赤壁に龍は踊る 三章 その17 脱出と再会
「大丈夫か、あいつら」思わず言うと、梁朋《りょうほう》が答えた。「あの方は、壺中《こちゅう》のなかでも一、二を争う使い手です、大丈夫ですよ!」「なんだって?壺、中……?」なんだそれは、と聞き返そうとしたところで、梁朋の脚が止まった。行く手の木陰で、じっとこちらをうかがっている人物がいるのだ。笠をかぶった背の高い男だった。その男の衣は、昨日見た、梁朋と会話をしていた男と同じだ。敵か、味方か?戸惑う徐庶に対し、梁朋は表情を明るくした。その者は、笠を軽くあげて、梁朋に叫ぶ。「梁朋、逃げるぞ、こちらへ!」その声を聞いて、徐庶はぎょっとしたが、考えている暇もなく、梁朋は徐庶を連れて、その笠の者のほうへ向かう。笠の者は、梁朋に優しい口調で言った。「よくやったな、逃げ道は作った。急ぐぞ」「ありがとうございます!さあ、元...赤壁に龍は踊る三章その17脱出と再会
2024/06/22 09:56