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絵本作家の伊勢英子氏は夫のノンフィクション作家、柳田邦男氏との対談集「はじまりの記憶」の中で実父についての思い出を語っている、銀行員で退職後は画家として生きた父とのエピソードは心温まるものがあった。 進行がんで余命4ヵ月と告知された父は家で絵を描き続けてアトリエで死ぬ生き方を選んだ、酸素の管を鼻につけモルヒネで痛みを抑えながら展覧会出品の絵を描き続け10ヵ月を見事に生ききった、それは壮絶という言葉など全然にあわないユーモアとペーソスにあふれた10ヵ月だったという。 ユニークなのは告知をうけてまもなく誕生日に免許証の書き換えに行った、もう自分で運転できない体力だったからタクシーでの往復「もうすぐ死ぬのに更新してどうするの?」という母に「ばか、免許証がないとあの世で運転できないじゃないか」といった父。 67キ...泣くかわりに笑って72歳の生涯を全うした男性