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ラモンの話、第12話。お人好しの大決断。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -12. リモード共和国首都に向かう途中にも、無線からは男の声が聞こえ続けていた。《やあ。君は誰かな?》 ラモンは一瞬、自分のことを尋ねられているのかと思い戦慄したが、どうやら無線の声の主は、別の誰かに話しているようだった。(部隊との無線は切ってないみたいだな。全滅したっぽいし、付けてようが消してようが一緒って思って、その...
ラモンの話、第11話。クーデターの傍受。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -11.(まあ、白猫党のヘリだもんな。多分、あいつらの無線だろう) 無関係の自分が聞いていても仕方無いため、ラモンは無線を切ろうとしたが――。《やっぱり来た? ふふ、予想通りだ》 感情が全くこもっていない、あまりに淡々とした無線連絡が繰り返される中、あからさまに嬉しそうな男の声が混じる。それを耳にした途端、ラモンの手が止まっ...
ギブオンの住民たちは、ヨシュアがエリコとアイに対して行ったことを聞くと、彼らもまた策略をめぐらし、変装をした。古びた袋と、古びて破れて継ぎ当てをしたぶどう酒の皮袋をろばに負わせ、彼らはギルガルの陣営のヨシュアのところに来て、彼とイスラエルの人々に言った。「私たちは遠い国から参りました。ですから今、私たちと盟約を結んでください。」(3~4.6) ギブオンの策略は聖絶から生きのびるための唯一の策であり、イスラエルの神を恐れてのことであった。 イスラエルの子らはそのヒビ人たちに言った。「おそらく、あなたがたは、私たちのただ中に住んでいるのだろう。どうして私たちがあなたがたと盟約を結べるだろうか。」(7) イスラエルの子らはヒビ人の策略に気づかないわけではなかった。そのことは充分に考えられることであったから。 ...見える罠(ヨシュア記9章)
人を傷つけ 人に傷つけられ 幼き経験は 価値を知る道標 人を貶め 人に貶められ 成熟した策略は 人の劣化を加速する やったらやり返すのは 目先の愚かさを露呈する やったらやられ倒し そのものの周囲を含めて 彼らの存在しないステージへ 視界からいなくなれば 意味のない経験とし...
シュウの話、第157話。建国と傾国。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -1. 白猫党の6度目の侵攻が失敗に終わったその日の晩、克天狐は難民特区に記者団を集め、会見を開いていた。「本日、難民特区における最大の組織であるロロ・ラコッカ氏のグループを元とした政府を設立し、難民特区全域を領土とする国家が成立したことを、ここに宣言する。国名については、かつてこの地域がカプリ州と呼ばれていたことから、『カプリ...
シュウの話、第156話。静寂の結末。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -10. その瞬間まで、制御室にいた誰もが勝利を――HSBMが直撃し、スチール・フォックスが爆発四散する光景がモニタに映し出されることを確信していた。 ところが着弾しようかと言うその瞬間に、モニタの映像がぶつっと途切れた。「……ん、んん?」 モニタをわしづかみにしていたグスマンは、慌ててモニタから手を離し、「壊れたか?」とつぶやく。...
シュウの話、第155話。偽装作戦と、もう一つの決定打。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -9. 時間は、侵攻開始直前に戻る。「着る前から分かる。無理だ」 スチール・フォックスのパワードスーツを前にしたエヴァはそう答え、首を横に振った。「だよなー」「確かにテンコちゃんの言う通り、スーツ内に別の人間がいるとなれば多少はAIをたばかることもできるだろうが、そもそもこれはジャンニ専用に設計してるんだろう?...
シュウの話、……とはまったく関係ない昔話。下手の横好き、国を滅ぼす。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -緑綺星番外編 その1 どこの世界にも「下手の横好き」――己の趣味・嗜好と適正・能力が釣り合わない者はいる。それが個人で完結しているのであれば何の問題もないのだが、他人を、それも全く無関係の大衆を巻き込むようになれば、それは「害悪」に他ならない。 マーク・メルキン・トラスもこの類の、自分の「趣味」の...
ペドロの話、第20話。博士の復讐。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -20. 時間と場所は349年、モールが拘束されていた宿に戻る。 話し疲れ、休憩を取っていたモールのところへ、ナイジェル博士が訪ねて来た。「休憩中、失礼する」「失礼なんかしないでほしいんだけどね」「言葉の綾だ。用がある」「私にゃ無いね」 つっけんどんに対応するモールに、ナイジェル博士はこう切り出した。「3世には腹が立つだろう?」...
ペドロの話、第12話。3世の罠。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -12. 2冊目の聖書が刊行され、央中天帝教の支持者、信奉者が増加するに伴い、その教主であるペドロに対する信用と信頼は、右肩上がりに増していった。 こうなってくると――実に勝手なことに――3世は一転、ペドロの存在を疎み始めた。「独立……ですか?」 331年、ペドロは3世の屋敷に呼び出され、彼から央中正教会を金火狐財団の一部門から、完全に独...
神様たちの話、第353話。ゲートとアロイの「バケモノ退治」。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -4.「解決? どうやって?」 尋ねたゲートに、モールは玉座の背後に回り込みながら答えた。「例えばさ、ヒトに姿を変えられるバケモノがいたとして、ソイツが7年前から、ゼロにすり替わっていたとしたらどうよ?」「……なるほど」 ゲートは苦笑いし、その提案を吟味する。「そうなりゃ南への無茶な遠征も、遠征隊へ下したひ...
神様たちの話、第343話。エリザのパーフェクトゲーム構築法。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -7. 密かにエリザの後方支援に付いたモールは、彼女の期待以上のはたらきをしてくれた。東山間部における情報収集は言うに及ばず、皇帝の力の正体と、その力を与えた「鉄の悪魔」アルに関することまで、モールは事細かに教えてくれたのである。「ほんなら皇帝さんが使てる魔術は……」《ああ。言語がちょいと違うってだけで、原...
神様たちの話、第341話。女狐エリザ。- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -5. ビートと連れ立ってエリザの部屋に降り、二人で掃除をしながら、ロウはエリザに状況を尋ねた。「あの、エリザさん。なんでコイツがココにいるんスか?」「言うたやん。ハンくんらからかくまってんねん」「あ、はい。ソレは聞いたんスけど、でも何で?」「約束やからな。あ、ちなみに店にも知っとる子は何人かいとるけど、あんまり言うたらアカン...