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月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人17 BL小説 二件目に入ったパブでは、京助は誰が何を言っていたかも覚えていないくらいイラつきながらやたら酒を煽っていた。 今度こそ千雪が離れていってしまうのではないかという不安につき動かされ、店を出るなり速水の誘いを突っぱねてここにきた。 京助にしてみれば、実際、昔の女とくっ
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人16 BL小説 万里子には、小林千雪の正体については社外秘だといい含めて、工藤は万里子と千雪のためにタクシーを呼んだ。 いちいち驚かれるのも面倒なので、千雪としてもそうしてくれると有難かった。 部屋に辿り着くとどっと疲れが出て、千雪はベッドに倒れこんだ。 肉体的疲労という
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人15 BL小説 「あら、おいしそう。いただきます」 万里子はソファに座り、長いストレートの髪を無造作に搔き揚げると、クッキーをつまんだ。 「ねえ、それより鈴木さん、今夜もこんな時間まで? あとはあたしやっておくから、いいわよ、帰っても」 鈴木さんを労わり、気軽にそんなことを申
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人14 BL小説 「大丈夫。私が何とかしてみせるわ。お願い、もう一度チャンスをちょうだい」 平と呼ばれた女性は揺ぎ無い口調で言い切った。 「仕方ないな。やってみろ」 渋い表情のまま、工藤は言った。 「ありがとう。あなたを後悔させるようなことはしないわ」 女性は踵を返し、オフィス
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人13 BL小説 ほろ酔い加減も、初夏の夜風に飛ばされたようだ。 街路樹も青々とした葉をつけて、ゆっくりとざわめいている。 乃木坂の駅を上がって数分、青山プロダクションのエントランスに立って見上げると、夜の九時にもかかわらずオフィスにはまだ煌々と灯りがついていた。 千雪は一旦自
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人12 BL小説 編集者はいざとなれば電話だけでのやり取りでもいいし、楽なのだろう。 そこへ行くと宮島教授やあの工藤は千雪に対して最初から何の先入観もなく、ごく普通に接していた。 まあ、何が出てくるともわからない業界を渡り歩いてきた工藤にしてみれば、この程度のコスプレなど、ちょっ
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人11 BL小説 「ずるいぞ、名探偵!」 後ろから声がかかったが、すぐエレベータのドアが閉まった。 「そういえば、小林くん、聞いてるかな」 思い出したように、宮島が言った。 「何をですか?」 「工藤くんたち、三羽ガラスって言ったよね、実は三羽じゃなかったんだ」 「どういうことで
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人10 BL小説 「ねえねえ、あの事件の話、私、聞きたかったんだよね、どうやって解決したの? マスコミもまるで名探偵が犯人みたいな扱いだし、事情聴取までされたんでしょ?」 入れ替わるように、今度は牧村が近くの椅子を引き寄せて千雪の横へやってきた。 「あれは別に俺が解決したとかい
月夜の猫-BL小説です 春雷(工藤×良太)57までアップしました BL小説 春雷(工藤×良太)57までアップしました。お前にだけ狂想曲(工藤×良太)14、真夜中の恋人(京助×千雪)9までそれぞれアップしました
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人9 BL小説 「ああ、彼女のことを思い出すと、今でも心がうずく! 京助、貴様にはこんな純粋な恋心なんかわからねぇだろうなぁ」 尚も突っかかる速水を見て、京助はフンと鼻で笑う。 「てめぇの薄汚れた心なんかわかってたまるか」 「何だと?」 「そういえば、ピアニストの桐島さんて、
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人8 BL小説 「マスコミを騒がせるばかりが能じゃないだろ? 今、付き合ってるヤツいないんなら、この際、元の鞘におさまっちまえよ?」 「川西くん、京助くんがモテ過ぎるからひがんでるんだよね~」 「いや、ひがみたくもなるって、ちょっといいなって思った子がいても、京助見るともうきゃ
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人7 BL小説 何でこうなるんや! 千雪は心の中で喚いてから、立ってビールを継ぎにまわったりして、あちこちに愛想を振りまいている佐久間を睨みつける。 御茶ノ水にあるこの居酒屋は、多くの学生で溢れる中、この店の店長が佐久間の高校の先輩だというので、割と急だったにもかかわらず総勢二十
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人6 BL小説 「聞きしに勝る変人ぶり。面白いなぁ、何か、漫画の中から出てきたまんまって感じ?」 「大原です」 ぺこりと頭は下げただけで、千雪は速水は無視し、無表情で文子を見た。 深窓の令嬢とはまさしくこの人のことを言う気がした。 従姉の小夜子もお嬢様を絵に描いたようなタイプ
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人5 BL小説 「あ、先輩、みいーーっけ!」 サンドイッチで軽く昼を済ませ、ゆっくりカフェテリアでコーヒーを飲んでいた千雪のところへ、うるさい男がやってきた。 同じ宮島教授の法学研究室にいる後輩、佐久間徹である。 「先輩、まぁた携帯切ってますやろ? 色々話あったのに」 勝手に向
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人4 BL小説 久々、静かな週末をひとりで過ごし、月曜の朝は少しばかりまともな頭になって千雪は研究室に向かった。 小ざっぱりしたジャージの上着とスニーカーは昨日スーパーで買ったばかりだし、ズボンも洗濯をしたものだ。 ただ、本人は非常に清潔で小ざっぱりとし、最近の柔軟剤の香りも嫌
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人3 BL小説 都内で開催された研究会に教授のお供で出席した京助は、夕方、やっと研究会が終わり、どうだね、一杯付き合わないか、という教授に、車ですし実は身内に不幸がありましてとどこぞで聞いたようなありふれた言い訳をして部屋に戻ろうと車に乗り込んで初めて、千雪のラインに気づいて慌
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人2 BL小説 ようやく手に入れたその眠りを妨げられたのは、カーテンが開けられ、一気に日差しが部屋の中に降り注いだからだ。 麻布にある緑に囲まれた七階建てのマンションの六、七階に京助は住んでいる。 入り口は六階、広いリビングと書斎、キッチン、バスルームがあり、メゾネット式で階段
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人1 BL小説 思い出してもそれは最低最悪な朝だった。 街路樹の鮮やかな緑や心地よい風、清々しい空は青く、窓を開ければこの季節には近所の家の庭に咲くマグノリアの甘い香りが微かに漂ってくる。 こんな日はのんびり辺りを散歩でもするのがいいに決まっているが、残念ながらミステリー雑誌で
月夜の猫-BL小説です 真夜中の恋人(京助×千雪) BL小説 思い出してもそれは最低最悪な朝だった。徹夜明けで引っ張りまわされた挙句、京都から戻っていらいべったりな京助にベッドに引っ張り込まれ寝不足も手伝って死んだように眠っていた千雪は、傍らに立ったのがてっきり京助だと思ったところが、違和感を感じて目を開けると
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ42 BL小説 聞きたくないながら聞いた千雪に、小夜子が言った。 「やっと事実を理解したら、京助さんが誑かしたに違いないとかってお父さんが怒り出すから、綾小路では二人のことをちゃんと認めてるって言ったのよ」 「ってか、余計そんな状況でやる食事会に顔出すやなんて冗談やないわ
月夜の猫-BL小説です 春雷(工藤×良太)40までアップしました BL小説 春雷(工藤×良太)40までアップしました。かぜをいたみ(京助×千雪)40までアップしました。
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ40 BL小説 「お、めでとう、ってか、もう五か月?」 小夜子は確かにゆったりしたAラインのワンピースを着ているが、お腹が特に目立っているとは思えない。 「先月、紫紀さんの仕事の都合もあって、一緒に日本に戻ってきたんだけど、ちょっと風邪気味かなと思って、病院行ったら妊娠してるっ
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ39 BL小説 「だって、京助さんって、何も隠そうとか思ってない人でしょ? 大学じゃなくても、アパートの前で京助さん、平気で先生にキスするし」 思い切りはっきり言われて、千雪は頭を掻きむしった。 確かに誰に見られてもおかしくない。 「ったく、あんの、ドアホが!」 「周りの方は
春雷(工藤×良太)37まで、メリーゴーランドラスト追加しました。
月夜の猫-BL小説です 春雷(工藤×良太)37まで、メリーゴーランドラスト追加しました。 BL小説 春雷(工藤×良太)37まで、メリーゴーランドラスト追加しました。 またメリーゴーランド、あちこち修正したため、全体再アップいたしました。 ページが多いため、どこか抜けてるよう
月夜の猫-BL小説です メリーゴーランド374 BL小説 クリスマスイブの夕方のことだ。 彼女との約束までまだ時間があるな、と一張羅のジャケットを羽織り、ウキウキ帰り支度をしていた佐久間は、「あかん、これ、先輩に頼まれとったんや、忘れとった、どないしょ」と、デスクの上の封筒に気づいた。 「木村さん、もう休みやよ
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ38 BL小説 今度は、小夜子は無事出産することができるのだろうかとまで思ってしまい、怖くなる。 「おい、千雪、聞いてるか?」 「あ、ああ。それはおめでたい話やけど、俺はやっぱパスって伝えといて」 千雪はそう言うと携帯を切ってしまった。 「何かあったんですか?」 眉を顰めたま
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ37 BL小説 「いいえ、先生の小説は好きだし、推理小説も好きだけど、すごいトリックとか考えつかないし、私が書きたいものとは違うって感じがしてたし」 「そうなん? けど、俺の話かて、巧妙なトリックやなんかあるわけやないし、推理小説いうより、探偵小説やで?」 「それは速水さんが
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ36 BL小説 「先生のお母さんって確かお亡くなりになってますよね? 三年くらい前に原夏緒の回顧展開催されて、私も拝見させていただきました」 千雪をまっすぐ見て木村は言った。 「え、そっちかいな?」 「だからお弁当作ってくれたのはお母さんじゃないですよね」 千雪はくすっと笑う
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ34 BL小説 一番、自然だったのはやさかで会った栗色のふわっとした髪と品のいい夏のドレスに身を包んでいた、大きな目が印象的な彼女だろう。 ん? てことは、彼女、やっぱ俺の後をつけてた? ってか、俺のこと知っとるいうことか? 千雪は頭の中でそんなことを思いめぐらせながら、
月夜の猫-BL小説です 春雷(工藤×良太)30までアップしました BL小説 春雷(工藤×良太)30までアップしました。かぜをいたみ(京助×千雪)33までアップしました。
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ33 BL小説 以前、自分の書いた推理小説を一方的に千雪に送りつけてきたというか、おそらく自分でドアポケットに入れていったであろう、ペンネーム家図愛と書いてホームズラブがこの木村女史だったわけだが、自分より、相応の編集部に投稿した方がいいだろうとアドバイスをしていたが、千雪の
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ31 BL小説 「ああ、ええんや。まだ、やんの?」 「論文、明日までに提出だからな。お前はとっとと寝ろ。明日早いんだ」 そう言うと京助はまたパソコンの画面に戻る。 やから、忙しいのにわざわざ迎えなんかええ、言うたのに。 千雪は心の中で呟くが、確かに飲み過ぎて朝なかなか起きれなく
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ30 BL小説 「ほな、桐島にも言うとく。あいつもその頃、スケジュール入れずに帰国する言うてたし」 三田村がそう言った時、エレベーターが開いた。 二人の女性が最初に降りた。 千雪が、アレっと思ったのはその時だ。 去って行く女性の後ろ姿を見つめたが、何が引っ掛かったのかに気づい
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ29 BL小説 「来はった」 辻が三田村にドヤ顔を向ける。 「まだ十時前やん」 携帯を見て千雪が言った。 「お前、明日朝イチだろうが」 ぶすっつらのまま、仕方なく千雪は立ち上がる。 「ほな、俺らも河岸変えるか?」 三田村が言った。 「せやな」 頷きながら研二も立ち上がる。
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ28 BL小説 「あれなあ、マジ、すごかったよな、周辺の学校の女子総出で体育館入りきらんかったもんな」 そんな昔のことまで持ち出して三田村は改めて感心したように言った。 「あんなあ、ほんまのアイドルやったはる人なんか、比べ物にならんで? いっぺん、工藤さんの車で通りかかった
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ27 BL小説 「いやいや、絶対、京助さん来はる」 「せやな、またふらっと行先も言わんとどこぞへ旅に出よったりされるとかなんし」 辻と三田村が妙に意見が合っている。 「いくら何でも、飲み会のあといきなりどこぞへ行ったりするか」 フンっとばかりに千雪はビールを飲む。 「せえけ
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ26 BL小説 これからも研二とはこんな風に笑い合って行けたらいいと思うのだが、もし、研二に大事な人ができたら、俺の心はどうなるんや、と千雪はわからなくなる。 いやもう、匠の存在は、研二の中でそういう位置にあるのではないかという気がしないでもない。 匠の邪魔をする資格はないと
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ25 BL小説 周りからジロジロ見られるのは今に始まったことではないが、凝視されているのが千雪は気になった。 千雪が先に店を出てから五分と経たないうちに研二が出てきた。 「なあ、腹減った」 研二の顔を見るなり、千雪は甘えるように訴えた。 「マックでも寄ってくか?」 ふっと笑み
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ24 BL小説 翌日、大学から戻ると、ユニフォームのように着ているオヤジジャージをデニムと黄なりのシャツ、麻の薄いブルーのジャケットに慌てて着替えて千雪は日比谷の芝ビルへと出かけて行った。 『やさか』が混んでいるかどうかは、ガラス張りの通路の方から行けばわかるだろうと、千雪は
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ(京助×千雪)23までアップしました BL小説 かぜをいたみ(京助×千雪)23までアップしました。春雷(工藤×良太)20までアップしました。「かぜをいたみ」は工藤と良太のシリーズとのリンクなどで、時系列的なことや、一部内容のすり合わせをしたため、修正してアップしていますが、
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ23 BL小説 工藤から電話が入ったのは、シャワーを浴びて短パン一つでタオルを首に引っ掛けたまま、冷蔵庫から炭酸水を取り出して飲んでいた時だった。 「大澤には釘を刺しといた。お前に絡んだら降ろすってな」 千雪が電話に出た途端、工藤は言った。 「あいつもやけど、安西とかいうヤツ
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ21 bl小説 あんなチャラ男でも演技ができれば俳優と呼ばれるわけや。 千雪が漠然とそんなことを思ったように、大澤と紹介されたあのチャラ男はプロデューサーや俳優たちに妙にちやほやされていた。 「あなた、どなたです?」 「んなこたどうだっていい!! どんだけ出せば、よかったっ
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ20 BL小説 「先生、こちらへどうぞ」 先ほどのプロデューサーが千雪を促して工藤の横に座らせた。 それぞれの紹介がなされ、千雪は俳優陣を見渡したが、ほとんど知らない顔ばかりだ。 ただ一人、何となく見覚えがある顔があった。 映画では青山プロダクションの志村嘉人が演じている役