若いころ、祭で俄をすることになったとき、村のお年寄りに、「しっかり遊んどいで」と言われた。俄は演劇の一種だが、「演じる」のではなく、「遊ぶ」なのだ。子どもたちが、輪にしたヒモの中に入り、電車にみたてて「出発!ガッタンゴットン・・○○駅です」とやる電車ごっこ。お母さんやお父さんになったつもりで「行ってらっしゃい」「ただいま」「ご飯が出来たよ」とやるままごとなどの「ごっこ遊び」と「にわか」は同じなのだ。子どもは、たんに、「何かにみたてる」「何かになったつもり」「何かをしたつもり」を繰り返し楽しんでいるだけで、演じるという気持はない。それでも、子どもが楽しく遊んでいるのを見ると、見ている大人も楽しくなる。俄は自分だけでなく、見ている人も楽しくさせる遊びなのだ。俄の命は〈遊戯性〉にある。宴会のかくし芸用に一人俄を...俄37/俄ごっこ