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短編集「ティファニーで朝食を」再読② カポーティの珠玉の短編に酔いしれる
研ぎ澄まされた文体で登場人物の心を描き出す カポーティの短編集「ティファニーで朝食を」を再読しています。 前回は、表題作「ティファニーで朝食を」の感想や 映画と小説について書きました。 miyukey.hatenablog.com 今回は表題作を除いた3篇の短編についてご紹介したいと思います。 1、主人公は、カポーティ自身の姿か この短編集に収められた4篇の短編に共通することは 主人公が暗い過去や恵まれない生い立ちを持っているということ。 盗みをしなければ生きていけないほど貧しい家庭の生まれだったホリー(「ティファニーで朝食を」)、 幼くして引き取られた一家に折檻をされ続けて娼館へ来たオティリ…
カポーティ「ティファニーで朝食を」再読 ① 映画と小説・・・そして再読の醍醐味は
もう20年以上も前、高校生だった頃に感動した カポーティの「ティファニーで朝食を」。 ふと目に留まったティファニーブルーの ブックカバーがきっかけで、再読することにしました。 ティファニーで朝食を(新潮文庫) 作者:トルーマン・カポーティ 新潮社 Amazon 再読することの醍醐味は、 旧友に再会できた時のような懐かしい喜びを感じられること。 記憶の底に、かすかに残っている感動を思い出し 「ああ、そういえば、ここの箇所に胸を打たれたんだった」 「このストーリーが大好きだったなー」 と、感動を新たにできること。 そして、もうひとつは、初めて読んだ頃の自分とも再会できることです。 あの頃の自分と、…
1962年のアメリカ映画「アラバマ物語」(原題:To kill a mockingbird) 「アラバマ物語」は映画も小説もすばらしい 映画と小説のわずかな違い 裁判の場面は映画に軍配 暮らしの手帖社は絶版 「アラバマ物語」は映画も小説もすばらしい 小説と、その小説をもとに映画化された映画を比べれば、小説の完成度に軍配があがるのがよくあるパターンではなかったか? 世紀の大作、「風と共に去りぬ」だって主役の二人のインパクトの強さはあるものの、小説のほうが面白いし。 でも私は最近の映画、特に邦画をあまり見ていないので、単なる固定観念かもしれないが。 しかし、つい最近みた1962年のアメリカ映画「ア…
1968年公開の映画の紹介です監督は、リチャード・ブルックス。トルーマン・カポーティのノンフィクション小説が原作、実話のスリラー映画です。主演・出演は、ロバート・ブレイク、スコット・ウィルソン、ジョン・フォーサイス。1959年、カンザスシティ。出所したばかりのペリー・スミスは、ギターと大きな荷物を持ってディック・ヒコックと待ち合わせの駅に着きます。待っている間取り出したディックからの手紙には、こう書かれていました。『刑務所で一緒だった囚人が、うまい話を教えてくれた。』間もなく到着したディックの車に乗り、2人は大金の入った金庫があると聞いたクラター邸宅を目指します。夜中クラター邸に着いたペリーは「辞めよう」と言いますが、ディックは一人でもやると言い銃を取り出すのです。翌朝、クラター邸にナンシーを迎えに来た友...「冷血」
こんにちは。 RIYOです。今回はこちらの作品です。 名刺の住所は「旅行中」、かわいがっている捨て猫には名前をつけず、ハリウッドやニューヨークが与えるシンデレラの幸運をいともあっさりと拒絶して、ただ自由に野鳥のように飛翔する女ホリー・ゴライトリー。彼女をとりまく男たちとの愛と夢を綴り、原始の自由性を求める表題作をはじめ、華麗な幻想の世界に出発し、多彩な作風を見せるカポーティの作品4編を収める。 1918年に迎えた第一次世界大戦争の終結から、アメリカではロシア革命に端を発するボリシェヴィキズム(暴力革命を掲げる過激派共産主義)が広がり、統制の取れた革命思想を持つ労働者たちが無政府共産主義的な運動…