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今朝(12月20日)、NHKのニュースを観ていたら、「水素エネルギーで日本が欧米に負けそうだ」・・などという内容を放送しました。 水素エネルギーに関しては、かねてより大きな疑問を抱いておりました。 「どうやって水素(分子)を得るのか?」という事です。 かなり以前、「触媒かなんかで太陽光で水素化合物(水?化石燃料?)から直接水素を作り出す」という記事を読んだことがありました。その原理が不明だったので記...
地球温暖化対策として、「再生可能エネルギー」の普及が必須です。「再生可能エネルギー」には、「太陽光発電」と「風力発電」が主なものですが、自然エネルギーにはバラツキがあります。現在では、このバラツキは電力会社の需給調整で吸収されています。本来は、バッテリーで貯蔵すべきですが、経済的ではありません。そこで、水の電気分解による「クリーン・水素」で貯蔵するのが好ましいのです。 私は、高圧ガス製造技術者でもありますので、以下に、自説を述べます。 近い将来に、次の3点が実現すれば、「水素ガス社会」が実現できます。 1.太陽光発電パネルの受光センサーの電力変換効率が30%アップする。2.燃料電池の電力変換効…
資源エネルギー庁が補助金を出して、「燃料電池車」のための「水素ガス・ステーション」の全国配置が行われています。現在の設置数は170か所程ですが、2025年度末までに320ケ所を目標に計画が進められているようです。ステーションの建設費は1か所当たり4億円で、この内、国として2.5億円を補助しているので、170ケ所では合計補助額は425億円となります。今後は、地方都市に簡易型ステーションを配置する計画のようですが、それでも1億円の補助ですから、150ケ所では150億円必要です。このように、600億円近い補助金を投入して、「水素ガス・ステーション」を建設する理由は、何としても「燃料電池車」の普及を計…
「水素燃料電池車」に水素ガスを充填する「水素ステーション」には、ガソリンスタンドに類似した「水素ディスペンサー」があります。ガソリン車の給油時間は1~2分ですが、水素ガスを充填する場合は、3分間を要します。 下図は、水素ディスペンサーの1例です。 70MPa(約700気圧)で短時間に充填するための特別な機能部品で構成されていますので、私が得た情報を整理して、以下に解説します。 1.充填用マニホールド詳細仕様が公開されていないので私の推察ですが、300リッターのものが2本並列接続されているでしょう。 2.プレクーラー短時間充填するために、-40℃まで充填用マニホールドの圧縮ガスを冷却する必要があ…
一般に、気体の温度を低くしていくと、臨界温度に達して液化します。臨界温度が最も低い気体は「ヘリウムガス」です。次に低い気体が「水素ガス」です。 「水素ガス」の臨界温度は-253℃です。液化した状態の水素を断熱性能の優れた容器に保存したものが「液体水素」です。 将来、「水素社会」となると、都市ガスが「水素ガス」に置き換わるでしょう。水素ガスの供給網は、現在の都市ガスでの「地中配管方式」に代わって、「空中配管方式」になると思われます。その理由は、水素ガスは、空気と比べて極端に軽いので、保安上と経済上から「空中配管方式」が有利であり、電力配電線の上部に配管を敷設する方法が考えられます。(これは私の発…
現在市販されている水素ガスは、石油化学工場から副生されたものが大部分を占めています。この水素ガスは、石油資源を消費するので、「再生可能エネルギー」に該当しません。「水の電気分解による水素ガス」は、どのような電力を使用するかが問題です。「太陽光発電」や「風力発電」による余剰電力を活用すれば、「再生可能エネルギー」による「グリーン・水素ガス」であり、地球環境を汚染しない理想的なエネルギー・システムであり、将来の「水素社会」が実現します。 しかしながら、現在では、時期尚早であり、企画段階でしょう。 「水の電気分解による水素の製造装置」は、世界中で開発されていますが、最も知られているのは、イタリアの「…
はじめに 直近50年間に、地球上のエネルギー消費量が激増して、地球上の各地で気象変動が生じています。これは、「大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の上昇で、地球表面の保温効果が高まったこと」が原因であるのです。そこで、「地球温暖化防止対策」として「二酸化炭素の排出量削減」が叫ばれています。 それには、化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の使用量を減らして、二酸化炭素排出の総量規制をしなければなりません。即ち、「省エネルギー化」と「自然エネルギーの活用」で実現できます。 「自然エネルギー」とは、水力、風力、太陽熱、火山帯の地熱、海峡部の潮力、ごみ処理場で発生するメタンガスなどから発電した「クリーンな電力…
「二酸化炭素の排出量削減」は、人類生存環境の悪化をくい止める施策として、世界中で「緊急の課題」となっています。しかし、二酸化炭素の排出量をゼロにすることは、現実的には不可能です。 我が国の目標は、30年後の2050年までに「カーボンニュートタル」を実現することです。「カーボンニュートタル」とは、二酸化炭素の排出総量が森林等で消費される吸収総量に等しくなって、大気中の二酸化炭素濃度が安定する状態です。容易なことではありませんが、「資源エネルギー庁」の主導によって、段階的に実行されています。 「自然エネルギー」の有効活用では、将来は、余剰電力を「バッテリー」または「水素に転換」して貯蔵することにな…
「地球温暖化防止対策」=「二酸化炭素の排出量削減」です。 「自然エネルギー」は「リサイクル可能」なエネルギーでもあり、二酸化炭素を排出しません。従って、「地球温暖化防止対策」の本命ですが、電力に変換するコストが高いので、移行が困難です。そこで、技術開発と経済的負担力を考慮して、出来ることから進めなければならず、30年かけて移行する計画となっています。 先ずは、エネルギー使用量自体を減らすことです。これには「省エネ法」で対処されています。同時に「自然エネルギー」の活用を増大することです。そして、化石燃料の使用量減少となり、「二酸化炭素の排出量削減」に繋がります。 「カーボンニュートラル」を実現す…
日本政府(資源エネルギー庁)は、2017年に、世界に先駆けて「水素基本戦略」を発表しました。「地球温暖化防止対策」には、クリーンエネルギーとしての「グリーン水素」をエネルギー媒体としなければならないからです。つまり、自動車燃料として、現在の石油から水素へ代替しなければならないのです。電気自動車が普及するでしょうが、大型車ではエネルギー消費量が多いので、燃料タンクを掲載した従来方式が有利です。そこで、「水素エネルギーシステム」を構築して、「水素」の消費態勢を確立することを先行しなければならないのです。 現在の市場で流通する水素は、石油系原料から製造されたものです。従って、現時点では「二酸化炭素の…
「二酸化炭素の排出量削減」のためには、「エネルギー消費量の減少(省エネ)」と「自然エネルギーへの代替」が実行されなければなりません。この「自然エネルギーへの代替」においては、電力会社の負担が大きいのです。 電力会社は、常時「発生量=消費量」を維持しなければなりません。このバランスが崩れると、電圧や周波数が変動します。極端な場合には、発電所が送電系統から切り離されて、大規模停電「ブラックアウト」が発生します。 ベース負荷を受け持つ「原子力発電所」が休止して以来、電力会社は「火力発電所」をフル稼働して対処しています。自然エネルギーで発生する電力は、気まぐれですから、季節、場所、種類、天候などで、常…
水素エネルギー社会に向けてー6 (自動車燃料の水素への転換政策)
「二酸化炭素の排出量削減」において、工場や家庭に対する対策は進みつつあります。 排出総量の18%を占める運輸部門の対策が問題なのです。工場に対しては、「省エネ法」によって、既に対策が進行しています。家庭に対しては、「照明のLED化」「ヒートポンプエアコン」「コジェネレーションの普及」「省エネ住宅」などで、省エネ効果が出ています。運輸部門の内で、自動車燃料の転換対策が重視されています。今後は、小型車は「電気自動車」になるでしょう。貨物車とバスでは、大きなバッテリーを積載することは不利ですから、従来通りのエンジン駆動が主流になり、一部が「燃料電池車」となるでしょう。 電力会社では、余剰電力を水素に…
水素ガスの需要は限られているので、従来から「岩谷産業(株)」が一手に販売しています。一般には、150気圧の高圧ボンベ(赤色塗装)で供給されます。大口需要家には、200気圧の長尺ボンベを20本程度の枠組み(カードルと称する)として、トラック輸送されます。何れも、鉄製容器を運搬するので、輸送費が水素コスト高の大きな要素を占めています。更に、「水素ステーション」の設備費が高額です。 抜本的な解決策は「液体水素」で供給することです。既に、一部の「水素ステーション」では、実現しています。「岩谷産業(株)」は、国内の3か所に「液体水素の製造工場」を稼働させています。「宇宙ロケット」の燃料として、散発的に大…
水素エネルギー社会に向けてー8 (水電気分解法による水素の製造)
現在、水素ガスは、化学工場で、化石燃料から誘導された副産物や天然ガス(メタンガス)から製造されています。従って、「地球温暖化防止対策」には寄与しない水素です。これを、別名で「グレイ水素」と呼ばれます。「水の電気分解法による水素」は、製造過程で二酸化炭素を生成しないので、「地球温暖化防止対策」に寄与します。これを、別名で「グリーン水素」と呼ばれます。 現在では、世界中で、「水電気分解法による大型水素製造装置」が開発されています。わが国では、「日立造船(株)」が実用装置を開発中です。 水電気分解法による水素製造装置には、2種類あります。「高温・高圧アルカリ水電解装置」と「固体高分子型水電解装置」で…
水素ガスは、「圧縮水素」で供給されてきました。他の高圧ガスも同様な状態でした。ところが、「酸素」「窒素」「アルゴン」「ヘリウム」などは「極低温タンク車」で配送されています。これは、「二重真空断熱によるステンレス容器」の大型化製造技術が確立したからです。 水素ガスでも、同様の方式が採用できます。現状の枠組み容器(カードル方式)の5倍程度の大量輸送が実現します。現に「岩谷産業(株)」が実行しています。 水素製造基地において、発生水素ガスを精製工程に通してから「水素液化装置」で「液体水素」を製造できます。極低温度の20.3°K(-250℃)であり、常温の大気圧ガスに対して、1/850の容量です。 自…
世間では、「水素ガス」は「爆発火災事故」を起こし易いガスとして認識されています。装置などから漏洩した水素ガスが空気と混合して、着火源があると、爆発します。空気中の水素濃度が4%以上になると危険ですが、水素ガスは空気の1/15の重さです。従って、解放された場所や屋外であれば、軽い水素は大気中を上昇して発散します。LPガスの如く、床面に展張して空気と混合することはありません。この点では、メタンガス(都市ガス)やLPガスやガソリンよりも安全度が高いです。 また、水素ガスの漏洩検知は容易ですから、漏洩初期段階で警報を出すことができます。 「圧縮水素」と「液体水素」は「高圧ガス取締法」の対象ガスです。 …
私は、30歳代のころ(50年前)に「水素エネルギー社会」の話を聞いた記憶があります。当時では、ロケットや飛行機の燃料としての利用であり、クリーンなエネルギー特性が強調されていました。今回の学習発端は、トヨタ自動車のレーシングカー「カローラ」に採用された「水素エンジン」です。「液体水素」の燃料タンクで、気化させた水素ガスをレシプロエンジンで燃焼させるのですから、数々の難題を解決されての「試作車」でした。以前から発売されている水素自動車「ミライ」は「燃料電池車」ですから、新鮮さは感じなかったのです。 興味本位で、自分のために学習したものですが、高齢者の皆さんにも理解していただけたら、日本の将来に希…