メインカテゴリーを選択しなおす
中村光夫は、1988年77才で亡くなった文芸評論家であり、小説家である。小僧の世代だと、彼が「です、ます」体で、評論を書いていたことを覚えている人も多いのではなかろうか。 実は中村は、東大でフランス文学を学び、1938年フランス政府に招かれ留学した、いわゆる「フランス政府給費留学生」であった。通常は、数年滞在するのだが、中村は渡仏した翌年の1939年に、滞仏1年あまりで帰国した。ヨーロッパをはじめとする世界に迫ってきた第二次世界大戦の足音の中で。 本のタイトル「戦争まで」は、こうした事情を反映している。1939年とはどんな年だったのか?小僧はこんな時、岩波書店の机上版「世界史年表」を参照するが…