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泣きながら一気に書きました https://tmykinoue.hatenablog.com/

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

文筆業。 基本的に嘘泣きです。 よろしくお願いします。

井上智公
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2008/12/16

1件〜100件

  • 短篇小説「芝生はフーリッシュ」

    どうやらわたしは公園のベンチで、サングラスを掛けたまま眠り込んでいたらしい。おかげで昼か夜か、起きてすぐにはわからなかった。サングラスを外すと、これまでに見たことのないような、色とりどりの世界が目の前に広がった。色とりどりにもほどがあった。それはつまり自動的に、夜ではないということになる。 正面にフーリッシュグリーンの芝生が広がり、それを囲い込むように配置されたオールドスクールレッドのベンチの脇には、ミートボールブラウンの土に満たされた花壇が並んでいる。 花壇のそこここには、アコースティックブルーやオルタナティヴイエローやジューシーオレンジに彩られた花が咲き乱れ、その傘の下をデスパレートブラッ…

  • あぶないタッチ病

    長年愛用していたiPhone 6が壊れた。かもしれない。かもしれなくないかもしれない。なんといっても「6」だ。いったい何世代前の機種ということになるのか。もちろん普段から動作は重い。それが故障による症状なのか、単に性能が時代に置いてけぼりを食っているだけなのか、その判別が難しい。人間の年齢に換算すれば、老人であることは間違いない。むしろ長生きしているほうだと思う。すでにバッテリーの手術だって一度行っている。タッチパネルが反応しなくなってしまったのである。だが毎回ではないのがややこしい。呼べば三回に二回は振り向くが、一回は無視されるくらいのイメージ。つまり健全な反抗期の息子が返事をするくらいの頻…

  • ディスクレビュー『ENDGAME』/TREAT

    ジ・エンドゲームアーティスト:トリートマーキー・インコーポレイティドビクターAmazonどんなに方向性の近い作品にも明確な違いがあり、どんなに安定したアーティストにも少なからず質的な波はある。全曲が名曲なんてことはあり得ないし、全作品が名盤であるアーティストもまずいない。だがそんなことをあえて書いてみたくなるのは、このTREATというバンドが再結成以降、驚くべき楽曲のクオリティと安定感を維持しているからだ。だがその高次元なレベルにおいても、作品ごと当然いくらかの方向性の違いはあり、また出来不出来の波も少なからずあるものだ。その細かな違いを味わえるのは、リスナーとして非常に贅沢なことなのではない…

  • 【歌詞】「痩せずもがな~聴いてるだけで痩せる歌~」

    微動だにせぬぐうたらな日も 餌を求めるわがままボディ 今日から食わぬと言いながら 明日こそはと先送り ぽっちゃりとデブの境界線 気づけば赤道より太い カロリーちょっとのつもりでも 摂取したのはキロカロリーキロは1000倍 器は満杯 卓に並べば けっきょく死体 魚はすでに 死んでいる 死肉を喰らえば YouはShock 死体に群がる ゾンビども 屍だらけの 夕食会 そんな風に 思えたなら あなたを嫌いに なれたなら消えよ果てなき食欲よ 目覚めよ満腹中枢よ 腹の虫らが騒いだら マイクを渡してやるがいい 言わずもがな 食わずもがな 痩せずもがな 死せずもがな今日も近所のスーパーの レジで広げるマイバ…

  • 言語遊戯「俳句延長戦」

    これまで当ブログでは「ことわざ延長戦」と称して、ことわざに何かしらのフレーズを勝手につけ足すことで、ことあるごとにその力を無効化してきた。tmykinoue.hatenablog.comなぜそんな必要が?それはさておき、ことわざの延長が可能ならば、ほかにも延長できるものなどいくらでもあるはずだ。だがどうせ台なしにするのならば、その元になるものには、もっともらしい権威のようなものがあればあるほど良いのではないか。というわけで、ここは日本語文化の極みとも言える「俳句」の延長戦をやってみようと思う。ちょうど良いことに、俳句の五・七・五のリズムの先に七・七をつけ足してみると、自動的に短歌の響きを持つよ…

  • 令和十大あけましておめでとうございます2022

    あけましておめでとうございます!(開かずの扉を金と権力で)あけましておめでとうございます!(こんなとこにいるはずもないのに路地裏の窓を)あけましておめでとうございます!(ミルクボーイがネタ冒頭で客席からもらった網戸を)あけましておめでとうございます!(獲れたてホヤホヤのクワマンのセカンドバッグを)あけましておめでとうございます!(中にカスタードクリームを注入するための穴をシュー皮に)あけましておめでとうございます!(靴紐を結ぼうとしゃがんだ拍子にランドセルの蓋を)あけましておめでとうございます!(イナバ物置に乗る101人目になってついにその天井に穴を)あけましておめでとうございます!(マトリョ…

  • 【もしもシリーズ】もしもドラクエの防具屋にあの有名人の装備があったら

    国民的RPGである『ドラゴンクエスト』シリーズには様々な武器や防具が登場する。中にはかなり入手困難なものもあって、しかし本当にレアな装備とは、有名人が実際に身につけている一点物ということになるのではないか。というわけで、(どういうわけ?)今回はドラクエの防具屋で売っていそうな有名人の装備を考えてみることにした。なぜ考えてみることにしたのかはわからない。完全に無駄な時間と頭の使いかたである。 【サチコの大衣装】 しゅび力 +8 すばやさ -92 みりょく +34 こうげき魔力 -21 メダパニーマの効果(敵全体を混乱させる)天井まで届くほどの、他を威圧する派手な巨大ステージ衣装。年末の歌唱バトル…

  • 2021年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・ソング10選

    1位「Everafter (feat. Tommi “Tuple” Salmela)」/CIRCUS OF ROCK Come One, Come Allアーティスト:Circus of RockFrontiersAmazonフィンランドのKING COMPANYのドラマー、ミルカ・ランタネンが立ち上げたプロジェクト作より、心温まるメロディを持つこの曲を。アルバム『COME ONE, COME ALL』には、他にもジョニー・ジョエリ(HARDLINE、AXEL RUDI PELL)、ダニー・ヴォーン(TYKETTO)、マルコ・ヒエタラ(TAROT、NIGHTWISH)など、有名どころの実力派ヴ…

  • 2021年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・アルバム10選

    1位『X MARKS THE SPOT』/ART OF ILLUSION エックス・マークス・ザ・スポットアーティスト:アート・オヴ・イリュージョンマーキー・インコーポレイティドAmazon今年のはじめにこの作品のレビューを書いた時点で、すでに2021年のベストはこのアルバムになるだろうと半ば確信していたが、やはりその通りになった。これはやはり、年に何枚も出てくるレベルの作品ではない。ROBBY VALENTINEの1stで達成された「北欧美旋律+QUEEN」という図式を、隅から隅まで行き渡らせてある豪華絢爛な逸品。メンバー構成は、GRAND ILLUSION、WORK OF ART、LION…

  • 書評『無理ゲー社会』/橘玲

    読み終えて残るのは、ディストピア小説の読後感である。だがこれは、フィクションではないようだ。この先に透けて見える未来像が現実になるかどうかはわからないが、少なくともスタート地点がいまここにある現実であることに、間違いはない。そう、残念ながら。いかにも近ごろの新書らしい、狙いすぎのようにも感じられるタイトルに釣られて安易に手に取ってみたが、読み進めてゆくうちに、現代社会の問題点を容赦なく炙り出すその内容から目が離せなくなった。一章目のつかみに『君の名は。』を持ってくるあたり、やや取ってつけたようなあざとさを感じなくもないが、以降はかなり深刻な内容が続くため、これはあくまでも導入にすぎない。本書を…

  • 短篇小説「感謝しかない」

    今朝はあやうく寝坊するところだったが、スマホのアラームがちゃんと鳴ってくれたお蔭で予定どおり起きることができた。スマホには感謝しかない。 それ以前にベッドがあるお蔭で、僕は寝坊するほどに眠ることができている。ベッドにも感謝しかない。 もちろん寝るために必要なのはベッドだけじゃなかった。枕にも布団にも感謝しかない。シーツはもうところどころ破れかけてはいるけれど、破れないように頑張ってくれているのがわかるから、結局のところ感謝しかない。 羽毛布団からは頻繁に羽が飛び出してくるが感謝しかない。おかげで当初のふわふわ感はどこへやら、すっかりせんべい布団になってはいるが、それが布団である以上は感謝しかな…

  • 書評『いつか深い穴に落ちるまで』/山野辺太郎

    まるで任天堂のような小説だ。荒唐無稽だからこそのワクワク感がある。けっして現実的な設定ではないのに、リアリティも手応えもふんだんにある。だとすればリアリティの正体とはいったいなんなのか。読み手にそんな根源的な疑問を抱かせるというのは、それが良質である証拠だ。なにも小説に限らない。読み手の価値観を揺さぶってこその芸術でありエンターテインメントだろう。既存のリアリティの上に安住して、ものしり顔で正誤の判断を下すなどお笑いぐさだ。そもそも科学的な正しさ、つまり昨今流行りのエビデンスとやらと面白さとはなんの関係もないのだから。先日の『アメトーーク!』の読書芸人回で紹介されていたのをきっかけに、本書に興…

  • 短篇小説「ワンオペ村」

    同期一の出世頭と目されていた業田作一郎が、ある日仕事で重大なミスを犯した。彼はその責任を負わされて、このたび離島のワンオペ村へ飛ばされることになった。ワンオペ村はその名のとおり、何から何までワンオペでおこなわれると評判の村である。彼は転勤前から、その噂に戦々恐々としていた。何から何までというのが、どこからどこまでなのかがさっぱりわからなかったからだ。 転勤先のワンオペ村支店に出社する当日の朝から、作一郎はさっそくワンオペの洗礼を受けることになった。この村では、まず新居である自宅マンションの部屋を出る際に、玄関ドアを閉める動作と施錠を、なんと分業ではなくワンオペでおこなわなければならない仕様にな…

  • 【考察】城本クリニックのCMの女性は、なぜあんなに転げまわっているのか?

    CMというのはよくわからないもので、時にその難解さは哲学や純文学をも超える。単に何も考えずフィーリングで撮影しているだけなのかもしれないが、それにしたって無意味ほど難解なものはない。たとえば長年に渡って流れ続けている『城本クリニック』のこのCM。ただただ若い女性が絨毯の上を転げまわり、その背中から電話番号が吐き出されるという謎のシステム。あるいはこの女性は、電話番号から執拗に追いかけられているようにも見えるが、それにしては楽しそうだ。www.youtube.comこれがもし、ペルシャ絨毯のCMならば話は早い。「その上を転がりたくなるような、気持ちの良い絨毯であることを表現」CM企画書の「企画意…

  • 短篇小説「ガチ勢とその後続」

    あるコンサート会場の入場口に、開演前の行列ができていた。その先頭に並んでいる第一の集団は、もちろんガチ勢であった。 ガチ勢のうしろには、マジ勢が陣取っていた。ガチ勢とマジ勢は、どちらがよりガチのファンで、どちらがよりマジのファンかで言い争っていた。結果、ガチ勢のほうがよりガチで、マジ勢のほうがよりマジであるということに決した。なんの意味もない議論であった。 マジ勢の後方には、スキ勢が続いた。スキ勢はこの日コンサートをおこなうアーティストのことを間違いなく好きであったが、好きになれる部分しか見ていない人たちだった。ガチ勢とマジ勢は、そこがどうにも許せない。本当に対象のことを好きであるならば、嫌い…

  • 短篇小説「話半分の男」

    私と話半分の男の出会いは奇妙なものだった。ある日私が近所を散歩していると、蓋のない側溝に気をつけの姿勢で、仰向けに寝そべっている男が目に入った。その中年男性は、冬なのに半袖半ズボンを着用していた。私はなるべく目を合わせないように、その脇を通り過ぎようとした。だが見て見ぬふりを貫くというのは、思いのほか難しいものだ。「いやマラソン大会の途中で、小川に流されてしまってね」 男が唐突に、訊かれてもいない自らの事情を説明しはじめたのだった。周辺を歩く人はほかに見あたらず、男が私に話しかけているのは明白だった。私は無視して通過しようかとも思ったが、自らの手を汚さない範囲で、なんらかの助けを呼んでやるくら…

  • 「新語・流行語全部入り小説2021」

    ある雨上がりの朝、古びたカエルのマスコットキャラクターが、SDGs(粗大ごみのsサイズ)のステッカーを貼られてごみ置き場に捨てられていた。それは昨日まで近所の薬局の店頭に立っていたものだった。粗大なのにsとは、大きいのか小さいのかわからない。 学校へと向かう人流の中からその姿を見つけた中学生のウマ娘は、ふとごみ置き場の前に立ち止まり、自らの圧倒的なカエル愛に初めて気がついたのであった。 ウマ娘は、自分をウマ娘として誕生させた親ガチャに失望していた。彼女は自分が本当は鮮やかな緑色のカエル娘になりたかったことを、いまさらながら発見してしまったのである。極度にカラフルな服装を好むZ(ZAZY)世代な…

  • 短篇小説「匂わせの街」

    冒険の途中でふと喉の渇きをおぼえたわたしは、夕暮れどきに立ち寄った街でカフェのドアを開けた。「いらっしゃい! そういえば最近、夜中になると二階から妙な物音がするんだよ」 カウンターでカップを拭っている髭のマスターが、ありがちな挨拶に続けてなにやら唐突な相談を持ちかけてきた。さすがに気になったので、初対面ではあるが、わたしはボタンを押してもう一度話しかけてみた。すると、「いらっしゃい! そういえば最近、夜中になると二階から妙な物音がするんだよ」 マスターは、先ほどと一言一句同じ台詞を繰り返すのだった。わたしはひどく馬鹿にされているような気がしたが、ふと喉の渇きを思い出して、ここは飲み物にありつく…

  • 145字小説「駆け出しのAI」

    私の自動車にはAIが搭載されている。私はその実力を試すように、崖の手前に差しかかったところでAIへ指示を出す。「アホクサ、ブレーキかけて」 「はい、かしこまり」 すると自動車のブレーキが、脱兎のごとく駆け出した。私は奈落の底へと沈みゆくマイカーの中で、この文章を書いている。 アホクサに漢字は難しい。

  • 電子書籍『悪戯短篇小説集 耳毛に憧れたって駄目』無料配布キャンペーンのお知らせ2021…夏

    なんとなくの思いつきで、久々に拙著電子書籍の無料配布キャンペーンを開催することにしました。シェフの気まぐれサラダと同程度の気まぐれで。見出しの最後にちょっとだけJ-WALK感。(気づいたところで何?)どれくらい気まぐれかというと、こうして久々とか言いながら、実は一年ちょっと前にもやっていたという。自分の書いたお知らせが、自分に一番届いていなかった可能性。tmykinoue.hatenablog.comしかも改めて読んでみるとかなりの情報量を書いていて、まあ当然のように余計なこともいっぱい書いてあるわけですが、と書いているこの一行こそが余計なことであるわけですが、電子書籍の中身に変わりはないので…

  • 短篇小説「オール回転寿司」

    私は先日、いま話題の「オール回転寿司」へ行った。まさかあんなに回るとは。回る回るとは聞いていた。しかしその回転の度合いは、私の想像をはるかに超越したものであった。こんな店が繁盛しているということは、人間はとにかく回ることを愛する生き物であるということだろう。さすが、回転する星の上で生活することを選んだだけのことはある。どうりで竜巻のようなジェットコースターに長蛇の列ができるわけだ。夕飯時を迎えた「オール回転寿司」の店頭にも行列ができていた。入口の脇で理髪店前に立つべき三色縞のサインポールが回っているのは、それによって列に並ぶ客の回転スピードをコントロールしているからだ。「行列の回転」といっても…

  • ディスクレビュー『HELLOWEEN』/HELLOWEEN

    【Amazon.co.jp限定】ハロウィン ~完全版~ [初回生産限定盤] [2CD] (Amazon.co.jp限定特典 : メガジャケ ~初回生産限定盤・通常盤 共通絵柄~ 付)アーティスト:ハロウィンビクターエンタテインメントAmazon歴代メンバー七人の集合体による、ある意味「完全体HELLOWEEN」が満を持して発表した待望の新作。だがこの作品の評価はひと筋縄ではいかない。近作よりは間違いなく良いが、だからといってかつての名作群に匹敵するわけでもない。予想以上ではあるが期待以上ではなく、完成度は高いがひらめきを感じる瞬間は少ない。足し算のあとは見えるが掛け算とまではいかず、むしろ各人…

  • 短篇小説「兄不足」

    太郎は次郎に知っていることを話した。知っているというのは太郎が知っているという意味で次郎は知らない話だ。太郎だっていまこそ知っているが昨日までは知らなかった話だ。次郎にしてもいまこそは知らないが数分後には知ることになる。あとちょっとすれば晴れてお揃いになるというわけだ。 太郎と次郎は兄弟ではない。次郎は太郎のことを兄のように慕っているが、太郎は次郎のことを弟のように可愛がっているわけではない。太郎も次郎のことをまた兄のように慕っているのだ。 こうなってくると、どちらが歳上かなんてのは些細な問題だ。人が相手を兄と慕う心以上に、その相手が兄であるという事実はない。実際のところ、二人とも相手のほうが…

  • 壊れかけのイヤホン

    先日、いつも使っているイヤホンが壊れかけた。それはもう壊れかけたのである。スマホを買ったときに付属していた安っぽいやつだが、案外音が良いのでそのまま使っていた。ヘッドホンは別に有線とワイヤレスのを持っている。もっと言えばワイヤレスのイヤホンもあるが、そちらはすでに壊れていて左耳しか聞こえない。さらに言えば、左耳しか聞こえないワイヤレスイヤホンなら三つもある。いずれもワイヤレスとはいってもいわゆる左右が独立した完全ワイヤレスではなく、左右はコードでつながっていてそれが本体とはつながっていないというだけの半端ワイヤレスだ。だがこのタイプはそのせいで左右をつなぐコードが頻繁に断線する。そして中国製の…

  • 2021年上半期HR/HMプレイリスト

    たまにははてなブログの【今週のお題「わたしのプレイリスト」】に則って、2021年上半期によく聴いた6曲を。◆「Siberia」/CREYE www.youtube.comスウェーデン産プログレ・ハード。 ルックスに反する圧倒的透明感に、心が洗われる。 隅々まで気の利いたアレンジも絶妙だが、何よりも歌メロのキャッチーさが大前提として素晴らしい。クレイIIアーティスト:クレイマーキー・インコーポレイティドビクターAmazon ◆「My Loveless Lullaby」/ART OF ILLUSION www.youtube.comこちらもまた北欧美旋律の極み。 アートでありファンタジー。 詳細は…

  • 短篇小説「店滅」

    床に絨毯にアスファルトに頭をこすりつけて謝るだけの仕事を終えた夜、そのまま帰宅しても眠れない予感がした私は、気づけば路地裏に迷い込んでいた。あるいは自ら迷いたくて迷っていたのかもしれない。真っすぐ家に帰りたくないがためにまわり道をすることなら、そういえば子供時代にもよくあった。変わらないことを喜ぶべきか、成長しないことを哀しむべきか。 すでに夜の十時を過ぎていただろうか。路地の両脇に立つ店の看板はどれも真っ暗で、営業時間を過ぎて閉店しているのかとっくに潰れているのかもわからない。 だがその突き当たりにただひとつ、ちかちかと点滅している正方形の電飾看板が立っていた。点いたり消えたりのリズムが不定…

  • ラジオ聴取日記、やってます

    こことは別に、もうひとつやっているテレビ/ラジオレビューブログのほうで、『ラジオ聴取日記』というものをつけています。どうせすぐにやめると思ったんですが、気づけば一ヶ月以上続いているので、こちらでもお知らせしようと思った次第です。とはいえ内容はレビュー未満の、本当に日記というか記録というか備忘録的なメモのようなもので、そのとき聴いて考えたことや気づいたことを、つらつらと書いていく感じです。なので極度にラジオ好きのかたや実際にその番組を聴いた人でないと、読んでも意味がわからないかもしれませんが、興味のあるかたはおつきあいいただければ。どうぞよろしくお願いいたします。arsenal4.blog.fc…

  • 短篇小説「おやつんクエスト」

    都会の喧噪を離れたリゾート地たけのこの里に、ルヴァンという名の王子がいた。ルヴァンはことあるごとにパーティーを催すことでお馴染みのリッツ家の跡取り息子で、顔にあばたが多くその皮膚はところどころ塩を吹いている。 かつて隆盛を極めたリッツ家も、ルヴァンの代になるとすっかり勢いを失っていたが、そんなときに限って危機は訪れるものだ。 先ごろ、海の向こうの無人島に聳え立つきのこの山に暗黒の帝王ダースが降臨し、部下の暴君ハバネロとともに、まもなくこのたけのこの里へ攻め込んでくるらしい――そんな剣呑な噂が、里の耳聡いカントリーマアムたちのあいだでまことしやかに囁かれていた。 そんなある日、リッツ家の分家であ…

  • 短篇小説「ネタバレ警察」

    新部署に配属されたばかりの越智裕三が、スーパーのおやつ売り場でお菓子のパッケージをひとつひとつ手に取りながらひとりごとを言っている。「『ポッキー』か……これはやっぱり、食べたとき鳴る音からそう名づけられたんだろうな……だとすれば確実にアウト、と。えーっと『ポテトチップス』は……ポテトのチップス……って以外に理由はないだろうから、これもアウト。ああ、『じゃがりこ』ね。もちろん原料がじゃがいもだからなんだろうけど、後半の『りこ』の部分は見えてこないから……まあ審議対象か。といっても25%ラインは遥かに超えてしまっているから、駄目なことは駄目なんだけどな――」 裕三はお菓子を手に取っては棚に戻しなが…

  • 短篇小説「反語の竜」

    竜は素直じゃない男だ。彼は産道の中ですらも、「産むなよ、産むなよ」と心の中で念じていたという。もちろん産まれたくないわけではなかった。だが本当に産まれたかったのかどうかは、物心ついていないのでよくわからない。 竜の少年時代には苦い思い出が多い。ある日、昼休みのドッヂボールに夢中になりすぎた小学五年生の竜とクラスメイトたちは、遅れて教室へ突入すると廊下に並ばされ、担任の男性教師に説教を喰らうはめになった。しかしこの担任は温厚な青年で、このときも恫喝するような調子は微塵もなかった。 だが人間、何でスイッチが入るかわからない。そんな気配など微塵もない担任の説諭の最中に、竜が突如として「ぶつなよ、ぶつ…

  • 桜の樹の下には屍体が埋まっているらしいので

    桜の樹の下には屍体が埋まっている、と梶井基次郎は言った。だとするならば―― クワマンの下にはセカンドバッグが埋まっている。 しょんべんカーブには虫が止まっている。 Tカードには使うほどでもないポイントが溜まっている。 ガチャガチャのカプセルには原価の低い夢が詰まっている。 ナンチャンの庭にははっぱ隊が埋まっている。 公園のベンチには受け子が待っている。 何も言えなかった夏のあとには言い過ぎる秋が待っている。 言い過ぎた秋のあとには言いたいことも言えないこんな世の中にポイズンが盛られている。 秋田のなまはげには包丁のスポンサーがついている。 テレビ東京は池の水を抜いている――。 www.yout…

  • ディスクレビュー『X MARKS THE SPOT』/ART OF ILLUSION

    エックス・マークス・ザ・スポットアーティスト:アート・オヴ・イリュージョン発売日: 2021/02/03メディア: CD雑味のない北欧的美旋律が、QUEEN影響下にあるオペラティックなアレンジによって豪華に彩られる。満を持して登場した万華鏡の如きファンタジック・ハード・ロックの傑作である。傑作という言葉を易々しく使いたくはないが、このレベルならば許されるだろう。今のところ早くも過小評価されているように見受けられるが、こういう作品こそ届けるべき人にきちんと届けなければならない。僕はこの作品を聴いて、ROBBY VALENTINEの1stを思い出した。「北欧美旋律+QUEEN」という魅惑の方程式は…

  • 言語遊戯「ことわざ延長戦」第4戦

    本来短く言い切るからこそ意味のあることわざに、余計な情報を足して無駄に長くしてみようという究極の蛇足企画第4弾。いわば引き分けでもないのにおこなわれる不毛な延長戦。理由なく長すぎて松木安太郎も怒り出す不可解なアディショナル・タイム。長引けば長引くほどに空洞化するその意味を、ドーナツのように味わっていただければこれ幸い。 ◆《腐っても鯛》 ↓ 《腐っても鯛、新鮮でも虫》【意味】海外ロケでリアクション芸人に出されるゲテモノ料理は、どんなに新鮮でも嫌なものである。【解説】むしろ新鮮なほうが嫌なくらいかもしれない。 ◆《短気は損気》 ↓ 《短気は損気、ヤンキーはドンキ》【意味】短気を起こすと結果として…

  • 破くまえに読む

    以前から気になっている表現に「読破」という言葉があって。言うまでもなくそれは「(書物を)最後まで読み通す」という意味ではあるのだが、それにしても破く必要はない。もちろん最後まで読んだところで実際に破く人など滅多にいないはずだから、読み切ったことを自慢するための強調表現としての「破」なのだろうとは思う。それは思ってる。にしても、である。たしかに「破」の字は、いかにも暴走族が好んで用いそうという意味ではわかりやすい強調表現ではある。しかし読書というわりと静謐な行為の到達点に待つ強調表現として、そのような暴力的な言葉がふさわしいとはどうにも思えないのである。などと考えつつ、自分でもSNSなどに本を読…

  • 短篇小説「言霊無双」

    目の前を歩いている人がずっと後ろを向いているように見えるのは、シンプルに彼女が後ろ向きな考えを持っているからだ。人は後ろ向きな思考を続けているあいだは、文字通り顔面が後ろを向いてしまうようになった。 それに対して、先ほどから僕の右脇を歩いている男をどんなにジロジロ見つめてもこちらを振り向かないのは、おそらくは借金で首が回らないせいだろう。 ネットやSNSの流行により、言葉によって人が傷つき時には命を失うほどまでに言葉の力が増大した。その結果、言葉は人の身体を容赦なくコントロールするようになった。それは古来「言霊」と呼ばれる言葉の霊力がかつてなく強まった結果だ。 後ろ向き女と首回らな男、この二人…

  • 短篇小説「言わずもが名」

    かつてはこの国にも省略の美学というものがあった。 たとえば俳句。に限らず会話や文章、そして商品のネーミングに至るまで、語られていない行間にこそ価値がある。そこに粋を感じる悠長な時代がたしかにあったのだ。いやあったらしい。私はそんな時代は知らない。物心ついたときからすでに、省略は不誠実と見なされ罰せられる、何もかもが説明過多な時代がすっかり完成していたのだから。 もちろん説明過多というのは過去と比較しての話だ。この時代に生きる私たちはそれを説明過多と感じることはない。なぜならば目にするものも会話も文章も、すべてが常時説明過多であるからだ。 つまりそれはデフォルトであり標準仕様であって多いも少ない…

  • 短篇小説「漕ぎ男」

    男が自転車を立ち漕ぎしている。 文字通り、サドルの上に立って。ペダルまでの距離は遠いが、いまは下り坂なので問題はない。上り坂が来ないことを祈るばかりだ。 やがてサドルの上に立って進む立ち漕ぎ男の脇を、座り漕ぎ男が追い抜いてゆく。座り漕ぎ男もまた文字通り、地面に座ったまま自転車を漕いでいる。もちろん尻は熱い。 と思いきや、ボトムスの尻部分には二個のローラーがついているので熱くない。なので正確に言えば二輪車ではなく四輪車と言うべきだ。尻ローラーがうなりを上げる。 そうなると次に現れるのはもちろん寝漕ぎ男だ。寝漕ぎ男は前輪と後輪のあいだに、あお向けに寝そべってペダルを漕いでいる。なので寝漕ぎ用自転車…

  • 短篇小説「何もない」

    とある土曜日の夜、私は「題名のない音楽会」へ行った。 それは「指揮棒のない指揮者」が指揮をとり、「バイオリンのないバイオリン奏者」や「チェロのないチェロ奏者」が「音楽のない音楽」を演奏する素晴らしい音楽会。ないのは題名だけでなく、あるのはただ静寂のみであった。 出不精の私をこの素敵な会へと出向かせたのは、「友達のいない友達」からの「誘い文句のない招待状」である。 では「友達のいない友達」にとっての私はいったいどういった存在であるのか。むろん彼には友達がいないはずなので、私とてご多分に漏れず友達ではないと思うのだが、その手紙は間違いなく私宛に送られてきたものだ。 招待状には、当然のように私を招待…

  • 短篇小説「キュウリを汚さないで」

    工場の真ん中にテーブルがある。テーブルの端で男Aがキュウリに泥を塗っている。 その隣の男Bがたっぷり泥のついたキュウリを受け取ると、シンクへと走りそれを丁寧に洗う。男Bはそのキュウリを、シンク脇に引っかけてある泥まみれの布巾で拭く。キュウリは再びドロドロになるが、このドロドロは男Aがもたらしたドロドロとは何かが違う。何が違うのかは誰にもわからない。 ドロドロのキュウリを預かりに男Cがやってくる。男Cは男Aのいたテーブルに向かい、そこでやはりたっぷり泥を塗ってから、ドライヤーでカラカラに乾かしてゆく。最初は熱風、仕上げは冷風。乾ききった泥キュウリは、すっかり違う表情を見せる。 そこへ下駄を鳴らし…

  • 短篇小説「押すなよ」

    「押すなよ押すなよ」あいつは言った。 だから僕は押さなかった。「押すなよ押すなよ」あいつはもう一度言った。 やっぱり僕は押さなかった。だって押すなと言っている。「押すなよ押すなよ」あいつはこれで三回も言った。 こんなに何度も言うってことは、押されるとさぞ大変なことになるのだろう。僕はますます押せなくなった。「押すなよ押すなよ」あいつは懲りずに言っている。 それでも僕は押さなかった。押したって僕にはなんの得もない。そうかそうかそうなのか。僕が押さないのは、あいつのためを思ってのことじゃあなかった。僕はなんて汚い人間なんだ。優しさのかけらもない。「押すなよ押すなよ」あいつはまだまだ言うつもりらしい…

  • 短篇小説「不可視な無価値」

    右に置いてある物をそのまま右に置いておくのと、いったん左に動かしてから再び右に置き直すのとではまったく意味が異なる。それが我が社の理念である。 これは一度動かしてしまうと同じ右でも位置が微妙に変わってしまうとか、そういうことではない。当初置いてあった場所と、動かした末に戻した場所が寸分違わぬ場所であったとしても、それらはすでに完全な別物なのである。我が社はそういう方針のもとで生産活動をおこなっている。 ゆえに我が社では転勤が異常に多い。東京本社に勤めている者が、ある日突然大阪への転勤を言い渡され、翌日にはさっそく大阪支社へと出社する。そしてその次の日には、再び東京本社の、いつもの席へと出社する…

  • コント「無傷だらけのヒーロー」

    【登場人物】 ガジロー選手(野球のユニフォームを着ている) アナウンサー 試合後のヒーローインタビュー。お立ち台に選手が立ち、その横でアナウンサーがマイクを向ける。深めのエコーがスタジアム全体に響き渡る。アナウンサー「放送席~放送席~。本日の試合で見事完封勝利をおさめました、スワルトヤクローズのガジロー投手です。(ガジローに)いやー、それにしても完璧な復帰戦でしたね!」 ガジロー 「ありがとうございます! 復帰っていうか、ずっと出てましたけどね」 アナウンサー「気づきませんでした! しかし一年半ぶりの登板ということで、だいぶ緊張したんじゃないですか?」 ガジロー 「いや、だからずっと中五日でコ…

  • 短篇小説「動機喚起装置もちべえ」

    私はついに動機喚起装置『もちべえ』を手に入れた。これさえあればどんな願いも叶えたようなものだ。なにしろ成功する人間にもっとも必要とされるものは、実のところ斬新な発想でも強固な人脈でも漲る行動力でもなく、それらすべての原動力であるところの「動機」であるからだ。 物事のスタート地点には、必ず動機というものが存在する。動機なきところに成功などあり得ない。明確な動機なしにはじまったプロジェクトは、内容を問わず途中で推進力を失い必ず頓挫することになっている。動機なき言動に人を動かす力など微塵もないからである。 人がことをはじめる際にもっとも持ちあわせていなければならないが、自らの意志ではけっしてつくりだ…

  • 短篇小説「脂肪動悸」

    いつもの道を、歩いていた。天井裏かもしれない。天井裏だとしたら、頭がつっかえるはずだがそんなことはなかった。ならばそれは駅へと向かういつもの道だ。 だけどねずみを見かけたような気がする。ねずみは天井裏にいるべきだ。いやどぶの中という可能性もある。なにしろどぶねずみというくらいだから。 じゃあどぶねずみ以外のねずみはいったいどこにいるのか。天井裏ねずみというのは聞いたことがない。必ずしも名前に住んでいるエリアを明記する必要もない。ねずみの話をしたいわけではない。むしろまったく興味はない。路傍にもねずみはいる。ならばやはりいつもの道か。 駅へと続く道。なぜ行き先を駅と言いきれるのか。山かもしれない…

  • 世界十大あけましておめでとうございます2021

    あけましておめでとうございます!(ビンゴカードの呼ばれてもない数字を)あけましておめでとうございます!(自動ドアを手動で)あけましておめでとうございます!(開かずの金庫をバールのようなもので)あけましておめでとうございます!(前代未聞の不祥事で舞台に穴を)あけましておめでとうございます!(落とし穴を掘ってる人の後ろにそいつのための落とし穴を)あけましておめでとうございます!(賞味期限の切れた缶詰の蓋を)あけましておめでとうございます!(腹話術師の声にあわせて開閉式ドームの天井を)あけましておめでとうございます!(嵌め殺しの天窓を拳で)あけましておめでとうございます!(ディフェンスラインの背後に…

  • 短篇小説「坂道の果て」

    大学受験当日の朝、満員電車から予定通りスムーズに脱出した嶋次郎は、受験会場である志望校へと続く坂道を歩いていた。右へ左へうねりながら延々と続くその登り坂は、まるでこの一年間の道のりのようだなと思いながら。 だが嶋次郎がこの道を辿るのは初めてではない。それは彼が浪人しているという意味ではなく、彼は何度もこの道を実際に通ったことがあるということだ。 嶋次郎は予行演習と称して、受験前に何度も志望校への道をその足で確認していた。もちろん当日と同じ時間帯の同じ電車に乗り、同じ道のりを歩いて。それが勉強をサボるちょうどいい理由になっていたことも否めないが、そこは「息抜き」と心の中で都合よく言い換えてみたり…

  • 短篇小説「土下男」

    土下男はすぐに土下座ばかりするから土下男と呼ばれている。名前はまだない。なんてことはないが誰も彼を本名で呼んだりはしない。彼が死んだら、間違いなくその戒名には土下男の三文字が含まれるだろう。だが土の下に埋められるにはまだ早いと言っておく。 土下男は学生時代から土下座ばかりしていた。宿題を忘れても遅刻をしても買い食いをしても土下座一発で許された。 しかし人はどんな奇抜な動きにも見慣れるものだ。飽きられるにつれて、その効力は着実に弱まっていくことになっている。ならばこちらも強度を上げねばならない。そのためにはどうしたら良いか。土下男はまず、地面に頭をつけている時間を増やすことを考えた。 不祥事を起…

  • 短篇小説ブログ出戻りのお知らせ~早すぎるカムバックサーモン~

    先月、こんなお知らせをしたばかりですが……。tmykinoue.hatenablog.comさっそくですが退却戦のお知らせです(笑)。これは長坂の戦いか姉川の戦いか。しんがりは張飛と猿と麒麟にまかせます。燕人張飛は橋の上に。短篇小説部門を独立させた新規ブログを開設してみたものの、おそろしくアクセス数の少ない日々が続き、わざわざ別棟にする意味をどうにも感じられないため、あちらはいったん開店休業状態にして、やはり短篇小説もすべてこちらに掲載していくことにしようと思い至りました。新規ブログをなかなかグーグルが認識してくれなかったのもあるし、そもそも短篇小説ってやっぱり求められていないんだなとか、単に…

  • 書評『一九八四年』/ジョージ・オーウェル

    誰もが認めるディストピア小説の代表作である。読んでみるとたしかにそうだと言わざるを得ない。同じ作者の『動物農場』と比べても、ちょっとレベルが違う。徹頭徹尾、とにかく示唆に富んでいる。物語の端々から発せられるのは、現代社会への警告であり人類の未来への危惧。ここで言う現代社会とは、残念ながら一九八四年でも二〇二〇年でもあって、どちらもたいして変わらない。むしろ予見が具現化されてしまっているぶん、いま読んだほうが身につまされるかもしれない。描かれているのは、情報化社会の末に訪れる管理および監視社会。自由と便利さを求める人類がたどり着いた先にある不自由。効率化のなれの果て。「情報」という非物質的なもの…

  • 2020年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・ソング10選

    1位「Runner of the Railways」/MARKO HIETALA元TAROT、現NIGHTWISHのマルコ・ヒエタラ初のソロ・アルバムより、もっとも初期TAROTっぽいこの文字通りの疾走曲を。曲名から真っ先に思い浮かべたのはIRON MAIDENの「The Loneliness Of The Long Distance Runner」。僕はこの曲が妙に好きで、彼らの数多ある名曲の中でも、もしかしたら一番好きかもしれないくらい。長尺かつメロディアスな短音リフにリードされて駆け抜けるこの「Runner of the Railways」は、まさにあの曲を思わせる。かといって酷似してい…

  • 2020年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・アルバム10選

    1位『WE ARE THE NIGHT』/MAGNUS KARLSSON'S FREE FALLウィー・アー・ザ・ナイトアーティスト:マグナス・カールソンズ・フリー・フォール発売日: 2020/06/10メディア: CD敏腕職人ギタリストと新旧実力派ヴォーカリストたちの共演。正統派HR/HMの新たなる教科書的作品。全方位的にバランスが取れすぎていて、それゆえ決め手に欠けるように見えてしまう向きもあるだろう。だがけっして小さくまとまっているわけではなく、ソングライティングもアレンジも技術も、すべてにおいて突出した結果としての全方位型。とは言いつつも、やはり特筆すべきはマグナス・カールソンが本気を…

  • 書評『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』/デヴィッド・グレーバー

    ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論作者:デヴィッド・グレーバー発売日: 2020/07/30メディア: 単行本僕はこれまでことあるごとに、「日本では、どういうわけか楽しそうに仕事をしている人の給料が安い」と感じてきた。思い知らされてきたと言ってもいい。もちろん、アリーナを埋め尽くすミュージシャンのように、トップクラスまで突き抜けてしまえば話は別だ。しかしその手前でコツコツやっている段階の職業人に関しては、そのやりがいや面白さが明確であればあるほど、ギャランティーが不当に安く設定されているような気がする。それはなぜか。それはきっと、「あんたは好きなことをやるという報酬をすでに得てい…

  • ジョージOL

    じゃなくてジョージ・オーウェルを最近ようやく読みはじめた。このタイトルから、OLの格好をした高橋ジョージを期待してしまった人には本当に申し訳ない。著者近影を見る限り、髪型は少し似ているかもしれないが。なぜ今ジョージを読もうと思ったかといえば、近ごろになって自分の書いている小説が、どれもこれも実のところ、ある種のディストピア小説と言えるのではないかと急に感じはじめたからだ。それでディストピア小説を調べてみると、どこへ行っても必ずやジョージの『一九八四』に当たる当たる。ディストピア小説というくくりで紹介する際に、『一九八四』を入れていなければモグリだと言わんばかりに。もともとディストピア的な小説は…

  • 短編小説専門ブログ開設のご案内

    このたび、当ブログの短編小説部門を独立させて、『机上の変~不条理短編小説工房~』https://desktopincident.hateblo.jp/という新規ブログを立ち上げることにしました。実のところ、これはしばらく前からの懸案事項でして。2008年末からやってきたこのブログも、当初とはかなり様変わりしているなぁと僕自身感じていました。それに伴って、まあ右サイドのカテゴリー一覧を見てもらえればわかるのですが、ジャンルが増えすぎて、もはや何のブログやらわからなくなってしまっているといった塩梅で。まあそもそもがなんでもありのノンジャンルブログだったわけで、言ってしまえば端っから何のブログだった…

  • 馬鹿擬音小説「ギュンギュンのウ~ン」

    擬太郎がバーンと開けてガチャッと回しザッザッザッと降りると、空はスカッではなくドンヨリとしてシトシトと降っていた。ザーザーというほどではないしもちろんザンザンにはほど遠い。 マンションのエントランスをパカーンと出た擬太郎は、トントンしていた長いものをミチミチ言わせながらバサッと広げた。その骨が一本バキッとなりクネッとなっていることに一瞬ハッとなるが、プイッと見なかったことにしてスーンと気にせずに差してトコトコと歩きはじめた。 ウ~ンと考えごとをしながら歩いていると、後方でチリンチリンと音が鳴り、擬太郎はサッと道の端へよけた。するとシャーッとその脇をすり抜けるものがあり、さらにその後ろからブッブ…

  • 今さラー油

    先日スーパーでラー油を買おうと思い、久々にラー油売り場を覗いてみたところ、かつてその画期的なネーミングセンスで一大ブームを巻き起こしたあれと目が合った。 『辛そうで辛くない少し辛いラー油』 懐かしかった。目頭が熱くなった。熱くなりそうで熱くならない少し熱くなった目頭。実際にはその程度だった。エガそうでエガくない少しエガい江頭。それくらい江頭でもあった。時計の針は2時50分を指していた。さっきから響きだけでいったい何を言っているのか。まるで「あの人は今」的な番組で数十年ぶりに再会したような気分になったが、それは今も棚の主要な場所に並んでいた。ということはむしろ、すっかり定番商品として定着したとい…

  • 短篇小説「未遂刑事」

    未遂刑事は未遂事件しか扱わない特殊な刑事だ。彼が関わる事件は殺人未遂、強盗未遂など未遂事件ばかりであり、その解決もまた未遂に終わることを運命づけられている。 未遂刑事の行動は仕事に限らず日常の些事に至るまで、何事も未遂に終わる。だから彼は未遂刑事である以前に未遂人間でもあった。つまり未遂人間がたまたま刑事になったから、めでたく未遂刑事が誕生したというわけだ。 平日の昼間、住宅街で立てこもり未遂事件が発生した。すでに数人の警官が現場である一軒家を取り囲んでいる中へ、お昼休みのランチを見事に途中で切り上げた、つまり未遂に終わらせた未遂刑事の自転車が到着する。 急いでいたためか、彼はやや腰を浮かせた…

  • 短篇小説「連鎖」

    小雨が降ってきた。まだ降りはじめなので、誰も傘を差していない。日傘の季節でもなかった。 駅前の商店街を歩いているひとりの紳士が、ブリーフケースから取り出した折りたたみ傘をパッと広げた。するとその脇を通りかかった父親の腕の中にいる赤ん坊が、口を大きく開けてあくびをした。さっきまでぐっすりと眠っていたはずなのに。 目を開けた赤ん坊は、自分を抱いているのが期待していた母親でないことに気づいて、大声で泣きはじめた。寝る寸前までは、たしかに母親の胸に抱かれて眠っていたはずなのだ。自分という指令官の許可なしに、選手交代などあり得ない。赤ん坊のよく通る泣き声は、そんな憤慨を周囲に感じさせた。 男子大学生はそ…

  • ショートすぎるショートショート「恐怖! 座り漕ぎ男」

    サドルの上に立って進む立ち漕ぎ男の脇を、座り漕ぎ男が追い抜いてゆく。座り漕ぎ男は文字通り、地面に座ったまま自転車を漕いでいる。 www.youtube.com tmykinoue.hatenablog.com

  • ショートすぎるショートショート「立ち漕ぎ男」

    男が自転車を立ち漕ぎしている。 文字通り、サドルの上に立って。 www.youtube.com

  • 短篇小説「自動音声ダイヤル」

    はい、お電話ありがとうございます。こちらはヒューマン・インスティンクト・テンプル・カンパニー、サポートセンターでございます。 この電話は、自動音声ダイヤルとなっております。通話には、20秒ごとに10円の料金がかかります。場合によっては、10秒ごとに1万石の通話料がかかることもございます。すべては、お客様の対応次第となっております。なおこの通話は、サービスの品質向上、及び従業員らの娯楽のため、すべて録音させていただいております。 以下の番号の中から、お客様のお問い合わせ内容にあてはまるものを、「ぬぷっ」という音のあとにご入力いただき、そのあとに「井」を押してください。「#」ではなく、「井」をご入…

  • 「新語・流行語全部入り小説2020」

    コロナ禍ですっかりテレワーク慣れしたアマビエが、いっちょまえにZoom映えを意識してアベノマスクに香水を振りかけた。マスクに香水を振りかけたところで、においはどんな電波でも伝わらないのだから、アマビエが画面越しに映えることは一切なかった。 本来ならば新しい生活様式だニューノーマルだと言い張って、ついでにGoToキャンペーンにもちゃっかり便乗して、ソロキャンプでもしつつワーケーションと行きたいところではある。しかし同僚のアマビエがPCR検査で引っかかり、事務所がクラスター認定されたいまとなっては、その濃厚接触者である彼女に長距離移動の自由はなかった。 疫病退散を謳う妖怪であるアマビエが疫病にかか…

  • 短篇小説「あれ」

    ある朝のことである。家を出て駅へと向かう道すがら、私は「あれ」を家に忘れてきたことに気づいた。私はいますぐに「あれ」を取りに帰るべきだろうか。だが「あれ」がなくても、今日一日くらいなんとかなるだろう。そう思って私は踵を返すことなく、いつもの通勤電車に飛び乗った。 だがその考えは、あまりに楽観的すぎたかもしれない。私は揺れる満員電車の中でつり革を掴んだり放したりしながら、「あれ」を忘れたことでこの先私に何が起こり得るかを考えた。もはや取りに戻る時間の余裕はない。 このまま会社へ着いたところで、「あれ」がなければ私は自社ビルに入館することすらできないだろう。入口に立つ厳格な警備員が、「あれ」を忘れ…

  • 短篇小説「違いがわかる男」

    判田別彦は違いがわかる男だ。彼に違いがわからないものはない。いや、わからない違いはないと言うべきか。もちろん「レタス」と「キャベツ」の違いだってわかる。 いい感じなほうが「レタス」で、そうでもないほうが「キャベツ」だ。 別彦にかかれば、「牛肉」と「豚肉」の違いだってお手のものだ。高いとか安いとか、美味いとか不味いとかの問題じゃない。 既読スルーしそうなほうが「牛肉」で、しなさそうなほうが「豚肉」だ。これはとてもわかりやすい判別方法なので、ぜひ憶えておくといい。「牛肉」は返信をわざと遅らせてきたりもする。ちなみに「鶏肉」は電話派だ。「ハイネック」と「タートルネック」の違いは、ちょっと難しい。しか…

  • 書評『穴』/小山田浩子

    穴 (新潮文庫)作者:浩子, 小山田発売日: 2016/07/28メディア: 文庫「穴」というモチーフには、なぜだか常にワクワク感がある。だからカフカも安部公房も村上春樹も穴を使う。ということはつまりカフカが使ったからか。影響関係を考えると。その題材の強さのおかげで面白さの最低ラインが保証されると考えるか、逆にハードルが上がると考えるかは読み手次第だが。芥川賞受賞作。物語は田舎に越してきた主婦の日常からはじまる。これが本当に日常なのだ。日常というのは当然のごとくリアルだが、そのぶん退屈も伴う。丁寧に描き出される日常の連続に、個人的には挫折しそうになった。しかし日常というのは、現実とフィクション…

  • 短篇小説「品書きのエモい料理店」

    誰もがグルメグルメとほざく昨今、私はいよいよ通常の美味いだけの料理では飽き足らなくなってしまった。料理とは、ただ物理的に美味いだけで良いのだろうか。演奏の上手いだけの音楽が味気ないように、美味いだけの料理というのもまた、文字どおり味気ないものだ。 私は心を揺さぶるエモーショナルな音楽が好きだ。ならば同じく感情に訴えかける、エモい料理というものがどこかにあるのではないか。そんな疑問を持ちはじめた矢先のことだった。近所に新しい料理店がオープンするというチラシが、ポストに投げ込まれていたのは。 私はオープン初日の開店時間に合わせて、その店を訪れた。なぜならばそのチラシには、「あなたの心に、届けたい料…

  • 台風狂想曲

    とりあえず、何かにつけて「最大級」的な文言があちこちに躍っていた台風10号の被害が思ったほどではなくて勝手にひと安心しているが、それでももちろん被害に遭っているかたもあると思うし、むしろこれからがシーズン本番であると考えるべきかもしれない。今回の台風絡みで気になった点は大きく二つあって、一つは新型コロナの影響で避難所の受け入れ拒否が多く起きていたということ。しかし中にはコロナ対策による受け入れ人数削減とは関係なく、そもそもキャパシティの足りていない避難所も当然のようにゴロゴロあるものだという報道もあった。そうなってほしくはないが、考えてみると現実的にはなるべくしてそうなっているのだとも思う。そ…

  • 客中求人4

    《アテンション・プリーズ、アテンション・プリーズ。機内でトラブルが発生いたしました。お客様の中に、これから申し上げる条件に該当するお客様がおられましたら、お近くのキャビン・アテンダントまでお声掛けくださいますと幸いです》 「お客様の中に、クリリンのぶんまで殴られたかたはいらっしゃいませんか?」「お客様の中に、高校時代コブクロのカバーデュオ『オオブクロ』を名乗って学園祭に出演されたかたはいらっしゃいませんか?」「お客様の中に、何も言えないまま夏を過ぎて秋を迎えてしまったかたはいらっしゃいませんか?」「お客様の中に、諦めることで試合終了させたかたはいらっしゃいませんか?」「お客様の中に、火中の栗を…

  • 書評『声の網』/星 新一

    声の網 (角川文庫)作者:星 新一発売日: 2012/10/16メディア: Kindle版これは物語のふりをした、世界一読みやすい予言の書であるかもしれない。予言の書は予言が現実化する前に読まねば意味がないように思われるが、いざ見事にすべてが現実化してしまったあとのいま読んでこそ、背筋の凍る答えあわせが楽しめるというメリットもある。そういう意味では、いまこそ読まれるべき作品であるとも言える。本作が書かれた1970年時点で、「個人情報」という感覚を持っていた人が果たしてどれほどいただろうか。ましてや「個人情報」というものに潜む計り知れぬ危険性を。アイドル雑誌に、ファンレターの宛先としてタレント本…

  • 短篇小説「耳毛をちぎらないで」

    真夜中の路地裏。濡れた壁面に押しつけられ、片耳細コードイヤホンの北村が、大型ふかふかヘッドホンの西沢に左手で胸ぐらを掴まれている。大型ふかふかヘッドホンの西沢は、片耳細コードイヤホンの北村の胸元で自分を挑発するように揺れ動くコードを、右手で強く握り込んで一気に引きちぎった。 北村の片耳細コードイヤホンは、モノラル仕様の片耳分しかない一本の線であった。しかもその末端にあるイヤホンジャックはどこにもつながっていないから、ただ片耳からぶら下がっているだけの不安定なコードを引きちぎるのは思いのほか難しい。だが自らの手首をくるっと回転させ、イヤホンコードを巻き取りつつ巧みに引きちぎる大型ふかふかヘッドホ…

  • 短篇小説「バベルの誤塔」

    十年かけて、ついに私は金字塔を打ち立てた。いや実際には金字塔ではなく、隣の塔にそっくりな近似塔なのであった。 高さもデザインも内装もまったくそっくりな違法建築である。そもそも隣の塔が違法建築なのだから、それを真似したらそうなってしまうのは仕方ない。いや違法建築ではなく異邦建築だったかな。そういえば現場で見かけた作業員の多くは、外国人労働者であったような気がしないでもない。 私は今日はじめて、できたてほやほやの我が塔の最上階へ昇ってみた。その際もちろん階段ではなくエレベーターで昇ったわけだが、ちょっと表面がぬるぬるしていたので、私が乗ったのはエレベーターではなくアリゲーターだったのかもしれない。…

  • ディスクレビュー『MIDNIGHT EMPIRE』/ONE DESIRE

    Midnight Empireアーティスト:One Desire発売日: 2020/05/22メディア: CDヨーロッパとアメリカの中間地点が、フィンランドにあったとは。正確に言えば「欧州ヘヴィ・メタル」と「アメリカン・ハード・ロック」の中間地点だが、そんな「欧米折衷」を理想に近い形で実現しているのが北欧のバンドであるというのが興味深い。あるいはむしろ、どちらの中心地でもないからこそ、躊躇なく両者を取り込んで遠慮なく混ぜあわせることができるのかもしれない。フィンランド産メロディアス・ハード、充実の二枚目である。これまで、欧州HMと米HRを理想的なバランスで融合させたバンドの代表格は、6th『E…

  • レジ袋有料化後の世界

    いま我々は、レジ袋有料化以後の世界に生きている。もうあと戻りはできない。いや、しようと思えばできるんだろうけど。レジ袋が完全有料化されたおかげで、あちこちで珍妙な光景を頻繁に見かけるようになった。弁当と缶コーヒーと漫画雑誌を両手いっぱい胸いっぱい抱えたまま、コンビニからふらふら出てくる人。たった三円の袋代をどうしても払いたくないあまりに、レジ係に長時間ブチ切れて列を渋滞させる人。レジ袋の代替物をひらめいた俺天才とばかり、サッカー台にロールされている無料の透明ビニール小袋を何枚か巻き取って、なんとかそこへ買った物を一個ずつ収めたはいいが、取っ手がないため滑りやすいそれらをどう持っていいものやらわ…

  • 短篇小説「AでもないBでもない」

    背が高くも低くもない、特に男っぽいわけでも女っぽいわけでもない男が、お昼すぎとも夕食前とも言えない時間帯に、定食屋にもレストランにも見えない飲食店で、昼定食でもランチでもない何かを食べていた。男のほかに客はいなかった。 男が店に入ってきた瞬間、店主でも店員でもない女は、この男のことが妙に気になった。男の姿が、サラリーマンにも工場労働者にも水商売にも無職にも見えなかったからだ。 この店はオフィス街でも歓楽街でも学生街でも田舎町でもない場所に建っていた。特に美味いわけでも不味いわけでもないが、かといって普通というほど普通でもなく、特別というほど特別でもないところが落ち着くと評判の店だった。なんて面…

  • 短篇小説「逆接族」

    つい先日、関東地方にいわゆる「火球」が落下したのは記憶に新しい。だがそれはもちろん、一般市民の混乱を防ぐために画策された、為政者サイドによる隠蔽工作に過ぎない。実際には皆さんご期待のとおり、そのとき未確認飛行物体が地球上に着陸したのである。 落下直後、現場へ私のような言語学者が呼び出されたのが何よりの証拠だろう。つまり未確認飛行物体には言語を操る何者かが搭乗していること、そしてその相手が地球とは異なる言語圏に住む者であるということが、あらかじめ予測されていたということになる。 真っ暗闇の中、あまりにも予想どおりに青白く光る円盤状の物体から登場したのは、人間とまったく見た目の変わらない、ひとりの…

  • 短篇小説「誰得師匠」

    今日も劇場の楽屋は誰得師匠のおかげでてんやわんやである。楽屋口から出たり入ったりしながら、トイレへ行った一瞬の隙に連れてきた鳩がいなくなったと誰得師匠が騒いでいる。担当の新人マネージャーを呼びつけては鳩の生態を語って聴かせ、劇場の女性スタッフを捕まえては鳩の餌代がいかに高くつくかを熱弁する。 三十分ほどスタッフ総出で探索させたのち、楽屋でのんびり煙草を吹かしている誰得師匠にマネージャーがおそるおそる声をかける。「すいません、まだ見つかってなくて……」 新人が怒鳴られるのを覚悟してほとんど目をつぶりながらそう言うと、誰得師匠は驚くべき返答をしれっと口にした。「ああ、鳩ならここにあったよ」 そして…

  • ディスクレビュー『WE ARE THE NIGHT』/MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL

    ウィー・アー・ザ・ナイトアーティスト:マグナス・カールソンズ・フリー・フォール発売日: 2020/06/10メディア: CD良く言えば引っ張りだこ、悪く言えば尻軽もしくは器用貧乏なギタリスト、マグナス・カールソンの名を冠した「本業バンド」待望の3rdアルバムである。先に言っておくがたぶん今年の年間ベスト・アルバムは本作で決まりだろう。まだ半年残しているのに気が早いが、このレベルの作品にはそうそう出会えるものではない。おかげで近ごろはこればかり聴いていて、いっこうにそのループから抜け出せそうにない。だがそれはむしろ、一聴したときのインパクトがさほどでもなかったからかもしれない。人によっては、どの…

  • 短篇小説「自転車通学者の恋」

    純介は高校時代、男子校へ自転車で通っていた。おかげで彼はひとりの女子ともつきあうことができなかった。 だがそれはけっして、貴重な青春期の行き先が男の園だったからではない。純介は、すべては自転車通学のせいだと思っている。自転車通学という手段は、即刻廃止すべきだとすら考えている。自分が動き続けている限り、恋など生まれようがないからだ。恋とは、どうやら止まった場所からしか発生しないものらしい。 高校へ入学し、学校との微妙な距離感から自動的に自転車通学が決定したとき、純介は小躍りして喜んだものだ。彼は自転車に乗ることを純粋に楽しんでいたし、なによりも青春映画や歌謡曲で頻繁に描かれる、荷台に女の子が横座…

  • 短篇小説「課金村」

    この村ではなにもかもが無料である。一見そのように見える。本当にそうなのかもしれない。本当はそうなのかもしれない。ということは、そうじゃないのかもしれない。 朝から公園を散歩していた私は、喉が渇いてきたので自販機でジュースを購入しようと考える。ここでつい「購入」などと言ってしまうのは、前時代的な貨幣経済に毒された旧人類たる私の悪い癖だ。 ここではなにもかもが当たり前のように無料であり、自販機に並んだ十数個のボタンは、いずれも最初からここ押せワンワンとばかりにまばゆい光を放っている。そもそもコインの投入口など、どこにもありはしない。 早くも疲れを感じていた私は、選び放題の中から栄養ドリンクのボタン…

  • 短篇小説「連&動」

    膝五郎が街でたい焼きを食べ歩いている。いや正確には究極のたい焼きを求めて何軒もまわっているというわけではなく、単に歩きながら手近な一匹を食べているだけなので「歩き食べている」と言ったほうがいい。日本語の複合動詞では、後に来る動詞のほうが主役になるという法則があるらしい。 膝五郎はたい焼きを歩きながら食べるものだと思っているので、それを立ち止まって食べる、つまり「止まり食べる」ことなどけっしてあり得ない。もちろん「座り食べる」こともない。 それでいうと、「座り止まり食べる」ことが最も可能性が低いということになる。一方で「座り歩き食べる」ことならば、かなり下半身に負荷がかかることが予想されるが完全…

  • 短篇小説「迷信迷走」

    迷村信彦はスマホであれ一眼レフであれ、写真を撮られるのが嫌いだ。それはもちろん、〈写真を撮られると魂を抜かれる〉という迷信を信じているからにほかならない。 なぜそうなのかは知らないが、おそらく生きた魂は固定されることを嫌うのだろう。その証拠に、〈動画を撮られると魂を抜かれる〉という説は聞いたことがない。 信彦がパスタを食べるときにフォークで巻かないのは、〈パスタを巻くとどこかで何かのネジが緩む〉からだ。 全世界の「巻き」の総量は決まっていて、誰かがどこかで何かを右に巻くと、どこかで何かが同じくそのぶん左に巻かれることで、この世界のバランスは保たれる。そんな「巻量保存の法則」を信彦は信じている。…

  • 短篇小説「挨拶の懊悩」

    元気は元気であることに疲れていた。誰かと久しぶりに会うたび、いちいち「お元気ですか?」と訊かれるのが面倒で仕方なかったのである。 そんなのはもちろん単なる挨拶の常套句であって、本当に目の前の相手が元気か元気でないかなど誰も気にしているわけではない。それはわかっているのだが、元気に許されているのはいつだって「元気です!」という快活な返事ただ一択のみであった。元気にはそれが不本意で仕方ない。自分がたいして元気でないときには、それは嘘をついていることになってしまうからだ。 元気はかつて一度だけ正直に、「お元気ですか?」との挨拶に「それほどでもないです」と正直に答えてみたことがあった。その日は本当にな…

  • 短篇小説「風が吹けば桶屋が儲かるチャレンジ route 1」

    一陣の風が、吹いた。はたして桶屋は儲かるだろうか。 駅前の大通りを通り抜けた風が、路上に落ちていたコンビニ袋を舞い上げた。宙を舞ったコンビニ袋が、直進してきた八百屋の軽トラックのフロントガラスに貼りつき、その視界を奪う。八百屋の軽トラは急ブレーキを踏んだが、その急停止のせいで、後方から大型トラックに追突される。その衝撃で軽トラの荷台に積み込まれていたダンボールの蓋が次々と開き、大量のリンゴが路上へとばら撒かれた。 そこを通りかかった親切なお婆さんが、きんちゃく袋かららくらくホンを取り出しすぐに警察と救急車を呼んだ。お婆さんと集まってきた野次馬たちは、心配気に状況を見守りつつも、手持ち無沙汰から…

  • 短篇小説「正論マン」

    正論ばかり言う正論マンがセイロンティーを飲んでいる。これは駄洒落だが駄洒落こそが正論なのではと正論マンは最近思う。 たとえ言葉の響きだけであっても、一致している部分があるというのは間違いなく正しい。もしも正論マンがダージリンティーを飲んでいたら、「なぜセイロンティーじゃないんだ?」と言われてしまうことだろう。それは正論マンがセイロンティーを飲むのが正論だと皆が感じているからにほかならない。 正論マンは町のネジ工場に務めている。ある朝出社すると正論マンは部長に呼び出され、「いま開発中の新型ネジの進行状況はどうなってる?」と訊かれた。「僕はネジじゃないので、わかりません。ネジのことを知りたかったら…

  • ショートショート「売らない師」

    僕はその日も売らない師の店を訪れていた。 売らない師の店では、なんでも売っているがなんにも売っていない。食品もおもちゃも洋服もペットも電化製品も、その他なんだかわからないものまで扱っているが、この店で誰かがなにかを購入する場面を、僕はこれまで一度たりとも見たことがない。それどころか、買ったという話を聞いたことすらない。だからこそ彼女は、誰が呼んだか「売らない師」と呼ばれているのだ。 それでも僕がついつい売らない師の店に立ち寄ってしまうのは、もちろん置いてある商品がすこぶる魅力的であるから。この日も僕は、棚の隅っこにさりげなく置いてあった商品がどうしても欲しくなってしまった。丸っこくて柔らかくて…

  • 短篇小説「机の上の空論城」

    いよいよ私はたどり着いた。旅の最終目的地である、この大いなる「空論城」へと。 門前から見上げると、「空論城」は四本の太い木の柱に支えられた巨大な板の上に、そう、まるで机の上に建っているように見えた。さすがはかの有名な言葉「机上の空論」の語源となった城である。それは土台となる机の上にその底面を接しているようでありながら、そこからやや浮遊しているような不安定さをも孕んでいた。 思えば長い旅路であった。そのはじまりには、私を呼び出した王様との口論があった。 たしかに世は乱れ、平和などすっかり遠い昔の夢物語のようであった。だが前回の凄惨な大戦からの教訓としてもたらされた非暴力の思想は、なおも崩れてはい…

  • 短篇小説「電動アシスト式告白機」

    たいした脚力も必要なく坂道をすいすい登れる電動アシスト式自転車に驚いていたのも、今は昔。近ごろではすっかり、何から何まで電動の力を借りるようになった。箸の上げ下げに至るまで、今や電動アシストなしには考えられない。もはや人類そのものが、すでに「電動」であるといっても過言ではないのかもしれない。 電動アシスト式スニーカー、電動アシスト式マフラー、電動アシスト式カツラ、電動アシスト式たて笛、電動アシスト式入れ歯――人間のあらゆる部位に電動アシスト機能は役立っているが、ここへ来て人間の「部位」ではなく「行動」を、いわゆる「もの」ではなく「こと」をアシストする電動システムが発売される段階に至ったのは、進…

  • 短篇小説「よろずサポートセンター」

    私は何か困ったことがあると、必ず「よろずサポートセンター」に相談することにしている。みんなもそうするといい。電話に出た「よろずサポーター」が、なんでも解決してくれる。本当に最高のサービスがここにある。その手段さえ問わなければ。 仕事から帰ってきて部屋の電球が切れていることに気づいたときも、私は即座に「よろずサポートセンター」に電話をかけた。すると電話に出たよろずサポーターの指示により、三十分もしないうちに一流テレビ局の照明スタッフ数名が駆けつけ、様々な角度から、夜が明けるまで私を激しく照らし続けてくれた。 おかげで私は一睡もできなかったが、初めて俳優のような気分を味わうことができた。替えの電球…

  • 短篇小説「抽選の多い料理店」

    近ごろ、美食家兼ギャンブル好きのあいだで評判のレストランがあるという。その店は、「抽選の多い料理店」と呼ばれている。「抽選の多い料理店」を訪れるには、まず抽選に当たらなければならない。なにしろ「抽選の多い料理店」なのだから、当然の話である。しかしこの入店権を得るまでの道のりも、やはりひと筋縄ではいかない。 この店の噂を耳にした人間は最初、必ずやインターネットの検索窓に「抽選の多い料理店」と入力して店のことを調べる。驚くべきことに、この段階で早くも抽選が行われているとも知らずに。 そこで表示された検索結果一覧に店側の用意した抽選ページが表示される人は、ごく少数に限られている。同じワードを入力した…

  • 短篇小説「親切な訪問者」

    とある休日の昼下がり、私は自宅で時間指定の宅配便を待っていた。指定した時刻は十四時~十六時。そしてラジオの時報が十四時を知らせた瞬間、早くも部屋のインターホンが鳴った。 こんなことは珍しい。こういうのはたいがい中途半端な、最も来られては都合の悪いタイミングで来ると相場が決まっている。たとえばちょうど開始時刻から四十分ほど過ぎてトイレに行きたくなり、さらにそこから十五分ほど我慢していま行くべきかまだ待つべきか大いに迷った挙げ句、我慢の限界が来て用を足しはじめたところで鳴ったりするものだ。 排便を途中で切りあげるほど難しいことはない。小ならば残尿感、大ならば残便感さらには拭き残しを抱えたまま玄関に…

  • コロナ禍頻出語迎撃用メタルソング13選

    コロナ禍に頻出しているキーワードにまつわりそうでまつわらない、でも頑張ればまつわっているように聞こえなくもない感じの、主にメタルソング13選を貴方に。【自粛警察】 通報者の動機はきっと――St. Anger、 www.youtube.comだがその光景は客観的に見れば――Hell Patrol。 www.youtube.com 【ソーシャルディスタンス】 互いの安全のために守ろうソーシャルディスタンス。無闇に近づけば、それはもはやAntisocial。 www.youtube.com 【デリバリー】 街にあふれるUber Eatsの自転車たちは、さながらBicycle Raceの様相? www…

  • 短篇小説「過言禁止法」〈改稿〉

    SNSの流行により日本語は乱れに乱れた。どう乱れたかといえば端的に言って万事表現がオーバーになった。 短文の中で自己表現をするとなれば、自然と過激な言葉に頼るようになる。さらには、ただ一方的に表現するだけでなく互いのリプライによる相乗効果も働くとなれば、言葉がなおさら過激化するのは必然であった。そこで日本語教育の行く末を憂う文科省が中心となり政府が打ち出した政策が、2020年夏より施行された「過言禁止法」である。 この法律により禁止されるのは、「事実とは異なる過剰な表現」ということになっている。なぜならば政府によれば、「言い過ぎている表現=過言」こそが人心を乱すデマの源泉であると目されているか…

  • 短篇小説「桃太郎そのあとに〈童話後日譚〉」

    かつてない鬼退治の大成功により、その中心人物である桃太郎の人気は爆発した。 民衆に甚大な被害をもたらしていることを認識していたにもかかわらず、その事実を隠蔽して鬼を放置し続けてきた時の政権はにわかに求心力を失い、鬼に苦しめられてきた人民の誰もが桃太郎政権の誕生を望んだ。それは民衆の自然な心の動きであった。 どこへ行っても街を歩けば行列ができるほどの握手攻めに遭い、その人気にすっかり気を良くした桃太郎は、やがて全国各地で一斉蜂起した民衆らの一揆勢力に担ぎあげられる形で、反政府運動の象徴となった。 各種動物をも戦力としてまとめあげたその無類のカリスマ性により、一般市民は武器の貧弱さをも乗り越える圧…

  • 短篇小説「豚に真珠そのあとに〈ことわざ後日譚〉」

    豚は戸惑っていた。今朝、飼い主である王様から突然に、真珠の首飾りをかけられたからである。それはとてもキラキラと輝いていたが、残念ながら美味しそうには見えなかった。きっと口には入れないほうがいいだろう。 豚は最初、一部の凶暴な動物たちのように、いよいよ自分にも首輪をつけられたのかと考えた。しかし豚は王様に飼われている他の動物らと比べても、特に素行不良なところはないと自負していたし、なによりその首飾りは、頑丈というよりは繊細と表現すべき代物であるように見えた。豚の足でつけはずしなどしようものなら、一発ですべての真珠が四方八方へと弾け飛んでしまいそうだ。 しかし豚は王様に逆らうことに身の危険を感じて…

  • 短篇小説「犬も歩けば棒に当たる」〈ことものわざがたり〉

    これは紆余曲折を経て、最終的に犬が歩いて棒に当たるまでの話である。 犬が、歩いていた。あるいは、歩いている犬がいた。場所はどこにしようか。とりあえず街中にしてみようか。 犬の前にまず、電柱が現れる。これは棒と言えるだろうか。かなり長くて大きいが、棒とは言えるだろう。犬は後ろ右足を上げて、電柱に小便をひっかけた。 いつもそうしているのだから、これは当たる用の棒ではなく、小便をかける用の棒だ。もちろん犬にとっては、電気を各家庭へ供給するための棒などではない。もしも電柱に当たる犬がいるとしたら、すでに意識が朦朧としているか犬ではないかのどちらかだと思われる。 次に犬の前に現れるのは、道路側からの侵入…

  • 短篇小説「かつぎ屋」

    その日の私は、とてもかつぎたい気分だった。舌先三寸で難攻不落の某大手企業を口説き落とさなければならないという、かつてない大仕事が翌日に控えていたからだ。我が社の命運をかけた新商品のプレゼンを、私は任されていた。こんなときは何かしらかつがないことには、とてもやっていられない。誰だってそうだろう。 翌朝のプレゼン準備を完璧に整えた私は、しかしいまだ不安が拭えぬまま、仕事帰りに行きつけのかつぎ屋へと向かった。今日はいったい何をかつがせてくれるのだろうか。適切なものさえかつがせてもらえれば、何がどうなろうと次の日のプレゼンは上手くいくような気がした。逆に何もかつがないままでは、何をやってもうまくいかな…

  • ディスクレビュー『SHAKE THE WORLD』/BLACK SWAN

    Shake the Worldアーティスト:Black Swan発売日: 2020/02/14メディア: CD元MSGのロビン・マッコーリー、元WINGERのレブ・ビーチ、元DOKKENのジェフ・ピルソンらによる「スーパー・バンド」――と言いたいところだが、実際には「サブキャラ(二番手以降キャラ)の集合体」といったところか。しかし侮るなかれ、これがかなりいい。特にロビン・マッコーリーの歌メロ。次にレブ・ビーチのギター・ワーク。ことロビンに関して、世間的には《MICHAEL SCHENKER GROUP>MCAULEY SCHENKER GROUP》という評価が一般的であるように思う。あるいは《…

  • 短篇小説「逆接さん」

    その魅力を語るには、どうしても逆接を用いずして表現できない女、それが「逆接さん」である。 逆接さんは魅力的な女性ではあるが美人ではない。身長は高くないが実際の身長を聞いてみると、それよりはだいぶ高いなと誰もが思う。性格は温厚だが激しい。時に温厚だったり時に激しかったりというのではなく、常時温厚で常時激しいのだからそうとしか言いようがない。梅干しは嫌いだが梅ガムを好んで食べる。 学生時代の逆接さんは、バレーボール部に所属していたがバレーボールが好きではなかった。しかしバレーボールは好きではないが、練習は好きだった。練習が好きなのにもかかわらず、雨で部活が中止になると誰よりも喜んだ。体育館の天井に…

  • 短篇小説「桃太郎ネガ」

    むかしむかし、ある暗雲たちこめる鬱蒼とした僻地に、中二病のお爺さんと、実年齢よりもはるかに老けて見えるお婆さんがいました。 ある日、お爺さんは自殺の名所として有名な山へ柴刈りに、お婆さんは上流にある工場排水で汚染された川へ洗濯に行きました。 お婆さんが「どういうわけか、洗えば洗うほど、服が汚れていくような気がするねぇ」と思いながら洗濯をしていると、川上から「どんぶらこ、どんぶらこ」と、地獄の釜が煮えたぎるような音をたてて、大きな桃が流れてきました。「あんらまぁ、信じらんねぇくらい大きな桃だけんども、なんだかあちこち黒ずんどるわ。八百屋の店先で、だいぶいろんなお客さんに指で押されたのかねぇ」 お…

  • 思いついたこと思いついた順に書くぞ日記

    このブログもすっかり短篇小説だらけになっているが、そもそもは日記を書くためにはじめたような気がする。音楽や『M-1』のレビューを書くためだったかもしれない。いずれにしろ、小説ブログになるはずじゃあなかった。だがそれはそれでいい。むしろ小説のほうが書きやすくなってきている節もある。しかしフィクションだらけだと窮屈な感じもして、「書いている人の顔が見えない」とか言われそうだ。ときどきそう思わないでもない。実際に言われたこともある。だからたまには、思ったことをダラダラと日記のように書いてみたい。かといって、じゃあ短篇小説はそんなにキッチリ書いているのかと言われれば、そんなことは全然ない。思ったことを…

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