臥龍的陣 太陽の章 その59 麋竺の告白、嫦娥の孤独
ぴりぴりした空気に耐えかねたのか、麋竺がうめくように言った。「仕方なかったのだ」だれかが責める言葉を口にしたのではない。だが、重くつづく沈黙にとうとうしゃべらざるをえなくなったのだろう。「劉表が、わが君に新野をまかす条件がこれであった。わたしが壷中に入ること。そして、わが君たちの子供たちを人質に差し出さなくてよい代わりに、荊州からあつめられてくる難民の子供たちの親兄弟の屍を始末することが条件だったのだ。劉表は、つぎつぎと北から押し寄せる武装した難民たちには、ほとほと悩んでおった。そこで、あまりにおぞましい解決策を考え付いたのだ。子供たちだけ残し、大人たちを皆殺しにするという。そして、残った子供たちは壺中に入れられた。劉表は自らの野望を果たすため、子供らを刺客に育てていったのだ。殺された大人たちの屍は東の蔵...臥龍的陣太陽の章その59麋竺の告白、嫦娥の孤独
2023/02/14 10:10