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大倉崇裕さんの『生還 山岳捜査官・釜谷亮二』を読みました。 生還 山岳捜査官・釜谷亮二 (ヤマケイ文庫)Amazon(アマゾン) 黒門岳付近の斜面で、滑落事故…
8月11日、日本は「山の日」で、昨日は登山に出かけられた方々もいらっしゃったことでしょう。富士山の登山道では、混雑を避けるため初めて規制導入とのニュース。(日本の)ワイドショーで富士山の登山客の様子を目にしましたが、リュックも背負わず、必要な装備もせず、半袖
第86話 花残 act.28 side story「陽はまた昇る」
ある日、境界線に英二24歳4月第86話花残act.28sidestory「陽はまた昇る」意識の底つんと刺す、薬品たち匂う。渋いような酸いような独特、けれど懐かしい匂い。こととっ、傾けるケトルきらめく湯飛沫、コーヒーの粒子さらさら崩す。見つめるフィルター湧きあがる湯気、ほろ苦く甘く昇らせる。「…ほんとひさしぶりだ、」声こぼれて自覚する、こんな時間どれくらいぶりだろう?ことこと滴る音こだまするマグカップ、白なめらかに深い黒茶が満ちてゆく。この香、この音、半年前まで日常だった。ただ慕わしさ英二は笑いかけた。「吉村先生、ブラックでよろしかったですか?」「はい、ブラックでお願いします、」答えてくれる声おだやかに響く。朝陽やわらかな雪の窓、白銀かぶるパトカーたちは四輪駆動の小型も多い。帰ってきているんだな、そんな実感...第86話花残act.28sidestory「陽はまた昇る」
第86話 花残 act.27 side story「陽はまた昇る」
秘匿、その信義を英二24歳4月第86話花残act.27sidestory「陽はまた昇る」フロントガラス、朝あわい陽ざし白くなる。また雪が降りだした車窓、懐かしい道に英二は微笑んだ。「吉村先生、署に着いても時間ありますよね。コーヒー淹れさせて頂けませんか、」警察医の勤務開始まで余裕あるだろう。謝礼の想いとひさしぶりの時間感覚に、奥多摩の医師が笑ってくれた。「宮田くんのコーヒーはひさしぶりですね、ぜひお願いします、」「はい、俺こそぜひ、」肯いて握るハンドル、右腕いつもより安定する。巻かれたサポーターと固定感に医師が尋ねた。「腕の動きはどうですか、いつもとは感覚すこし違うでしょう?」「はい、思ったより動きやすいです。痛みもありません、」応える車窓を流れる雪、ワイパー白く描きだす。もう4月、それでも銀色くるむ稜線...第86話花残act.27sidestory「陽はまた昇る」