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先週作ったピアノ曲をホームページで公開しました。クリックするとリンクに飛びます。↓ ピアノ曲「月逃げウサギ」公開開始! - 独学ピアノブログ「ゼーレンフォルノ…
先日いつもの検査に行きました。ざっくり言うと今回は、ちょっと気になることがあって詳しく調べたんです。すると、がん治療の放射線が影響してか、他の臓器にも問題あることがわかりました。それで結局、来年手術することにしました。たぶんがんじゃないだろうということで、それほど心配はしていません。でもやっぱり手術となると憂鬱で、どうしてもヘコんでしまいます。考えてもしょうがないのはわかってるんですけどね。...
老人は続けて話した。「家には誰もいないようだったね、鍵がかかっていた。家に電話を入れたら、繋がってお母さんと連絡が取れたよ。どうする、家で待つかな、それとも君の家に帰るかい?ああ、その前に、体は大丈夫?」家の電話は一定のコールまでかけ続けると、母の端末に転送される。自宅の電話が転送されるイコール緊急事態なのだ、僕は瞬時に忙しい母が電話に出た理由例を挙げた。多少後頭部に痛みと熱を感じたが、僕は黙って首を縦に振って無事をアピールした。その証拠にカップを一気飲み干してみせた。年配者への気遣い。左に回した首が重たい、読書が原因だろう。 きしむ階段を下りて玄関を出た。向いの老人に一礼、ドアの遮蔽音を耳で…
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皆さま如何おすごしでしょーか ねこ科たぬきはasmr聞きながら寝落ちすることが多くなったせいかイヤホンが壊れました くそぉーヘッドホンで寝るのは寝返りできないので嫌です… 今回の記事は ねこ科たぬきが深夜のテンションで描いた4コマ でございます! nekokatanuki.hatenablog.com nekokatanuki.hatenablog.com いろんな心 ↑ ↑ お時間のある方はこちらの記事もご覧下さい♪
ドン、次の瞬間に衝突音が聞こえた。 首を伸ばして、前の通りを眺めようとしたら、鈍痛。意識が遠のき、視界が雪みたいな白にすりかわった。 暖かい空気が纏いつく、過剰な室温の高さ。 僕は起き上がる。髪が遅れて背中に当たった。外ではない、室内だ。白壁と枠を縁取る黒が印象的な部屋で僕は意識を回復したようだ。シーリングライトが天井の低さを感じさせないし、置かれた家具もすべて低く、体重を預けるベッドもモダンなリゾートホテルのような雰囲気である。 レースのカーテンの片方から外が見える、僕は立ち上がり、眺めた。すると、自宅がまっすぐ目の前に見えている。そして、意識を失う前の音の正体も同時に確認できた。坂を下る車…
「私はあなたの死角を求める者です。家の裏手に移り住むあなたが、もし環境や家を提供した組織に嫌気を感じたのならば、私どもを頼っていただければ、共に有益な時間を今後は送れることでしょう。常日頃より、あなたを見張っています。探してもおそらくは見つかりません。無益なことに心血を注がないあなたはそういった暴挙には出ないでしょう、私どもも時間を有効に使いたいのです。ですから、より良い環境を求めるのであれば、是非こちらに合図をお送りください、すぐに駆けつけ望みの環境をご提供差し上げます。もちろん、あなたのデータとの交換条件ではありますが、その辺はご理解をいただけているものと解釈しています」カードに書かれた、…
【短編】ねこ科たぬきの聞いた怖い話〜つかれてる娘〜【ホラー】
皆さま如何お過ごしでしょーか ねこ科たぬきはやることが多くなって忙しいです。 少しブログの更新が少なくなるかもしれませんが変わらず見てくださると嬉しいです♪ 今回の記事は 【ねこ科たぬきの聞いた怖い話〜つかれてる娘〜】 でございます。 nekokatanuki.hatenablog.com nekokatanuki.hatenablog.com ↑ ↑ お時間のある方はこちらの記事もご覧下さい♪
「ご自由に」老人はドアに消えた。 老人の行動を詮索してもしょうがない、僕は意識をリビングのテーブルに強制的に代えた。ダンボールが二つ、置かれている。近づいて開封した。家電量販店にてPCを購入していた僕は、学校の帰りにターミナル駅で一度改札を出て、駅構内の目立たない、コインロッカーが並ぶ、人目につかないベンチでネットにアクセス、商品を注文していたのである。 ダンボールのガムテープを剥がすと見えたのは、すべて本である。家庭では読める本が決められており、自由な知識の取得は規制されている。道をはずさない知識だけではまっとうな判断の材料に事欠き、制限が開放された時の反動を予測すると、両親の教育はあまり好…
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【大淫婦バビロン(マザーハーロット)】黙示録最後の悪魔【ヴィランレビュー第6回】
聖書の最後に出てくる悪魔をご存知でしょうか? いわゆる物語上のラスボスです。 『旧約聖書』『新約聖書』と2冊で構成されるキリスト教。その最後に書かれているのが「ヨハネの黙示録」、滅びの預言です。 西暦80から90年ごろ、12使徒のひとり、ヨ
その日は円満な家庭が維持されて、翌日。父は週末でも仕事。ならば平日に休みが取れているかといえば、そうではなく、忙しいためかもしくは父が積極的に休日返上で仕事をしているらしいのだ、晩酌後の母が前に漏らしていた。 家を空けて、父が通常の八時に家を出る。僕も休みだからといって正午まで眠れる体質ではなく、宿題の最後の問いを残し、ページを広げて、死角のデータをさらっていた。昨日の行動を三倍速で流す。すると、改札口や出入り口にある共通性を見出せてしまえた。母親が出かけるらしく、一階から呼ばれる。 「緊急の呼び出し、仕事の打ち合わせなの」外出禁止に念を押して母は出かけた。家には外部から室内の私の居場所を観察…
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母の仕事は自宅が仕事場に活用されるため、自宅待機が長期間続いた。ただ、裏の様子は自室の窓からも確認できたし、近所や近くの公園でなら外で遊ぶ許可も下りていたので、外出を装って裏の家の外観を眺めた。 以前は、空き地であった場所にいつの間にかログハウス風の建物が建ったのか、正確な時期はわからない。ロッジというよりかは、別荘の思わせる風貌である。しかし、銀色の支柱にかかるチェーンが開放された場面は見たためしがない、僕が訪れる時間が悪いのか。 僕に接触した人物の所有物とは思えない。おそらくは買い上げたのだろう。 外出から帰った私はひどく叱られた。どうやら照度と帰宅時間は反比例と母は受け止めているようで、…
皆様如何お過ごしでしょーか ねこ科たぬきは運動の為にお散歩しながらパン屋にいって明太子フランスを食べました 最高でございましたねー 今回の記事は 【イラスト紹介】 でごさいます! nekokatanuki.hatenablog.com nekokatanuki.hatenablog.com ↑ ↑ お時間のある方はこちらも是非ご覧下さい♪ クロネコと見せかけて 出口が無い
「商品や情報は家には持ち込めません」 「ご自宅の裏庭に建つログハウスをご存知でしょう、そちらをご提供します。老人を一人、体裁のために住まわせ、表向きは別荘を訪れる住人という印象を近所に振りまきます。出入りは、物置の裏、芝生に地下へ通じる通路を作りましたので、そこを通ってお入りください」僕の視線を捉えてくれて、信号待ちの監視は場所を移動した。 「わかりました」 「最後に」男性はつけ加える。「具体的なデータの提出期日を教えていただくことは可能でしょうか?」 「それは行過ぎた制限です。手綱は緩めて持つのがポイント、あなたの引きは強すぎる」 「申し訳ありません。ただですね……」僕は受話器を置いた。背後…
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「いいえ、怖いから話を合わせていただけ」女性はぐるりと目を回した。電車の駆動に、笛の音、車両がホームを去る。風が吹き抜けた。 「ポケットの物を出してくれないかな?」素直にカードを差し出した。未練はない。「ありがとう」 彼女が立ち去るのを見送り、鞄のずれを跳ねて直してから階段を下りた。地下鉄に乗り換え、二駅目で路線を変える。そこから二つ揺られた駅が自宅からの最寄り駅である。バスが集結するターミナル駅だ。駅に着くと電話をする決まりなので僕は公衆電話に近づき、背伸び、手をのばして受話器を掴み、水色の小銭入れから取り出した十円を投入する。 「もしもし、駅に着いたよ、これから帰るから」 「遅かったわね、…
皆さま如何がお過ごしでしょーか 皆さんに衝撃なお知らせです。 アイスのMouはラクトアイスではなくてアイスクリームと分類されるとのことです!! うおー! 今回の記事は 【ねこ科たぬきの部屋番号018 百甘夜行】 でございます! nekokatanuki.hatenablog.com nekokatanuki.hatenablog.com ↑ ↑ お時間のある方は是非こちらの記事もご覧下さい♪ 百甘夜行
皆さま如何がお過ごしでしょーか ねこ科たぬきは家の近くにパン屋さんできてめちゃくちゃにテンションがあがっております! 早く行かねば!! 今回の記事は 【催促】 でございます! nekokatanuki.hatenablog.com ↑ ↑ お時間ある方はこちらの記事もご覧下さい♪ 猫漫画 催促
突然ですが11月19、20日に開催されるNEOKET3(Week3)に参加します! スペースは【E04】です! ↓おしながきはこちら↓
「具体的な普及はそちらにお任せします、そういった方面に興味はありませんので」 「製品化は来年初旬を予定しております。それには……」 僕はさえぎる。「わかっています、出資者を納得させる詳細なデータが必要なのですね」 「はい。私どもとしましては、価格の三パーセントの契約を望みます」 「五パーセント」 「ご冗談を」男性が声を出さず、顔に皺を作って笑った。 「私はすべて真実を話しています」つり革から芝居がかった様子で乗客が倒れこむよう優先席の赤いシートに収まる。「これは失礼をしました。はい、肝に銘じておきます。それとですね、必要に際して自由にご使用いただく銀行口座も作っておきましたので、気兼ねなくご利…
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「また、お話をさせてください。詳細は後ほどお知らせします」 「方法は?」 「家や学校以外の場所で、お渡しします」男は女子高生、僕と別れを惜しむ彼女を引っ張り、黒のセダンで走り去った。ロータリーに学校の職員が降り立つ、教室で会った教師だ。目標はやはり僕のようで、一直線に不法駐車の車を乗り捨て、近づく。 「まだ駅にいたの?話していた男の人は誰ですか?」高圧的な問い掛け。これは叱りではなく、単なる怒りだ。 「友達のお姉さん。男の人はそのお父さんです」 「名前は?」 「サトウさん」 「どこのサトウさん?何組?」 「うちの学校じゃありません」 「じゃあどこの学校?」 「家の近くです」まったくもって不毛な…
二駅を過ぎて、席が空いた。車両は混雑時に内部まで人の収納を可能とする長椅子だけではなく、二席が両サイドに配された作りの車両であった。僕は空いた席に腰を下す、背中の鞄を胸に抱えた。隣の男性、白髪のスーツを着た人物は、かしげた首を車両の揺れとタイミングを合わせるよう上下に動かしていた。完全な居眠りである。通路を挟んで右隣の人物が、次の駅を出た地点で馴れ馴れしく僕を呼んだ。まるで、ばったり友人に会ったかのように。 「あれっ、いま学校の帰りかい?おじさんもちょうどお母さんのところに顔を出しにいくところだったんだった。偶然ってあるもんだね。それよりも大きくなったんじゃないかい。うんうん、少し見ない間に子…
皆さま如何がお過ごしでしょーか ねこ科たぬきはまたまた図書館から借りた本を読んでいたらもう夜でした! いや、最近時の流れ速すぎん…!? 今回の記事は 【ストレス社会の生き方⑧】 でございます! nekokatanuki.hatenablog.com nekokatanuki.hatenablog.com ↑ ↑ お時間のある方は是非こちらの記事もご覧下さい♪ ストレス社会の生き方
【怖い話】ねこ科たぬきの語る沖縄の怖い話〜開通しないトンネル〜【ホラー】
皆さま如何お過ごしでしょーか ねこ科たぬきはイラスト描いて描きまくっております。 そして食べまくる!!ヤバイ!! 今回の記事は 【ねこ科たぬきの語る沖縄の怖い話〜開通しないトンネル〜】 でございます! nekokatanuki.hatenablog.com nekokatanuki.hatenablog.com ↑ ↑ お時間のある方は是非こちらの記事もご覧下さい♪ 開通しないトンネル
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【イラスト】見たくない悪夢と頭から離れないベンガルガール【創作】
皆さま如何お過ごしでしょーか ねこ科たぬきはYouTubeでミートソーススパゲティの作り方を見たので休みの度に試そうと思っているのですが、休みの度に違うものを食べております いつになったら作れるんでしょうか… 今回の記事は 【見たくない悪夢と頭から離れないベンガルガール】 のイラスト紹介でございます! nekokatanuki.hatenablog.com nekokatanuki.hatenablog.com ↑ ↑ お時間のある方は是非こちらの記事もご覧下さい♪ 見たくない悪夢 頭から離れないベンガルガール
「どちらで僕を知ったのでしょうか?」 「視野を失くされた時です」 「病院にあなたがいたのですか?」 「病院の関係者があなたに関与した、と申しておりました」 「その方は見返りを頂いたのですね?」 「はい。密告ですから、金銭が目当てだと想像がつきます」 「いいえ、あなたがたが依頼した、という可能性をお忘れなく。視野を失った僕を見て、有益な情報に結びつけるのは非常に難しい、あなたの苦しい事実のすり替え。嘘をつかれるのならば、早々に立ち去って。いいえ僕が駅に入りましょうか?」 「申し訳ありません。はい、これからは事実だけをお伝えします」 「言葉は軽いですね。それで?データをあなた方の事業に転用するのが…
皆さま如何お過ごしでしょーか ねこ科たぬきは仕事終わりにマックフルーリーを食べたいという欲望に打ち克ち家に帰ったのですが、嫁さんが買ってあったアイスを食べました 幸せです 今回の記事は 【イラスト コーヒーで頭がいっぱい】 でございます nekokatanuki.hatenablog.com nekokatanuki.hatenablog.com ↑ ↑ 是非こちらの記事も読んでみてください♪ コーヒーで頭がいっぱい
「まだ、学校を出ていなかったの?」教師のとげとげしい声である。僕は首を縦に振る。これから教室を出るとは言わずにいた、こういった場合は素直に従うことがその場をやり過ごす、僕を殺すことで円滑に状況が流れる。 教師の左手に生徒の辞書が見えた。後ろ手に隠したのは、今さっきに鞄に入れた黄緑色と同じ物だ。忘れ物の回収だろうか、机に入れっぱなしの辞書を忘れ物とは言わない。不信感。そういえば、辞書の紛失を誰かが騒いでいたっけ、それと関係がありそう予感が胸を通り過ぎた。 構えなかった分、素直な受け答えの僕を見限って、教師は踵を返した。ふっと息を吐き、廊下に向かったら、今度は小太りのクラスメイトがガチャガチャ、鞄…
暖かく感じたことのない南風に曝され結んだ髪が解けそうなぐらいに空を回遊、途切れた左の視界を補う右目をかろうじて薄く開ける。タイミングが悪い、砂埃が目を開けた途端に襲われた。コンタクトを装着していたなら、多分、今頃うずくまって涙を流している姿は想像に容易い。 左の視界が欠けていたが、かすかに右目が見えていたら、十分まっとうな生活は送れる。ただ、会う人には説明が必要なので、初対面の場合は挨拶の後に名前と眼帯の説明をセットで行う。慣れてしまえば、不自由さを人間関係で見出さずに意思の疎通が図れる。もちろん、陰口や憶測は僕の耳に入る。最近は、誰がどんな噂を立てるのかを僕が予想を立てるのだった。僕に対し、…
みなさま如何お過ごしでしょーか ねこ科たぬきはフライドチキンを久々に食べたら次の日朝から胃もたれしていました 学生の頃は屁でもなかったのに…! 今回の記事は 【四コマ漫画 ちがった】 でございます! nekokatanuki.hatenablog.com nekokatanuki.hatenablog.com nekokatanuki.hatenablog.com ↑ ↑ お時間のある方はこちらの記事も是非読んでください♪
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病院の入院着、水色の袖が目に飛び込む。これだっていつ着たのか、着させられたのかさえ皆目見当がつかない。目の前にはクローゼット、手をかける、引きあけた。違う、私の服じゃない。私は紺色のニットなんて持っていないし、プレゼントで貰ったとしても多分病院へは着てこないはずなの、……家では着られるけれど。混濁。頭を掻く。ん?指に腹に抜ける髪が短い……。振り返って、ベッド脇のドレッサーを開く。扉の内側の鏡を凝視した。沈黙。鼓動が急停止から加速。眉で切りそろえた前髪、耳に見かかるサイドの髪。明らかに私の記憶とは隔たりがある。叫んでいたらしい、看護師が駆けつけた、私を抱きかかえる、取り乱しているのが自分でも理解…
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皆さま如何お過ごしでしょーか 記事数が多くなったので、短編をまとめております。 暇つぶしにでも是非読んで頂けると嬉しいです♪ 漫画のまとめはこちら! ↓ ↓ nekokatanuki.hatenablog.com nekokatanuki.hatenablog.com ショートアニメのまとめはこちら! ↓ ↓ nekokatanuki.hatenablog.com 短編集のまとめはこちら! ↓ ↓
「手を尽くしてくれて、ありがとう。この国で視界を取り戻せるとは思っても見なかったの。皆さんのおかげです」言葉は違えども、感謝という概念をイメージして伝えてみたら、涙を流したり、さらにもっと深い皺を刻んだり、あるいは背を向ける、と抽象的な情意はどうやらあくびみたいに共有されるらしい。僕はいつから相手を気遣える大層な人間になったのか、シャツのタグが皮膚を刺激しているみたいだった。 数時間後に再度、経過観察を行うので、医者たちは部屋を一旦出ていった。両親も僕から仕事に戻っても言いと許可を与えた。そうしたくて、うずいた精神の興奮と苛立ちが手に取れて、彼らに仕事を優先させた。僕がこの世界に登場したのはな…
高所の建物。引かれたカーテンは一様に白、高い雲と酷似。白い雪とは違って見えた。通された部屋は一階の部屋。右側の視界の解放に合わせてか、用意された個室のベッドに仰向けなり、僕は薬によって意識を失った。これは自然な眠りかそれとも、局所的な身体異常を改善するための休息として作用するのだろうか、僕は眠りを落ちる数秒であれこれ連想。そうしたら目が覚めた。両親は仕事を休んだらしく、二人揃ってベッドの傍らに座る。ぼやけた視界、かろうじて声と輪郭と服の色や状況から両親を見分ける。白衣の人物が三人、看護師も一人を視認。ゆっくりと起き上がった。看護師が背中を支えて、枕を腰に立てた。普段ならば施さない、仕事だからだ…