「クリスマス・プレゼント」に続くディーヴァーの第2短編集だ。タイトルは日本の読者の好みを考えて代表的な短編のタイトルに付け替えているが、元々は第1短編集が”TWISTED"、本書が"MORE TWISTED"と、きっばりとしたものだ。「捻りをきかせた短編」から成るという特徴を示しているとともに、著者の自信の表れを感じさせるタイトルだ。ただし「クリスマス・プレゼント」の感想にも書いたが、出版社や読者に忖度した「善は善…
本は電車で読もう!立川在住・一児の父が読書と子育てに明け暮れる日々を綴ります。
自宅(立川)と会社(川崎)の二つの図書館を駆使して読書に耽る中毒者(読書ジャンキー)のアスランです。 結婚前は暇に飽かして映画館に入り浸る映画中毒者でした。いまや夫婦で育児に追われる親バカ中毒者でもあります。 このblogでは、本を紹介し、立川で育児に悪戦苦闘する日々を報告し、そして愛しき映画の記憶を語ります。
「クリスマス・プレゼント」に続くディーヴァーの第2短編集だ。タイトルは日本の読者の好みを考えて代表的な短編のタイトルに付け替えているが、元々は第1短編集が”TWISTED"、本書が"MORE TWISTED"と、きっばりとしたものだ。「捻りをきかせた短編」から成るという特徴を示しているとともに、著者の自信の表れを感じさせるタイトルだ。ただし「クリスマス・プレゼント」の感想にも書いたが、出版社や読者に忖度した「善は善…
ルポ 電王戦 人間vs.コンピュータの真実 松本博文 (NHK出版新書)
プロ棋士がコンピュータと対局する「電王戦」が毎年のように行われてから、かれこれ10年ほどが経過してしまった。あの当時は、将棋界のトップであるプロ棋士が自らの存在意義を賭けて、相当な覚悟をもってコンピュータとの対局に臨む姿に感動していた。と同時に、すでに対戦前から「負け戦」なのではないかという一種の悲壮感のようなものを一ファンとして感じていた事も否定できない。 すでに情報処理の分野ではAI(人工…
昔々、母親がどこかで教わってきたのか、食パンを使ったレシピで朝食を作ってくれた。とりあえず料理の名前も知らずに食べていたのだが、そのうち自分でも作るようになり、一家を構えて息子と自分の二人分の朝食を用意する時の定番メニューとなっている。それをいつからか「クロックムッシュ」だと信じて呼ぶようになったのだけれど、どうやら違ったみたいだ。 ちなみに母親から譲り受けたレシピは、食パン二枚の片面にバ…
ドルリー・レーンが「悲劇四部作」を解決に導いたのは一体いつのことか?
ファイロ・ヴァンスに引き続き、今度はドルリー・レーンだ。言わずとしれたミステリー作家エラリー・クイーンが生み出した二人の名探偵のうちの一人だ。作家と同名の探偵は長きにわたって活躍する事になるが、ドルリー・レーンが解決した事件は「悲劇四部作」に限られる。エラリー・クイーンの研究家で知られる飯城勇三氏によると、バーナビー・ロス名義でクイーン名義とは違う出版社から出したけれど、クイーン名義ほど売れな…
続・ファイロ・ヴァンスの活躍した4年間とは一体いつのことか?
さて、またしてもヴァン・ダインが生んだ名探偵ファイロ・ヴァンスに関する話題である。しかも最初にとりあげた「ヴァンスの活躍した4年間はいつのことか」を蒸す返す事になる。前回の結論を以下にまとめてみた。 ・ファイロ・ヴァンスが活躍したのは、友人の地方検事マーカムの在任期間(4年間)に限られる。 ・長編全12作に事件発生の日付と曜日は書かれているが、西暦は書かれていない(少なくとも最初の4作に…
ベンスンが撃たれたのは額か、こめかみか?(「ベンスン殺人事件」)
ゆえあって、再びファイロ・ヴァンスの物語に関する話題の続きとなる。(犯人名は明かさないが、犯人を特定するための情報を引用しているので、未読の方は読まないでください。) 前回は「ファイロ・ヴァンスの活躍する4年間は西暦何年か」というトピックだったが、次なるトピックは「ベンスン殺人事件」での被害者ベンスンは「拳銃で額を撃ち抜かれたのか、こめかみを撃たれたのか」…
ファイロ・ヴァンスとは、ミステリー作家S.S.ヴァン・ダインが生み出した探偵である。かつてはエラリー・クイーンや同時期のアメリカのミステリー作家たちに多大な影響を与えた作家であり、その探偵であったが、今では諸々の理由から顧みられる事が少なくなってきた。諸々の理由とは、近年の伝記により数十年前までは信じられてきた神話の大半がデタラメだったと暴露された事と、読もうにも全12作の長編のほとんどが書店では…
第11回アガサ・クリスティ賞大賞受賞作だそうだ。ずっと以前に同大賞受賞作の帯がついた文庫を書店で見かけた事があったが、なんとそれは第1回(2011年)の「黒猫の遊歩あるいは美学講義」(森昌麿)だったようだ。この作品はいまだに店頭で見かけるような気がするが、読んではいない。以降の受賞作のタイトル一覧を一瞥しても、どれもこれも未読の作品ばかりだ。クリスティの名を冠した賞だから応募作の内容や作風に限定があるの…
「仮面ライダー BLACK SUN」に続いてアマゾン・プライムの恩恵を早々に実感できる映画がついにやってきた。今年の5月から夏に向けて、映画館に足を運びたくて、でも結局時間がとれずに観に行けなくてヤキモキさせられた一本だった。ウルトラマン一期生の僕にとって、「ウルトラマン」はひときわ思い入れが強い作品だった。それを「ゴジラ」のリブート映画を撮った庵野監督と、平成ガメラ三部作を撮った樋口監督との二人が、ど…
なんだか最近の読書は、ジェフリー・ディーヴァー作品に踊らされているかのような事態に陥っている。この一年間に「魔の山」「クリスマス・プレゼント」「フル・スロットル」「ポーカー・レッスン」「死亡告示」そして本作「ファイナル・ツイスト」の6冊を読んでいる。そのうち4冊は短編集ばかりで、しかも「クリスマス・プレゼント」も「ポーカー・レッスン」もずいぶん前に購入して積ん読状態にしていたものだ。今年になっ…
最近ようやくTwitterを使い出した。経緯については「風が吹けば桶屋が儲かる」式の話があり、それを枕にしようと思ったら書けども書けども終わらない。ようやく枕が終わって、さて本題の「仮面ライダーBLACK SUN」について書こうと思ったら、ハタと手が止まってしまった。いろいろと言いたい事、突っ込みたい事があって、事前に手帳に書き殴ったメモは結構な分量になったのだから、いくらでも書けるはずだ。でも、筆ならぬキー…
まるでミステリ黄金期に書かれたかのように本格ミステリーの王道をいくタイトル。書店の平積みで見かけた時は、あまりにベタなタイトルに加えて、表紙のイラストがちょっと子供向けっぽいなぁと感じて、ノーマークでスルーしてしまった。その後しばらくして最寄りの図書館のYAコーナーで同じ表紙に遭遇して「ムムッ、アレがあるぞ」と気になってきた。最近始めたツイッターで、翻訳が越前敏弥さんだと御本人のツイートでよう…
「月曜日の抹茶カフェ」で青山ワールドに魅せられて以来、こちらがスピンオフ作品と知って、元となった「木曜日にはココアを」を是が非でも読もうと立川図書館の予約を待ち続けている。しかし、何しろ想像を絶する人気ぶりなのでなかなか行列の先頭にたどり着かない。そうこうするうちに、さらにマーブル・カフェのスピンオフ作品集「いつもの木曜日」が9月に刊行されたので、こちらも蔵書になったとたんに予約。スピンオフば…
僕のパソコンには昔からジャストシステムのATOKを搭載している。ATOKとは仮名漢字変換で日本語を入力するためのソフトウェアだ。当初は同社の日本語ワープロソフト「一太郎」のための入力ソフトとして開発されたが、パソコン上で日本語を入力するあらゆるソフトウェアの入力を受け持つIME(Input Method Editor)としての役割を果たすようになった。Windowsが動作するPCでは、開発元のMicrosoftが用意したIMEが最初から搭載され…
著者はNHKラジオ「実践ビジネス英語」の講師を32年以上勤めてきた。その経歴だけでも十分すぎるほどの箔がついているのだけれど、なんだか序盤から盛んに自らの実力自慢が続く。例えば「テキストは累計3000万部を超え、NHKの100年近い放送史において『最長寿の語学番組』」となったとか、「私も一度TOEICを受けたことがありますが、最後のところで慌てたので1問だけ間違えました。でも、次回受ければ満点を取る自信はあります…
休講の事、代償行動の事、慣れないアンプ作りの事、友人とのたわいもない陰口の事(1985年6月11日)
1985.6.11(Tue) 曇り時々雨(梅雨冷えつづく) 午後から大学へ行く。自動制御設計論は休講。生協でCDを注文。トラ技から「OPアンプのノイズ対策」についてコピーをとる。そろそろ、AMP直しの重い腰をあげねば。K研に行って、しばしS水と談話。「M子は何か夢をもとめて、それがかなえられず、常に失望している」のだと言う。 …
毎年行われて結果が発表されるたびに、新聞やテレビ、ネットなどで話題になるのが「国語に関する世論調査」だ。こういう企画って国立国語研究所(通称、国研)が担うものだと思ったら、文化庁国語課というところが担当している。さらには一般社団法人中央調査社という会社に委託(丸投げ?)している。どういう根拠や考え方で、アンケートの事例を選んでいるのだろうか。 調査目的:現在の社会状況の変化に伴う日本人…
夏場は体調が悪い事、雑誌「現代思想」1985年6月号の事、吉本隆明と別役実の事(1985年6月10日)
1985.6.10(Mon) 雨(蕭々と降る雨) 明け方の4:00まで眠れず。計測基礎論をサボる。11時頃起きて大学へ行く。OS-9ゼミと線形システム理論�Tを受講して、生協へ行って本(現代思想6月号)とテープを購入。 7時頃、M子(同じ研究室の同期)と一緒に大学に出る。地下鉄(都営三田線)の中で急に眠気がして、乗り過ごした(志村坂上駅で…
ジェフリー・ディーヴァーはすっかり短編創作の虜になってしまったようだ。本国アメリカで短編集「クリスマス・プレゼント」(2003年)を出版して以来、「ポーカー・レッスン」(2006年)と続き、さらに「Trouble in Mind」(2014年)を出した。デビューは1988年。リンカーン・ライムシリーズ第一作「ボーン・コレクター」(1997年)が注目を浴び、一躍人気作家になった。他にもキャサリン・ダンスシリーズが人気を博し、さらに最近あ…
まずは、二枚のカラーグラビアを見て欲しい。
「高田みずえ さよならコンサート」を見た事、ワープロソフト「ユーカラ」の事(1985年6月9日)
1985.6.9(Sun) 時々雨(気温が下がって涼しい) 1:00PM頃に起きた。「高田みずえ さよならコンサート」を見た。録画しておいて良かったなと思った。 部屋の掃除をするように母に言われてたが、そっちのけでビデオのLibrary作りに励んだ。ワープロを使って、1本々々ビデオの内容および一言コメントを付けた。
いったい、いつ頃からこんな言い方するようになったんだろうか?「いちゃこらする」の意味をご丁寧に説明してくれて、「シニア層の人が使うことがある」とまで書いているサイトまであった。しかし、こんな言葉は以前には無かったし、「シニア層」ってどの時期のどの年代を指しているんだろう。「こら」が「こりゃこりゃ」というかけ声から来ているみたいな説も根拠があるようには思えない。 そもそも、この言葉に最初に遭…
ちょっと面倒な話から始めようと思う。大学生の頃だったか、スペインの映画作家ルイス・ブニュエルの特集が今は無き三百人劇場で組まれて、良い機会だからと何回か通いつめて初期の作品やら代表作を観た想い出がある。後にも先にもブニュエルをしっかりと観たのはそのときだけで、なかなかテレビでも放送されずに今に至るので、内容がうろ覚えのものが多い。今にして思えばブニュエルの遺作だった「欲望のあいまいな対象」が最…
ちょっと前に「えんみ」という言い方が流行っているという記事を書いた際に、他の言葉も取り上げようと思っていたら、肝心の言葉を忘れてしまって書けなくなってしまった。一昨日の夜のバラエティ番組で、激安スーパーの食材を使った料理をゲストが食べた際に、その言葉が出てきてようやく思い出した。「にくにくしい」だ。 …
オムライスの事、「愛と喝采の日々」の事、ふたたび「n個の性」あるいは安眠マスクという事件の事(1985年6月8日)
1985.6.8(Sat) 朝から雨(梅雨入り) 雨が降っているので、大学へ行くのはやめた。ゆっくりと起きて、オムライスを作って食べた。安眠マスクのおかげで眠りが深かった。 「愛と喝采の日々」を録画で観た。「愛と追憶の日々」と間違えていた。映画としては、ちょっとダメだ。 夕方、アルバイトへ行った。取り立てて言うべき…
Hi-Fiビデオの事、「n個の性」の事、安眠マスクの事、友人の悩みの事(1985年6月7日)
1985.6.7(Fri) 晴れのち曇り 視覚情報処理のあと、O本さん(ブラジルからの留学生)の自室(A台にある寮)へ行った。Hi-Fi ビデオがすごい。色がキレイだ。それから個室にクーラー(cooler)。とんでもない!2:45から精密システムの授業。その後、図書館に本を返却に行った。 M宮(同期の友人)は、性を究極にすれば、釈迦のよ…
あの「紙鑑定士」がシリーズになって戻ってきた。前作を読み終わったとき、一作だけで終わらせるには惜しい設定だなと思った。紙鑑定士という架空の職業を持つ人物を主人公に配し、ディオラマなどを作る造形家とタッグを組んで謎を解き明かすという趣向にうならされた。主人公である紙鑑定士・渡部の過去に含みを持たせていたので、いずれ続編が書かれる事になるとは思っていたが、2年ぶりに短編集という形で実現した。 …
高橋真梨子コンサートの事、通院の事、「さよならジュピター」の事(1985年6月6日)
1985.6.6(Thu) 晴れ(今日も暑い) 午前中、ディジタル制御ゼミ。午後から医者へ行く。N田(兄弟研究室の同期)から高橋真梨子のコンサートの誘いがあった。M尾さん(研究室の助手)の購入したチケットが余っているらしい。が、視覚情報処理のレポート提出が迫っているので断った。風邪もなおったばかりだし。医者は、予約してなかっ…
睡眠不足、アイマスクが必要な事、東京標準テストの事(1985年6月5日)
1985.6.5(Wed) 晴れ(暑い、2階は27〜30℃) 又々、大学を休む。どうも朝方に眠りが浅くなって、睡眠不足だ。午後1時頃に起きて食事。やっと昨晩から人並みの食事を摂れるようになった。3時半ごろに自宅を出て、神保町で本を物色。大学の生協で買うためにメモを取る。 アルバイトに行く。S吉、I沢(いずれもアルバイト先…
さいきんの食レポ番組を見てると、さかんに「えんみ」という言葉が聞こえてくる。若いレポーターが「えんみが効いてる」とか言っている。かと思うと、料理番組でも「(この食材は)えんみが強いので、しっかりと塩抜きしましょう」などと言う料理研究家がいる。何故か、「えんみ」が大流行している。でも「塩味」と書かれていれば、まずは「しおあじ」と読むのが一般的だろう。いつから「えんみ」が幅を利かすようになったのだろ…
引き続き体調不良、不動通りのタコ焼き、科学博、パソピア(1885年6月1日~4日)
1985.6.1(Sat) 晴れまたは曇り 朝から熱っぽく、ダルかった。寝ては朝食、また、寝ては昼食。さらに寝て6時PMに起きた。お腹が空いたので、たのんでタコ焼きを買ってきてもらったのが、まずかった。夕食の頃には気分が良くない。腹が重い。 夜、「椿三十郎」を観ながら寝ていたら、とてつもなく腹が痛くなり、気分が悪くな…
風邪と腹痛の事、祖母の事、CDプレーヤーの事(1985年5月30日~31日)
1985.5.30(Thu) 曇り 胃の調子がおかしい。咳が出る。火曜日にクーラーの効いた部屋で寝たのが原因だ。昨日大学を休んだおかげで、デジタル制御の予習ができず、冷や汗をかいた。パターン認識原論の後に、我慢できずに吐いた。早々に帰宅。お婆さん(同居している父方の祖母)も気分が悪いらしく、二人して夕食はおかゆだった。 …
「金曜日の妻たちへ」の事、希薄な生活感、持病について(1985年5月29日)
1985.5.29(Wed) 曇り時々雨 今日は大学を休む。前日深夜「金曜日の妻たちへ」を4本観るというバカをやった。おかげで調子が悪く、アルバイト終了後に気分が悪くなり、お腹が痛かった(往きと帰りに一回ずつ吐いた)。傘を忘れた。 今日、父と母は会社の退職者旅行で京都に出発した。帰りはあさって。 生活感が希薄だか…
高校の友人との再会、自動制御応用ゼミ、トポロジー、風船の法則(1985年5月26日~5月28日)
1985.5.26(Sun) 曇り I上(高校からの親友)が筑波から帰ってきた。秋葉原に行き、I上は電機パーツと500円の靴2足を買った。神保町に行き、本を見て帰った。レコード数枚借りた。本を数冊貸した。 夜は、明日のOS−9ゼミの予習でてんてこ舞いだった(現在4:00AM。眠い…)。 今度、お茶の水の中古CD屋でCDを買うこと…
アルバイトの帰り道考えた事、再び「死語の戯れ」(1985年5月25日)
1985.5.25(Sat) 雨(台風) 大学に行く。S島さん関係のプログラムのつながりがはっきりしない。白色化フィルタのプログラムは、どこにいったのでしょうか? アルバイトの帰り道、考えた事。 松本健一「死語の戯れ」についてもう一度考えた。「死語の戯れ」とは、言ってみればテレビでタケシ(ビートたけしの事)やタモリ…
紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人 歌田年(宝島社文庫)
今年になって「紙鑑定士」シリーズの第二弾が出版された。それを読む下準備として一作目の「模型の家の殺人」(宝島社)を再読するところから始めて、書評も書いた。そうこうするうちに、SeeSaaブログでは、ツイッターなどのSNSと連動して投稿記事の紹介ツイートができる事に遅ればせなが…
キャンパスの行き来の事、授業「視覚情報処理」の事(1985年5月24日)
1985.5.24(Fri) 雨 Nキャンパスへ行く。また、一駅乗り越してしまった(寝過ごした)。授業が終わってからOキャンパスに戻った。OS-9ゼミ関連でプログラムを見直していたが、使用法を忘れたり、S島さん(研究室の2年先輩)のやってくれた部分がさっぱり分からなかったりで、さんざんだった。 経験則 人は、赤色(…
友人からの電話の事、加藤典洋「アメリカの影」の事(1985年5月23日)
1985.5.23(Thu) 大学の身体検査に行った。血圧120〜61、他は正常。視力 右1.2、左1.0。以前より良くなったのは何故か? I上(中学・高校からの友人)から電話あり(通っている大学の研究室から掛けてきた)。日曜日の午後、池袋の東急ハンズに一緒に行く約束をする。OS-9ゼミの発表原稿をそれまでに作らねばならない。 加…
大学の事、「アメリカの影」「死語の戯れ」の事(1985年5月22日)
1985.5.22(Wed) 今日は12:00に研究室の写真撮影があった。13:00からだと勝手に決め込んでいたので間に合わなかった。M子(同じ研究室の同期、もちろん男性)の電話で驚かされて、あわてて飛んでいったが、大学に着いたのは12:30だった(と言っても、あわてて飛んでいったというのは、いかにも紋切り型な表現だ)。T橋さん(研究室助…
なぜ平匡はみくりの「因数分解」を「素因数分解」と言い直すのか?
高校時代、理系組と文系組に分…
詰将棋ドリル② 1手詰 初・中級編 森信雄七段(廣済堂出版)
僕の将棋歴は浅い。幼い頃はほぼやった記憶がない。下町の庶民の暮らしには将棋は重要な…
僕が次回作を楽しみに待っているシリーズ物は、そう多くはない。すぐに思いつくのは宮部みゆきの杉村三郎シリーズ。ジェフリー・デ…
「青春ドラマ夢伝説」を読んだ際に、著者の岡田晋吉氏は当時出版されたばかりの本作を「一晩で一気に読…
このGWは昨年同様、宿泊を伴う旅行はしなかった。先が見えないコロナ禍では遠出をする気になれない。それでも、やはりせっかくのGWだし、緊急事態宣言も蔓延防止等重点措置も出ていない状況で、日帰りのレジャーくらいは楽しもうという事で、江ノ島に出かける事にした。もうずいぶんと前に「えのすい」こと江ノ島水族館には家族三人で行った事がある。調べてみたら2009年だった。あれから13年も経っているのか。その時は、…
編者・山前氏の解説によると、夏目漱石の「吾輩は猫である」には次なる一節があるそうだ。
本書は2019年の第18回「このミステリ…
クイーンのライツヴィル(ハヤカワミステリマガジン 2021年3月号)
ハヤカワミステリマガジンの3月号でエラリ…
三省堂書店本店が、社屋建て替えのために一時閉店したようだ。板橋の実家に住んでいた頃には、通っていた高校も都営三田線沿線にあったので、毎週のように通い詰めていた。立川に越してからは、そうそうは訪れる事ができなくなってしまった。それでも最近は、確か半年前ぐらいに行っている。JR中央線に乗ってお茶の水…
青春ドラマ夢伝説 「俺たちシリーズ」などとTVドラマの黄金時代 岡田晋吉(ちくま文庫) (その2)
前回の記事では、本書のテレビドラマ草創期の苦労話をすっとばしてしまったので、そこか…
青春ドラマ夢伝説 「俺たちシリーズ」などとTVドラマの黄金時代 岡田晋吉(ちくま文庫)
書店で新刊文庫の表紙を見て、即座に購入を決めた。表紙はカースケとオメダとグズ六の3…
いよいよGWに突入したけれど、我が家は一足お先に、先週末ムーミンバレーパークに行ってきた。昨年の秋以来なので7ヶ月ぶりになる。立川から車で1時間15分くらいで行けるので、定番のお出かけ先になっている。同じ埼玉の川越も定番と言えるが、昨今はあまりに人気が出てしまい、人混みの中をぶらつくのはコロナ禍で気を遣うし、なにより空きの駐車場が見つかるかどうかから心配しなくてはならない。そこへいくと、埼玉県飯能…
昨年(2021年)11月に亡くなられた喜多條忠さんの追悼記事をその2まで書いたけれど、かぐや姫、風、南こうせつ、山田パンダへの提供曲までで終えていた。その3を書く事を予告しておきながら、すでに4月になってしまった。今回は、歌謡曲を中心に喜多條さんが生み出した楽曲の数々を取り上げて、追悼を締めくくりたいと思う。 頼りとするのは歌詞検索サービスサイトだ。検索順で最初に出てくるUta-Netは発表日順に並び替えできるので便利かと思ったが、肝心の発表日の記載がない。しかも、古い順に並べても、かぐや姫の「神田川」が最上位に出てこない。これは怪しそうだ。別のサイトを調べたらUtaTenというサイ..
漫画「ミステリと言う勿れ」の主人公・久能整は、たびたび「いい話」とか「好きな説」という言葉遣いを…
本日4/20からチキンタツタが期間限定で発売…
サンダーバードができるまで/スーパーマリオネーションの軌跡(2014年英)
最近、家のWiF…
この前の日曜日に昭和記念公園に出かけた。自転車に乗って出かければ、あっという間に…
ミステリと言う勿れ 田村由美(flowersフラワーコミックスα)
フジテレビのドラマを毎週楽しみにしていた。原作を菅田将暉がどのように…
僕の書評では、記事名に「本のタイトル 著者名(出版社名)…
「コーヒーが冷めないうちに」を例に挙げるまでもなく、喫茶店やカフェを…
クリスマス・プレゼント ジェフリー・ディーヴァー(文春文庫)
僕がジェフリー・ディーヴァーの著作を読むようになったきっかけは「ボーン・コレクター」だ。小説ではない。映画の「ボーン・コレクター」だ。日本公開が2000年で、当時はまだ映画を…
和製英語が気になるのではない。和製英語という言葉が気になるのだ。TBSドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の主人公・森山みくりは、契約結婚の相手・津崎平匡と互いの気持ちが通じ合う最終回で「自分の小賢しさが役に立つこともあった」と告白すると、平匡から「小賢しいってなんですか?」と思いがけない言葉を返される。「言葉の意味はわかるんです。でも小賢しいって人を上から見る言い方ですよね。僕はみくりさんを小賢し…
正直楽しみにしていたので残念だ。書店で見かけて面白い題材だと思った。いや、面白いというより取り合わせの妙とでもいうのか、ただのヒロイン論というより、現代の新しいヒロイン像をうまくまとめてくれているのだろうと思ったのだ。でも、ハッキリ言って、こういう文章を読むのは苦痛だ。著者の文章が「読者を舐めている発言」であふれているからでは、もちろんない。確かに、あえて跳ねているような文体で、軽薄を装ってい…
利根川の河川敷で大火事になっている映像を見た。言われないと海外で起きた山火事のワンシーンなのかと思うくらい、広範囲に火が燃え広がっていた。「山火事」って言ったけど、そもそもこういう火事は初期消火に取りかかりにくい山で起こるものだと思いこんでいた。住宅地からさほど離れていない人目の付く河川敷でも、この季節であれば枯れ草に火が付いてあっという間に燃え広がってしまうのだな。ここ立川でも、我が家から目…
とりあえず、この本の紹介文(キャッチアップ)を引用しておこう。 『魔眼の匣の殺人』から数ヶ月後──。神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と剣崎比留子が突然の依頼で連れて行かれた先は、“生ける廃墟”として人気を博す地方テーマパークだった。園内にそびえる異様な建物「兇人邸」に、比留子たちが追う班目機関の研究成果が隠されているという。深夜、依頼主たちとともに兇人邸に潜入した二人を、“異形の存在”…
辻村深月の作品を読んだのは、いつ以来だろう。このブログの読了リストでは2011年の「オーダーメイド殺人クラブ」が最後のようだ。その後まもなく「鍵のない夢を見る」で直木賞を受賞して、ミステリー作家として知る人ぞ知る彼女は全国区の作家に躍り出た。そのせいか、メフィスト賞に出自を持つ彼女のダークな世界観が脱色されてしまったかのような本格的な文芸作品が書かれるようになり、新作を心待ちにする気分が失せてしま…
なんだろう。以前から気になっていたCMのキャッチコピーだが、このCMに遭遇するたびになんだか落ち着かなくなるのだ。その原因はどこにあるのか。原因は分かっているのだ。ただ、理由を説明するのがなかなか難しい。それをここでちょっと考えてみたい。 僕の違和感はこうだ。 いたみを止める。わたしは止めない。 の間違いではないのかという事だ。「間違い」という言い方には語弊があるが、…
由利麟太朗。横溝正史が生んだもう一人の探偵だという事はずいぶん前から知っていた。ただし、知っていただけで今にいたるまで「由利先生」が活躍する作品を一編たりとも読んだ事がなかった。横溝ファンなら読んで当然の「蝶々殺人事件」でさえ、金田一耕助が活躍するミステリーではないというだけで、ついつい読みそびれてきてしまった。有名すぎるトリックはずいぶん前に知ってしまったくせに、だ。要するにテレビや映画でお…
訃報が流れたその日に、とにかく追悼文を書かねばと思い立って、「神田川」にまつわる思い出周辺を語ってお弔いに代えようと思った。なので、結局「南こうせつとかぐや姫」に喜多條さんが提供した楽曲についての思い出で終わってしまった。そこから、まだまだ僕は喜多條さんの詞のお世話になっているのだ。 かぐや姫が解散したのが1975年。南こうせつと山田パンダはソロで活動し、伊勢正三は大久保一久と風を結成する。か…
作詞家の喜多條さんが亡くなられた。報じられたのは昨日(2021/12/01)だったが、亡くなったのは11/22だそうだ。日本作詞家教会会長も務めた方であっても、ニュースとして報じられるまでには一週間もの期間がかかってしまう。芸能界という人気商売の気まぐれさをしみじみ感じてしまう。しかも僕が知ったのは、朝のめざまし8の冒頭で紹介される「ニュースHOTワードランキング」で、だ。そこでは「神田川の作詞家亡くなる」が第2…
かつては西部劇というジャンルの映画がたくさん作られた。少なくとも僕の子供の頃にはテレビでも盛んに西部劇の映画が放送された。そういえば、中学生になって映画館で映画を見るようになる頃には西部劇はほとんど見当たらなくなったような気がする。子供の頃にテレビで観た西部劇にしても、僕が生まれる前に作られた名作だったのだろう。そんな西部劇の名作の一つに「シェーン」(1953年)がある。あらためて公開年を調べて「古…
失礼な敬語 誤用例から学ぶ、正しい使い方 野口恵子(光文社新書) (その2)
「〜(さ)せていただく」が気になってからというもの、敬語についてあれこれ調べては書いてきた。野口さんの著書は大変参考になったし、勉強にもなったのだが、最後にどうしても考えておかねばならない事があるように思う。野口さんの「バカ丁寧な日本語」にもたびたび書かれていたのだが、時に過剰でバカ丁寧な敬語を使うことで心がこもっていないと相手に思われるよりは、シンプルな丁寧語で済ませた方がいいという主張につい…
【みそばたーこーんらーめん(味噌バターコーンラーメン)】 1.札幌ラーメンを一躍世に知らしめた立役者 今からさかのぼる事、40年以上前のことだ。当時はラーメンと言えば、醤油ラーメン、タンメン、味噌ラーメンというラインナップぐらいで、東京の主流はなんといっても醤油ラーメンだった。世の中に「ラーメン専門店」などなく、ラーメンを食べに…
失礼な敬語 誤用例から学ぶ、正しい使い方 野口恵子(光文社新書)
このブログですでに2回も書評を書いている「バカ丁寧化する日本語(2009年)」の著者が、2013年に出したのが本書だ。今回も僕の最大の関心事は、第二章に書かれている「させていただく」についてだ。全体が12の章立てになっているので、とりあえず第二章を読んで分かったことをまとめておこうと思う。「バカ丁寧化する日本語」は、敬語の現状を俯瞰するような構成だったので、そこから「させていただく」の問題を切り取って理…
カンマの女王 「ニューヨーカー」校正係のここだけの話 メアリ・ノリス(柏書房) (その2)
今、とても悩んでる。この本を書店で購入すべきかどうか。「買うべきだ」という悪魔か天使の声が聞こえる。それは思いの外、本の内容が面白いからだ。「ニューヨーカー」という、アメリカで最も言葉使いの一つ一つに注意を払う雑誌で、著者がいかにして校閲部のトップになったかを物語る体裁になっていながら、校正者の目から見た英語の面白さ・奥深さ・奇妙さなどが自由闊達に語られる。こういう本の面白さは、自国の言葉に対して異常なほどの関心がある人にしか分からないかもしれない。たとえば、書店では日本語について一家言ある人たちの著作が溢れているが、ちゃんとした正しい日本語を学びたい人が読者であるというよりも、日本語の面白..
バカ丁寧化する日本語 敬語コミュニケーションの行方 野口恵子(光文社新書) (その2)
あれ?2009年の出版だったんだ。立川南口アレアレアのオリオン書房の新書コーナーで平積みされていたように思ったのは、完全に勘違いだったのか。どうりで、北口高島屋6Fにあるジュンク堂で探そうとして、すぐには見つからなかった理由がようやくわかった。つまりは、だ。今から10年以上前から「させていただく」問題に、国語関係者は頭を悩ませてきた事になる。いやいや、前回の記事でも触れたけれど、文化審議会答申の「敬…
バカ丁寧化する日本語 敬語コミュニケーションの行方 野口恵子(光文社新書)
最近の話し言葉への関心事の筆頭は「〜させていただきます」だ。これは日々気になっている。たぶん、テレビのワイドショーを見てると、インタビューで使っている芸能人が目立つせいだと思う。 「このたび、3年ぶりにアルバムをリリースさせていただきました。」 「今週から○○で上演される『××』に出演させていただきます。」 「私事で恐縮ですが、私は△△さんと結婚させていただく事になりました。」
初版が出てから一年になる。店頭で見つけた時からずっと気になっていた。「思考実験」と聞いて僕が思い当たるのはアインシュタインだ。すでに特殊相対性理論、一般相対性理論などで輝かしい業績の数々を遂げていた彼が、人生後半においては当時最先端に躍り出た量子論の根幹の部分をどうしても認めたがらなかった。確率論的にしか決定できない量子論的世界観を「神はサイコロを振らない」という名言で否定したことは有名だ。僕…
「まっすぐ。ナツイチ。2003」VS.「きみとぼくを、つなぐ一冊。ナツイチ2021」
ナツイチの名称で親しまれる集英社文庫の「夏の文庫フェア」は1994年から開始した。以来、今に至るまで「ナツイチ」をずっと使いつづけている。すごい!と思ったけれど、「新潮文庫の100冊」は1976年からなので上には上がいる。それでも「ナツイチ」からぶれないところはさすがだ。「ナツイチ」の特徴は、大きく言って2つあると思う。一つ目はフェアの顔となるキャラクターに若いタレントを起用してきた事だ。 2003年 玉木宏 2004年 玉木宏 2005年 佐藤隆太 2006年 蒼井優 2007年 蒼井優 2008年 蒼井優 2009年 岡田将生×山下リオ 2010年 多部未華子 2011..
「2003夏のGO!GO!ちょっくらぶ」VS.「カドフェス2021 発見!角川文庫」
正直、角川文庫の「夏の文庫フェア」の正式名称がなんなのか、いまだによくわからない。新潮文庫は「新潮文庫の100冊」から一度もぶれないし、集英社文庫も「ナツイチ」でほぼ統一されている。角川文庫だけは「これ!」という名称をもたない。 2003年 2003夏のGO!GO!ちょっくらぶ 2004年 発見。角川文庫 発見。夏の100冊フェア 2005年 発見。角川文庫 発見。夏の100冊 2006年 発見。夏の100冊 角川文庫 2007年 発見。夏の100冊 角川文庫 2008年 発見。角川文庫 夏の100冊 2009年 発見。角川文庫 夏の100冊 2010年 発見!角川文庫201..
「新潮文庫の100冊2003年」VS「新潮文庫の100冊2021年」
毎年夏になると企画される「夏の文庫フェア」。夏休みを過ごす学生に少しでも本を読んでもらいたい、日頃読まないジャンルの本に関心を持って欲しいと、各社が趣向を凝らしてオススメの本を紹介する企画だ。もちろん、いまだに必ず出される読書感想文の宿題用に中高生が購入することを当てこんだ企画であることは言うまでもないだろう。このブログでは、2005年から7年にわたって新潮文庫、角川文庫、集英社文庫の各フェアについて、前年の内容と比較する記事を書いてきた。始めた頃は手間暇かけてもおもしろがる余力があったのだけれど、次第に負担になってきた。各社のフェアが始まると小冊子を集めては内容を読み込み、ラインナップをパ..
ディレクターズ・カット版とは何か?(「私の家政夫ナギサさん」の場合)
テレビドラマのディレクターズ・カット版の意味については、すでに「恋は続くよどこまでも」を例にとってひととおり考えをまとめて記事にした。あとは「私の家政夫ナギサさん」を例にとった記事をどうしても書いておこうと、その時から思っていた。前の記事でも「緊急事態宣言下での在宅勤務のストレスを癒すために、繰り返し繰り返し見ることになった」と書いたが、「ナギサさん」の方も同じように繰り返し繰り返し見る事になったからだ。こちらもディレクターズ・カット版を見る事はないだろうと思っていたが、年末にディレクターズ・カット版が放映されたので、ちゃんと録画して整理して、またまた初回放送版とディレクターズ・カット版を交..
カンマの女王 「ニューヨーカー」校正係のここだけの話 メアリ・ノリス(柏書房)
以前から書店で見かけて読みたいと思っていた本だ。著者は、雑誌「ニューヨーカー」という老舗雑誌の校正係を長年勤めてきた。「ニューヨーカー」という雑誌が本国アメリカでどういう位置づけにあってどの程度権威がある雑誌なのかは、僕には皆目わからないのだけれど、日本語と英語に対して言語的な側面で関心を持ち続けてきた者としては、この本で取り上げてくれるであろう英語の文法、構文、句読法などについての著者の知見…
7月20日。朝や昼の情報番組では「今日は何の日か?」という話題で「ハンバーガーの日」だと紹介していた。1971年(昭和46年)7月20日に、日本マクドナルドの第一号店が銀座三越内にオープンした日だそうだ。なるほど、あれから50年たったわけだ。もちろんオープン当日というわけではないが、僕は第一号店で日本上陸したてのハンバーガーを食べた思い出がある。Wikipediaには「非常に小さな持ち帰り専門店で客席がなかった」と書かれているが、これは単に出店スペースが小さかったというだけでなく、前年に始まった歩行者天国に集まる人々を当て込んだ販売戦略だったのではないかと思う。 当時、特別なお出かけ..
トーベ・ヤンソンのムーミン絵本「それからどうなるの?」(講談社)
この一年ぐらいで埼玉県飯能市にあるムーミンバレーパークを何度も訪れることになった。板橋区民にとって飯能市と言えば、小学生の時の遠足の行き先というイメージが強く、板橋区から最も近い片田舎という子供の頃の印象しかなかった。ムーミンのテーマパークができたと聞いたときも、「なんでまた埼玉に?」というのが正直な感想で、行ってみたいとは思わなかった。そもそも僕はムーミンという作品の良き理解者ではなかった。1969年に最初にアニメ化された「ムーミン」も、ムーミン役の岸田今日子の独特な男の子声や、スノーク役の広川太一郎の癖が強い声などは今でも思い出せるし、主題歌の「ねぇ、ムーミン、こっち向いて」という歌も好..
ディレクターズカット版とは何か?(「恋は続くよどこまでも」の場合)
ここで取り上げるディレクターズ・カット版とはテレビドラマでの事だ。映画のディレクターズ・カットの意味ははっきりしている。商業映画の世界では、一般的に監督に編集権がないことが多い。脚本に基づいて俳優たちに演技指導をし、カメラマンに撮り方を指示したりはするけれど、ひとたびフィルムに収められたものを映画の形に仕上げる段になると、監督といえども映画会社の意向に沿った編集に甘んじなければならない。これはどんなに名匠といわれるような監督でも経験してきたことのようだ。例えば、あの黒澤明といえども4時間を超える大作「白痴」を会社から削れと言われて「だったら、いっそ縦に削ったらいいだろう」と言ったそうだが、結..
1991年に放送されて人気を博したドラマ「101回目のプロポーズ」では、主人公の星野達郎の弟・純平を若き日の江口洋介が熱演していた。グラサンを掛けながら大型バイクにまたがるイケメンの風貌にも関わらず中身はモテない三枚目で、大学ではアニメ部の部長を務めるオタクでもあるという設定だった。「あらいぐまラスカル」の最終回を見ながら、自然に還っていくラスカルを見送るラストシーンに涙するという場面があって、外見とのギャップに笑わされると同時に兄思いの一途な性格である純平らしさが際立つエピソードだった。僕は世代的に「あらいぐまラスカル」を見てこなかったので、最終回を見て泣く純平にそれほど共感できてはいなか..
「正しい事をやりたかったら偉くなれ」と言ったのは、「踊る大捜査線」の和久刑事だった。警察というピラミッド型の階級組織で、本当に正しい事をやりたいならば「偉くなれ、上を目指せ」という和久さんの真の意味を新米刑事・青島が理解するには時間がかかった。偉くなる必要があるかは別にして、正しい事をちゃんとやるのは本当に難しい。なぜなら「ちゃんとやっても適当にやっても、そうは変わらないだろう」という侮りが、誰の心のなかにも生じやすいからだ。几帳面な性格の持ち主だったら、あるいはまめな性分であったなら、きちんとやることの大切さを見失わないのかもしれない。少なくとも僕はそういう人間ではなかったし、今もそうでは..
さだまさしの「檸檬」の歌詞変更の事を記事に書いてるときにずっと考えていたのは、その前にも経験があるよなぁということだった。それは南こうせつの「愛する人へ」だ。その前にも、と書いて、あれ、本当に「檸檬」の前なのかあやしくなったので発表年を調べた。「檸檬」が収録されたアルバム「私花集」の発売が1978年3月。新アレンジでシングルカットされたのが1978年8月だ。南こうせつのシングル「愛する人へ」が発売されたのが 1977年1月、同じアレンジで収録されたアルバム「今こころのままに」の発売が1977年6月だ。やはり、「愛する人へ」の方が先だったが、たったの一年しか違わなかったとは驚いた。 「..
4/18の関ジャムは「さだまさしの『今』に迫る」をテーマに、さだまさし本人を迎えて今関心のある若手アーティストなどを聞いたり、作詞や作曲の方法論を聞き出したりしていた。長年、さだまさしのファンを続けてきた自分としてはさださんの近況は確かに気になるのだが、昨今はレジェンドの一人としてこうした番組で若い世代からも支持を受けているさださんの姿を見ると、「時代が変わったなぁ」と改めて感じてしまう。 さだまさしと言えば「『関白宣言』で女性蔑視と非難され、『防人の詩』で右翼だ、『しあわせについて』で左翼だと、事あるごとに批判されてきた」と、本人が自虐的に自らを語る事が多かった。確かにある時期の作..
ちょっとずるいなぁ、いや、かなりずるい。読み終わってそう思った。なにしろ、読み出した印象は最悪、こんな外国人にとやかく言われたくないというのが正直なところだったが、最後まで読むと印象ががらっと変わるような終わり方になっているからだ。 そもそもなんで本書を読もうと思ったか、今となっては思い出せないのだが、日本の食文化に関心をもった著者が家族を引き連れて日本を旅して、日本全国の和食を食べまくるというルポルタージュの存在を知って、その趣向に興味をもったのだろう。NHKの番組「クール・ジャパン」のように新たな日本を外国人目線で発見したという話だと思って、読んで見る気になった。著者はイギリスの..
テレビドラマオールタイムベスト100(TVガイドアーカイブチーム・編) 番外編
前の書評で解説したように本書では2019年12月時点で「テレビドラマオールタイムベスト」を決める目的で、ドラマ作りの玄人とも言えるシナリオライターたちにアンケートをとり、回答結果に基づいてランキングが作成された。作成元はTVガイドアーカイブチームだ。実は28年前の1991年にも、同様の趣旨で、やはり同様のアンケートをシナリオライターたちに依頼して作ったランキングが、本書にも再掲されていた。題して「1991年版オールタイムドラマベスト100」。僕としては、こちらのランキングと2021年版とを比較する方が楽しい。さっそくベスト10を見てみよう。末尾の数字と矢印は、2021年版ランキングとの比較だ..
テレビドラマオールタイムベスト100(TVガイドアーカイブチーム・編)
「TVガイド」は1962年に創刊されたテレビ番組に関する情報誌だ。普段は買わないくせに年末年始の番組、特にNHK紅白歌合戦の出場歌手について知るために、買いそびれないように大掃除の合間をぬって本屋に買いに行くのが、子供の頃の年末の恒例だった。その頃は「週刊TVガイド」という雑誌名だった。いまや、番組表も情報もTVで手に入るし、ネットでもたやすく調べられる時代になって、情報誌の役割も終えようとしているのではないだろうか。それとも、地デジ、BS、CSと選択肢が増える一方だから、今後もニーズはあるのだろうか。そもそも、TV自体がますます必要とされない時代になりつつある。「お茶の間」という言葉もそう..
「あつっ!」「やばっ!」「さむっ!」 確かに「い」が消えている。「熱い」「やばい」「寒い」のように日本語の形容詞はほとんどが「い」で終わるので、一見すると「い」がなくなってしまうのではないか、と思う人がいるのかもしれないなぁ。ってそんなことあるかっ! 筒井康隆の小説「残像に口紅を」では、文字が一つ、また一つと消えていって、文字の消失と共に世界が消えていく。まさに世界とは文字によって、あるいは名付けによって生まれているというハイデガーのような世界観を体現した作品だった。しかし、「い」が消えていくときは同時的にいっせいに消えるのであって、たかだか形容詞の活用語尾だけが消えていくわけ..
嫁さんから「今さらだけど英語を勉強しなおす意味あるかな?」と、食事中にボツリと言われた。確かに今さらだけど、「原書でミステリーを読む」事を最近の楽しみにしている僕としては「もちろん、あるよ」と言いたいところだけれど、それは個人的な趣味なわけで、人にオススメする理由にはならない。そもそも仕事と絡めて、やれヒアリングだ英会話だと気負うと、せっかくの楽しみが失われてしまう。日本語同様、英語を言語として楽しみたい。僕のモチベーションはそこにあるわけで、英文解釈の力をみがいて、好きなミステリーを原文で読む事につなげようとしている。まあ、英文解釈力アップの過程で、仕事で必要となる海外の文献調査に生かせる..
筒美京平 Hitstory Ultimate Collection 1967~1997(vol.1 DISC4)(その2)
当時、日曜のお昼どきと言えば日本テレビの「スター誕生」を見るのがティーンエイジャーの当たり前だった。花の中3トリオで売り出すことになる森昌子、桜田淳子、そして山口百恵も、みんな「スター誕生」出身のアイドルだった。そして、岩崎宏美もこの番組からデビューしたアイドルの一人だ。彼女はデビュー当時からアイドルと呼ぶのが憚れるほど抜群に歌がうまかった。それだけでなく、デビュー曲から出す歌、出す歌、聞き心地がよくて歌いやすく、ヒットした。Wikipediaによると同期は太田裕美、岡田奈々、片平なぎさだ。大田は一年早いデビューだと思うが、ほぼ同期と言ってだろう。筒美さんは同時期の新人アイドル二人にデビュー..
息子が小学生の頃は、一時期週末は将棋漬けの毎日だった。ふとしたきっかけで将棋に関心をもち、みるみるうちに上達し、駒の動かし方も入門書で再確認しながらの僕では歯が立たなくなり、幼児向けの将棋教室に通わせるようになり、それに飽きたらなくなると、もっと上を目指すためにわざわざ千駄ヶ谷の将棋会館のスクールにまで通うことになった。おかげで待ち時間をぶらぶら過ごすうちに将棋会館周辺の様子はなんとなく頭に入ってしまった。同じ頃に「3月のライオン」の連載が始まり、主人公の桐山が義理の父との対局に勝利した帰りに、心の痛みから慟哭する国立競技場脇の公園の風景が手に取るようにわかってしまい、一読者以上に思い入れを..
筒美京平 Hitstory Ultimate Collection 1967~1997(vol.1 DISC4)(その1)
昨年末の29日にテレビ朝日「林先生の今でしょ2時間スペシャル」で、爆笑問題・田中がセレクトした筒美京平ベスト20を紹介していた。その中で、編曲家・武部聡志が「無駄なメロディが全くない」と絶賛していた「よろしく哀愁」を、大晦日の紅白歌合戦で郷ひろみが筒美さんを追悼して熱唱していた。このDISC4は、その曲からはじまる。「無駄なメロディが全くない」というコメントには僕も完全に同感だが、その点について補足説明があまりなかったので、発表当時の衝撃を知らない若い世代にはわかりにくいかもしれない。僕なりに噛み砕いてみる。歌には何度も味わわなければ良さが伝わってこない曲もあるし、サビ前のメロディ(Aメロデ..
「japanぐる〜ヴ」が昨年末の12/26日をもって最終回。毎回熱心に見ていたわけでもないが、音楽や映画の最新情報などがコンパクトにまとまっていて、グルメとかショッピングとか観光などの要素がなく、今どきの情報番組としては希少価値が高かった。ぴあのような情報誌を愛読していた世代にとっては非常に懐かしい構成だ。その中で、松崎健夫・添野知生両氏による映画紹介は、映画館通いが遠のいて久しい僕にとっての楽しみの一つだった。後番組はアジアを中心とした情報番組になるようだし、サイトを見るとグルメの要素も入ってくるみたいなので、もういいかなという気がしてる。 唐突に番組が終了してしまったようだが、コ..
追憶の東京 異国の時を旅する アンナ・シャーマン (早川書房)
時の鐘というと川越のメインストリートにある塔のような建造物を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。実は江戸にも時の鐘はいくつもあった。江戸には最初、三箇所に時を告げる鐘が配置された。日本橋小伝馬町の牢屋敷内、浅草寺、上野寛永寺だ。やがて100万人を超える大都市となるに至って、江戸には幕府公認の時の鐘が次々と増えた。時の鐘は当時の市民たちの生活に区切りを与える役目を果たした。この本は、日本に10年暮らした著者が時の鐘を探し求めながら、すでに多くは失われてしまった江戸の痕跡をたどる旅行記である。 もちろん江戸時代には現代のような正確に時を刻む時計はなかったが、「暮六つ」「お八つ」「丑三..
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「クリスマス・プレゼント」に続くディーヴァーの第2短編集だ。タイトルは日本の読者の好みを考えて代表的な短編のタイトルに付け替えているが、元々は第1短編集が”TWISTED"、本書が"MORE TWISTED"と、きっばりとしたものだ。「捻りをきかせた短編」から成るという特徴を示しているとともに、著者の自信の表れを感じさせるタイトルだ。ただし「クリスマス・プレゼント」の感想にも書いたが、出版社や読者に忖度した「善は善…
プロ棋士がコンピュータと対局する「電王戦」が毎年のように行われてから、かれこれ10年ほどが経過してしまった。あの当時は、将棋界のトップであるプロ棋士が自らの存在意義を賭けて、相当な覚悟をもってコンピュータとの対局に臨む姿に感動していた。と同時に、すでに対戦前から「負け戦」なのではないかという一種の悲壮感のようなものを一ファンとして感じていた事も否定できない。 すでに情報処理の分野ではAI(人工…
昔々、母親がどこかで教わってきたのか、食パンを使ったレシピで朝食を作ってくれた。とりあえず料理の名前も知らずに食べていたのだが、そのうち自分でも作るようになり、一家を構えて息子と自分の二人分の朝食を用意する時の定番メニューとなっている。それをいつからか「クロックムッシュ」だと信じて呼ぶようになったのだけれど、どうやら違ったみたいだ。 ちなみに母親から譲り受けたレシピは、食パン二枚の片面にバ…
ファイロ・ヴァンスに引き続き、今度はドルリー・レーンだ。言わずとしれたミステリー作家エラリー・クイーンが生み出した二人の名探偵のうちの一人だ。作家と同名の探偵は長きにわたって活躍する事になるが、ドルリー・レーンが解決した事件は「悲劇四部作」に限られる。エラリー・クイーンの研究家で知られる飯城勇三氏によると、バーナビー・ロス名義でクイーン名義とは違う出版社から出したけれど、クイーン名義ほど売れな…
さて、またしてもヴァン・ダインが生んだ名探偵ファイロ・ヴァンスに関する話題である。しかも最初にとりあげた「ヴァンスの活躍した4年間はいつのことか」を蒸す返す事になる。前回の結論を以下にまとめてみた。 ・ファイロ・ヴァンスが活躍したのは、友人の地方検事マーカムの在任期間(4年間)に限られる。 ・長編全12作に事件発生の日付と曜日は書かれているが、西暦は書かれていない(少なくとも最初の4作に…
ゆえあって、再びファイロ・ヴァンスの物語に関する話題の続きとなる。(犯人名は明かさないが、犯人を特定するための情報を引用しているので、未読の方は読まないでください。) 前回は「ファイロ・ヴァンスの活躍する4年間は西暦何年か」というトピックだったが、次なるトピックは「ベンスン殺人事件」での被害者ベンスンは「拳銃で額を撃ち抜かれたのか、こめかみを撃たれたのか」…
ファイロ・ヴァンスとは、ミステリー作家S.S.ヴァン・ダインが生み出した探偵である。かつてはエラリー・クイーンや同時期のアメリカのミステリー作家たちに多大な影響を与えた作家であり、その探偵であったが、今では諸々の理由から顧みられる事が少なくなってきた。諸々の理由とは、近年の伝記により数十年前までは信じられてきた神話の大半がデタラメだったと暴露された事と、読もうにも全12作の長編のほとんどが書店では…
第11回アガサ・クリスティ賞大賞受賞作だそうだ。ずっと以前に同大賞受賞作の帯がついた文庫を書店で見かけた事があったが、なんとそれは第1回(2011年)の「黒猫の遊歩あるいは美学講義」(森昌麿)だったようだ。この作品はいまだに店頭で見かけるような気がするが、読んではいない。以降の受賞作のタイトル一覧を一瞥しても、どれもこれも未読の作品ばかりだ。クリスティの名を冠した賞だから応募作の内容や作風に限定があるの…
「仮面ライダー BLACK SUN」に続いてアマゾン・プライムの恩恵を早々に実感できる映画がついにやってきた。今年の5月から夏に向けて、映画館に足を運びたくて、でも結局時間がとれずに観に行けなくてヤキモキさせられた一本だった。ウルトラマン一期生の僕にとって、「ウルトラマン」はひときわ思い入れが強い作品だった。それを「ゴジラ」のリブート映画を撮った庵野監督と、平成ガメラ三部作を撮った樋口監督との二人が、ど…
なんだか最近の読書は、ジェフリー・ディーヴァー作品に踊らされているかのような事態に陥っている。この一年間に「魔の山」「クリスマス・プレゼント」「フル・スロットル」「ポーカー・レッスン」「死亡告示」そして本作「ファイナル・ツイスト」の6冊を読んでいる。そのうち4冊は短編集ばかりで、しかも「クリスマス・プレゼント」も「ポーカー・レッスン」もずいぶん前に購入して積ん読状態にしていたものだ。今年になっ…
最近ようやくTwitterを使い出した。経緯については「風が吹けば桶屋が儲かる」式の話があり、それを枕にしようと思ったら書けども書けども終わらない。ようやく枕が終わって、さて本題の「仮面ライダーBLACK SUN」について書こうと思ったら、ハタと手が止まってしまった。いろいろと言いたい事、突っ込みたい事があって、事前に手帳に書き殴ったメモは結構な分量になったのだから、いくらでも書けるはずだ。でも、筆ならぬキー…
まるでミステリ黄金期に書かれたかのように本格ミステリーの王道をいくタイトル。書店の平積みで見かけた時は、あまりにベタなタイトルに加えて、表紙のイラストがちょっと子供向けっぽいなぁと感じて、ノーマークでスルーしてしまった。その後しばらくして最寄りの図書館のYAコーナーで同じ表紙に遭遇して「ムムッ、アレがあるぞ」と気になってきた。最近始めたツイッターで、翻訳が越前敏弥さんだと御本人のツイートでよう…
「月曜日の抹茶カフェ」で青山ワールドに魅せられて以来、こちらがスピンオフ作品と知って、元となった「木曜日にはココアを」を是が非でも読もうと立川図書館の予約を待ち続けている。しかし、何しろ想像を絶する人気ぶりなのでなかなか行列の先頭にたどり着かない。そうこうするうちに、さらにマーブル・カフェのスピンオフ作品集「いつもの木曜日」が9月に刊行されたので、こちらも蔵書になったとたんに予約。スピンオフば…
僕のパソコンには昔からジャストシステムのATOKを搭載している。ATOKとは仮名漢字変換で日本語を入力するためのソフトウェアだ。当初は同社の日本語ワープロソフト「一太郎」のための入力ソフトとして開発されたが、パソコン上で日本語を入力するあらゆるソフトウェアの入力を受け持つIME(Input Method Editor)としての役割を果たすようになった。Windowsが動作するPCでは、開発元のMicrosoftが用意したIMEが最初から搭載され…
著者はNHKラジオ「実践ビジネス英語」の講師を32年以上勤めてきた。その経歴だけでも十分すぎるほどの箔がついているのだけれど、なんだか序盤から盛んに自らの実力自慢が続く。例えば「テキストは累計3000万部を超え、NHKの100年近い放送史において『最長寿の語学番組』」となったとか、「私も一度TOEICを受けたことがありますが、最後のところで慌てたので1問だけ間違えました。でも、次回受ければ満点を取る自信はあります…
1985.6.11(Tue) 曇り時々雨(梅雨冷えつづく) 午後から大学へ行く。自動制御設計論は休講。生協でCDを注文。トラ技から「OPアンプのノイズ対策」についてコピーをとる。そろそろ、AMP直しの重い腰をあげねば。K研に行って、しばしS水と談話。「M子は何か夢をもとめて、それがかなえられず、常に失望している」のだと言う。 …
毎年行われて結果が発表されるたびに、新聞やテレビ、ネットなどで話題になるのが「国語に関する世論調査」だ。こういう企画って国立国語研究所(通称、国研)が担うものだと思ったら、文化庁国語課というところが担当している。さらには一般社団法人中央調査社という会社に委託(丸投げ?)している。どういう根拠や考え方で、アンケートの事例を選んでいるのだろうか。 調査目的:現在の社会状況の変化に伴う日本人…
1985.6.10(Mon) 雨(蕭々と降る雨) 明け方の4:00まで眠れず。計測基礎論をサボる。11時頃起きて大学へ行く。OS-9ゼミと線形システム理論�Tを受講して、生協へ行って本(現代思想6月号)とテープを購入。 7時頃、M子(同じ研究室の同期)と一緒に大学に出る。地下鉄(都営三田線)の中で急に眠気がして、乗り過ごした(志村坂上駅で…
ジェフリー・ディーヴァーはすっかり短編創作の虜になってしまったようだ。本国アメリカで短編集「クリスマス・プレゼント」(2003年)を出版して以来、「ポーカー・レッスン」(2006年)と続き、さらに「Trouble in Mind」(2014年)を出した。デビューは1988年。リンカーン・ライムシリーズ第一作「ボーン・コレクター」(1997年)が注目を浴び、一躍人気作家になった。他にもキャサリン・ダンスシリーズが人気を博し、さらに最近あ…
まずは、二枚のカラーグラビアを見て欲しい。
辻村深月の作品を読んだのは、いつ以来だろう。このブログの読了リストでは2011年の「オーダーメイド殺人クラブ」が最後のようだ。その後まもなく「鍵のない夢を見る」で直木賞を受賞して、ミステリー作家として知る人ぞ知る彼女は全国区の作家に躍り出た。そのせいか、メフィスト賞に出自を持つ彼女のダークな世界観が脱色されてしまったかのような本格的な文芸作品が書かれるようになり、新作を心待ちにする気分が失せてしま…
なんだろう。以前から気になっていたCMのキャッチコピーだが、このCMに遭遇するたびになんだか落ち着かなくなるのだ。その原因はどこにあるのか。原因は分かっているのだ。ただ、理由を説明するのがなかなか難しい。それをここでちょっと考えてみたい。 僕の違和感はこうだ。 いたみを止める。わたしは止めない。 の間違いではないのかという事だ。「間違い」という言い方には語弊があるが、…
由利麟太朗。横溝正史が生んだもう一人の探偵だという事はずいぶん前から知っていた。ただし、知っていただけで今にいたるまで「由利先生」が活躍する作品を一編たりとも読んだ事がなかった。横溝ファンなら読んで当然の「蝶々殺人事件」でさえ、金田一耕助が活躍するミステリーではないというだけで、ついつい読みそびれてきてしまった。有名すぎるトリックはずいぶん前に知ってしまったくせに、だ。要するにテレビや映画でお…
訃報が流れたその日に、とにかく追悼文を書かねばと思い立って、「神田川」にまつわる思い出周辺を語ってお弔いに代えようと思った。なので、結局「南こうせつとかぐや姫」に喜多條さんが提供した楽曲についての思い出で終わってしまった。そこから、まだまだ僕は喜多條さんの詞のお世話になっているのだ。 かぐや姫が解散したのが1975年。南こうせつと山田パンダはソロで活動し、伊勢正三は大久保一久と風を結成する。か…
作詞家の喜多條さんが亡くなられた。報じられたのは昨日(2021/12/01)だったが、亡くなったのは11/22だそうだ。日本作詞家教会会長も務めた方であっても、ニュースとして報じられるまでには一週間もの期間がかかってしまう。芸能界という人気商売の気まぐれさをしみじみ感じてしまう。しかも僕が知ったのは、朝のめざまし8の冒頭で紹介される「ニュースHOTワードランキング」で、だ。そこでは「神田川の作詞家亡くなる」が第2…
かつては西部劇というジャンルの映画がたくさん作られた。少なくとも僕の子供の頃にはテレビでも盛んに西部劇の映画が放送された。そういえば、中学生になって映画館で映画を見るようになる頃には西部劇はほとんど見当たらなくなったような気がする。子供の頃にテレビで観た西部劇にしても、僕が生まれる前に作られた名作だったのだろう。そんな西部劇の名作の一つに「シェーン」(1953年)がある。あらためて公開年を調べて「古…
「〜(さ)せていただく」が気になってからというもの、敬語についてあれこれ調べては書いてきた。野口さんの著書は大変参考になったし、勉強にもなったのだが、最後にどうしても考えておかねばならない事があるように思う。野口さんの「バカ丁寧な日本語」にもたびたび書かれていたのだが、時に過剰でバカ丁寧な敬語を使うことで心がこもっていないと相手に思われるよりは、シンプルな丁寧語で済ませた方がいいという主張につい…
【みそばたーこーんらーめん(味噌バターコーンラーメン)】 1.札幌ラーメンを一躍世に知らしめた立役者 今からさかのぼる事、40年以上前のことだ。当時はラーメンと言えば、醤油ラーメン、タンメン、味噌ラーメンというラインナップぐらいで、東京の主流はなんといっても醤油ラーメンだった。世の中に「ラーメン専門店」などなく、ラーメンを食べに…
このブログですでに2回も書評を書いている「バカ丁寧化する日本語(2009年)」の著者が、2013年に出したのが本書だ。今回も僕の最大の関心事は、第二章に書かれている「させていただく」についてだ。全体が12の章立てになっているので、とりあえず第二章を読んで分かったことをまとめておこうと思う。「バカ丁寧化する日本語」は、敬語の現状を俯瞰するような構成だったので、そこから「させていただく」の問題を切り取って理…
今、とても悩んでる。この本を書店で購入すべきかどうか。「買うべきだ」という悪魔か天使の声が聞こえる。それは思いの外、本の内容が面白いからだ。「ニューヨーカー」という、アメリカで最も言葉使いの一つ一つに注意を払う雑誌で、著者がいかにして校閲部のトップになったかを物語る体裁になっていながら、校正者の目から見た英語の面白さ・奥深さ・奇妙さなどが自由闊達に語られる。こういう本の面白さは、自国の言葉に対して異常なほどの関心がある人にしか分からないかもしれない。たとえば、書店では日本語について一家言ある人たちの著作が溢れているが、ちゃんとした正しい日本語を学びたい人が読者であるというよりも、日本語の面白..
あれ?2009年の出版だったんだ。立川南口アレアレアのオリオン書房の新書コーナーで平積みされていたように思ったのは、完全に勘違いだったのか。どうりで、北口高島屋6Fにあるジュンク堂で探そうとして、すぐには見つからなかった理由がようやくわかった。つまりは、だ。今から10年以上前から「させていただく」問題に、国語関係者は頭を悩ませてきた事になる。いやいや、前回の記事でも触れたけれど、文化審議会答申の「敬…
最近の話し言葉への関心事の筆頭は「〜させていただきます」だ。これは日々気になっている。たぶん、テレビのワイドショーを見てると、インタビューで使っている芸能人が目立つせいだと思う。 「このたび、3年ぶりにアルバムをリリースさせていただきました。」 「今週から○○で上演される『××』に出演させていただきます。」 「私事で恐縮ですが、私は△△さんと結婚させていただく事になりました。」
初版が出てから一年になる。店頭で見つけた時からずっと気になっていた。「思考実験」と聞いて僕が思い当たるのはアインシュタインだ。すでに特殊相対性理論、一般相対性理論などで輝かしい業績の数々を遂げていた彼が、人生後半においては当時最先端に躍り出た量子論の根幹の部分をどうしても認めたがらなかった。確率論的にしか決定できない量子論的世界観を「神はサイコロを振らない」という名言で否定したことは有名だ。僕…
ナツイチの名称で親しまれる集英社文庫の「夏の文庫フェア」は1994年から開始した。以来、今に至るまで「ナツイチ」をずっと使いつづけている。すごい!と思ったけれど、「新潮文庫の100冊」は1976年からなので上には上がいる。それでも「ナツイチ」からぶれないところはさすがだ。「ナツイチ」の特徴は、大きく言って2つあると思う。一つ目はフェアの顔となるキャラクターに若いタレントを起用してきた事だ。 2003年 玉木宏 2004年 玉木宏 2005年 佐藤隆太 2006年 蒼井優 2007年 蒼井優 2008年 蒼井優 2009年 岡田将生×山下リオ 2010年 多部未華子 2011..
正直、角川文庫の「夏の文庫フェア」の正式名称がなんなのか、いまだによくわからない。新潮文庫は「新潮文庫の100冊」から一度もぶれないし、集英社文庫も「ナツイチ」でほぼ統一されている。角川文庫だけは「これ!」という名称をもたない。 2003年 2003夏のGO!GO!ちょっくらぶ 2004年 発見。角川文庫 発見。夏の100冊フェア 2005年 発見。角川文庫 発見。夏の100冊 2006年 発見。夏の100冊 角川文庫 2007年 発見。夏の100冊 角川文庫 2008年 発見。角川文庫 夏の100冊 2009年 発見。角川文庫 夏の100冊 2010年 発見!角川文庫201..
毎年夏になると企画される「夏の文庫フェア」。夏休みを過ごす学生に少しでも本を読んでもらいたい、日頃読まないジャンルの本に関心を持って欲しいと、各社が趣向を凝らしてオススメの本を紹介する企画だ。もちろん、いまだに必ず出される読書感想文の宿題用に中高生が購入することを当てこんだ企画であることは言うまでもないだろう。このブログでは、2005年から7年にわたって新潮文庫、角川文庫、集英社文庫の各フェアについて、前年の内容と比較する記事を書いてきた。始めた頃は手間暇かけてもおもしろがる余力があったのだけれど、次第に負担になってきた。各社のフェアが始まると小冊子を集めては内容を読み込み、ラインナップをパ..
テレビドラマのディレクターズ・カット版の意味については、すでに「恋は続くよどこまでも」を例にとってひととおり考えをまとめて記事にした。あとは「私の家政夫ナギサさん」を例にとった記事をどうしても書いておこうと、その時から思っていた。前の記事でも「緊急事態宣言下での在宅勤務のストレスを癒すために、繰り返し繰り返し見ることになった」と書いたが、「ナギサさん」の方も同じように繰り返し繰り返し見る事になったからだ。こちらもディレクターズ・カット版を見る事はないだろうと思っていたが、年末にディレクターズ・カット版が放映されたので、ちゃんと録画して整理して、またまた初回放送版とディレクターズ・カット版を交..