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#花と野菜のブログ記事
  • 2023/10/27 11:32

    畑110 / 男心

    野菜の価格が高騰している。猛暑による成長不足に加えて、ガソリンや肥糧の値上がり。道の駅に野菜を出すときも、去年より20円ほど高くしようかと思うが、お客さんは安いのを目当てに来られているので易々とは上げられない。それに、売れ残れば野菜が可愛そうと、止む無く値段は据え置き。どの商売も同じだろうが、天候に左右される農家はつらいよ。とはいえ、畑で作っている自産自消のための野菜はたくさんある。そこで、秋祭りの心休めに、昨日はスキヤキ!水菜に春菊、白菜代りのしろ菜と葱。そこに味出しの牛肉を少しだけ入れ、豆腐と蒟蒻を加えて一人前50円!これが昔からの我が家の豪華な野菜のスキヤキ。農林省によると、一ヶ月に購入する野菜は三人家族で9000円とか。ということは、一年間に10万円ほどは自給自足の足しになっている。今日の朝は、家...畑110/男心

  • 2023/10/25 13:24

    畑109 / どっちやねん

    「畑92/一本一円」で書いた極早生玉ネギが、種を蒔いてから今日でちょうど50日目。写真の左隣は十日遅れで蒔いた早生、そして、二十日遅れの中生(なかて)。育苗50日たった極早生はそろそろ植え時。そこで、まずは畝立て。穴あきマルチを張って完成。しかし、すぐには植えない。水やりがじゃまくさい。雨が降る直前に植える。できればすぐに植えたいが、天気予報は、今日は晴時々曇りで、夜から寒気が流入して不安定、明日は曇り一時雨。どうも微妙な雲行きだ。植えるべきか、植えないべきか?Tobe,ornottobe,thatisthequestion.天気予報など、下駄を投げるのと同様にどうせ当たるまい。ドカリと椅子に座って、ここが思案の思案橋ブルース。♪哭いているよな長崎の街/雨にうたれて流れた二つの心は♪すると、長靴に履き替え...畑109/どっちやねん

  • 2023/10/23 08:44

    畑108 / 秋祭り

    秋祭りだ。祭りには空豆を植えるのが、わが村の掟のようになっている。紋日(もんび=儀式がある日)に畑で働いていると、村の皆から白い目で見られた昔は、家でこっそりと出来る空豆の種蒔きが、ちょうどよい仕事だったのだ。昔はトロ箱(木製の魚を入れる箱)に川でとってきた砂を入れて植えた。お歯黒と呼ばれる黒い部分を下にして、頭が砂から少し出るように種を差す。水をかけて四、五日すると、種のお尻がむずむずして、お歯黒から根が伸び、種が二つに割れて本葉が顔を出す。マメ科によくある発芽の仕方で種自体が双葉になる。だから、種をすっぽりと地中に埋めると双葉は無く、いきなり本葉が出たように見える[地下子葉性]。今はプラスチックの育苗箱やビニールポットに種を植える。春に自家採種したのを植えるので種代はいらない。安上りなので以前は大量に...畑108/秋祭り

  • 2023/10/20 16:58

    畑106 / 仕置き

    去年もやった「気まぐれ栽培」。10mほどの畝に穴あきのマルチを張り、一ヶ月で成長する十種類ほどの菜っ葉を植える。これといって規則があるわけではない。無造作に大雑把に気まぐれに植える。我が家で食べる分だけだから、一品種はそんなにたくさん必要ない。小松菜なら一度に五株もあればよい。毎日、小松菜を食べるのも飽きてしまうから、次の日は水菜を二株サラダとかにする。本当は、野菜が雑草のように生い茂っている情景が見たいがために始めたが、成長の早いもの順に食べていくから、そんな景色はとんと見たことはない。一畝で様々な野菜を食べることが出来るという利点がある。しかも、一畝だから、100均のスプレーで農薬を一回散布するだけで済む。しかし、その農薬が効かない奴がいる。バッタ、特にオンブバッタ。オンブバッタにとって、様々な野菜が...畑106/仕置き

  • 2023/10/20 16:58

    畑107 / なんやねん

    「おい!その菜っ葉は何んという菜っ葉や?」「きくな」「訊くないうても、訊かんとわからんやないかい!」「そやから、きくなと言うてるやろ!」「忙しいんかも知らんけど、教えてくれてもエエやないかい!」「そやから、きくなという名前の菜っ葉や言うてるやないかい!」関東では春菊(シュンギク)だが、関西では菊菜と呼ばれている。だから、春菊=菊菜なのだが、関東の春菊は背の高い株立ち型で、関西の菊菜は株張り型で横に広がらす。炊くと少し苦味が出る大人の味だが、鍋のアクセントには欠かせない。生産量日本一が大阪府なのもうなづける。種の袋に「株張り」と明記されていなければ、関東の株立ち型の春菊だ。放っておくとどんどん上に伸びるので、高さが20㎝ほどになったら、下の葉を五、六枚残して先を摘んでやる。則枝が伸びたらそれを摘む。一株で四...畑107/なんやねん

  • 2023/10/18 08:30

    畑105 / fruitful life

    落花生を道の駅に出荷している。半分ほど出したが、残りの株の出来が悪い。これはおかしいぞと、日誌を調べてみると、そうだ!五月の十日に蒔いたうちの半分は何か(たぶんイタチ?)にほじくられていたのだった。生き残った半分は五月の二十日頃に定植し、ほじくられた半分は蒔き直し、加えて新しい三品種を追加して蒔いて、五月の末に定植したのだった。ということは、十日ほど遅らせて収穫すべきだったのだ!というわけで、十日ほど、畑でするべきことがなくなった。朝、「子ども見守り隊」の当番だったので横断歩道に立つ。そして、登校する子どもたちに「おはよう!」を何十回と言う。すると、「おはようございます!」と子どもたちが人数分返してくれる。さらに、中学生になったオービーたちも「おはようございます!」と返してくれる。少しシャイになった高校生...畑105/fruitfullife

  • 2023/10/15 08:25

    畑104 / たわわ

    まずは、前回の記事「103/蜜柑」の最後に抱いた疑問について調べた結果から。①なぜ蜜柑の歌が少ないか?リンゴが人里近い平地で栽培されるが、蜜柑は陽の良くあたる山の中腹で作られるため、人々にとって身近な存在ではなかった。②種がないのに、どのようにして苗木を増やしたのか?他の木を台木にして接ぎ木で増やした。③日本独自の蜜柑の品種なのに、なぜ「温州」という中国の地名を付けたのか?温州蜜柑と言い出したのは江戸時代からで、その頃は漢文読みの名の方が権威があった。さて、我が畑にも二本の蜜柑の樹がある。両方ともに温州蜜柑で、そのうちの一本が、五年目にしてたわわに実をつけた。ことわざに、「桃栗三年柿八年、梅は酸いとて十三年、柚は九年の花盛り、枇杷は九年でなりかねる」というのがある。なぜか、ことわざに蜜柑が入ってないのは、...畑104/たわわ

  • 2023/10/15 08:25

    103 / 蜜柑

    秋、畑で作業していても気持ちがいい。道の駅に落花生を出荷しだしてから十日、一日が短い。昼過ぎから収穫、水洗い、乾かしてから一つずつ選別する。しっかりとシワができた実はいいが、コガネムシがの幼虫がなめって黒くなった部分が出来たものや、中途半端なシワの寄り方のものは勘に頼るしかない。そこで、判断が微妙なものはオマケの増量にしている。わずかな儲けだが、秋は年に一度の金儲け。これが翌年の種代や肥料代になる。選別した良いのは袋詰めして冷蔵庫に入れて酸化を防ぐ。翌朝、シールや値札を貼って道の駅へ持って行く。これで落花生との一日が終わる。ところが、二日続きの雨で、しばらく収穫ができない。そこで久々の遠足(弁当を食べにドライブ)。ミカンでも買おうと、いつもの和歌山県橋本にある産直市場へ。旬の柑橘類が棚に並んでいる。蜜柑(...103/蜜柑

  • 2023/10/06 12:04

    畑102 / よーいドン

    運動会の季節だ。「位置について」「よーい」・・・ドン!子どもたちが元気に走る。十数年前から、日本陸上競技連盟では、スタートの号令が英語に変わっている。「位置について」=Onyourmark!。「用意!」=Set!・・・ドン。子どもたちが整列する。先生が号令をかける。「前へ倣え。きおつけ、休め」ところで、「きおつけ」は漢字でどない書くのんやろ?幕末、幕府はフランス式軍事訓練をとり入れ、薩長はイギリス式軍事訓練をとり入れた。仏英ともに「きおつけ」の号令は「attention」だった。本来は「standatattention」の略で〈直立不動〉あるいは〈注目して立て〉なのだが、幕府・薩長ともに「attention」を〈危険な事に注意せよ〉の意味にとらえて「気をつけ(ろ)」と翻訳した。以後、「気をつけ」は軍隊だけ...畑102/よーいドン

  • 2023/10/06 12:03

    畑101 / 石

    畑の中央と北側に管理耕運機が通れる通路を設けている。その通路の二か所ずつに、プラスチックの植木鉢を置いている。野菜や花を植えるためではなく、石を入れるためだ。大和川の支流石川の河原を切り開いて造られた農地なので、石ころが多い。作業をしていて、石を見つけると通路に投げておく。通路を歩いている時、その石を拾って植木鉢に入れる。植木鉢なら雨水がたまらない。二か月に一回ほど、通路の草抜きを兼ねて拾い残した石を集め、植木鉢に入れて、農小屋の周りに捨てに行く。オカンの代から拾った石が、小屋をぎっしりと取り囲んでいる。「Wherethere'sawill,there'saway.」「意思あるところには道は開ける」16代アメリカ大統領リンカーンの言葉だ。しかし、我が畑では「石あるところに道は開ける」なのである。畑101/石

  • 2023/10/06 12:03

    畑100 / 青山

    「シニア」という言葉がどうも好きではない。昔ふうの「年寄り」「老人」の代わりにつかっているのだろうが、大阪弁の「死にや」に聞こえる。ある就職サイトの定義では、ヤング=29歳以下、ミドル=30歳から54歳、シニア=55歳以上とある。ヤング・ミドルからすれば、できるだけ、シニアにはなりたくない。WHO(世界保健機構)の定義によれば、シニアとは、65~74歳=前期高齢者、75~89歳=後期高齢者となっている。ならば、90歳以上はどう呼ぶのかというと、超高齢者というそうな。こういうふうに書くと、ヤングもミドルもシニアになって、そして、超高齢者になりたい。幾山河越えさり行かば寂しさのはてなむ国ぞ今日も旅ゆく/若山牧水いくつの山を越えて行けば「寂しさ」のなくなる国に至り着くのだろうか。それでも、今日も明日も旅を続ける...畑100/青山

  • 2023/10/02 11:19

    畑99 / なのだが

    気候がよく、外でも快適に過ごせる10月。朝は寒いくらいで、昼までみっちりと農作業ができる。それに、夏野菜に比べて秋野菜は害虫の発生が少ないし、植物への暑さ対策も必要なく育てやすい。なのだが・・・。まだまだ暑く、外では十分ともたない10月。朝でも暑く、九時ごろまでしか農作業ができない。おまけに、夏野菜につく害虫はまだまだ元気で、植物への暑さ対策をしないと育ちにくい。なのだが・・・。苗を定植しないと、ポットに根が回って老化してしまう。致し方なく植えた。防虫ネットで覆って、その上に遮光ネットを被せた。夕方に遮光ネットを外して、朝日を浴びさせる。邪魔くさい。なのだが・・・。暑さが続くのを予想して記事を書いていたのに10月になって、一雨あって、最高気温は30度をきり、急に涼しくなった。この記事、どうしよう?もったい...畑99/なのだが

  • 2023/10/01 08:00

    畑98 / 月見

    朝、畑へ行く途中、百姓仲間が里芋を洗っている。「えらい早いこと掘るねんなあ?」と言うと、「今日は月見やさかいに、自分とこ用や!」夏のような暑さ続きで忘れていた。旧暦の八月十五日、十五夜、仲秋の名月だった。名月を愛でながら管弦の遊びを楽しんだのは高貴なお方たち。専業農家だった我が生家では、里芋と薄アゲを炊いたのと、俵型のおにぎりを縁側に供え、我々子どもが河原でとってきたススキを飾るだけという、ひっそりとした祭り事だった。農家にとっては稲の豊作を願う大切な祭りだったが、子どもにとっては夕食に里芋、次の日の朝食にも里芋という、けっこううんざりな祭りだった。そんなことを思い出して、ならばと、我が畑の里芋の試し掘り。四月に親芋の逆さ植えをして、茎を四本伸ばしたうちの二本を収穫。ほんとうの収穫にはまだ一ヶ月早いので、...畑98/月見

  • 2023/09/22 09:25

    畑96 / すずめの涙

    百姓仲間も皆、猛暑で、いつ苗を植えようか悩んでいるようだ。ある仲間は、出荷用にセルトレイでサニーレタス500株を植えていたが、本葉が四、五枚になり、もはや限界。いつもはビニールでマルチングして植えるが、地温が上がって根が蒸れるし、しおれた葉がマルチにひっつくといけないので、しかたなく、露地に植えて敷き藁をしたという。雀の涙ほどの収入しかないのに、猛暑のせいで余計な手間がかかる。マルチときくと、「multi」を思い浮かべてしまうが、〈複数の~〉ではない。〈根を覆う〉の「mulch」、〈土面被覆〉の「mulching」である。昔は、乾燥を防ぐために藁やもみ殻、刈り草を株元に置いていた。今は、雑草の防除や保温も兼ねてビニールシートを使うようになった。我が家ではお隣の田んぼの持ち主から、ジャガ芋をマルチしたお古の...畑96/すずめの涙

  • 2023/09/20 17:10

    畑95 / 畦道トーク

    専業農家が多かった昔、おっさん連中が田んぼの畦道に集まって情報共有をしていた。野菜の栽培のことはもちろん、「〇〇の娘はん結婚するらしいで」とか、「今度の組合の旅行はどこがええやろ」とか、はては町内の重要問題も畦道で決定していた。しかし、徐々に耕作する家庭が減り、「畦道話」もなくなりチリジリバラバラになってしまった。そこで町内で耕作している者同士の情報共有の場として、ライングループをつくっている。「緊急時のSOS!」にも使えるし、「ヌートリアにやられた!」とか、「今年は玉ネギおかしいな」とか、「これ(写真)なんの足跡やろ?」などの身の周りのことや、お互いの利益や親睦が目的だ。「畦道話」ならぬ「畦道トーク」である。一人でする農業は、めんどくさい人間関係がないから気楽だ。その反面、農業は孤独な作業である。今日一...畑95/畦道トーク

  • 2023/09/17 12:27

    畑94 / 只管

    ニンニクを植える畝を立てようと、朝の6時に畑へ。ところが、耕運機のガソリンがきれている。ストックも無い。ガソリンスタンドが開くのは7時。その日の農作業をエクセルカレンダーに10字以内で書いている。今日は「ひたすら草抜き」。土が乾いている時は鍬(くわ)で削るが、湿りっ気の多いときは抜いた草に土がつくので、小鎌(こがま)を使う。地面に這いつくばるようにして、眼に入った草はすべて小鎌で打ち抜く。自分勝手に「無念無相の打ち」といっている。宮本武蔵の『五輪書』の中にある言葉である。「無念無想」は〈心に何も思わない〉で草に集中して抜いてやろうという意識がある。しかし、「無念無相」は〈心に何も思わず、一切の執着を離れる〉で、草を抜いてやろうと意識しなければ、手が勝手に動くのである。7時をまわると30℃近くになってくる。...畑94/只管

  • 2023/09/16 15:11

    畑93 / きまま

    昼過ぎまでは強烈な日差し。夕近くになるとゲリラ豪雨。ここ数日、そんな日が続いている。ニンニクを植える準備をしたいのだがままならない。もちろん、もともと、勝手気ままな日々を過ごしているのだからどうってことはない。だが、「今日は何をしますか?」の答えが、「思うがまま」の一択しかないのは、牢屋の中にいるようで窮屈だ。ひまつぶしに、バイクで100均へ。走っている間は風を受けて涼しいので、遠くの信号を見ながら、脚を地面に着かないように走る。「化粧品用スポイト」と「ペットボトルじょうろ」を買ってきた。「化粧品用スポイト」は注射器のような格好で、香水をビンに移すときに使うらしい。「ペットボトルじょうろ」はじょうろの先の「蓮の実」をペットボトルに付けるキャップ。セルトレイからビニールポットに移植した苗に液肥をやるためだ。...畑93/きまま

  • 2023/09/13 09:58

    畑91 / 急がば回れ

    セルトレイで苗を作るときは、次のような計算をしている。【アブラナ科】白菜やキャベツ①播種=1日②発芽=3日③双葉肥大=3日④本葉一枚目=5日※ポットに植替え[植え痛み+3日]⑤本葉二枚目=5日つまり、本葉が2枚になるまでに23日かかる計算である。写真は上から玉レタス・春菊・白菜・キャベツ。玉レタス以外は9月3日に植えたので八日目。③と④の間くらいで、本葉が少し出かかっている。ここで、本葉に生みつけられた虫の卵がふ化して、本葉の芯を食べられるとどうしようもなくなる。そこで、②から③の三回、農薬を軽く散布している。虫も小さいから、三回で一回分の量にしている。大きな声では言えないが、個人的意見として、市販の苗も農薬が使われているはずだ。無農薬にしたければ自分で苗を作るしかない。大量に栽培している農家は、幼苗時に...畑91/急がば回れ

  • 2023/09/13 09:58

    畑92 / 一本一円

    9月3日に植えた玉ネギの芽が出そろった。「たま一郎」という超極早生の品種。3月の下旬頃から収穫できるが、中旬から葉玉ネギとして採っている。超極早生玉ネギは貯蔵期間が短い。よく乾かしても一ヶ月ほどなので、基本的に食べる分だけを引いて帰る。乾燥させていない超極早生の生玉ネギは、一週間ほどしか日持ちしない。収穫してすぐが「新タマネギ」で、皮が薄く、実の水分が多くて柔らかい。だから、4月いっぱいは、毎日、新タマネギを味わう。今日は、早生玉ネギの種蒔き。「貝塚黄玉ネギ」という品種でスーパーにはあまり出回らない。扁平で円盤型なので選別機を通らないために大量生産できないからだ。ところが、味がよいので料亭でよく使われる高級品種。特にこの「貝塚黄」は早生ではあるが9月頃まで貯蔵がきく。苗箱に1㎝ごとに軽く溝を作って、1㎝お...畑92/一本一円

  • 2023/09/10 11:53

    畑90 / 苗半作

    種を蒔くと芽が出る。種の大きさからは、考えられないほど大きな芽が出る。逆に言えば、今見ているこの大きな双葉[子葉]は、あの小さな種が作り出したものなのだ。双葉が地上に顔を出した時点[出芽]で種の役目は終わる。ここからは自分の力で育っていかなければならない。双葉は、葉の気孔から二酸化炭素を吸収し、根から水を吸い上げる。これが、光のエネルギーによって養分のデンプンになり、ついでに酸素を放出する[光合成]。四、五日もすると双葉は倍ほどの大きさになり、根の数も増え、より多くの養分を作り出せるようになる。それを見はからって、一週間もすると双葉の間から本葉が展開していく。人間が双葉に最適な光と水を与えれば、三十日ほどで本葉が三、四枚になる。しかし、それほど簡単なことではない。双葉を虫に喰われようものならどうしようもな...畑90/苗半作

  • 2023/09/08 09:06

    畑89 / 一粒万倍日

    雑節の「二百二十日」ころから秋植えの種を蒔くつもりだったが、9月3日に種を蒔いた。宝くじ売り場の「本日は一粒万倍日!」という看板を見たからだ。一粒の種から万倍の収穫がありますようにという験をかついでのことだ。しかし、一粒万倍日だからといって、宝くじが当たらないのと同様に、野菜がよく育つとは限るまい。なのだが、〈いちりゅうまんばい〉という響きに、ついつられてしまう。新暦の9月を十二支にあてはめると、8日までは申(さる)の月になる。3日は子(ね)の日で申と相性がいい。だから、一粒万倍日で吉なのだとか。古来から信じられている東洋自然哲学に「五行説」なるものがある。「万物は木・火・土・金・水(五行)によって有為転変する」という説だ。図の右回りに相性がいい(相生)。木は燃えて火を生み、火は燃えて灰になって土を生み、...畑89/一粒万倍日

  • 2023/09/04 10:03

    畑88 / 宝

    「宝」という漢字の旧字体は「寶」と書く。・「宀」=屋根におおわれた家。・「珤」=缶ないしは壺のこと。・「貝」=古代中国の貨幣(財産)。つまり、お金を壺に入れて、家の中に大切にしまっておくのが「寶」。ならば、「たから」という日本語の語源はなにか?ネットで検索すると、どこもかしこも、国語辞典『大言海』の「田カラ出ヅル意ニテ穀ヲ本ニ云ヘル語」を引用している。古来より財の象徴となる米は、「田から」収穫するので「タカラ」だという。辞書に書いてあるのだから、ほうほう、なるほどと、つい信じてしまうのが日本人の良くないところだ。戦前の昭和七年に刊行された辞書を、そのまんま信用するのはいかがなものか。田んぼで米を作るのは誰なのか!お百姓が自らの手で汗水流して作るのではないか!資本家階級の視点からではなく、労働者階級の視点か...畑88/宝

  • 2023/09/01 08:50

    畑87――ネタの種

    種苗法なるものが改正されて、2022年4月から「登録品種を自家増殖する場合、育成者権を持つ人の許諾が必要」となった。自家増殖とは、栽培している野菜から種や苗を採種することだ(=自家採種)。つまりは、登録品種(特許申請した品種)の自家採種禁止の法律だ。我が家でも四年前に、人気のサツマイモ「べにはるか」を市場で買って来て、芽を出させて育てて道の駅に出荷したが、今はできないことになっている。ただし、自分の家で食べる限りは問題ない。したがって、家庭菜園レベルなら、種苗法にふれることはまずない。いうわけで、今は夏野菜の自家採種の時期。予定しているのは、シシトウ・トウガラシ・ピーマン・ナス・トマト・オクラ・スイカ・マクワウリ・ナンキン・キュウリ・エダマメ。ほとんど在来種(昔から日本にある野菜)か固定種(同一種でしか交...畑87――ネタの種

  • 2023/08/22 08:36

    畑86――蝉

    昨日(8/20)は四年ぶりの地蔵盆(祭)。従来は23日と決まっていたが、平日は男手が少ないので第四日曜に変更された。30年ほど前、私が子ども会の会長をしている時に、町内会にお願いして日曜日にしてもらったのだが、会長を辞めるとすぐに、町内の長老級の人から「地蔵盆は伝統ある23日でないとアカン!」と文句が出て、元の23日に戻されてしまった。だが、その長老が亡くなられると、すぐに日曜日に変更された。地蔵盆はセレモニー(儀式)であるとともに、子どもたちが楽しみにしているイベント(催し物)でもあるのだ。年寄りは、世の中の変化に合わせて、固いことを言わずに、若い人がやり易いようにするのがよい。地域や子どもの守り神である地蔵菩薩の縁日は、子どもが主役の楽しみな行事だった。しかし、地蔵盆が終わると、シャンシャン、ニーニー...畑86――蝉

  • 2023/08/21 08:14

    畑――少し秋

    人が火の上で火あぶりになっているという怖ろしい漢字がある。ではなかった。火の前で人が祈りを捧げているのである。古代中国では「火」は穢(けがれ)をはらう力があるとされていた。それを表した漢字が「赤」である。そこから赤色には炎や太陽の力、血液の力が宿っていて、魔除けになると考えられていた。江戸時代に、疱瘡(ほうそう=天然痘)が大流行した時、人々は赤一色で画かれた「疱瘡絵」を買い求め、平癒を祈ったという。お守り袋に赤が多いのも、還暦祝いの赤いちゃんちゃんこも、巣鴨地蔵通り商店街で赤い下着が人気なのも、赤色には偉大なパワーがあるからだ。そこで、畑の中で赤いものを探した。人参のような薄い赤ではなく、唐紅(からくれない)のような真っ赤な赤。あった!唐辛子。実に見事な唐紅。家に持って帰って魔除けの唐辛子飾りを作ろう。つ...畑――少し秋

  • 2023/08/20 08:35

    73 / それから

    ※【】は過去記事朝は黒大蒜と無花果葉茶から始まる。六月に買ったニンニク発酵機を使って二週間でいいぐあいの黒大蒜が30個できた【63/忍辱】。こいつを一かけら食べてから、イチジクの葉っぱのお茶。かってに無花果葉茶(むかかばちゃ)と名づけている【畑/無花果葉】。冷やして飲んでわかったが、プアール茶によく似た味がする。ただし、甘い香りはプアール茶より勝っている。一段階、健康になった気分で庭に出る。当帰(とうき)と胡蝶蘭と苔玉の水やり。当帰は2枚だった葉っぱが10枚になった【畑/トウキ】。胡蝶蘭は新しい葉と根が出てきた【64/根】。苔玉はバテ気味で、やっぱり夏場は難しい【62/しのぶ】。さて、今日はどうしよう。台風がおもいっきり過ぎて、少しは秋らしくなるのかと思ったが、今日も厳重警戒の暑さ。ならば、お盆も過ぎたこ...73/それから

  • 2023/08/08 13:09

    畑――むかかよう

    江戸時代の『本草綱目』に「甘味柿の如くにして而(しか)して核[種]なし。一日にして熟す」とある。同じく『和漢三才図会』には「・・・一月にして熟す故に一熟と名づけり」とある。一熟=いちじゅく→いちじく。中国の古書「西陽雑俎(せいようざっそ)」には、「花無くして実あり」と記され、「無花果」という漢字が用いられた。花は無いのではなく、実の中に隠れているだけだと以前書いた無花果は世界史上最も古いフルーツなのだが、無花果の実の話ではない。無花果の葉っぱの話である。無花果の葉といえば、旧約聖書の中のアダムとイブ。楽園で過ごす二人は、神から、知識の木の実は食べてはいけない禁断の果実だと言われていたが、蛇にそそのかされて禁断の果実を食べてしまった。それが神の怒りに触れて、二人は楽園追放となる(失楽園)。そのとき二人は、禁...畑――むかかよう

  • 2023/08/08 13:09

    畑――葵の上

    かつては犬を何匹か飼ったが、ご近所から鳴き声がうるさいと苦情が出て、以来、飼うのをやめた。その代わりに飼いだしたのがメダカ。10匹ほどから飼って、五、六年たった今では200匹はいるだろうか。なのだが、今は姿が見ることができない。卵を根に付着させて採卵するために入れているホテイアオイでびっしりだからである。間引けばよいのだが、そろそろ花を咲かせるので放置している。もともとは観賞用に輸入されただけあって、実に清楚な美しい花が咲く。奈良県橿原市の新薬寺跡の周囲の田んぼに数十万本のホテイアオイが植えられていて、隠れた名所になっている。毎年、観に行っていたのだが、去年から、理由はわからないが植え付け中止になった。なんとも残念なことである。そこで、水槽で増えたホテイアオイを畑の隣の田んぼの隅に植えている。爆発的に増え...畑――葵の上

  • 2023/08/06 08:01

    畑――トトロ

    毎日、畑から眺めている山々。日によって、遠くに見えたり近くに見えたりする。空気が澄んでいる。つまり、空気中の水蒸気量が少ない。つまり、湿度が低い。つまり、山の稜線と空の境界がはっきり見えるからだという。今日も暑い。もう、一週間も雨が降っていない。だから、土はカラカラに乾いて真っ白。だから、空気も乾燥している。だから、山が近くに大きく見える。一仕事終えて、いつもの日陰の指定席で休憩。山に限ったことではなく、いつも見ている景色も近くに大きく見える。うん?!こんなところにいたのか!畑――トトロ

  • 2023/08/06 08:01

    畑――イヒヒヒヒッ!

    草抜きに明け暮れて、ふと気がつくと、もう八月。そうだ、そろそろ食べごろでは?畑の隅っこに植えてあるので、普段はあまり気がつかないでいるブルーベリー(藍苺)。おお、なかなかエエんじゃない!河内のオッサンがへんな東京弁を使うほど、たわわに実をつけている。ブルーベリーは自家受粉しにくいので、多品種と一緒に二本植えなければならないが、こ奴はハイブッシュ系で一本でもなんとか自家受粉してくれる。視力の回復に効くルテインとかやらを多く含んでいるというので五年ほど前に植えた。それがようやく一人前に成長したのだろうと、我が子を見つめるような優しい目で見る。さあ、どれから食らってやろう!イヒヒヒヒッ。優しい目が一転して鬼の目になる。ところが、老眼のオッサンの目にはよく見えない。このブルーベリーは収穫時期が難しい。お尻の部分も...畑――イヒヒヒヒッ!

  • 2023/08/03 13:07

    畑――おおー!

    備前の旅に四日間。久しぶりに畑へ行く。空中栽培のスイカが三つ増えて24個。7株×3ツル伸ばしたから21個出来れば・・・なので上出来!野菜も育つが草はそれ以上に育つ。「ええーい、これが最後だぞ、覚悟せよ!」旅から帰って三日間は、朝の6時からひたすら草抜き!とことん草抜き!8時頃には30℃近くなってくるので汗でびっしょり。そこで、里芋のトンネルの中の草抜きにチェンジする。たまに涼しい風が吹き抜けてくれる。なんとなくトトロになった気分。9時頃には危険な暑さになっているので帰り支度。一通り野菜を収穫してふと思う。7月の一日あたりにスイカが実を付けだしたので、そろそろ食べられそうなのがあるだろう。最初に実を付けたのはこの辺りだろうと見当して、ヘタの付け根のツルが枯れているのを探す。一つあった!丁寧に茎を切って、慎重...畑――おおー!

  • 2023/07/22 09:14

    畑――マッカ

    知らぬ間に落ちた種が芽を出して、手入れをしなくても育った野菜や花を「こぼれ種」という。去年も記事にしたが、今年いちばんのこぼれ種はマッカ。正式にはマクワウリ。二世紀頃から岐阜県にあった真桑村で作られ始めたので真桑瓜。そのマクワがなまってマッカ。生えているのは去年に作っていたニューメロンという品種。黄マッカとともに昭和世代には懐かしいマッカである。地味な甘さが地味に美味い。除草した草を集めて積んでいたのが土になってしまった所に生えたのを残しておいた。どうせヌートリアのエサになるだろうと思っていたが、どっこい、元気に育っている。まったく肥糧も与えない100%の放任栽培。自然の力だけに任せるという自然農法のすごさをあらためて実感する。瓜売りが瓜売りに来て瓜売れ残り売り売り帰る瓜売りの声ウリ科でよく知られているの...畑――マッカ

  • 2023/07/22 09:14

    畑――酒

    中華鍋で炒められているような暑さである。この一週間は「危険」が二回、あとは「厳重警戒」の日々が続いた。日中は外には出られない。今週の畑作業は計3時間。ほぼ夏休み状態。にもかかわらず、一雨ごとにものすごい勢いで草は伸びる。畑作業の七割は草抜きである。たとえば、東と北の畦道は畑の持ち主が責任をもって管理するという約束がある。だから、念入りに草を抜く。今年になって五回は手作業で除草した。しかし、この暑さと草の勢いには、もはやお手上げである。いたしかたなく、今年初めて除草剤をまいた。この暑さに、三日間できれいに枯れた。畑に行く時間が減ったのはそのためでもある。山奥のぽつんと一軒家なら無農薬に励むだろうが、周りを田んぼに囲まれた我が畑では意味がない。我が畑が無農薬でも、田んぼには大量の農薬や化学肥料が使われている。...畑――酒

  • 2023/07/16 16:55

    63 / 忍辱

    仏教の修行の中に「忍辱」というのがある。「忍」は堪忍、忍耐の忍。「辱」は屈辱、侮辱の辱。訓読みは「はじ」、「はずかしめる」「忍辱」とは、他人からの侮辱、誹謗中傷、悪口、陰口に耐え忍ぶことである。もう少し厳密にいえば、悪口に怒りをあらわにするのではなく、平常心でいるということである。忍辱は「にんじょく」と読んでもよいが、仏教用語では「にんにく」と読む。料理に使うニンニク(大蒜)の語源とされている。仏教では忍辱を求めるのだが、ニンニクは嫌われる。「葷酒(くんしゅ)山門に入るを許さず」禅寺の山門脇の石碑に刻まれている言葉である。「葷」とは、にんにく・ニラ・ネギ・らっきょう・ノビルなどの臭いの強いものをいう。これらに加えて酒は、情欲や怒りをかきたてるもので、修行の邪魔になるというので寺の中には入れてはならないこと...63/忍辱

  • 2023/07/16 16:55

    畑――パラダイス

    朝、ちょうどよい曇り具合で心地よい。昨日、ホームセンターで買った網袋を持って畑へ。空中栽培しているスイカ(紅こだま)が、実をつけ出したので網袋で吊るした。七株植えて、三本ずつ子ツルを伸ばしているので、一つのツルに一つ実がなると7×3=21個出来る皮算用!吊るした袋を数えるとちょうど21個!しめしめである。七月の上旬から雌花が付いたのでお盆ごろから収穫出来る予定。実の大きさによるのだろうか、野菜の栽培でスイカ作りが最もおもしろい!「おもしろい」の大阪弁は「おもろい」。「それ、おもろいがな!」は大阪では最高の誉め言葉。だから、畑も、おもろなければならない。そこで、おもろいようにと、花でいっぱいにする。一作業終えて、麦茶を飲みながら、松葉ボタンで夏の花見も、いとおもしろし。気温は30度にちかいが、曇っているし風...畑――パラダイス

  • 2023/07/11 11:19

    畑――予定

    朝、畑に行く。キャンピングチェアーを陽のあたらない農小屋の西側に移動させる。目の前には田んぼが広がり、涼しい風が吹きぬける。どっかりと椅子に座って考える。さて、今日は何をしようか。「しなければならないこと」はいくつかある。しかし、その「しなければならないこと」をしなければならないのはしんどい!だから、予定はたてない。人と関わりがあれば、まずはそれを優先させなければならないが、畑で、そんなものはない。よし、まずはピーマンの支柱を立てるとするか!行動の起点は「自分の意思」なのである。たとえそれが「しなければならないこと」の中の一つであっても、自分の意思ですればしんどくなくなる。自分で決めた自分の時間なのだから!ピーマンの畝に行く途中で、トマトの脇芽がいっぱい出ているのに気づいた。しゃーない、脇芽をとってやろう...畑――予定

  • 2023/07/08 12:26

    畑――葵

    日の道や葵かたぶく五月雨芭蕉「五月雨(さみだれ・さつきあめ)」は前にも書いたが旧暦の五月に降る雨。つまり、梅雨である。そこで問題。Q:こ俳句の「葵(あおい)」とは何という植物か?上の写真は「立葵(タチアオイ)」で正解ではない。太陽の進む道にしたがって花を傾ける植物、「日向葵」が正解。日向葵は中国語で日本ではヒマワリ。だからといってヒマワリの話ではない。畑の中の葵といえば「秋葵」である。そこで問題。Q:「秋葵」とは何という野菜か?写真はアオイ科ではあるが「仏桑花(ハイビスカス)」で正解ではない。秋葵の「秋」は旧暦の秋(8・9・10月)。八月に盛期をむかえる野菜で「オクラ」が正解。秋葵は和名で英語では「okra」。なんや、英語あったんかいな!ほんでもって、畑に植えるアオイ科の野菜は少ない。そこで問題。Q:もう...畑――葵

  • 2023/07/08 12:26

    畑――なななな

    今日は彦星と織姫が天の川を渡って一年に一度の逢瀬をする日だという。だが、我が家ではそんなことは関係ない。「7月7日=なななな=菜菜菜菜=野菜がいっぱい」という豊年祈願の日なのである。朝、いちばんに里芋の畝に行く。そして、里芋の葉の上にたまった朝露を紙コップに移して飲みほす。里芋の葉は、天の川から下りてきた雫(しずく)を受け取る傘である。ゆえに、その葉の上の雫=朝露は天からもたらされた神様の水「天水」なのである。加えて、里芋は正月のおせちに使われるように子孫繁栄を象徴しているのだ。夕方、暑さがやわらぐと、河原へ笹(ささ)をとりに行く。笹は、古くは「細小竹(ささたけ)」と言った。「ささ」は「ささ濁り」「「さざ波」の「ささ」である。「ささ竹」から「竹」を省略したのが笹である。笹は小ぶりだが、イネ科の植物で農家に...畑――なななな

  • 2023/07/01 18:22

    畑――美女

    朝7時頃に畑へ。この時期は、まずウリ科の棚へ行く。スイカ・カボチャ・キュウリの黄色い花が咲いている。畑の花には黄色が多い。よく目立つからだろうが、そうでもない。昆虫の眼は人間ほどよくない。人間で言えば近視に近い。色の認識力も格段に少ない。ウリ科の花に集まるのはミツバチが多いが、ミツバチなんぞは黒、白、青、緑、黄色の五色しか認識できない。だから、黄色が多い。雌花がないか、一つ一つの花を観察していく。同時にミツバチが飛んでいるかを確認する。ミツバチが飛んでいれば、雄花の花粉を雌花に運んでくれているから、いいかげんに通り過ぎる。しかし、今日は飛んでいない!こんな時は、人間がミツバチになる。カボチャの雌花が二つ大きな花を咲かせている。去年の記事に「畑でいちばん美しい花」と書いた。株元の雄花をとって、花びらを外して...畑――美女

  • 2023/06/26 09:42

    畑――青春

    梅雨の晴れ間がニ、三日続いた三日目は貴重だ。前に書いた落花生の花の付け根から出る子房柄が土に入りやすいように、株元の土を耕し(中耕)、周りから柔らかい土を株元に寄せる(土寄せ)。草抜きと追肥も兼ねているので重要な作業。砂質の土なら鍬でチョイチョイなのだが、我が家の畑は粘土質なので一株ずつ手作業。晴れ間晴れ間の三日をかけて、第一回目の土寄せが完了。落花生は一株で200ほどの花を咲かすという。その頃に二回目の土寄せをして、我が畑の勤務は夏休みに入る。まだ勤めていた8年ほど前に初めて熱中症になった。「今日は畑の草をとことん抜いてやろう!」と炎天下に草抜きをしていた。汗で体はびしょびしょなのだが「おお、これが青春だ!」などと意気込んで、畔の草を抜く。ブルッと寒気がして「おお、青春時代には、こんなの感じたことがあっ...畑――青春

  • 2023/06/25 11:33

    畑――性

    中学生のころ、新聞のテレビ欄を見ていて「男と女の性」というのを見つけた。親に内緒でこっそりとテレビを視た。しかし、男とは、女とはこういうときにこんな行動をとるものなのだという話ばかりで、お目当ての「性」の話はまったくない。最後にアナウンサーが「今日は男と女の性(さが)についてのお話でした」。その言葉で逆に赤面した。タイトルに「性」とつけたが、そんな子どもだましの話ではない。れっきとした、雄と雌が子孫を残すためのめでたい性の話である。多くの植物は一つの花に雄しべと雌しべがあって実をつける(両性花)。しかし、スイカやカボチャなどのウリ類は一つの株に雄花と雌花を咲かす(雌雄同株)。雄花の花粉を昆虫の媒介によって雌花が受粉して実をつける。ところがである。植物は、あまりにも低いところに雌花がついて実を成らすと獣に食...畑――性

  • 2023/06/22 07:49

    畑――蔓

    じゃまくさいことはしないというのが、我が農法!エンドウを収穫したあとの支柱をそのまま利用して、ネットを張り替えて蔓(つる)野菜の栽培。スイカ・メロン・カボチャ・キュウリ。通常の植え付け時期より二週間ほど遅れるが、蔓性の植物は成長が早い!蔓性の植物は、ナスやトマトのように自立しないからである。丈夫な幹や茎を作るための力を使わなくてもいいから、そのエネルギーの多くを、蔓を伸ばし、葉をひろげることに使っているのである。横着極まりないが理にかなっている。我が農法にぴったりな野菜である。などと独り悦にいって畑から帰る途中、堤防から見た河原の景色。こうなると蔓性植物の生育旺盛なのも困りものである。漢字「蔓(マン)」は〈つる〉以外に〈はびこる〉とも読む。畑――蔓

  • 2023/06/21 10:57

    畑――落花生

    落花生は、豌豆と同様に自家受粉なので万に一つもハズレがない。しかも、花の根元の子房というところで受粉して、そこから子房柄というのが伸びて、地面にもぐって堅い殻に包まれた実をつける。マメ科でありながら土の中で結実するという不思議な植物である。鳥獣に食べられないように進化したのだろう。植物の発芽は、地面から胚軸という茎を出して、その先に双葉をつける。落花生は地面の中に胚軸を伸ばす。すると種が押し上げられて地面に頭を出す。胚軸から本根が出て、栄養補給jの準備がが整うと、種が二つに割れて双葉になる。この双葉にはすでに本葉が芽吹いている。落花生は、この作業を5~7日ほどの間にやってのける。お空にまっ赤な陽がのぼる/今日もあついぞ真夏日だあついの大好き落花生/あわてて地面に顔を出すお日様お空で笑ってる今日も真っ赤な陽...畑――落花生

  • 2023/06/20 09:12

    畑――大葉

    家から畑まで500m。たいがいはバイクで行くのだが、たまに歩いて行く時がある。夏の夕べ、ビニール袋に缶ビールとさんまの缶詰を入れて畑へ。。収穫用コンテナをテーブルにして、いつものキャンプ用の椅子に座る。缶ビールをシュカーンと開けてまずは一口。喉越しを味わいながら、2mほど前の青じその葉(大葉)を二、三枚採って、さんまの缶詰の中にちぎって入れる。「さんまの大葉巻き」の完成。夕陽をあびて茜色に輝く二上山を眺めながらゴクリ!最近はもう一工夫。小さなタッパーに自家製のニンニク醤油を入れ、ごま油と白ごまをトッピングしたのを持って行く。大葉を四、五枚入れてシャカシャカさせてニ、三分。「やみつき大葉のごま醤油漬け」の完成。これが実にうまい!シーフードや塩焼き鳥に巻いて食べると絶品である!中国の後漢末期の名医「華佗(かだ...畑――大葉

  • 2023/06/18 10:39

    ちょっといっぷく57 / 五月雨

    旧暦で、今日が五月一日(皐月のついたち)。久々の晴天!五月雨の降りのこしてや光堂/松尾芭蕉『奥の細道』旧暦の四月末に江戸を旅立った芭蕉が、五月十三日に平泉の金色堂(光堂)に拝観して詠んだ俳句である。五月雨(さみだれ)はちょうど今自分に降る雨だから梅雨ということになる。【解釈】激しい五月雨に耐えて金色堂がなんと美しく輝いていることよ。昔と変わらず美しく輝く金色堂を観て、芭蕉は藤原氏三代や源義経主従の「榮耀一睡」の夢に思いを馳せる。その時に詠んだ俳句が、夏草や兵どもが夢の跡五月雨や上野の山も見あきたり/正岡子規明治三十四年、死の前年の作。身動きもままならない病床にあった子規は、降り続く五月雨と上野の山を毎日のように見ていた。じめじめとした梅雨は体調にも差し障ったのだろう。それだけに、五月雨の合間のからりと晴れ...ちょっといっぷく57/五月雨

  • 2023/06/11 13:39

    畑――芋

    田水はつて一つ葉ゆるゝ芋を見る/飯田蛇笏季語は「田水張る(夏)」で、田植えの準備のために田へ水を入れること。その田んぼの手前で揺れている一枚の芋の葉とは、季節がら「里芋」の葉である。四月に書いた「里芋の親芋逆さ植え(畑/)」の芽がようやく出そろった。直径10㎝ほどの親芋を植えているので、放っておくと多いもので7、8個の芽が出てくる。そのまま放任しておくと小さな芋がいっぱいできるだけだという。ならば、芽の数を何本にするべきか?どうする?ネットで検索すると「一本」というのがあった。倍の収穫を目指しているいるのだから「一本」では意味がなかろう!親芋植えを教えてくれた百姓仲間に聞くと、「四本がそこそこの芋ができて良いみたいやで!」という。なるほど、東西南北に四本は利にかなっている。しかし、我が家の相方が「主婦は大...畑――芋

  • 2023/06/11 13:39

    畑――節約栽培

    農地の面積は昔からの尺貫法を使って「1町(ちょう)=10反(たん)=100畝(せ)」で呼ぶ。1町=約9917.36平方メートル=3,000坪=100アール(1ヘクタール)。甲子園球場の一回り小さい広さになる。今、資本をつぎ込んで大規模農業をするとき、1町なければ採算がとれないという。1反はその1/10。1反=約991.7平方メートル=300坪=約10アール。テニスコート5面ほどの広さになる。昔は、米一石を収穫できる面積を一反としていた。一石(=1000合)は、大人一人が一年間に食べる米の量になる。米作りならまだしも、1反の畑で野菜を作るとなると並大抵のことではない。我が家の畑は農小屋や通路を除いて5畝。1畝=約99.1平方メートル=30坪=約1アールだから、5畝でテニスコート2.5面ほどの広さである。この...畑――節約栽培

  • 2023/06/06 19:05

    畑――水加減

    「青田から飯(めし)になるまで水加減」米は、田んぼで育てる時もそうだが、ご飯として炊くときも「水加減」に左右される。年相応に町内のいろんな役が回ってくる。今年度から、今までの防犯委員に加えて、農業実行組合長と水利組合長を安請け合いしてしまった。お蔭さんで四月の半ばから、年度初めの会議や総会、水路清掃の段取りと実施で忙しい日々。ブログの更新する間もなかったというのは言い訳で、訳もわからぬままやってきたので、余裕がなかったが本音。我が人生の「水加減」を誤ったか?!明日からは6月。田植えの最盛期!水が無ければ田植えはできない!この田植えの「水加減」が日本の歴史を創ってきた!縄文時代末期から田植えが始まった。米の収穫によって食料が安定してとれるようになり、人口が増える。そこで、協力して米づくりをするために、「村(...畑――水加減

  • 2023/05/31 18:18

    畑……一念田植え

    畑の周囲で田植えが始まった。昔は一日に一人で一反(いったん=約10a)を植えて一人前といわれたが、今は機械で一時間もかからない。ただし、田植えにいたるまでは、①田おこし(耕うん)→②苗代(なわしろ)に種まき→代搔き(しろかき=田に水を入れて土を掻きまわす)と、けっこうな手間がかかる。四月から田圃の準備が始まり、五月の上旬に種を蒔いて苗を育て、五月の下旬に田植えというのが標準だった。水足りて苗代青むはじめかな正岡子規苗代の「代」は古代の土地の単位。厳密にいうと、1代(ひとしろ)とは米2升が獲れる田のことをいうが、いつしか「代=田」の意味になった。したがって「苗代=苗を作るための田」ということになる。代かくやふり返りつつ子もち馬小林一茶田に水を入れただけではでこぼこなので、昔は馬に馬鍬(まぐわ)という道具を曳...畑……一念田植え

  • 2023/05/22 16:36

    ちょっといっぷく54 らんまん

    今日(4/26)の朝ドラ『らんまん』で主人公の槙野万太郎が吠えていた。「名もなき草というものはこの世にはなかっち。人がその名前や能力を知らんだけじゃ!」これを聞いて、畑の厄介者の雑草を思い出した。名前はカタバミ。ハート形の葉が、一部分を虫に喰われたように切れ込んでいるので、漢字では「片喰」と書く。種をつけたのを引き抜こうものなら50㎝四方に種を弾け飛ばす。だから、黄色い花を見つけたら、今のうちに引き抜く。一方では「鏡草」ともいって、昔は真鍮の鏡や仏具を磨くために使われていたそうな。葉っぱに含まれるシュウ酸という成分が、酸化銅を溶かしてくれるのだという。実際に錆びた10円玉を磨けばピカピカになる。そんな能力をもっている。そこで、家の周囲を一回り。こぼれ種で生えたミツバの中にまざってピンクの綺麗な花が咲いてい...ちょっといっぷく54らんまん

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