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今回も篠田真由美著『ミステリな建築 建築なミステリ』出版記念の企画だ。著者が十代の頃から魅了されてきた作品『髑髏城』は、どうやらミステリ愛好家やカー愛好家からもあまり評価されてこなかった事に、著者はずいぶんと悔しい思いを抱いてきたようだ。著書の第二部「ミステリを建築で読む」の第4章「ディクスン・カー『髑髏城』」の冒頭で、本格ミステリを誰よりも愛し、カーへの愛を惜しげも無く開陳してきた江戸川乱歩と…
さっそく続き。なにしろエラリイ・クイーンの短編集「犯罪カレンダー」の「皇帝のダイス」の原文と宇野訳とを最後まで調べ尽くしてあるので、すべての労力を回収するまでは終われない。改めて、比較の際の色づけと下線の意味を説明しておく。 緑=翻訳の出来が素晴らしい 赤=誤訳あるいは訳に疑問がある
以前に、角川文庫版「Yの悲劇」(越前敏弥・訳)の書評を書いた際に、それまで愛読してきたハヤカワ・ミステリ文庫版(宇野利泰・訳)との比較をちょっとだけ試みた。というのも、ハヤカワ・ミステリ文庫の「Yの悲劇」は分厚い一冊というイメージだったのに、角川文庫のそれはかなりスリムな一冊に仕上がっていたからだ。一頁あたりの文字数…
密室狂乱時代の殺人 絶海の孤島と七つのトリック 鴨崎暖炉(宝島社文庫)
前作「密室黄金時代の殺人 −雪の館と六つのトリック−」は、タイトルに魅せられて読んだ。「密室黄金期」と言えば、当然ながらディクスン・カーが密室物の名作の数々を世に送り出した時期だと想像したからだ。しかもサブタイトルの「雪の館」とくればカーター・ディクスン名義の「白い僧院の殺人」へのオマージュとなる作品に違いないと、本格ミステリーファンなら誰でも想像するではないか。ところがまったくの見当違いだっ…
こんにちは。RIYOです。 今回はこちらの作品です。 「密室派の総帥」「密室の王者」などの異名を持つ偉大な推理小説家ジョン・ディクスン・カー(1906-1977)。そのデビュー作である『夜歩く』です。 パリの予審判事アンリ・バンコランは、剣の名手と名高いサリニー侯爵の依頼をうけ、彼と新妻をつけねらう人物から護るために深夜のナイトクラブを訪れる。だが、バンコランと刑事が出入口を見張るカード室で、公爵は首を切断されていた。怪奇趣味、不可能犯罪、そして密室。カーの著作を彩る魅惑の要素が全て詰まった、探偵小説黄金期の本格派を代表する巨匠の華々しい出発点。 1929年、アメリカ合衆国での株価大暴落が起因…