreaming ドライブ、夏の終わり
feat. The Cars バックミラーに映る二人の姿を確認すると、手を振るケイトの唇がスローモーションのように動いた。 「ありがとう、お義兄にいさん」 二人の姿が、完全に見えなくなる頃ラジオから『ドライブ』が流れ始めた。 [The Cars『Drive』Released:23 July 1984] 曲を口ずさみながら〝もう彼女を車で送るのは、僕じゃない〟そう実感すると辺りの景色が滲み出し、海に沈む太陽と流れるヘッドライトが揺らめいて、地平線を上手く捉えることができなかった―― ◆ ◆ ◆ 家に着いたら22時を回っていた。シャワーを終えてキッチンに向かうとフレッドの気配を感じて、元気よくドア…
feat. The Outfield 「そもそも、ケイトが家を出た原因はお前だろ⁉︎」 確かに、愛する女性ひとに先を越されるのは男として辛いことだと理解できる。でもケイトにだって、辛く苦しいことがあるはずなんだ。 それなのに彼女は決して泣き言を言わない。だからこそ、自分の夢に近づくことができるんだ。 「もういいの、やめて!」 ケイトに腕を押さえられるも、言わずにはいられなかった。 「君は……いつも笑顔で明るく前向きで、逞しささえ感じる。でもそれは、弱さを隠すためのカモフラージュなんだ」 ケイトは母親を知らず、父親にも滅多に会うことなく育った。高齢の祖父母に心配をかけまいと明るく振る舞ってきたの…
feat. Yazoo 「あ、愛している……」 彼の唾を飲み込む音が聞こえた。僕は呆れながら、再び問いかけた。 「レイチェルのことは、どうなんだ?」 「彼女には……感謝している、とても」 「――感謝?」 僕が訝しげに見ると、アシュリーは言葉を選ぶように口を開いた。 「恥ずかしい話だが、ケイトが出ていった後、その……衝動的に手首を傷つけてしまって……」 彼は包帯が巻かれた左手に視線を落とし、話を続けた。 「レイチェルが助けてくれて、親身に支えてくれたのは本当にありがたかった。だけど……」 黙り込んだアシュリーの様子に苛立ち、思わず声を荒げた。 「だけど何だ!? ハッキリしろよ? お前が求めている…
feat. Cutting Crew 「でも、こんな口うるさい女、嫌われて当然よ!? レイチェルは私とは正反対ね、必死にアシュリーを庇って……きっと何もかも包み込む、聖母のよう人なんだわ。私はダメ、突き放してばかりでバチが当たっちゃった」 ケイトはゆっくりと視線を僕に移し、話を続けた。 「私、ジェムを好きな気持ちは嘘じゃないの。一目見て素敵だと思ったし、あなたと過ごす甘い時間は、女性として至福のひとときだった。だから、アシュリーがレイチェルを選んだように、私も次へ進もうって、そう決心したんだけど……」 涙と雨で顔をグズグズにしてもケイトは凛とした表情を崩さなかった。 「でも、もうこれ以上、気づ…
【和訳と深堀り】レッチリ『Road Trippin』はサーフィン旅行の曲ではない?
この記事では、『Road Trippin』を掘り下げます。 アルバム『Californication』の15曲目に収録でシングルカットされました。 ドラムが入ってないアコースティックソングで、アンソニーとフリー、ジョンが実際に行ったサーフィ
pick out: A Flock Of Seagulls 霧雨のなか足早に駐車場まで 向かっている途中、ケイトが不動産屋の張り紙に目を止めた。すると、偶然にも中からアシュリーが出てきたんだ。 驚きの表情の2人。動揺したケイトの声は震えていた。 「どうして、ここに?」 彼は僕に目をやると遠慮がちに口を開いた。 「……もしかして、2人で住む家を探してる?」 黙って俯くだけのケイトにアシュリーは話を続けた。 「だったら、戻ってくるといい。僕があそこを出るから」 「レイチェルと一緒に住むのね⁉︎」 鋭い口調のケイトをなだめるように彼は説明した。 「いや、彼女は変わらず親元にいるよ。あの家は一人で住む…
【和訳と深堀り】レッチリ『The Zephyr Song』反発する二つのテーマ
この記事では、『The Zephyr Song』を掘り下げます。 アルバム『By the Way』からの2枚目のシングルとしてリリース。 この曲は、相反する2つのテーマがあります。 スピリチュアルな力とのつながりや自由と解放 薬物使用時の高
feat. Olivia Newton-John 「聞けばケイトは、彼の不甲斐なさに呆れて出て行ったそうじゃない? だから確信したの。アシュリーにはケイトじゃない、私が必要だって。これは『運命のいたずら』? いいえ、神様がくれた〝2度目のチャンス〟よ」 [Olivia Newton-John『Twist of Fate』Released:21 October 1983] レイチェルとアシュリーが上手くいけば、それは確かに僕にもチャンスとなる。そんな思惑を巡らしていると、彼女がさらに強く訴えかけてきた。 「ケイトは強い女性だし、誰にでも愛されてるわ。父の会社でも人気なのよ、ケイトが来ると社内が明…
【和訳と深堀り】レッチリ『Otherside』の反対側には未来があると信じたい
この記事では、『Otherside』を掘り下げます。 アルバム『Californication』では『Scar Tissue』に続き4曲目に収録。 同アルバムの3枚目のシングルとして、2000年1月にリリースされました。 『Othersid
feat.OMD せっかく恋人同士なんだからラブラブなドライブ・デートをしたかったのに、ケイトはどこか上の空だ。 アシュリーに電話したけれど留守電にもならなかったのが気になってるみたいで車内の空気も、なんだか重い。 「ケイト、疲れてる? 寝てていいよ。着いたら起こすから」 彼女は申し訳なさそうにしたものの、ほどなく静かな寝息を立てた。 不安な気持ちに駆られてしまうとラジオから流れる曲にさえつい、過剰反応してしまう。 〜♫ もし君が離れていくとしても、今はいかないで お願いだから僕の心を奪わないで もう一晩いると約束して そして僕達は別々の道を歩むのだから ♫〜 [OMD『If You Leav…
サミー・ヘイガーのライブから1週間がたった。 いや、ほんと良かったライブの感想のようなものはこっちに書いたのでおいといて未だにVH脳が続いている。今回はサミ…
【和訳と深堀り】レッチリ『Parallel Universe』すべては心の宇宙へ
この記事では、ライブでも人気の曲『Parallel Universe』を掘り下げます。 アルバム『Californication』では『Around the World』に続き2曲目に収録。 『Parallel Universe』はギターも
【和訳と深堀り】レッチリ『Around the World』のインスピレーション
この記事ではライブでも人気の『Around the World』を掘り下げます。 レッチリのライブはジャムのイントロから始まりまりますが、1曲目は『Around the World』か『Can't Stop 』で始まるかというのは
feat. David Bowie まず最初は、派手で有名なロイヤル・パビリオン。外観はインド風なのに中身はシノワズリー[中国趣味]一色。 それから、ザ・レーンズ。アンティーク・ショップや古着屋が連なるショッピング・ストリートだ。 「わあ、ステキ!」 アクセサリー・ショップに目を輝かせるケイト。 「見て行く?」僕が尋ねると 「ん……ジェムは、あっちで待ってて?」 と、彼女はセカンド・ハンズ[中古]レコードショップを指差した。さすが、分かってる! 夢中でレコードを物色していると、ほどなくしてケイトが手を振り戻ってきた。 ランチは、ケイトお勧めのレストランへ。 オーダーを済ませると僕は袋から〝デヴ…
【和訳と深堀り】レッチリ『Californication』はカルフォルニアの裏側
この記事では、前作までの成功から更にテイストを変え、しかも支持されるという偉業を成し遂げた7枚目のアルバム【Californication】の表題曲『Californication』を掘り下げます。 『Californication』という
地元カルフォルニアへ捧げられた「White Braids & Pillow Chair」はカルフォルニアに対する彼らの思いが詰まった曲(Unlimited Love収録)
Bastards of Lightに続く12曲目White Braids & Pillow ChairBastards of Lightの曲解説はこちら演奏もアンソニーのボーカルも非常に穏やかに始まります。それではWhite Bra
レッチリ【By The Way】の歌詞を掘り下げる。和訳と意味まとめ
アンソニー「あのシングルは非商業主義を大げさに攻撃したものだと思いました。それがこんなにも好評だったのは私にとって衝撃的でしたが、同時に興奮しました」メキシコ映画『アモーレス・ペロス』にインスピレーションを受けたPVの続編【Universally Speaking】
【和訳と深堀り】レッチリ『Scar Tissue』と小説『カモメのジョナサン』
【Scar Tissue】について詳しく知りたい方へ。PVも象徴的ですが小説『カモメのジョナサン』を読むことで、彼等の当時の心情もより理解できます。
【Dosed】はドラックで失った大切な人を歌った曲と思いますが、彼女とは恐らくドラッグ・カウンセラーのグロリア・スコットの事だと思われます。
レッチリ【Under The Bridge】の歌詞を掘り下げる。和訳と意味まとめ
【Under The Bridge】収録の「Blood Sugar Sex MAgic」はロサンゼルスのローレル・キャニオンに建設された、通称「ザ・マンション」と呼ばれるのルービンの大邸宅。レコーディング・スタジオとして過去25年の間に、ルービンがプロデュースした数々のアーティストが住み込みで利用してきましたが、一番最初に足を踏み入れたのはレッチリなそうです
feat. The Style Council そんな連絡一つ寄越さない薄情な男なんか忘れさせてやる!ってつい躍起になってしまう。 今夜はフレッドもいないしバイトも休みだからちょっと背伸びをしてライブが楽しめるレストランにケイトを誘った。 「こんなところ初めて。大人の世界って感じね? ドキドキしちゃう」 レストランの入り口で目を輝かせるケイト。 「ブライトンならナイトスポット、色々あるでしょ? 年上の彼だし、もっと大人な場所でデートしてるんじゃないの?」 なんて、ちょっと勝ち誇ったように意地悪く言うと彼女は軽く溜め息を吐いた。 「彼はこういった場所は苦手だし、お金もないしね? それに私、アシュ…
feat.Tracey Ullman 「実は……ヘレンと付き合うことに、なっちゃったんだ」 「へぇ! 良かったじゃないか、おめでとう!」 軽く拍手をしながらちょっと揶揄ってみた。 「君ってモテるんだねぇ。他の女の子たちも、君に好意を持ってるんだろ?」 「モテないよ! 彼女たちのアレは、ゲームだよゲーム! 僕は揶揄われてるだけなんだ。だから昨日、ようやっと断ることができて清々してたのに、ヘレンは――」 フレッドは顔を上げると僕の肩を揺さぶってきた。 「彼女は他の子とは違うって、『皆んなは分かってないのよ』って泣きながら言うんだ!」 [Tracey Ullman『They Don't Know』R…
pick out: Alan Parsons 男のピアスって今は一部の人がファッション感覚で身に付けてるぐらいだけど、昔は男女の区別なくしていたんだって。 例えば夫婦が戦争や仕事で長期間離ればなれになってしまう時、片方ずつ同じピアスを分け合って必ずまた再会できるようにと願ったんだ。 ピアスは2個で1組だから、お互いを強く引き付け合うって信じられてたんだね。 それとカップルで歩く時、大抵男の左腕と女の子の右腕が組まれるでしょ? それって男は利き腕の右手を自由にしていざという時、女の子を守れるようにするためなんだよ。 つまり、男の左耳ピアスと女の子の右耳ピアスはいつもお互いを見つめ合ってるってこと…
feat. Wang Chung ケイトの提案で、木漏れ日が眩しいセント・ジェームズ・パークを歩くことにした。 「きれいな所、池も大きいのね」 「ここはロンドンの数ある公園の中でも、一番優雅で人気があるんだ。色々な人が来てるでしょ?」 サラリーマン、犬を連れた老紳士、並んでベビーカーを押すご婦人方に団体で賑やかに歩く観光客。ベンチで肩を寄せ合う学生らしきカップルを見てケイトが悪戯っぽく微笑んだ。 「私達も、カップルに見えたりして?」 「――兄妹とはいえ、血は繋がってないからね」 思い切って彼女の肩に手を回そうとした、その瞬間 「あっ、あそこ! 木陰のベンチ空いてる!」 ケイトが駆け出して行って…
feat. Wham! そんなウィンク一つ、見つめられるとドキッとしちゃうよ⁉︎ ステイシーに似てるなんて(よく言われる)いつもなら憤慨するところだけど僕はこの、笑顔の素敵な義妹にすっかり魅了されてしまったみたいだ。 ケイトは軽く頭を下げた。 「ブライトンの家には、ここの電話番号を留守録に入れておいたから、そのうちアシュリーから連絡がくると思うの。そんなわけで、ちょっとの間お世話になります」 そこへ電話の音が。さっそくアシュリーって奴からか?と受話器を取ると、ステイシーだった。 「ケイト着いたのね? じゃあ、そういう事だから、あと頼んだわよ。私はこのままパリに行くから、まだ帰れないから」 ハイ…
pick out: The Dream Academy なんて羨ましい奴なんだ!まあ、当の本人は迷惑気味で足取りも重く、出かけて行ったけどね。 昨日はバイトの遅番だった僕はもう昼近くなんだけど起き抜けの目を擦りながらコーヒーを淹れにキッチンへ。すると、またチャイムの音。 モニターに映るのは、女の子一人。さっきの子達の仲間だなとエントランスに出て対応した。 「フレッドだよね? さっき女の子達と出かけて行ったよ。あっちの裏通りの方に向かったから、急げば追い付くかも」 そう手を伸ばし案内すると彼女は微笑んで、自ら手を差し出した。 「じゃあ、あなたがジェームスね? 初めまして、お兄さん」 思わず勢いで…
米国の歌姫オリヴィア・ロドリゴ(OLIVIA RODRIGO)が、2024年9月27日(金)、有明アリーナ(東京)にて初来日公演を行います! PR
feat. Crowded House そして、久々に5人揃ったバンドは思い切り演奏を楽しんだ。 ――ああ、これ、この音と一体感なんだ、求めていたのは! メンバー全員がそれを噛み締めていると確信した。許されるならマークには本当に早く戻って来て欲しい。 「待ってるよ、マーク」 笑顔を見せる皆んなの姿が強く胸に残った。 ◇ ◇ ◇ マークがウォルターを連れカナダへ帰国して数日後、僕等はスティーブンのオフィスに集まっていた。 「もちろんジェム、君が無実なのは分かっている。しかし知っての通り今ノーマンレーベルの内情は非常に厳しく、イメージダウンやスキャンダルになる事は極力避けたいと、非常にナーバスな状…
今更ですが・・。贅沢なライブ!TLCとジャネット・ジャクソンのライブに行ってきました。
・本ページはプロモーションが含まれています。 こんにちはコヨコヨリです。 レビューが遅くなりました。 本当は先週更新する予定が今になってすみません・・・。 先日3月20日にKアリーナ横浜で開催されたジャネット・ジャクソンの『TOGETHER AGAIN JAPANTOUR 2024』に行ってきました。 しかもスペシャルゲストがTLC。 最高に見応えがあって楽しかったライブでした。 会場のKアリーナ横浜までは、みなとみらい線の新高島駅から降りていくと比較的近く、行きやすかったです。 会場付近には既にグッズのTシャツやパーカーを着込んだファンが集まっていました。 入場開始まで時間があったので、物販…
feat. Big Country 「仕方ねーだろ」 マークはビッグバーガーを頬張った。 『シャバの旨い飯でも食いに行こうぜ! 社会人のオレちゃんが、奢ってやるよ』 そうドヤ顔で言われて入った店は世界中どこでも安定供給のファストフード……美味い飯? 「フィッシュ&チップスより断然、旨いだろうが⁉︎」 「やっぱハンバーガーは、最高のご馳走だよな!」 アメリカ(トニィ)とカナダ(マーク)の2大『ビッグ・カントリー』に徒労を組まれちゃ適わないよ? [Big Country『In a Big Country』Released:20 May 1983] でも、2人と一緒に食べれば不思議とご馳走になる。 …
feat. Tears for Fears 「動くな! 全員止まれ!」 心配したジョージが、警官を連れて様子を見に来てくれたんだ。 男は裏口から逃げ去り僕はヤスが伸ばした手を掴むと必死に叫んだ。 「病院に早く! フレッドが――」 ◇ ◇ ◇ それから1時間、僕は取調室でイラつきを抑えられずにいた。 「だから、何度説明すれば分かるんですか⁉︎」 「あれはジェムの物じゃない。あの場に落ちてたのを拾っただけだ!」 ヤスの必死の説明も真面目なロンドンのお巡りさんは聞いてくれなかった。 あのとき拾ったドラッグの小袋を持っていたせいで、疑いをかけられてしまったんだ。 もちろん、僕がドラッグをやっていないこ…
pick out: Bronski Beat 僕等はセント・ブライアンズの1階入り口までやって来た。 店の看板は外されていたけど外側からは、何ら変わった様子は見受けられない。 扉に鍵は掛かってなかったのでゆっくり寂れた暗い階段を下り地下入口のドアを開けると、甘い異臭を感じた。 元々ライブハウスやクラブではアルコールや煙草と同じようにマリファナ程度のドラッグは珍しいものではないけれど、今のこの状況はそんな類の物だけではないと容易に察せた。 ぼんやりとしたフットライトを頼りにそのまま受付、そしてスタッフルームの前を進むも人の気配は無い。 不意にヤスが足元の感触に気付きそれを拾い上げ、僕に手渡した。…
feat. The Stranglers 「君達こそ希望の光だ。君達なら世界を手に入れることができると、そう信じている――」 そのままウォルターは静かな寝息を立てた。 僕等はそっと病室を後にするとドクターが待ち受けていた。 「彼は警察が保護してきたんだ。失礼だが君達とは、どういう関係だろうか? 家族の方と連絡を取りたいんだが――」 僕は皆んなと視線を合わせると、躊躇いつつ答えた。 「僕等は、彼のライブハウスでお世話になってました。最近は店に行ってなかったから、彼がこんな状態だなんて知らなかったんです」 「ウォルターがジャンキーだなんて、信じられない!」 「ドラッグに溺れるような人じゃ、ないと思…
feat. Depeche Mode 「実は色々あって、デビューが伸びちゃったんだ」 僕等は事の流れを説明した。 「そうだったのか……まあレーベル側の思惑はともかく、こっちとしては〝Depeche Mode〟じゃないが、掴めるものは掴んでおきたいね。何事にもタイミングというものはある」 「『全てのことに意味がある』 よね? きっと、もっと良いタイミングで、デビューできるはずよ」 [Depeche Mode『Everything Counts』Released:11 July 1983] 励ましてくれる2人に感謝し、トニィが本題を切り出した。 「ジョージ、去年会ったとき話してたよな? セント・ブ…
feat. Everything But the Girl 「どうぞ入って」 2人はドアを開け僕等をフラットに招き入れるとジョージは、うとうとしているベビーをそっとバスケットに寝かせた。トニィが中を覗き込む。 「可愛いね、男の子? 女の子?」 「男だよ、名前はエリック」 「ギターの神様と同じだね⁉︎ 将来はジョージパパを超える、名ギタリストになるかな?」 僕の台詞に、ジョージは軽く微笑んだ。 「できればコイツには、真っ当な道を進んでもらいたいけど」 「あら、私達は真っ当じゃないって言うの?」 アンは呆れながらティーポットとカップのセットをテーブルに置いた。 僕からすれば、2人は〝Eurythm…
pick out: G.I. Orange そら面白い! って皆んなで一生懸命木の箱を振っている姿が笑えるな。外国人観光客が多い京都はおみくじも、ちゃんと英語で書いてあるんだ。 「見ろよこれ?『大吉』だってさ!」マークは引いたおみくじを得意気にヒラヒラさせる。 「僕は『中吉』、北の方角がラッキーだって」フレッドも嬉しそうだ。 「私は『末吉』だ。これは、どのぐらい良い結果なんだい?」とスティーブン。 「オレは『吉』だった。ジェムは?」 「トニィと同じ『吉』だよ。悔しいな『大吉』狙いだったのに」 そして皆んなの視線はおみくじを紐に結ぼうとしているヤスに注がれた。 「あのさー、こんなのはお遊びなんだ…
ロッドの最後の来日公演が春に。 先日のビリー・ジョエルといい、One Night Live!!なんで1日だけ? 今、お別れのワールドツアー中。こんな感じでや…
物語に入れられなかった アーティスト・楽曲シリーズ〔第7弾〕 クリスマスは当日より イブの方がメインって印象なのは 1980年代後半のバブル時期、 恋人達が主役に躍り出てから……? シャンパンで乾杯の豪華ディナー 夜景の美しいシティホテル プレゼントはブランド品の数々―― そんなトレンディーな方々の様子を TVや雑誌で垣間見つつ クリスマスは本来、家族で過ごすもの と鼻息荒くした英国かぶれの自分が 一番好きなクリスマス・ソングは クリス・レアの 『ドライビング・フォー・クリスマス』 一見、恋人達がイチャラブしながら ゲレンデに向かう(←色々混ざったw) ドライブ・ソング? と思ったけど 原題は…
feat. The Cure ゲートに向かって歩き出した2人にフレッドは手を振りながらほっこりとして呟いた。 「なんだかルイス、綺麗になったみたい。穏やかで満たされてる感じ……? きっと好きな人と一緒にいるからだね」 「欲求不満、解消されただけだろ」 鼻で笑うヤスの前に不意にルイスが踵を返して舞い戻って来た。ギクッとなる一同。 ルイスはヤスの正面で立ち止まると 「今度会う時までに、少しはレディへの接し方を学んでおきなさいね?」 そう言って、ヤスの頬にキスしたんだ! 「それはあんたの方が、先ずレディにならないと――痛っ!」 ヤスの腕を軽く小突いてルイスはクスクス笑いながらトニィの後ろに隠れた。 …
feat. Deniece Williams 甘くキスを交わす2人にいつの間に集まっていたのかギャラリーが〈ヒューヒュー♩〉と口笛を鳴らし、拍手を送っていた。 誰かが 『男の子に声援を送ってあげて!』 [Deniece Williams『Let’s Hear It For The Boy』Released:February 14, 1984] と大きな声を出すと口々に2人に応援の声がかかり一斉に歌い出したんだ! そういえば、このホテルアメリカ人観光客の御用達だっけ。そりゃ『フットルース』で盛り上がるわけだ。 その様子に背中を押されたのかルイスは恥じらいながらトニィの耳元で囁いた。 「今日こそ、…