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(本話の量は文庫本換算0.5P程です。)或る春の日の職場。遠目で、金髪ギャル職員が黒髪にしたことに気が付いた。今まで金髪だったために気付かなかったが、彼女の顔立ちは、高校時代に憧れていた体育教師に似ていると。懐かしさがこみあげてきたし、20代前半には有ったのに今は無い感情か?湧いてきた気もする。その体育教師は10歳年上で恋愛にはならなかったが、でも今同じ職場の彼女となら…。その時。花粉症気味の彼女は、いつも...
(本話の量は文庫本換算0.5P程です。)或る秋の仕事帰り。自宅アパートの吹きさらしの階段を、柔らかなオレンジに染まる空を眺めながら自室の有る階へ登ると、階段を登ってすぐの部屋から、料理中なのだろう、換気扇がゴォォと音を立てて回っていて、カレーの良い匂いが送り出されてくる。秋・夕空・家庭の換気扇からカレーの匂い。実にノスタルジックなシチュエーションに出くわしたものだ。ただし、カレーの匂いは、インドカレー屋...
(本話の量は文庫本換算0.5P程です。)昼休み、オフィスの地下にて、蕎麦をいただく。前に来た時よりも、鰹節のニゲッとならない程度の苦味もパンチに風味は立っている。他店の蕎麦と比較しても、そこがこの店の特徴か?(個人的感想です。料理評論家ではありません。)そう思った時に或ることに気が付く、蕎麦店を比較できる程に蕎麦をいただく頻度が増した、と。20代前半の時はこってりラーメンばかりいただいていたし、麺類に限らず...
久しぶりだと解釈が変わること【無料短編小説・日常・面白い話】
(本話の量は文庫本換算0.8P程です。)春の或日、オフィスで黒カーディガンを着て働いていると、Aさん、Bさん、Cさんや他の人に「色褪せてるね」「新しいのを買えよ」「営業だったらアウトだ」なんて、言われた。俺は「もう夏だから、新しいのを買うのもなあ…」と言って着続けていると、カーディガンのオフシーズンである夏を迎えた。この黒カーディガンは、去年の秋に買って、オフィスでは毎日着て、毎日ファブリーズやリセッシュを...
(本話の量は文庫本換算0.5P程です。)或る昼休み、外出へとエレベーターを待っていると、同じく外出へとエレベーターにやってきた同僚と、立ち話しに。同僚は「暇だ〜」と愚痴るので、理由を尋ねると、「午後の会議に関係部署という理由で参加しないといけないのだけど、発言すべきことも無いし、会議の内容なんて後で議事録を読めば良いだろ?俺が会議の場に居る必要無いんだよなあ」と。エレベーターに乗ってからも同じ調子なので...
社史編纂室という部署は、果たして実在するのだろうか。「社史編纂室」とは、閑職の代表格としてドラマや小説などではたびたび登場する部署。しかし、その存在はもはや都市伝説の域に片足をつっこんでいる気がします。『星間商事株式会社 社史編纂室』あらす
冠婚葬祭をテーマにした4つのオムニバス小説『冠・婚・葬・祭』。中島京子さんが冠婚葬祭というテーマから垣間見れる、人生のワンシーンを独特の視点で描いています。 空に、ディアボロを高く 地方記者だった裕也は、成人式の記事に誤報を載せてしまったこ
瀬尾まいこさんの本を読むと、いつも優しい気持ちになれます。『優しい音楽』はどこにでもいそうな恋人達の、愛しくてせつなくて、ちょっと笑える物語。 「恋人達」の話と見せかけて実は「家族」を描いているのが、瀬尾まいこさんらしいですね。 優しい音楽
父親と彼氏と私との奇妙な同居生活を描いた『お父さんと伊藤さん』を読みました。『お父さんと伊藤さん』あらすじ彩はアルバイトで生計を立てている34歳。同棲中の彼氏の伊藤さんとは歳が20歳が離れている。世間からみたら負け組なふたりだけれど、本人た
宮下奈都さんの「誰かが足りない 」。レストランと食べ物にちなんだほっこりとした話かとおもいきや、意外な視点で物語が綴られます。様々な人がレストランに予約を入れるまでの、オムニバスになっているのです。古くからの老舗で、人気のレストラン・ハライ
『おしまいのデート』は、普通の人々の、よくあるようなお話です。けれど、瀬尾まいこさんが描くと、どのお話もいとおしく、切なくなります。 瀬尾まいこさんは、私たちが邪険に扱ってしまう普通の日常を、丹念に拾い集めて磨き上げ、私たちの前に見せてくれ
荻上直子監督の映画『彼らが本気で編むときは』のノベライズ版。トランスジェンダーや育児放棄をテーマにした物語です。これを読むと「普通」ってなんだろうって、改めて考えされられます。『彼らが本気で編む時は』あらすじ小学五年生のトモは母親とふたり暮
「パンとスープとネコ日和」は、「かもめ食堂」のスタッフが制作したWOWOWドラマ。その原作にあたる「パンとスープとネコ日和」を読みました。こちらも「かもめ食堂」と同じく、群ようこさんが原作を手掛けています。「パンとスープとネコ日和」あらすじ
誰もみな、葬りたくなる気持ちを持っている。そんな気持ちを埋葬する不思議な棺桶のお話です。『ビオレタ』あらすじ婚約者に突然別れを告げられ、雨の中泣いていた妙は、ドーベルマンのような印象の女性・菫さんに「道端で泣くのはやめなさい」と、半ば強引に
『メロディ・フェア』は、普通の人たちのなにげない日常を描いた宮下奈都さんの小説。タイトルのメロディ・フェアは、物語の舞台となるショッピングモールで流れる音楽だそうです。『メロディ・フェア』あらすじ故郷との福井に戻り、ビューティーアドバイザー
漢方を通じて人生の生き方…というのは大げさだけれど、日々を生きていく心構えみたいなものを、教えてくれる小説でした。漢方小説 あらすじ主人公は31歳の女性ライター、みのりは昔の彼氏が結婚するショックから体調を崩してしまう。病院を当たってみるが