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関野吉晴『グレートジャーニー 人類5万キロの旅1 嵐の大地パタゴニアからチチカカ湖へ』|読書旅vol.99
前回ご紹介した『世界一周デート 魅惑のヨーロッパ・北中南米編』のなかで、メキシコの山岳地帯に住む人たちとチベットの人たちの雰囲気が似ていることを肌で感じた著者の吉田友和さんは、こんなふうに述べられていました。 我々モンゴロイドの祖先は、西はチベットの果て、東はアリューシャン列島を越え、アメリカ大陸を渡り、メキシコの山奥まで来ているのだ。そのグレートジャーニーにつくづく頭が下がる。モンゴロイドというキーワードで、世界はどこかで繋がっている。 グレートジャーニー、あまりのスケール感に想像するだけで頭がくらくらします。そこで思い出したのがこの一冊。 今回は、1999年に植村直己賞冒険賞を受賞されてい…
まやかしの「多文化共生」 6年前、ワーキングホリデーでオーストラリアにいたわたしは、博物館めぐりをしながらこう思っていた。 「やけにアイデンティティに関す…
路上のセンス・オブ・ワンダーと遥かなるそこらへんの旅/宮田珠己 散歩エッセイのイメージ画像
◆読んだ本◆ ・書名:路上のセンス・オブ・ワンダーと遥かなるそこらへんの旅 ・著者:宮田珠己 ・初版出版社:亜紀書房 ・初版発行日:2023/11/25 ◆おすすめ度◆ ・斜め上行く散歩日記度:★★★ ・変なもの好きな著者が、さらにターゲットを拡張度:★★★ ・自分の住んでるところを散歩したくなる度:★★★ ◆印象的なシーンを生成AIで画像化◆ 物語の印象的だったシーンなどを生成AIを使って画像にしてみました...
短剣の好きなパーツ 『南の島の美術館【庭編】』 バリの美術館 インドネシア、ジャワ島を東進し、ついにバリ島にやって来たわれわれである。 バリ島には美しい…
只今ブログ村に参加中です。にほんブログ村皆様のポチ、待っています(。・ω・。)ノ♡ 同郷の温泉ブロガー・おじゃる☆さんが、あざらしの愛読書を紹介していてビッ…
戦前、最も身近な外国だった上海。当時の上海には芥川龍之介などの数々の著名人が訪れました。文豪の谷崎潤一郎もその一人で、大正7年と15年に上海を訪れています。 谷崎潤一郎が上海での出来事や出会った人々、旅のトラブルについてまとめたのが『上海交
コロナ渦で旅行に行けない今だからこそ、じっくりと読んでおきたいのが森井ユカさんの『旅のアイデアノート』です。旅のアイデアがもりだくさんで、外に出れないモヤモヤを準備期間のワクワクに変えてしまいましょう。
前回の酒と肴をテーマにした紀行文『世界ぐるっとほろ酔い紀行』に続き、今回ピックアップするのは奥田英朗さんのエッセイ『港町食堂』(2005年/新潮社)です。秋真っ盛り。食欲が止まりません。 直木賞受賞もおかまいなし? この『港町食堂』は雑誌『旅』での連載を単行本化したもの。奥田さんが同誌で連載を受け持っていたのは2004年というから、『空中ブランコ』で直木賞を獲った年にあたります。 「奥田さんには港町を探索してもらって紀行文を書いていただきたいんですよ。それで、港には毎回船で入りたいんです」との編集者の提案に対し、「おもしろそうですね」と社交辞令的に素っ気なく応えたつもりが、いつの間にか了承した…
パラダイス山元さんの『パラダイス山元の飛行機の乗り方』、内田幹樹さんの『機長からアナウンス』と空の旅が続いたところで、お次は海の旅へ。北杜夫さんの『どくとるマンボウ航海記』(1960年/新潮文庫)を選んでみました。 マンボウ先生の処女航海 元精神科医であり、第2次世界大戦下のドイツを舞台にした芥川賞受賞作『夜と霧の隅で』(1960年)や、医者家系である自身の家族をモデルにした長編小説『楡家の人びと』(1964年)などで知られる作家の北杜夫さん。 数々の文学作品と並んで高い人気を誇るのが、エッセイ・シリーズ〈どくとるマンボウ〉で、今回取り上げる『どくとるマンボウ航海記』はその第1弾です。 椎名誠…
さくら剛『インドなんて二度と行くか!ボケ!!...でもまた行きたいかも』|読書旅vol.70
前回ピックアップした『インド人の頭ん中』の流れで、もういっちょインド本を。今回はさくら剛さんの『インドなんて二度と行くか!ボケ!!...でもまた行きたいかも』(2006年/アルファポリス)を選んでみました。 さくらさんの作品を当ブログで取り上げるのは、『海外旅行なんて二度と行くかボケ!!』(※詳しくはこちら)と『アフリカなんて二度と行くか!ボケ!!…でも、愛してる(涙)。』(※詳しくはこちら)に続いてこれが3回目。 10万部超えのベストセラーを記録した『インドなんて二度と行くか!ボケ!!』はさくらさんのデビュー作であり、2011年の『中国なんて二度と行くかボケ!…でもまた行きたいかも。』や20…
前回ピックアップした蔵前仁一さんの自叙伝『あの日、僕は旅に出た』(2013年)は、文中にそれまで発表されたエッセイの話もチラホラ登場し、自然と過去作も読み返したくなる構成です(※詳しくはこちらから)。 ならば続け様にもう1冊、蔵前さんの作品を紹介したいと考え、『ホテルアジアの眠れない夜』(講談社文庫/1989年)を選んでみました。 余談ですが、『ホテルアジアの眠れない夜』の次作となる『ゴーゴー・アフリカ』が、今年9月にボツワナ編とトルコ編を加筆し、電子書籍版『新ゴーゴー・アフリカ』として新装されるとか。そちらも楽しみです。 記念すべき出世作 『ホテルアジアの眠れない夜』は蔵前さんにとって3作目…
前回ご紹介した『マリカのソファー』の続き。今回は著者である吉本ばななさんが、『マリカのソファー』の取材のためにバリを訪れた際のエッセイ『バリ夢日記』(1994年)です。 小説との読み比べ どうやら私は紀行小説の裏話を読むのが好きらしいです。例えば、吉本ばななさんだったら『なんくるない』の取材日記的な『なんくるなく、ない』がそうですし(※詳しくはこちらから)、沢木耕太郎さんだったら『深夜特急』の誕生秘話が窺える『旅する力―深夜特急ノート―』もそう。 少しニュアンスは異なるものの、船戸与一さんの2006年作『河畔に標なく』のミャンマー取材に同行した高野秀行さんが、まったく別の角度から道中の出来事を…
読書旅vol.53|椎名誠『ロシアにおけるニタリノフの便座について』
前回ご紹介した嵐よういちさんの『おそロシアに行ってきた』からの流れで、椎名誠さんの『ロシアにおけるニタリノフの便座について』(1987年/新潮社)を取り上げずにはいられませんでした。 と言っても、昨今のウクライナ情勢に絡めた話は一切抜きです。そもそも『おそロシアに行ってきた』も、本来は概ね楽しく読める一冊なのに、こちらが勝手にあれこれ考え、あんな感じの感想文になってしまいました。ちょっと反省しています。 ロシアのトイレ事情 『おそロシアに行ってきた』の本文では、複数の章に跨ってロシアのトイレ事情が報告されていました。また、以前にピックアップした米原万里さんの『ロシアは今日も荒れ模様』にも、トイ…
こんなご時世にこんなタイトルの本を取り上げるのはデリカシーに欠けるけど、こんなご時世だからこそ紹介する意味がある気もするし……。 ……って、冒頭から歯切れが悪くてごめんなさい。今回は嵐よういちさんの『おそロシアに行ってきた』(2018年/彩図社)をピックアップしてみました。 おそロシアとは、〈恐ろしい〉と〈ロシア〉を引っ掛けたダジャレ。主に日本では考えられない常識や文化風習を指して使われる言葉で、ソチ五輪やサッカーW杯のロシア大会と前後し、ハッシュタグを付けておもしろ動画or画像をアップするのがプチ流行していましたっけ。 マクドナルドがロシアでの営業をストップするや、マック似のロゴを掲げたワー…
読書旅vol.50|吉田友和『週末台北のち台湾一周、ときどき小籠包』
東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に続き、2年前の2020年4月16日に1回目の緊急事態宣言が全国で発令されました。 コロナウイルスなんてすぐに落ち着くだろうと思っていたのに、あれからもう2年ですって。パスポートのスタンプは2020年3月を最後に1個も増えていません。ちょっと不思議な感じがします。 この間にいろいろな生活の変化が起こりました。愚痴を言い出したらキリがないですが、おうち時間を充実させようとあれこれ工夫しはじめたこと自体は、わりとポジティヴに受け止めています。 台湾茶でストレス緩和 その工夫の1つがお茶です。外出機会が激減してアルコールをほとんど飲まなくなり、それ…