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これまで6000冊以上の本を読んで記録してきた。海外ミステリを読んでいると、たまに日本のミステリが読みたくなる。それも、最近めっきり少なくなった気がする「本格」もの。少し前の作品だが、懐かしい匂いがしているこの本を読んでみた。私立探偵の石動戯作は、14年前に鎌倉の梵貝荘という私邸で起きたある殺人事件の再調査を依頼される。「名探偵」水城優臣により解決済のその事件の顛末は、「名探偵」の記録者・鮎井郁介により...
月夜の猫-BL小説です 寒に入り20 BL小説 東洋グループ側からは、紫紀を始め、中平広報室次長、岡林広報室長、宮下東洋商事営業第一部本部長、渡辺東洋フィナンシャル営業第一部本部長など、主要幹部が列席すると言われて、良太は心の中で溜息をつく。 何? その顔触れ。 紫紀が直々に沢村にオファーしたことからも
月夜の猫-BL小説です 寒に入り18 BL小説 淑子に言葉をかけられて神妙に頷いている工藤を見て、良太はまた一人、工藤の苦手な相手を見つけた気がして、笑みを禁じ得ない。 この場合の苦手は、決して嫌いじゃないが、という前提だ。 クソババア、なんて自分の祖母のことを詰っていた工藤だが、案外、本人を目の前にし
月夜の猫-BL小説です 寒に入り17 BL小説 俄かに沢村の周りが賑やかになった。 沢村は煩わしくて仕方ないながらも、佐々木のことが気になって目で探していた。 佐々木は母の淑子と一緒に小夜子や義母佐保子、浜村会長らと話しているところだった。 そこに兄の宗一郎がいるのを見て、沢村は眉を顰めた。 思わ
月夜の猫-BL小説です 寒に入り16 BL小説 すると由樹も名刺を差し出した。 「まあ、よろしく。智ちゃんの従姉の大河内由樹です」 名刺には三友産業グループ、三友ホールディングス、専務取締役という肩書があった。 「プロデューサーさん、カッコいいわね」 「いえ、まだてんで駆け出しなので」 「パワスポとかやっ
月夜の猫-BL小説です 寒に入り15 BL小説 亭主の小夜子が正客である淑子に銚子と引き盃を渡し、盃が最初のグループ内に順に渡ったところで、酒を注いでいく。 次のグループからは、直子と洋子も亭主側の手伝いとして同じように銚子と引き盃を持って回った。 全員に行き渡ると、直子と洋子も末席の自分の席に着き、そ
月夜の猫-BL小説です Summer Break ようやくラストです BL小説 年が明けて世の中寒波が襲来のこのシーズン、 お正月も終わりですが、 Summer Breakようやくラスト、です。 すみません、唐突に充電切れすることがあり、 そうすると、次が出てこなくなることがあって。 というか、
月夜の猫-BL小説です 寒に入り13 BL小説 どうやら良太と工藤、沢村は金髪碧眼にフレームレスの眼鏡をかけた男と一緒のグループのようで、先頭に研二が座り、良太、沢村、金髪男、工藤という順に席入りした。 「沢村、お前、英語しゃべれるんだろ? 隣の人何者だよ」 「英語人種じゃねぇみたいだぜ? フランス語っぽ
月夜の猫-BL小説です Summer Break38 ラスト BL小説 何だかわからなかったが、その夜の工藤は割と酔っていたのか機嫌がよさそうに思えたものの、別荘に帰ってから猫の世話を済ませて翌日帰る準備をしていた良太の部屋を強襲して、やたら良太に絡んできた。 良太としてもせっかく東京を離れて二人きりでい
月夜の猫-BL小説です Summer Break37 BL小説 「初犯で執行猶予も終わってほとぼりが冷めた頃でも、いざ復帰となると、視聴者が金輪際許さないとばかりダメ出しするんで、スポンサーもうんとは言わない。せっかく実力のあるやつらがバカをやって這い上がれなくなる」 工藤が怒りを滲ませた口調で言った。
月夜の猫-BL小説です 寒に入り12 BL小説 「そういえば、匠も来るんですか?」 ふと思いついて、良太は工藤に聞いた。 「俺は聞いていないが、綾小路は贔屓筋だし、今日何も入ってなければ来るんじゃないか」 財界人らしき顔が大方集う中で、ここの一角だけ少し異質な雰囲気になっているようだと良太は感じた。 関
月夜の猫-BL小説です 寒に入り11 BL小説 さり気に見まわすと、昨年、沢村の父親の意向で会社の顧問弁護士の息のかかった調査員が沢村を法を逸脱した素行調査をしているという、良太にしてみれば未だもって消化不良な出来事があった時、データの中にあった沢村の兄らしき人物が、着物姿の夫人とともにリビングの隅にいるの
月夜の猫-BL小説です 寒に入り10 BL小説 成長してからは、良太も亜弓の言う意味がよく分かったし、自分の出来が良かったわけではないことも頷けた。 だがそのうち努力賞が自分なのだと開き直ったから今がある気がする。 冷静に考えてみると、去年、やたら悩んでいたのがバカみたいに思えてくる。 周りがみんなで
月夜の猫-BL小説です 2025年あけましておめでとうございます BL小説 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 今年はどうか、地球上の人々も動物も、みんなにとって良い年でありますように! 年末は忙しなく、xmas2024では、ぎりになってから、 「勝手にしやがれ!」を始めてしまいました。 xma
月夜の猫-BL小説です 寒に入り1 BL小説 五日くらいまでは晴れていい年明けだったのだが、六日の朝から寒波の襲来で東京は年末の大雪にもまして交通にも人の動きにも影響が出た。 雪が十センチも積もれば、東京では大雪なのだが、本来の大雪に見舞われている地域に住む人々からは、その程度で大雪などと言うのはおかしい
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!2 BL小説 それでもまあ、この年末良かったと思うようなことがないわけでもないから、帳消しとまではいかずともその時ばかりは気分は上昇する。 例えば幼馴染でリトルリーグの頃からバッテリーを組んできた肇と、高校の時、部のマネージャーだったかおりが最近つきあい始めたことだ
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!1 BL小説 会社の慢性的な人手不足のせいもあるが、師走に入ってからの広瀬良太はとにかく忙しかった。 もちろん、忙しいのは自分だけではないのはわかっている。 社長の工藤などは、ワーカホリックも度を越えて東奔西走しているのだ。 それはわかっているが、忙しいうえにこ
月夜の猫-BL小説です 勝手にしやがれ!(工藤×良太24) BL小説 沢村と佐々木の「恋ってウソだろ!」とリンクします。 師走に入り、会社の慢性的な人手不足のせいもあり、良太はいつにもまして忙しい毎日を送っている。しかも次から次へと厄介ごとがやってくれば、良太もついぼやきたくもなる…
月夜の猫-BL小説です 月鏡66 ラスト BL小説 「次、『今ひとたびの』で行く予定です」 きっぱりと良太は告げた。 「行く予定て、こないだ、ドラマ終わったばっかやろが」 案の定と千雪は文句を言う。 「来年の話ですから、キャスティングはまだですけど。大澤さんらのスケジュールは一応おさえてあります」 千雪
月夜の猫-BL小説です 月鏡65 BL小説 「ひょっとしたらうちのタレントや社員、が対象ということもあるかもだが、主にこの良太だ。いつも四人でなくても、都合がつく者だけでいい」 「え、ちょ、工藤さん! 俺だって自分で何とかできますし、何かって、もう魔女オバサンは襲ってこないでしょう?」 工藤のまたしてもな提案
月夜の猫-BL小説です 月鏡64 BL小説 「けど、こないだの仕事ってより温泉旅行提供してもらったみたいなもんだったし、そう、ご活躍ってほどの仕事もしてないのに、あんな破格な報酬もらっていいのか?」 加藤が代表して言った。 工藤が提示した報酬額を、良太が加藤の口座にみんなの分をまとめて振込してあった。 「
月夜の猫-BL小説です 月鏡63 BL小説 孫が可愛いと思わなきゃ、気にかけたりしないよな。 逢うことがそうそうできないから、余計に工藤のことは気になっていたんだろう。 だからってなんで俺、なんだよ! 俺なんか、ただの部下なんだからな! 工藤と久々顔を合わせて食事をしているのに、と、良太はグチグチと
月夜の猫-BL小説です 月鏡62 BL小説 「お前が何か考え込んでいるとか、ロクなことはないからやめろ」 鰤の刺身や米茄子の田楽、里芋の煮物、鱚や椎茸の天ぷら、海老の餡かけなど、この店自慢の料理が出されているというのに、良太がもそもそしていると、工藤もいい気分で酒が飲めない。 「はあ………」 ペンダントは
月夜の猫-BL小説です 月鏡61 BL小説 なまじっか同時期に司法試験に受かったりしている工藤なので、小田に対する要求も面倒なのだと、小田が良太にぼやいていた。 その上、沢村にまで超面倒な案件で頼られて、いくら仕事とはいえ、確かに、額も後退するよな、などと良太は思わず自分の額に無意識に手をやった。 やが
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる27 ラスト BL小説 年が明けた。 あれから、とりあえず面倒な事件は起きてはいない。 だが―――――― 工藤は眉を顰める。 樹、『Tree』から『T』とその世界では呼ばれているという。 メールでも携帯でもなく、有線の電話を使い、連絡を取るのも年に数回、実際会っ
月夜の猫-BL小説です 月鏡60 BL小説 これらのことを踏まえ後日早速、芸能誌にわざわざ青山プロダクションのでっち上げだというでっち上げの記事を掲載させたことも含めて、沢村宗太郎が顧問弁護士の真岡を通じて興信所の大坪に沢村だけでなくアスカのことまで探らせ、その際に二人の部屋に忍び込み、盗撮させたことなどで
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる26 BL小説 工藤の爆弾………か。 確かにそうかもしれない。 波多野の言葉を心の中で反芻しながら良太はエレベーターでフロントに降りた。 確かに、波多野の言うとおり、軽率だったかもしれない。 俺が何かバカをやったら、みんな工藤に返っていくんだ。 あああ、結局俺
脳梗塞リハビリをスタートし約1か月、その日は久しぶりに初めての先生にご担当いただいた。作業療法士の20代とみられる女性の先生。 やや不自由さが残る右腕を中心にマッサージしていただいている間、世間話に花が咲く。先生もこちらの人となりを知るため積極的に話をしてくださる。 「私、ミスター〇ーナツ大好きで、朝食代わりに毎朝2個食べるんですよ~」 彼女は予備軍ネキと名付けよう。 「若いからまだいいけど、糖尿病には気をつけてね・・・」ホントに生活習慣には注意しなければならない。 「吉田さんの趣味は何ですか?」 「登山は10年以上やってますね・・」 「私も登山やってみたいと思ってたんですよ~! 初日の出を富…
2024年12月14日(土) 15時 突然PCがネットに繋がらなくなった。はじめはブラウザの設定等を疑ったが、ネットワークを利用するほかのアプリやiPhoneまでも繋がらなかったため、リハビリ病院のWIFIが落ちていると判断した。 同日 15時5分 WIFIの手続きは入院当初一階の受付で行った。その際の記憶を頼りに受付に行ってみる。窓口には警備員オジが一名おり、ひとまず状況を相談してみる。 「土日は受付の事務員が休みなので月曜まで待ってください。」 (・・・知らんし・・・ただ責任者がおらず月曜まで打つ手なしである。) 入院患者はかなりの高齢者が多いため、WIFIを使っているものがそれほど多いと…
月夜の猫-BL小説です 月鏡59 BL小説 週刊『東京芸能』が妙な記事を載せているのを見つけたと、嘱託カメラマンの井上がオフィスに寄って良太に雑誌をつきつけたのは翌朝のことだった。 アスカと沢村の顔写真がデカデカと見開きに載り、関係者の話として暗に青山プロダクションとアスカが人気選手を利用したやらせ記事を
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる25 BL小説 海外からの客の接待が予定されているという部屋は、セミスイートで、ゆったりくつろげるスペースがあった。 「どうぞ、お座りください」 「いえ、結構です」 良太はドアのすぐ近くに立って、きっぱりと言った。 「どうしたんですか? 藤堂さんからプロジェクトの方は順
月夜の猫-BL小説です 月鏡58 BL小説 「あの時はまだわからないって言ったんだけど、さては坂口さんに何かたきつけられた?」 さすが宇都宮、勘がいい。 「はあ、あの、ぶっちゃけ、ドラマのオファーなんですけど」 良太はこの際だと、正直に言った。 青山プロダクションの小笠原とダブル主演で、医者と刑事がバデ
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる24 BL小説 「良太が工藤さんのこと信じてやらんかったら、どないすんね」 信じたい、良太もそれは思う。 だけど――― 「まあ、お前にはえらそうなこと言うけど、好きな人の前に立ったら、みんな不安になるもんや…心はわかれへんから」 「千雪さんが? いつもこれっぽっちも隙が
月夜の猫-BL小説です 月鏡57 BL小説 「なるほどね、パートナーはワンコか。でも一人で留守番とか可哀そうじゃない?」 「ワンコの方がニャンコより一緒に動けますよ。まあ仕事だとちょっとあれですけど、千雪さん、よく一緒に連れ歩いてます」 宇都宮の杞憂に、良太が答える。 「なるほど……」 「あ、そうよ、トシち
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる23 BL小説 千雪も工藤を思いやっているのはわかる。 工藤高広の名前がマル暴のリストから消えない限り、被害者となった時でさえ、工藤は痛くもない腹を探られることになる。 「笑ってもいいですよ。工藤の後つけたり。で、やっぱ工藤が千雪さんに会いにきたってことを思い知らされ
月夜の猫-BL小説です 月鏡56 BL小説 「はあ、ほんと、もう、勘弁って感じですよ」 良太は大きくため息をつく。 「あいつ、マジ、バカだよね。前っから浮ついてたし、あいつとの共演話も過去あったけど、みんな蹴ってた」 竹野も怒りをぶちまけた。 「それ、正解っすよ。うちも気を付けてたんですけど、なんか付き合
月夜の猫-BL小説です 氷花22 BL小説 「離せ! 出てけ! クソドアホ! エロ魔人!」 千雪の罵倒など歯牙にもかけず、京助の手は千雪の服を剥ぎ取った。 「でかい声で騒ぐと聞こえるぜ?」 うっと千雪は口を噤む。 「いっか、聞かしてやるか、お前の可愛い声」 思わず千雪は京助の頬に平手打ちをかます。
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる22 BL小説 「よかったですね、良太が一緒じゃなくて」 電話を切る間際、『T』は言った。 工藤を襲ってきた男のうち、バイクの二人は即死、車の数人も重症を負い、入院したと、『T』は工藤の問いに対して淡々と答えた。 わざとバイクを転倒させたとは工藤は聞かなかった。 だが
月夜の猫-BL小説です 月鏡55 BL小説 「やからお前、工藤さんの後継ぐんなら本、読み! 原作はカズオ・イシグロ、日本人でイギリスに帰化して、前にノーベル賞もろた作家おったやろ? 映画見るんでもええけど、ええ映画やで」 「はあ………そういえば、そんな人いたような………The Remains of the D
月夜の猫-BL小説です 氷花21 BL小説 「兄弟のスキンシップってとこ? あいつはいつも、横暴なだけで」 茶化して笑う紫紀を千雪は胡散臭げに見た。 「ほんまに、うちの中でもジャイアンなんか、お前は!」 今度は京助の背中に怒鳴りつけると、紫紀は大いにうけて笑い出した。 「よくわかってるねぇ、千雪くん! 全
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる21 BL小説 明確に狙われているとわかったのは、夜九時を過ぎ、工藤は第三京浜を横浜へと車を飛ばしていた。 おそらく、千雪を連れ去ろうとした連中だろう、追い越し車線に並んだ、バンパーもへこんだサンダーバードに半グレ風の若い男が数人乗っている。 運転している男はかなり運
月夜の猫-BL小説です 月鏡54 BL小説 「どうせ人生一回こっきりじゃない? この際、世間にどう言われようと、愛を貫き通すっってところがいいんじゃない」 白石は悟り切ったように言う。 「裏でヤバいことしててもかよ?」 「人間やってたらそんな人いくらもいるわよ! 断頭台に消えたマリーアントワネットだって、
月夜の猫-BL小説です 氷花20 BL小説 「そう、諦めの悪い叔父は多分、ライバル、と思ってたんだろう小林教授のことも調べたらしく、教授の書かれた本とか持ってて、この人なら夏緒さんを任せても仕方ないか、なんて負け惜しみ言ってたが、ちょうど京助が高校生の頃だよ、叔父がたまたま教授の本を持ってうちに遊びに来ていた
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる20 BL小説 常々、言葉遣いはいい方ではないが、今はとげを含んでいるような言い草だ。 真夜中の二時をとうに過ぎていたことに、工藤はようやく気がついた。 エレベーターのドアが開くと、小笠原も乗り込んでくる。 「まさか、あんた、良太まで食ってたとは思わなかったぜ。それと
月夜の猫-BL小説です 月鏡53 BL小説 「もともと父親が私にくれたロンドン土産だったんだけどね」 良太は驚いた。 多佳子の用というのがそんなこととは思いもよらなかった。 高価なものかどうかは別として、そんな大切なものを良太は手に取る勇気はなかった。 「待ってください、そんな大切なものを俺がもらうわけ