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[はじめに] 私は、50歳から70歳まで中部電気保安協会の職員として、高圧受電設備を有する電力需要家の電気保安管理業務を担当していました。電気の安全な取扱いを需要家の皆さんに指導することが、仕事の一部でした。「電気の安全安全な取扱い」は、高齢者にこそ必要と思っています。そこで、高齢者の皆さんに向けて「電気の安全知識」を簡潔に解説するものです。 ・・・・・***・・・・・ 1。2種類の周波数(50ヘルツと60ヘルツ)の問題 わが国では、富士川を境に東日本で50ヘルツ、西日本で60ヘルツの周波数で供給されています。これは日本で電気事業を開始した明治初期に、東京ではドイツ製の50ヘルツ発電機を、大阪…
家庭内の電気配線経路全体の漏電を監視する為に「漏電遮断器」が設置されています。一般に、分電盤の主遮断器と兼用の形式が使われますが、基本は分電盤の上流で、家庭内の全体を監視できる主幹に設置します。 漏電感知電流値30mAが標準です。規格では、基準値30mAに対してー20%~+10%の範囲で0.1秒以下で作動します。 この「30mA」を選定する根拠は、人が感電した場合の許容最大電流値です。 もっと低い値に設定したいのですが、回路の配線や機器の劣化による漏電で誤動作する可能性があるので、一般には、この電流値です。 常に湿度の高い場所や配線被服の劣化があると、常時僅かな漏電が生じています。従って、誤動…
「感電現象」とは、人体に電流が流れることで、そのダメージの程度は、「電流値と時間の積」および「感電電流の経路が人体のどの部分であったか」で異なります。 例えば、静電気の場合は、電圧が1万ボルト近くであっても、電源容量(電気量)が僅かであれば一瞬の放電で終わります。 落雷では、電圧が5万~50万ボルトもあり、電気量も多いので、「感電死」となります。 「感電現象」では、心臓部を電気が流れると、小さい電流でも「心筋梗塞」の危険があります。 30mAを超えると人命の危険があるので、漏電遮断器の設定は30mAとなっています。 人体に大きな電流が流れると、発熱作用により組織が焼損壊滅するので、その部分が後…
「電気火災」とは。漏電や抵抗過熱によって、通電部に接触している可燃物が発火することです。 または、放電時のスパークによって、可燃性ガスに引火して火災となることです。 配線の工事不良や絶縁体劣化によって、建物への漏電が発生します。 漏電経路に可燃物があると、抵抗発熱が繰り返されて炭化したり、高温となって発火します。 また、電化製品の間違った使用方法で、過負荷となって過大な電流が流れると発熱します。 ヒーターを内蔵した器具では、放熱が悪いと、長時間の使用で筐体(ケース)が発熱します。 また、家庭用のコンセント回路は、最大電流が15Aに制限されてはいますが、常時10アンペア以上の電流で使用すると、コ…
阪神・淡路大震災や東日本大震災の火災原因の6割以上が電気火災によるものと言われています。地震が引き起こす電気火災には「発生直後の火災」と停電から電気が復旧した際の「通電火災」の2種類があります。「通電火災」は、電気が復旧した際に、転倒・破損した家電製品に通電することで火災が起きる現象です。地震発生後に起こる火災は、無人となった室内で出火するため、消火が遅れて影響範囲が広がりやすいのが特徴です。 地震発生による停電時には、電力会社は、停電地域の早期復旧の方策として、自動的に「試送電」をします。この方法は、予め分割してある区域ごとに高圧配電線の区分開閉器を順次自動投入します。電流が正常に流れた場合…
家庭で使われている便利な情報機器や小型の電気製品には「充電式電池」が使われているものがあります。一般に、これらには「専用の充電器」が付属しています。 「充電器」とは、交流100Vを入力して、既定の直流電圧を発生して、自動制御しながら「充電式電池」に電気エネルギーを供給するものです。「充電式電池」が過充電にならないように自動制御しますし、満タン充電できる供給電圧に設計してあります。。ここで、重要なことは、「充電式電池」の種類や容量の違いで、「充電特性が異なる」ことです。従って、必ず、指定された「専用の充電器」を使いましょう。 過充電になると発熱しますし、場合によっては発火します。 [参考Webペ…
電気器具を移動して使う場合や一時的に電気を使いたい場合には、コードリールや延長コードを使います。その場合の安全な使い方の話です。 1。コードリール * 屋外で使う場合で、雨天や庭の散水など、ソケットに水が入る恐れがある用途では「防水仕様」のコードリールを選択します。 (応急的には、ビニール袋で覆ってください) * コード全部を引き出した状態で、15Aまで利用できます。 (リールに巻いたままでは発熱するので、電流は10A以下で利用します) * コードが損傷したり、ソケット部が破損した物は危険ですので、使用しないでください。 (キャブタイヤコードにひび割れが生じた物は、劣化寿命です) 2。たこ足配…
常時水を使う場所や可燃性ガスの存在する場所およびプロパンガスや灯油置場では、特殊仕様の電気器具を使うことを心がけましょう。以下に、特殊仕様の電気器具を必要とする法定基準を列挙します。 1。「防水仕様」について 常時水を使う場所で使用する電気器具は「防水仕様」の製品をお勧めします。浴室など湿気の多い場所:防湿・防雨型器具軒下など雨の当たる場所:防雨型器具 携帯電話やスマホに限らずスピーカーや防水イヤホンには「完全防水」や「生活防水」や「防滴仕様」と防水性能の程度による区別があります。この言葉の違いは、「完全防水」>「生活防水」>「防滴仕様」と判断されます。 それぞれの用途に合わせて選択してくださ…
単相200Vと三相200Vの違いの話です。 1。単相200Vについて 200Vで使用していても、片方の電線に触って感電した場合は、人体への印加電圧が100Vになるので、三相200Vに比べて安全です。しかし、モーターを回すためには、コンデンサなどを使って進み位相を発生させる特殊な構造となります。 家庭内の照明・IHクッキングヒーター・エアコン・エコキュート等の機器に使用します。 2。三相200Vについて 三相200Vは、120度づつ位相をずらした、3つの波形を使用しているので電源を供給すると、自然に回転方向への力が加わること(回転磁界の特性)によって、モーター類を容易に回転させることが出来ます。…
家庭向けの節電技術としては、「エコキュート設備」「太陽光発電システム」「コジェネレーション」が代表的です。何れも、設備費がかなりの金額になるので、新築時と増築時に採用を検討されると良いでしょう。 1。エコキュート設備 ( 英: EcoCute )正式名称は「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」。 ヒートポンプ技術を利用して、大気中の熱を取り込んで湯を沸かすことができる電気給湯機のうち、冷媒として、フロンではなく「二酸化炭素(CO2)」を使用している機種の商品名です。従来の電熱式給湯機に比べ電気の使用効率が格段に優れています。 CO2を冷媒に使い、外気の熱を汲み上げることで電力を大幅に節約するので、電力…