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黄輪雑貨本店 新館 https://auring.blog.fc2.com/blog-entry-1494.html

長編ファンタジー小説「双月千年世界」、西部劇小説「DETECTIVE WESTERN」の他、待受画像のドット絵やイラストなどを掲載しています。

猫と中華デザインと可愛いものが好きなモノ書きです。

黄輪
フォロー
住所
城陽市
出身
佐世保市
ブログ村参加

2008/05/10

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  • 2024年4月携帯待受

    2024年4月の携帯待受。 トヨタの'83年式カリーナGT-R。 日産と違い、トヨタはグレード名に「GT」を安易に冠する傾向があります。 カローラにもスプリンターにもセリカにもソアラにもMR2にも86にも。 '70年代~'00年代くらいを探して回れば、 GTグレードを持つトヨタ車を山のように見付けられるでしょう。 とは言え本来「GT」とは「Grand Touring」、 すなわち長距離走行に耐える性能を持つクルマであることを示す...

  • キャラ紹介;猫藤雛

    「今日の旅岡さん」キャラ紹介。 名前猫藤雛 / みょうどう ひな / Hina Myodo性別・種族女性 / 猫特徴髪:桃、瞳:緑 耳・尻尾:茶、先端に白所属高等部 X年C組得意科目家庭科、保険体育苦手科目現代文、古文、日本史趣味筋トレ、野球観戦特技速球(最高記録149km/h)、変化球(フォーク、スライダー)先生の一言赤いの大好き二刀流エース。...

  • キャラ紹介;夜狼奈々

    「今日の旅岡さん」キャラ紹介。 名前夜狼奈々 / やがみ なな / Nana Yagami性別・種族女性 / 狼特徴髪:青、瞳:紫 耳・尻尾:銀、先端に白所属高等部 X年B組得意科目数学、物理、化学、英語苦手科目古文 、日本史、世界史趣味カラオケ、コスプレ(ミリタリー系)特技大声を出すこと(最高記録122db)先生の一言困った子を放っておけないツンデレ系委員長。...

  • キャラ紹介;虎海雅

    「今日の旅岡さん」キャラ紹介。 名前虎海雅 / とらみ みやび / Miyabi Torami性別・種族女性 / 虎特徴髪:金、瞳:橙 耳・尻尾:橙に茶縞所属高等部 X年B組得意科目全科目苦手科目なし(学年総合1位)趣味ミリタリー品蒐集、サバイバルゲーム特技アサルトライフルの解体&組立(最高記録58秒)先生の一言サバゲ大好きお嬢様。文武両道フィジカルおばけ。...

  • 2024年3月携帯待受

    2024年3月の携帯待受。 日産の'73年式スカイラインGT-R。 先代、C10型スカイラインの成功を引き継ぐべく、日産は同車種をフルモデルチェンジ。 よりスポーティかつ高級感をまとわせて設計された新型、C110型スカイラインは、 当時のCMキャラクター「ケンとメリー」にちなみ「ケンメリ」の愛称で親しまれ、 歴代スカイラインの中では最も多い販売台数を記録しました。 この人気に乗るべく、このモデルにも最上級モデ...

  • キャラ紹介;富士見柚子

    「今日の旅岡さん」キャラ紹介。 名前富士見柚子 / ふじみ ゆうこ / Yuko Fujimi性別・種族女性 / 狐特徴髪:銀灰、瞳:緑 耳・尻尾:金、先端に茶所属高等部 X年B組得意科目国語、英語、数学、化学苦手科目体育趣味アクセサリ収集特技気付かれないようこっそり忍び寄って驚かす(ただし旅岡さんには何故か全敗……)先生の一言優しくて努力家。体が弱くて、体育科目に若干の難あり。...

  • キャラ紹介;大江双葉

    「今日の旅岡さん」キャラ紹介。前回予告していた通り、今回は大江さん。名前大江双葉 / おおえ ふたば / Ooe Futaba性別・種族女性 / 長耳特徴髪:金、瞳:水所属高等部 X年B組得意科目国語、英語、歴史苦手科目物理趣味ゲーム、ウインドウショッピング特技口喧嘩(無敗)先生の一言見た目はクール、中身はガーリー。現代文はコンクール級。...

  • キャラ紹介;旅岡紅子

    初めて「今日の旅岡さん」を投稿してから5年近くが経とうと言うのに、ちゃんとしたキャラ紹介をやっていませんでした。と言うわけで今回、改めて紹介することにします。名前旅岡紅子 / たびおか べにこ / Beniko Tabioka性別・種族女性 / 短耳特徴髪:赤、瞳:青所属高等部 X年B組得意科目家庭科苦手科目英語、物理、化学趣味料理、ねこをモフモフすること特技料理の隠し味を当てること先生の一言ご飯は食べるのも作るのも大好き。...

  • 顔アイコン;天狐(2回目)

    ゲーム実況動画の展開で急遽欲しくなって描いた、天狐ちゃんアイコン。 今回使ったのは1つだけですが、今後もしまた登場の機会があった時のために、差分もちゃんと追加しています。...

  • 2024年2月携帯待受

    2024年2月の携帯待受。日産の'70年式スカイラインGT-R。「スカイライン」は元々、プリンス自動車が製造していた車種。しかしこのプリンス自動車が経営難に陥ったことにより、日産自動車に合併吸収されることになりました。この時、元々プリンスが販売していた車種の多くはそのまま日産に引き継がれており、スカイラインもこの一つでした。技術面で秀でていたプリンス自動車はモータースポーツでも結果を残しており、スカイライ...

  • オシャレはガマンやで~

    お正月、円さんと大江さんは連れ立って初詣に来ていた。寒空の下、お守りを買うための列に並ぶ二人の間を、寒風が吹き抜けていく。大江「ひぇ……寒いや」円「なんや、寒がりやな。コートもマフラーも手袋さんもしとるのに」大江「いや、今日は特に寒いって。最高気温4℃って言ってたし」円「全然行ける行ける。子供は風の子元気の子やで」大江「もうそんな歳じゃないって……。ってか、あんたの家系って冬にむちゃくちゃ強いよね。紅も...

  • 2024 あけましておめでとうございます

    明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願いいたします。例年通り、新年のご挨拶としてドット絵イラストを掲載します。いつもならクイズ形式で、ここがどこの駅かを当ててもらうのですが、今回はとあるゲームを元にした架空の駅であるため、答えは今回掲載するショートショートの中でお知らせします。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -「……?」ねこ車掌が目を覚ますと、そこは...

  • クルマのドット絵 その95

    今年制作したクルマの紹介。・ホンダ NSX TypeR(1992)・ホンダ インテグラ TypeR(1995)・ホンダ シビック TypeR(1997)今回のクルマのドット絵で紹介してきた、'90年代自動車企業史。最後はホンダ。ホンダの創業者、本田宗一郎が1991年。その「相棒」であった藤沢武夫が、さらにもう少し前の1988年。両者ともバブル後の世界を見ることなく、この世を去りました。この時点で二人とも、既に経営から退いてはいましたが、もし二...

  • クルマのドット絵 その94

    今年制作したクルマの紹介。・スズキ カプチーノ(1991)・三菱 ランサー エボリューション III(1995)・スバル インプレッサ(1997)前回、前々回からお話ししている'90年代自動車企業史。今回も紹介していきます。スズキはバランス感覚のいい企業と言えます。'80年代からGMと資本提携しつつ(2009年に提携解消)、トヨタを筆頭として日産、三菱、マツダへOEM供給をはじめとした業務提携を行っており、同業他社と親密な交友関係...

  • あんたが感謝してるのと同じくらい

    実は本日の未明くらいに閃き、急いで描き上げました。クリスマス仕様のパラ。ひょんなことから知り合った虎海さんと、その親友夜狼さんによって、どっぷりミリ沼につかってしまったパラ。普段着ているものがすっかりオリーブグリーンとネイビーブルーに染まった頃になってふと、虎海さんたちにお世話になりっぱなしで、ちゃんとお返しし切れてないのではないか、と思った。そこで虎海家が主催するクリスマスパーティに招待されたパ...

  • あれ夏毛とか冬毛とかあるん?

    旅岡さんや大江さんのようなつるんとした耳の人たちは、世間のふわふわな耳と尻尾を持つ人たちに対して、こんな疑問を持つことがしばしばある。「あれ夏毛とか冬毛とかあるん?」富士見さんと猫藤さんに聞いたところによると、「あんま変わんない。あたしの家、家族全員『狐』だけど、ペットみたく季節の変わり目に抜け毛ぶわー、みたいなのはないかなー」「あたしん家もそんな感じだなー。髪と一緒に切ってもらう程度。父ちゃんと...

  • 2024年1月携帯待受

    2024年1月の携帯待受。いすゞの'69年式ベレットGTR。「GT-R」を冠するクルマを日本で最初に開発したのは日産ではなく、まさかのいすゞでした。日本のモータースポーツ黎明期である'60年代、この当時は他の自動車メーカーと同様に乗用車部門を設けていたいすゞは、トヨタ・コロナや日産・ブルーバードと同じ中型セダン市場に参入すべく、既にあった高級セダン、ベレルをベースにもう一回り小さいセダン、ベレットを開発しました...

  • クルマのドット絵 その93

    今年制作したクルマの紹介。・トヨタ MR2(1989)・トヨタ スープラ(1993)・マツダ RX-7(1991)日本経済凋落の'90年代を、日本の代表とも言える各自動車会社はどう凌いでいたのか?今年は「'90年代スポーツカー」を取り上げ続けてきましたし、散々日産のことを腐してしまったので、他のメーカーのことも取り上げていきます。'80年代までトヨタの得意分野であった高級セダン・クーペ市場は、'90年代に入ってその人気・シェアを大...

  • 架空ロゴ;「ランクス&アレックス」(リメイク)

    以前に製作した超巨大ドーナツチェーン店、「ランクス&アレックス」のロゴを、もっとかわいく作り直してみました。かわいい狼のイラストを製作していただいたキツネ月(@Kitsune_Hyoka)さん、そしてかわいいフォントデザインをお借りしたゆうたONE(@yuta_ptv)さん、ありがとうございました!なお、「イヌ科にチョコレートって大丈夫なの?」と言う疑問については、「僕の世界では大丈夫。大抵の人類が大好き」とお答えしておき...

  • クルマのドット絵 その92

    年末恒例、今年制作したクルマの紹介。・日産 フェアレディZ(1989)・日産 シルビア(1999)・日産 スカイライン GT-R(1999)'70年代、'80年代には北米でも人気を博していた日産でしたが、'90年代から大迷走を繰り返し、やがて2兆円の負債を抱えて、……と言うことは以前にお伝えしましたが、現在でも日産のCMを毎日目にするくらいには順調な経営が続いていることから、どうにか'00年代をしのげたのだと言うことは察せられます。そ...

  • 顔アイコン;エリザ(2回目)

    小鈴とシュウの顔アイコンを更新し、動画の進行としてはもう更新する必要はないんですが、作りたくなったのでエリザの顔アイコンも更新しました。 前バージョンと比べてオトナのお姉さん感が増しました。あとバストラインがいくらか自然になったかも。何かの機会に動画で使いたいところですが、使うとなると動画が4人体制になり、進行がものすごくわちゃわちゃしそうで、二の足を踏んでいます。...

  • 2023年12月携帯待受

    2023年12月の携帯待受。ホンダの'92年式NSXタイプR。現状のホンダのラインナップでは、既に「シビック」のみのグレードとなったタイプR。とは言え当初このグレードが設定されたのは、元よりピュアスポーツカーとして製造された、このNSXでした。今後、もしスポーツカー人気が再燃し、ホンダが今一度、これらの要求に応えるクルマを造ることとなった時、この「タイプR」グレードが再び、シビック以外に与えられるのではないか。...

  • 15周年記念イラスト

    先月10月6日は当ブログ、「黄輪雑貨本店」の解説記念日でした。と言うわけで、うちのメインコンテンツ「双月千年世界」の代表代行たち5人+1の集合絵を、VroidstudioとBlenderで製作しました。こうして見ると、シュウと天狐ちゃんがちっちゃい。そしてランニャがデカい。VroidstudioもBlenderもまだまだ初心者なので、今は棒立ちさせるのが精一杯。2~3年後にはもっと躍動感ある絵を作りたいところです。...

  • 業務連絡;「緑綺星」目次とあらすじを追加しました(第4部)

    下記ページにて、「緑綺星」第2部の目次とあらすじを追加しました。http://auring.web.fc2.com/au-novel.html(目次)http://auring.web.fc2.com/ro-outline4.html(第4部あらすじ)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -「緑綺星」第4部、今回はどうにか50話超えました。次回もこの量で書ければいいなぁ。今のところどう言う展開にするか、まだ決めかねてる感じです。白猫党との戦いはどう進んでいくのか、どんな結末を迎える...

  • キャラ紹介;第4部

    「緑綺星」第4部のキャラ紹介。ラコッカファミリーと、ようやく一聖ちゃん。名前ラック・ポプラ / Luck Poplar性別・種族・生年身体的特徴男性? / 短耳? / 200歳くらいですって自由に変えられる自由に変えられる職業「シェイプシフター」普段はしょんぼりしたおじさんの格好ですが、老若男女誰にでも、あと、熊でも虎でも恐竜でも、何にでも変身できるんですって。こないだ試しに「テンコちゃんに化けられます?」って聞いたんで...

  • 緑綺星 目次(第4部;シェイプシフター編)

    絵師さん募集中!黄輪雑貨本店 総合目次 (あらすじもこちらにあります)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -「緑綺星」地図(作成中……)- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -「双月暦」の暦双月世界の魔力・魔術観について双月世界の種族と遺伝(2019年版)双月世界の戸籍- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1話目から読みたい方はこちら緑綺星・底辺譚1 2 3 4緑綺星・福熊譚1 2 3 4 5 6 7 8 9緑綺星・応酬譚1 2 ...

  • 緑綺星・建国譚 6

    シュウの話、第162話。白い闇に踏み込む星々。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -6. 天狐や「セブンス・マグ」の面々からは「声がかかるまで自由に過ごしていい」「気楽にやっていい」と言われていたものの、ラックが「何か仕事してた方が気楽ですんで」と固辞したため、彼は天狐ゼミが行われている屋敷で用務員を勤めることとなった。「真面目さんですねー」 朝早くから掃除用具を背負い、仕事に出かける彼の姿をすれ違...

  • 緑綺星・建国譚 5

    シュウの話、第161話。シェイプシフター;その勇気のために。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5. 小男が部屋に入ってきたのを見て、シュウがきょとんとする。「お掃除ですかー?」「あ、はい、すんませんです。先日、あの、えっと、テンコちゃんに雇われまして。俺のことは気にしないで下さい。すぐ終わりますんで」「はーい」 軽く返事し、一瞬目線を切りかけたが、シュウはもう一度小男に向き直る。「ラックさんでし...

  • 緑綺星・建国譚 4

    シュウの話、第160話。彼女はドライでアナリストなインフルエンサー。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4.「ほなシュウさん、トラス王国から指名手配されたん!?」 目を丸くするジャンニに、シュウは「そーですねー」と、あっけらかんとした様子で答えた。「なんでも『軍のストライキを扇動した』とかで、内乱罪の容疑かけられちゃいました。戻ったら死刑ですね。死刑ってまだ実施されてるのか分かんないですけども」「...

  • 緑綺星・建国譚 3

    シュウの話、第159話。斜陽の王国。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3. 一方、トラス王国は本格的に斜陽を迎えようとしていた。 カプリ共和国建国以降も兵士たちのストライキは続いており、そればかりか、いつ本格的にクーデターが勃発してもおかしくない、緊迫した状況が続いていた。「……ふー……」 そんな状況では軍本営にいることもできず、かつて特区への部隊派遣を指揮していたあの狼獣人の将校は自宅にこもり、や...

  • 緑綺星・建国譚 2

    シュウの話、第158話。ガラじゃない。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2.「な、なー、テンコちゃん、マジで俺が社長でいいのかよぉ。俺、はっきり言って算数もできねーバカなんだぜ? ガラじゃねーよぉ」 高級スーツを身にまとったダニーが、困った顔で天狐に尋ねる。が、天狐は「しゃーねーだろ」と突っぱねる。「確かに数日前まではとりあえずロロが社長ってコトになってたが、アイツが大統領やるってなった以上、ど...

  • 緑綺星・建国譚 1

    シュウの話、第157話。建国と傾国。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1. 白猫党の6度目の侵攻が失敗に終わったその日の晩、克天狐は難民特区に記者団を集め、会見を開いていた。「本日、難民特区における最大の組織であるロロ・ラコッカ氏のグループを元とした政府を設立し、難民特区全域を領土とする国家が成立したことを、ここに宣言する。国名については、かつてこの地域がカプリ州と呼ばれていたことから、『カプリ...

  • 元ネタ解説とかいいから

    ここ数年なんでか恒例になったハロウィンイラスト。今年は小鈴。ハロウィン+チャイナ=キョンシーと言うことで。ただ、実のところ原作中で、チャイナ服を着た描写は一回もないんですが……。そろそろ街がカボチャ色に染まり始めたので、考察班のみんなもお祭りに向けて仮装の衣装合わせを始めた。「とりあえず面白そうなコトには全力で乗っかる」のが彼女たちの流儀だからだ。小鈴「あー、このカッコ、元ネタはなんかのオバケなのね、...

  • 緑綺星・機襲譚 10

    シュウの話、第156話。静寂の結末。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -10. その瞬間まで、制御室にいた誰もが勝利を――HSBMが直撃し、スチール・フォックスが爆発四散する光景がモニタに映し出されることを確信していた。 ところが着弾しようかと言うその瞬間に、モニタの映像がぶつっと途切れた。「……ん、んん?」 モニタをわしづかみにしていたグスマンは、慌ててモニタから手を離し、「壊れたか?」とつぶやく。...

  • 緑綺星・機襲譚 9

    シュウの話、第155話。偽装作戦と、もう一つの決定打。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -9. 時間は、侵攻開始直前に戻る。「着る前から分かる。無理だ」 スチール・フォックスのパワードスーツを前にしたエヴァはそう答え、首を横に振った。「だよなー」「確かにテンコちゃんの言う通り、スーツ内に別の人間がいるとなれば多少はAIをたばかることもできるだろうが、そもそもこれはジャンニ専用に設計してるんだろう?...

  • 緑綺星・機襲譚 8

    シュウの話、第154話。特区防衛戦、最終局面。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -8. 侵攻6日目――さらに巨額を費やしてドローンとMPS兵を拡充したグスマンの部隊は、不退転の決意で侵攻に臨んでいた。「今度こそ、成功させますので」「そうでなくては困る」 この日は「閣下」も制御室に臨場し、グスマンの真横に付いていた。「『トイ・メーカー』から話は聞いている。HSBMを使用することなく作戦完遂することを期...

  • 緑綺星・機襲譚 7

    シュウの話、第153話。「トイ・メーカー」の所見。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -7.「で、僕のとこに来たと」「ああ」 白猫党本部内、AI包括管理部――モニタとサーバで埋め尽くされた部屋を訪ねたグスマンは、この部署の最高責任者「トイ・メーカー」にもう一度、今日までの状況を説明した。「AIがポンコツになった、ってのはひどいなぁ」「トイ・メーカー」は苦笑しつつ、目の前のモニタに親指を向けた。「僕が組...

  • 緑綺星・機襲譚 6

    シュウの話、第152話。AIの異様な不調。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -6. 報告を受け、グスマンは首を傾げた。「あ……? なんで26発だけ撃ったんだ? まさかAIが、たったそれだけで十分と判断したのか?」「ち、違います。26700発撃ち込んでるんです。命中が、26発です」「……なんだって!?」 グスマンが唖然としている間にもう一度攻撃が行われたが、結果は変わらなかった。「さっ、38発!?」「今...

  • 緑綺星・機襲譚 5

    シュウの話、第151話。本格侵攻の前に。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5. 誰にも妨害されないまま、白猫党は余裕綽々で前線基地を構築した。「昨日の……対象SFはなんだったんでしょう?」「突然やって来てドローンを何台か破壊しただけで、結局逃げましたよね」 作戦開始前のブリーフィングにて、前日に出現したスチール・フォックスのことがオペレータたちから指摘されたが、グスマンも首を傾げていた。「俺にも見...

  • 緑綺星・機襲譚 4

    シュウの話、第150話。ドローン部隊の猛攻。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4.《警告します。DF712F-2366に耐久能力の1311%のダメージを確認しました。ダメージコントロール失敗。復帰失敗。同機との接続が切断されました。同機は破壊されたと判定します》 オペレータたちの画面に損害状況が表示され、制御室に緊張が走る。「敵襲です!」「敵襲ぅ? 相手がいるのか? 故障の可能性は?」「閣下」に...

  • 緑綺星・機襲譚 3

    シュウの話、第149話。進撃はモニタの向こう側で。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3. 王国軍全軍がストライキにより機能停止したことは白猫党側も当然察知・把握しており、彼らは早速この翌日から軍事行動に出ていた。《SD714B-1001~1060、巡航モードから警戒モードに遷移します》《DF712F-2301~2420、巡航モードから警戒モードに遷移します》《HD715E-1001~1120……》...

  • 緑綺星・機襲譚 2

    シュウの話、第148話。身の上話とヘッドハント。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2. ひとしきり泣いた後、ラックはぽつりぽつりと、自分の身の上を天狐に話した。「俺の……俺が『俺』になった時の、一番古い記憶は、どこか暗いところにいたってことです。俺は……俺の中には、色んな別の俺が、……別々の人間がいて、……それが、……なんでか、一つに『まとまった』んです。でも、まとまったのは俺一つじゃなかったんです」 こ...

  • 緑綺星・機襲譚 1

    シュウの話、第147話。ホンモノのバケモノ。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1. トラス王国が偽の緊急出動を行う、その2日前――。「お前さんがラック・イーブンか?」「学校」の片隅でひっそり過ごしていたラックのところに、天狐が現れた。「あ、はい、ども、はい。……な、なんです?」 ラックのことをじろじろと眺めている天狐に、ラックは困った顔を向ける。「妙なヤツだな」 天狐はそう言いながら右目をつむり、光...

  • 2023年11月携帯待受

    2023年11月の携帯待受。日産の'99年式スカイライン GT-R。「……私が4年間レースに没頭している間に、日産のクルマはまた様変わりしていた。(中略)正直私にはブルーバードとプリメーラは一見したところでは区別すらできなかった。 何も自動車メーカー界に限らず一般的にいえることだが、良くも悪くも商品づくりに対する「夢、想い、お客さまへの新価値の提供」などは、強い志向性のリーダーが存在しないと、人は流されて、最...

  • 緑綺星・国謀譚 7

    シュウの話、第146話。克天狐流、勝利の一般理論。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -7. トラス王国の混乱は、ラコッカ石油にも伝えられていた。「ってワケで、もう当分は兵隊寄越すコトもねーだろ」「そっかー……良かったな、親父」 のんきそうな声を上げたダニーに対し、ロロはことさら渋い顔を向けてくる。「ちっとも良かねえだろ。今の状況、分かってんのか?」「へっ?」 きょとんとするダニーに、ロロがこう続けた...

  • 緑綺星・国謀譚 6

    シュウの話、第145話。メイスンリポート#52;緊急拡散案件! トラス王国のウソを暴きます!- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -6. こんにちは、シュウ・メイスンですー。 今回はちょっと、いえ、かなり大真面目に、お伝えしたいコトがあります。重い内容になりますが、最後までご清聴いただければ幸いです。 前々回からお伝えしています、トラス王国の実情と動向についてですが、つい先程、とんでもない事実が明らかに...

  • 緑綺星・国謀譚 5

    シュウの話、第144話。偽りの緊急出動。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5. ミッドランドへ送った密使が天狐に追い返された、その数時間後――。「首相からの極秘命令が下った。この件は決して口外しないように」「は……承知いたしました」 王国軍の難民特区方面司令が、本営の一室に部下である将校数名を集めていた。「先般より我が国緊急の課題であった特区内の油田掌握計画だが、政治面からのアプローチに失敗したと、...

  • 緑綺星・国謀譚 4

    シュウの話、第143話。次策を読む。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. 肩を落として帰っていく役人たちの後ろ姿を屋敷の窓から眺めながら、天狐はフン、と鼻を鳴らした。「コレで状況は次の段階に進んだってワケだ」「次?」 尋ねたエヴァに、のんびりコーヒーを飲んでいたロマーノが答える。「そもそも今回の彼らの訪問は非公式なものです。公式なものであれば『外務省からの者』などと立場をぼかして訪ねたりはしな...

  • 緑綺星・国謀譚 3

    シュウの話、第142話。国債償還の裏ワザ。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3. 天狐の言葉に、役人たちは目を丸くする。「なんですと?」「い、いやいや、あるでしょう。あの土地はトラス王国の領土です」「14年前まではな」 そう返し、天狐は傍らの狼獣人に声をかけた。「エヴァ」「はい」 彼女は机の上にケースを置き、中身を役人たちに見せる。「この書類が何だか分かるよな? コピーだから持ってっていーぜ」「...

  • 緑綺星・国謀譚 2

    シュウの話、第141話。水仙狼当主ロマーノ卿の応対。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2.「誤解ですと?」 尋ねたトラス王国外務省の役人に、ロマーノは眼鏡の位置をちょん、ちょんと整えながら、どこか斜に構えた様子で説明した。「まずその1。テンコちゃんが我々の庇護下にあるのではなく、テンコちゃんが我々を庇護している立場にあると言うことです。故にその2、私の意見はテンコちゃんが必ずしも聞き入れるべき強...

  • 緑綺星・国謀譚 1

    シュウの話、第140話。永世中立国の遍歴。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1. ラコッカ石油の起業準備は着々と進められており、難民特区は彼らの話題で持ち切りになっていた。「ラコッカの奴ら、求人出すんだとさ」「は? あいつら50人くれーいんのに、まだ人がほしいのかよ」「つっても半分ガキだろ。力仕事とかは流石に無理だろーし」「ああ……まあ……そうか。……俺、受けようかな」「マジで言ってんのかよ? 雇い仕...

  • 10分の1でいいから

    Vroidstudioで虎海さんの3Dモデルを作った勢いで、Blenderで4年前のイラストを再現したことは前回お伝えしましたが、今回はそれを元にイラストを制作しました。つまりイラストをモチーフにしたリメイクをモチーフにしたリメイク。言葉にするとわけが分かりませんね。と言うわけで、こちらがそのイラスト。4年前に比べると、ずっと綺麗になった気がします。旅岡「ちょっと前、あんたに『タピオカチャレンジでけるん?』って聞いたこ...

  • 緑綺星番外編 その1

    シュウの話、……とはまったく関係ない昔話。下手の横好き、国を滅ぼす。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -緑綺星番外編 その1 どこの世界にも「下手の横好き」――己の趣味・嗜好と適正・能力が釣り合わない者はいる。それが個人で完結しているのであれば何の問題もないのだが、他人を、それも全く無関係の大衆を巻き込むようになれば、それは「害悪」に他ならない。 マーク・メルキン・トラスもこの類の、自分の「趣味」の...

  • 緑綺星・聖怨譚 10

    シュウの話、第139話。対王国、次の一手。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -10.「じゃあ結局、カズセちゃんはトラスには戻らなかったのか?」 ブラウニーをつつきながら尋ねたロロに、天狐は渋い顔をしながらうなずいた。「実はな、戦争のドサクサでメルキンが死んだ後、こっそり様子見に戻ったコトがあるんだ。だが一聖がソコで見たのは、『全部一聖ちゃんのせいだ』って泣き叫ぶ、喪服姿のフェリスだったんだ」「どう...

  • 緑綺星・聖怨譚 9

    シュウの話、第138話。覚えてもらえなかった男の逆襲。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -9.《僕のことを覚えてないんだ、カズセちゃんは。そっか、やっぱりそうだよね。僕なんかのことは、あなたみたいなすごい人にとってはいないも同然の人間なんだろうな》「うっとーしーコト言ってねーで、素直に名前名乗れよ」 水を向けるが、相手は応じない。《これは率直な疑問、と言うか確認だけど、もしカズセちゃんが今、本気で...

  • 緑綺星・聖怨譚 8

    シュウの話、第137話。続く襲撃。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -8. ビル風に長い黒髪が乱されるのも構わず、一聖は背負った相手に脅しをかける。「このヘンリー・トラス記念ビルの高さは約380メートル、8年前にゴールドコースト市国の貿易センタービルに更新されるまで世界最長の高層ビルだったワケだが、ま、ふつーの人間が屋上から身一つで落っこちりゃ、どーなるか分かるよなぁ?」「あ、あんたも死ぬだろ!?...

  • 緑綺星・聖怨譚 7

    シュウの話、第136話。襲撃される一聖。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -7. まだ騒然としている王宮内で、一聖は思案に暮れていた。(妙なのは、なんで首相ともあろう人間がこんな暴挙に出たのか、だ) 王宮をそれとなく歩き回り、情報収集していく内に、監禁の際に軍や警察と言った王国内の武装勢力に、動いた形跡がなかったこと――即ち、マクファーソン首相が差し向けた兵士が王国の正規軍ではなかったことが明らかに...

  • 緑綺星・聖怨譚 6

    シュウの話、第135話。戴冠異議申し立て。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -6. カレン崩御からまもなく――国家元首不在では何かと不都合であるから、当然の流れであるとも言えるが――王室政府は大慌てでメルキンの即位に向けての支度を整えた。そのため崩御から3日後にはすべての準備が整い、謁見の間にて戴冠式が行われることとなった。 場面はいよいよメルキンが戴冠する直前となり、テレビ局をはじめとする各種メディ...

  • 緑綺星・聖怨譚 5

    シュウの話、第134話。疑惑の新王。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5.《臨時ニュースが入りました。本日、トラス王室政府よりトラス王国国王、カレン・トラスの崩御が発表されました。67歳でした。また、同政府より第4代国王として、前国王の姪孫(てっそん)であるマーク・メルキン・トラス氏が即位する予定であると発表されました》「なーにが『即位する予定』だ、クソが」 ミッドランド市国、天狐屋敷。間一髪で...

  • 緑綺星・聖怨譚 4

    シュウの話、第133話。旧トラス王国の政変。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. 20代で王位を継いだカレン女王の在位は40年近くにも及び、長期政権による安定した治世が行われてきたが、その平和にも陰りが差していた。カレンが重い病に冒されており、余命いくばくもないことが判明したのである。「一刻も早く次の国王を定めねば……」 王室政府の閣僚たちが密かに集まり、緊急会議を開いていたが、そこに一聖の姿は...

  • 緑綺星・聖怨譚 3

    シュウの話、第132話。ご意見番の鶴声。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3. 双月暦570年代における白猫党との戦いが彼らの分裂・内戦勃発と言う形で決着した後も、一聖は「フェニックス」の最高顧問とトラス王族の教育係を続けており、いつしか王室のご意見番としての地位を確立していた。 そのため6世紀末、第2代国王の後継者を定めるべく催された御前会議にも当然、彼女の姿があった。「オレの結論から言えば、...

  • 緑綺星・聖怨譚 2

    シュウの話、第131話。勢力図激変の予兆。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2. 流石に8世紀最大のフィクサーとうわさされるだけあり、天狐は十重二十重の戦略・作戦によってラコッカ石油の、難民特区における地位と権力を固めさせていた。前述の、天狐にまつわるうわさを流し、盗みを働こうとするならず者たちを殺さず追い払っていたことも、その一環だった。特区内のならず者を退けると共に余計な争いを避けさせ、後に...

  • 緑綺星・聖怨譚 1

    シュウの話、第130話。黒いうわさ?- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1.「ラコッカファミリー主体で石油会社を作る」と言う天狐の飛び抜けた発案はただちに実施され、難民特区には連日、諸外国から人員や資材が山のように集まってきていた。「なんだ、あの人だかり?」「ラコッカのとこらしい。なんでも石油、本格的に掘り出すんだとさ」「へー……?」 そのにぎわいを遠巻きに眺めるならず者たちは――長らく法の庇護と近代...

  • 3DCG習作;虎海さん

    VroidStudioでうちの娘を作るシリーズ。今回は虎海さん。 文武両道フィジカルおばけのお嬢様。彼女のすごさは身長176cm、バスト98cmの見た目だけではない。どんな科目も90点以下を取ったことはないし、スポーツをやらせればホームランがガンガン出る。ただ、プライド高くて見栄っ張りなのが玉に瑕。おだてられると図に乗るし、煽られると挑発に乗る。旅岡さんに「タピオカチャレンジいけるん?」と聞かれたら、ドヤ顔でやってくれ...

  • 緑綺星・応酬譚 8

    シュウの話、第129話。創業。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -8.《オレの思惑もちゃんと話しておいてやんよ。じゃなきゃフェアじゃねーし、納得しねーだろーしな。率直に言って、オレは白猫党とトラス王国が大っキライだ。どっちにも1世紀単位の因縁があるもんで、な。ましてや他人の油田を奪って軍事転用しよう、アコギに荒稼ぎしようなんてこすい真似、見過ごすワケがねーだろ。だからお前らに肩入れするんだ。 この...

  • 緑綺星・応酬譚 7

    シュウの話、第128話。フィクサー天狐。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -7. まだどこかとぼけた様子を見せているファミリーに、今度はカニートが、もっと現実的な説明を述べた。「あんたら、このスマホを見てくれ。このスマホの裏面、何が書いてある?」「会社名か? ピクスマニア」「そう。一流電子機器メーカーのピクスマニアだ。その現CEO……まあ、社長みたいなもんだが、そいつとテンコ・カツミ氏には関わりがあ...

  • 緑綺星・応酬譚 6

    シュウの話、第127話。石油をめぐる最も大きな問題。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -6. 顔も名前も知らない相手からの突然の提案に、カニートも、ロロも面食らった。「なんだって?」「あんた、一体誰なんだ? そんなこと突然言われて、『おう、いいぞ』なんて二つ返事で答えると思うのか?」《だろーな。だが状況は差し迫ってるはずだ。軍を足止めしたのはファインプレイと言えるが、ソレでグズのトラス王国を躍起に...

  • 緑綺星・応酬譚 5

    シュウの話、第126話。批判動画の反響と反応。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5. 王国軍批判の動画が公開されてから2日後、再びカニートが「学校」にやって来た。「王国は大騒ぎになってる。王室政府は――救助が最優先の国務だの何だのって言い訳して――派遣を行わない旨を正式表明した。それにちょっとネットを探れば報告サイトだの監視サイトだのが一杯立ってて、正義の味方気取りの国民が逐一王国軍の動きを伝えてる...

  • 緑綺星・応酬譚 4

    シュウの話、第125話。????リポート;トラス王国軍の非道を暴く!- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. かつては超大国・中央政府亡き後の希望の星、地域共同体「新央北」の誇る若く雄々しい宗主国であったトラス王国も、年月を経る内にあちこちが衰えてきているらしく、特に近年の凋落ぶりは著しかった。 と言うよりも年月を経た大国であるが故に、政財界には古い慣習と常識を重んじる保守層が多く、近年目覚ましい...

  • 緑綺星・応酬譚 3

    シュウの話、第124話。潜入取材者。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3.「誰だ?」「……っ」 物陰の人間がたじろぐ気配を察し、足の早い者が数名、ばっと駆け出す。まもなく、明らかに特区の人間ではない、身奇麗な短耳の男を連れて戻って来た。「コイツ写真撮ってたっスよ、親父」「写真? ……ってあんた、見覚えあるな」 腕をがっちりとつかまれた短耳の顔をしげしげと見つめ、ロロはポン、と手を打つ。「ああ、そうだ...

  • 緑綺星・応酬譚 2

    シュウの話、第123話。百変化ショー。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2.「本当にケガしてねーのか?」「あんだけ撃たれまくってたじゃん」「ええ、まあ、はい、全然」 王国軍による二度目の襲撃を退けた後、ラックはファミリーに囲まれ、裸の上半身をあちこちからじろじろと見つめられていた。「ってかさっきの筋肉はどこ行ったんだよ」「こーして見るとただのおっさんじゃね?」「そりゃ贅肉的なのはないけどさー、筋...

  • 緑綺星・応酬譚 1

    シュウの話、第122話。横暴と傲慢。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1.「石油湧出地確保を目的とする前回の出動につきまして、兵士が撮影した映像を解析したところ、合成や加工の類が見られないことを確認しました」 将校の報告を聞き終えても、会議室に居並ぶ幕僚たちの、興ざめ気味の顔色に変化はない。「だから?」「映像に映っている巨大生物は本物である、と」「何を言っているのかね? そんなものがいるはずはな...

  • 2023年10月携帯待受

    2023年10月の携帯待受。スズキの'91年式カプチーノ。軽自動車でありながらライトウェイトスポーツを究めんとした、スズキの意欲作とも言えるこのカプチーノ。発売当初からマツダのAZ-1、ホンダのビートと並び、高い人気を得ていました。厳しい不況、そして軽自動車の規格改正に阻まれる形で'98年に販売を終了しますが、それ以降も復活が待ち望まれていました。それを踏まえて近年の自動車業界の動きを見ると、世代は若干異なる...

  • 緑綺星・福熊譚 9

    シュウの話、第121話。無明の中で生きると言うこと。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -9. 日中は授業や何かしらの工作作業、校庭を作り変えた畑での農作業で騒々しかった「学校」も、夕闇が迫るに従って、段々と静かになっていた。「電気通ってないからな。暗くなったら寝る、が基本だ」「発電機があるって言ってなかったですか?」 尋ねたラックに、ロロは肩をすくめて返す。「んなもん、もうブッ壊れちまってるよ。1...

  • 緑綺星・福熊譚 8

    シュウの話、第120話。人生の分岐点。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -8. 結局、根が真面目なロロが暴飲暴食したのは――腹を下したこともあって――最初の2日だけで、以降は朝と夕の1日2缶で過ごしていた。昼下がりに多少腹が減る感じはしたものの、今後の先行きがまったく見えない現状を彼なりに考え、節約に努めていたからだ。(今日も……脳天気なニュースばっかだな) ラジオで朝のニュースを聞き、それが終わったら...

  • 緑綺星・福熊譚 7

    シュウの話、第119話。無法を眺める。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -7. 半日以上のたうち回った後、どうにか回復したロロは――やる必要など微塵もないはずであるが――校内を見回っていた。(……長年やってたせいか、気が落ち着くな。とは言え『じゃあベアリング好きか』って言われたら『見たくもねえ』って答えるけども。ま、あっちはタダ働きみたいなもんだったし) 既に街が、いや、国が崩壊して幾日も経つが、窓から...

  • 緑綺星・福熊譚 6

    シュウの話、第118話。ロロの幸運。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -6. やはり結果的には、ロロは幸運な男だと言えるのかも知れない。 一向に市民権が得られず、銀行口座も作れない難民のままだったこと。そして24時間交代制の非常勤用務員と言う、薄給かつ過酷な職務にしか就けなかったことが、結局はすべてロロに味方したのである。街が暴徒であふれかえっていた時も、そして統一トラス王国が軍を派遣した時も、非...

  • 緑綺星・福熊譚 5

    シュウの話、第117話。国家崩壊の3日間。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5. ありがたいことに段ボール箱の中には新品の電池も入っており、ロロは何の問題もなくラジオを聴くことができた。 問題だったのは、ラジオで流れていた内容だった。《……繰り返します。WTNB、西トラス国営放送は、すべての業務を停止しました。繰り返します……》「……は?」 そのまま1分ほど聴き続けていたが、同じ内容がただひたすら繰り...

  • 緑綺星・福熊譚 4

    シュウの話、第116話。静かすぎる朝。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. その日、ロロはそれまでの7年間ずっと続けてきたように、朝の7時半きっかりに小学校に出勤した。いつもなら既に鍵は開けられ、校門が全開となっているはずだったが――。「あれ?」 校門は固く閉ざされたままであり、鍵もかかっている。(なんだよ……? ハミルのやつ、珍しく寝坊したのか?) とは言えロロも用務員なので、校門の鍵は持参して...

  • 緑綺星・福熊譚 3

    シュウの話、第115話。罪と罰と、そして因果と。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3. 雨が小ぶりになったためか、ようやくおんぼろセダンの空調が効き始め、車内は暖かくなり始めた。「ま、繰り返すようだが到着までは時間がかかる。俺にしても無言で前だけじーっと見てるってのは退屈でたまらん。ラジオ付けたところで、聞こえてくんのは白猫党の流すうぜえ時報とウソだらけのニュースばっかりじゃ、聞く気にならん。だ...

  • 緑綺星・福熊譚 2

    シュウの話、第114話。亡命の秋。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2. 普段のラックであればああしてパニック状態になった時、そのまま四半日ほどうずくまってどうにか平静を取り戻せると言った程度なのだが、ロロに食堂へ連れて行かれ、「おーい、こっちにキャベツと唐辛子のパスタ2つな!」と勝手に注文され、そのまま届けられた料理を夢中で平らげ、ふう、と一息ついて食後のお茶を口に運んだところで、自分の調子が...

  • 緑綺星・福熊譚 1

    シュウの話、第113話。ファミリーと、ラックの日常。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1. ともかくロロの元に身を寄せることとなり、ラックは「ファミリー」の暮らしに、形から入ることにした。「そんじゃ始めるぞー」 まず、朝の9時――荒廃した難民特区であっても、時計とチョークくらいはあるらしく――ロロが教壇に立ち、「ファミリー」たちを集めて授業を行う。出席しているのは子供だけではなく、10代後半、20代...

  • 緑綺星・底辺譚 4

    シュウの話、第112話。安息の地を守るために。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4. 貧しさと混沌のるつぼであるはずの難民特区の中であるにもかかわらず、「ファミリー」の食卓は豊かなものであった。「はふ、はふっ……」「んぐ、うぐ、……ぷはーっ!」 場に並んだ料理はラックの目から見ても、まともな食堂に並んでいても何らおかしくない、食欲を大いに刺激される出来だった。「どうした? 食べないのか、ラック」「あ...

  • 緑綺星・底辺譚 3

    シュウの話、第111話。パパ・ラコッカ。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -3. 結論から言うと――あの胸を撃たれたはずのリーダーは、しっかり生きていた。「ふぅー……思ったより胸にずしんと来たぜ。もうちょっと薄かったらヤバかったかもな」 銃撃されることをあらかじめ予想していたため、胸に鉄板を仕込んでいたのである。「マジで死んだかと思って、流石にビビったっスよ」「アタマ狙われないようにヘルメット被ってた...

  • 緑綺星・底辺譚 2

    シュウの話、第110話。石油を巡る確執。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -2. 油田に到着した兵隊たちを待っていたのは、武器を手にした荒くれ者たちだった。「一応確認するがよ」 と、その中の一人、明らかにリーダー格の熊獣人が角材を手に、兵隊らに質問する。「あんたらはどこの誰だ? この油田をどうするつもりだい?」 兵隊らの先頭に立っていた将校が、それに答えた。「我々はトラス王国陸軍第16大隊の者だ。...

  • 緑綺星・底辺譚 1

    シュウの話、第109話。地の底から湧き上がるもの。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1. いろんな きおくが まざりあう…… ……おれは…… ……おれは……俺は闘技場の人気選手で……あの頂上決戦……市国の人気者だ…… ……市国には……武者修行に来て……元々は……焔流……修行……教団の……あれ…… ……闘技場なんて行きたくない……怖い……殴らないで……痛い……やめて…… ……痛い……ドクター……もう無理です……痛い……熱い…… ……寒いよ……暗い…… ……いや...

  • 双月世界地図;緑綺星(第3部)

    いまさら気が付きましたが、「緑綺星」第3部の地図を描いてませんでした。と言うわけで掲載。作中でも言及していた通り、「白猫夢」にて東西分裂した央南連合は、再統一を目論む西側と独立維持を望む東側とで戦争が勃発。紆余曲折の末、黄家が大交通網を開発することで、再統一が成されました。その大交通網は「緑綺星」時には央南全域を網羅しており、あっちこっちに高速道路や新幹線のような超高速鉄道が敷かれています。七瀬・...

  • 業務連絡;毎年恒例の所信表明 2023夏

    本日は私、黄輪の誕生日です。Happy birthday to me.ついに40歳の大台に乗りました。心の中はまだファンタジーとケモミミが大好きな厨二病なんですけども。実際、目の病気はしたものの、それを除けば毎日元気に過ごしてますし、お肉も辛いモノも大盛りで食べられるので、自分が中年だと言う実感がまったくありません。周囲の同年代がソファでぐったりしていたり、食がどんどん細くなっていったりする中、これだけ元気でいられるの...

  • 架空ロゴ;「ビデオクラウド」

    「緑綺星」にて登場する、動画投稿サイト「ビデオクラウド」の架空ロゴ。現実世界で言う、赤い長方形のあのサイトですね。表向きは「『ビデオ・動画』+『クラウド(ネット上のサーバ群)』」から、「『動画再生を表す三角形』+『雲(クラウド)』」を合成した画像とされていますが、実はこのビデオクラウド本社、所在地は公表されてはいませんが、央中のミッドランドにあるらしいとうわさされています。雲の形が双月世界の世界地...

  • 2023年9月携帯待受

    2023年9月の携帯待受。トヨタの'93年式スープラ。クルマの平均的な販売期間は6年程度とどこかで話していましたが、このスープラは販売終了が2002年。異例の9年ロングランでした。と言ってもフェアレディZのように経営上の理由でリニューアできないまま漫然と販売されていたわけではなく、単純にこのモデルが人気を保ち続けていたため。おそらく排ガス規制に対応できていたならば、もっと販売期間が伸びていたかも知れません。...

  • この子ちゃっかりしとるで

    矢端さんから添削いただいた内容とX(ツイッター)で得た情報を元に、旅岡さんの誕生日イラストを描き直してみました。ついでにねこ車掌も足して、今年の暑中見舞いの答え合わせも本日行います。登校日の帰りに黄大姐のスイーツ店に来た旅岡さん。旅岡さん「あ」と、店先で寝転んでいるねこ車掌を見つけ、軽く手を振ってやる。ねこ車掌「にゃーん」カウンターにいた店員の兎波さんが、いつも通りの気だるそうな、しかしどこか楽し...

  • 暑中お見舞い申し上げます

    暑中お見舞い申し上げます。今年の夏も非常に厳しく、いつにもまして日中に外を出歩く気になりません。しかし幸いなことにコンビニとアマゾンが、僕の強い味方になってくれています。現代に生きていることを不幸と思うか、幸福と思うか……。そんなことはさておき、熱中症にはくれぐれもお気をつけ下さい。...

  • 習作;旅岡さんの髪型について衝撃の事実が発覚しました

    ……やっぱり旅岡さんの造形が気に入らない。いや、厳密に言えば「なんかこれじゃない」と言う意識が、2~3年ほど拭えていません。前回のトレースでも違和感を覚えていました。で、色々あって気付きました。旅岡さんについて抱いていた髪型のイメージが、実はポニーテールではなかったことに。僕はずっと「頭の後ろで髪を束ねる髪型」をポニーテールと認識していたんですが、僕の中では旅岡さんの髪型は完全なポニーテールではなく、...

  • 2023年8月携帯待受

    2023年8月の携帯待受。ホンダの'97年式シビックタイプR。ホンダの「市販車レーシングカー」グレード、タイプRのことは1月にもお話ししましたが、2023年現在、このグレードが設定されている、あるいはされていた車種は、以前に紹介したインテグラ、今後紹介する予定のNSX、欧州限定でアコード、そしてシビックの4つだけです。おそらくこのグレードが企画された'90年代初頭には、この4車種以外にも幅広く同グレードを設定して「...

  • 3DCG習作;円さん

    VroidStudioでうちの娘を作るシリーズ。今回は円さん。 作中屈指の美貌と毛並みを持つものの、超不器用でそそっかしい。狐の女神とえらい違い。でも商才は確からしい。「ご飯作ってー」「洗濯しに来てー」と言うような、大人にあるまじき発言を旅岡さんにぶつけまくることはあっても、旅岡さんは一度としておねだりを断られたことはないし、おカネに困っている様子を見たこともない。あと、不器用とは言ったものの、クルマの運転...

  • 習作;旅岡さん、あるいは「設計図」について

    実は前回の旅岡さんの誕生日記念イラスト、顔の出来が気に入りませんでした。と言うかこの2年くらい、誕生日イラストがうまく描けた気がしません。なんかバランスがおかしかったり、これじゃない感じの顔立ちになったり……。これでは旅岡さんに対してあまりにも失礼だな、と思い、ちょっと練習することにしました。まずは、Vroidstudioで作った旅岡さんの3Dモデルから顔をトレース。元画像に沿って線画を作ってみました。……当然、出...

  • 旅岡さんの誕生日 /

    明日、6/27は旅岡さんのブログ初登場日兼誕生日です。毎年この時期にはこのポーズで、何かしらのスイーツを持たせたイラストを制作することにしています。流石に通算4回描いた中で、一番いい出来かなと思います。スイーツ店の黄大姐「今年の夏に向けて鬼盛りスイーツ特集考えたのよ。おいしい! デカい! かわいい! で人気爆発ね」旅岡「んー……盛り付けは確かにかわええし、サイズの割に値段もお得感あるかなーとは思うねん。...

  • 顔アイコン;動画用自画像

    動画用の、自分の自画像を制作。あくまで動画用に用意したものであり、リアルの僕本人とは似ても似つきませんが、かわいいからこれで行きます。 とりあえずの使用予定としては、現在更新中の動画シリーズ、「はじまるA列車のシナリオ作ってみる」で現在、シナリオ「楽園は海の向こうにあるか?」制作の様子を公開しているところですが、これが完結し次第、現在使用している顔アイコンから全面差し替えを考えています。首尾よく...

  • 2023年7月携帯待受

    2023年7月の携帯待受。三菱の'95年式ランサーエボリューションIII。「ライバル車」と言う言葉があります。サイズや性能が似通っていたり、発売時期が近かったりで、同じ市場で同カテゴリのクルマが2種類以上あると、やたらライバルとして見なし、優劣を競わせようとします。とは言えクルマと言うものはエンジンやタイヤ、車重やCD値など、複数の要素が一つにまとめられて動く存在なので、性能や見た目を一つ一つ取り上げて「ど...

  • 面白そーなコトには乗っかるのが吉ってもんでしょ

    たまーにチャイナデザインの服が描きたくなる。と言うわけで描きました。今回着てもらったのは小鈴と天狐ちゃん。天狐「なんでオレまで着なきゃなんねーんだよ」小鈴「いーじゃん。面白そーなコトには乗っかるのが吉ってもんでしょ」天狐「オレにコスプレ趣味ねーのにアレやコレや着させんなっての」小鈴「年がら年中狩衣着てるコが言うセリフじゃないわね」...

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