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~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~ 今夜は斧の 峰だけを使うつもりだった…… あの姉妹の 痣だらけの軀を思い出す…… 施設長にも同じような痣をつくって ラムネのお礼としたかった…… フロントのひとが部屋から出た後 先ずは左足の向こう脛から打ったが…… どうやら力を入れ過ぎたらしく 骨が砕ける音と施設長の悲鳴が どちらも大きくて 少し驚いた…… 二回目は少し加減したが やはり骨の砕ける音がした…… 斧は峰で打つのが非常に難しく 力の調整など出来ないことを知り 三回目以降は もう砕くつもりで 振りかぶって振り下ろすという動作を繰り返した……… お料理の下準備をして居るような気持ちになり 少し声に出し…
~ BARで 鯖戸 ~ 「ねえ…バーテンダー……」 「はい?」 「もし… もしもだよ?…… この世界に…… この世界に…フォークが無かったとしたら……… パスタは…… パスタは 食べられないのかなぁ………」 「ああ… 棕櫚さん… ご心配無く…… 元々パスタが生まれたのは 三本フォークが生まれるよりも早かったと言われて居るんです 昔は二本フォークしか無くて スパゲティを巻くことが出来なかったので 手掴みで食して居たらしいですよ」 「え? そうなの?! あ~~~~ 良かったぁ~~~~~~っっ 心底安心したよ~~~♫♡」 現代は大抵何処でもフォーク在りますけど…… てゆーか今目の前にも普通に在ります…
~ 夜の森で 東雲坂田鮫 ~ 何も考えず…… 或いは 何も考えられず………… 私は唯 そこに居た………… 月光と夜の森に…… 唯々身を委ねるだけだった………… その状況に変化が生じたのは 風に乗って流れてきた黒い雲が 月光を拭い去った時だった……… さっきまで月光と 夜の森の奴隷だった私の心が自由になり 今度は軀が縛られて居る ということに気付く………… だがこの縛りは いつもの包帯とは違う なにか…… 別の要因によるものらしかった……… 私はゆっくりと軀を起こしたが… まだ座って居る状態にもかかわらず…… なんだかクラクラして 何かがいつもと違うな……と……… そう…感じた……………… ふら…
~ ホテルで フロントのひと ~ いつも一回目は ドキッとする……… いい加減慣れろよと 毎回自分にツッコむのだが…… 全然慣れない…… 少しの間を空けて 今度は立て続けに三回…… 今夜は全て命中したらしい………… 私は受話器の上に 手を置いた…… このホテルのマニュアルでは 2コールで受話器を上げることになって居るが 電話の相手が解って居る場合 その相手の性格に添った 臨機応変な対応が必要だと 私は心得る…… 電話が音を発するか発しないかというその瞬間 私は受話器を持ち上げた… 「はい フロントです」 通常より声を張ってそう言うと 電話をかけてきた女は 「わたし」 とだけ言った… 「すぐに伺…
~ 夜の森で 東雲坂田鮫 ~ あの美術教師に 軀を 縛ってもらったとき……… 軀の自由が奪われるのに反比例して…… 心の自由は 与えられる気がした………… あれ以来…… 自分で自分の軀を縛るのは 毎日のことで…… 少なくとも 自分の部屋に居るときの…… …… 当たり前に なって居た………… 本当は 美術教師に縛ってもらいたい………… けれど…… それが叶わぬ今は………… 自分で縛るしかなかった…… 自分で自分の軀を縛るいう行為は 想像したよりも 難しかった……… 始めの頃はなかなかうまくいかず…… もどかしい気持ちで 心の自由はなかなか得られなかったが…… 最近は テクニックの向上に比例して …
~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~ あれから 半年くらいが経過した夜だった………… 笑いながら私の髪を掴み あまり清掃の行き届いて居ない床面へ押しつける施設長…… 私の髪を掴んで居ないほうの腕を 私の膝裏に入れて持ち上げたとき… 「半年以内に自殺する予定とかってあります?」 と尋ねたが 無言で入れようとしたので とりあえず トカレフの銃口を施設長の太股にあててから 引き金を引いた トカレフは貫通力が凄く こういう使い方は非常に危険なのだけれど 旨い具合に私の足は持ち上げられて居たので 気にする必要は無かった…… 貫通した銃弾が丸くちいさな穴を開けた床面で 自分も丸くちいさくなり 自身の太股を押さ…
みんかの #創作同人電子書籍 レビュー:岬千皓「ロリポップ症候群 岬千皓 インディーズ短編集」#ファム・ファタール #学園 #ホラー【No.1930】
【No.1930】岬千皓「ロリポップ症候群 岬千皓 インディーズ短編集」 #ファム・ファタール #学園 #ホラー 美しい転入生からロリポップをもらってドキドキする男子…しかしクラスの男子は彼女を巡って争い、学園生活は血に塗れていく…▼ kindle 転入生の女子がクラスに不和を齎していく、というファム・ファタールを描いた学園・ホラーまんが。 地味な高校生男子ナガヤマの隣の席に、転入生ヒメコがやってきます。 ヒメコはつねに...
~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~ 施設長は…… 毎晩 顔立ちの整った女児達の中から何人かを選ぶのだが あの姉妹は特にお気に入りだったらしく その頻度は 他女児達との比にならなかった……… 姉妹の泣き声や叫び声は 夜遅くまで止まないのが普通だった………… これは 私達の日常で 当たり前の日々なはずだった………… だけど… そんな当たり前の日々は 姉妹にとって当たり前では無かったらしい………… 妹が 「わたしも」 と 言った後に 姉がラムネを出して…… 「わたしたちをころしてくれるなら ふたつぶ あのひとに このてがみをわたしてくれるなら もうひとつぶ あのひとが いちねんごにまだいきていたばあい…
~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~ 施設長と会ったのは 本当の偶然では無いにせよ…… ばったりと そういう感じでは在った………… 販売の部署に居た頃 送迎無しで単独仕事の日には あえて施設の近くでお客さんをとって居た私…… もしかしたらいつか…… とは もちろん思って居たのだけれど…… 今夜をその時とする意思は 持って居なかった………… 私は部署異動してから 未だ一度もスプリングの仕事はして居らず 今夜は偶々 気晴らしのつもりで壁にもたれて居たのだ……… 私に声を掛けてきた施設長は 私の顔など もう…… 忘れて居るらしかった………… ホテルまでの道すがら 無言の施設長の足音を聞きながら 私が初め…
~ 別の場所で 産業医 津葦キリコ ~ そうだ…… 失敗なんかじゃ無い…… 旨くいかない方法をひとつみつけただけ…… エジソンが言ってたもん…… 長ドスで切れないなら 得物のレヴェルを上げれば良い……手首の痛みが取れてからって思ったけど…… いや…… やはりすぐだ 今すぐ殺るべきなのだ………… 今度は成功する 必ず…… 今度は必ず あの女を眠らせて殺る………… ------------------------------------------------------- ふう…… やっぱり手首痛いし…… ちょっと疲れちゃったけど…… なんか凄い…… 達成感♡ TO BE COMUGIKO やっ…
~ 自宅で 産業医 津葦キリコ ~ 長ドスの腰が伸びた…… あり得ない……… あの女…… 間違いなく裸だった……… 見えない鎖帷子でも身に纏って居たか?………… いや… 縦しんばそうで在ったとしても…… あの華奢な軀… ただで済むはずがない…… 骨盤と肋骨の間… 私は正確に振り切ろうとした…… それなのに……… それなのにあの女の胴体は……… 2つに別れずそこに在った…… 手首が痛い…… 狐にでも化かされたか?……… そういえばあの女… 少し狐っぽい…… 駄目だ… 過ぎたことを考えても仕方が無い… 失敗は次に繋げれば良いんだ…… 手首の痛みがとれたら…… 手首の痛みがとれたら必ず…… 今度こそ…
~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~ ヤッホー♪ 殺しに来たよ~♪ TO BE COMUGIKO お片付けの時は汚れても良いように全裸がオススメだよ♡
~保健室で 産業医 津葦キリコ と 東雲坂田鮫アネモネ藤子 ~ 「あの…… センセェ?……」 「なあに?…」 「今夜は私…… ちゃんと眠ることが出来るかしら?……」 「これで眠らなかった人は居ないわ……」 「センセェ?……」 「なあに?……」 「津葦先生の声…… 何だかとても…… 愉しそう…………」 「おやすみなさい…… 藤子……」 TO BE COMUGIKO
~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~ 「見逃して欲しい…… って… 言っても…… 無理…だよね?………」 と彼女が言うので 私は黙って頷いた…… 「苦しまないように… 殺してくれる?………」 と 問われたが……… 私は 指定の拷問を行って居る模様を 撮影して来るよう上司から命じられて居たので 無理だと答えた…… 「そっか……… ごめんね…………」 そう言った彼女は 自分の懐から出した小さな拳銃を咥えながら 私の目を見て居た… 私も彼女の目を見て居た……… 動けなかった 私には唯見て居るだけしか…… それだけしか 出来なかった………… 彼女がゆっくりと撃鉄を起こし 私の目を見ながら 人差し指に 力を…
~ 保健室で 産業医 津葦キリコ と 東雲坂田鮫アネモネ藤子 ~ あの…… センセェ?…… 津葦… センセェ?…… 「もう少し前に来て……」 センセェ?…… 「足も…… 縛るね…………」 あの………… センセェ?……………… TO BE COMUGIKO
~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~ あの日以来 送迎のひとと仲良くなって トカレフの実弾が無くなる度に ねだった…… 送迎の人はべつにいいよと言ってくれたが これ以上借りを増やしたくないからと言って 対価は毎回払った…… 質の悪い客にむちゃくちゃされたり ボコボコに殴られるということは もう無くなった…… この頃までに私が殺害したのは たぶん全部で 20人前後……… 施設で殺害した女の子二人以外は 全てトカレフによる銃殺だった……… トカレフの扱いにすっかり慣れた頃 上司に呼び出された…… 「販売より良い仕事在るんだけど… する?」 販売部署の次に配属されたのは お片付け業務の部署だった… 販売…
~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~ 音を立てないようそっと部屋の鍵を開けると あの客がベッドに横たわって居り 気持ちよさそうに寝息を立てて居た… さっき送迎の人に言われた通り トカレフを両手で構えて 絶対に外さぬよう 銃口が密着する寸前まで接近し 引き金に 力を込める… 左膝を打ち抜くと… どうやら客は目を覚ましてしまったようなので 右膝も打ち抜き 左肩と右肩も 続けて打ち抜いた… 銃口をくちに入れて 「あやまれ」 そう言った…… でも… そう言っても客は… 何も言わなかった…… 仕方が無いので私は 引き金が動かないよう注意して トカレフのグリップでくちを殴りつけながら 「あやまれ」 と 言い続…
みんかの #創作同人電子書籍 レビュー:黒井白「黒井白短編集(冬の日) 」#家族 #ホラー【No.1911】
【No.1911】黒井白「黒井白短編集(冬の日) 」 #家族 #ホラー 妊婦さんと少年の心温まるふれあい。に見えてそこには空恐ろしいものが…彼女の意識は猛烈な不安の中で常軌を逸しているのでは…?▼ kindle ある妊婦と少年の関わりを描くホームドラマ作品なんですが…… 団地のベンチにお腹の大きい妊婦さんが佇んでいると、近所の少年が話しかけてきます。少年は妊娠ということが理解できないので病気かと思うんですが、「きみもこう...
~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~ あの会社に入社したきっかけは 以前同じ施設で暮らして居た女からの紹介で 私はその時13歳になったばかりだった…… 丁度その頃 施設の女の子2名を殺害した疑いをかけられて居た私に 選択の余地は無かったし 元々早く施設を出たいとも思って居たので 良いタイミングでも在った…… 最初に配属されたのは販売の部署で 扱う商品は アイスとスプリングだった…… アイスは先ず会社から商品を買い取り それを自分で決めた金額や方法で販売する というものだったが 無一文だった私には スプリングを選択するしか無かった…… スプリングの仕事は 良いお客さんだとチップをくれたり ナイショで…
~ 保健室で 産業医 津葦キリコ と 東雲坂田鮫アネモネ藤子 ~ 「なるほどね… 辛いよね……」 「はい……」 「でもね…… それはみんなが通る道…… あなただけじゃ無いわ…… 恋患の根本的な治療は… あなたと相手の問題だから 今すぐどうこう出来ることじゃ無いけれど…… 眠れない辛さには お薬を使ってみるのも…… ひとつの方法よ……… ベンゾジアゼピン系のお薬は手軽だし 一般的によく処方されても居るし 上手に使うことが出来るなら効果的とは言われて居るんだけれど 日中ぼ~っとしちゃってふらついたり転んだりして大怪我とか 依存症に陥りやすいとかもあるから 私はお勧めしないの… 睡眠の質も落ちるしね…
~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~ 例えば 一つの道具でも 使い方は人それぞれ…… どれが正しいとか 間違って居るとか それは個人が決めることで在って 他者がとやかく言うことでは無いはずだ…… 但し… 社会生活を営む上で 倫理 というものの存在は 忘れないよう よく見る場所にでも マジックかなんかで 描いておいたほうが 良いかも知れない…… 道具の使い方は 人それぞれ……… だから 誰かにその道具 例えば アイスピックの使い方とか…… ナイフとか…… そういった 特に多様性の在る道具の使い方を 教えて貰う際は それを鵜呑みにするのでは無く 自身でも よく考える必要が在るのだということも 忘れない…
~ 追憶 東雲坂田鮫 ~ コンビニの店員さんが 右手に持って居る血の付いたスコップを使い 慣れた手つきで穴を掘り出したので 「私は穴を掘るのが得意です」 と言って代わった… 最近授業以外でも 早苗の手伝いで穴を掘る機会が多く その行為自体に自信が在った…… 首が殆どとれてしまって居たお巡りさんを埋め終わると コンビニの店員さんが シャワーを貸してくれると言うので 二つ返事でついて行った…… これで今日は 母親に殴られずに済むと思うと 心に日が差したように感じた…… コンビニの店員さんの部屋に入ると 懐かしい匂いがした… あの美術教師と同じ匂いだと すぐに気付いて 大型冷蔵庫や 絵を描く道具が在…
~ 追憶 東雲坂田鮫 ~ 今私は お巡りさんから職務質問を受けて居る最中だが 今日如何にして母親に殴られずに シャワーを浴びるかの方法を模索することで 頭の中はいっぱいだ……… いつもの時間 いつもの格好 いつものコンビニで いつもの食パンを いつもの店員から買ったその帰り…… 私はお巡りさんに 呼び止められた……… 職務質問をするからこっちへ来なさいと言われ… 藪の中へ連れて行かれる私……… 先ずはボディーチェックをするからと言われ 軀に触れられる私….…… 今までに何度もお巡りさんからの 職務質問を受けたことがある…… 私は裸で居ることが多いので 食パンしか持って居ないということは 一目瞭…
~ クラスメイト ~ 女が既にこときれて居るということは すぐに解った…… 切り落とされた自分の頭部を 抱きかかえるように持たされて居たからだ……… 手指は十本とも逆方向へ曲がって居り 爪は全て剥がされて居た…… 指の無い足の 内くるぶしの上から下腹部にかけて 5㎜間隔で 数えるのがしんどいくらいの 切り傷が並んで居た…… 白い脂肪の見えるぐずぐずの切りくちは ノコギリで引いたものと推察する…… 乳房が見当たらず 肋骨が露わになって居る…… きっと生殖器も切り取られて居るだろうと思い 足を広げて見てみたが…… 執拗に切り刻まれて居り あるのかないのかすら解らない状態だった…… 瞼とくちを安全ピ…
~ クラスメイト ~ 今日は朝から体調が悪かった…… なんだか熱っぽいし くしゃみが出て ずっと鼻がぐずって居る…… 始め風邪かと思ったが… 今は三月 たぶん花粉症だろう……… 学校が近付くにつれ 私のヴィジュアルに 好ましくない変化が起こって居ることには… 気付いて居た…… マスクをして居れば隠せるのだが…… マスクは顔の皮膚と擦れて 将来的にシミの原因になりそうだし… 弱い力では在るけれど 常に鼻を押さえ付けられることで 鼻が低くなるのでは? という懸念を拭い去ることが叶わないということでも… 私はしない主義だった……... にもかかわらず 今日の私は いつも携帯して居るポケットティッシュ…
~ クラスメイト ~ 「ねえ… 今日帰りイタリアン行かない?」 「マジ?…」 「え? 嫌?……」 「嫌…… ではないけど……」 「ペスカトーレ食べたい……」 「い…… いいよ………」 TO BE COMUGIKO 藤子さんって…… これだけのこと殺った日でも トマト系…… イケちゃうんだね…… 結局イタリア料理店に行くことになったんだけど 想像力豊かな私は トマト系は避けた… でも…… ビアンカ・ピッツァの後にオーダーした ローマ風・カルボナーラが…… 生ハム仕様だった…… 最高に美味しかったけどね…… *********************************************…
~ 別の場所で ~ この時の私は…… もう 血塗れだった………… もう後戻りは出来ないと 頭では解って居たけれど…… 涙が…… 涙が…止まらなかった………… まさか……… まさか…皆殺しにするだなんて………… 私は 想像もして居なかった……… 先輩は 「手本を見せて殺る…」 そう言って いきなり女の顔を掴み 下腹部に刃を突き刺してから 首元まで 一気に引き上げた……… 切り裂かれた腹部に押し入れた先輩の手は 女の内臓を引きずり出し 吹き出した血液は 私達と 辺り一面を 真っ赤に染めた………… 「次はお前の番だ…」 それが私自身に向けられたものなのか…… 私に対して 同じように殺れ と そう言っ…
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~ クラスメイト ~ あの女が殺害されたと知ったとき…… 私の心は やっと透明になった気がしたの……… あの女が誘拐されて あんな状態で見つかって…… それから学校に来なくなって あの時も本当に嬉しかった……… でもね…… 私の心は まだ濁りがとれて居なかった………… あの女が…… あの女があんなふうに殺害されてやっと………… ……………… 私は暫くの間 人前で笑いを堪えるのが大変だった………… 本当に嬉しかった………… でもね…… 気付いたんだ………… その時やっと透明に戻ったって思った私の心は まだ全然濁ったままで…… その濁りは 全然ましになって居ないどころか どんどん増して もう1ミリ…
~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~ ローズと初めて会ったのは 早朝の24時間スーパーだった…… その頃私は 夜勤明けにスーパーで 無料のアルカリイオン水を汲ませてもらうことが ルーティン化して居て その日もペットボトルを携えて 吸水マシーンの前へと向かったのだ……… 早朝からアルカリイオン水を汲みに来る者など 私以外滅多に居ないのに…… その日は二人も並んで居て 軽く舌打ちをした…… 「あ…ダメっスよ? 二本入れたら並びなおさないと」 声が聞こえたので前を見ると 今水を入れている人物のショッピングカートには 給水用のペットボトルが四本入って居て どうやら3本目に吸水する為 カードを挿入したらしい…
少し青錆の浮いた金属製ドアノブに触れると 物理的な冷たさだけで無く それ以外の何かも感じ…… 背筋が冷えた………… L字型のバーを下げ 重い鉄の扉に力をかける……… コンクリート打ちっぱなしの無機質な室内は 陰鬱な空気と 血の匂いで充満して居た………… 彼女は私に気付くと 二本の指を立て 一呼吸おいてから 「2分だけ待って……」 そう言って 焦点の定まらないような どこか混沌とした目付きで…… 私と目は合わせずに 曖昧な笑みを浮かべた……… 彼女の傍には スタイルの良い女が居た……… 私はその女がどうなるのか 事前に知らされて居たので顔を見ることが出来ず 赤黒い飛沫でシミだらけのコンクリート壁…
~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~ 今日の私は なんてついてないんだろう………… 朝からいきなり 猟奇殺人鬼に拉致られて 昼まで監禁…… めちゃくちゃされて殺されるっていう寸前に いっしょに拉致られた女の指骨が折られる音や 殴られる音を背に 全力で山を下った………… 車を捕まえて…… やれやれと 思ったら………… 乗せてくれた人も…… そっち系………… 私は誰も 苦しめたくない……… 楽に 幸せに…… 眠るように 殺してあげたい………… そう思って居るのに………… 今私は…… 目の前で滅多刺しにされた屍のせいで 血塗れだ………… ナイフを使うことに あまり慣れて居ない私の手には 水ぶくれが出来て…
~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~ こいつ狂ってるのか? そう思ったり 実際に言葉にしたことは 今までに 何度も在った………… だけど それら全てが大袈裟だったと…… 今日の私は…… 理解した………… この状況下で 服を脱がないのだ…… 目の前に居る女が………… 服を脱ごうとしないのだ………… すぐに脱いだほうが良いと言っても…… 何故か首を横に振るのだ………… 私達が閉じ込められた部屋は 辺り一面 裸の女の骸だらけだった……… 恋愛と一緒で 猟奇殺人鬼にも 好みが在るという話を聞いたことが在るが…… どうやら あの猟奇殺人鬼は 女で在れば 誰でも構わないらしかった………… 私はこの 裸の女達の…
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<何個言える?③>画像から「TOEFL」単語を思い浮かべよう
▼下記をボタンリックしていただけますと励みになります。 というわけで何個の英単語を思い浮かべることができたでし
え? おいおい…… あっ…… お前こんな時間から 何殺ってんだよ………… TO BE COMUGIKO 今朝はちょっとしたトラブルがあって 普通に更新が出来ず 番外編という形での公開となりました…… 『証券会社で働いて居ます』の物語 更新は毎朝職場のパソコンで こっそりと行って居ります 私は自分のパソコンどころか スマフォすら持って居ないのです いつもイラストをガラケーのカメラで撮影し 職場のパソコンに取り込み 文章を打ち込み 公開する という流れなのですが…… 今朝は珍しく こんな時間から上司が出勤して居ます…… 見つかると面倒なので 以前描いたイラストを用い サクッと番外編として公開の巻
~ 追憶 東雲坂田鮫 ~ 頭を二つ… 並べてみた………… 先生みたいに センス良く飾ることの 難しさを知った…… やっぱり先生は凄い……… 先生は…… 先生は今何処に居るのだろう………… 先生と逢いたい…… 先生とまた一緒に あの美味しい紅茶を呑みたい………… と…… 強く…思った………… 学校の水道で 血塗れの 軀と服を洗った………… ノコギリは 柄の部分が木製で 刃は鉄製…… 自然素材だから…… と 言い訳して 川に投げた………… さほどお腹が空いて居た訳では無かったけれど 心は完全な空腹だった…… 食パンが 食べたくて食べたくて………… 仕方無かった………… 一旦家に帰って 濡れた服を洗…
~ 追憶 東雲坂田鮫 ~ 少し…… 夢を見て居た…… 先生との 愉しい思い出………… 軀を揺すられて…… 私は目を覚ました………… 目の前には… 先生が 「あいつ」 と 呼んで居た いじめっ子の女が居た…… 女はだらしなく口を開けて…… こっちを見て居た………… 私は軀を揺すられ続けながら… その女を観察した………… 女の目付きや表情に… なんとなく違和感を感じたからだ……… よく見ると月明かりに照らされた女は水溜りの中に居て……… 頭と胴体が………… 繋がって居なかった………… ………… 驚きはしなかった……… 因果応報 その言葉が 頭に浮んだ… それと同時に私は 先生の冷蔵庫と 食パンの味…
~ 追憶 東雲坂田鮫 ~ 先生が姿を消した後も 私の基本的な生活は それまでと何も変わって居なかった…… 夜明け前 或いは 夜が明けてから帰宅する母親を避けて まだ暗い時間に外へ出る日々……… でも 基本的な生活以外では 変わったことも在った……… 私はあの日 先生の部屋を出て以来 先生のことを考えない日が無くなった……… 先生のことを考えて居るとき…… 無意識に 自分の軀を縛って居た………… 勿論あのとき先生が優しく私の手に乗せてくれた包帯で………… それが 今何処に居るかも解らない先生を 身近に感じられる気がする 唯一の方法だと…… 知った………… あの日先生がしてくれたみたいに 毎日自分…
~ 保健室で 産業医 津葦キリコ ~ ああ…… ローズ………… どうしたの? それ…… へえ…… そうなんだ…… ありがとう 嬉しいよ お客さん相談ルームだったっけ? 良いことも在るんだね…… それはそうだろうね…… だって基本業務がクレーマーさんとのトークなんでしょ? ………… パイナップルか………… フフフ…… なんか…… 昔のこと…… 思い出しちゃうね………… TO BE COMUGIKO おまけ イラストを描くとき 左手で描いたり 右手で描いたり その時の感じで変えてます 左手で描くイラストと 右手で描くイラストは けっこう雰囲気が違って 特に慣れて居ないほうの手で描くイラストは 自分…
「鯖戸先輩…… この子……… もう…… 息してない…………」 「酒森が殺ったんだよ……」 「…… ……はい……」 「酒森も同じだね…… もう… 私と同じだ……」 「…………」 「酒森が殺らなきゃ私が殺ってた」 「はい…………」 「どうしたってあの子達は 死ぬことになってた…………」 「はい…… 解ってます…………」 「自分は直接手をくだしてないって…… だから 自分は殺ってないって…… そんな酷い話があるかよ…………… 私達は 私達が奪った命を背負って 生きていくんだ」 「はい…… あの… 鯖戸先輩……」 「ん?」 「またこういうことが在ったら…… 呼んでください……… 私…… 鯖戸先輩や 東…
~ 追憶 産業医 津葦キリコ ~ かなりの長時間 女が暴行され続けて居る倉庫の中で…… 隠れて居た…… 被害者は私の同僚で 加害者は上司と先輩達…… 私は全員の顔を知って居た………… 会社の金を盗んで逃げる計画を持ち出したのは 今 私の隣に居る女だった…… 広い倉庫だったが 捜されれば…… 私達は忽ち捕まって居ただろう………… でも 上司達は…… そうしなかった………… 同僚を暴行し続けながら 時折私や 私の隣に居る女の名を呼んだ…… 被害者の女以外…… 皆とても愉しそうだった………… 倉庫内にチェーンソーの音と 女の叫び声が鳴り響いた………… 四回目の切断音の後 女の声は 聞こえなくなった……
夜の色を吸い込んで 真黒になった刃を 女の頸動脈に当てる… 瞬間 女は「あ」と くちから漏らした………… まともに研いで居なかった刃は まだ女の首を傷つけて居なかった…… 女の喉に触れた刃から 間接的に伝わる浅い息…… それを感じながら 私は右手の小指と薬指に力を入れて…… 強く…引いた………… 赤いはずだったその色は 闇に吸い取られ 私の頬に 暖かさと 鉄の匂いだけを感じさせる………… 首から胸に流れる間…… それは徐々に温度を下げた………… 少しの間を置いて…… どさり という音と共に 振動が足から這い上がって来て その時内腿を通り過ぎようとして居たそれと… ぶつかった…… 私の頬に 暖か…
~ クラスメイト ~ 「お前はくちを開くな私生児」 私の耳がその言葉を感知したすぐ後に 婆ちゃんは女を撃ち殺した…… 耳障りな悲鳴が聞こえた…… 私の髪をつかんで居た女の手から ゆっくりと力が抜けて行き 右半分が 熟れ過ぎたザクロのようになった女の顔に 引きずられるようにして 下方へと滑り降りて行く……… 現実感が全く無かった…… まるで白黒の活動写真でも観て居るかのようだった………… 婆ちゃんは優しく私を抱きしめてから 「お前も私生児だろうが……」 そう言って 女の死体めがけてもう一度散弾銃の引き金を引いた…… 左側もザクロになって 飛び出した眼球と…… 目が合った………… 今度はさっきみた…
~ 追憶 東雲坂田鮫 ~ 本当に悲しいとき 涙はいつも左側……… 左の頬を……… 冷たく濡らす………… 私はいったい ここでなにをして居るのか…… 貴女が居ない一日は とても寂しく そして悲しい…… 誰も居なかった冬の夜 暖炉にくべた 蘭のことを思い出す………… 小学校を卒業するまで 私は大きな屋敷で暮らして居た…… そこには沢山のアネモネが居たけれど アネモネの花はすぐ落ちる…… だから私の母親は 何時も花瓶に 何か別の花を生けて居た…… 広い部屋に 私はひとり 怖くは無かったけれど 退屈で 私は丁度花瓶に生けてあった欄を…… 暖炉にくべてみた…… 欄はみるみる姿を変えて 私の前から居なくな…
~ 自分の部屋で 酒森 ~ 今夜は来ないのかな…… 急に来られると…… ちょっとウザいなって思ったりもするんだけど…… 来なきゃ来ないで……… 少し寂しい…気もするね………… さて…… 今夜は……… どんなふうに 殺ろうかな………… いくら経験を積んでもやっぱり泣いちゃう玉ねぎしごと…… TO BE COMUGIKO
~ 私の部屋で 酒森 ~ 「え?? どーしたの?…… 滅茶苦茶泣いてるじゃない…… 大丈夫?……」 「解らないんです…… 急にまた…… 涙が止まらなくなって……」 「あ…… センパイ…… センパイも…… 泣いてる……」 「玉葱を調理する祭は 切ってから暫くおいといたほーが良いんだよ…… そのほーが健康効果上がるからね……」 「そのほーって呼ばれたの初めて…… 蛇苺センパイも時代劇好きなんですね……」 「そういう意味じゃ…… 無いのよ?……」 TO BE COMUGIKO
~ 心の中で 酒森 ~ 永遠に続けることなんて出来やしない……… そんなことも解らない程 私は子供じゃ無かった………… いつかは終わらせなければならないということは…… 始めから解って居た…… そしてそのいつかは………… すぐにやって来るのだということも………… その夜は鯖戸先輩が宿直だった…… 今年に入って まだ麺を食べて居なかった私は…… 麺に飢えて居た…… 1.5㎜のスパゲティーニを茹でて 大豆の煮汁溶き片栗粉で とろみをつけた…… 下味として 軽く塩と醤油を用いたこのパスタを 土鍋に入れ…… こんこん煮の具材をトッピングした…… 卵焼きも置いてみた………… 憂いに満ちた私の心と軀を優し…
~ 心の中で 鯖戸 ~ 私は今日出張だった…… 出張先から直帰の予定だったが 途中会社に寄った…… 今夜も酒森の住処に転がり込んで 一緒にこんこん煮を殺りながら呑みたかったからだ……… 今日酒森は出張だった私の代わりに 解体室で働いて居る…… 解体室に行くと酒森が居た…… 浮かない顔をして居るので どうしたか尋ねると…… 東雲坂田鮫が手伝ってくれたので 解体室での仕事自体は終わったのだが 別件で急遽宿直になってしまったという…… じゃあまた明日にでも…… そう言いかけたら酒森は私に自分の居住処の鍵を渡して 今夜は一人で食べて その代わり新しい具材を追い 火入れして毛布で巻いておいて欲しいと言う…
~ バーテンダー ~ 出張先から帰店すると 未だ太陽は高い位置に在り その光は私にとって 死を連想させるものだった…… 我々のような 夜の仕事に従事して居る者で在れば ご理解いただけることとは思うが 日中の太陽光は 一万本の槍にも匹敵するもので在り 翌日に私の葬儀が執り行われなかったことは 奇跡と言っても過言では無い…… 通常で在れば 一度店内に入れば もう太陽が見える時間に外へ出ることは無い しかしこの日はどうしてもまた 一万本の槍が降り注ぐ店外へと 足を運ばなければならない理由が在った…… 私は死を覚悟して BARの重い扉を開いた…… 万に一つの奇跡を求め ローズマリーの佇む場所へ向かった…