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https://stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=CPL OECDが毎月発表している月次比較物価水準(monthly Comparative Price Levels :CPL)を使うと、その時点での為替レートと民間最終消費支出の購買力平価の比による各国間物価水準比較が可能となります。 直近データは今年4月分ですが、ドイツを100とした場合の序列は下図の通りです。 割高な国:①スイス(158)、②アイスランド(146)、③アイルランド(134) 割安な国:①トルコ(39)、②コロンビア(43)、③ポーランド(62) ドイツから見ていつも物価が高いとされ…
20230623 ドイツ銀行協会「ドイツにおける銀行の役割」
https://bankenverband.de/unternehmensfinanzierung/rolle-der-banken-deutschland-auf-einen-blick/ 昨日ドイツ銀行協会が、「ドイツにおける銀行の役割」という冊子(ポジションペーパー)を発表しており、その内容がなかなか興味深いのでご紹介します。 銀行は経済の循環器系統 銀行の役割は、必要な場所に資本が確実に行き渡るようにすること。 銀行はイノベーション、進歩の原動力となり、企業、団体、公共体、従業員、年金受給者、自営業者、学生などあらゆる種類の顧客に寄り添い、財務目標の実現をサポート。 銀行は経済成長と雇…
https://www.iwh-halle.de/presse/pressemitteilungen/detail/konjunktur-aktuell-belebung-in-dienstleistungsbranchen-aber-zunaechst-weiter-schwache-industriekonj/ 昨日ライプニツ経済研究所ハレ(IWH)より最新マクロ経済予測が発表され、今年のドイツ実質GDP成長率は▲0.3%とマイナス成長予想となっていました。 上図の通り、これで6月に入ってから10機関連続でマイナス成長予想が発表されており、単純平均で▲0.3%となっています。 ポイントは以…
20230621 独中政府間協議についてのドイツメディアの報道ぶり
ベルリンで開催された独中政府間協議(2011年来7回目)についてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。 ドイツとヨーロッパは、結局中国との強力な通商関係を必要としている。中国も経済面でヨーロッパを必要としている。最大のリスクは協力の欠如だ。 ドイツはさまざまなレベルで中国との協力関係を強化し、一緒に世界的課題の解決に取り組みたいと考えている。 基本的価値観の問題とはある程度切り離してでも、協力できるところは協力すべきである。 主要なCO2排出国としてドイツも中国も、特に気候変動問題では特別な責任を負っている。 SPD(筆頭与党)としては、中国といたずらに対立することを避けるため、敬意を払…
本日また2件(ifoとIMKから)ドイツマイナス成長予想が出ました(上表緑枠)ので、これで今月発表された9つの予測すべてがマイナスということになりました。 ①ifo研 ドイツ経済の景気後退からの脱却はゆっくりとしか進んでいない。 就業者数の増加は、2022年約59万2,000人とハイペースだったが、2023年には37万7,000人、2024年には12万1,000人へと減速する(減るわけではない)。 今年の財政はインフレ対策関連支出のおかげでまだ拡張的ながら、措置のほとんどが来年に期限切れとなるので、その後は緊縮的(景気抑制的)となる。 ECBは7月の理事会で25bp利上げした後、しばらくこの水…
20230621 ドイツ企業倒産件数、低水準ながらジワリ上昇
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/06/PD23_231_52411.html ドイツ連邦統計局の発表によると、今年第1四半期の企業倒産(法人+個人事業者)は計4,117社、前年同期比+18.2%、負債総額39億ユーロ(円相当)となっていました。 上図赤線は官報掲載情報などをベースにする実験的先行指標で、今回5月までカバーしていますが、3月の高水準ほどではないものの、昨年後半から続く上昇トレンドが継続しているように見えます。 一方、ドイツ経済は、昨年第4四半期、今年第1四半期とマイナス成長が続いており、その割には…
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/06/PD23_237_421.html 本日ドイツ連邦統計局から4月製造業受注残高(上図赤線:総合、黒線:国内、青線:海外)の発表があり、実質ベースで前月比▲0.8%、前年同月比▲2.3%、売上の7.3か月分、となっていました。 4月の落ち込みは、主に自動車業界(前月比▲1.5%)によるもので、世界経済の低迷が輸出依存型産業の逆風になっていると解説されています。 受注残の水準自体はまだまだかなり高く、生産活動を下押しするほどには下がっていませんが、貯金がどんどん食いつぶされてい…
https://www.iwkoeln.de/presse/pressemitteilungen/juergen-matthes-bei-welchen-produkten-die-abhaengigkeit-besonders-gross-ist.html 本日、ケルン研(IW、経営者団体系)が最近のドイツの対中貿易を分析したレポートを発表していますので、以下そのエッセンスを抽出しておきます。 ●2022年のドイツの対中貿易:中国向け輸出(青)は3%しか増加しなかったが、輸入(赤)は34%も増加。その結果対中貿易赤字は凄まじく拡大。 dateno.hatenablog.com ●2023年第…
20230620 マイナス成長下の希望の星:ドイツ連銀GDPナウキャスト
6月に入ってから、7つの内外主要機関がドイツマクロ経済予測を発表してきましたが、ドイツ連銀(Buba)の今年▲0.3%予想を始めとして、全てが今年通年での実質マイナス成長予想となっていました。連日このように悲観的な予想が報道されているので、当然ながら、ドイツ経済界の雰囲気は悪化しています。 マイナス成長とはいっても、名目GDPは+5%前後(下表IMF予測では+4.8%)と高く、決して経済が縮小しているわけではありません。雇用も非常にタイトで、賃金は足元+5~6%くらいの勢いで増えています。 それでもドイツがマイナス成長になってしまうのは、ひとえに突出して高いインフレのせいです。高い名目成長が、…
note.com <Japanese> 今週は日経平均が前週比+4.5%(1年前比+29.8%)と急上昇しました。米S&Pの同+2.6%(+20.0%)や独DAXの+2.6%(+24.6%)も十分強いのですが、それらを大きく上回るパフォーマンスでした。このところ急激に進んだ円安(ドル円:141.82、ユーロ円:155.22)のせいで、外国人から円株が割安に見えているという側面が強いのかもしれません。しかし、それだけではなく日本の経済成長が比較的しっかりしている割に(IMF世界経済見通し 2023年暦年ベース:実質+1.3%/名目+5.2%)、インフレリスクが乏しく低金利が結構長く続きそうだ(株…
先ほどベルリン研(DIW)からも最新景気予測の発表があり、ドイツ経済は今年▲0.2%のマイナス成長、来年も+1.5%とやや悲観的な内容となっていました。 明日発表予定のエッセン研(RWI)もGDPのヘッドラインだけ既に漏れ聞こえてきており、今年▲0.3%、来年+2.0%(冒頭図左から二列目)となっています。 これで本日はドイツ有力経済研究所が3つ揃って今年のマイナス成長を打ち出してきたことになります。 <ベルリン研予測のポイント> 実質GDP:今年▲0.2%/来年+1.5%、CPI:今年5.9%/来年2.5% 今年通年では小幅マイナス成長となるが、これは冬のリセッション(統計のゲタの)とインフ…
20230616 ドイツ連銀とヘッセン研もドイツ今年マイナス成長予想
https://www.bundesbank.de/resource/blob/911516/4cdeeb7ada7e0e6e190b0aeb6c44efab/mL/2023-06-prognose-data.pdf ①先ほどドイツ連銀(Buba)の最新経済予測が発表されました。 昨日ECBが利上げと同時に発表しているスタッフプロジェクションの一部を構成するものなので、2025年までカバーしています。そのエッセンスは以下の通りです。 実質GDPは、今年▲0.3%/来年+1.2%/再来年+1.3%今年は消費と投資がとにかく弱い HICPは、今年+6.0%/来年+3.1%/再来年+2.7%コアHI…
https://www.ifw-kiel.de/de/publikationen/medieninformationen/2023/schwacher-winter-drueckt-wirtschaftsleistung-2023-ins-minus/ 先ほどドイツ5大経済研究所の一角であるキール研(IfW)からドイツ経済予測のアップデートが発表されましたのでそのエッセンスをご紹介します。 ●今年の実質GDPは▲0.3%とマイナス予想(3月の+0.5%から大幅下方修正)。来年は+1.8%と気持ち強め(+1.4%から上方修正)。CPI予想は今年5.8%、来年2.1%と来年がかなり低め(→来年の実…
BMWK - Die wirtschaftliche Lage in Deutschland im Juni 20231 2022/23年冬半期は2四半期連続でマイナス成長(テクニカルリセッション)となったが、足元第2四半期もまだ鈍い。 エネルギー価格上昇、世界経済の低迷、資金調達環境悪化、などが重荷となり、期待されていた景気回復が遅れている。 鉱工業生産は3月に前月比▲2.0%と予想外に大幅に落ち込んだ後、4月は期待された反動なくほぼ横ばい(+0.1%)にとどまった。 製造業受注は3月前月比▲10.9%という大幅低下の後、4月も▲0.4%と続落した。 受注残がまだ高水準とはいえ、製造業のQ2…
20230609 ハンデルスブラット経済研、今年ドイツ▲0.7%成長予想
https://www.handelsblatt.com/politik/konjunktur/nachrichten/hri-konjunkturprognose-deutsche-wirtschaft-waechst-erst-2024-wieder-inflation-bremst-investitionen-und-konsum/29192756.html?share=mail 本日またドイツは今年マイナス成長になるという悲観的な予測が出てきましたのでご紹介します。ドイツ経済専門紙、ハンデルスブラット紙系列のHRIの景気予測です。 特段金融危機や戦争拡大やエネルギー不足がなくてもドイツ…
今朝ドイツ連邦統計局より、5月トラック運送指数が発表され、前月比+1.6%となっていました。 ドイツ第1四半期の実質GDPは前期比▲0.3%と不振でしたが、その後陸運は底堅く持ち堪えていることが判ります。 (トラック運送指数:青、鉱工業生産:赤) https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/06/PD23_221_421.html 国際フライト数/空運は(コロナ終息後の)しっかりとした増加基調が続いています。 https://www.dashboard-deutschland.de/pulsmesser_wirtschaf…
Japan: Tierquälerei versus religiöse Traditionドイツ人「日本の動物虐待 えげつねぇ…」(ドイツの記事)https://www.focus.de/panorama/welt/japan-tierquaelerei-versus-religioese-tradition_id_195384304.html
ドイツ人「岸田は息子だけ解雇して自分は責任取らないの?」(ドイツの反応)
Japan hasst es, mit Deutschland verglichen zu werdenドイツ人「岸田は息子だけ解雇して自分は責任取らないの?」(ドイツの反応)岸田首相、公邸でのパーティーで息子を罷免縁故主義との批判を受け ttps://www.spiegel.de/ausland/japan-ministerpraesident-fumio-kishid
オーストリア人「エネルギー問題について日本から学ぶべきこと」
Energiesparen: Was wir von Japan lernen könnenオーストリア人「エネルギー問題について日本から学ぶことは沢山ある」ttps://www.puls24.at/news/wirtschaft/energiesparen-was-wir-von-japan-lernen-koennen/272184
20230608 中国ドイツ商工会議所業況サーベイ結果について
Post-COVID Flash Survey.pdf 中国ドイツ商工会議所(AHK)から本日、「ポスト・コロナ臨時業況サーベイ」の結果が発表されましたので、そのエッセンスをご紹介します。 【全体的な印象】 ゼロコロナ政策終了で期待されていたほどの景気回復は実現していない。 地政学的な緊張がある上、当面の市場見通しが思わしくないので、中国に進出しているドイツ企業は将来についてやや悲観的。 ●状況が良くなるという企業と悪くなるという企業が両方同じくらい増加。 ●ここ数年の対中警戒の高まりとともに投資意欲は相応に低下も、引き続き高水準。 ●売上と利益の見通しは、前回調査比悪化。 ●投資を増やさない…
本日今年ドイツがマイナス成長に終わるという予想が二つ(上図緑枠)出てきましたので、その内容をざっとご紹介します。 ①ハンブルク世界経済研究所(HWWI) 今年のドイツGDPが▲0.5%ものマイナス成長になるという悲観的な予測を繰り出しています。 今年第1四半期が前期比▲0.3%と予想以上に低調だった上、ECBが高どまるインフレと今後の賃金大幅上昇のため追加利上げが必要なので、景気はかなり悪くなりそうだという見立てです。 https://www.hwwi.org/index.php?id=7199&tx_hwwinews_news%5Bnews%5D=8977&tx_hwwinews_news%…
20230606 ドイツにおける現金とデジタル通貨の将来について
日本とドイツは先進国の中でも現金選好が強いことで有名ですが、 dateno.hatenablog.com ドイツ連銀の決済専門家David Ballaschk(バラシュク)氏がWDR(ドイツ地方テレビ局)とのインタビューで現金やデジタル通貨の将来について語っている内容がなかなか興味深いので、そのエッセンスを以下ご紹介します。 ドイツ銀行協会の2020年の調査によると、ドイツ人の大多数が現金に対して非常に強い愛着をもっている。 回答者の4分の3が、将来紙幣や硬貨がなくなることを望んでいない。 但し、30歳未満の回答者のほぼ半数は、将来的にデジタル決済のみになると覚悟している。 当分の間、決済取引…
20230604 「Deutschlandticket (49ユーロ乗り放題切符)」のメディア・SNSでの報道・評価ぶり
49ユーロで市域公共交通機関が全独で1ヶ月乗り放題となる「Deutschlandticket」が先月導入されてから1ヶ月が経ちましたが、ドイツメディアやSNSでみられる同チケットに対する報道・評価ぶりは以下の通りです。 Deutschlandticket:1ヶ月(歴月単位)49ユーロ(約4,700円)でドイツ全土の地方公共交通機関(バス、市内電車、地下鉄、Sバーン、地方急行電車)が載り放題となる特別切符。ICE、IC、ECなどの長距離電車や1等車は対象外。 77%が「満足」と回答しており、全体としてかなり好評。特に通勤者や都市部生活者に高く評価されている。 約10百万人が購入。うち70万人はこ…
<Japanese> 6月2日に経済産業省から「2023年版ものづくり白書」が発表されました。「ものづくり大国」日本の将来を考える上で非常に重要だと思いましたので、ざっと目を通した上で私なりに考えたことをまとめておこうと思います(白書の要約を試みたわけではないので、その主張や結論だけでなく、整理の仕方や表現が異なる点はご了承下さい)。 https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2023/pdf/gaiyo.pdf 製造業をとりまく近年の環境変化の中で、最も重要なのは以下3点と思われます。①地政学リスクの高まりによる既存のサプライチェーン脆弱化②…
ドイツ鉄道と鉄道労組(EVG)の賃上げ交渉が完全に行き詰まっており、大規模なストライキが再び実施される可能性が高まっています。現状を総括すると以下の通りです。 4月21日の警告ストでは、ドイツ全土の長距離電車と地域電車がマヒした。 5月15日から50時間のストが予定されていたが、フランクフルト労働裁判所の土壇場の調停により、中止された(但し直前の撤回だったので電車の1/3が運休)。 【労組要求】期間1年+12%(但し月650ユーロ以上) 【経営側オファー】期間2年で賃金水準により2段階で+8~12%(第一段階12月とかなり遅め)。一時金今年7月1,450ユーロ、11月1,400ユーロ。 労組は…
20230601 ドイツ小売売上、名目プラス/実質マイナス継続
ドイツ4月小売売上は、前月比実質+0.8%と、前月の大幅マイナスからのリバウンドを見込んでいた市場予想(+1.0~1.5%)をやや下回りました。 前年比で見ると、名目ベースでは4月単月+3.9%、1~4月累計+2.9%(薄赤)としっかり伸びているにもかかわらず、実質ベース(インフレ分差し引き後)では4月▲4.3%、1-4月▲6.0%(濃赤)と凹んだままになっています。名目の伸びがインフレで食われ続けている格好です。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/06/PD23_212_45212.html 消費者センチメント…
ドイツ経済基礎知識的なスライド(とお役立ちリンク)を集めて貼っておきます。タイトルだけざっと見て頂ければイメージがわくと思います。特にドイツ駐在ビジネスパーソン用お手元資料として少しでもお役に立つようなら幸甚です。 ★ドイツ経済の最近の状況(随時更新中)についてはこちらをご覧ください。 note.com <ドイツ駐在ビジネスマン向けコラム> www.newsdigest.de <日本語WIKI> ja.wikipedia.org <各種経済統計一覧> tradingeconomics.com こちらはドイツ連邦統計局のダッシュボード(ドイツ語) https://www.dashboard-de…
20230531 ドイツ5月雇用統計、引き続き堅調も求人軟化の兆し
つい先ほどドイツ連邦雇用庁から5月分のドイツ雇用統計が発表されました(米国の雇用統計と違って、賃金データは含まれていないので、インフレに対する直接的影響は読み取れないという点についてはご了承ください)。 ●市場が最も注目する季節調整後失業者数前月比増減は+9千人と市場予想(+15千人)より気持ち強めの内容でした。 ●連邦統計局は「冬場にリセッションに陥った割に雇用は強い」と総括しています。 ●昨年6月以来、失業率が0.6%上昇していますが、これはウクライナ難民を失業者カウントの対象としたことによるもので、ドイツの景気悪化の影響はほとんどありません。 ●5月時点でウクライナ難民の労働力人口は50…
https://www.zew.de/presse/pressearchiv/ezb-inflationsziel-bleibt-in-weiter-ferne 本日、ZEW(マンハイム研)からユーロ圏インフレ予想に関する調査結果が発表されていますので、そのエッセンスをご紹介します。 ユーロ圏インフレ率は今後数年間にわたって高止まりする可能性が高い。 欧州中央銀行(ECB)のインフレ目標の2%まで下がるのは早くても2025年。 回答者(金融専門家)350人のうちの大多数が、賃金・インフレ・スパイラルを懸念。気候変動対策も中長期的インフレ押上げ要因。 一方、エネルギー価格低下とECB利上げ継続が…
20230528 少なくとも現時点のドイツにクレジットクランチの兆候なし
bankenverband.de ドイツ銀行業界の「企業資金調達レポート」のエッセンスを以下ご紹介します。 ドイツ経済は、この冬の半年で景気後退に陥った。迅速な回復は期待薄。年内に底打ちしたとしても、2023年通年でも小さなマイナス成長に陥るリスクあり。 ドイツ企業の財務は概ね堅調に推移しているが、ビジネスの見通しはやや暗くなっており、投資を手控えている。 冒頭グラフ(ECBの銀行貸出サーベイ)の赤線の通り、ドイツの貸出基準厳格化は非常にマイルド。 米国・スイス発銀行セクター不安は、EUでも一時不安を掻き立てたが、EU金融システムは非常に強固であり、特段貸出への悪影響は見受けられない。 ドイツ…
ドイツ3大全国紙の1角であるヴェルト紙が実施した、ドイツ労働組合総連合(DGB)傘下の8労働組合を対象としたアンケート調査結果によると、スト頻発で若干一般市民から顰蹙を買いつつも、賃上げなどの処遇改善で頼りになる労働組合への新規加入が今年に入ってからかなり増えている模様です。但し、定年退職者数が非常に多いため、ネット会員増になるかどうかは微妙なようです。 特筆すべきコメントなどは以下の通りです。 非常に厳しい経済状況の中、労働組合メンバーになればより大きな恩恵(賃上げ、時短、リスキリング)を受けられる可能性が高まっている。 ストライキの報道とその成果としての賃上げ達成を目の当たりにして「自分も…
20230526 ドイツリセッション入りに関するドイツメディアの報道ぶり
第1四半期GDP確報の下方修正(前期比ゼロ⇒▲0.3%)で、ドイツ経済が2期連続のマイナス成長に陥ったことについてのドイツメディアの報道ぶりは以下の通りです。 インフレで個人消費が凹み、金利急騰と建設コスト高で建設業が凹み、頼みの輸出も冴えない展開(下添グラフご参照)。 大元をたどれば、切り上がったエネルギー価格により冬場のドイツ経済がなぎ倒された格好。 しかし、真の景気後退とは、企業の稼働率が低下し、短時間労働や失業率が増え、価格が停滞/下落するような状況であるはず。高水準の受注残、人手不足でタイトな労働市場、高どまるインフレ、いうドイツの現状はいずれにも当てはまらない。 ドイツ政府は今年+…
20230525 ドイツQ1GDP下方修正でリセッション入り
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/05/PD23_203_811.html 先ほどドイツ連邦統計局から第1四半期(1~3月)実質GDP確報の発表があり、前期比▲0.3%と、速報のプラスゼロから0.3%も下方修正されていました。 速報発表後に集計された3月鉱工業生産の大幅マイナス(前月比▲3.4%)が影響した模様です。 上図の通り、昨年Q4も▲0.5%とマイナス成長でしたので、事後的に2四半期連続の毎セス成長:テクニカルリセッションといういことになりました。 前年同期比でも▲0.2%とマイナスに転じ、これは2021…
https://www.bundesbank.de/resource/blob/799628/f54d342ec77d4bca09bde31421a3832d/mL/2023-05-monatsbericht-data.pdf 本日ドイツ連銀月報がリリースされましたので、そのエッセンスを以下ご紹介します。 高インフレが引き続き個人消費(財・サービスとも)の逆風。多少の賃上げでは実質所得の目減りは解消しない。 EV関連補助金縮小も自動車販売を押し下げ。車はリース用投資需要も減退。 一方、供給ボトルネックの緩和、高水準の受注残、エネルギー価格低下が製造業を、穏やかな天候が建設業をサポート。 Q1G…
https://www.ifo.de/fakten/2023-05-24/ifo-geschaeftsklimaindex-faellt-mai-20 先ほど5月ifo景況指数が発表され、期待指数(青)が予想以上に大きく低下し、総合指数(赤)が市場予想を下回る結果となっていました。夏場に向けてのドイツ経済のモメンタムは少し下振れリスクを警戒する必要がありそうです。 今回 前回 市場予想 サービス業(右上)は持ち堪えている(現況はさらに改善)ものの、製造業(左上)と小売・卸売業(左下)の悪化が顕著になっています(PMIと整合的)。 景気サイクル的<縦軸:期待、横軸:現況>にはリセッション領域(第…
https://tradingeconomics.com/eurjpy:cur 上図の通り、足元のユーロ・円為替レート(EUR/JPY)は、1ユーロほぼ150円と、ユーロ発足以来のレンジのかなり上の方に位置しています。 2014年12月の高値を抜けつつあるので、2008年夏の170円に向けて一段と上昇する可能性はあります。 この円安ユーロ高をドライブしてきたのは昨年来のECB大幅利上げです。 下図は2年物国債利回りの日独比較(ドイツ:青、日本:緑)ですが、日独金利差が大きく拡大し、市場がユーロ回円売りを選好しやすくなっていることが判ります。 https://tradingeconomics.c…
20230524 ドイツ経済省GDPナウキャスト大幅マイナス
ドイツの第2四半期(4-6月)GDPの発表は7月末頃なので、まだまだ市場予想は出回っていませんが、今年コンセンサス並みの+0.3%成長を実現するためには、Q2前期比+0.2~0.3%、Q3以降は+0.4%が必要です(上図最下段)。 ところが、昨日発表されたドイツ経済省のGDPナウキャストによると、Q2は前期比▲0.4%と非常に低い予想になっています。 https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Schlaglichter-der-Wirtschaftspolitik/2023/06/13-konjunktur-BIP-nowcast.html 一方、毎週月曜夕刻にアップデ…
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/05/PD23_200_62.html 今朝ドイツ連邦統計局(Destatis)から、学歴別/職業別賃金平均値(2022年4月時点、以下月額)が発表されましたのでご紹介します。 ①学歴別:当然ながら高学歴ほど高収入 職業訓練を修了したフルタイム従業員月収 3,521 ユーロ 職業訓練資格がない場合 2,817 ユーロ マイスター、技術者、専門学校終了 4,826 ユーロ (学士より高い) 学士 4,551 ユーロ 修士 6,188 ユーロ 博士号 8,687ユーロ ②職業別:ボー…
20230523 ドイツ商工会議所(DIHK)中小企業景気調査結果
https://www.dihk.de/de/themen-und-positionen/wirtschaftspolitik/konjunktur-und-wachstum/konjunkturumfrage-fruehsommer-2023 年3回実施されているドイツ商工会議所(DIHK)の景気調査結果(対象:ドイツ国内中小企業21千社)が発表されましたので、使えそうなデータを一通りピックアップしておきます。 ●総合的景況感:昨年のボトムから反発継続も、長期平均水準(水色)以下 ●景況感DI(黄:製造業、黒:建設業、橙:小売・卸売業(商業)、青:サービス業) 現状は、サービスで上向き、建設…
ドイツの日曜日や祝祭日には、レストランやキオスク、駅や空港内以外のお店はほぼ全て閉まっています。ドイツへの旅行や赴任時に一番がっかりさせられるポイントなのではないかと思います。 これは「閉店法」(へいてんほう、独:Ladenschlussgesetz、LadSchlG)という小売店の閉店時間を規制する法律によるもので、ドイツ労働組合の圧力で1956年に始まりました。 この閉店法があまりにも時代遅れで、経済の足かせになっているということで、ショルツ政権の連立ジュニアパートナーであるFDP(経済・自由競争重視)が緩和を検討しています。お店が希望すれば日曜営業も可能にしようという方向性です。 FDP…
20230518 ドイツニュースダイジェスト「ドイツで生き残るためのビジネス塾」
先月より「ドイツニュースダイジェスト」 ドイツを100%楽しむ! - ドイツ生活情報満載!ドイツニュースダイジェスト で月一回のコラム連載を始めました。 ビジネス塾 - ドイツ生活情報満載!ドイツニュースダイジェスト ドイツ駐在の日本人ビジネスパーソンやドイツ出張者の皆様のお役に立つようなビジネス関連テーマをとりあげていくつもりです。 よろしければ当ブログやYouTube 日独経済日記 - YouTube と併せてご覧ください。 <第1回> www.newsdigest.de <第2回> www.newsdigest.de
20230517 ドイツの対中直接投資残高:1,140億ユーロ(17兆円相当)
本日ケルン研(IW)よりドイツ企業の対中直接投資に関する分析レポートが発表されたので、そのエッセンスを抽出しておきます。 ドイツからの対中直接投資は2021年末時点で1026億ユーロ(対外直投全体に占めるシェアは7.2%)<ご参考:日本は2021年末、中国16兆円、香港4兆円>。 昨年は推計115億ユーロの追加投資があったため、2022年末時点での直投残高は1140億ユーロとなっているはず。 <対中直接投資年次フロー> この2年、毎年100億ユーロ超が対中直投に投下されているが、現地で上げた利益の再投資(上図黄土色部分)によるものが大半。近年は撤退(茶色部分:持分売却)も相応に出ている。 ドイ…
日独経済日記ではYouTubeでもドイツ経済についての各種解説動画を発信しています。 スライドはお手元資料としてお使い頂けるよう工夫してあります。 ドイツ経済を短時間で理解したい方は、是非こちらの動画をご活用ください。 ●ドイツ経済関連 youtu.be youtu.be ●ドイツ銀行業界関連 youtu.be youtu.be ●ドイツ駐在者用情報収集関連 youtu.be youtu.be ●ドイツ生活関連 youtu.be youtu.be
毎月下旬に上図のような景気先行指標「ifo景況指数」が発表され、市場から注目を集めているのですが、そのブレークダウンは「ifo Konjunkturperspektive」という冊子で発表されています。 www.ifo.de 本稿ではその中から興味深い部分をピックアップしてご紹介します。 ●全体としては冒頭図のような回復基調にありますが、建設(左)と小売(右)は、インフレ(と建設は金利上昇)によりマイナス圏で低迷しています。 <赤:総合、灰:現況、青:期待> ●製造業は、昨年大きく落ち込んだ期待指数(青)がゼロまで回復。 内訳をみると、最近受注指数(下図左)が弱い(実際3月分統計で顕在化)もの…
Economic forecast for Germany 先ほどEU委員会から発表された春季経済見通しをざっとチェックしておきます。 ●EU/ユーロ圏の全体感 両エリアとも、インフレ率が高い割に、成長率は低く、失業は悪化しないという構図です。 ドイツ(ユーロ圏でのウェート3割)はかなり弱い方で、全体の足を引っ張っています。 ●ドイツ部分 内外主要機関との比較で、今年のインフレに最も悲観的である点が特徴的です(ベースがHICPということもありますが)。 <主要指標> 2022年 2023年 2024年 GDP成長率(前年比%) 1.8 0.2 1.4 ~かなり低水準 インフレ率 (前年比%) …
20230515 在宅勤務定着で空いたドイツのオフィススペース:12%
先ほどifoから発表された在宅勤務に関する調査結果がなかなか興味深かったので、そのポイントを以下ご紹介します。 在宅勤務により使われなくなったオフィススペースの割合が、ドイツではコロナ前の3倍に増えている(全産業ベースで2019年の4.6%⇒今年4月は12.3%)。 ただし業種によって隔たりが大きく、そもそも在宅勤務が難しい小売や建設ではもともと低水準かつその後もほとんど変動がない。 サービス業ではもともと6.2%と高水準なところから、16.8%へと大きく上昇しているが、特にIT、広告・マーケティング、経営コンサルティングで大幅増。 製造業では3.1%から9.6%への増加となっているが、特に製…
20230510 ドイツの小売店頭での支払いの6割がカード、4割が現金
https://www.ehi.org/presse/mobiles-bezahlen-legt-kraeftig-zu/ 小売実店舗でのカード決済の普及がじわりと進んでいるようです。 小売調査機関EHI(@ケルン)が本日発表した調査によると、調査対象の小売実店舗(405社、小売総額の約55%を占める)での昨年の決済総額4,650 億ユーロ(前年比+350億ユーロ)のうち、カード決済(2,779 億ユーロ)のシェアは0.9 ポイント増でほぼ6割に到達。一方、現金決済は37.5%と前年比1%の減少となり、コロナをきっかけに現金を避ける習慣が少し広まった模様です。 なお、ドイツ人一人あたりの小売実…
read.oecd-ilibrary.org 昨日OECDからドイツ経済報告書(2023年)が発表されましたので、そのエッセンスをまとめておきます(ヘッドラインについては上図緑枠部分をご参照下さい。独5賢人の予測とほぼ同じです)。 <OECDからドイツ政府に向けた提言>~日本にも同じことが言える部分あり。 輸出主導の成長、失業率の低下、財政黒字が約10年続いたが、その後のパンデミックとエネルギー危機により、ドイツ経済が構造的な弱点を抱えており、気候変動対応とデジタリゼーションの加速が切実に必要であることが判明した。 急速な高齢化が財政を圧迫し、熟練労働者不足が深刻。労働供給を増やすためには、低…
20230508 欧州国別公共交通機関ランキング:ドイツは滑り込み4位
https://greenpeace.at/uploads/2023/05/report-climate-and-public-transport-tickets-in-europe.pdf 5月4日にグリーンピースが発表した、欧州30 か国とその首都の公共交通機関ランキングがなかなか面白いので、以下ざっとご紹介します。 ①料金体系の簡素さ、②料金の安さ、③社会的弱者に対する割引、④付加価値税の高さによる評価。運行時間、頻度などの質的側面は評価対象外。 国別ランキングでドイツが4位と上位に食い込んだのは、まさに今月から導入されたばかりの月額49 ユーロで全国乗り放題の「Deutschlandt…
●上図の通り、今年/来年のGDPはスモールプラス/+1%ちょい、インフレは6%前後/3%前後、というのがコンセンサス的目線です。なお、現時点で最も権威ある経済予測は緑枠/ドイツ政府のものになります。 ●足元のGDPの走り~ifo現況指数(青)、Buba週次経済活動指数(緑)ともほとんど横ばいで、年後半に向けて期待されている回復力の兆しはまだ見えていません。 ●物流~陸:トラック(青)、空:航空(赤)、海:コンテナ(緑)ともあまり力強さは感じられません。 ●消費者信頼感~最近戻し基調ながら、水準はまだまだ低く、インフレを理由とする個人消費の低迷継続を覚悟しておく必要があります。 ●雇用~就業者数…