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今までに三回、引っ越しをしている。一回目は24歳の時で、兄が結婚するというので実家を離れた。駅前にあるアパートで、憧れの独り暮らしが出来るというので嬉しかった。ところが、二年ほどして父が亡くなり、母屋には祖母と母の女二人なので、不用心だから実家に戻ることになった。独り暮らしを謳歌していたのに……ちょっと寂しい二回目の引っ越しだった。三回目は今住んでいる家に引っ越した。まだ結婚していなかったので、再びの独り暮らしで嬉しかった。医療費の負担が3割から2割になる歳になって、次に引っ越すのはあの世に逝くときだと思っていたら、ひょんなことから引っ越しをするはめになった。と言っても家を引っ越すのではない。ブログの引っ越しだ。gooブログが11月で閉鎖になる。半年後だから、ゆっくりと考えようと思っている時に、gooより...茶話180/お引越し
桜が咲いた。じゃが芋の芽も出そろった。Springhascomeである。大地の底で目覚まし時計が鳴ったかのように、草木が一斉に眠りから覚める。映像を早送りしたかのように、草木は日に日に緑を増していく。ようこそ春よWelcome。命の息吹く春がきた。この三日間、歩いた動いた働いた。表彰台の上で金メダルを歯で噛みたいほどに働いた。三月に芽出ししたトマトにナスにブロッコリー、レタスにピーマンを大きなポットに植え替えた。スイカにキュウリ、カボチャにマッカ。ダイコン、ニンジン、インゲン、ゴーヤ。夏野菜の種も蒔いた。芽が出て育った夏野菜の苗を植える畝も立てた。さあさ、いつでもWelcome!植えるcomeの春がきた。畑201/Welcome
昨日3日は、一粒の種が万倍に育つという「一粒万倍日」。加えて、黄金色の毛が金運をもたすという「寅の日」。もえ一つおまけに、太陽が隅々まで明るく照らしてくれて、すべての物事がうまくいくという「大明日」。こんな大吉日に、じっとしていては運を逃す。朝の早から畑へ行って、蒔いた蒔いた蒔きました。スイカにキュウリ、カボチャにマッカ。ダイコン、ニンジン、インゲン、ゴーヤ。縁起担いで、ソーリャソラソラお祭りだ!数日前に70歳をむかえた。「人生七十古来稀なり」。中国は盛唐期の詩人、杜甫の漢詩「曲江」の中の一句が「古希」の出典となった。朝(ちょう)より回(かへ)りて日日(ひび)春衣(しゅんい)を典(てん)し毎日江頭(こうとう)に酔いを尽くして帰る酒債は尋常行く処に有り人生七十古来稀(まれ)なり花を穿(うが)つ蝶々は深深(し...畑200/種まき
※①~③のつづきです。旅17から読んでください。備前の旅も四日目、大阪に帰る日だ。昼前に出ようと友人が言うので、それまで周匝の町をぶらぶらしてくるとウォーキングに出た。山沿いに町まで向かう。途中、道の真ん中に大きな樹がある。石碑があって、髭が生えたような文字から「南無妙法蓮華経」だと読み取れる。なにを祀っているのだろう?近くで80歳くらいのお爺さんが竹ほうきで落ち葉を掃除している。尋ねてみようと「おはようございます」と声をかける。「でぇれぇ、さみーに、どけーいなれる?」なんとなく解ったので、「町まで散歩です」と応える。「ほーけ。わちゃー、歳とって、なーんもできん厄っけー者じゃーと、みながそげーなことゆーて、えれーいらまかしょる。せーじゃけー、厄っけー者じゃー言われんよーに、ちーたー掃除ぐれえーしよお思ーち...旅20/老いの小文六の④
※①~②のつづきです。茶話179から読んでください。岡山県は、瀬戸内海と中国山地に囲まれ、温暖で晴れの日が多いことから「晴れの国」をキャッチフレーズにしている。なのだが、過去5度来たうちの半分以上が、晴れるはずなのに雨だった。だから、「晴れの国」ではなく「ハズの国」だと愚痴っていた。そこで、昨年の秋の旅からは天気予報に合わせて日程を組むことにした。今回も同様に日程を組んだので、見事な晴れの国の三日目となった。午前中は、昨日立てた畝に、私が持って来た里芋と菊芋を植えた。秋に来た時の楽しみにするためである。農作業を早々に切り上げて早い昼食をとる。スーパーで買った100円ラーメン。オジン二人の食事は実に質素だ。酒の肴を含めても、三日分でしめて3000円。しかし、なににも勝るご馳走である。昼食を終えて、すぐに家を...茶話181/老いの小文六の③
孫が遊びに来て「今年もイチゴをいっぱい食べさせてね」と言う。……。去年の春のカラスに落花生の苗200株を全部引き抜かれた事件で、イチゴの苗を採るのを忘れてしまった。夏に思い出して、あちこちに生えているのをかき集めて20株ほど苗床に植えておいた。ところが、秋に定植しなければならないのに、アライグマに落花生を食べられた騒動で忘れてしまったのだ。さて、どうしよう……、自分のせいではなくカラスとアライグマのせいだからと責任転嫁して、特にやらなくてもいいだろうと勝手に理由をつくり、どうにでもなれと居直って、結局、放ったらかしにしてしまった。随分と長く考えたあげくだったのに……。「今年もイチゴをいっぱい食べさせてね」だなんて可愛いこと言われると……。やるしかない!〈人は、他者から期待されると、期待に沿った成果を出す〉...畑199/畑の法則
彼岸に入ったというのに昨日は雪。ご先祖様も、さぞかし驚いておられるにちがいない。夜を寒み朝戸を開き出で見れば庭もはだらにみ雪降りたり(万葉集:作者未詳)「彼岸過ぎても七はだれ」という諺(ことわざ)がある。「はだれ」は「はだれ雪(まばだに、薄く積もった雪)」のこと。彼岸が過ぎても七回は、はだれ雪が降る。北海道や東北の春の遅い地方の諺だろう。うってかわって今日は雲一つとてない彼岸の中日。暑さ寒さも彼岸まで。春の早い地方では、こっちの諺がぴったりだ。ビニールハウスの中の椅子を外に出して、のんびりと日向ぼっこ。この世かあの世か、此岸(しがん)か彼岸か分からない、ぼーっと時を過ごせる気持ちよさ。あー、なまんだぶ、なまんだぶ……。真東から昇ったお天道様が、真上を通り過ぎようとしている。さあ、そろそろ帰るか……。すると...畑194/彼岸
今日(21日)は全国的に暖かく、大阪も17℃の暖かさ。だが、朝一で百姓仲間からlineメール、「やられた!白菜400株!全滅!」犯人はヒヨドリ。数百匹の集団で舞い降りて来て芯を喰ってしまうので商品にはならない。カラスに次ぐ害鳥我が畑でも、キャベツをボコボコにやられたことがある。なんとも切ないが、朝の7時半から子ども見守り隊があるので、いつもの交差点へ。「おはよう!」「おはようございます!」不安げだった1年生も、元気に挨拶できるようになった。家に帰って朝食をとって畑へ。ビニールハウスの中で冬越させていたホテイアオイが、なんとか緑を保って冬を越してくれ。随分小さいが、冬の間、じっと寒さに耐えてくれたのだ。キャベツの横には、こぼれ種のネモフィラが一株。キャベツの大きな葉に押されながらも、負けるものかと花茎をもた...畑196/健気
畑の片隅にある趣味のコーナ。盆栽でもやってみるかと、挿し木から育てた、さつき、くちなし、それと木瓜。普段は放ったらかしにしているが、花が咲くころに存在に気づく。木瓜の蕾が膨らみだした。「ぼけ」とはまた不幸な名を与えられたもんだ。そのうえ、半分ボケた老人に育てられていたのでは、たまったもんではなかろう。しかし、その花は肉厚で光沢があり、美しい。蕾は、頬を紅く染めた少女のようiに可愛いい。中国名の「木瓜」を音読みして「ボクカ」、それが訛って「ボケ」となった。「木の瓜」と書くように、瓜のような実をつける。盆栽用の木瓜は実のならない品種だから、とんと実を見たことない。カリンに似た実がつくらしい。焼酎に漬けて木瓜酒、乾燥させて漢方薬に使っていたとか。実のなる品種の種を買って育ててみたいものだ。暖かいので家の中で育て...畑197/根本
記事の数が500になった。一月の下旬で、ブログ開設からちょうど三年になった。それまでに達成したかったが、冬場にさぼりすぎてできなかった。冬場はたいした働きをしていないから、頭も働かない。書きかけのものが十ほどある。いつかどこかで、ブログの記事は味噌汁のようなものだと書いた。書きかけのネタ(味噌)を蔵で寝かせておいたら、いつか豆腐や油揚げのネタと結びついて味噌汁(記事)ができる。しかし、今回のは、冬の話題ばかりだから、春が来ればお蔵入りになる。いくらなんでも一年も寝かせるとカビが生える。四つのカテゴリーで記事を書いている。「よもやま話(茶話)」は、様々なテーマで書いているので雑記ブログ。「菜園日誌(畑)」は日記ブログだが、その都度にテーマを決めて書いているので雑記ブログに近い。「歴史」と「祭と俄(俄)」は、...茶話178/まいどおおきに!
畑に出たいのだが、ここ数日、通り雨が降る。降るなら降る、降らないなら降らないの、なんともけじめのない天候。菜種梅雨。ところが、ナタネは、菜っ葉の種子という意味で、特定の品種として存在しない。♪菜の花畑に入日薄れ見わたす山の端霞ふかし♪ならば「ナノハナ」かと思いきや、ナノハナという植物はない。ナノハナは、黄色い花をつけるアブラナ科アブラナ属の花の俗称だ。ハクサイ、カブ、コマツナ、ミズナ、チンゲンサイ、キャベツなどのアブラナ科の花や実が、ナタネ・ナノハナである。みな、この時期になると一斉に花芽をつける。そして、雨が降り続く。スーパーで売っている食用の花の蕾がアブラナ。正式には西洋アブラナ。花を食べるので花菜(はなな)とよび、葉を食べると菜花(なばな)という。昔は種から油を採って行燈の燃料にしていたので油菜・菜...茶話177/なのはな
朝の6時半頃が日の出なので、朝日を浴びようと外に出る。陽は出ているが、なにやら薄いレースのカーテンに覆われてぼんやりとしている。黄砂か花粉か……はーくしょん!やはり花粉か……はーくしょん!家に入って……はーくしょん!ティッシュを探して……はーくしょん!ティッシュをぬいて……はーくしょん!薬を飲んでいるのに……はーくしょん!もひとつついでに……はーくしょん!くしゃみ1回の消費カロリーは4kcalだとか。120歩の歩行と同じエネルギーを消費する。今日の朝は7回くしゃみしたので、10分歩いたのと同じになる。そう思えば気も楽か。花粉の時期が終われば本格的な春。そう発想の転換をすれば希望が湧いてくるか。甚だ厄介……花鼻困った……はーくしょん!休息万命急々如律令!茶話176/はーくしょん!
身中の虫吹つ飛ばす大嚔(おおくさめ)/山口正心ヘィークションと一回だけの大くしゃみは、なんとも言えぬ快感だ。『枕草子』の中に、はなひて誦文(ずもん)する。おほかた、人の家の男主(おとこしゅう)ならでは、高くはなひたる、いとにくし。くしゃみをして呪文を唱えるのって下品。大体において、その家の主人ならまだしも、雇い人が大きなくしゃみをするのは、ほんとに気持ち悪いたらありゃしない!上品な平安貴族にとっては、一目はばからぬ大くしゃみは不愉快極まりない。コロナやインフルの感染症流行のこの時期の大くしゃみは、違う意味で人に不快感を与える。一昔前に有った風邪薬コンタックのCМ。狂言師の和泉元秀が出てきて……。大きな毛抜きにはさまれて、ねながらグッとぞ抜きにける。はあーくっさめ!くっさめ!「くしゃみの呪文」というのが「く...茶話175/ヘィークション!
3月になったのに雨やら寒波やらで再度の冬眠状態。今日あたりから春めいてくるという天気予報。そろそろ本格的に畑活に入ろうと6時半に外に出たが寒い。外で飼ってるメダカの水槽をのぞくと薄氷がはっている。バイクのサドルには霜が降りている。大きな御天道様が昇ってきたのに温度計はまだ3度。まだまだ冬か。ならばもう一度穴暗に入っているとしよう。のんびりするつもりでいたのに9時を過ぎたころから気温がぐんぐん上がってきた。氷の解けた水槽のメダカが日向ぼっこに水面へ上がってきている。慌てて畑へ行ってビニールハウスの中の温度計を見ると35度。野菜だって熱中症になる。ビニールをめくり上げて涼しい空気を入れてやる。冬だか春だか夏だか分からなくなる。しばらくして百姓仲間のLINEグループに「ジャガイモの芽が出た!!」のメール。もう一...畑193/花は咲く
なぜか無性に食べたくなった。「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー」藤田まことの出世作『てなもんや三度笠』の中で使われた宣伝文句だ。駄洒落を使って無理やり言葉を加えていくので「付け足し言葉」という。この昭和を代表する名文句で前田製菓は一躍有名になった。その前田のクラッカーが食べたくなった。ところがどっこいごっつぁんどすこい。どこにも売っていないイナイバー。藤井寺市に前田製菓の直営店があるので行ってみたが、なぜか売っていない。やっぱりさっぱりちんぷんかんぷん。困った困ったこまどり姉妹。やけのやんぱち日焼けのなすび。どうぞかなえて暮の鐘。インターネットで検索したら、なんと有馬の温泉饅頭。売っているのは、水金地火木百均ダイソー。何のこっちゃ、抹茶に紅茶。驚き桃の木山椒の木。願ったり叶ったり晴れたり曇った...茶話174/もこもこ
昨日に増してどんよりとした空。降っているのか、降っていないのか、わからないような雨。傍で我が相方が洗濯物を部屋の中に吊るしている。てるてる坊主でも作ろうか……。カムイ・パパイヤ・アーホーイヤ。あーした天気になぁーれ!アイヌのまじないでも唱えようか……。それとも、靴でも飛ばそうか……。あーした天気になぁーれ!東北地方では、雨が降り続いたとき、晴れを願って、行事の前日に御天気祀りとやらをする。大酒飲んで大騒ぎする宴会……だという。そんなの、毎日、こっそり、独りで、やっとるわい!雨に交じって、梅の花がしきりに散る。去年は、花が少なく、実があまり成らなかった。梅干し用の実が少ないのにがっかりした我が相方。どこで教えてもらったのか、手にノコギリを持って、梅の木に向かって「成るか成らぬか。成らねば切るぞ」と脅しをかけ...茶話173/雨
昼過ぎに歩数計を見ると58歩。昨日に続いて、今日も朝から雨。赤い鼻緒のじょじょ履いて、おんも(=表)に出たいのだが、ままならない。3時ころから、ようやく雨があがり、水筒に熱いコーヒー入れて畑へ。殊更にするべきことはないから、ビニールハウスの中で、とりあえずのコーヒーをすする。そして、おもむろにハウスの中の小さな畑の様子を確認する。ナス・トマト・キャベツ・ブロツコリー。まだまだ双葉だが、本葉が見えてくれば春になる。春を迎える畑には、楽しみがたくさんある。こないだまで、たよりげなかったレンゲの葉が、いつのまにやら青々としてきた。こいつが、あの赤い花をさかせるのか。露地だと気づかないが、ハウスの中だと、植物の成長の仕方がよく解る。ほっほぉう……!キャベツはこんなふうにして玉をつくっていくのか。花芽を包み込むよう...畑192/はーやくこい
大阪のおばちゃんは、いつも飴を持っているというのは有名だが、おっちゃんだって持っている。最近、飴ちゃんにはまっている。お気に入りはK社の珈琲飴。少し甘いが、下手なコーヒーを飲んでいるより美味い。最初はウォーキングの喉潤しにと買ったが、最近は、寝る前にも一粒口に含む。昔だったら以ての外だったが、砂糖・糖類ゼロのノンシュガーだから罪悪感はない。布団の中で湯たんぽ抱いて、甘ほろ苦さを堪能する至福のひと時である。砂糖に水を入れて煮詰める。100度くらいになるとシロップができる。さらに煮詰めて120度くらいにするとキャラメル。150度まで煮詰めるとドロップができる。160度まで煮詰めて、ようやく金色のべっこう飴になる。砂糖の固まりだから、代表的なべっこう飴の黄金糖は一粒19kcalもある。グリコのキャラメル1粒は1...茶話172/飴ちゃん
昨日3月2日は石川大清掃。流域の人々が約1万人集まって石川のゴミを拾った。我々百姓仲間はダムの水門付近に集合。ゴミ集めは少年野球の子どもたちにお任せして、おっさんたちは雑木の伐採。一時間足らずの間に、ゴミの集積場は山のようになる。過去の集計では50トンのゴミが集まるという。なんとも逞しい人々の力よ!だが、逆にいえば、50トンものゴミを捨てる人間がいるということだ。なんとも情けないことよ!今日は朝から雨。しばらくまとまった雨が降らなかったので、田畑に水を入れるダムも涸れかけの溜池状態だった。有難い雨だ。♪雨潸潸とこの身に落ちてわずかばかりの運の悪さを恨んだりして♪(「愛燦燦」詞曲小椋佳)「潸潸(さんさん)」は〈涙が流れるようにさめざめと降る様子〉。雨、さんさんと……、3・3。三月三日……、今日は雛祭。女の子...茶話171/さんさんと
松尾芭蕉『奥の細道』の中に次のような俳句がある。汐越(しほごし)や鶴はぎぬれて海涼し意味をとりにくいので句読点を打つとこうなる。汐越(しほごし)や。鶴、はぎぬれて、海涼し「汐越」は、越前と加賀との国境にある地名(呼称)。浜に松林があり、汐が満ちてくると幹が海水に浸かったところから名づけられたという。問題は「はぎ」。漢字では「脛」と書く。「すね」、「はぎ」とも読む。脛の裏のふっくらした部分は「ふくらはぎ」。その脹脛が痛い。最強寒波が終わったらと思ったら、今度は最長寒波。かなり寒いが、天気は良いので歩きに出る。意を決して富田林市寺内町までの2㎞に挑戦。30分かかって到着。さすがに疲れた。それに脹脛が痛い。近くのスーパーに入って、イートインで無料のお茶を飲んで休憩。★15分ほど休んで、さて、どうしよう?帰ろうか...茶話170/ふくらはぎ
最強寒波が緩んで、3月並みの暖かさ。こんな日にじっとしているのはもったいない。ジャガイモでも植えるとするか。陽気に誘われて、ウォーキング替わりに畑へ。12月から冬眠していたから⒉ヶ月半ぶりの農作業。久々に管理耕運機出して畑を耕す。冬草がびっしりと生えた畑は硬い。管理機で三往復ほど搔きまわさないと草は抜けず、柔らかくならない。「畑の草は根っこごと抜くな」という。雑草が根を張ることで空間をつくり、土をやわらかくしているのだという。なるほど、そうに違いない。しかし、これは、関東ローム層のような粒子の細かい柔らかな火山灰土壌に限ったことだ。畝をたてずに平畝で栽培できるような、さつま芋を引っ張ったら芋づる式に収穫できる畑のことだ。我が畑のような堆積物の多い、粘土質の畑で同じことをしたら、我が物顔に雑草が蔓延る。★書...畑190/春遠からじ
月に一度、町会館で町内の同年代グループの飲み会がある。歳が歳だけに、まずは体調不良の話題、次に薬の話で盛り上がる。「どんな薬を飲んでいるねん?」「〇〇や!」「俺と一緒やがな!」「あの薬もパッケージが白い間は良えけど、ピンクとか赤になるとアカンらしいな」それを聞いた右隣の少し年配のYさんがじろりと睨む。気心知れた同士の集まりだから、もめごとになることはない。町内で飲んでいるという安心感から、ついつい酒が進む。年甲斐もなく寄ったので途中で退散。ふらふらになって家に帰ってバタンキュウ。朝起きて、何も覚えていない。誰かに何か嫌なことを言ったりはしていなかっただろうか?毎度毎度の自己嫌悪。用事があって歩いていると、昨日、睨まれたYさんとばったり。「昨日は、すんません!」「なんのこっちゃ?」「昨日はえらい飲んでしもた...茶話190/眠り
立春だというので、夕方近くに、水筒を持って畑へ。強い風に背を押されて、すたこらすたこらの速歩き。身体活動の強さを表す「メッツ」という単位がある。厚生労働省のHPからの受け売りでいうと、座って安静にしている状態が1メッツ、普通歩行は3メッツになる。日常生活で体を動かす量の基準は、3メッツ以上の身体活動を1日1時間、1週間の合計で23メッツ(約8時間)する必要がある。これに加えて、少し強めの運動(例:速や歩き=約5メッツ)を一日20分以上、1週間の合計で150分以上すると寿命が伸びるのだという。早い話、こんなの、普通に働いていれば1日で達成できる。なのにメタボが増えるのは、デスクワーク中心、過度のカロリー摂取、高齢による活動不足、強めの運土不足ということになる。強い風に背を押されてすたこらすたこら速歩き。こり...畑189/上でも下でも
京都に住んでいる人は京都観光をしないそうだ。清水、八坂、知恩院へ行っても、自分が住んでいる所と同じ土地の匂いがする。だから、京都に限らず、身近にある観光地へは行かない。「♪知らない街を歩いてみたいどこか遠くへ行きたい」という気持ちになれない。日常からの離脱、漂泊観!はたまた、甘美な仮想逃避にはならないからだ。愛する人とめぐり逢いたいどこか遠くへ行きたい愛し合い信じ合いいつの日か幸せを(『遠くへ行きたい』詞:永六輔・曲:中村八大)ウォーキングを兼ねて、家から2㎞ほどの太子町(南河内郡)へ梅を見に行ってきた。梅といっても花ではない。墓である。太子町には、日本の礎を築いた古代の偉人達が眠っている。敏達、用明、推古、孝徳(孝極)天皇、そして、聖徳太子の墓がある。地図で見ると「梅鉢」の家紋に似ていることから「梅鉢御...茶話168/味なもの
梅の花がちらほらと咲きだした。チーチーとメジロが集まってきて枝をゆする。さあ、今日はどこを歩こうか?一ヶ月、ウォーキングを続けていると、行く所がマンネリになる。そこでスマホに「九星方位ナビ」とやらを入れた。九星気学の占いで運気の良い方角へ歩く。節分に恵方を向いて寿司を丸かじりするのと同じだ。今日は六白水星で東が吉。うーん、おもしろくない!それって通い慣れてる畑の方角ではないか。ならば、ずうっと東の太子町(南河内郡)へ行こうか。でも家から2㎞もある。この歳になると、一気に歩けるのは2キロが限度。帰りをいれると往復4㎞も歩かなくてはならない。4分たったチキンラーメンみたいにのびてしまう。ウルトラマンならエネルギーがもたない。こういう時は発想の転換。転換というほどの転換ではないが、家をスタート地点にするからいけ...茶話167/ちょっと旅気分
こんばんは。(#^.^#) 球春到来ですが、初日は風邪、2日目は来客で、3日目の今日、やっとファイターズのキャンプ風景をGAORAスポーツで視聴できました。 ヤッパリ、「プロ野球観戦」は楽しいです。 リタイア前の方は、リタイア後の趣味(できれば、複数)を持っておかれることがとても大切だと感じます。 是非、素敵な趣味を見つけてくださいね。(^_-)-☆ ちなみに、4/25(金)~4/27(日)のエスコンですが、ロッテファンのお友だちと観戦することになり、ビジター席で観戦します。 同日のチケット(ライト側外野1枚のみ)をお譲り(もちろん無償)しますので、よろしかったらご連絡ください。
ウォーキングを始めてから一ヶ月が経った。多趣味で移り気な自分にしては、よく続いたものだ。冬場の運動不足解消と健康維持が目的だ。一日歩けば、一日寿命が延びる。そう考えると、続けなければならないような使命感が出てくる。だが、最初は自信がなかった。そこで、「歩けば歩くほどポイントが貯まる」そんな文句につられて、Rポイントが貯まるというウォーキングアプリアプリをスマホに入れた。ところが、一日の歩数を見るのに広告が出てくる。目標達成のスタンプをもらうのにも広告が出てくる。スタンプをもらった後にも「おめでとう」のコメントに添えられた別の広告が出てくる。頭にきて、無視してホーム画面に戻ろうと「×印」をタップすると、再び「おめでとう」の画面!結果、見たくもない動画を見なければ元に戻れない。おいおい、昔のHサイトの手口と同...茶話166/歩いてなんぼ
ウォーキングを始めて今日で3週間になった。一日の目標は8000歩。一週間に一日は雨や所用で達成できない日があるが気にしない。一週間ないしは一ヶ月をトータルして達成できれば問題はないのだという。年初のアマゾンのセールでウォーキングシューズを買った。ついでに、KindleUnlimited(本の読み放題)も契約した。通常一ヶ月980円が、三ヶ月99円という破格の値段。三月の末になったら解約すればいい。さっそくウォーキングに関する本を何冊か借りる。ほとんどが1日10000~8000歩のウォーキング(速歩きを含む)をすれば、健康になり寿命が伸びるのだという。その中に「目標の達成はトータルで考えよう」というのがあった。今日に達成でくなくてもガッカリしない。明日があるさでいい。人生と同様に、目先の事でくよくよしてはな...茶話165/人も歩けば
いつもと同じように7時前に起きる。30分頃に、近くの河原の堤防へ行く。いつになく人々が集まっている。やがて山の端がきらりと光って、朝日が昇り始める。女子高生たちがキャッキャと騒いで写真を撮っている。自分にもこんな時があったのかなと……年月の流れにひたりながら、2025年の初日の出を浴びる。昼からバイクで畑へ。パンパンと柏手を打って、「今年もよろしく」とぺこりと頭を下げる。さあ行くとするか。はるか西北の山の麓まで歩くのだ。「歴史十一/八幡太郎は恐ろしや」で書いた、河内源氏の里、通法寺を目指す。冬の今なら、田んぼの中を通って真っすぐに向かうことが出来る。田んぼを横切り、梅川に架かる橋を渡ると通法寺の村に入る。道が狭いためか昭和の懐かしい家並が続く。途中に源頼義、義家の墓や、館があった通法寺跡の遺跡がある。今日...茶話164/初詣
ウォーキングを始めて一週間が経った。気が向いた時に、景色を見ながら、あてもなく、のんびり歩くので、散歩といった方がいいのかもしれない。それでも、三日後あたりから筋肉痛が出始めたので効果はあるように感じる。二階に上がる階段も苦にならなくなった。大晦日の今日は氏神様の美具久留御魂神社(みぐくるみたま)へ。いつもなら元旦に初詣するが、結構な人出で混雑する。インフルエンザが流行っているので、空いている年末にゆっくりとお参りすることにした。昔は、夕方に神社へ行き、お堂にこもって新年を迎えた[年籠もり]した。今は、そうはいかないので、12月の中旬から大晦日までの間にお参りするのを[年末詣]という。一の鳥居をぬけても500mはある長い参道を歩く。宮の町中に入ると町会長をしている同級生に会う。夜中に年籠もりがあるから忙し...茶話163/年末詣
一日に朝夕の二回、バイクで畑へ行く。そのうちのどちらかを歩くことにした。約700mで1000歩、往復すると2000歩になる。65歳~74歳だと一日に7,000歩以上は歩く必要があるという。毎日続けると死亡リスクが50%減るのだそうだ。先月からお世話になった掛かりつけ医へ月一の診断に行った。まずは、血圧。前回は180あったのが138。血糖血はさほど変わらないがA1cが-0.5減少。やはり薬はたいしたものだと実感。気分良くしてインフルエンザのワクチンも打ってもらった。その後にあったのが特定保健指導とやら。お決まりの塩分控えめ、野菜を多めの食事の話。酒は控えめに……というのは無くて、医師には我が気持ちが伝わっているのだと安心。「何か運動されていますか?」というので、「畑仕事くらいです」と答える。「それは運動には...茶話162/歩く
昼でも一桁の温度、明け方には0度近くなる季節になってきた。耐えかねて湯たんぽを出した。寝る30分前に布団の中に入れる。寝る段になって布団にもぐり込み、まず、湯たんぽを抱いて、膝を立てて空間をつくり、布団全体に温かさがいきわたるようにする。5分もすると暖かくなるので、湯たんぽを足の方に移動して冷えた足を温める。その後は、湯たんぽを抱きかかえて寝る。湯婆(タンポォ)」という。「婆」は〈妻〉を指し、お湯の妻の意味になる。なんとも懐かしい暖かさだが、当の湯婆は午前3時ころには冷たくなり、現実に引き戻される。最期はやはり、自分の体温だけが頼りなのだと勘念して耐えて寝る。――○○様におかれましてはお健やかに新年を迎えられていると存じます。さて、私も高齢になり文字を書くのが億劫になってきました。つきましては、毎年の年賀...茶話161/年の瀬
朝、目覚めて、まず、コーヒーをドリップして外に出る。玄関に据えた置き配用の椅子に座ってコーヒーをすする。山茶花の蕾が赤くなつているのにふと気づく。短い秋もそろそろ終わりか……。薄い墨で描いたようなちぎれ雲がいくつも西から東へ流れていく。やがて、雲の上端がうっすらと明かみをおびてくる。山の端から太陽が昇り、日の出を告げてくれる。そして、この朝日をいっぱい浴びる。それを日課にしている。太陽の上辺が地平線に一致する時刻を日の出という。しかし、我が地は東に1000m級の金剛山地に囲まれているので、山の端から太陽が現れる時刻は20分ほど遅く、それを日の出とよんでいる。早い話が、朝日を浴びる時間だ。春夏秋は、ほとんど畑で迎えるが、冬場は玄関の椅子に座って、コーヒーをすすりながら迎える。雨や曇りの日でも、それを日課にし...茶話159/朝湯
四、五年ほど前までは、ほとんどなかったのに、最近、方向指示器(ウインカー)を出さない車が増えてきた。出しても右左折するのと同時に出す。こちらが直進しようとしている時に、対向車が突然右折してくると大きな事故につながる。ウインカーを出さない奴もそれがわかっているのだろう、左折する時に出さない。こちらが右折する(対向車と同じ方向に回る)時なら、少し待つだけで、事故にはなる可能性は低いからだ。めんどうくさい、かっこ悪いからウインカーを出さないらしい。右左折する30m手前から、ウインカーを出すことが義務付けられている。ウインカーを出さずに右左折をした場合、合図不履行違反となり、違反点数1点と反則金6000円(普通車)が科せられる。立派な交通違反、ルール違反なのだ。にもかかわらず、規則なんか守っているのはダサイと思っ...茶話160/古い奴だとお思いでしょうが
二十代の半ば頃だったろうか。祖母が、「そろそろ結婚したら」というので、ある日の夕方、遠い親戚の女性を家に連れて来た。非のうち所の無い、実に整った顔立ちの、まことに綺麗な女性だった。「これからよろしくお願いします」か細い声だが、はっきりとした口調で女性が言った。しかし、当の私はまったく結婚なんぞする気がない。「結婚はまだ早いので」と、女性との話もそこそこに自分の部屋に閉じこもった。8時頃に、風呂に入ろうと風呂場に行った。裸になって、ドアを開ける。すると、あの女性が湯船につかっていた。「アッ!」という微かな声が漏れた。私は慌ててバスタオルを腰に巻いた。そして、声も出ずに、ドアも閉めずに、一目散に自分の部屋へ逃げ戻った。二、三分もしないうちに、ドタドタと足音がした。バァーンと私の部屋のドアが開いた。あの女性が立...茶話158/明日こそは
法事があって、終わった後に食事会があった。一般的には「お斎(おとき)」というが、関西では「仕上げ」という。少し酒が入ったので、帰りは知人(年下)に車で送ってもらった。家の前で車を降りる時、一瞬、迷った。お礼の言葉を何て言おうか?100%の人間関係ある友人や年下の親戚なら「ありがとう」で済む。50%ほどの人間関係で、年下の知人には何て言おうか?「ありがとうございます」は丁寧すぎる。「ありがとう」では失礼になる。一瞬迷って出た言葉が、「おおきに」「おおきに」は、関西弁で〈ありがとう〉の意味になる。古語の「おおきなり」の連用形で、〈大いに・たいへん〉の意味。だから、関西弁の「おおきに」の正式な言い方は、「大きに、ありがとうございます」になる。つまり、肝心な「ありがとう(タメ)」「ありがとうございます(敬語)」を...茶話157/大胆不敵
わわわわわわわわわ……。日曜日に孫たちが来て、パソコンで記事を書いている私の周りをキャツキャと走り回る。自分の子どもだつたらなら「こら!うるさい!」と怒鳴る。しかし、我が子のようで我が子ではない、ペットのような孫だからそうはいかない。回転椅子から振り返って「危ないがな」と優しく言う。その瞬間、回転椅子の背もたれが、パソコンディスクに当たって、置いていたコーヒーカップが倒れた。それもキーボードの上にたっぷりと。わっ!驚いて、慌てて、キーボードを逆さにして、水、いや、コーヒーを流し落とす。パソコンを終了して、ドライアーで乾かす。わわわわわわわわわ……。次の日、ワードを開いて入力してみると異常がない。よかったよかった吉永小百合と、機嫌よく記事を書いてく。ところが、突然、どのキーを押しても入力出来なくなった。わっ...茶話156/わわわわわ
今週は日・火・木と雨が降って畑に入ることが出来なかった。今日(金)も雨模様で、もはや冬眠状態。我が相方に、「遠足(弁当を買ってドライブ)に行こうか」と言うと、返事もしないで着替えに行く。その間、前の遠足は何時だったかと……思い出そうとしても思い出せない。遠足から帰って日記を見たら6月14日以来。なるほど、掛かりつけ医が引退して、薬を飲まなくなった時と一致する。そのあたりから血圧が180まで上がっていて、運転がおっくうになっていたのだ。それが、四日前に半年ぶりに医者に行って、薬をもらって、血圧が下がって、気分がよくなって、遠足に行く気持ちになったのだと納得した。とりあえず、あてもなく、竹ノ内峠を東へ(奈良方面)。唐楓の並木が見事に紅葉している。二上山の頂上の紅葉も綺麗だ。ならば、吉野の方へ向かおう!途中のス...茶話155/秋の遠足
6月に、小学校の同窓生の掛かりつけ医が、もう歳だからと引退した。「すまんけど、他の医者を探してくれるか」と言われていたが、しばらく経っても異常がない。家で血圧を測っても、140前後の歳相応の数値。こりゃ、案外、薬を飲まなくても大丈夫なんだと自己判断。「薬から病を起こす」「薬は身の毒」なんてことわざが有馬温泉。半年近く医者通いせず。薬も飲まずに放ったらかしにしていた。ところがどっこい北の湖。10月頃から歯が痛い。肩をボキボキ、首をネジネジ、調子がへん。耳も詰まった感じがする。なんてーこったい肩こったい。こいつぁー駄目だと勘念して、半年ぶりに新しいクリニックへ。診察を待っているのは年寄りばっかし。まずは「血圧を測りますね」と優しく言われて腕まくり。シューシューと空気が入る。さて、どのくらい?と、思ったら、空気...茶話154/友
※⑤のつづきです。初めての方は茶話148から読んでください。旅の四日目は大阪に帰る日だ。私が「弁当を買って、明石の海を見ながら食べよう」と提案した。見事に晴れ渡った空を仰ぎ、さすがは「晴れの国」と称賛する一方で、やはり「はずの国」かと諦観しつつ備前の国を離れた。途中、私は「スーパーに寄ってくれ」と言った。「何、買うねん?」と不思議そうな友人に、「土産や!」と答える。旅行して、土産物屋で土産は買わない。その土地のスーパーで買うことにしている。京都に行けば、スーパーで八つ橋を買う。琵琶湖へ行けば、スーパーで小鮎の甘露煮を買う。その方が、土地の匂いが感じられる。スーパーに寄ってもらってから、「つるや」という弁当屋で弁当を買った。小食な私は、弁当を買う時は、中身や値段ではなく、量で選ぶ。たいていは一番小さいのを買...茶話153/老いの小文五の⑥
※④のつづきです。初めての方は茶話148から読んでください。旅の三日目も備前晴で、午前中は昨日刈り残した草を刈た。11時頃に早々に切り上げて、少し早い昼食のカップうどんをすする。昨日の夜、酒を飲んでいて、「いつもの湯郷の温泉は飽きたから、違う温泉に行こう」。「それなら、奥津温泉に行こう。奥津渓も紅葉しているかもしれない」。「紅葉しているはずだ」という断定ではなく、「紅葉しているかもしれない」の推量表現に何んだか安心した。岡山三大河川の一つである吉井川に沿って津山へ。津山から、また吉井川にそって北に上る。吉井川の源流が奥津渓なのだ。光沢のある真っ黒な瓦の家が続く。日本三大瓦の一つである島根の石州瓦(赤色)の黒色バージョンで、屋根に積もった雪を早く溶かすために黒い釉薬を塗っているのだという。黒光る石州瓦に柿紅...茶話152/老いの小文五の⑤
※③のつづきです。初めての方は茶話148から読んでください。見事な雲海を見損ねて海の底に帰り、30分もすると霧が晴れて陽の光が差してきた。旅の一番の目的は、友人の畑の草抜きである。さっそく小鎌を手に畑に出る。そして、見事としか言いようのない草原を見る。それもエノコロ(草)、露草、赤まんまの背の高い草が、クローバー、チドメグサの横に広がる草を覆っている。去年に来たときはこんなんではなかったのに、今年は、普通の畑ではまず見ることのない厄介者の巣窟ではないか。そうか……、去年は夏に来て草抜きをしたのだ。しかし、今年は猛暑に堪えかねて来なかったので、厄介者がはびこったのだ。草刈り機を使ったら歯に巻き付いて難儀するに違いない。ならばというので、友人に「のこぎり鎌はないか」と言うと、すぐに持って来てくれた。これで勇気...茶話151/老いの小文五の④
※②のつづきです。初めての方は茶話148から読んでください。もみじ寺から怖ろしく狭い山道を通る。谷底に落ちれば、行方不明のまま朽ち果てるだろうという道であった。ようやく見知った道に出てほっと息をつく。見知ったスーパーに入って、家飲み用のアテを買う。明るいうちに友人宅に着く。無事にたどり着けたというので、まずはビールで乾杯。そしてそのままオジン二人の質素な酒盛りとなる。朝は何時もの防災無線の音楽で目が覚める。友人が来て、雲海を見に行こうと言う。そういえば、夕んべの酒宴の中で、見事な雲海の写真を見せてくれたのを思い出した。外に出てみると、山々は霧に覆われている。こんな日は、見事な雲海になるのだ、というので、是里(これさと)とい展望台に向かう。深い霧の中を車は走る。この霧を抜けると青空が広がり、人生観を変えるほ...茶話150/老いの小文五の③
※①のつづきです。姫路を過ぎてバイパスを下り、出雲街道を北へ向かい龍野に着く。日本で最も愛唱されている童謡「赤とんぼ」の作詩者三木露風の生誕地である。夕焼小焼のあかとんぼ、負はれて見たのは、いつの日か山の畑の桑の実を、小籠につんだは、まぼろしか十五で、姐やは嫁にゆき、お里のたよりもたえはてた夕やけ小やけの赤とんぼ、とまつてゐるよ、竿の先露風が歳の時に両親が離婚をし、露風は祖父の家に引き取られる。そこで出会ったのが、お手伝いとして雇われていた子守娘の「姐や」である。姐やは母親のいない露風を、このうえなくかわいがってくれたという。龍野の市街を抜けると田園が広がっている。車窓から古ぼけた民家を見つけるたびに、夕焼け小焼けのノスタルジアにひたっていた。龍野をぬけて美作の国に入る。友人宅に向かう途中にもみじ寺と呼ば...茶話149/老いの小文五の➁
備前の国に家を買って、週に四日間ほど大阪から通っている友人の誘いで、霜月の六日、友人の車に便乗して大阪を立った。本来は一日に発する予定だったが、早期大雨注意報が出ていたので取り止めて延期した。「晴れの国」をキャッチフレーズにしている備前の国なのだが、とにかく私が行くと雨が降る。時には晴天続きの日に訪問したいという私の願いで、四日間、晴予報がでているこの日の出立となった。予報通りの雲一つない晴天となり、大阪、神戸、姫路の高速をひた走る。途中、昼食代わりに明石のサービスで助六寿司を買った。歌舞伎十八番『助六由縁江戸桜(すけろくゆえんのえどざくら)』に由来する寿司である。江戸の侠客であった花川戸の助六(実は曽我五郎)が、源氏の宝刀を取り戻さんと吉原に足しげく通い、刀を取り戻す騒動を描いた歌舞伎である。劇中、助六...茶話148/老いの小文五の①
若いときは睡眠時間四、五時間という時もあったが、今は8時間眠ることにしている。研究によると、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)の山が五回あるのが良いらしい。一つの山が1.5時間として「1.5×5回」で7時間30分がベストだという。もちろん、個人差があって、8時間の人もいれば、7時間眠ればよいという人もいる。どっちにしても、人生のほぼ3分の1(1/3)は眠っていることになる。一日の1/3眠って、1/3働いて、1/3は私的な時間をもつというのが理にかなっている。何かの会合で10㎞ほど離れた会場へ車で行く。会合が終わってからの帰り、道に迷う。銀行のビルがある交差点に差し掛かる。どっちへ行こう……と右折する。二車線の広い道路を数キロ走ると、一車線の道路になり、閑静な住宅街に入る。碁盤の目のように区切ら...茶話147/眠り
畑からの帰り道、堤防の土手に、赤い花が咲いていた。アライグマと格闘しているうちに、気づかずにいた。そういえば、お彼岸に咲くからヒガンバナなのに、今年は、お彼岸に咲いていなかったなあ……。ヒガンバナの開花温度は20~25度とされている。特に、最低気温が20度前後まで下がってくると、地中の球根から花茎が一気に伸びて花を咲かせる。だのに、10月になって咲くとは……。こんなの始めて!まだ暑いのだ。江戸時代初期、南蛮貿易で沸き立ってい長崎の貿易商の娘が、ポルトガル船の航海士であったイタリア男性と恋に落ちた。やがて、二人の間に姉・お万、妹・お春が生まれる。しかし、寛永16年(1639)に第五次鎖国令が発布され、今後、日本人との混血を禁止するため、長崎に在住していた紅毛人とその家族は日本を追放された。家族はバラバラにさ...茶話146/曼殊沙華
夏場は、日が暮れても暑くて畑仕事にならなかったが、今は日暮れ前にはなんとか動けるようになった。夕方の4時30分頃に家を出て畑へ。まずは、朝に農小屋の西側に置いていた椅子を、反対の東側の日陰へ移動させる。しばらくは、西陽から日陰になっている辺りの草抜き。5時前になると、東の太子町(南河内郡)から防災無線が流れる。「もうすぐ5時です。子どもはお家へ帰りましょう」ちょうど5時になると、西側の山のお寺の鐘が鳴るのではなく、『夕焼け小焼け』のオルゴールが流れて来る。夕焼け小焼けで日が暮れて山のお寺の鐘がなるおててつないでみな帰ろうからすといっしょに帰りましょ(詞:中村雨紅・曲:草川信)陽が西に傾きだす、ここらあたりから働き時。多少しんどい作業も、汗をかかずにできる。一時間ほどして、のんびりタイム。椅子に座って、東の...茶話145/黄昏
「茶話」は「サワ」と音読みするが、ここでは「ちゃばなし」と訓読みしていただきたい。もともとは、雑談・雑感のコーナーとして書き出した。最初は、『ちょっといっぷく№』としていたので、何が書いてあるのかわからない。なので、36回から『ちょっといっぷく№タイトル』に替えた。しかし、長すぎて、スマホで読むと二行になってしまうことがあった。そこで、現在の『茶話№/タイトル』になった。最近、過去記事を読んでいただけるようになった。時たま、「ちょっといっぷく18』などという、えらく古いのが読まれたりする。それはそれで嬉しいのだが、当の本人は、何を書いたのか覚えていない。「記事一覧」から検索をかけて、2022年3月26日の記事で、ああ、あれかと、やっと分かった。プーチンのウクライナ侵攻が始まった頃で、憲法の話の後に、次の話...茶話179/ちゃばなし