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にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村 「はてさて、これは・・。手力男殿も人間の世界をご覧じろ。あれは一体、如何なる事か?」 「さても、これは。人の世界と言うても、人は何処におりますかな
鈴木は店員を解放する。 「違うとは言い難い、ようです」鈴木は苦笑いを浮かべた。「うーんなんとも要領を得ないというか、豆によっても抽出ですか、お湯を注ぐ温度や湯量も異なって、機械を使った場合、あっと、わっとなんだったか、ハンドドリップだとかなりその工程に差は生まれるけれどもです、あのような作り方は大よそ理に適った作り方だろう、とのことでした、はい」ふう、と鈴木は灰皿に置いた煙草を手にとって吸い込んだ。 足並みが不ぞろい、種田が単独で話を引き戻した。「S市警察が組織の利害関係に帰属した事実の閉口、とあなたの見解ですが、事前に発言を禁じる、これがS市警察の妥当な応対ではないのでしょうか」 「S市警察…
作り方か、……より具体的に示したということか、うんうん。 「納得されたようなので、その考えを音声に変換しなさい」 「種田、おまえ、馬鹿っ、誰にでも通用すると思ったら大間違えだぞ」 「構いませんよ。意図的にこちらの感情を逆なでする、目的が明らかであると、何気ない無知な言葉遣いほど、汚らしさは感じない」この一本でどうか解放されますように、店主は二本目の指に挟む煙草に願いを込めた。短冊に自らの願いを、サンタクロースにプレゼントを誕生日に記念日に年中行事に占いに神に仏に、願ってばかりの人と比べても遜色なく僕の数十年に一度の願いは成就されてしかるべき。「いいでしょう。話しますよ」 「どうぞ」 「おい種田…
「質問を変えます。あの女の発言を紙にまとめた内容が一部不可解に思えて、理解に及びません」 「それを私に応えろと?」店主はいう。 「先ほどの質問は回答を拒否されたので」 「日常会話でも相手のプライバシーや当人が気に留める内容に触れた場合、黙秘を貫く権利は社会に残される、わずかならが信じてましたけれど、もう個人の領域は取れ払われたのですか?世知辛い世の中ですね」僕は二人を見た、そして煙草の灰を灰皿に落とす。 「市民は……」種田の発言を店主は奪った。 「市民は、警察に協力体制を惜しまない、それが日本国民の使命である」店主は肩を竦めてみせた。 「理解しているのならば、質問の回答をお聞かせ願いたい」 「…
先日、私はとある企業の採用面接を受けた。特に入りたい会社ではなかったが、こちらにだって特にやりたいことがあるわけではない。私はいつもの如くエントリーシートに、それらしい自己PRと志望動機を書き込んだ。もちろん本当に思っている内容など一文たりとも含まれてはいなかったが、もしも律儀にそれをしたならば、「自分には特に何も能力はない」「何もせずにお金が貰いたい」と表明することになってしまうのだから、こんなところに本音を書く手はない。 一週間後、そんな嘘まみれのエントリーシートが功を奏したのか、書類審査を通過したので面接に来てくれとの連絡が来た。当日の朝、私はありがちなリクルートスーツを身につけて面接に…
にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村 海野はこの場合、どうしたものかと考えた。幕府の直参旗本千五百石で大学守並という職位を受け、従五位下の官位まで賜ったのだ。喜びもさる事、事態は海野
「おそらく事件の公表は正当に情報開示が行われた。しかし、それと今回の集団卒倒を結びつける材料が極めて少ないのです」 「と、いいますと?」灰皿を叩いて、リズムを取った。僕は煙を吸い込む。 「ブルー・ウィステリアの番地ですよ」鈴木が言う。「明治の終わりから昭和の初期にかけて建造された建物は当時、番地という細かい区分けがなかったので、その時代につけられた番地がそのまま建物を示しているのです。建物を買い取った代々の企業が大手の有名どころで占められていたことも加味したんでしょうね、郵便物の配達があて先不明で送り返されずに、目立つ建物に届いた。<S市中央区3>、住所はここで終わります」 「新聞等のニュース…
メッセージはありません。通信を終了します。 黒いコンソールに白い文字でそう表示された。 事実だけを告げる冷徹なその言葉は、大きく期待を裏切るものだった。 僕はその言葉を1文字づつマウスでなぞって、現実を認識しようと努めた。 端末からは、バッハの無伴奏チェロ組曲第一番が流れている。 その大きく包み込む温もりを感じさせる旋律は、端末の持つ無機質さとあまりに対照的で、 隣...
「その方に家族は?」 「ええ、妻と娘がいます。被害届けは……、はい、提出されてませんね。会社側が異常事態だと奥さんに告げても、取り合ってもらえなかったということです。なんでも、以前から外泊が多くて、家に帰ることは少なかったと。仕事の煩雑期は自宅に帰る時間を惜しんで、ホテルや支店の二階に泊まり込んでいた様子です」 「何者が私たちを誘導すると、言うのでしょうか、納得のいく説明が聞きたい」種田は半眼で睨みつける、肉を狙う獰猛な猫科の肉食獣にみえた。性別の関与だったら面白い、それは対抗心と名前がつく。 店主は斜め上を見つめた。 覚えてる記憶では、被害者と店の支店長は同一人物であると噂した喫茶店内の会話…
沖合にある島を目指していた。大しけだった。海はうねりをあげて荒れ狂っている。 小舟は怒涛により何度も転覆の危機を迎えた。1つの怒涛を超えても息つく間もなく次の荒れ狂った大波が押し寄せてくる。小船は急流に飲み込まれる木の葉のように翻弄され続けた。 穂先を波に対して真っすぐに。大波を被りながらも、ただそれだけを愚直に延々と繰り返す。 大しけの日は監視が緩む。決行するにはこの日しかなかっ...
にほんブログ村 にほんブログ村 シヴァ神は、初めて「純粋な悪意」の攻撃を受け、下位の低級な存在が集まっている、言わば、悪魔の住む世界に閉じ込めらたのだ。 「悪意」はシヴァがこれで手も足も出せない
「伝えたときは事実でありました」 「なんら落ち度はなかった、そうおっしゃりたい?」 「いいえ、初めて飛行船協会を訪れた際に飛田の正体を見破れるでしょうか?」 「尋ねたのは私です」 不穏な空気を察して鈴木がフォロー。「正直、事件の翌日に飛行船協会の所在が浮かび上がったのはサイト上に蔓延した目撃情報が元です。現場周辺の聞き込みが禁じられて、僕らの打つ手が、停電と飛行船ぐらいだった。停電は電力会社をS市警察が調べるでしょうから、死亡時刻前後の屋上を望める位置は、周辺のビルか、上空しかなかった」 「なるほど、かろうじて理由は成り立ちますかね」 「店長さんの納得はこの際取っ払って、あの、我々の質問に明確…
「私が吸います」店主が言った。種田を見つめる、この程度の譲歩は受け入れて欲しい、そう目に意思を込めた。 ブラインドが下げられる。ウエイトレスが気を利かせたらしいが、僕はすぐに体をねじって、外が見える程度にブラインドの羽を調節してもらう。 体に縞模様が浮かんだ。 煙草を吸うつもりはなかった。立場の優位性を嫌ったのだ、ここは喫茶店で、相手は刑事、とはいえ僕の店ではない。よって、対等に接するための足場を作った、といえるか。自らの行動を振り返り、言葉に意味をつける店主。 僕が吸い、鈴木が後を追う。種田はコーヒーを口に運んだ、カップの接触面積、その滞在時間は極端に少ない。猫舌だろうか、店主は何の気なしに…
にほんブログ村 にほんブログ村 時空はそこに記録されたものの全てを含む。流れ去るのではなく、そこにあり続けるのだ。 時空が流れ去ると感じているのは我々だけなのだ、実は流れているのではなく、我々
40の手習いに自転車に乗り始めた。子供の頃以来の自転車は、なかなか真っ直ぐに進まず、あっちによれよれ、こっちによれよれしながらペダルを回していた。高校生の自転車に追い抜かれたり、電動自転車に追い抜かれたりしながら、それでも体にあたる風がすがすがしくてとてもいい気持ちだった。そんな気分最高のおれの行く手に長い登り坂が見えてきた。すっかり子供の気分に戻っていたおれは、この坂を登る決断をした。坂の始まり...
第170回芥川賞に決まった九段理恵さんが、作品に生成AIを使ったと発言した。その量は、全体の5%くらいなのだそうだ。 創作に生成AIを使う。こんなこと、遅かれ…
早く目が覚めた。午前4時半。 遠くに新聞配達のバイクの音が静かに聞こえている。 僕と新聞配達員しか存在していないと思わせるような静かな時間帯。 すこし寒い感じがする。ハロゲンヒーターをつけようとしたが手が届かない。 パソコンに向かおうとしたけどめんどくさくてやっぱりやめた。 しばらくの間、ベッドから部屋を眺めている。 外はまだ暗い。カーテン越しに外の暗さが解る。 机があって...
にほんブログ村 にほんブログ村 「さあ、薬の後には蜜糖を召し上がれ。なんだか元気な顔になって良かった」 男が親切そうに蜜糖を勧めてくれるのを、有難く舐めながら、海野はとうとう可笑しさをこらえきれ
「店長さんが、その、なんといいますか」挨拶以後、種田との会話を見守る鈴木が言った。「集団卒倒の原因と、S市警察が疑いをかけてまして……」 「もう、屋上の死体の身元、犯人は捕まったのでしょうか?」店主は話題を変える、鈴木たちの質問に答える価値を見出せない、正面切った否定は種田という女性刑事の神経を逆なでするし、やんわりとした拒否は鈴木の余計な気遣いが始まる、聞いてはいるが返答を避ける、そのポーズで汲み取ってもらおう、僕は目を細めて視線を外に流した。 「私は集団卒倒の事情聴取に窺った、その点をお忘れなく」凄みを利かせた種田の目線だった。一度合わせて離す。 「ええ」 並べられたコーヒーを三人が各自の…
幸い、開店間もない時間が功を奏したのかどうかは、正しい状況説明とはいえないけれど、ウエイトレスの特段に興味を湛えた視線、彼女の一人分の関心が留まったのだから、上出来だろう。正午過ぎのかきいれどきだったならば、目も当てられない、それこそこの端末の使用をやめるよう指摘を受けたかもしれないのだ。 一分も経っていない。店のドアが開く。窓際の奥の席、ドアを入って、左側に僕が見えただろう。他のお客の出入りに気分が損なわれない、そのために入り口に背を向けて座っている。 「失礼します」 「どうも、朝から押しかけてしまって」二人の刑事は特徴的な表情をそれぞれ浮かべ、席に着いた。鈴木が手を上げて、コーヒーを注文し…
見計らったと勘ぐるほどに席に着くと端末が震えた。慣れていないと飛び起きそう、心の準備が必要なぐらいだった、……通話後に設定を変えなくては。 「はい」電話の応答とウエイトレスの注文が重なる、メニューを指差して、一人にさせてもらった。僕は腕輪に呼びかる。 「おはようございます」 「ご用件は?」予定の時刻はそろそろであった。ただ、搬入口に面した店主が見下ろすとおりにトラックの姿は未確認。 「実は、厨房機器のメーカーが別の注文先に間違って配送したらしくて、二十分から三十分、そうですねえ、予定が遅れるかもわかりません」電話の相手は商業ビル改装のサンダーストーム代表の宇木林である。無駄にジェントルな声だ。…
ウル第三王朝の牛飼いの少年が丘の上で寝そべって小鳥を戯れているとき、牛たちは思い思いの場所で草を食んでいた。およそ2キロ先をエラムの大群が土煙をあげて馬を走らせる。 牛たちは騒ぎだし、少年の指先で戯れていた小鳥は辺りをキョロキョロと見まわすと飛んで行ってしまった。 少年が地面から聞こえる蹄の音で身を起こしたとき、エラムの兵士が放った槍が牛飼いの少年を貫いた。 少年は言葉も発せないまま高く掲げ...
にほんブログ村 にほんブログ村 川島海将率いる小規模な艦隊は、今補給ポイントに定められた海域へと急行していた。横須賀から海上へ退避している、空母『信濃』を旗艦とする、海自としては最も大きな艦隊に
ChatGPT歌詞「出汁を取らないで」(発注者による出汁のないライナーノーツ付き)
【※以下の歌詞は、題名以外すべてChatGPTに依頼して書いてもらったものである。】(Verse 1) 雨降る夜 古びた扉が開く ラーメン屋の奥 暖かな灯り 注文は不思議 出汁を抜いてくれ 甘くて苦い 未知なるフレーバー(Pre-Chorus) 出汁のないラーメン 新たな冒険 舌を奮わせて 運命の一杯(Chorus) 出汁を取らないで 味覚の扉を開けて 不思議な旅へと連れてって 香り高いスープ 心に溶け込んで 出汁のないラーメン 愛の味わい(Verse 2) 客たちが見上げる 古びた店内 不思議な雰囲気 漂うエッセンス 誰もが驚き 口元緩む 出汁なしのラーメン 心を掴む(Pre-Chorus)…
僕の店を通り過ぎる。深夜から作業が行われ、日中は音の出る作業を控えて取り掛かるらしい、近隣店舗の兼ね合いがこうした密集区域では至上命題とも言えるし、これを怠ればギスギスした関係性が生まれ、大事に発展しかねない、とまあ、後半は最悪の事態、考えすぎたきらいはあるけれど、現実に起こった場面は過去に見てきた店主である、なので、リスクは事前に回避可能ならば、手を打つべきだろうと、桂木に話しあい、事前に左右、正面、斜向かいに手土産を持って挨拶を繰り出したのが、先週での土曜だった。出店の挨拶を省いたときとは事情が異なるのだから、その辺は僕も大人になったといえるだろうか。かなり遅い大人への第一歩である。 コー…
にほんブログ村 にほんブログ村 「あの蟹に、この車から、ミサイルを撃ってみましょうか?」とプラットが言った。 内藤はまだ、車の窓から顔だけ出して、蟹を怒鳴り付けていた。 「レーザー兵器も備えられて
「ええ、今日からです。うるさいでしょうけれど、大目に見てください」 「いいえ、僕は後からやってきた新入りですので、意見なんて言えた立場ではありませんから、はい」樽前は気後れしたようで、数秒虚空を見つめるように、僕を視線を合わせた。背後で音声が鳴る。前のお客のコーヒーが出来上がったようだ、提供に応じた彼なりの選別方法があるようだ、天板のメニュー表にコーヒーの量と飲み干す大よその時間区分で勧めるコーヒーの種類が異なるらしい、店主はふんふんと首を縦に動かす。 「うちは量によって焙煎の種類を予め選んであります」興味深げに僕の動作が見えたらしい、前のお客にカップを手渡すと、樽前は説明を始めた。「特殊な豆…
どうもー(ヽ´ω`)ふがふが 現在、順調に新曲『こもれび』のYou Tube再生回数が伸びており、ウキウキしております♪ 有名人なわけではないのに聞いて頂けることがとても嬉しいのです(*^_^*)ありがとうございます さて、今回はそんな『こ
どうもー(ヽ´ω`)ふがふが お待たせしました新曲『こもれび』の動画配信が完了しましたm(_ _)m こちらうっす~いですが桜のイラストを加工したものとなっておりまして もしこの画像に見覚えがある方はかなりの古参のファンの方、ではないでしょ
どうもー(ヽ´ω`)ふがふが 新曲『こもれび』が予定通り完成致しました\(^o^)/ You Tubeの準備と配信準備をしておりますのでまた紹介させて頂きますm(_ _)m さて、今回作曲して思ったのですがパソコン上でWAVESみたいなソフ