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エアコンの運転が冷房から暖房に変わった季節。先日まで寝苦しい夜で、冷房をつけて寝ていたのに、今夜は暖房をつけて寝た。そろそろ10月も半ばにさしかかるとさすがに夜は寒い。暖房をつけていながら夜中に寒さで目を覚ました。そろそろ寝間着も半袖半ズボンでは寒いかなどと思いながら、布団を引き寄せて深く被った。布団を深く被った状態で、スマホに手を伸ばす、スマホの時刻には2時36分と表示されている。まだ寝てからそれほ...
「うちの子です」男が紹介する、家族らしい。 「こんにちは」二人は声を揃えて合唱みたいに、挨拶を言ってのける。 「こんにちは」 「お姉さんは、ママとお友達?」 「えっ?」 「違うよ。この人はお店の人。クリーニング、パパの服を綺麗にしてくれる人だ」 「ママもお洗濯してたもん」 「してたもん」 「だから、違うんだよ。この人はママとは関係ないんだ。わかる?」 「わかんない。ねえ、ママはいつになったら帰ってくるの?」 「くるの?」 「パパだって今日はお休みでしょ、だけど、明日はお仕事。ママがいないと困るんだぁ。明日ね、お歌を歌うの。だからね、ママにね、きいてほしいの」 「ほしいの」 「パパはお仕事だから…
翌日。店番の交代を従業員に告げると、お客に届けるよう洗濯物を手渡された、配達の車両に積み忘れたそうだ。マンション名を頼りに、家に引き返した。自宅へは出し忘れた手紙を取りに帰るだけ、急ぎの用事ではないけれど、休憩時間の有効的な使い道も見出せないのだから、散歩がてら、時間に余裕を持って歩くことの贅沢さをかみ締めて約二十分の道のりを歩ききる。先に手紙を回収、荷物を届けるのは復路。 サンライズヴィレッジ星谷。ここだ。二棟のマンションと道路沿いに屋根付きの駐車場。中央に駐車場を突っ切る道は確立されていないらしい、左右のどちらかの棟にエントランスで行く先を明確に決定しなくてはならないらしい。ワイシャツに貼…
またわれ外伝「またわれさんと仲間たち!」その2 村長密着24時
「またわれ」は「またわれ村」の村長です。村長として、どの様な活躍をしているのか?っていうか、一体「またわれ」に何が出来るのか?そんな謎なショートストーリーです。
こんばんは。Rinaくんご飯も食べずねちゃったので…1人でぽつんと居間に居ますご飯頑張って作ったのになぁ…ゴニョニョさて今日は、ひーちゃんこと陽太の鳴き声の録…
私が乗り越えられるのなら他の多くの方は乗り越えられるだろう…そう思えるほどの柔らかな豆腐です。そんな私が創作物への自信を持てるようになった経緯とか、考え方とか、そんなお話。
張り紙を取り外したのが男の来店から数えて二週間と一日。恐々張り紙を外しては、またつけるを一時間ごとに繰り返したが、結局、通常対応の時間間隔が戻り、常連客の足がもどりつつあった。 ところが、閉店間際に聞き覚えのある圧力と音声が聞こえた。あの男性である。一言言ってやろうかと思ったものの、何事もなかったように今日を終えようとしている私、それにこのお客が情報を広めたとは言い切れないのも事実だ。 男性がうっすら笑みを浮かべていた。気が変わった、笑い事で済ませてたまるか。 「先日は、どうも」男は言う。 「約束は守られなかったようですね」私はすかさず男性に切り替えした。 「何のことです。誓って、僕は他言して…
おはようございます。今日は小雨の降る朝です。肌寒いですね…お布団が心地よい季節…お絵描きができたらいいなと思うので、今朝は絵を載せようと思いますちょっと前?か…
こんばんは。今更ながらの自己紹介漫画とネガティブmegの創作への思いです。動画ではありませんが音楽付きmeg🏳️🌈日常漫画と同性カップルの日々 on Ins…
男は時間ぴったりに出来上がったワイシャツを取りに姿をみせたが、翌日に問題が起きた。朝から駆け込みでしかもまだ開店前の午前九時に二人のお客が至急、汚れを落として欲しいとの要望をさも当たり前に私が以前から請け負っていたかのような面構えと態度。まだ準備中であり、優先的な緊急性の仕事に対応してはいないのだと、相手の逸る気持ちを宥めるように私は店の対応を説明した。一人が納得し返ったものの、もう一人はたった今、汚れを落とすことが必要なんだ、これは今日着るつもりの服で昨日見落とした箇所にしみができていたのを今朝見つけて、もうシミを落としてもらうしか方法ないのだと、切実な訴えにしたかなく、二日続けて私は要求に…
シーンと静寂に包まれた世界に、微かに星が瞬く夜。その夜は、大地を照らす月も無く、あらゆる物を隅々まで満遍なく漆黒で満たしていた。その漆黒のなかで、すべての生き物たちが動くことをやめて、身を横たえ、ひと時の安息に身を休ませている時間、僕はこの塔からの脱出を試みていた。この鉱物なのか生物なのかも判別しない塔は、堅い表面を僅かな星明かりに浮かび上がらせて、時々脈動し、呼吸をし、そうかと思えば押し黙り、微...
粘土で人形作りです 42 (グレイスカルピーでフィギュア作り らんま 女の子ver 中編)★らんま1/2★
グレイスカルピーでフィギュア作り らんま 女の子ver 中編(●´ω`●) このサイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を掲載しています ★他のグレイスカルピー粘土の作品です(●´ω`●) catsgirl.hatenablog.com ★PSO2NGS クマと猫娘の冒険(●´ω`●) catsgirl.hatenablog.com Cクマ「「らんま1/2」が完全新作的アニメ 2024年10月5日(土)より放送楽しみクマ♪」 猫娘「楽しみだよね~♪ 待ちきれなくてグレイスカルピーで らんま作っちゃうわよ(●´ω`●)やふ~♪」 www.youtube.com Cクマ「第2弾P…
「どうにかならないか」 「要求には応じられない。一度の一回の確約が、弊害に発展してしまう。だから、私はこうして店のドアに書いてるように時間をあらかじめ示しています」 「あんた、店長か?」 「はい」 「シミを抜いたり、こびりついた襟汚れを取ってくれなんて無理なお願いじゃないんだ。明日から出張で海外へ行く。飛行機に乗る前にここへ寄ることもできるが、夜の内に仕上げたシャツを詰めて、明日はぎりぎりまで眠ってそれから空港に向かいたいのさ、わかるだろう?」眠りたいか。一定時間の睡眠が生体のリズムにとっては必要なバランスらしい。どこかで耳にした話だ、確証はない。そもそも時間という概念が細胞に組み込まれている…
クリーニングのお客は三種類に分かれる。開店まもなく、前日や前々日に仕上げを頼んだ服を出勤前や仕事終わりに受け取る人。正午から午後三時ぐらいにかけてが主婦、自宅では落としにくい襟汚れのワイシャツや年に数回のドレスなどを持ち込む人。そして、夕方から閉店八時にかけては、仕事帰りや一人暮らしの男性客が大半である。時間と労力に綺麗さと皺を取り去るクリーニングを選ぶ意識はこちらとしては願ってもない計らい。ただ、貨幣を支払ってまで落としきるような汚れが見つからない衣服もかなりの確率で耐久性の富んだ紙袋から飛び足してくるのが現状だった。もちろん、そういった服も同じように洗う。しかし、家に洗濯機がないとは思えな…
交差点で立ち止まり、マイを下ろす。かなり重くなった、もう抱えるのは無理かもしれない。大きくなった。しゃがんでライムを撫でる姿を記憶に納める。今日の光景は明日になれば終わってしまう。どうしたのだろうか、いやに感傷的な私。 「スーパーに寄って帰るから」横断歩道を渡りきって私は言った。 「お菓子が食べたいなぁ」 「今日はカレーだってさ」 「やったー。ライム、カレー食べられるって」 「ライムは無理だな」 「ええっー、そうなの。かわいそうね、ライム」 「犬は人間と同じものは食べられないの」 「ふうん、そうだんだ、そうなんだ」 川沿いの土手に入ったので、マイにリードを手渡した。小柄な影が土手に影を作る、ち…
天使の日ということで前やってたブログでも投稿した、お気に入りのうちの子漫画を投稿させてくださいmegの子、はなちゃんとお父さんのお話です。インスタにもリール動…
「引き出しに、赤い財布が入ってるはず。中のお金を使って」 「ああ、これね。ちょっと待ってよ」私は電話のディスプレイの時刻表示を見た。「駅まで私歩いていくの、もしかして?」 「連絡する暇が会議で取れなくって、今やっと終わったところなのよ。だから、ごめんすぐに出て、そうしないと間に合わないかも」 「もうっ。まったく、どいつもこいつもなんだから」 「あっ、はい」電話口で誰かに呼ばれたようだ、小声にトーンが落ちた。「もういかなくちゃ。マイのことよろしく。食材はカレー用の具材を買って。じゃあね。よろしく」一方的に切られた。何を考えているのやら。癖で壁の掛時計を見た。午後三時半。すぐに出ないと、保育園に最…
襟と袖口を入念に使い古した歯ブラシで研磨。今シーズンに洗ったので汚れは落ちやすかったのかもしれない、十分に洗い流し、すすぎ、最後にネットに入れて洗濯機で脱水にかけた。 すっきりした。汚れを落とすって、もしかすると体に張り付いた不浄なものたちも削ぎ落としてくれる作用があるのかもしれない。視覚で汚れを体内のそれと重ね合わせて水で洗い流すんだ。だたし、内面と向き合わなくてはいけない。短時間でてきぱきと手軽にお掃除できるのは、うん、あんまり体にはよくないのかもしれない。 午後三時、電話がかかってきた。ソファでうつらうつら、眠気と戦っていたら、家の電話が鳴ったのだ。最近ではあんまり受話器を耳に当る動作は…
にほんブログ村 にほんブログ村 神山は、実は甘いものが大好きで、二十一世紀の日本がまだ平和な頃には、大酒飲みなのにこれまた甘いものも大好きな、茶人でもある海野と一緒に茶で菓子をぱくつき、また、
本来の身体を取り戻した神山が19世紀のロンドンで、チョコレートパッフェ―に舌鼓を打っていた頃、臼杵の民宿『田上』では一騒動が持ちあがっていた。 『田上』に突如として三島吉太郎が現れたのだ。 『田上』
ダイエットのためという口実を武器に、私はお昼を抜いた。お腹が減っていないのであるから、食べる必要もないのでは、と改めて当たり前のことを考え、実行に移したわけである。正午前にパンとお菓子と煎餅とを食べていたのだから、体は十分満足しているはずである。ただ、昨日まで延々と続いた、お腹が減っていなくても正午近い時間にお昼は食べなくてはならない、という衝動が湧き上がるのを、ぐいっと意識の下に押し込めるのは非常につらい。でも、もうお腹はパンパン。お腹をさする、そうでもないか。いいや、食べるわけにはいかない。自分でも自覚はあるのだ、食べ過ぎていると。 午後は部屋の掃除に着手した。踏み切れずにいたクローゼット…
粘土で人形作りです 8 (グレイスカルピーでフィギュア作り 西村さん 制作)★事情を知らない転校生がグイグイくる★ +おまけ
●今回 最新ブログ更新前に 過去のブログ再投稿です(*'ω'*) 理由は ブログ村と人気ブログランキングの記事に反映されるためです・・ 古いグレイスカルピー粘土の作品と記事なのでグタグタですがよろしくです(ΦωΦ) ★一言ヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪★ そろそろ 介護も落ち着いてきたので グレイスカルピー粘土でまたフィギュア作り開始予定(*´ω`*) ぶっちゃけママンの介護より いろんな人との連絡のやり取りの方(市役所や保険やデーケアとか)が精神的につかれたん_(┐「ε:)_専門用語が苦痛・・ このサイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を掲載しています ★前回のグレイスカル…
なんとなく、一昨年にmenocoで活動していた時の作品をpixiv経由ですが、載せてみます。 #透明水彩 megの水彩まとめ① - めぐりなのイラスト -…
megとRinaくんは創作うちよそで出会ったのでその関わりは今でも続いています。下にRinaとmegの簡単な馴れ初めを書きました。(BL表現あります) リー…
「最近さあ、遠吠えを聞かなくなったなあって、思い出してさ、昨日の夜。アコちゃん、良く吠えてたもんね」 「もう半年も前のことだ。忘れたよ、とっくに」 「写真立て、伏せたまんま。いつまでそうしてるの?」 「あのほうが落ちつくんだから、いいでしょう。もしかして、それを言いにわざわざ来たってことないよね?」 アカネは平然と応える。「あるかも」 「冗談。私、そんなに感傷的な女じゃない、作りは頑丈なの」 「そう見えて中身はボロボロってこともね」 「勝手に付け加えるな。そしてお前は吠えるな」合いの手よろしく、ライムが吠えた。 「構って欲しいのよ」 「それは妹の役目」 「別れるのが怖いんだ」アカネは牛乳を飲ん…
にほんブログ村 にほんブログ村 神山は自我意識をしっかりと保ちながらシヴァに命じられた「自分が果たすべき役目」を果たそうと、山本や小沢たちが閉じ込められている海上の、いつしか「水墨画」とあだ名
ライムと遊びたい、とアカネが頼むので、私は仕方なくゲージから犬を出した。駆け回って、大暴れ。うちにはあまり人は訪ねてこないし、母親もまして父親も散歩に連れ出す時間的、体力的な余裕を残さずに帰宅するので、ライムはほとんど家にこもりっきり。妹が唯一の遊び相手ではあるが、その場合はライムが遊んであげる立場を買って出る。だから、遊んでくれる人間には飛び切り好意を抱くんだろう。私なんかよりも、ひっきりなしに尻尾を振っている。ご飯のときでもこんなに尻尾は振らない、単なる同居人ぐらいの感覚か、まあ、悲観することもないさ。 私が願ったのはあの子だけ。 写真立ては伏せたまま。 家族の写真は私がいつも倒している。…
「座って」 私が寝転んでた場所に彼女は腰を下ろした。部屋を見回って言う。「あれっ、妹は?」 「ああ、保育園。飲み物、何がいい?」私は冷蔵庫に手をかけてきいた。 「紅茶ってある?」 「ちょっと面倒かも」 「ティーバッグとかないわけ」 「あるかもしれないし、ないかもしれん。ちょっとまっとれ、お客さん」 食器戸棚の上段を開ける。父親が飲むコーヒーの粉にまぎれて、紅茶を見かけたよう気がしたからだ。 「なかったら、なんでもいいかんね」 誰かが飲んだのかも、見当たらない。私はしぶしぶ紅茶を諦めて、牛乳で乾杯することに決めた。たいそうな名前がついても所詮はパン。牛乳と相性に抜かりはないはずだ。 リビング戻る…
春休み。短い休み、今年から二年生に進級する私にとって、あまり乗り気な休みではなかった。気の知れた友達とはやっぱり離れたくないのが本心だった。だけれど、誰にもそんなことはいえなくて、平静を装っていた。大丈夫、自分に言い聞かせるように友達を励ましていたのが先週。明日と明後日で、今年と来年の学校生活が決まってしまう。 煎餅を噛んで、ソファに寝転んでいた。両親は共働き、朝早くに、父親は今日から出張で朝の暗いにうちにドアの閉まる音が聞こえた。母親は、弁当を作る手間を私に昼食代を渡して簡単に済ませた。父親を見送りに玄関まで出て、一度起きたらしく、そこでまたベッドに戻って眠ったら、寝坊したそうだ。弁当は作る…
(≧ω≦) 猫娘の日常編 31 軽着火プッシュライター 補助 これはいいものだッ(ママンより)&兄貴は鉄の棺桶だッ(`・ω・´)
(≧ω≦) 猫娘の日常編 31 ※このサイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)掲載しています ★グレイスカルピーでフィギュア作りもやってます catsgirl.hatenablog.com ★PSO2NGS クマの冒険もやってます catsgirl.hatenablog.com 猫娘「最近さぁ~ 電子ライターの火をつけるボタンがめっちゃ固くてさ 指痛くなるし ママンなんて お線香に火つける時 台所のガスレンジで火つけるんやで・・(´・ω・)蚊取り線香に火つける時も」 Cクマ「賢いクマは知ってるクマ♪ お子ちゃまが電子ライターで遊んで火事とかにならないようにボタンを固くしたクマ…
パソコンに向かい作業をしていると、僕の神様が話しかけてきた。僕を作った神様は、姿は見えないが、声だけで語りかけてくる。「いつまでこんな生活を続けるつもり?いい加減、君も神様になったら?」僕はというと、またこれか、とうんざりした顔で作業中の手を止めて、コーヒーが入っているマグカップに手を伸ばす。コーヒーを一口飲むと、神様に向かっていつものセリフを呟いた。「はい、分かってますけど、神様になることは、な...
「ええ、つい先日に」店員はすまし顔で応えた。 「いつごろですか?」 「先週、手術の前の日です」 「覚えていないな」 「無理もありませんよ、皆さん、忘れて帰られますから。思い出して店を訪れたのは、今年であなたが二人目。もしかして、あなたも頭を代えたの?」 「はい」 「体は覚えているようね」パイの匂いが鼻をついた。何も覚えていない、いいや、内部が言葉への変換を拒んでいるようだ。だけど、思い出さないように厳重に鍵がかかっている。ジュースを飲んだ。そうしたらもう、掴みかけた記憶は消えてしまった。何を考えていたのかさえ、思い出せない。甘い、苦味に反して。 考えてる間に、パイが運ばれた。甘いものが好きなよ…
今日は、私が作家活動を始めたキッカケをお話をしようと思います。 ハンドメイドの世界に足を踏み入れたのは小学2年生の時でした。 それから私は、本当に数えきれ…
変化はあまりというか、ほとんど感じられない。比較的良好だ。頭を替えた、と言っていたけれど、支障はないし、こうして車の運転もできてしまえる。自宅に帰って、彼女へ報告。不具合がないことを伝えた。僕はシャワーを浴びて、すぐにベッドに入った。疲れていたのか、昼間に眠ったはずなのにすんなり睡魔が訪れたらしい。何か困っていたように思うが、思い出せない。考えることでもないのだろう。 そして、翌朝。頭がスッキリ。会社に出社。なにごともなく、というよりも仕事がはかどる。休養で英気が養われたようにも思える。休みはなにをしていたんだっけ? こうして、翌週。手帳に記されて検診日。休暇を取った僕は病院を訪れる。受付の待…
「今日、退院できますか?」予定は三日間の滞在、不意に浮かんだ予定。 「体調しだいですかね。数時間後にもう一度来ますので、そのときに経過をお伝えします。ですから、それまではベッドで安静に、お願いします」 看護師を見送って、一人、病室内。どうしてここにいるのだろうか、僕はベッドに腰を立てて座り、考えた。右手の窓、鳥が優雅に風を捕まえて浮遊。まるで、止まってるみたいだ。僕はどこから来たんだ……。思い出せない。おかしいな。室内を見渡す、病院であることは間違いない。僕は病気を患っていたのか、それとも怪我を負ったのか。 廊下を少年が横切った。弾力性の高いボールを胸に抱える。ドアを通り過ぎて、戻ってくる。病…
長かった猛暑が少し落ち着きそうですね。今日はやっとエアコンを一時的に休ませました。でもまだ厳しい残暑は続くんでしょう。秋の気候が待ち遠しいところですが、今年の秋もあっという間に過ぎ去るに違いありません。ホントに日本の四季は無くなってしまうのでしょうか?私の好きな秋が無くなったら悲しいです。今回は秋桜と雫ちゃんの画像です。比較的近くに秋桜の名所があるんですが、機会が無くて長年行けていません。久しぶり...
翌朝、慌しく体温と体調が入念に調べられる。僕はなすがまま。食事は水分だけを許された。そして、起床後、一時間で入れ替えが行われる手術室へ僕らは運ばれた。 「目をつぶってください、はい、楽にしててくださいね。はい、大きく息を吸って、深呼吸ですよ」最初に視覚が失われ、次に嗅覚、そして触覚、最後に聴覚だ。声は意識を失う直前まで聞こえていたように思う。結局、昨日のうちに答えは出なかった。もしかするとそれほど、昨日が思い出せなくても僕は生きられるのかもしれない。そういった解釈を残して、眠りに落ちた。他人の寝息が気になる前に眠れただけでも、合格点をあげたいぐらいだった。 僕の頭の情報を取り出して、新しい頭、…
どうもー(ヽ´ω`)ふがふが 今回の新しい曲は良いフレーズがいくつも出ている点では好調なのですが 良いフレーズが出すぎていて、どうやって聴かせるかがまとまらず ちょっと困った状態になっております(ToT) Emをキーにして作っているのですが
それからだ、僕は彼女との出来事を気に留め始めたのは。 僕はポケットからタバコを取り出した。一連の動作、一本を口咥えるところでぴたりと動きを止めた。灰皿と喫煙の許可を探ったのだ。 「どうぞ、気にしないで」女性がコーヒーを運んで、僕に許可を与える。カウンターに手を伸ばして、二本の吸殻が残された灰皿を彼女はテーブルに置いた。よく見ると白いテーブルはところどころシミや焦げ痕がある。 「いいんですか、禁煙では?」 「いいのよ。あなた以外にお客がいるとしたら、足の生えていない人だわ」細めた目で彼女は微笑んだ。「入れ替え?」 「ええ、明日が交換です」 「ここへは、入れ替えに来る人がほとんど、普通のお客はうー…
カウンターとテーブル席が二つ、スタッキングチェア、カウンターはもちろん背の高いスツール。 「いらっしゃい」髪の長い女性が温かみのある声で出迎えた。テーブル席が一つ空いていたので、そちらへ座る。外は道路反対の遠くの丘陵が見える。夕日と朝日の赤が似合いそうな風景を脳内で思い描く。 メニューはコーヒーとオレンジジュースとアップルパイとミートパイの四種類。アクリルの薄い壁面に閉じ込められたメニュー表。 「すいません」僕はカウンターに顔を向ける。「コーヒーを」 「コーヒーね」女性はたぶん僕よりも若いか同年代ぐらいだろう。人のことを詮索したのは結婚前の彼女のときから数えて二年と六ヶ月と二十二日。彼女との記…
夜が明け切る前の薄暗いリビングで、ソファに座り頭を抱えていた。目の前の座卓テーブルの上には、雑多に物が置かれ、昨日入った広告類が無造作に重ねてある。重ねられた広告の隣にテレビのリモコンが投げ出してあり、カーテン越しの光を受け重く光っていた。テーブル上の薬缶から薬を取り出すと、カッターで半分に割って口に入れ、コーヒーで飲み込む。寝室の目覚まし時計が6時を告げていた。目覚まし時計をそのままに、テレビを...
考え事に耽り、僕は病院を離れた。駐車場に僕の車が見える。黄色いスポーツカー。だけど、車には乗れない、これも検査での決まり。歩くことを望んでいた、こっちへ来てまで運転で気分を晴らそうとは思ってはいない僕である。スロープを降りた、左右どちらへ歩こうか選択に迷う。 左を選んだ。 病院へはひっきりなしに車が流れ着く。皆一様に陽気、空は晴れ渡り、オープンカーで風を感じられる時節だ。車にはハンドサインを返した、これで喜んでくれる。エネルギー消費に換算すれば、無駄でも受け入れられる。そうやって物事を処理しなくては。不本意だ、生まれてからずっとだろう。動物に話しかけることに比べたら、僕はずいぶんまともだと思う…
会社の定期健診は僕のメンテナンスのおかげで、スペック入れ替えは未体験。それでも彼女のためならと、こうして今に至る。家族はスペック検査と入れ替えには立ち会えない決まり。だから、病院内に活気溢れる会話は一切聞かれない。僕にとってはありがたいことである。 服装は自由とは言いがたいが、着物のような前を合わせる上着と下は締め付けがない寝巻きと運動着の中間、程よいゴムの感触。足元は素足にサンダル、サンダルは自宅の下駄箱から引っ張り出した数年前の代物。有効的な活用を見出せないまま、見ないように奥へ押しやったサンダルがやっと日の目を見た。海水浴に行かない限りは、履く機会にめぐり合えない。夏の到来、あるいは海外…
何も持たずに出て来た。所持金はなく自販機でジュースさえ買えない。行くあても帰る場所もない。ヒト科ヒト属ヒト街行く人たちと分類は同じだけど違う。産まれた時から持っている説明のつかない疎外感を心の奥に抱え、あてどなく街を彷徨う。街外れの公園でベンチに座り、しばらく木の葉が風に揺れるのを見る。そうしているとお腹の虫がぐぅっと鳴った。お前は腹が減っているのか。そう問いかけてベンチから立ち上がると、水飲み場...
昨日はスペックの入れ替え検査に、丸一日を費やす。新築ビルのような病院を上から下まで行ったりきたり。僕を含めた三名と一緒に入れ替え検査を受診、今日の休息を挟み、明日が入れ替えの本番というわけである。肉体的な修復の前日は、外出などはもちろん、病院内を歩き回ることや飲食の有無も制限されるが、スペック入れ替えに関しては病院ビルの半径一キロまでならば、外出の許可が下りていて、食べ物も固形物以外は決められた時間内の摂取は問題がないらしい。 検査、一日、入れ替え、というスケジュール。 僕は初めての入れ替えであった。友達から検査の内容は聞いていたので、心構えはできているつもり。だけれど、やはり不安は拭えないら…