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30年も病理医をやっていると大抵の病気は見たような気になるが、そんなことはない、みたことのない病気というのは山ほどあって、それらを生きているうちに全て見ることは絶対にできない。患者さんの立場から見たら不謹慎なのだが、そんな経験のない病気に出くわすと、少し心がワクワクする。典型的な希少疾患であれば診断は簡単だが、そうでないよく訳のわからない病態もある。病変がそこに至るまでの診断を確定させるために、いろいろなストーリーを考えなくてはならず、新しい病気との出会う都度おもうこと
スマホで今日の天気を確認したら、気温が10度と表示されており目を疑った。昨日は夕方からとても強い風が吹いていて寒く感じていたが、そうでもなかったようだ。昨夜、鶴岡八幡宮を通ったら、左義長の準備ができていて、その時に撮った写真を見るとあれは南風だったことがわかる。仕事のためお焚き上げを見ることができないのは残念だが、心の中で今年一年の無病息災を願う。長年、病理医をやっているとこれまでに大抵の病気は見てきたような気になるが、そんなことはない、見たことのない病気というのは山ほどあり、それらを生きているうちに全ての病気を見ることは絶対にできない。そもそも、同じ病気に括られていても、人それぞれで症状が異なるのと同じで、顕微鏡所見も異なる。この人はこの病気だから、この診断名をつけ、程度とかステージをつけ、それに応じた...同じ疾患でも病理所見はそれぞれの人毎少しずつ違う
今朝も気温は1度で、外に出たら頭が痛くなった。能登半島の被災地もますます寒くなり、雪も多くなるということを考えるとこちらの気も沈んでしまう。この辺りだって、いつ被災するとも限らず、十分な備えが必要なのは日本国中変わらない。この間の日曜美術館はレンブラントの特集だった。”夜警”を中心とした話で、登場人物のこと、細かなディテールにはさまざまな伏線が張り巡らされているということを知ることができて興味深かった。先月から読んでいる、村上春樹の”街とその不確かな壁”も、伏線だらけの序盤を乗り越え中盤に差し掛かってきて、読むスピードも少しずつ上がってきた。優れた文章を読んでいると、優れた絵画と、優れた小説というものの共通項が見える。レンブラントにしても村上春樹にしても、とてつもない画力、文章力があり、さらには十分な取材...病理診断とレンブラントと村上春樹
今日も気温は1度、連日寒い日が続く。今年初めてメールのやり取りをする人への挨拶も寒中お見舞い仕様に変えて、寒さが厳しくなってきましたが、という書き出しにするようになった。村上春樹は小説の中に夢を多用する。夢というのはなんでもありの、小説にとっては飛び道具ともいえるようなもので、使うのは簡単だが、それを読者が納得する形で収めるのは難しい。それができるのが村上春樹だが、それを使ってしまうためにノーベル賞文学賞が取れないのではないかとも思う。それでも、夢というのはその人の人格に直結しているし、荒唐無稽な設定の中に放り込まれたとしても、覚醒時の行動パターンが崩れるわけではない。それは、意識下での意識、というようなもので、覚醒時の意識から連続しているのではないだろうか。病理診断の仕事をしているとしばしば難しい症例に...夢と現と病理診断
今日はCPC(Clinico-pathologicalconference;臨床病理検討会)がある。CPCについてはこれまでにも何度も書いてきたので、詳細は割愛するが、私の中では院内で最も重要なカンファレンスだと考えている。院内で亡くなられた方について、関係した全科が集って死に至るまでの全ての経過を検討するのだから、当然のことである。そんなわけで、今日はネクタイを持ってきた。CPCの終わりに病理医が、症例の死に至る総括を行うのだが、その時がCPCのハイライトとなる。臨床医が、疾患の発症から、診断、治療を行い、最終的に救命し得なかったのはなぜかを病理医が解剖(剖検)所見から解説するのだから、途中居眠りしていたものであっても、最後だけは聴かなくては意味がない。病理医に注目が集まるその時にだらしのない格好という...居住まいを正してCPC(臨床病理検討会)に臨む
昨晩帰った時に東の空からの顔を出し始めていた月が、今朝起き出してみると西の空に沈むところだった。時間というものが流れていることに気がつく。おもわず身構えてしまう様な寒さだったが、明日からの数日は少し暖かくなるということで、今朝だけの辛抱と、せいぜい暖かくして出てきた。昨日のCPC(臨床病理検討会)はプレゼンテーターの先生たちに、(出席者のためになるような)教育的な内容にすることを心がけて下さいとあらかじめハッパをかけておいたおかげか、どの先生もよく練られたスライドを準備してくれた。画像診断、遺伝子診断についてもわかりやすく、私自身にとってもとても勉強になる内容で、こういうレベルを維持できたら、この先も続けることができるだろうと思えた。もともとポテンシャルの高い医師の集まるレベルの高い病院なので、この程度の...よく勉強しよく考えられたものだけが優れたプレゼン
昨晩は夜中じゅう雲にうっすらと覆われて、カーテンを開けて空を見ながら頑張ったのだが、残念ながらオリオン座流星群を観察することは叶わなかった。流れ星は、おととい1個みることができたのでよしとしよう。今日はセッションをひとつを任せてもらった学会が都内であり、朝からお出かけ。臨床系の学会だが、会長が病理診断にとても熱心で、おかげで病理医にとっても興味深いプログラムとなっていた。臨床医も病理学的な研究を熱心に勉強している人は私などよりよほど詳しく、1日よく勉強させてもらった。昨晩、NHKのアナザーストーリー「昭和が終わった日」という番組で、昭和天皇の病理診断についての話があった。主人公である、昭和天皇の病理診断をした当時東大の病理学教室教授だった浦野順文先生は、病理医としての大先輩であることのみならず、病理のその...「昭和が終わった日」に立ち会えなかった病理医の物語をみて