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『Justice ~裁判員裁判~』 ~53話 案件:A子 4~
作品紹介です。 『Justice ~裁判員裁判~』 ~53話 案件:A子 4~UPしました。 ※無料サイトですので、お気軽に覗いてみてください。 よろしくお願いいたします。m(__)m ※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。二つのランキングに参加しています。 応援、宜しくお願いいたします。 にほんブログ村 人気ブログランキング...
『Justice ~裁判員裁判~』 ~52話 案件:A子 3~
作品紹介です。 『Justice ~裁判員裁判~』 ~52話 案件:A子 3~UPしました。 ※無料サイトですので、お気軽に覗いてみてください。 よろしくお願いいたします。m(__)m ※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。二つのランキングに参加しています。 応援、宜しくお願いいたします。 にほんブログ村 人気ブログランキング...
日本の現代文学作品の優れた翻訳家を発掘・育成することを目的に文化庁が開催するJLPP翻訳コンクール。応募受付は令和5年6月1日から30日です。
『Justice ~裁判員裁判~』 ~51話 案件:A子 2~
作品紹介です。 『Justice ~裁判員裁判~』 ~51話 案件:A子 2~UPしました。 ※無料サイトですので、お気軽に覗いてみてください。 よろしくお願いいたします。m(__)m ※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。二つのランキングに参加しています。 応援、宜しくお願いいたします。 にほんブログ村 人気ブログランキング...
シュウの話、第78話。薄暗い街の片隅で。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1. 時は双月暦506年。 夜道を駆ける、三毛耳の猫獣人の少女がいた。 名を、晴奈と言う。 央南地方で名を馳せる大商家の令嬢であったが、先刻その身分を自ら捨ててきた。 彼女には志ができたからだ――「あの人のように、強い剣士になりたい」と。 元々、彼女は何不自由なく育てられていた、箱入り娘であった。ゆくゆくは婿を取らせて家を...
十二話 『マドモアゼルT』 聡ノ往く道 二章『夏樹と三人の由紀子』
櫻(さくら)町の西側には、大島という島がある。八月の鬼神会の突然の襲撃。その拠点となっていたのではないか? という話が出た時、水及(みなの)が大島に古代の遺跡があることを思い出した。その古代の遺跡の調査のため、という名目で働き詰めだった水及は、勝彦(かつひこ)、五十鈴(いすず)、晃(あきら)を連れて大島にやってきていた。 古代の遺跡の探索は、次の日の予定となっていた。そのため民宿まで荷物を運んだあとは…
十一話 『他人の空似』 聡ノ往く道 二章『夏樹と三人の由紀子』
神山聡は、一人で堤防から輝く海を眺めていた。今日は、勤め先の社長に誘われて大島に旅行にやってきていた。 「一緒に泳ぎに行こうよ!」 と、社長の娘である虹野(こうの)夏樹に誘われた。 「いや、女の子ばかりの所におっさん一人は無理があり過ぎる」 それを断って、聡は釣竿を借りて堤防までやってきていた。遠くから甲高い声が聞こえてくる。砂浜で夏樹たちが遊んでいるのが、堤防から見ることが出来た。 「事故…
十話『引きこもりの母』 聡ノ往く道 二章『夏樹と三人の由紀子』
椿が、廊下で難しい顔をして庭を睨んでいた。庭は、いつも通りの庭だ。一体、何を睨んでいるのか。 「どうかしたんですか?」 声をかける櫻(さくら)。 「うん。納得がいかない」 椿の横に立って気付いた。彼女の視線の先には、ここからでは見えないが離れがあった。 「晃(あきら)くんがあの旧座敷牢から出られたことは喜ばしいこと。ただ、何故よりにもよってあの人の所に行くのか。あの人、ただの引きこもりですよ!…
おすすめ女性作家を4人紹介します。小説好きな方は知っている作家さんも多いかもしれません。知名度の高い作品は読まれている場合も多いかと思いますので、ここではあえて隠れた名作小説を紹介していきます。
臨時の当主会議が終わる。 鬼神会の襲撃と赤鬼(せっき)の暴走。今日の会議で、ようやっと大体の情報が集まり、方針が定まった。 まずは、鬼神会の襲撃。保護した藤堂晃(あきら)から、氷女(こおりめ)沙夜を狙ったという証言があったが、それにしては全体的に計画が杜撰に思えた。氷女沙夜を狙ったのは口実。本来の目的があったと推測される。鬼神皇が橘家を襲撃してきたが、鬼神皇は勝彦と戦った後、特別何かの目的を達成…
橘櫻(さくら)は、不機嫌そうな顔をしていた。氷女(こおりめ)沙夜は、櫻にどう声をかけていいのか分からないと同時に、由紀子(ゆきね)の事が心配でもあった。 赤鬼(せっき)の力は治まったが、無事に目を覚ましたのだろうか。それを聞こうにも、櫻がとにかく機嫌が悪そう。 どうしたものか――。 「あぁ、もう! 陰気がうつる!」 我慢の限界だったらしく、アカリが飛び出てきた。 「櫻、お前がそんなにカリカリして…
部屋の中には、由紀子(ゆきね)の姿の茜と椿の二人だけ。茜は、届いた資料を読んでおり、椿は所在なさげにスマートフォンを触っていた。 「椿さん」 「はい」 茜は、苦笑していた。 「なんだか、ごめんなさい。この体で生活していた由紀子という子とは、仲良くされていたんでしょ? それなのに、私なんかがこの体を使っていて」 「……私の本来の役目は、赤鬼(せっき)の暴走を起こした際、水及(みなの)様が到着するまで…
橘家の廊下。水及(みなの)は、由紀子(ゆきね)の様子を見に行くため、歩いていた。 「くっそ、昨日は酷い目に遭った」 昨日の事を思い出す。 「わざわざ申し訳ありません」 車から降りたところで、出迎えに来ていた除霊士の男が頭を下げる。 「妖(あやかし)は、狼型で体躯は優に二メートルを超えております。一体、二体程度ならば我々でも対処が出来たのですが、少なくとも十体。それが、統率が取れた動きをしていて、…
五話『覚醒予兆 後編』 聡ノ往く道 二章『夏樹と三人の由紀子』
状況は、混沌としていた。 「つまるところ、由紀子(ゆきね)さんの封印が最優先という事ですね」 椿は、その混沌とした状況の中から、最優先事項を引っ張り上げる。 椿が到着した時には、すでに櫻(さくら)を襲った鬼神会の構成員と赤鬼(せっき)を暴走させた由紀子は居なかった。 鬼神会の構成員との戦いで負傷した櫻は、すぐ後に合流したフリーの除霊士である沢村遙の治療魔法で応急処置を受けていた。 「私、回復魔…
はじめにダンまちの新刊の情報も一向にないしでも何か読み応えのありそうなやつを読みたい。そう思ってゴールデンウィークの頃に本屋で小一時間ほど物色して買ってきた本が2冊。一冊は既出のライトノベル「処刑少女の生きる道」そして、もう一冊が「名もなき
「緑綺星」第2部のキャラ紹介。騎士団の遺志を継ぐ者、エヴァと、シュウの先輩。名前エヴァンジェリン・アドラー / Evangeline Adler性別・種族・生年身体的特徴女性 / 狼獣人 / 697年髪:黒 瞳:青 耳・尻尾:黒、先端に白長身、やや筋肉質 色黒職業「ラスト・ダークナイト」ガチのお嬢様で文武両道で孤高のワンマンアーミーって、腹立つくらい設定盛り込みすぎじゃないですか?でも性格も良いコなんですよねー。悪いトコどこ...
下記ページにて、「緑綺星」第2部の目次とあらすじを追加しました。http://auring.web.fc2.com/au-novel.html(目次)http://auring.web.fc2.com/ro-outline2.html(第2部あらすじ)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -困った。第3部の展開がほとんど思いつかない。現時点で決まってることは第3部主人公の名前と特徴くらいです。……ともかく他の予定をある程度片付けてしまってから、じっくり取り掛かろうと思います。...
絵師さん募集中!黄輪雑貨本店 総合目次 (あらすじもこちらにあります)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -「緑綺星」地図(作成中……)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -「双月暦」の暦双月世界の魔力・魔術観について双月世界の種族と遺伝(2019年版)双月世界の戸籍- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1話目から読みたい方はこちら緑綺星・狼嬢譚1 2 3 4緑綺星・闇騎譚1 2 3 4 5 6緑綺星・嘘義譚1 2 3 4 5 ...
シュウの話、第77話。広がる闇。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -9. シュウたちがリビングに入った途端、一行テロップが表示されていたテレビ画面は、金火狐総帥シラクゾ・ゴールドマンのバストアップに切り替わった。《本日報告された飛翔体によるテロ攻撃に関し、公安局に犯行声明が送られました。現在公安局にて大々的な捜査が進められている犯罪組織『ネオクラウン』からのものと思われます》「なんやて!?」 先...
シュウの話、第76話。シュウ・メイスンのターニングポイント。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -8.「まあ、その、なんだ。またお達しがあったわけだが」「奇遇ですねー。わたしにもありましたよー」 セーフエリアにて、シュウとカニートがまた、二人きりで話し合っていた。「わたしの方から先にお話した方がいいですかー?」「……だろうな」「じゃ、まずコレを」 そう前置きし、シュウは自分のスマホに送られてきた文面...
シュウの話、第75話。ラスト・ダークナイト;その宿命のために。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -7.「トッドレールか?」「です。……もしもーし」 電話に出た途端、あのキンキンとしたアルトの声がコクピット内に響き渡った。《もしもーしじゃねえよ、お前さんよぉ? なんだって白猫党のヘリなんざ奪ってやがんだ? 特区じゃ大騒ぎだぜ、『キジトラ猫獣人と真っ黒な狼獣人の二人がアジト襲った』っつって、血眼で探し...
シュウの話、第74話。ミッション・インコンプリート。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -6. その時だった。《……さん! エヴァさん! 聞こえ……すか!?》 まだ耳に付けたままだった通信機から、とぎれとぎれにラモンの声が聞こえてきた。《急い……陰に隠……て! 航……支援し……す!》「……!」 エヴァは小銃を捨て、ばっと身を翻す。《おいおい、まだやる気なの?》 一方、エヴァとラモンのやり取りに気付いていないらし...
シュウの話、第73話。次世代型戦闘兵器・SD714。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5. 一瞬前までエヴァが立っていた場所に無数の弾痕が刻まれ、その背後にあった執務机は木っ端微塵に破壊される。(回転連射砲にグレネード砲2門――一瞬でも気を抜けば、私もあの机同様に細切れにされる!) エヴァはSD714の集中砲火から逃げるため、側面に回り込もうとする。だがSD714は頭部をぐるんと動かし、エヴァを追尾す...
シュウの話、第72話。クーデターの真実。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. 人形から唐突な真実を告げられ、エヴァは面食らっていた。「死んでいる!? 3年前にだと!?」《ああ。アドラー家から逃げ出した後、彼は我々のところに身を寄せて……いや、これも率直に言おう。我々が身柄を拘束したんだ》「白猫党か?」 エヴァのこの質問に、人形はようやく驚いた様子を見せた。《へえ? 偽装したつもりだったけど、よ...
皆さんは、「貧困」という言葉にどんなイメージを持ちますか?自分とは関係ない遠い異国の話でしょうか?それとも、身近にある問題でしょうか?今回紹介する小説は、日本でも当たり前に存在する、誰にでも起こりうる貧困について扱ったものです。日本の貧困に
シュウの話、第70話。祖父の後悔。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2. アドラー屋敷も相当攻撃を受けたらしく、既に半壊していた。(流れ弾が当たったと言う感じじゃない。間違いなく攻撃目標にされた感じだ。……いや、相手のトップがリベロなんだ。ここを襲わないわけが無い) 崩れ落ちた箇所から中へ入り、用心深く廊下を進む。(騎士団本部を最初に襲い、そして陥落させたとして、祖父が簡単に投降するとは思えない...
シュウの話、第71話。嘘と偽装と。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3. エヴァが大統領官邸に到着した時点で、既に太陽は西へ傾き、夕暮れが迫りつつあった。(今朝方、電撃的に襲撃したのだから、相手はおしなべて疲労しているだろう。注意力も落ち込んでいるはずだ。薄暮時の今なら私の行動を捕捉し、即応することは難しいだろう) 物陰から敵の様子を確認したところ、エヴァの予想通り、誰も彼も憔悴した表情でぼん...
シュウの話、第69話。自分自身へのミッション。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1. 3年前、エヴァの兄リベロ・アドラーも家の期待を背負い、騎士団試験に臨んでいた。しかし――周囲にとっても、そして恐らくはリベロ本人にとっても――極めて残念なことに、リベロはその期待に応えられるだけの資質・能力を持ち合わせていなかった。結果としてリベロは試験に落第し、その翌日から屋敷の地下に軟禁された。「一族の面汚し...
シュウの話、第68話。奇妙な符合。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -8. 合流したラモンに、エヴァは駐車場のヘリを指し示す。「あれは操縦できるか?」「は?」 目を丸くするも、ラモンはこくりとうなずいた。「まあ、できなくはないですが」「あれならリモード共和国まで1時間くらいで行ける。いますぐ調達できる移動手段としては、あれ以上は無いだろう」エヴァの言葉に、ラモンの猫耳がびくんと跳ねる。「リモード...
シュウの話、第67話。拠点制圧。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -7. ラモンに案内され、エヴァは工場跡らしき建物の裏手に到着した。「連中はこの中で生活してます。半月に1回くらいでトラックも来るんで、結構忙しくしてるみたいですよ」「忙しく、か」 建物の窓から中をうかがおうとしたが、廃屋に似合わない真新しい軍用コンテナに視界が阻まれる。「確かに何かの拠点らしいな」「たまーに盗みに入ろうとする奴が...
シュウの話、第66話。無法地帯の儲け話。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -6.「どうしたんですか、こんなところで? ……あ、そんなに警戒しないでいいです」 ラモンはそう続け、腰のテーザー銃――結局あの晩に鹵獲した後、ずっと携行していた――に手を伸ばしたエヴァに落ち着くよう促す。「アルトさんならもうこの街にいません」「そうなのか?」「なんか結構大きい仕事頼まれたらしいです。書き置きだけ残ってました」「…...
シュウの話、第65話。罪と報復。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5.「エクスプローラ社の役員から直々に、お前にお達しがあった」 正午少し前、シュウは苦い顔をしたカニートに呼び出され、二人きりで話していた。「『弊社のインターン生がビデオクラウドにて政治的主張を主旨とする動画を配信していたとの情報をつかみ、我々役員会で当該動画を視聴した結果、前述のインターン生、シュウ・メイスンと思しき名前が公表...
シュウの話、第64話。臨時ニュース。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. セーフエリア強襲と、そしてエヴァの訴えが配信されたその翌日、午前8時少し前――。「ふあ~ぁ……全然伸びてないね、再生数。37回だって」「……そうか」 意を決して執った行動が功を奏しておらず、エヴァはがっかりしていた。「だが一応の牽制にはなっただろう。この動画が世に出回った今、奴らが襲ってきたら、わたしの主張を認めたも同然に……...
シュウの話、第63話。メイスンリポート#1;エヴァンジェリン・アドラー嬢の告発!- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3.「積極的な? ……どーゆーコト?」 きょとんとするシュウに、エヴァはこう返した。「襲う理由は一つしか無い。私に共和国の内情を語られてはまずいからだ。なら、先んじて公表してしまえばいい。その後で襲ってきたところで、もう手遅れだからな」「つまり今すぐ報道しろってことか。確かに効果はある...
シュウの話、第62話。偶然の撮影記録。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2. セーフエリア内を周り、他の敵を探している間に、どうやらトラス側の態勢も整ってきたらしく、廊下の電気が一斉に点く。「止まれ!」 兵士たちが4人一組で現れ、エヴァに声をかける。「怪しい者じゃない。本日、ここに護送されたエヴァンジェリン・アドラーだ」 素直にテーザー銃を床に捨て、両手と尻尾を挙げたエヴァに、兵士たちはほっと...
シュウの話、第61話。真夜中の襲撃。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1. 眠っていたはずなのにすっかりくたびれ切ってしまい、エヴァはもそもそとベッドから這い出した。(なんて悪夢だ……) ブラインドが下りた窓に目をやるが、一筋の光も差していない。(9時前に寝てしまったが、……どれくらい寝られただろう? 3時か、4時か……) そう思って部屋の中にあったデジタル時計を見ると、3時どころか、まだ日をまたい...
シュウの話、第60話。煩悶と悪夢。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -6. 食事と入浴を済ませたところで、エヴァは強烈な眠気に襲われていた。(まさか……食事に何か盛られた? ……なわけないか)「どしたの?」 様子を眺めていたシュウに尋ねられ、エヴァは素直に答えた。「疲れて眠い。そろそろ休みたい」「もう? だってまだ9時前、……ってそっか、ついさっきまでハードな生活してたんだもんね。ベッドどうしよっかな...
シュウの話、第59話。トラス王国産官学事情。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5. オーノ博士が部屋を出たところで、エヴァは二人に尋ねてみた。「今の……オーノ博士、だったか。こっちの人間じゃないよな?」「そーですね。央南の方です」「どうしてわざわざ央南から人を呼んだんだ? 地質学者ならこっちにだって一杯いるだろう?」 エヴァがそう尋ねたところで、カニートの方が答えた。「央南の焔紅王国ってところに...
シュウの話、第58話。シュウの成長。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. と、部屋のドアがノックされ、全身泥だらけの、眼鏡の短耳が中に入って来た。「ごめんなさい、すっかり遅くなっちゃ、……って?」 エヴァと目が合い、短耳は目を丸くする。「あの、その人は? 警護の人……じゃないですよね」「ええ。あ、紹介しますねー」 シュウが立ち上がり、まずはエヴァの方を示す。「こちらはエヴァンジェリン・アドラーさ...
シュウの話、第57話。央北政治の闇。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3. 頑丈な装甲車で20分ほど運ばれた後、エヴァはシュウたちが拠点にしているセーフエリアに到着した。(高さ3メートルを超えるコンクリート製防壁がエリア全体を囲み、出入口のゲートも、厚さ30ミリはあるだろう鋼鉄製。その前後に、アサルトライフルで武装した王国軍の兵士が数名。流石にここは守りが堅いか。もし突破でもされれば、王国の威...
シュウの話、第56話。友との再会。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2. ほとんど無意識に、エヴァはスマホに上ずった声をぶつけていた。《もしもーし? エヴァ、今だいじょ……》「シュウ! 君か!?」《ほぇ? う、うん、わたしがシュウだけど?》 シュウの戸惑った声に構わず、エヴァはまくし立てる。「そのっ、あのさっ、今、私はその、……ああそうだ、君、確かトラス王国に住んでたんだよな? 無理かも、いや、き...
シュウの話、第55話。「人」のいない街。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1. アルトたちと別れた後、エヴァはずっと廃ビルの中に潜んでいた。街へ繰り出せばアルトに鉢合わせする危険があったし――彼の性格と口ぶりからすれば、何ら状況の変化が無いままここで再会したとしても、約束通りに「金を払え」と要求してくることは明らかである――何より、長年自分を縛っていた環境から解放された反動が、自分で思っていたより...
シュウの話、第54話。夜は明けても、なお薄暗く。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -7. バスは国境を越えて2時間ほど後、テントや土塊を積み上げた小屋が連なる集落の手前で停車した。「ほれ、着いたぜ。これでバスの旅はおしまいだ。おっと、慌てなさんなよおチビさん方。慌てず騒がず一人ずつ、ゆっくりだ。ゆーっくり降りるんだぜ」 アルトに促され、奥から子供たちがぞろぞろとバスを降りていく。「なあ、ミリアン...
シュウの話、第53話。難民特区。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -6. アルトの言った通り、バスは危険に瀕することも、立ち往生することもなく、無事に白猫党領とトラス王国間の国境に到着した。「国境警備はどうなってる?」 尋ねたエヴァに、アルトは肩をすくめて返す。「白猫軍の現在の主戦場はもっと北だ。トラス側は事実上、『特区』に関しては放置してる。どっちも国境にゃ構ってらんねえのさ」「じゃあ、無防備...
シュウの話、第52話。夢も希望も無いお話。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5. エヴァを乗せて動き出したバスは、東へ向かっていた。「どこに向かうんだ?」「きょうび、白猫党領の難民が陸路で向かうとこっつったら、2つしかねえよ。西の天帝教直轄領マーソルか、東の『特区』ニューフィールドだ」「リモード共和国じゃないんだな」「当たり前だろ。近付いただけで撃たれるようなとこへなんざ、行っても無意味だぜ」...
シュウの話、第51話。軽蔑と訣別。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. エヴァは顔をぐしぐしとこすって涙をこそぎ取り、Rに怒鳴る。「もう御免だ。これ以上、国の悪事に加担するわけには行かない! 私は抜けさせてもらうぞ、R!」「抜けてどうする?」 Rはまだ顔を青くしてはいたが、どうやら回復してきたらしく、声には張りが戻ってきていた。「君は国家機密を知ってしまった身だ。その上で離隊したとなれば、騎...
シュウの話、第50話。騎士団の真実。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3.「おめでたい? おめでたいだとッ!?」 涙声で怒鳴ったエヴァに、老人は嘲った笑みを向ける。「そうだろうがよ。今の今まで、自分がやってきたことが分かんなかったってんだからよ」「知らされていなかったんだ。私たちはあれが敵だと言われて……」「そりゃあウソだな」 老人はヒッヒッと薄気味悪く笑い、エヴァたちが乗ってきたトラックをあご...
シュウの話、第49話。暗中のCQC。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2.「なっ……」 エヴァの目測ではトラックとの距離は10メートル近く離れていたはずだったが、老人はその10メートルを、瞬き程度の一瞬で詰めてきた。それでもエヴァは懸命に指を動かし、小銃を撃つ。だが――。「遅え、遅え。眠っちまうくらい遅いぜ」 老人は事も無げに小銃のバースト連射をかわし、エヴァの小銃をつかむ。「うっ!?」 反射的にエヴ...
シュウの話、第48話。激動の裏で。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1. 双月暦716年を迎えた途端に、世界情勢は目まぐるしく動き始めた。双月節が終わってまもなく金火狐第22代総帥が死去したとの訃報が流れたその半月後には、南の白猫党が大規模攻勢を仕掛け、北部前線を壊滅させたとの情報が央北を席巻。さらにその半年後には南側が北側首都を陥落させたと喧伝され、1世紀以上続いた白猫党の南北戦争に終結の兆...