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~ Bella giardino ~ 異常に長い沈黙の後、 本当に同じ人? と、 思ってしまうくらい……、 優しくキスされた……。 ああ……、 この人は……、たぶん……、 やっぱり? 優しい人だ。 そう思った……。 ・・・・・・・・・・・・・・・ そこからまた散々された後、 「あ……、お客さんだ……。 お前、 もう帰っていいぞ」 最後はくちに入れられて 喉の奥に……。 むせ込みながら私が考えていたことは、 会社に住み込みで働いていた私には、 もう帰るところなど無い、 というか あの会社にはもう二度と戻れないのだということと、 それ以前にこの人は、 私のことを、殺してくれるのでは無かったのか? …
~ Bella giardino ~ 「中で何してるんです?」 男が僕に近付いて、 「何だと思います?」 お腹がチクっとした。 「声出さないでね。殺すつもりは無いから」 母が僕にくれたダガーナイフに形は似ていたけれど、 こっちのほうが明らかに安物だ。 むこうの空港で母と別れるとき、 日本は僕が思っているような国ではないから気を付けるよう言われた。 昔と違って髷を結っている人は殆ど居ないし、金閣寺にも住んでいない。 そしてこの国よりはマシだと思うけれど、それほど治安も良くは無い。 と。 ワンボックスカーに乗り込むと、 揺れの理由はすぐに解った。 目の周りの化粧が流れて、ヘヴィメタメイクみたいにな…
読書メーター6月のまとめ(2025)と『ゲ謎』のお知らせ(宣伝マン・アタイ!)
6月の読書メーター読んだ本の数:9(少なっ)読んだページ数:2987ナイス数:1018(ありがとうございます)作家刑事毒島の暴言の感想毒島シリーズ第四弾。毒島…
~ Bella giardino ~ 目が覚めて隣を見ると、 女は居なくなっていた……。 そんなことを考えていたのだけれど、 女は変わらずそこに居て、 僕に寝顔を見せていた。 眠っている女の唇に僕の唇を重ねると、 昨夜と同じように……、 舌が入って来た……。 日本に到着した。 僕の母はクオーターで父は純粋なジャパニーズ。 隔世遺伝で瞳の色は緑がかっているけれど、 僕にはかなり日本の血が流れている。 もうすぐ僕は、生まれて初めて日本の土地を踏む。 「わたしね、 今日は今から急ぎで行かなきゃならないところがあるから ダメなんだけど……、 よかったら明日にでもここに電話してくれない?」 女は、あんな…
~ Bella giardino ~ あのとき、 由子と武仲の行動力には本当驚かされた。 「とりあえずほとぼりが冷めるまで、外国行ってくるよ」 「由子さん俺も行くよ。一緒に行こう」 「マジ?!」 「マジ」 二人がそんな会話をした二時間後には、 偽造パスポートとかチケットとか……、 必要なものみんな用意して空港に居たんだから……。 もしあと一便遅かったら、確実に捕まってた。 だって私が空港を出るとき、 十台以上のパトカーとすれ違ったんだから……。 ……。 だけどもしあと一便遅かったなら……、 とりあえずあの日は二人とも、 死なずに済んだのかも知れない……。 どのみち由子は捕まれば百パー死刑が確定…
~ Bella giardino ~ アクセルを踏みながら、 由子のことを思い出していた……。 あのとき、 この振動に気付いたのは私が先だった。 由子に言うと、 「ああ……、たぶんエンジンマウントだな。 大丈夫。予備を持ってるから今度交換するよ」 そう言った。 一ヶ月後くらいに私も手伝って、 左右と後ろのエンジンマウント、 計三つを交換すると、 異常だったインパラの振動は通常の振動に戻った。 オイルで汚れた手を壁に付くよう由子に言って、 由子の着ていたツナギを足首まで下ろした。 「どうしてほしい?」 と 尋ねて、 由子が返事する前に、一番奥まで一気に入れてやったら、 近所中に聞こえそうなくらい…
~ Bella giardino ~ クレソンブースをとり囲むようにラピュティングしたマリゴちゃんが……… 開花してきました♪♡ ツートンカラーの子だ~♬♡♡♡ 日に日にメルヘンガーデンへと進んでる?♪♡ 花が生えてりゃ メルヘンって訳でも ないんじゃない?…( ;∀;)💦💦 因みにクレソンさんは………………… 成長遅っっ(*´Д`)💦💦 「オイ朔乃……………… たぶんお前の愛情が足りないからだ……………」 「むちゃくちゃですやん…………………………」 TO BE COMUGIKO ~ 飛行機で席が偶々隣になった女としたこと ① ~ 隣の席に座っている女が、チラチラとこっちを見て…
~ Bella giardino ~ BAR裏自然派菜園の青紫蘇……… 赤紫蘇との交配を避ける為………………… ラピュティングです♪☆ 場所は勿論………… 先日つくったばかりのコチラ花壇👇で………… こんな感じになりました♪☆ 真ん中には マリーゴールドもラピュティングしました♬♡ 超可愛らしいガーデンを目指して居ります♪♡ 青紫蘇のダサさ?を マリーゴールドで 緩和?…( ;∀;)💦💦 てゆーか…( ;∀;)💦💦 それ以前に お洒落なガーデンにするとか 散々のたまっときながら 食べ物ばっか 植えてんじゃ ねーよ…( ;∀;)💦💦 翌朝のお写真ですが…… 実は夜中に更なるラピュティングを進め……
本日はこちら。読んだら死ぬ本。「えー?本なんか読まないしぃ」…それは違う意味でシね! 『ゆうずどの結末』読みました。 ゆうずどの結末 (角川ホラー文庫)Am…
~ Bella giardino ~ 裏の森にに生えてるこの子👇 たぶんツリージャーマンダーってゆーヤツで オサレなガーデンの定番ハーブって言われてる子………… もしかしたら挿し木で増やせるかなって思って ちょっと前からお鉢に刺して居りました………… 二本はすぐにくたっとなってしまったけれど………………… 一本は今でも凄くピシッとしてる♪☆ この子は期待できそうだ……………… 柑橘も………… 一応チャレンジ………………… ※柑橘の挿し木はお難らしいけどダメモトで殺ってみた(・∀・)💦💦 根付いたらいいな…………………… この子👇はもうしっかり根付いた感じなので……………… こないだ掘ったところ…
~ Bella giardino ~ 朔乃さん…( ;∀;)💦💦 今バーテンダーさん出かけてるから…… ちょっと手伝うよ…( ;∀;)💦💦 「え?ホント??!!」 うん…( ;∀;)💦💦 バーテンダーさんが 帰って来るまでの間だけだけど… 任せて…( ;∀;)💦💦 「うう……優しい……………………」 イーストハーブガーデンの ドクダミちゃんがモリモリになってきました👍🤤笑笑( *´艸`) 洗って 干そう!!💪🤤笑笑 洗濯物かよっっ?!( ゚Д゚)💦💦 ( *´艸`)笑笑 カリカリに干して お茶にするの♡(・∀・)♡👍🤤 ドクダミを干したものは 十薬と言って それを煮出したお茶は デトックスや …
~ Bella giardino ~ 夜の帳が下りつつ在る頃に……………… わたしはスコップのストロークを繰り返す…………………… この時間帯は 紫外線の害が最小限で済むだけでなく 未だ視界も良好なゴールデンタイム…………………… 全力で掘り込んだ植え穴は…………………… ご覧のとーり♪♡ 今回もバーテンダーさんの自家製堆肥を多めに漉き込み……………… 水はけの向上に努める.……………… ※この後更に同サイズの穴(約50㎝×50㎝)を2穴(計4穴)作成しました☆ それからすぐに…………………… 幼木等の植え付けを行おうと思ったのですが…………………… またいつものように………………………… 突…
『我らが緑の大地』【読書感想】~『ユビキタス』と読み比べてみた~
本日はこちら。植物は意志を持っている。植物が人類に牙を剥いたらエライコッテスにナッチャウヨ! 『我らが緑の大地』読みました。 我らが緑の大地 (角川書店単行…
~ 追憶 武仲 ~ 由子さんがギチギチに縛り上げたラナを、あいつが好きなようにしている。 だけどあいつの表情は、 少し硬い。 由子さんも同じだ。 「ねえ由子さん……。どうしてこんなことするの?」 「いや……、説明するのは難しいんだけど……、 兎に角ラナは怒らせたらダメなんだ……。 外で何かあったろ?」 外で何かあったかと言われれば、確かに何かはあったけど、 もしかして俺が悪いのか? というか……、 それ以前に、 何故ラナを怒らせてはいけないんだ? しかも絶対? ラナを絶対に怒らせてはいけないのなら……、 一体何故あいつはいつも、 というか今も……、 ラナに対してこんなに酷いことをしているんだ?…
~ 追憶 武仲 ~ ストーカーの亡骸を、高く伸びた雑草の中に仮置きして、 由子さんのタトゥースタジオ兼自宅へ入ろうとしたとき、 ストーカーが持っていた包丁のことを思い出した。 俺が視線を後ろへ遣るとラナが、 「わたしが取ってきますから先に入っていてください」 ラナも丁度思い出したらしかった。 ラナの声を聞いただけなのに、 俺の心はズキンと痛んだ。 「……ありがとう……」 なんとか力を振り絞り、 それだけ言って俺は扉を開けた。 由子さんとあいつが、派手にじゃれ合っていた。 いつも思うのだけど、 正直、 恋人同士にしか見えない。 まあいい……。 気にしないでおこう……。 由子さんは俺の彼女だし、 …
~ 追憶 ラナ ~ オジサンのことを由子さんに相談したことがあった。 特に相談したいとは思っていなかったのだけど、 由子さんの、 何か相談しろ圧の強さに負けた。 「嫌なら嫌と、ハッキリ伝えなきゃダメだ。 相手に勘違いの余地を与えないことが重要なんだよ。 但し言葉は選べよ? 面倒な事になるかもしれないから」 そう教えてくれたことを思いだした。 どんな言葉を選べば面倒なことにならないかは 教えてくれなかったことも思い出した。 もしかしたらわたしは、 面倒なことにならなさそうな言葉が思い浮かばなかったか何かで、 オジサンにハッキリと伝えられなかったのかも知れない。 本当に全然覚えていないので予想でし…
今回は、じめっとした梅雨に読みたい、山が舞台の小説を3冊ご紹介します。 しっとりと湿度高めな『呼ぶ山』、 じわじわ背筋が冷えてくる『祝山』、 テンション高めのジェットコースター級ドキドキ感『ヨモツイクサ』。 あなたはどれが好みですか? もくじ 👻 しっとりと怖い『呼ぶ山』夢枕獏 👻 じわじわと怖い『祝山』加門七海 👻 ギョエー!な怖さ『ヨモツイクサ』知念実希人 📚 おわりに 🔗 山岳ホラーの関連記事 👻 しっとりと怖い『呼ぶ山』夢枕獏 呼ぶ山 夢枕獏山岳短篇集 作者:夢枕獏 メディアファクトリー Amazon 『神々の山嶺』作者が描く、山岳短編怪異集です。 ホラーというより、『陰陽師』シリーズ…
~ 追憶 ラナ ~ あのひとに頭を下げ、足の甲にキスしてから、 音を立てないよう気遣いつつ部屋を出た。 朝の空気を吸いに行こうと思い立ち、 わたしはそのまま外へ出る。 早朝で誰も居ないと思ったから全裸のまま出たのだけれど、 「ラナちゃん」 すぐに声を掛けられた。 どこかで見たこと在るような……。 誰だっけ? 「あの……、どちらさまでしたっけ?」 「おいおいラナちゃん、酷いじゃないか。 愛する恋人の顔を忘れてしまったとでもいうのかい?」 どうやらこのオジサンは、わたしの恋人らしい……。 わたしは今まで、 自分には一度も恋人が出来たことなど無い という認識が在ったので意外だった。 「ラナちゃんキス…
読書メーター5月のまとめ(2025)~また読んでいくでぇ!~
5月の読書メーター読んだ本の数:13読んだページ数:3893ナイス数:821(ありがとうございます)骸ノ時計の感想わぉ。そこそこグロい。大好物ウマウマー。とす…
本日はこちら。阿泉来堂さんの新作。『逆行探偵』は地味目だったけど、こっちは、そこそこグロいよ。ウフフフ 『骸ノ時計』読みました。 骸ノ時計Amazon(アマ…
~ 解体室から外に出て ~ 「あの………… 鯖戸センパイ…………」 「ん?…鋳鷹じゃん……………… ここに来るなんて珍しいな…………………… どーした?……………………」 「あ…あの………… よかったら今日……………… 一緒にどーかなって………思って…………………………」 「え?…… ああ………… コンパ?………… 悪いけどわたしそーゆーの興味ないから………………」 「あ…違うんス………… 鯖戸センパイそーゆーまどろっこしいの嫌いだって言ってたから………… 今日はヤるだけのヤツっス」 「え?ヤるだけ??!!」 「ハイ☆ そーゆー男ばっか集まってるところ知ってるんで………良かったら……………… …
~ 追憶 ラナ ~ わたしは、あのひとの恋人の踝に舌を付けた。 わたしは今まで生きてきて、 ここまで屈辱的な気分になったことが無かった。 幸せ過ぎて涙が止まらない......。 わたしは今、 大好きなひとの恋人の下半身を、 皆の前で、 まるで犬のように舐めさせられている……。 強要されている……。 舐めながらあのひとの恋人の顔を見た。 表情から、 必至で声を堪えていることが解る。 あのひとは声を出す女が嫌いだ。 わたしはあのひとの恋人の下半身、 そのなかでも特定の一部分だけを執拗に舐めた。 堪えきれずに声を出し、 あのひとに嫌われてしまえばいい……。 わたしはあのひとの恋人に対して、 そんな感…
『ヤシキガミ団地調査録』【読書感想】~そこにいるのが幸せなら、わしゃなんも言えん~
本日はこちら。『領怪神犯』の木古おうみさんの新刊。 『ヤシキガミ団地調査録』読みました。 ヤシキガミ団地調査録Amazon(アマゾン) Amazon.co…
~ 追憶 ラナ ~ 目を覚ますと隣にあのひとが居て、 あのひととのくちづけから幸せな一日が始まる……。 そんな妄想を毎日つづけていた。 今日は完璧ではないにせよ、 わたしの妄想が、 初めて現実のものとなった日だった。 ガチャリとドアが開く音がして、わたしは目を覚ました。 目を開けると、あの人の顔がわたしの顔に迫って来て、 わたしの唇とあのひとの唇が重なる。 その一瞬前に入れられてはいたのだけれど、 その程度のことは無視してもいいだろう……。 わたしは衣類を身につけていなかったので、 あのひとに余計な手間をかけさせずに済んだと安堵していた。 こういう時期は出血するだけで無く、 おなかがもの凄く不…
~ Bella giardino ~ 近所のパンクロッカーが多肉植物をくれたので……… 刺し多肉しておきました☆ ちゃんと根付きますように…………… バーテンダーさんがレンガを仕入れて来てくれたので……………… とりあえず並べてみました☆ まだ仮並べですが……………… 既にちょっと可愛くないですか?♪♡ ハーブ・ブース…………… 植え付けなどせずとも勝手に生えて来るミント………………………… そして………… 生えて来て欲しくない所からも……………… 余裕で生えて来る……………… ミント達……………… こいつ達…………… 本気で旺盛だ…………………… わたし的にはウザいけど…………… ミントはB…
~ 追憶 武仲 ~ あいつはやっぱり天才だと思う。 今夜のパスタも旨過ぎた。 「カヴァティエッディ・アラビアータ」 5~6回言ってやっと「オーケー」が出た。 だけどもう忘れた。 味は記憶した。 たぶんこの味は忘れない。 ラナは何回言っても「オーケー」が貰えず、 十回目くらいであいつに、 「お前いい加減にしろよ?もう公開処刑な」 と、 言われていた。 俺にはちゃんと言えているように聞こえたけれど、 たぶん微妙に間違えていたのだろう。 あいつは最中やっぱりラナに、 「声出したら殺すから」 と、 言っていた。 ラナは自分の手で自分のくちを押さえて 声を殺していたのだけれど、 あいつに、 「パスタ冷め…
~ 追憶 武仲 ~ 「なにしてんのお前?」 あいつがそう言いながらラナの脇腹を蹴ると、 ラナは地ベタに這いつくばるようにして、 理科の先生の脚を舐め始めた……。 こないだも見たけれど、 やっぱりこういうときのラナは いつにも増して可愛いな。 そう思った。 しかも今日は泣きながらなので更に可愛らしい。 ずっと泣いていればいいのに……。 そう思いながら、 理科の先生の脚を くるぶしあたりからどんどん上の方へと舐めあげていくラナを見ていた。 サリを見た。 サリはもう俺と由子さんの撮影を止め、 ラナと理科の先生の撮影を始めていた。 俺も慌ててケータイに手を伸ばす。 カメラを起動させ、撮影を開始した。 …
~ 追憶 武仲 ~ 「ねえ武仲ぁ……、 女は?」 大分経ってから、あいつが突然くちを開いたので そちらへ目を遣ると、 目隠しと猿ぐつわをされ、 手足を縛られた由子さんから身体を起こしたあいつと目が合った。 「なんか生徒が補導されたとかで 呼び出し喰らったみたいだよ?」 「そっか……、 じゃ、ラナでいいや。 今日はもう由子に飽きた」 あいつは由子さんをそのままにしてラナの寝ている部屋の扉を開けに行く。 「ねえ武仲君、 なんか由子さん、痙攣してるみたいだけど大丈夫?」 「ああ、由子さんはよくこんな感じになってるから大丈夫だよ」 「ねえ、 武仲君と由子さんがしてるとこ見たい。 今だったらバレなさそう…
~ 追憶 武仲 ~ 「シー」 サリがそう言いながら体勢を変え、 俺に上から乗っかった瞬間だった。 パンッ 乾いた銃声が聞こえたのは……。 まるで扉は元々開け放たれていたとでもいうような空気感で 普通に入って来る由子さんとあいつ……。 俺とサリは身動きが取れず、 唯々固まり、二人を見ていた……。 俺とサリは、 たぶん、特に悪いことをしていたという訳では無いはずだ……。 けれども俺は、 由子さんはついさっきドアノブを破壊した拳銃で、 俺の頭も破壊するかも知れない……。 と、 そう思った。 俺は由子さんの目を見ようとした。 今の由子さんの心情を、少しでも予想できればと思ったからだ……。 けれども由子…
~ 追憶 武仲 ~ 理科の先生のケータイが鳴って誰かと話し始めた。 相手はどうやら学校の、他の先生らしい。 話しはすぐに終わって、理科の先生は電話を切り、 俺に向かって、 「行かなきゃならなくなった」 と、 言った。 生徒が一名補導されたということで、 呼び出しを喰らったらしい。 理科の先生を見送ると、俺は独りになった。 だけど隣の部屋、 扉の向こうにはラナが居る。 考えるまでも無かった。 扉の向こうに行こう。 俺はそう思った。 ラナは今、体調不良で寝ているのだから、 きっと抵抗出来ないだろうし、 水を吞ませてやったときみたいに 中途半端で止めたりさえしなければ、 きっと誰かに言ったりすること…
~ 追憶 バーテンダー ~ 「死体運んでるみたいだね」 私と院長の声がシンクロした。 やはり院長と私は、とても気が合う。 由子は随分と疲れていたらしく、 揺すったり頬を叩いたりしても全く目を覚まさないので、 軽く洗った後、てきとうに拭いてから 裸のままベンツの後部座席に転がしておいた。 由子の身体には、首から上と手の平、足の裏以外、 びっちりと隙間無く刺青が入っている。 一見服を着ているようにも見えるので、 特に問題は生じないだろう。 犬に、 「また遊ぼうね」 と言いながら足払いして倒し、 顔をゆっくりと踏んであげたら、 少しだけ声を漏らした……。 私が足を上げるとすぐ、 犬はその場に手をつい…
~ 追憶 バーテンダー ~ 犬がいつもより早く動かなくなった。 それでも私は構わず続けた。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 私は、やっと自分の心の高ぶりが治まってきたのを感じた。 由子を、もう随分と待たせている……。 そろそろ帰ろうかと思い、 動かなくなった犬の脇腹を、もう二~三度蹴ってから部屋を出た。 隣に在る院長室の扉を開けると、 手足を診察台に縛り付けられ、 目隠しされてくちにガムテープを貼られた由子と、 裸の院長が居た。 院長が、 「あ、もう少しだからちょっと座って待ってて」 と言うので、 私は言われた通り椅子に座った。 パソコンの液晶画面に目を遣ると、 丁度犬が身体を起こしたところだ…
山ホラー3選・1冊目|夢枕獏『呼ぶ山』寝てたいGW明けに!夢と現実の間をさまよう幽玄小説
ゴールデンウィーク明けのぼんやりした頭にぴったり。夢と現実の境界がゆらぐ、夢枕獏の山岳ホラー短編集『呼ぶ山』を紹介します。
加門七海『祝山』山の神様を茶化すとこうなる|山ホラー3選・2冊目
加門七海のホラー小説『祝山』をレビュー。山の心霊スポットで起こる微妙な怪異が日常をじわじわ侵食する恐怖を描く。リアルな描写に背筋が凍る一冊。
知念実希人『ヨモツイクサ』ネタバレ厳禁のバイオホラー!|山ホラー3選・3冊目
🧠ネタバレ厳禁🧠 鳥肌が立つほどのラストが待っている…! 山岳ホラー×医療ミステリー×アニマルパニック⁉️ 知念実希人『ヨモツイクサ』は、ジャンルでは語れない戦慄バイオホラー。 読む前に前情報は最小限に👇
~ 追憶 バーテンダー ~ 十八リットルタンクに満タンの灯油が二つ、 計三十六リットル在ったので、 由子と手分けして家全体の床という床に満遍なく撒いた。 運転席でベンツのキーを回し、 ルームミラーに目を遣ると、 そこに写った家の窓から見える屋内では、 巨大な龍が蠢いていた。 その巨大な龍が、こちらを見て、 自分は今から大暴れをするのだと……、 そう、 言っている……。 後ろ髪引かれたが、リスクはできる限り避けるべき。 炎の龍が大暴れするのは想像だけで辛抱し、 私はベンツのギアを入れた。 「帰ったらミートソースパスタつくってよ。つゆだくで」 「嫌だよ」 二人で笑った。 「ちょっと車止めてくんない…
本日のご紹介はこちら。『最恐書き下ろしシリーズ』最新作。粒ぞろいの短編をどうぞ。 『慄く』読みました。 慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー (角川ホラー文庫…
~ 追憶 ラナ ~ わたしの興奮が治まったのは、 あれから随分と時間が経ってからのことだった。 数十分、或いは数時間。 時計が無いのでわからないけれど、 随分と長い時間が経過したということだけは解っていた。 興奮が収まって行くのに比例して、 ふらつきや吐き気、頭痛も全て、戻ってきた……。 帰ろう。 一瞬そう思ったのだけれど、 わたしに帰る家は無い。 あの人のことが、心に浮んだ。 ここから由子さんのタトゥースタジオまでの距離はかなり近い。 切れ味が随分と鈍くなり。 刃こぼれまでしている菜切り包丁を、 わたしは小さなゴミ箱にそっと入れて、 記憶の中では神さまだったはずの塊に毛布を被せた。 神は自分…
~ 追憶 ラナ ~ 予想通り、一番奥の部屋は神さまの寝室だった。 部屋にはベッド以外に物が殆ど無く、 在るものはといえば、小さな本棚と、 そこに入った数冊の本、 あとは小さなゴミ箱くらい。 本当に寝室のみとして使っている部屋なのだろう。 わたしはベッドに神さまを優しく寝かせてから、 神さまの向こう脛を菜切り包丁で斜めに切った。 白いものが見えた。 「ねえ、気持ちいい?」 今度はわたしが神さまに訊く番だった。 菜切り包丁を十回、二十回……、 何度も何度も振った……。 神さまの身体を何度も何度も切りながら、 わたしは、 何度も何度も訊いた。 「ねえ、気持ちいい?」 しつこく、しつこく、 しつこく訊…
『ユビキタス』【読書感想】~絶滅したことのない不滅の生命体~
本日ご紹介の本はこちら。『リング』の鈴木光司さんが送り出したバイオホラ―…ん?ホラーか? 『ユビキタス』読みました。 ユビキタス (角川書店単行本)Amaz…
~ 追憶 ラナ ~ 三つの感覚があった。 一つめは、わたしの中に、どくどくと流れ込んでくる感覚……。 二つめは、床に強く押しつけられていたわたしの顔から押力が抜けた感覚。 そして三つめは、 わたしのお腹にあたっている菜切り包丁の、硬く、冷たい感覚……。 「あっ」 神さまはそう言って、自分の顔に手を遣った。 一振り目は、逆手に持った菜切り包丁を、左斜め下から右斜め上へ。 わたしがまだ小さかった頃、 父の膝の上で何度も何度も観た映画、 父もわたしも大好きだった、あの映画のワンシーンを思い出した。 わたしは今、 座頭市。 偶然だけど、パンツを履いていなかったので、更に俳優寄せで気分が上がる。 「ラナ…
~ 追憶 ラナ ~ ゆっくりと回転するステージの上で、身体を起こそうとしたら、 急な吐き気に襲われて嘔吐した。 回転しているのは、ステージではなく、 自分の頭なのだと気づき、 それと同時にここがストリップ小屋ではなく、 神さまの家だということを思い出した。 あれからどれくらいの時間が経過したのかは解らないけれど、 窓から差し込む月明かりと静けさから、 真夜中で在るということはわかった。 頭痛と吐き気が酷く、頭はぐるぐる回り続けているのだけれど、 幸い記憶はしっかりしていた……。 とりあえず、何とか上体を起こし、 あたりを見回す。 ひとまず安全。 近くに神さまは居ない。 わたしの手は、身体の後ろ…
~ 追憶 バーテンダー ~ 「なんだよおまえ……、 教える必要なんて無いじゃん……、 楽で良いけどさ......」 由子は驚いて、 というよりも、ちょっと嫌そうな様子でそう言った。 きっと私に何かを『教える』という行為を、 『プレイ』として愉しみたかったのだろう……。 本心を隠しきれない子供のような由子の瞳を見て、 私は少しだけ、申し訳無い気持ちになった。 族狩りを探して居る暇が無かったので、 某組事務所で一台ベンツを借りた。 ベンツを貸してくれた担当の人には、 とりあえずトランクに入ってもらった。 由子が私に、 「運転席に座れよ」 と、 そう言ったので従った。 「とりあえず勘で運転してみな。…
~ 追憶 ラナ ~ だからわたしは、 自分の部屋の扉の横壁に張り付くようにして立ち……、 待った。 母を。 大好きな、 母を。 玄関のドアが開き、 そして閉まる音で、母の帰宅を知った。 母は今夜も、真っ先にわたしの部屋へと来てくれた。 わたしの部屋のドアを開け、 いつもならわたしが眠って居るはずのベッドへ向かって、 真っ直ぐに歩いて行く。 けれど、 今夜の私はドアの横に立って居る。 母の後ろ姿を見ながら、 また母と仲良くなった未来を夢想する。 わたしは先ず、 母の背中を 斜めに切った。 わたしは、台所に在った菜切り包丁を持って来て居た。 普段、三徳包丁ばかり使うので、 菜切り包丁は滅多に使わな…
~ 追憶 ラナ ~ ある日わたしは、台所で手を切った……。 野菜を切って居るときに……。 失敗したのではない。 この包丁で手を切ったら、 わたしはどう感じるのだろうか? そう思って、 切る気で切った……。 結果は思った通りだった。 今までに経験したことの無い快感が、 わたしの身体を駆け昇った。 脳が溶けかけた。 今なら父を、 努めて大好きだと思わなくても素でできる。 そう思った。 そしてわたしは、 すぐに閃いた。 母と仲良くなる方法を。 この快感を、 母にも教えてあげるのだ。 そうすれば母は、わたしに感謝し、 また以前のように、 わたしのことを大好きになってくれるに違いない。 と、 そう思った…
~ 追憶 ラナ ~ 髪を掴まれ、叩かれる……、 蹴られる……。 このときの痛みを、 わたしも……、 きもちいい、 と、 感じた……。 ラナさんはこのことを、 好きだと言って居たのだ……。 父がわたしのベッドに来なかったのは、 ほんの数日の間でしか無かった。 数日でまた、 今までと同じになった。 父に言われた通り、 わたしはそのことを母にナイショにして居たのだけれど、 母はわたしのことを、 毎日蹴ったり叩いたりするようになって居た。 父だけでなく、 母もわたしのことを、 ラナさんだと思って居るらしかった……。 わたしは母のことが好きだったし、 この頃はもうわたしにとって、 痛みと快感は完全に同じ…
~ 追憶 ラナ ~ 母が、 「忘れられるよね?」 と、 そう言ったので、 わたしは、 「はい」 と、 返事した。 結局ラナさんを刺した犯人は見つからなかった。 あれから父はずっと元気が無く、 暫く働いては辞めて、 また暫く働いては辞めて……。 そんな生活を続けて居た。 母は毎晩仕事に出るようになって居た。 わたしは髪を伸ばし始めた。 ラナさんみたいになりたかった……。 私が中二の夏のことだった。 その夜は特に蒸し暑く、 部屋にはクーラーなんて無かったし、 わたしは全然眠ることが出来なかった。 父がわたしのベッドに来たので、 「どうしたの?」 と、 訊くと、 「母にはナイショにしておくんだよ」 …
私の文体だと、コメディにしかならないのは、重々承知ではありますが(;^_^A にほんブログ村 Web小説ランキング https://note.com/mad_2025
本日はこちら。一部ホラーマニアの間で話題になっている小説。ホラーっていうかSF? 『右園死児報告』読みました。 右園死児報告Amazon(アマゾン) A…
皆様こんにちは、霜柱です。 スティーヴン・キングの『シャイニング』(深町眞理子・訳、文春文庫)を読みました。 今回はこの