chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
泣きながら一気に書きました https://tmykinoue.hatenablog.com/

妄言コラムと気儘批評と悪戯短篇小説の巣窟

文筆業。 基本的に嘘泣きです。 よろしくお願いします。

井上智公
フォロー
住所
東京都
出身
東京都
ブログ村参加

2008/12/16

arrow_drop_down
  • 短篇小説「そういうとこ」

    想田佑介は、いつも自分ばかり叱られているような気がした。周囲とまったく同じようなことをしているつもりなのに、いつだってなぜか自分だけが叱られる。しかもそのときの台詞は、なぜかいつも決まっているのだった。 つい先日もそんなことがあった。早めに出社して会議室へ赴き、人数分の資料をデスクの上へあらかじめ配置していると、二番目にやってきた先輩社員の島村が、想田の肩を叩いてこう言った。「お前、そういうとこだぞ」 しかし想田には、何を叱られているのかがわからなかった。もしかすると、この資料を配付する行為をやめろと言われているのかもしれないが、会議に必要な資料なので配らないというわけにもいかない。それにそれ…

  • ディスクレビュー『GRAVITY』/LEVERAGE

    GRAVITY (輸入盤)アーティスト:LEVERAGEFRONTIERSAmazonこれは「化けた」と言っていいと思う。2006年から活動しているベテランにそのような言葉はふさわしくないかもしれないが、これまでとは明らかに楽曲の持つキャッチーさのレベルが違う。人間、化けるのに早いも遅いもないということを改めて思い知らされる。フィンランド産メロディアス・ハード、4年ぶり6枚目のアルバムである。その変化/進化の背景にある要因は、残念ながら2022年に訪れた前Voの死というマイナス要因であったかもしれない。だがそのように変わることを余儀なくされる苦境の中、新Voを迎えて制作された本作は、まさに起死…

  • ディスクレビュー『SIGN OF THE WOLF』/SIGN OF THE WOLF

    Sign Of The Wolf サイン・オブ・ザ・ウルフ~狼の徴(しるし)~アーティスト:SIGN OF THE WOLFRUBICON MUSIC ルビコン・ミュージックAmazon「残党」という言葉にポジティブな響きはないが、これは史上もっともその言葉をポジティヴに響かせることに成功している作品かもしれない。ここには正統派ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの美点が、絶妙なバランスで結晶している。あのDIOの残党によるプロジェクト――といえば当然LAST IN LINEが思い浮かぶわけで、Voをはじめとするメンバーもそれなりに共通しているのだが、やはり今回はRAINBOWの『RISING』で弾…

  • ディスクレビュー『CHASING EUPHORIA』/HAREM SCAREM

    Chasing Euphoriaアーティスト:Harem ScaremワードレコーズAmazon◆近作の中では随一。そして足りない最後のピース。このバンドに関しては、時期による音楽的方向性のブレがそれなりに大きいがゆえに、はじめに各時期に対するスタンスを明確にしておくべきだと思っている。僕の場合はご多分に漏れず2nd『MOOD SWINGS』から入った口で、しかしアルバムとして一番好きなのは溯っての1st『HAREM SCAREM』。ちなみに1st収録の「Something To Say」は、かつてHR/HMオールタイム・ベスト・ソングの6位に選んでいるほど。tmykinoue.hatenab…

  • 客中求人5

    「お客様の中に、『ちょいと飛行機を操縦してみたいぞ』というお客様はいらっしゃいませんか?」「お客様の中に、『行けたら行く』と言って一度も行ったことがないお客様はいらっしゃいませんか?」「お客様の中に、残尿のほうが本尿よりも多く出るお客様はいらっしゃいませんか?」「お客様の中に、MBTI診断で全16種類を制覇したお客様はいらっしゃいませんか?」「お客様の中に、〈きのこの山〉vs〈たけのこの里〉論争に終止符を打てるお客様はいらっしゃいませんか?」「お客様の中に、洋楽を歌うと邦楽に聞こえるお客様はいらっしゃいませんか?」「お客様の中に、三代目 J SOULお客様はいらっしゃいませんか?」「お客様の中…

  • 当ブログ掲載短篇小説アーカイブ

    いつのまにやら本数が増えすぎて自分でも把握できなくなってきたので、とりあえずリストを作ってみました。上のほうが新しく、下にいくほど古いものになります。電子書籍にしか掲載していないものもありますが、そちらも一番下のリンクから無料でダウンロードできるので、この機会にぜひ。短篇小説「とはとは」 - 泣きながら一気に書きました 短篇小説「空跡」 - 泣きながら一気に書きました 短篇小説「第一村人刑事」〈非戦力系刑事シリーズ〉 - 泣きながら一気に書きました 短篇小説「つもり刑事」〈非戦力系刑事シリーズ〉 - 泣きながら一気に書きました 短篇小説「風が吹けば桶屋が儲かるチャレンジ route 2」 - …

  • 当ブログ掲載ディスクレビューアーカイブ

    ブログという形式上、どうしても過去に書いたものが探しづらくなってしまっているので、こちらに一覧を用意しました。改めて見てみると、年によって書いている量に相当な偏りがありますね……。もう少しコンスタントに書いていきたいと思っています。いちおう年別に分けてみましたが、これは執筆時期であり、作品のリリース年ではないことをご承知おきください。【2025年】 ディスクレビュー『CHAPTER V: THE ASCENDANCE』/ART NATION - 泣きながら一気に書きました ディスクレビュー『SKELETÁ』/GHOST - 泣きながら一気に書きました ディスクレビュー『THE FATHER O…

  • ディスクレビュー『THE ASCENDANCE』/ART NATION

    Chapter V: The Ascendanceアーティスト:Art NationワードレコーズAmazon★想定のさらに上を行く圧巻の歌声に打ちのめされる悦び相変わらず惚れ惚れするような歌声だ。当代随一の実力派Voアレクサンダー・ストランデルを擁するスウェーデン産メロディアス・ハードの5th。いや「擁する」というよりは「率いる」と言うべきか。音色的には、シンセサイザーをフィーチャーしたスペイシーな印象がこれまでより強まっているが、この圧倒的な歌声を前にそんなことは瑣末事に過ぎない。むしろそのエネルギッシュな歌唱はあまりにも力強すぎて、人によっては押しつけがましさを感じるくらいだろう。たとえ…

  • ディスクレビュー『SKELETÁ』/GHOST

    Skeletáアーティスト:ゴーストユニバーサル ミュージックAmazon◆「BLACK SABBATH meets BOSTON」? 闇夜に明かりを灯す暗黒界の産業ロックスウェーデン産グラミー賞バンドの6thアルバムは、予想通りさらにキャッチーな路線へと開けた作品になった。ここまで来るともはや初期のゴシック的暗黒感は薄まったと言わざるを得ないが、しかし音作りの壮大さと奥行き、そしてメロディの湿り気にはその残り香が充分に残っている。キャッチーであるとは言ったが、当初は一聴したところやや地味な印象を受けた。その要因はおそらく、これまでのようにパンチの効いたイントロを持つ曲が少ないからであると思わ…

  • 短篇小説「とはとは」

    ドキュメンタリー番組の最後は、「とは」に対する答えで締めくくるのがお約束というものだ。だが超一流の投打二刀流日本人メジャーリーガーが登場したこの日の『激熱大陸』は、惜しげもなくその質問から幕を開けたのだった。「あなたにとって、〈野球〉とはなんですか?」 「えっ、いきなりですか……まあ、なんというか、う~ん……〈人生〉、ですかね」 「では、〈人生〉とはなんですか?」 「まあ、そうなるとやっぱり、〈野球〉ってことになりますね」 「では、あなたにとって〈野球〉とは?」 「ああ、まあそうなっちゃいますよね。じゃあもっと具体的に答えたほうがいいんですかね。えーっと、じゃあ〈仕事〉ってことで」 「では、あ…

  • 短篇小説「空跡」

    その朝、私は学校へは行かなかった。だがそれは、私が学生ではないからではなかった。だからといって会社へ行ったわけでもない。 もちろんそれは、その日出かけなかったという意味でもなかった。とはいえ私は海にも行かなかったし、スキー場にも行かなかった。それは季節がそれぞれふさわしくなかったから、というわけではないし、私は水泳部でもスキー部でもなかった。 だからといって私は、恋人と二人で野球場へ行ったりもしなかった。朝からやっているとしたらプロ野球ということはなく、高校野球や草野球、少年野球ということになるが、私は野球部員ではないし、もちろん監督でもない。そもそも野球をする趣味はないし、子供が少年野球チー…

  • 短篇小説「第一村人刑事」〈非戦力系刑事シリーズ〉

    「ようこそ、ポリクルベリーの町へ!」 初めて足を踏み入れた町で最初にそう話しかけてきたのは、トレンチコートの襟を立てたいかにも怪しげな男であった。その言葉とは裏腹に、笑顔など微塵もない。それどころか男は眉間に深い皺を寄せ、警察手帳らしきものをつきつけながらそう言ってきたのであった。 そうなると旅人でありひとりの冒険者であるわたしも、いったんは立ち止まらざるを得ない。まずは軽く会釈を返し、男からの質問を待った。もちろん悪事を働いた憶えはないが、だからこそ訊かれたことには正直に答える必要がある。近ごろこの町で、なにか事件でもあったのだろうか。 しかし待てど暮らせど、男から続く質問が来ることはなかっ…

  • 短篇小説「つもり刑事」〈非戦力系刑事シリーズ〉

    新米刑事の未村が、コンビニであんパンと牛乳を買ってパトカーへと駆け戻ってきた。しかしそのタイミングは、実に間が抜けていた。それらは彼が影響を受けたテレビドラマによれば、あくまでも張り込み中における定番の食事ということになっている。しかしこのときすでに張り込みは終わっており、容疑者はすでに逮捕されたあとであった。 それでも初めての張り込みの記念にと、その最中には叶えられなかった念願を、遅ればせながら叶えておこうということらしかった。しかしいざ相棒の待つ車に戻ってみると、パトカーの後部座席のドアが全開になっていた。その奥ではベテラン刑事の津森が、座ったまま器用に折りたたんだ新聞を読んでいる。「津森…

  • 縦横無尽にドラムが炸裂するメタル名曲10選

    ちなみに曲名前の番号は、順位ではなく紹介したい順あるいは曲順に近い意識で便宜的につけたものです。1.「Room For One More」/ANTHRAX www.youtube.com一曲を通じて楽曲の主導権を握るドラムの圧倒的存在感。 もはやギターと一体化したドラム・リフが遠慮会釈なく跳ねまわる。 リード楽器としてのドラムの可能性を感じさせる一曲。Sound of White Noiseアーティスト:AnthraxElektraAmazon 2.「Bitter Peace」/SLAYER www.youtube.com重々しいイントロからゆっくりと坂を登り、頂上でいったん静まったかと思いき…

  • ディスクレビュー『THE FATHER OF MAKE BELIEVE』/COHEED AND CAMBRIA

    The Father of Make Believeアーティスト:Coheed & CambriaCoheed and CambriaAmazon◆個々の楽曲とアルバム全体の魅力を両立した至高のコンセプト作これは着実にキャリアを積み重ねてきたバンドが10作目にしてたどり着いた、アメリカン・プログレッシヴ・メタルの傑作である。と、シンプルに言えばそういうことになるのだが、もちろんことはそう単純ではない。そもそも彼らの音楽性を「プログレ・メタル」と言い切ることも難しい。たしかに音像的にはプログレッシヴ・ロックにメタルのエッジを加えた形ではあるのだが、その根っこにはパンクやハードコア的な野性味も確実…

  • ディスクレビュー『BEYOND TOMORROW』/GINEVRA

    Beyond Tomorrowアーティスト:GinevraFrontiers RecordsAmazon◆高品質な歌とギター特化型地味作とにかく抜群に上手い歌とギターを堪能するための作品である。逆に言えば、その二要素がメロディアスな音楽にとっていかに重要であるか、またそれだけでどこまで到達できるのかを実験しているかのような潔さを感じさせる。VoはSEVENTH CRYSTALのクリスティアン・フィール、Gtは「プロジェクトやりすぎおじさん」ことマグナス・カールソン。加えてBaにH.E.A.T、DrにECLIPSEのメンバーを招喚するという、北欧の実力者を集めたバンド(というかプロジェクト?)の…

  • ディスクレビュー『BLOOD DYNASTY』/ARCH ENEMY

    Blood Dynasty(ブラッド・ダイナスティ)アーティスト:ARCH ENEMY(株)トゥルーパー・エンタテインメントAmazon◆高品質なメロディとブルータリティの分離北欧メロディック・デス・メタルの雄どころか、もはやヘヴィ・メタル界全体におけるひとつの基準点と言っても過言ではないARCH ENEMY12枚目の作品。最初に言っておくが彼らの近作を好んで聴く人にとって本作はなんの問題もない、むしろ前作の疾走チューン不足を的確に補うような作品で、期待を裏切られるようなことはまずないだろう。基本的な質は間違いなく高い。そのうえで不満を述べるとしたら、僕のようにそもそも現Voのアリッサどころか…

  • 短篇小説「風が吹けば桶屋が儲かるチャレンジ route 2」

    (※これはどうすれば風が吹くだけで桶屋が儲かるかという、その道筋を考えるためだけに書かれた実験小説の第二弾である) 一陣の風が、吹いた。 山から降りてきたその風はアスファルトの上を滑り、大量のスギ花粉を運んだ。その花粉をめいっぱい吸い込んだ通学中の小学生男子が、ひとつくしゃみをした。くしゃみをした勢いですでにぐらぐらになっていた少年の乳歯が抜けて、口の外へと飛び出していった。気づいた母親が、すぐにそれを拾って塀の向こうの屋根の上に投げた。なんかそうしたほうが良いという話を聞いたことがあったからだが、何がなぜどう良いのかは知らないままに。 だが母親の投げた乳歯は、もちろん屋根の高さにまでは届かな…

  • ディスクレビュー「GAME OF FACES」/DYNAZTY

    Game Of Facesアーティスト:DynaztyワードレコーズAmazon◆高密度、高精度で組み上げられたメロディの宝石箱隅から隅まで、煌びやかなメロディがギッシリと高密度で詰め込まれた作品だ。現AMARANTHEの男声Vo.であるニルス・モリーンを擁するスウェーデン産メロディック・ハード・ロック・バンドの9作目は、日々メロディを追い求めている聴き手ならば素通りできない輝きを放っている。個々の旋律が極限まで研ぎ澄まされているうえに、そのつなぎに一分の隙もない。これぞまさにメロディの宝石箱や!――そう彦摩呂風に言いたくもなってくる(not 海鮮丼)。だがその隙間なく埋め尽くされた高密度と高…

  • ディスクレビュー『PARASOMNIA』/DREAM THEATER

    パラソムニア (ジャパン・リミテッド・エディション) (特典なし)アーティスト:ドリーム・シアターソニーミュージックエンタテインメントAmazon◆ドラム戻って質高まらずギター飛翔すオリジナル・メンバーであるマイク・ポートノイの復帰作。彼が抜けて以降、軽めのドラム音に不満を抱いていたメタル者にとってこれは歓迎すべき復活劇であるはずなのだが、事態はそう単純ではなかった。たしかにそのタイトで引き締まったドラムの音作りには、「やはりこの音でなければ」という必然性を改めて感じる。だがそれ以上に、作曲面及びアレンジ面における限界が見えてしまっていることのほうが大きな問題であるだろう。まずはそのドラムに関…

  • ディスクレビュー『MARCH OF THE UNHEARD』/ THE HALO EFFECT

    March Of The Unheard(マーチ・オブ・ジ・アンハード)アーティスト:ザ・ヘイロー・エフェクト(株)トゥルーパー・エンタテインメントAmazon創始者イェスパー・ストロムブラードを中心に、IN FLAMES関係者五名が時系列を飛び越えて結集したバンド、あるいはプロジェクトが放つ2nd。この手の企画は単なる懐古趣味に終わることが多いが、順調に二枚目が出たことからもその内容の充実度は推して知るべし。1stも良質な作品であったが、ここへ来てより焦点が絞れてきたというか、原点回帰への照れがなくなったように感じる。その音楽的方向性は、やはりイェスパー在籍時のIN FLAMES。だが彼がい…

  • 2016年~2024年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・アルバム10選リスト

    そろそろ自分でも過去に選んだお気に入り作品を見渡せる形にしておきたいと思い、これまでの年間ベスト・アルバムをリスト化してみました。【2024年】ブラッド・アンド・エンジェルズ・ティアーズアーティスト:ヴィジョン・ディヴァインキングレコードAmazon1位『BLOOD AND ANGELS' TEARS』/VISION DIVINE 2位『THE SKIES ABOVE ETERNITY』/FELLOWSHIP 3位『CLEAR COLD BEYOND』/SONATA ARCTICA 4位『TEENAGE REBEL』/NESTOR 5位『PLEASURE BEATS THE PAIN』/REM…

  • 電子書籍『悪戯短篇小説集 耳毛に憧れたって駄目』無料配布開始のお知らせ

    こつこつと書き溜めた短篇小説をなんとか自力で電子書籍化した『悪戯短篇小説集 耳毛に憧れたって駄目』。いまやその後に書いたものもこのブログに続々と蓄積されていっているけれど、そういえばあれっていつ出したんだっけ?――そう思ってAmazonのページで確認してみたところ「2014/3/3」とのこと。なんともはやリリースから10年(もうじき11年)も経っている……!という時の高速展開に衝撃を受けて、これを機に誰でも無料でダウンロードして読める形にすることにしました。そもそも最初から自己紹介がてら、ポートフォリオ代わりの見本市として無料で行こうという考えはあったのですが、どうも一番目に触れるチャンスの多…

  • 当世十大あけましておめでとうございます2025

    あけましておめでとうございます!(先生に怒られて閉めたお口のチャックをその手で)あけましておめでとうございます!(銀行員がお客様の貸金庫を無断で)あけましておめでとうございます!(身に憶えのないメールの添付ファイルを片っ端から)あけましておめでとうございます!(キッチンハイターする際には部屋中の窓という窓を)あけましておめでとうございます!(あけたら保証対象外になりますと書かれているのに裏蓋を力ずくで)あけましておめでとうございます!(〈あけない夜もあるさ〉と泣きながら歌った直後に夜が)あけましておめでとうございます!(飲みかけの牛乳がまだ残ってるのにいま買ってきたほうを)あけましておめでとう…

  • 2024年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・ソング10選

    1位「Eternity」/FELLOWSHIP『三國無双』でステージ・インしたところに流れてきそうなワクワクするイントロから、一撃で印象に残る流麗なギター・フレーズ、そして切なすぎる歌メロの連鎖と、かつての昭和歌謡やアニメソングでもここまでは泣かせないだろうというくらい全編哀しみに満ちあふれた名曲。メロディの方向性的には断トツの1位。ザ・スカイズ・アバヴ・エターニティ [CD]アーティスト:フェローシップマーキー・インコーポレイティドビクターAmazon 2位「The Broken Past」/VISION DIVINEwww.youtube.comアルバムが素晴らしかったのでほかにも選びたい…

  • 2024年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・アルバム10選

    1位『BLOOD AND ANGELS' TEARS』/VISION DIVINE ブラッド・アンド・エンジェルズ・ティアーズアーティスト:ヴィジョン・ディヴァインキングレコードAmazon欧州様式美HMの結晶。VISION DIVINEといえば、ミケーレ・ルッピ(Vo.)在籍時の3rd『STREAM OF CONCIOUSNESSS』が名盤として名高いが、それに勝るとも劣らぬクオリティ。いわゆるコンセプト・アルバムであり、二部構成になる壮大なサーガの第一部とのことだが、一枚の作品としての完成度が非常に高く、最初から最後まで通して聴くことの意味を確実に感じさせる。とにかく美旋律に尽きる。www…

  • 書評『もうひとつの街』/ミハル・アイヴァス

    チェコ出身の作家と言えばやはりカフカだが、まさにカフカに近い作風を期待して読んだ一冊。結論から先に言えば、多くのカフカ・フォロワーの作品がそうであるように、その欲求は半分ほど満たされ、半分ほどは満たされず。しかしカフカについて改めて考える良いきっかけになった。そもそもこの作品をいま読もうと思ったのは、ちょうど少し前に自分の書いた中篇小説が似たようなモチーフを持っていたことがきっかけだった。それは大まかに言えばすぐ傍にある別世界に迷い込むといったもので、それこそカフカの『城』の影響を受けて書きはじめたような気がする。なので個人的にはほかにどのような書きかたがあり得たのかと、ある種の答えあわせをす…

  • 短篇小説「み覚」

    「わかりみが深いわね」 辛子が頷きながらそう言うと、甘彦は小さく首をひねりながら、 「でもおかしみはないよね」と言った。 それはけっして楽しい話題ではなかったが、そんな中にも常におかしみを求めるのが甘彦だった。昼飯時のファミレスは混雑していて、なかなか注文の品は届かない。「でもおかしみが入ると、わかりみが減るじゃない」 辛子はおかしみとわかりみは、相反する要素だと思っている。 「いやおかしみが入ったほうが、わかりみもさらに増すはずだよ」 やはり二人は価値観が合わないのかもしれない。 「まあそう言われてみると、それはそれでわかりみが深いかも」 辛子には意外と謙虚なところがあった。あるいはそれが自…

  • 「新語・流行語全部入り小説2024」

    令和の米騒動の影響により給食にアサイーボウルばかり出てくるようになったアザラシ幼稚園に、裏金問題により江戸幕府界隈を追われた侍タイムスリッパーが保父として採用された。時に人殺しさえ厭わない幕府の過酷な労働に比べれば、それが明らかなホワイト案件であることに間違いはなかった。 この幼稚園には教員らのあいだにソフト老害が蔓延っており、おかげで保護者たちからは「初老ジャパン」と陰口を叩かれることもあった。これはこれでカスハラと言えないこともないが、ならばソフトどころではない本物の老害を入れてしまえば良いのではないかと、園長はにわかに発想を転換させた。それが遠く江戸時代からやって来た人材となれば、それが…

  • 短篇小説「モチベーター」

    ある日、男がコンビニで万引きの容疑をかけられた。昭和の工場長のような店長にバックヤードへ連れ込まれた男は、席に着くなり持っていたトートバックを丸ごとひっくり返される。十数個の菓子パンが、テーブルの上へ脱獄囚のように飛び出した。それを見た店長は「そらみたことか!」としてやったりの顔をして、卓上の受話器をすでに摑まえている。それでも男は落ちついた口調で、店長に「よく見てください」と胸を張って要求した。商品を一点一点手に取って入念に確認しはじめた店長は、徐々に濃くなってゆく疑問符を、顔の真ん中に浮かべつつ男に訊いた。「レシートはあるのか?」 「もちろん、そんなものありませんよ」 「じゃあ全部盗んだっ…

  • 「レインボーブリッジ、封鎖できません!」みたいなフレーズ選手権

    ちょっと前から新作映画公開に合わせて、『踊る大捜査線』シリーズの再放送をやっていたのだが、中でも有名なのが『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』に出てくる表題の台詞。とはいえ、実はこれまで僕がその台詞をさんざん耳にしてきたのはモノマネ芸人によるものばかりで、そういえば本物を聞いたことはなかった。ならばこの機会に聞いてみようということで作品を観つつ、いまかいまかとその登場を待ち受けていたのだが、いざ当該シーンになると案外あっさりとしたもので、張り切った名台詞というよりは、単なる現状報告という感じの落ち着いたテンションで「え、これだけ?」と肩すかし。だがよくよく考…

  • 短篇小説「河童の一日~其ノ十九~」

    テレビドラマ『ビーチボーイズ』の再放送を録りためていたやつを一気に観た。河童だってドラマは観るし、反町にも竹野内にも憧れるよねこんな世の中じゃPOISON。いや竹野内のほうは非POISON。 だけど耐水性を考えれば、むしろ水辺に生息する僕こそが「ビーチボーイ」と呼ばれるべきなんじゃないのか?――とか思ってみるけど、ビーチとはあくまでも海岸のことであって川岸をビーチとは呼ばないので、残念ながら河童はビーチボーイにはなれないっぽいと気づいてズンと落ち込んでみたり(「ぽい」からの「ズン」)。 かといって文字どおり「リバーサイドボーイ」となると途端に貧乏くさくなる気がするし、爺ちゃんにそう呼んでほしい…

  • 書評『現代生活独習ノート』/津村記久子

    津村記久子の小説には気づきが多い。つまりそれは読むことによって、これまで自分が気づかなかったことにふと気づかされるということだ。それは自分の人生がより豊かになるということかもしれない。あるいは、気づかなくて良かったことにまで気づかされてしまうこともある。楽しいことだけに気づいて、悲しいことにだけ気づかないふりをすることはできない。それでも気づかないよりは気づいたほうが、楽しめる機会の絶対量は確実に増える。あとはその機会を、気づいたこっちが生かせるかどうかだ。その素材は必ずしも楽しげなことばかりではなく、それこそ悲しいことや理不尽な出来事であるかもしれない。むしろ笑い話やコントの材料と考えるなら…

  • ChatGPT短篇小説「集まれ、ジェネリッ君」

    【※以下の小説は、私がふと思いついた題名で小説を書くようChatGPTに依頼し、さらにはいくつかのリクエストを繰り返しながら複数のバージョンを出してもらい、それらを当方で比較検討しつつそれらを編集、融合、加筆訂正した結果、最終的にもっともらしい一篇に仕上がったような気がするものである】 町の片隅にある、古びた小学校の体育館。そこで毎週日曜の午後、ひっそりと開かれる集会があった。集まるのは「特に個性がない」と自称する人々で、彼らは互いを「ジェネリッ君」と呼びあっていた。町の人々は誰も彼らの存在を知らず、気にも留めていなかった。彼ら自身も、自分たちがどうしてそこに集まっているのか、誰ひとり思い出す…

  • 短篇小説「オーバーツーリスト」

    初めて日本の空港に降り立ったボブは、ロビーですれ違ったマダムが携えていたなんでもない花柄のエコバッグにすっかり目を奪われると、青い瞳を溺れるほど潤ませて歓喜の声を上げた。「なんて美しい花! なんという大自然! 僕はもう感動でどうにも涙が止まらないよ! ヘイ、そこの世界一ダンディなジェントルマン、いますぐに霊柩車を呼んでくれるかい?」 そう話しかけられた半ズボンの少年は、「は? 呼ぶなら救急車じゃねえの?」とベンチでグミをクチャクチャ噛みながら、ついでに鼻もほじりながら訊き返した。ボブは握り込んだ拳の中に親指を隠しながら答えた。「いやこれほどまでに感動してしまったら、救急車程度じゃとてもまにあわ…

  • 短篇小説「シゴデキな男」

    迅内はとにかくシゴデキな男だった。彼はいつもナルハヤであらゆるムリナンをゼンクリしてゆく。その鮮やかなシゴプリはまるでヨクデキのスパコンのようであると、社内ではウワモチである。 だがシゴデキな人間によくありがちなことだが、彼はオモガケな凡ミスをする部下や同僚にキビアタする傾向があり、そのストレスから来るサケオボのせいで翌朝ネボチコした後輩をさらにシカリツすることも少なくなかった。 ある日、そんなシゴデキな迅内にパワハラの疑惑がモチアガした。彼のシゴオワがあまりにもハヤスギなせいで、周囲の社員らはプラキズをつられたうえですっかりジシシツし、その結果どうにもモチベシが上がらないうえにまったくヤルキ…

  • 短篇小説「み覚」

    ↓こちらに短篇小説を書きました。 monogatary.comリンク先へ飛ぶひと手間をおかけしてしまって恐縮です。 ほとんど会話文なので読みやすいかもしれません。 読みやすさと面白さに関係があるのかはわかりません。 気軽にお読みいただければ幸いです。ランキング参加中短編小説置場ランキング参加中小説 novelsランキング参加中純文学小説、詩ランキング参加中言葉を紡ぐ人たちランキング参加中創作ランキング参加中ナンセンス

  • 近ごろの良曲

    身も蓋もないエントリだが、たまにはシンプルに最近よく聴いている音楽を素直に紹介してみようかと思い。というのも、時々はこうやって書き留めておかないと、いざ年末になって「今年って何聴いてたっけ?」となってしまい、年間ベスト作選びをまた一からやるハメになる。かといって、一作ごとに逐一レビューを書いていくのも労力がいる。別に年間ベストだってわざわざ選ばなくても良いのだけど、勝手恒例にしてしまっているので選ばないわけにもいかない。それにそこでまた選んでおかないと、今度は十年後とかに「あの頃って何聴いてたっけ?」と頭を悩ませることになる。それだって別に悩ませとけばいいんだけれども。てなわけで、最近よく聴い…

  • EURO2024日記~22日目~(了)

    1ヶ月に渡る欧州の熱戦は、スペインの優勝で幕を閉じた。前半は中盤でのボールの奪いあいが続き、互いになかなかシュートまでたどり着けないという、いかにも強豪同士の決勝戦らしい展開。しかし局面ごとの強度が高いため、退屈さは感じない。緊迫した前半のあとには良くあることだが、後半開始直後にふと緩んだ隙を逃さず、絶賛売り出し中のヤマル×ウィリアムズという若手コンビが躍動してスペインが先制。なにしろ観ているこちらも油断していて、気づいたらネットにボールが吸い込まれていた。イングランドは満を持してルーク・ショーを先発起用。これで左利きを左サイドバックに持ってくるという、ある種当たり前の布陣がようやく可能になっ…

  • EURO2024日記~21日目~

    準決勝2試合目はイングランド対オランダ。どちらも監督の采配に方針があるのかないのか良くわからないまま、しかしなんだか結果的に勝ち上がってきた両チーム。もちろん個のクオリティの高さが前提ではあるわけだが。イングランドはてっきりルーク・ショー先発で来るかと思いきや、相変わらず本職右サイドバックのトリッピアーを左に置いて機能不全。前戦から3バックにしてフォーデンの動きは改善されたものの、彼が中にいるぶんだけトリッピアーが左で孤立する場面が増えている。しかし孤立しているということはスペースがあるということでもあって、彼にボールを出したくなる場面も結構あるのだが、そのたびにトリッピアーの位置が高すぎたり…

  • EURO2024日記~20日目~

    待ちに待った準決勝1試合目は、スペイン対フランス。フランスのスタメンにグリーズマンがいない時点で、頭に大きめの「?」が浮かぶ。出場停止ではないようだし、後半から出てきたことを考えると怪我でもなさそうだ。コンディションの問題はいくらかあったのかもしれないが、誰が見てもこのチームの軸である彼をこの大事な一戦で外すという選択肢は、まったく想像していなかった。このフランス代表はエムバペのチームに見せかけて、実はグリーズマンのチームであるという共通認識があるように思っていたが、少なくとも監督のデシャンにそんな考えはなかったということか。それがまず衝撃だった。リンク役であるグリーズマンのいないフランスは、…

  • 短篇小説「あの店は子沢山」

    うちの店には優秀な「子」がたくさんいる。子沢山という意味ではない。なぜならば主語は親ではなく店であるからだ。もちろん子供が働いているという意味でもない。そんなことをして労働基準法を堂々と犯すわけにもいかないし、その必要もない。みな立派に成人しており、その親ではなく本人と正式な社員契約すら結んでいる。 すべてのはじまりは店頭に立つ売り子だった。そのころ彼女以外の店員たちは、誰ひとりとして「子」とは呼ばれていなかった。しかし店のバックヤードで棚卸しをしていた店員らには、それが不満であった。なぜ彼女だけが「子」と呼ばれ、上司から可愛がられるのか。 たしかに売り子は表に出る商売であるから、店員の中でも…

  • EURO2024日記~19日目~

    イングランドは案の定、スイスの組織的な守備に苦戦。特にトリッピアーが左で孤立していた前半は、攻撃が右サイド偏重、左サイドは完全に死んだ状態で、スイスも守りやすかったに違いない。何事につけ選択肢が一つしかない場合、常にそれは相手にとって御しやすい。二択以上から、初めて敵にも迷いが生じることになる。そこを打開するにはもうほとんど右のサカにボールを預けるしかなく、サカが右サイドを抉って中にクロスを入れるというトライが続く。しかし何度繰り返しても入れた先のエリア内には誰も間にあっておらず、なぜセンターフォワードのケインがそこにいないのか、あるいは空いたスペースにベリンガムやフォーデンが走り込んでいない…

  • EURO2024日記~18日目~

    いよいよ準々決勝の戦い。しかも最初の一戦が、事実上の決勝戦との呼び声も高いドイツ対スペイン。互いにボールを持ちたがるチームという印象があるが、いざ直接当たってみるとやはりスペインのほうが明らかにボールを持てる。数字上のポゼッション率以上に、自在にボールをまわすことができている。ポゼッション・フットボールにこだわって結果を出してきたこの国の歴史が、もはや文化としてチームに根づいているというべきか。しかしドイツも負けじと、ボールを奪って粘り強く工夫ある攻撃を試みる。特に前半はインテンシティが高く、目が離せないスピーディーな展開に。ところが後半がはじまってスペインが先制すると、まもなく構図がガラリと…

  • EURO2024日記~17日目~

    まずはルーマニア対オランダ。オランダはクーマンの采配こそイマイチ信用できないながらも、この試合に関しては終始ゲームを支配できていた。それにしてもガクポの決定力は素晴らしい。左サイドでの彼は翼を広げて生き生きとプレーしているように見える。オランダの攻撃に関しては、これまでマレンがどこか浮いているような気がしていたが、この試合ではむしろシャビ・シモンズのほうが周囲とズレている感じで、マレンのほうがチームにフィットしているように見えた。あと中盤のスハウテンの上手さには驚いた。寄せられても簡単にはボールを失わず、瞬時の判断で全方位に気の利いたパスを配球できる選手。後半まだ1点差の段階であっさり彼をベン…

  • EURO2024日記~16日目~

    ベルギーは最後まで噛みあわないまま終わった。トロサールは先発をはずされたうえに途中からすら使われず、同じくシュートに定評のあるティーレマンスも投入なし。サリバに完璧に封じられていたルカクを下げて、ほかのエリアに決定力を求めるしかない状況の中、シュート力のあるこの2人を使わなかった采配は理解に苦しむ。デデスコは結局のところ、謎に可愛がっているルカクと心中した形に。これでベルギーは一気に世代交代を余儀なくされることだろう。フランスはスペインほど仕上がっている感じでもないが、内容的には妥当な勝利。今回はなぜかグリーズマンをサイドに置いてみたりと、こちらはこちらでもったいない采配も目についたが(やはり…

  • EURO2024日記~15日目~

    それにしてもイングランドはいったいなんなのか。これまでよりも少しだけ良くなったのは中盤のメイヌーのところくらいで、彼と周囲との連携は、少なくともアーノルドの中盤起用に比べればだいぶマシになったようには感じる。だがそれ以外は相変わらず連動性に乏しく、観ていて面白いとも強いとも言いがたい。しかし結果こうして勝ちきってしまうのだから、強いことは強いということになるのだろうか。その土壇場同点ゴールを決めたベリンガムは、動きが重いわりには初戦から王様感が漂っていて、彼があんなスーパーなオーバーヘッドキックを決めたことすらも、なんだか自然なストーリーとして受け容れられる感がある。そして途中からパーマーを投…

  • EURO2024日記~14日目~

    さて、大会もいよいよ決勝トーナメントに突入。初戦はスイス対イタリア。とにかくイタリアはまったくいいところがなかった。今回は、評判うなぎのぼり中のカラフィオーリを出場停止で欠いたことも多少の影響はあったと思うが、守備的なわりに守備も緩いというちぐはぐな状態になっていた。それにしてもジョルジーニョはなぜ使われなかったのだろう。守備強度を考えてのことか。今大会のイタリア代表には、そもそも守備を重視してこのメンツを選んでいるのか、という疑問もあって、監督のスパレッティにもローマでトッティの0トップを採用した攻撃的戦術のイメージが強い。にもかかわらず、なぜこんなに消極的なチームが出来あがってしまったのか…

  • EURO2024日記~13日目~

    ウクライナ対ベルギーは、とにかく何もかもがしょっぱい試合だった。まずはウクライナのスタメンにジンチェンコとムドリクがいないことに驚いた。ムドリクは怪我らしいので仕方ないにしても、ジンチェンコはこのチームの核ではなかったのか。もちろんこの大会では核らしい働きができていなかったから外されたのだろうが、ここで評価を下げてアーセナルに帰ってくるとは思わなかった。ベルギーは相変わらず噛みあっていないというか、むしろさらに悪くなっているくらい。これはもう個人どうこうのレベルではなく、チームとしてまったく機能していないレベル。最後にあざとく引き分けを狙いにいくあたりも、これだけのメンバーを揃えておいてそんな…

  • EURO2024日記~12日目~

    オランダ対オーストリアは意外な展開に。オーストリアのサボらない、サボれないプレッシングは、さながらラングニック将軍率いる軍隊の如く。オランダはガクポがさすがの決定力を見せたが、右サイドで起用されたマレンがどうにも空まわり気味。ここは前戦で存在感を見せたフリンポンを使うべきだったと思うが、なぜか先発でシャビ・シモンズを使わなかった(そして前半のうちに思い出したように投入)あたりも含めて、クーマンの謎采配。オーストリアの組織力が、この先のレベルでも通用するのかどうか。いまのところ今大会の台風の目は、このチームということになりそうだ。フランス対ポーランドは、突破を決めているフランスがメンバーを落とし…

  • EURO2024日記~11日目~

    グループBの2試合。アルバニア対スペインか、クロアチア対イタリアか。どちらを観るべきか迷ったが、スペインがスタメンをなんと10人も入れ替える(なぜ1人残した?)という思いきりを見せてきたため、イタリアのほうを選択。イタリアは引き分けでも突破できる状況でもあり、案の定守備的な入り。この現実的すぎるメンタリティは、メンバーがどうなろうと監督が誰であろうともはや不変であるらしい。対するクロアチアも明らかなアイデア不足に陥っており、これならばスペインのほうを観ておけば良かったと思う前半。しかし後半にクロアチアが先制して、ようやくイタリアの攻撃にスイッチが入る。しかし入ったところで、そこまで攻撃陣が充実…

  • EURO2024日記~10日目~

    気づけばもう大会も10日目。試合数も少し落ち着いてきて、観るこちらとしてもだいぶ気が緩んできているという自覚がある。そしてこの先には遠からず大会の終了が見えてきているような気もしはじめて、すでに寂しさすらもうっすらと。いや本番は決勝トーナメントに入ってからなんだぞと、それはもちろんわかってはいるのだが。さて、すでにグループリーグ突破を決めており、あとは1位通過を狙うかどうかという状況の開催国ドイツと、この一戦に突破がかかっているスイス。そうなるとモチベーション的にはもちろん後者が上ということになるが、ドイツもメンバーを落とさずに来た。前半ドイツの先制ゴールで試合はもうほとんど決まりかと思いきや…

  • EURO2024日記~9日目~

    ポルトガルが良いフットボールをしている。この日のトルコ戦を観て、もうポルトガルが優勝でいいんじゃないかと思った。しかしこれはもちろん気が早い。相手との相性というのもあるだろう。良いフットボールと強いフットボールも同じとは限らない。最後に英語実況が「Comfortable Win」と表現していた。まさしくそんな感じの快適な勝ちかた。それにしてもベルナルド・シウバは相変わらず素晴らしい選手だ。それに加えてブルーノ・フェルナンデスまで揃えているのだから、内容の質の高さはすでに保証されているようなもの。そのうえでクリスティアーノ・ロナウドが、代表になるとすっかり映画版ジャイアンの振る舞いになるのだから…

  • EURO2024日記~8日目~

    フランス対オランダは、思ったよりも互角の試合に。いまの支配的なフランスを相手にオランダがあのメンバーであれだけボールを持てるとは、正直予想していなかった。そこはやはり、オランダ代表という歴史の積み重ねがあるということか。フランスは相変わらず魅力的なパスサッカーを展開しており、中心はいまやすっかりベテランのグリーズマン。この日はエムバペがいないぶん、よりその傾向は強かったかもしれない。とにかくボールは彼を経由することが多く、それに応えるように彼はどこへでも顔を出す。彼が決めきれていれば勝ったし、決め損ねたので勝てなかったという試合だった。どこへでも顔を出すといえば、守備におけるカンテはそれ以上か…

  • EURO2024日記~7日目~

    初戦はスムーズではないながらも勝ちきったイングランドが、デンマークと引き分け。内容的にはデンマークの試合だった。グループリーグ突破のための結果としては悪くがないが、これは悩ましい。この日は明らかに、初戦の得点者であるベリンガムがブレーキになっていた。英国メディアでは、初戦を受けてフォーデンの機能不全が指摘されており、その要因としてベリンガムと中央エリアでバッティングする問題が挙げられていたらしい。たしかにケインも下がってボールを受けるタイプなので、自然に動くとトップ下の位置で三者がバッティングすることになる。この試合を観ていて特に気になったのは、こういったいまのプレミアリーグ上位陣が志している…

  • EURO2024日記~6日目~

    さてグループリーグも2試合目となると、観るほうとしてもそろそろバテてくるうえに、書くこともあまりなくなってくるような気が。そこまでして書く意味があるのだろうか?(いや、ない。けど、書く)【ドイツ対ハンガリー】 この日フルで観た唯一の試合。ドイツは本当に好調なのかどうか。アーセナル的にはハヴァーツだが、彼も実のところ、良いのか悪いのかパッと見わかりにくい選手。アーセナルでも彼はいつもそんな感じで、動き出しの質は常に良いのだが、シュートに関してはわりと気まぐれというか、決まりそうなときに決まらなかったり、ここぞというときに確実に決めてみたり。僕もはじめそうだったが、その感じを見慣れていない人にとっ…

  • EURO2024日記~5日目~

    【トルコ対ジョージア】 わりと地味な対戦になるかと油断していたが、思いがけずスピーディーでオープンな面白い試合になった。注目はトルコのアルダ・ギュレルと、ジョージアのクヴァラツヘリア。ギュレルは左利きのテクニシャンで、背は高くないがエジルに近い印象。まだ19歳ということもあって、フィジカルは見るからに不安だったが、その視野とテクニックは明らかに際立っていた。観ていた全員が「打て!」と願った瞬間に放ったミドルシュートの軌道があまりに美しく、あれだけ期待どおりのシュートを打ちきってなおかつ決めきれるのは、やはりスターの証しか。対するジョージアのクヴァラツヘリアは、技を見せるというよりは攻守に駆けま…

  • EURO2024日記~4日目~

    【ルーマニア対ウクライナ】 ジンチェンコ(といちおうムドリク)がいるので観ようかとも思ったが、立ち上がりをチラッと観たらそんなに面白げなプレーも見あたらないので、ちょいちょい経過だけチェックしていた。すると優勢と思い込んでいたウクライナが、みるみる点を取られていくので驚いた。3-0でルーマニアの完勝。あとでハイライトを観てみれば、ルーマニアのシュート力が際立っていた。いやハイライトだから、逆にそこしか見えていないのだが。 【ベルギー対スロバキア】 アーセナル的にはトロサール。あともちろんデ・ブライネは誰の目にも。出だしでドクのミスからいきなり失点してペースを崩したベルギー。あの自陣ゴール付近で…

  • EURO2024日記~3日目~

    さて、アーセナル好きとしては最注目のイングランド。いまや屈指のタレント軍団である。まずは右ウイングに、どちらもエース級のサカとフォーデンのどちらを使うのか、そういえば今季ブレイクしたパーマーもいるし――なんて思っていたら、フォーデンを右にしてしれっとサカと両立させてきた。一方でパーマーの立場が、いくら好調とはいえまだ代表では確立されていないのもわかる。だが意外なのはそれだけではなかった。スタメンにウォーカー、トリッピアー、アレクサンダー=アーノルドと、なぜか右サイドバックの名前が3人も並んでいる。どういうこと?蓋を開けてみればトリッピアーが左サイドバック、アーノルドがボランチ、そして本命の右サ…

  • EURO2024日記~2日目~

    やはりこの日の注目はスペイン。といってもシャビやイニエスタがいた時代ほどではもちろんなく、ほかにもパスサッカーをやる国が増えたこともあって、近年は飛び抜けて細かなことをやっている印象もない。とはいえいざ観てみれば、やはり細かいことは細かい。それにしても不思議なのは、いまだにワントップが大味な印象のあるモラタであることで、しかも今大会ではしっかりキャプテンマークまで巻いている。チームの性質上、最前線の彼にも大きいわりに細かな役割が求められ、そうしているうちに色々とできるようになってきている印象もないことはないのだが、逆にサイズを生かしたダイナミックなプレーがあるかというと、あまり派手な印象は当初…

  • EURO2024日記~1日目~

    このあいだふと思い返してみたところ、過去に考えたり思ったことについて、自分がロクに憶えていないことに気づいた。つまり思い返そうにも思い返せず、確認するためにこのブログを読み返したりする始末。しかも読み返そうとしてみたところで、そんなに逐一書いているはずもない。もちろん読み返すほど価値のあることばかり常に考えているわけではないし、別に価値のあることを読み返したいと思っているわけでもない。しかしその時点で自分が何を考えていたのかということには、少なからず興味はある。そしていざ読み返してみると、そこには思いもよらない言葉が並んでいることが多い。まるで別人が書いたような。というわけで、とりあえず思った…

  • 短篇小説「浮きっ歯」

    薄暗いバーのカウンター席で、グラスを掲げた男が見知らぬ女の目の中を覗き込んで言った。「君の瞳に、乾杯!」 テーブルの上で蝋燭の炎が揺れた。女の心も同じように揺れることを、男はひそかに期待していた。「ずいぶんと歯の浮くような台詞ね」――女はそう言い返してやりたいところではあったが、正直それどころではなかった。文字どおり、瞳に乾杯をされてしまったからだ。幸いグラスが割れるようなことはなかったが、こぼれたアルコールが目に入った女はハンカチで右目を押さえた。 一方で乾杯したほうの男は、不意に左の奥歯に痛みを感じた。正確に言えば痛いというよりは、疼くような感覚であった。まるで実際に、歯が根元から浮き上が…

  • ディスクレビュー『NIGHTBLAZE』/NIGHTBLAZE

    Nightblazeアーティスト:NightblazeArt of MelodyAmazonとにかくジャケットをなんとかしてほしい。それを言えばバンド名だってなんとかしてほしいのだが、どちらもこの美しい音楽性にはそぐわない。――という部分まで含めて、もはや逆にお約束になりつつあるというか、むしろ事前に香ばしさを感じるくらいの嗅覚はこちらも身につけてはいるのだが、それにしても。こう見えて本作は、ジャケットとバンド名からイメージされるバッド・ボーイズ・ロックンロールなどではもちろんなく、繊細なメロディを丁寧に紡ぐ美旋律ハード・ロックである。それもそのはず、このバンドは、あのPLATENSのグリロ兄…

  • ディスクレビュー『MEAN STREETS』/RIOT V

    Mean Streets(日本盤限定仕様CD+Blu-ray+ボーナスCD)アーティスト:RiotワードレコーズAmazonバンドの創り出す音楽に二面性があることは珍しくもない(特にメイン・ソングライターが複数いる場合)が、ここまで楽曲の方向性がきっちり二分されているアルバムも珍しい。そしてその両面がともに魅力的であるケースは、残念ながら滅多にあるものではない。本作は、まさにその罠に嵌まっているように思われる。RIOTはその硬派なイメージとは裏腹に、そもそも二面性のあるバンドである。デビュー・アルバムを例に取るならば、タイトル・トラックの「Rock City」に代表される明快なアメリカン・ハー…

  • 短篇小説「業者」

    わたしは「業者」だ。なんの「業者」かと問われれば答えることはできないが、わたしが間違いなく「業者」であることは間違いない。あまりに間違いがないものだから、つい「業者」を「間違いのなさ」で強く挟み込んでしまった。これでは「業者」が窮屈がるだろうか。「業者」とはわたしのことだ。 絶対に伝えたいことは二回言う必要があると、三四郎の小宮は言った。せっかく二回も言うならば、伝えたい事実の前に二度、あるいは後に二度続けて言うよりも、伝えたい言葉の前後からガッチリとサンドしてやるのが一番良いような気がする。「二度」なのに「サンド」とはこれいかに。 「業者」にはどことなく不安定なイメージがあるが、こうしてサン…

  • そんなに気に入ってなかったジャケット

    そんなに気に入ってなかったジャケットがなくなった。温度感的にもちょうどいい季節だし、たまにはそれらしい格好でもしようかと思ってクローゼットを覗いてみたら、なぜか忽然と姿を消している。そんなに気に入ってなかったとはいえ、いざなくなったとなれば惜しくもなる。だが何度見直してみても、それが現れる気配はない。そんなに気に入ってなかったといっても、当初はかなり気に入っていたはずだ。少なくとも店頭で見初めてからレジに向かうまでのあいだは、気に入っていたに違いない。なぜならばだいぶ気に入っていなかったら、それを買うはずがないからだ。もちろん店員に勧められるがままに、断れずに服を買った経験ならある。だがそんな…

  • 短篇小説「部活に来る面倒くさいOB」

    「お~いお前ら、遅いぞ走れ~!」 退屈な一日の授業を終えて昇降口から外に出ると、ひどく細長いノックバットをかついで校庭のマウンドの土を退屈しのぎに足裏で均しながら、声をかけてくる薄汚れたウインドブレーカー姿の男がいる。部活に来る面倒くさいOBだ。 監督はいつも遅れ気味にやってくるが、部活に来る面倒くさいOBはだいたいいつも先にいる。時にはベンチで煙草を吹かしながら、「お前らは吸うなよ~」と矛盾したことを平気で言ってくる。よほど暇なのだろう。週に三日はコンスタントにやって来るのだから、どんな仕事及び働きかたをしているのかわかったものではない。 それにしても灰皿代わりに煙草をねじ込んだ空き缶をベン…

  • 短篇小説「面接の達人」

    先日、私はとある企業の採用面接を受けた。特に入りたい会社ではなかったが、こちらにだって特にやりたいことがあるわけではない。私はいつもの如くエントリーシートに、それらしい自己PRと志望動機を書き込んだ。もちろん本当に思っている内容など一文たりとも含まれてはいなかったが、もしも律儀にそれをしたならば、「自分には特に何も能力はない」「何もせずにお金が貰いたい」と表明することになってしまうのだから、こんなところに本音を書く手はない。 一週間後、そんな嘘まみれのエントリーシートが功を奏したのか、書類審査を通過したので面接に来てくれとの連絡が来た。当日の朝、私はありがちなリクルートスーツを身につけて面接に…

  • ChatGPT歌詞「出汁を取らないで」(発注者による出汁のないライナーノーツ付き)

    【※以下の歌詞は、題名以外すべてChatGPTに依頼して書いてもらったものである。】(Verse 1) 雨降る夜 古びた扉が開く ラーメン屋の奥 暖かな灯り 注文は不思議 出汁を抜いてくれ 甘くて苦い 未知なるフレーバー(Pre-Chorus) 出汁のないラーメン 新たな冒険 舌を奮わせて 運命の一杯(Chorus) 出汁を取らないで 味覚の扉を開けて 不思議な旅へと連れてって 香り高いスープ 心に溶け込んで 出汁のないラーメン 愛の味わい(Verse 2) 客たちが見上げる 古びた店内 不思議な雰囲気 漂うエッセンス 誰もが驚き 口元緩む 出汁なしのラーメン 心を掴む(Pre-Chorus)…

  • ChatGPT短篇小説「サブスク侍」

    【※以下の小説は、題名以外すべてChatGPTに依頼して書いてもらったものである。】 江戸時代の町に、突如として現れた異色の侍、その名も「サブスク侍」。彼は普段から「デジタルクラウド刀」と呼ばれる特殊な刀を携え、町の人々に対して新しいサブスクリプションサービスの魅力を説いてまわっていた。 サブスク侍は、通常の侍のような剣術や武道だけでなく、デジタル分野の知識にも長けていた。彼の呼びかけに応じる者たちは、サブスク侍の案内で様々なデジタルサービスに加入し、その利便性に驚嘆した。 しかし、やがてサブスク侍の説明には裏があることが明らかになった。加入者たちは気づかぬうちに月々の支払いが高額になっていき…

  • ChatGPT短篇小説「とにかく穿かない安村」Ver.2(長尺&バッドエンドVer.)

    【※以下の小説は、題名以外すべてChatGPTに依頼して書いてもらったものである。】 田舎町に佇む小さな布地屋、「とにかく穿かない安村」。その奇妙な店名で知られるこの店は、町の人々にとっては親しみ深い存在となっていました。店主の安村哲也は、笑顔と謎めいた物腰で常に店内を賑やかにしており、その店名にはいくつかの伝説が紡がれていました。 ある日、都会から訪れた新聞記者の加藤亜美は、安村哲也の奇妙な店名に興味津々で店を訪れることにしました。店内に足を踏み入れると、亜美は変わった品々が所狭しと陳列された様子に驚きました。 安村哲也はにこやかに亜美を迎え、店の歴史や製品にまつわる不思議なエピソードを語り…

  • ChatGPT短篇小説「とにかく穿かない安村」

    【※以下の小説は、題名以外すべてChatGPTに依頼して書いてもらったものである。】 安村はとにかく穿かない男だった。彼は何かしらの理由で、常にパンツやズボンを穿くことを拒否していた。友人たちは彼のこの奇妙な癖に首をかしげつつも、彼の個性的な生き方を受け入れていた。 ある日、安村は仕事の会議に出席するため、会社の上層部との重要な交渉が待ち受けていた。しかし、安村は相変わらずズボンを穿くことなく、大胆にもスーツの上からボクサーパンツを露わにして会議に臨んだ。 最初は驚きと困惑が広がった会議室だったが、安村は自らの独自のスタイルを貫き通す強さを見せつけた。その自己主張に、なぜか他のメンバーたちもだ…

  • ChatGPT短篇小説「ヒップホップ奉行によろしく」

    【※以下の小説は、題名以外すべてChatGPTに依頼して書いてもらったものである。】 江戸時代、秋田藩。藩主の命により、藩内に新しい文化を広めるべく、奉行として知られる者が選ばれた。しかしその奉行は、通常の武士らとは異なり、ヒップホップ文化を愛する異色の存在であった。 奉行の名は桜井韻蔵。彼は着流しに金のネックレス、そして江戸っ子のようなリズム感を持ち合わせていた。韻蔵はまず藩内の広場で、ヒップホップのリリックを披露し、人々にその新しい文化を紹介した。 最初は戸惑いと驚きが広がったが、やがて村人たちは韻蔵のヒップホップ奉行ぶりに興味津々となり、一緒にダンスやリリックの練習に参加し始めた。藩内は…

  • 2023年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・ソング10選

    1位「1001」/ART NATIONwww.youtube.comほとばしりまくる哀愁。突き抜けるようなメロディがとにかく素晴らしい。泣きの美旋律が好きなら、必ずや琴線に触れるものがあるだろう。アルバム部門でもアレクサンダー・ストランデルの歌うアルバムを二作入れることになったが、曲単位でも二曲入れるにふさわしい活躍ぶりだった。インセプション [CD]アーティスト:アート・ネイションマーキー・インコーポレイティドビクターAmazon 2位「The Lucid Dreamer」/MAGNUS KARLSSON’S FREE FALL当ブログではすっかりお馴染みのマグナス・カールソン。しかし異様な…

  • 2023年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・アルバム10選

    1位『WONDERLAND』/SEVENTH CRYSTAL ワンダーランド [CD]アーティスト:セヴンス・クリスタルマーキー・インコーポレイティドビクターAmazon当代随一の歌巧者、クリスティアン・フィールの歌唱を味わい尽くすための一枚。いまや各方面のプロジェクトで引っぱりだこの彼だが、こちらはその本陣にあたるスウェーデン産メロディアス・ハード・ロック・バンドの2ndアルバム。昨年も彼の参加したGINEVRAを2位に挙げたが、あちらもそうであったように、さほど派手さがあるわけではない。むしろ質実剛健な作りを感じさせる。強靱かつ繊細な歌を軸に置いたその方向性に迷いはない。その歌はとにかく一…

  • 短篇小説「魔法の言葉」

    よく晴れた朝だった。門を抜けて通りに出た一歩目で、わたしは靴に襲われた。誰かに蹴られたという意味ではない。それは雲ひとつない空から降ってきたのだ。 しかしそんなことがあるはずはなかった。雲は雨や雪を作るが靴は作らない。だいいちそんな雲さえ、この日の空にはひとつも見あたらなかったのだから。「痛っ!」 靴の奇襲攻撃を受けたわたしは、蹲って素直な感想を口にした。すると道の反対側から、片足を上げたけんけん走りで寄ってきたスーツ姿の男が、満面の笑みを浮かべてわたしにこう言った。「冗談ですよ、冗談!」 なぁんだ、そうなのか。それが本当に天から降ってきたというのなら、とても冗談では済まされないが、そんな天変…

  • 「新語・流行語全部入り小説2023」

    なけなしの10円パンを「頂き女子」へと配給する新しい戦前の時代に誕生した新しい学校のリーダーズには、様々な裏稼業を請け負う「別班」――ここであえて「VIVANT(ヴィヴァン)」と発音してお洒落国フランスに憧れるのをやめましょう――と呼ばれる闇の組織が存在している。これはいわば公然の秘密である。 本家の首振りダンスに対して、別班は首狩り任務ばかりおこなっていると揶揄されることもあるが、彼女らは表舞台に立つアイドルを守るための必要悪として、業界内では黙認されている。さらに名称をぼかして、別班のことを「アレ(A.R.E)」と呼ぶ者がなぜか関西方面に多い。またアメリカの大富豪が別班を買い取って「X(エ…

  • 短篇小説「迷惑系ユーチューバーひろし」

    迷惑系ユーチューバーのひろしが、今日も他人様にしっかり迷惑をかけている。他人に迷惑をかけているからこそ、彼はそう呼ばれているのだ。だがその肩書きが、本当に現在の彼にふさわしいのかどうかは誰にもわからない。そもそもそんな「系」など、つい最近までこの世に存在していなかったのだから。少なくとも、我が銀河系には。 そんな迷惑系ユーチューバーひろしのもとへ、ある日一通のメールが届いた。 《迷惑を、かけてほしい人がいるんです》 件名にはそう書かれており、差出人のアカウント名には〈毒殺系フードコーディネーター〉と書いてあった。 人は会ってみないことにはわからない。それはいつもネット社会を主戦場にしているから…

  • 近況忘却中

    気づけば四ヶ月もこのブログを放置していた。なのでとりあえずなにかしら書いておこうというくらいの気持ちでいまこれを書きはじめている。その間ずっとほかのものを書いたり直したりし続けてきたわけだが、そちらはこの先どうなるのかわからない。そうなると目に見えるここに何かを書いておかないと、周囲からは存在が見えないのだとふと思った。別にそれでも特に問題はないのかもしれないし、ここにこれまで書いてきたことにも、ことさら存在を感じさせる要素などもともとないような気もする。とはいえ、Twitter改めXとかではさすがに味気なさすぎるのもたしか。とりあえず本も音楽もラジオもドラマもスポーツも、それなりに見聴きして…

  • マツコ・デラックスのそっくりさんの芸名を無駄に考えた結果

    たまには、どうでもいいことを書いてみる必要がある。なぜそう思ったのかはわからない。まあ、世間的にはゴールデンウィークだし、どうせ誰も読んでいない。それにいつもどうでもいいようなことしか書いていないような気もする。だとしたら、これはいつものような文章ということになる。そんなものを読みたい人がいるのかはわからないが、必要だと思ったから書くのだ。もちろんなぜ必要かはわからない。これはさっき言った。どうでもいいことを書くには、どうでもいいことを思いつかなければならない。ちょうど先日、どうでもいいことを思いついた。「もしもマツコ・デラックスのそっくりさんがいるとしたら、彼または彼女にどのような芸名を授け…

  • ディスクレビュー『72 SEASONS』/METALLICA

    72シーズンズ (SHM-CD)アーティスト:メタリカUniversal MusicAmazonこれはあくまで問題作『LOAD』以降のMETALLICAであって、それ以前のMETALLICAではけっしてない。時が戻らない以上、当然といえば当然だが妙な期待をしてはいけない。つまりその本質はメタルではなくロックンロールにあるということだ。先行公開された数曲のストレートな攻撃性から、彼らはここへ来ていよいよ初期衝動を取り戻したという声もあった。だがそんなことはもちろん不可能なのだ。捏造された初期衝動は若作りの痛々しさを伴う。目指した時点でそれは初期衝動ではなくなる。ベテランが若さに憧れる気持ちは、む…

  • 短篇小説「ピンと来ない動詞」

    今朝、わたしはふと気が生えたのでした。わたしの言葉が、どうもわたしの動作を的確に茹で上げていないということに。 いつものように、わたしは駅へと歩を注いでいました。もちろん、わたしを会社員として抱き締めた会社へと潜るためです。潜るといっても、わたしはスパイではありません。れっきとした正社員なのですが、なぜかいまは潜るという言葉しか思い浮かばないのです。 前にはびこる乗客に続いて、わたしはパスケースで自動改札を奪いました。これは「唇を奪う」というような意味でありまして、あんなでかいものを本当に捕獲したわけではありません。あくまでもわたしは、これから自社へと潜る身なのですから。 階段を早足でめくる途…

  • 最近の耳寄りSONGS

    今年に入ってから、なぜか北欧デスメタル系バンドがゴシック寄りに変化/進化した作品に充実したものが多く、よく聴いている。界隈には「OPETH化」とも言うべき全体の流れがあるように思うが、いずれもそれなりのベテラン勢であり、当初のコアでエクストリームな姿からすると、大きくその音楽性をシフトしている人たちも。それがここへ来て、メロディアスな側面を見事に開花させているのが興味深い。特にENSLAVEDのように、ARCH ENEMYやIN FLAMESあたりのメロディック・デス系を愛聴する一般のメタルファンでさえもかつて聴くのを躊躇ったようなブラック・メタル/エクストリーム・メタル系バンドが、ここまで美…

  • 短篇小説「弁解家族」

    「なんだよ、観てたのに」 酔っぱらった末にソファーで横になっていた夫が、急に喋り出したので妻は驚いた。夫は咄嗟に妻の手からリモコンを取り返すと、テレビに向けた。 「観てたって、何を?」 再び叩き起こされた画面に映し出されていたのは、真夜中の通販番組であった。元グラビアアイドルが、台本どおりの大袈裟なリアクションで矯正下着を売っている。しかし実際に下着を着用しているモデルは、どうやら素人の体験者のようだ。通販番組に出るような段階のタレントは、もう絶対にそのような姿でテレビに出ることはないと決めている。妻にはそのように見えた。 「いやいや、そういうんじゃなくて」おかげで夫は、すっかり目が覚めてしま…

  • 2023年あけましておめでとうございます10選

    あけましておめでとうございます!(「PULL」と書いてあるドアを無理に押して)あけましておめでとうございます!(あんドーナツの真ん中にも穴を)あけましておめでとうございます!(茶碗に盛ったご飯の中央に卵かけ用のくぼみを)あけましておめでとうございます!(子供たちが握っている金魚すくいのポイすべてに、北斗百裂拳で穴を)あけましておめでとうございます!(祝いの言葉に意味ありげな行間を)あけましておめでとうございます!(中身の状態など気にせず、ポテチの袋を思いっきり叩いて)あけましておめでとうございます!(裏山の死体の脇に、のび太の0点テストを埋めるための穴を)あけましておめでとうございます!(羽の…

  • 2022年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・ソング10選

    1位「Shine On」/CRASHDIET オートマトン [CD]アーティスト:クラッシュダイエットマーキー・インコーポレイティドビクターAmazonメタルファンにとって「Shine On」といえば、もちろんRIOTの稀代の名曲「Warrior」なわけだが、ここに新たな「Shine On」の響きを持つ美しい楽曲が誕生した。この曲を聴くと、改めて「Shine On」という発語と哀愁溢れるメロディの、まるで運命づけられたような相性の良さを痛感せざるを得ない。とにかくサビの「シャイノン、シャイノン」がどうにも耳から離れない。その裏を支えて走るギター・フレーズとの絡みも美しい。メロディの力を思い知ら…

  • 2022年ハード・ロック/ヘヴィ・メタル年間ベスト・アルバム10選

    1位『THE TESTAMENT』/SEVENTH WONDER ザ・テスタメントアーティスト:セヴンス・ワンダーマーキー・インコーポレイティドビクターAmazon現KAMELOTのVo.トミー・カレヴィックの圧倒的な歌唱力が乱舞するプログレ・メタルの傑作。前作『TIARA』の時点ですでにバンドの限界点まで来たかと思われたが、そこからのさらなる歌メロの上積みっぷりには正直驚かざるを得ない。プログレ・メタルというジャンルにおいて、歌がけっしてないがしろにされているとは思わない。だが重視されるのは歌の中でも「歌唱力」のほうで、その中身である「歌メロ」に本気の力が注がれているかというと、疑問符がつく…

  • 「新語・流行語全部入り小説2022」

    とある昼下がり、頭から色とりどりの女性用下着をかぶった顔パンツ姿の中年男性五人が、中華料理屋の回転テーブルでガチ中華を囲んでいた。そこは店の前に猫よけのペットボトルが並び、軒先にカラスよけのCDが吊されているような古びた中華屋であった。 全員が薄手の布をかぶって向かい合うその様子はまるでスパイ組織のようでもあったが、彼らが読んで育った漫画は残念ながら『SPY×FAMILY』ではなかった。彼らはいわゆるOBN(オールド・ボーイズ・ネットワーク)、つまりかつて『BOYS BE…』というラブコメ作品に青春を捧げた読者たちなのであった。「青春って、すごく密なので」――そんな言葉が胸に響くような思春期を…

  • 短篇小説「行間の多い料理店」

    この世でもっとも味気ない読みものは、情報を伝えるためだけに存在する文章だ。その代表と言えるのが一覧表の類であり、場所が料理店であれば、それはメニューと呼ばれることになる。 私が先日初めて訪れたレストランにも、当然メニューというものがあった。私はオフィス近くの路地裏にあるその店が、以前からなんとなく気になっていた。それはなによりもまず、その店頭に張り出した赤い日よけにプリントされている、奇妙な店名のせいであった。〈レスト ラン〉 それ以外に文字が記されていない以上、これが店名のすべてということになる。このシンプル極まりないフレーズは、明らかに一行で収められる横幅に二行で、いやその行間を律儀にカウ…

  • 時事コント「まさかり問答」

    空港の保安検査場。ひとりの男が、セキュリティゲートを通過する。金属探知機「ピーッ!」 保安検査員A「ちょっと失礼します。なにか金属製のものはお持ちですか?」 男「特にないよ……あ、もしかしてベルトかな?」男、再びセキュリティゲートを通過。金属探知機「ピーッ!」 男「もう何もないぞ。機械の故障じゃないのか?」 保安検査員A「いえ、そんなはずは……」保安検査員Aの上司らしき男が、異変を察して近づいてくる。保安検査員B「どうしたの?」 保安検査員A「こちらのお客様が、どうしても鳴るもので……」 保安検査員B「あの、失礼ですがお客様は、もしかしてあの有名な……」保安検査員Bが、右手のスナップを利かせて…

  • 人生半分損してる

    人生の半分というのは、思いのほか小さな分量であるらしい。「ピクルス食べないの? それ人生の半分損してるよ」 酢漬けの半生。「おしぼりで顔拭かないの? それ人生の半分損してるよ」 なのに脇は拭くのね。「『ターミネーター』の1観たのに2観てないの? それ人生の半分損してるよ」 シュワちゃんが幼稚園の先生になる映画は観てるのに。「『いいとも』のタモリしか観たことないの? それ人生の半分損してるよ」 ズル休みすると会える人。「今までずっと口呼吸してたの? それ人生の半分損してるよ」 異臭騒ぎにひとり気づかぬ張本人。「歌詞カード見ながら曲聴いたことないの? それ人生の半分損してるよ」 読んでますます意味…

  • ディスクレビュー『THE TESTAMENT』/SEVENTH WONDER

    ザ・テスタメントアーティスト:セヴンス・ワンダーマーキー・インコーポレイティドビクターAmazonより輪郭を明確にした歌メロの充実が、バンドの格をさらなるメジャー・フィールドへ押し上げるに違いない。そう確信させるに充分な、スウェーデンのプログレッシヴ・メタル・バンドの6th。前作『TIARA』も全方位的に開放感を増した素晴らしいアルバムで、明らかな成長を感じさせる作品だった。当ブログでも、年間ベストアルバムの7位に選んでいる。tmykinoue.hatenablog.comだがその作品としての完成度の高さは、あとほかにどこへ伸びしろが残されているのかわからない状態を示してもいた。そしてプログレ…

  • 短篇小説「二次会の二次会」

    今夜も我ら「二次会」は大いに盛り上がった。「二次会」といっても正確にはまだ「二次会」の一次会で、これから我々はいよいよ「二次会」の二次会へと向かうところだ。 我々が言うところの「二次会」というのは二次的、つまり各所で副次的な役割を果たす人間の集まりで、副部長、副店長、副支配人、副キャプテンなど、その肩書きに「副」の字がつく人々が一堂に会するサークルである。それぞれが副次的な役割に甘んじているがゆえに、そこは自然と愚痴の温床になる。ゆえにサークルというよりは、いっそ秘密結社と言ってみたくなる気分もある。上司(=副次的でなく主たる役割の人々、たとえば部長や店長)への愚痴が違いを惹きつけあうように、…

  • 自作短篇小説「窓のない観覧車」をマインドマップ化する試み(本末転倒)

    小説を書く手段として、いわゆる「マインドマップ」というものを使ってみようと思った。いま流行っているのか、それともだいぶ前から流行っているのかもしれないが、以前お笑い芸人のかが屋がネタ作りの際に使っていると聴いて、なんとなく気になってはいた。あの言葉が枝分かれしていく、チャートみたいなやつである。とはいっても、いきなり何をどうやっていいのかわからない。ということで、まずは自分が先日ここに書いた短篇小説「窓のない観覧車」を、マインドマップ化してみてはどうかと考えた。通常とは逆の手順になるが、手はじめには素材があるほうがやりやすい。tmykinoue.hatenablog.comソフトはとりあえず、…

  • 短篇小説「窓のない観覧車」

    窓のない観覧車に、髭のない少年が乗っていた。窓のない観覧車は不粋だが、髭のない少年は不粋とは言えないだろう。少年にこの先、髭が生えてくるかどうかはわからない。 もちろん高所からの絶景など、望むべくもない。だがどれだけ待っても観覧車に窓がつかないのは、まず間違いのないところだった。足し算から掛け算の時代を経て、いまや何ごとにつけ引き算の求められている世の中だ。そんなご時世、なにかしらオプションが増えるというのはあり得ない選択肢というほかない。 それは観覧車というよりは、荷物を載せて運ぶコンテナというほうがふさわしかった。それに乗って観覧できるものといえば、ただ錆の浮いたコンテナの無愛想な内壁だけ…

  • 短篇小説「帰ってきた失礼くん」

    「失礼しま~す!」 今日も失礼くんが、元気よく知らない店に入りこんでゆく。本日の訪問先はパン屋だ。しかし失礼くんは特にパンを食べたいわけでも、誰かにおつかいを頼まれているわけでもない。ただ純粋に、失礼したい一心でそう言っているのだ。「ほら僕って、朝はごはん派じゃないですかぁ」 入口付近にあるトレイとトングを手にした失礼くんは、トングを無理やり箸のように握ってそう言った。店内には他に客も店員もいるが、特に誰に向けて言っているわけでもない。みな知らんぷりを決め込んでいる。もちろん彼にわざわざ朝食の好みを訊いた者など、誰もいなかった。「だけど最初にこのトレイとトングを手に持ってしまったからには、もう…

  • 最近聴読目録

    最近聴いたり読んだりした/している作品についての所感。 【音楽】 ◆『MY FATHER'S SON』/JANI LIIMATAINEN マイ・ファーザーズ・サンアーティスト:ヤニ・リマタイネンマーキー・インコーポレイティドビクターAmazon 元SONATA ARCTICAのギタリストのソロ作。もちろんそれ的な北欧メタル曲もあるが、思いのほか幅広いメロディ・センスを感じさせる楽曲群。豪華なゲスト・ヴォーカル陣の中でも、とにかく③「What Do You Want」⑥「The Music Box」におけるレナン・ゾンタ(ELECTRIC MOB)の歌唱が素晴らしい。その節回しは十二分に粘っこい…

  • 短篇小説「芝生はフーリッシュ」

    どうやらわたしは公園のベンチで、サングラスを掛けたまま眠り込んでいたらしい。おかげで昼か夜か、起きてすぐにはわからなかった。サングラスを外すと、これまでに見たことのないような、色とりどりの世界が目の前に広がった。色とりどりにもほどがあった。それはつまり自動的に、夜ではないということになる。 正面にフーリッシュグリーンの芝生が広がり、それを囲い込むように配置されたオールドスクールレッドのベンチの脇には、ミートボールブラウンの土に満たされた花壇が並んでいる。 花壇のそこここには、アコースティックブルーやオルタナティヴイエローやジューシーオレンジに彩られた花が咲き乱れ、その傘の下をデスパレートブラッ…

  • あぶないタッチ病

    長年愛用していたiPhone 6が壊れた。かもしれない。かもしれなくないかもしれない。なんといっても「6」だ。いったい何世代前の機種ということになるのか。もちろん普段から動作は重い。それが故障による症状なのか、単に性能が時代に置いてけぼりを食っているだけなのか、その判別が難しい。人間の年齢に換算すれば、老人であることは間違いない。むしろ長生きしているほうだと思う。すでにバッテリーの手術だって一度行っている。タッチパネルが反応しなくなってしまったのである。だが毎回ではないのがややこしい。呼べば三回に二回は振り向くが、一回は無視されるくらいのイメージ。つまり健全な反抗期の息子が返事をするくらいの頻…

  • ディスクレビュー『ENDGAME』/TREAT

    ジ・エンドゲームアーティスト:トリートマーキー・インコーポレイティドビクターAmazonどんなに方向性の近い作品にも明確な違いがあり、どんなに安定したアーティストにも少なからず質的な波はある。全曲が名曲なんてことはあり得ないし、全作品が名盤であるアーティストもまずいない。だがそんなことをあえて書いてみたくなるのは、このTREATというバンドが再結成以降、驚くべき楽曲のクオリティと安定感を維持しているからだ。だがその高次元なレベルにおいても、作品ごと当然いくらかの方向性の違いはあり、また出来不出来の波も少なからずあるものだ。その細かな違いを味わえるのは、リスナーとして非常に贅沢なことなのではない…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、井上智公さんをフォローしませんか?

ハンドル名
井上智公さん
ブログタイトル
泣きながら一気に書きました
フォロー
泣きながら一気に書きました

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用