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今回も篠田真由美著『ミステリな建築 建築なミステリ』出版記念の企画だ。著者が十代の頃から魅了されてきた作品『髑髏城』は、どうやらミステリ愛好家やカー愛好家からもあまり評価されてこなかった事に、著者はずいぶんと悔しい思いを抱いてきたようだ。著書の第二部「ミステリを建築で読む」の第4章「ディクスン・カー『髑髏城』」の冒頭で、本格ミステリを誰よりも愛し、カーへの愛を惜しげも無く開陳してきた江戸川乱歩と…
焦らしがちな天才ロジカル名探偵 年齢・職業 戦前の元シェイクスピア俳優 容姿 隠居生活を送る老紳士 ステッキを好む古風な雰囲気 タイプ・性格 聴覚を失っているが読唇術で普通に生活している 個性的な使用人達(全員老人)とハムレット荘で生活している 事件の真相を突き止めても焦らしてな...
(今さらですが、今回は後半に犯行現場についての文章を細かく見ていきます。ネタバレもありますので、未読の方はエラリイ・クイーン「犯罪カレンダー」の「皇帝のダイス」を読んだ後にお読み下さい。) 前回同様、比較の際の色づけと下線の意味を説明しておく。 緑=翻訳の出来が素晴らしい 赤=誤…
途中から読む人はいないと思うが、とりあえず事情説明。 エラリイ・クイーンの短編集「犯罪カレンダー」の12編のうち4月の短編「皇帝のダイス」の原作と宇野利泰訳(ハヤカワ・ミステリ文庫版)とを比較している。目的は「なぜ宇野さんの訳は何故長くなるのか」を明らかにする事だったが、すでに判明しているように宇野訳のスゴさを明らかにする事に変質してきている。まあ、結論はもうちょっと先に延ばすとして、これまでのあ…
さっそく続き。なにしろエラリイ・クイーンの短編集「犯罪カレンダー」の「皇帝のダイス」の原文と宇野訳とを最後まで調べ尽くしてあるので、すべての労力を回収するまでは終われない。改めて、比較の際の色づけと下線の意味を説明しておく。 緑=翻訳の出来が素晴らしい 赤=誤訳あるいは訳に疑問がある
以前に、角川文庫版「Yの悲劇」(越前敏弥・訳)の書評を書いた際に、それまで愛読してきたハヤカワ・ミステリ文庫版(宇野利泰・訳)との比較をちょっとだけ試みた。というのも、ハヤカワ・ミステリ文庫の「Yの悲劇」は分厚い一冊というイメージだったのに、角川文庫のそれはかなりスリムな一冊に仕上がっていたからだ。一頁あたりの文字数…
神保町逍遙2023/07/14~PASSAGE,、羊頭書房、東京堂書店、富士鷹屋~
前回からちょうど三か月。まあ、通院が三か月おきなので、それに合わせて神保町にブラッとたどり着くというわけだ。今回は診察も会計も待ち時間が少なかったので午前中には病院を後にして、神保町に向かった。大井町からだと京浜東北線で田町駅で下車。都営三田線で神保町駅へと向かう。前回もそういう順路だったのに忘れていた。 神保町に到着すると、ちょうどお昼どきでサラリーマンでどこもごった返している。これはや…
近年、エラリー・クイーンの悲劇四部作や国名シリーズなどの初期の作品が、角川文庫と創元推理文庫から相次いで出版され、さらにはハヤカワ・ミステリ文庫からは、中期・後期を代表する「災厄の町」を初めとした作品が出版された。いずれも新訳で読みやすくなったので、新しい読者を開拓する事に繋がったのは、長年クイーン好きを公言してきた自分としては喜ばしい限りだ。 エラリー・クイーンの代表作と言えば「Yの悲劇…
料理本を眺めているのが好きだが(作るのではなくて、あくまでも 眺めるのが好きという変な性分だ)、身の回りには食に関連する エッセイ本も異様に多い、ということにふっと気付いた。 出かける際のバッグの中にも文庫本でつい数冊。 加齢と共に食べる量は減っているけれど、根っからの食いしん坊、 張っている食い意地だけは終生変わらないのかもしれない。
ドルリー・レーンが「悲劇四部作」を解決に導いたのは一体いつのことか?
ファイロ・ヴァンスに引き続き、今度はドルリー・レーンだ。言わずとしれたミステリー作家エラリー・クイーンが生み出した二人の名探偵のうちの一人だ。作家と同名の探偵は長きにわたって活躍する事になるが、ドルリー・レーンが解決した事件は「悲劇四部作」に限られる。エラリー・クイーンの研究家で知られる飯城勇三氏によると、バーナビー・ロス名義でクイーン名義とは違う出版社から出したけれど、クイーン名義ほど売れな…
本屋に行って文庫の海外ミステリの棚を見ていたら、懐かしいタイトルが並んでいました。それも複数部。 クイーンの国名シリーズシャーロックホームズのシリーズフィルポッツやカーも並んでいます。 どうしたんでしょう。最近本屋で海外ミステリの棚は見ていませんでしたが、ちょっと前までは新作が多くて、古典と言われるようなミステリはあまりなかったような気がします。 どうやら東京創元社が名作と呼ばれるものの新訳を出し始めたようです。 懐かしくなって手に取ってみました。中学生ころから大学生時代はこれらのミステリを夢中で読んだものです。それからもずっとミステリは読んでいたのですが、古典的なものは読むことはありませんで…
ジェフリー・ディーヴァーはすっかり短編創作の虜になってしまったようだ。本国アメリカで短編集「クリスマス・プレゼント」(2003年)を出版して以来、「ポーカー・レッスン」(2006年)と続き、さらに「Trouble in Mind」(2014年)を出した。デビューは1988年。リンカーン・ライムシリーズ第一作「ボーン・コレクター」(1997年)が注目を浴び、一躍人気作家になった。他にもキャサリン・ダンスシリーズが人気を博し、さらに最近あ…