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https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/03/PD23_118_45213.html 先ほどドイツ連邦統計局から今年1月のホテル・レストラン業界の売上高速報値(上図は実質ベースの水準:2015年=100)が発表されました。 前年同月比実質+19.4%、名目+31.8%と大きく回復しているだけでなく、 10%強の値上げ(名目と実質の差)に成功している姿が確認できました。 ただし、2019年1月との対比では、宿泊▲12.7%(青)、飲食▲12.0%(赤)とまだコロナ前の水準を下回っています。 ちなみにドイツのGastgew…
https://www.bundesbank.de/resource/blob/906392/cfee7ae26ec263ab2b8d2b99b4dfc2f7/mL/2023-03-monatsbericht-data.pdf 本日ドイツ連銀月報(3月号)が公表されたので、その経済分析部分のポイントをざっと抽出しておきます。 3 月のドイツのCPI(3/30発表)はベース効果により大きく低下する可能性高いが、コアは高止まる見込み。 HICPの年次改定で、パッケージ旅行(1.2⇒3.5%)、レストラン(2.8⇒4.9%)、宿泊(0.8⇒1.8%)などでウェート上昇、家賃(11.3⇒7.3%)、エ…
20230320 ドイツ連銀Q1GDPナウキャスト、前期比フラットまで低下
https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex 先週までは前期比+0.5%ペースだったので、ここ1週間で大幅に低下したことになります。 dateno.hatenablog.com この間、何かニュースがあったかというと、やはり金融システム不安(シリコンバレー銀行、クレディスイスなど)くらいしか見当たりませんので、金融システム不安でドイツ経済の手かいったん止まっている、ということかと思います。来週のWAIとまもなく出てくるはずの経済省ナウキャスト(現時点で…
20230320 ドイツ製造業受注残、月商の7.4か月分と高水準維持
今朝のドイツ連邦統計局発表によると、今年1月の製造業受注残(実質/インフレ勘案後)は 前月比▲0.5%、前年同月比+1.2%(赤:総合、黒:国内、青:海外) 月商(直近12ケ月平均)の7.4ヶ月分(投資財10.7、中間財3.8、消費財3.4ヶ月分) と引き続き高水準が維持されていました。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/03/PD23_111_421.html 製造業受注(青)は下図の通り最近非常に冴えない状況が続いているのですが、生産(赤)がほとんど落ちないのは、受注残がこのように積み上がっているためです。 …
www.oecd.org 本日OECDの世界経済予測が出たので、そのドイツ関連部分を中心にざっとチェックしておきました。 <グローバル全体感> ●エネルギー(左)もその他商品(右)も価格は落ち着いてきた ●企業も家計もセンチメントが少し上向いてきた ●中国依存~左:観光では韓国、ベトナム、日本、タイ、台湾への影響大 右:資源ではアルミ、銅、ニッケル、石炭の半分以上を中国が消費 ●GDP~ドイツの今年+0.3%/来年+1.7%はほぼコンセンサス並み予想 ●インフレ~今年のドイツインフレは高め予想/特にコア大幅上方修正 <ドイツ関連> ●ドイツの雇用の堅調さ(失業者一人当たり求人数:1.4)がピッ…
先ほどドイツ連邦統計局から、倒産件数(青線:企業倒産+個人破産の合計)の発表があり、 2022年通年での企業倒産件数は、前年比+4.3%(特に建設、商業で増加) 個人破産件数は、前年比▲16.6% とのことでした。 月次推移は下図の通り概ね低位横ばいではあるものの、先行指標(赤線)が2月にやや増えていることがちょっと気になります。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/03/PD23_109_52411.html (青:公式統計~昨年12月まで、赤:受付ベースの先行指標~今年2月まで) 企業(青線)と個人(茶色線)の…
昨日ドイツ経済省から出た月次経済報告をざっとチェックしました。以下そのポイントを整理しておきます(特段新規悪材料なく、イメージ通りです)。 www.bmwk.de 昨年第4四半期のGDPは前期比▲0.4%と急速に縮小した(速報値から0.2%ポイントの下方修正)。 ①高インフレによる購買力低下と消費抑制、②金利上昇による設備投資・建設投減少、③まだ残っている供給ボトルネック(特に化学)がその主因。 今年第1四半期のGDPが前期比マイナスとなり「テクニカルリセッション」となる可能性は否定しきれないが、各種指標は結構好転しており、景気後退に陥ったとしても短期かつ浅いものとなる可能性が高い。 世界経済…
20230315 キール研は今年Q1前期比+0.2%予想(通年+0.5%)
https://www.ifw-kiel.de/de/publikationen/medieninformationen/2023/deutsche-konjunktur-stabilisiert-sich/ 先ほどキール研(IfW)から春季経済予測が発表され、ヘッドラインは以下の通りとなっていました。 実質GDP:今年+0.5%/来年+1.4% 四半期の走りは(冒頭グラフ)、今年Q1⇒Q4:+0.2%/+0.3%/+0.3%/+0.3% インフレ:今年+5.4%/来年+2.1%(他機関比低め) 失業率 :今年5.4%/来年+5.2%(他機関同様悪化は見ていない) 今年+5%、来年+6%の賃金…
20230315 ドイツ個人消費、昨年堅調も今年はマイナス見込み
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/03/PD23_106_811.html 今朝の連邦統計局発表によると、昨年の個人消費は、名目+10.7%、実質でも+3.4%となかなかの堅調ぶりでした。 +6.9%とインフレ率が大幅に上昇したにもかかわらず、コロナ制限の解除の好影響が大きかった。 旅行や外食などのサービス支出が実質ベースで+8.3%と大きく増加。 ただし、2019年(コロナ危機前)比ではまだ▲1.3%。 一般家庭における電気代は前年比+19.3%、ガス代は+13.9%と急騰したが、節約に徹したため、実質ベースで…
www.ifo.de たった今ifo研の春季経済予測が発表され、2023年実質GDPは▲0.1%のマイナス成長予想となっていました(2024年は+1.7%)。 以下のドイツ政府公式予測+0.2%や昨日発表のハレ研+0.4%よりやや弱気です。 インフレと高金利のせいで、個人消費と建設がかなり弱めになると考えている模様です。 インフレについては、来年かなり2%に近づくという楽観的予想になっています(他機関は3%超を予測)。 総合:今年+6.2%/来年+2.2% コア:今年+6.3%/来年+2.8%
20230314 ハレ研、ドイツQ1GDP前期比+0.1%予想
https://www.iwh-halle.de/themen/konjunktur/ 本日、ライプニッツ経済研究所 (IWH、@ハレ⇒通称「ハレ研」) が春期経済予測を発表しました。 私が注目している四半期毎のGDP予測(上表)は、2023年Q1前期比+0.1%、Q2+0.2%、Q3+0.5,Q4+0.6%となっていました。 暦年ベースでは今年+0.4%、来年+1.9%となっています。 本年第1四半期GDPについては、市場は前期比マイナス(▲0.1~▲0.5%)を予想していますが、ハレ研は、公共投資と純輸出(輸入↓)が強いおかげで前期比プラス0.1%の着地予想としています。但し在庫増減は(読…
20230314 SVBドイツ支店に関するドイツでの報道ぶり
フランクフルトにSVBのドイツ支店があるものの、ドイツに預金取引はなく「ドイツに影響なし」とされていますが、念のため、当地で報道されている内容等について記録しておきます。 ●連邦金融監督庁 (BaFin)プレスリリース https://www.bafin.de/SharedDocs/Veroeffentlichungen/EN/Pressemitteilung/2023/pm_2023_03_13_Moratorium_Silicon_Valley_en.html;jsessionid=6E5FCB2F376A19960FF3295305A5C8D4.2_cid503 3月13日付けで、米シリ…
昨日(月曜日)は銀行への信用不安で欧州株安がきつくなりましたが、昨日明らかになったこちらの百貨店リストラ計画の方が従業員にとってまさに「ブラックマンデー」になったとされています。 ガレリア・カールシュタット・カウフホーフ(本社エッセン)は現存するドイツ最後の大型百貨店なのですが、もうずっと前から経営危機が続いており、リストラを繰り返しています。今回も大規模リストラ計画が発表されました。 ●リストラ計画プレスリリース(独語)~極力前向きな書きぶりがかえって哀しい https://www.galeria.de/unternehmen/presse/presseinfo-08 ①ガレリアはより安全な…
20230313 ドイツ連銀、①GDPナウキャスト堅調、②理事担当割変更
①毎週月曜夕刻にアップデートされるドイツ連銀の週次経済活動指数(WAI~GDPナウキャスト的なもの)が先ほど更新され、3m/3mベースでのGDP成長モメンタム(厳密には昨年末比3月末ではない)が+0.5%(先週の+0.6%からは低下)となっていました。 https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex 月一回更新(毎月下旬)ドイツ経済省のGDPナウキャストがQ1前期比+0.4%となっていましたので、引き続き整合的内容です。 https://www.bmwk…
20230313 ドイツのレストラン店員数、コロナ前の9割まで回復
今朝のドイツ連邦統計局からの発表によると、 2022年のレストラン店員数は2019年比▲11.8%まで回復 店員数が最も減少したのは、2020年末から翌春にかけて(下図) 特にパブやバーがしんどかった 人員削減は主に、短期労働者や低賃金所得者が対象になった https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/03/PD23_N016_45.html とのことでした。 下図は2015年を100としたレストラン店員数の推移(薄青:全体、紺:ケータリング)を示していますが、ケータリングはコロナ後の落ち込みも小さく、昨年後半にはコロナ前の…
https://www.verdi.de/themen/geld-tarif/++co++ad671ba4-5929-11ed-b1f5-001a4a16012a 先ほどドイツ郵便(対象16万人)の労使交渉が妥結しました。現在の賃金水準を今後2年間にわたって10%強引き上げるという内容(筆者試算、詳細下表黄色網掛け部分ご参照)でした(要求は1年+15%)。 警告ストだけでは経営側から十分なオファーを引き出せなかったと考えた労組(verdi)が、無期限ストへの移行の賛否を投票で問うたところ、85.9%が賛成となっただけでなく、ドイツ郵便の昨年決算が実は好調で、増配や自社株買いを計画している、とい…
expatsguide.jp <Japanese> 私がまだ若かった(日本のバブル期の)頃、東京は世界の中でも生活費が極めて高い国として大変有名でした。しかし最近の国連職員用赴任地別生計費指数(ニューヨーク=100、2022年6月時点、下表1列目)で見ると、東京はもはや国際都市としてごく普通のレベルにあるようです。英エコノミスト誌の直近ビッグマック指数(2023年1月)に使われているビッグマック価格(3列目)を、国連のと同じ為替レートを使って比較すると、東京(日本)はむしろ破格の安さを誇っています(2列目)。 国連職員 ビッグマック価格 赴任地別生計費指数 NYC=100 現地通貨建ニューヨー…
20230310 ドイツ観光宿泊件数、コロナ前の9割まで回復
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/03/PD23_096_45412.html 先ほどドイツ連邦統計局から観光関連宿泊件数統計が発表され、2023 年1月:24百万件、前年同月比+48.3%、2020年1月(コロナ直前)比▲10.5%となっていました。 先月発表された2022年通年の数字が:450.8百万件、2021年比+45.3%、2019年(コロナ前)比▲9.1%となっていましたので、ほぼ同じペースでの回復が続いている状況ということでしょう。 上図は2011年以降の月別宿泊件数推移をビジュアル表示(青色が濃い…
20230309 新ユーロ圏におけるGDPとHICPの各国シェア
ユーロ圏メンバーが変わる(今年からクロアチア加盟で20カ国に)度に必要になる基礎作業を片付けました。お手元ご参考用です。 日米英中などと違って、ユーロ圏は複数の国の集合体なので、ユーロ圏各国のインフレ関連ニュースはHICPのウエートで、経済関連ニュースはGDPウェートで消化する、というのが基本動作です。 ちなみに余談ですが、HICPは消費支出のウェートに基づいているので、GDPとは少しずれています(イタリアは消費支出のシェアが大きく、アイルランドは小さい)。 実務上、イタリアのインフレはユーロ圏全体へのインパクトが気持ち大きいということだけ覚えておきましょう。
●普通に寒い日が続いているので、ドイツのガスは相応に使われていますが、備蓄(紫線)はベストシナリオ(一番上の点線)に近いくらいの高水準を維持しています。 https://www.zeit.de/wirtschaft/energiemonitor-deutschland-gaspreis-spritpreis-energieversorgung ●今後の気温については、暖冬でこそないものの、ちょうど平年並みの日が4月9日まで続く模様です。 https://www.dwd.de/DE/leistungen/kvhs_de/1_basic_de/week_de/weekly_node.html ●家…
気候変動(異常気象)により2050年までにドイツで発生する経済損失(最悪シナリオ) 建物・インフラ4700億EUR、貿易1900億EUR、農業1600億EUR、林業1000億EUR https://papers.gws-os.com/gws-researchreport22-2.pdf ドイツ経済省から、生態経済研究所(IÖW)、Gesellschaft für Wirtschaftliche Strukturforschung(GWS)、Prognos AGへの委託により実施された気候変動/異常気象によるドイツの経済的損失の見積もりに関する研究結果が発表されました。ポイントは以下の通りです。…
20230307 ドイツ2大GDPナウキャストは引き続きQ1マイナス成長回避を示唆
毎週月曜夕刻にドイツ連銀から発表される週次経済活動指数(WAI~GDPナウキャストの一種)は今週更に上昇し(上図右)、3m/3mモメンタムが+0.6%に上昇していました(先週+0.4%)。 https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex 別途毎月下旬に発表されている経済省のGDPナウキャストも、直近分が今年第1四半期のGDP前期比+0.4%予想となっています(上図左)。 ユーロ圏コアインフレ率(下図)になかなかブレーキがかからない中で、ユーロ圏経済の牽引…
<月あたり労働時間:女性(青)/男性(黒)> 第一子出産以降差が開く https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/03/PD23_084_621.html 先ほどドイツ連邦統計局から以下のような興味深い発表がありましたので、ご報告させていただきます。 一言でまとめると「女性の賃金が男性より低いのは、就業率低い×労働時間短い×低賃金ポストに就業×同じ仕事/ポストでも時給が7%低いため」ということのようです。 2022年時点のドイツで、女性は男性より18 %時給が少ない(調整「前」男女賃金格差)。 このうち、11%ポイントは、…
20230306 ドイツ関連ニュースを15分だけ使って自力チェックする方法③
「ドイツ駐在ビジネスマンが、1日15分だけ時間を割いて自力でドイツ語ニュースをチェックするとしたら、具体的にどうしたらいいか」というご質問をよくいただくので、いろいろ試行錯誤しています。 今回はその第3弾として、ドイツ語 Google News の使い勝手を研究してみました。しばらく見ていなかった間に、ずいぶん進化していて使えそうな感じになっています。 news.google.com よろしければ以下を試してみてください。 【初回】 以下Google News にアクセスし、ドイツ語になっていなければ「設定の歯車」から選択言語をドイツ語に設定し、「お気に入り」に保存する。 https://ne…
<Japanese> 東京都区部のCPIは、全国分より家賃のウェートが高く(人口が集中していて家賃が高い)、交通費のウェートが低い(公共交通機関が高度に張り巡らされていて安い)ので、やや注意する必要がありますが、1ヶ月くらい早く見られるので、日本のインフレ速報として大変有益です。その東京都区部の2月CPI(総合)が前月比▲0.6%と大幅に低下し、前年同月比では1月の+4.4%から+3.4%へと13か月ぶりの低下となりました。その主因は政府が実施した電気・ガス代抑制政策で、CPIを電気が0.64%、ガスが0.30%押し下げました。日本のインフレは1月をピークとして、今後は低下に向かう見込みです。…
20230304 ドイツ人は日本人より何にお金をかけているか
今なお世界中でインフレがひどいので、CPIが何かと注目を集めていますが、その中の品目別ウェートは、その国の人たちが何にお金を使っているかを客観的に測るための貴重なデータになります。 今年からドイツのCPIも日本と同じ2020年基準となり、比較しやすくなりましたので、日本(全国/東京)とドイツのCPIのウェートを比べてみたところ、以下のような(まさにイメージ通りの)発見がありましたのでご報告させて頂きます。 <日本とドイツの違い> 日本は食費のウェートがドイツより圧倒的に高い。日本人は魚介類、野菜、外食にお金をかけている。 ドイツ人は生きる手段として最小限食べているようなところがあり、食事にあま…
先ほどドイツ連邦統計局から1月貿易統計が発表され、輸出が前年同月比+8.6%と大きく回復(輸入は+5.2%)していたため、下図青線の通り、一時縮小継続が懸念されていた貿易黒字もぐっと持ち直してきました。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/03/PD23_083_51.html ifo輸出期待(青)、コンテナ物流量(赤)を見ると、この先どんどん伸びるという感じではないものの、大きく悪化することはなさそうです。 但し、対中依存度の一つの指標である対中貿易赤字は1月も拡大が続いていました。 <速報値ベース 1月分の比較…
20230303 ドイツでは今でも従業員の25%が在宅勤務利用
https://www.ifo.de/pressemitteilung/2023-03-02/drei-von-vier-beschaeftigten-bei-it-dienstleistern-nutzen-homeoffice 各種アンケート調査を得意とするifo研が、「勤務の(ごく)一部でも在宅勤務を利用している従業員の割合」を業種ごとに調査したところ、以下のような結果となっていました。 ●セクター(大分類)別 全産業:24.7%、サービス業:35.6%、製造業:16.0%、 卸売業:14.3%、小売業:5.7%、建設業:5.5% 昨年3月に「可能な限り在宅勤務」という義務が撤廃されて以…
リオープン後にコロナ患者激増で低迷していた中国のPMIが上図の通り最近急回復しており、中国経済の復活⇒世界経済へのサポートという期待が高まっています。 しかし、ドイツ連銀2月月報(残念ながらまだ英語版は出ていません)での中国経済分析によると、中国のコロナ感染が沈静化しても、以下2つの理由から中国経済が力強い回復軌道に戻るとは期待しない方が良い、と評価されています。 コロナ後、家計の状況が大きく悪化したままであること。長期トレンドから、可処分所得は▲9%、消費支出は▲14%下振れており、かつ回復モメンタムが感じられない(下図)。 不動産不況を克服するのが非常に難しいと思われること。 (上:可処分…
つい先ほどドイツ連邦雇用庁から2月分のドイツ雇用統計が発表されました。 ●市場が最も注目する季節調整後失業者数前月比増減は、+2千人と市場予想(+11千人)比強めの内容でした。 ●本ブログで時々ご紹介しているオンライン求人数(青線)が絶好調であることと整合的です。ドイツ製造業が海外経済低迷やエネルギーコスト急騰(特に化学)でイマイチな中でもサービス業が健闘(赤線:サービス業売上)している一因となっています。 ●昨年6月からウクライナ難民を失業者カウント対象としたため少し押し上げられていた失業率も、上昇が完全に止まっています。 ●なお、2月時点でウクライナ難民の労働力人口は46万人、うち19万人…
20230301 ドイツが輸入する太陽光発電機器の9割が中国製
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/03/PD23_N012_43.html 先ほどドイツ連邦統計局から、2022 年の太陽光発電機器(ソーラーパネル、周辺装置など)について、以下のような発表がありました。 全輸入金額は約36億ユーロ、そのうち中国が31億ユーロ(87%) 中国以外では、オランダ、台湾、マレーシア、ベトナム(規模小) ドイツでの生産も増えており、輸出も14億ユーロに達した 昨年のドイツの総電力量の12%が太陽光発電によって生み出されている 2045年のカーボンニュートラル(前倒し)実現を目指すドイツ…
https://www.bundesregierung.de/breg-de/themen/stromkostenrechner ドイツでは昨年エネルギー価格があまりにも高騰したため、何も対策が講じられなければ電気代やガス代を支払えなくなる家庭が続出するような状況でした。 そこでドイツ政府は電気とガス料金に2023 年 3 月 1 日から 2024 年 4 月 30 日まで上限を設定する(ブレーキをかける)ことにしました。 それがいよいよ本日スタートするわけですが、1月、2月分に遡ってこの上限が適用されますし、顧客側では一切手続きが必要ない(政府と供給業者の間で精算され、割り引かれた金額が引き…
20230227 ドイツ連銀のGDPナウキャストは引き続き堅調
毎週月曜夕刻にアップデートされるドイツ連銀の週次経済活動指数(WAI~GDPナウキャスト的なもの)が先ほど更新され、3m/3mベースでのGDP成長モメンタムが+0.4%(先週比変わらず)となっていました。 https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-aktivitaetsindex 月一回更新(毎月下旬)ドイツ経済省のGDPナウキャストがQ1前期比+0.4%となっていましたので、整合的内容です。 https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Schlaglicht…
20230225 ドイツで多発するATM爆破強盗に関する続報
ドイツではATMを爆破して現金を奪うという大胆な組織犯罪が後を絶たない、ということについては当ブログで何度もご紹介してきましたが。。。。 20221228 ドイツでなかなかなくならない「爆破ATM荒らし」 - 日独経済日記 20211226 ドイツではATM爆破による現金強奪が後を絶ちません - 日独経済日記 私が愛読している地元有力紙ライニッシェポストに興味深い記事があったのでご紹介します。 https://rp-online.de/nrw/staedte/geldern/automatensprengung-verlieren-gefaerbte-geldscheine-ihren-wer…
今朝ドイツ連邦統計局から2022年GDP統計詳細の発表があり、 2022年Q4が前期比▲0.2%⇒▲0.4%に下方修正。 但し通年は+1.9%で不変。 コロナ前の2019年Q4と比べるとかろうじて同じ水準(107.5)。 今年Q1もマイナスになりそうなので、テクニカルリセッションが迫っている。 といった感じのヘッドラインになっていました。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/02/PD23_070_811.html 業種毎の詳細データが出たので早速分析してみたところ、ドイツの製造業のシェアが付加価値(GDP)でも社…
20230223 ウクライナ戦争による世界経済損失は1.65兆ドル
www.iwkoeln.de ウクライナ戦争勃発1周年を前に、ドイツIW(ケルン研)からその経済損失見積もりについてのレポートが発表されました。そのポイントは以下の通りです。 プーチンの侵略戦争勃発から1年が過ぎ、何千人もの人々が命を落としているが、戦争の終結が全く見えてこない。 ウクライナ人の苦しみに加えて、侵略戦争の経済的影響も巨大。 IW の推計によると、昨年の世界経済の経済損失(戦争がなかったと仮定した場合に想定されるGDPとの差)は1.65兆ドル(上図左)。 そのうち先進国分(上図灰色部分)は1.1兆ドル(ドイツは1,750 億ユーロ、GDPの4.5%相当)。 このままいくと、今年も…
20230223 ドイツ経済省のGDPナウキャスト、Q1前期比プラス0.4%と引き続き堅調
つい先ほどリリースされましたが、今年1-3月期のGDPは前期比「プラス」0.4%と堅調な内容でした。 https://www.bmwk.de/Redaktion/DE/Schlaglichter-der-Wirtschaftspolitik/2023/03/11-konjunktur-BIP-nowcast.html 週次でアップデートされるドイツ連銀のナウキャストも3m/3mのモメンタムがプラス0.4%となっており、整合的内容です。 https://www.bundesbank.de/de/statistiken/konjunktur-und-preise/woechentlicher-ak…
20230223 ドイツ流入のウクライナ人、高学歴もドイツ語には苦労
https://www.diw.de/documents/dokumentenarchiv/17/diw_01.c.866382.de/iab-bibfreda-bamf-soep_bericht_langfassung_20230216.pdf ウクライナ人がドイツにどれくらい入ってきているかというお話については先日こちらでご紹介させていただきましたが。。。。 dateno.hatenablog.com その後、ウクライナ人がドイツでどんな生活をしているかについての報告書(一番上のリンク)が出てきましたので、今回はそのエッセンスについてご紹介したいと思います。 <ポイント> ドイツ在住のウク…
https://www.ifo.de/en/facts/2023-02-22/ifo-business-climate-index-rises-february-2023 【今回のメインメッセージ】 現況指数(黒線)はまだ下向きで、昨年Q4以降のマイナス成長モメンタムが足元もまだ続いていることを示唆。 但し期待指数(上図青線)主導で大きく回復しており、今後のモメンタムプラス転換に強い期待が持てる。 ●景気サイクル図的には「リセッション領域(第3象限)」にどっぷりハマっていますので、まだまだ脆弱な状況であることには変わりありません。足元はまだ小幅マイナス成長モメンタムということを示唆しています(…
ドイツのCPIの基準年がこれまでの2015年から2020年に変更されており、本日その詳細が発表になりました。2020年はコロナの影響が最も大きく、かつインフレの襲来前だったので、2023年現在の実際のウェートとかなり異なります。 一方、ユーロ圏/ECBで使用するHICP(調和CPI)のウェートは毎年見直されていますので、足元の実態により近いと思われます。 実際以下の主要項目別ウェート推移をインフレでかさばった食費や、コロナ鎮静化で増えたお出かけ関連のウェートが上昇しています。 ECBはもともとそうしているのであまり大きな問題にはなりませんが、今年以降はドイツ固有のCPIよりHICPをより重視し…
20230221 ドイツ総合PMI、市場予想以上の改善でマイナス成長圏から脱出
https://www.pmi.spglobal.com/Public/Home/PressRelease/f99b0135db3344468dbce72aace11dc1 本日ドイツの2月総合(製造業+サービス業)PMIが発表され、市場予想よりやや強めの回復を示していました。以下発表元担当者のコメント要旨です。 2月のPMI速報値は、8ヶ月ぶりにプラス成長圏に回復。 労働市場の堅調と、企業景況感の回復継続が寄与。 改善が幅広い業種でみられたのは朗報。 但し、サービス業はある程度需要回復に裏打ちされているのに対し、製造業では、サプライチェーン障害大幅緩和のおかげによる生産増だけで、受注自体はま…
20230221 ドイツ連銀、賃上げによるインフレ押上げを覚悟
ここ2年のドイツのインフレは国際比較においても相当ひどいものになっているわけですが。。。。 昨年のドイツの賃金(以下業種毎の表示)はインフレの+8.7%と比べると遥かに低く、 その結果、実質賃金は(2021年よりさらに大きな)マイナスとなっていました。 ドイツ労組としては、このような状況はもはや許容不能ということで、今年は軒並み10%超の賃上げを要求し、空港、電車、郵便局などといった重要インフラでも容赦なく大規模なストライキを繰り返しています。 そのような状況下、ドイツ連銀は「賃金の物価に対する顕著な2次的効果を覚悟しなければならない。これによって、インフレ率がユーロ圏の中期目標である2%を大…
<ドイツ経済に関する評価のポイント> 今年Q1もGDPは前期比(小幅)マイナスの感触(昨年Q4は前期比▲0.2%)。 鉱工業生産と輸出が12月急減し、Q1の発射台が低い。 インフレ水準高く個人消費を圧迫。建設業も低迷継続。 Q2以降は緩やかな回復が続くが、強い成長は見込み薄。 足元受注は弱いが、生産は高水準の受注残とサプライチェーン障害緩和で下支えされている。 雇用は予想以上に堅調。 高い賃上げでインフレ高止まりのリスクが高まっている。 <以下ドイツの外部環境> ●グローバル経済は相応に減速。 ●エネルギー価格は結構低下。 ●ユーロ圏では企業向け(上)、家計向け(下)とも銀行融資急減速(ドイツ…
20230220 持続的なエネルギーコスト高がドイツ産業立地の脅威に
rp-online.de デュッセルドルフの地元有力新聞、ライニッシェポストに「ウクライナ危機(まもなく1周年)によってドイツの富がどれくらい失われたか」という興味深い記事が出ていましたのでそのエッセンスを簡単にご紹介します。 2022年の実質GDPは+1.9%と、ウクライナ戦争開戦前に予想されていた3.7% の約半分にとどまった。 供給ボトルネックとエネルギー価格急騰がその主因。 人手不足を恐れて多くの企業が雇用を維持したため、幸い失業や操短はほとんど増えなかった。 インフレの効果で税収は急増しているが、100 万人の在独ウクライナ難民のケア、ウクライナへの軍事・人道支援、ドイツ自身の国防強…
20230217 ドイツ製造業受注残、昨年末時点で月商の7.4か月分と高水準
今朝のドイツ連邦統計局発表によると、昨年12月の製造業受注残(実質/インフレ勘案後)は 前月比▲0.4%、前年同月比+1.2%(赤:総合、黒:国内、青:海外) 月商(直近12ケ月平均)の7.4ヶ月分(投資財10.6、中間財3.8、消費財3.4ヶ月分) と引き続き高水準が維持されていました。 https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/02/PD23_067_421.html 製造業受注(青)は下図の通り最近非常に冴えない状況が続いているのですが、生産(赤)がほとんど落ちないのは、受注残がこのように積み上がっているためです。…
20230217 本日コメルツ銀行のDAX40への復帰が決まる見込み
掲題関連情報のドイツでの各種報道のまとめです。 ドイツ証券取引所は、米国での単独上場にシフトするためDAX40から離脱するリンデの代わりになる新たな構成銘柄を2月17日の引け後に発表する予定(実際の組み入れは2月27日から)。 2月16日に好決算を発表し、DAX40構成要件をしっかり満たしていることが確認できたコメルツ銀行(ティッカーCBK)のDAX復帰が最有力(ほぼ確実)。 2022年決算では、通期純利益が14億3500万ユーロと前年の4億3000万ユーロから大幅増加。市場予想の約13億5900万ユーロも上回った。 DAX40への復帰がほぼ確実になったことから、それを好感した買いでコメルツ株…
20230216 昨年ウクライナ人約100万人がドイツに流入
https://www.destatis.de/DE/Presse/Pressemitteilungen/2023/02/PD23_N010_12411.html 先ほどドイツ連邦統計局から昨年のウクライナ移民(大半は難民)についての統計が発表されましたので、そのエッセンスを整理しておきます。 ●2022年ウクライナからドイツへの流入110万人、流出14万人で、ネット流入96万人。 ●【トップの図】流入のピークは3~5月(3月43万人、4月20万人、5月12万人)。 最近は月3万人ペースまで低下。 ●【2段目の図】流入の約1/3が18歳未満の子供(濃い色)で男女半々。 全体としては女性(赤系色…
今年のドイツの通年GDPは、最近マイナス圏からの上方修正が相次ぎ、現時点では+0.2%程度の予測が中心になっていますが、以下のドイツ景気先行指標類を見ていると、もう少し上方修正されてくるような気がしています。 ①コメルツ銀行のEarlybird景気バロメータ:悪化が止まって底打ち (短期実質金利、ユーロ実質実効為替レート、PMIなどから合成されたもの) <掲載しているWirtschaftsWoche誌の解説> 実体経済に6~9 か月先行する当バロメーター(1月分)は、2022年4月以来初めて上昇。0.07 ポイントでゼロラインをわずかに上回った。 下げ止まりの原因は、世界経済見通しの改善。特に…
フランクフルトでのバンカー不足問題について、今朝のフランクフルターアルゲマイネ紙に興味深い解説記事(下添リンク)があったのでそのエッセンスをご紹介します。 www.faz.net ●BREXIT後、フランクフルトはますます金融センターとして重要になっている(ECBとドイツ連銀もここにある)。 ●ドイツの銀行セクターでは雇用が長期的トレンドとして減少している(下図赤線)が、フランクフルトでは逆に増えている(青線)。 ●銀行セクターの従業員数の中でフランクフルトが占めるシェアは、10年前の9%に対して、現在は11%に増えている。今後もフランクフルトへの集中は続く見込み。 ●Helaba(州立銀行)…
economy-finance.ec.europa.eu 先ほどEU委員会のユーロ圏経済見通しがアップデートされ、 ●GDPは今年+0.9%(昨秋予測+0.3%から上方修正、多少ぶれてもマイナスにはならないレベル)、来年+1.5% ●インフレ(HICP)は今年来年+5.6%(昨秋予測+6.1%から下方修正)、来年+2.5% となっていました(当面はベーシス効果による急低下を目のあたりにする局面)。 ●全体としては、インフレが下がって実質GDPが押し上げられるという良好な内容の修正となっています。しかもリスクは上下にバランスしているという評価です(但し来冬に向けたガス不足と金融引き締めによる予想…