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月夜の猫-BL小説です Summer Break37 BL小説 「初犯で執行猶予も終わってほとぼりが冷めた頃でも、いざ復帰となると、視聴者が金輪際許さないとばかりダメ出しするんで、スポンサーもうんとは言わない。せっかく実力のあるやつらがバカをやって這い上がれなくなる」 工藤が怒りを滲ませた口調で言った。
月夜の猫-BL小説です 2025年あけましておめでとうございます BL小説 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 今年はどうか、地球上の人々も動物も、みんなにとって良い年でありますように! 年末は忙しなく、xmas2024では、ぎりになってから、 「勝手にしやがれ!」を始めてしまいました。 xma
月夜の猫-BL小説です 夢ばかりなる25 BL小説 海外からの客の接待が予定されているという部屋は、セミスイートで、ゆったりくつろげるスペースがあった。 「どうぞ、お座りください」 「いえ、結構です」 良太はドアのすぐ近くに立って、きっぱりと言った。 「どうしたんですか? 藤堂さんからプロジェクトの方は順
月夜の猫-BL小説です 氷花22 BL小説 「離せ! 出てけ! クソドアホ! エロ魔人!」 千雪の罵倒など歯牙にもかけず、京助の手は千雪の服を剥ぎ取った。 「でかい声で騒ぐと聞こえるぜ?」 うっと千雪は口を噤む。 「いっか、聞かしてやるか、お前の可愛い声」 思わず千雪は京助の頬に平手打ちをかます。
月夜の猫-BL小説です 氷花21 BL小説 「兄弟のスキンシップってとこ? あいつはいつも、横暴なだけで」 茶化して笑う紫紀を千雪は胡散臭げに見た。 「ほんまに、うちの中でもジャイアンなんか、お前は!」 今度は京助の背中に怒鳴りつけると、紫紀は大いにうけて笑い出した。 「よくわかってるねぇ、千雪くん! 全
月夜の猫-BL小説です 氷花20 BL小説 「そう、諦めの悪い叔父は多分、ライバル、と思ってたんだろう小林教授のことも調べたらしく、教授の書かれた本とか持ってて、この人なら夏緒さんを任せても仕方ないか、なんて負け惜しみ言ってたが、ちょうど京助が高校生の頃だよ、叔父がたまたま教授の本を持ってうちに遊びに来ていた
月夜の猫-BL小説です 氷花19 BL小説 「ああ、そうか、君の父上は、K大学の小林教授だったね。京助が心酔して一年ほど京都にいたんだっけ。じゃ、その時に知り合ったの?」 「いえ、京都にいた頃は全然顔を合わせたことはなかったので」 ふと紫紀が自分たちの関係を勘ぐっているような気がして、千雪はあからさまに怪
月夜の猫-BL小説です 氷花18 BL小説 「連絡はついたんですが、あいにく札幌に出張中で、すぐには戻れないということでした」 藤原は答えた。 「そうか。あとは医者に任せるしかない。ああ見えて咲子さん、強い人だから、大丈夫だよ、きっと。赤ちゃんも。京助、ついてるんだろ? 俺らは腹ごしらえをしよう。藤原もいた
月夜の猫-BL小説です 氷花17 BL小説 すると、どう見ても湯上りらしい、スエットの上下にタオルを首に巻いた長身の男が、キッチンの入り口で驚いた顔で千雪をじっと見つめている。 京助が髪を黒く染めて立っているのかと一瞬在り得ない想像をした千雪だが、よく見ると印象がかなり柔らかいし、雰囲気も違う。 「咲子さん
月夜の猫-BL小説です 氷花16 BL小説 キッチンの床が真っ赤に染まっているのをチラリと見てしまった千雪は、一瞬青くなり、しばし呆然と咲子を運んでいく二人を見送った。 「大丈夫ですか? 咲子さん」 やがて戻ってきた藤原に、千雪は尋ねた。 「はい、公一と京助さんが今病院へ向かいました。何でも早期剥離の可
月夜の猫-BL小説です 氷花15 BL小説 スキーと聞いてロマンチックな展開を期待してわんさか京助についてきた女の子たちも、ロマンチックどころか、ゲレンデで徹底的に京助に扱かれ、次にはスキーに誘っても敬遠されることになるのだ、という話も公一から聞かされていた。 「意外も何も、もともと中身は硬派なんだから、華
月夜の猫-BL小説です 氷花14 BL小説 美しい山々の連なり。 雪をかぶった街並み。 寒ささえ透明なたたずまい。 そんな自然の中に浸るだけで十二分に千雪は感動的だったのだが。 「後ろに体重かけ過ぎだ!」 青空の下のパウダースノー。 「もっと力抜け!」 リフトに乗って眺めるのは絶景で。 「脚伸ばしな
月夜の猫-BL小説です 氷花13 BL小説 どこかから聞こえてくる声が煩いので、千雪は身体を捩って眉を顰めた。 「起きろっ、こら」 次にはゆさゆさ揺すられて、ようやく少しだけ目を開ける。 「メシ、食いっぱぐれるぞ! 千雪」 ベッドの横で仁王立ちになっている京助をみとめてからだを起こし、勢い昨夜の記憶を反
月夜の猫-BL小説です 氷花12 BL小説 原稿の締め切りも終わっているし、かなり強引にニセコまで連れてこられたものの、思いがけない雪を見せられ、美味い食事のあと広い湯船につかっているなんて目まぐるしい展開は、千雪にとっても心が浮き上がりそうな状況だ。 風呂から上がり、用意してあったバスローブをはおると
月夜の猫-BL小説です 氷花11 BL小説 「そうそう、涼さんと俺とは学校は違ったけど同い年だし、いっつも京助さんが先頭に立ってなんかやらかして。時々やってくる綾小路の親戚連中の方が逆に俺なんかのこと、使用人だろうって扱いしてくれますけどね、こっちは何も言えねーし」 ぶーたれる公一を京助は笑う。 「言いたい
月夜の猫-BL小説です 氷花10 BL小説 「ふうーー、オヤジがいると肩凝るよな」 三人になってワインで乾杯すると、公一がボソッともらす。 「藤原さんって、ほんま礼儀正しいな。執事の学校とか出てはるん?」 千雪の率直な意見に公一が笑う。 「確か、若い頃、ケンブリッジ留学していたって。イギリスには養成学校み
月夜の猫-BL小説です 氷花9 BL小説 天井が高い。 「建てたのは大体その頃だったみたいだぜ。ただし、もともと小樽にあったのを二十年位前にここに移築して、補修したり、空調入れたりしたらしい。ベッドとかソファとか椅子なんかも張り替えてある。小樽にあった頃のことはうろ覚えだが、マジに暖炉だけとかで暖を取ってた
月夜の猫-BL小説です 氷花8 BL小説 「スエットや着替えならさっき俺のキャリーケースに入れといた。軽井沢の方が近いがバカでかい屋敷で、会社の保養所も兼ねてるから今頃大賑わいだろうしな。セーターやなんかは涼用に揃えているのがある。お前と体格ほぼ同じだ」 「涼って、弟さんやったか? ンな、勝手に!」 「心配すん
月夜の猫-BL小説です 氷花7 BL小説 一時間半のフライトで、京助と千雪の二人は都会の雑踏を離れ、一転雪が舞い踊る千歳空港に降り立っていた。 迎えに現れたのは茶髪にピアスの若者だ。 「公一、お前わざわざ借り出されたのか?」 「いやあ、バイト代出るし、スキー三昧できるし、一石二鳥ってとこ?」 ベンツのス
月夜の猫-BL小説です 氷花6 BL小説 上京以来六年、父親と一緒に見つけたこの築二十年の安アパートには、今や京助が持ち込んだ衣類だの食器や鍋類だのが増殖している。 はっきり言って千雪は自分の意思ではないもののお陰でどんどん狭くなっている気がする。 「コーヒーでいいか」 「……ん……」 さっさと食べ終え
月夜の猫-BL小説です 氷花5 BL小説 佐久間に心配された千雪のイブもクリスマスも、長編とは別口で頼まれていた雑誌の短編の締め切りに追われていつの間にか過ぎていた二十六日の朝。 二十五日の締め切りに数時間遅れて書き上げたばかりの原稿をメールで送り、ボロボロの状態でベッドで丸くなっていた千雪を叩き起こした
月夜の猫-BL小説です 氷花4 BL小説 この得体の知れない感情が何なのかは千雪にもわかっている。 それが京助なんかのことで沸き起こるのが、自分で許せない。 だが、こんなじりじりと焼けるような焦燥感とはあまりつきあったことがない。 自分に向けられた言葉がウソだとは思いたくないが、あちこちで語る愛もウソ
月夜の猫-BL小説です 氷花3 BL小説 「そんな、もちょと考えてみてくださいよ。あと十日でクリスマスイブでっせ? クリスマスといえば、恋人同士で過ごすのんがお約束ですがな。はよ相手見つけな、間に合いまへんわ」 佐久間は真面目そうな顔で力説する。 「俺はあいにくクリスチャンと違うし、大体がイブを恋人同士で過
月夜の猫-BL小説です 氷花2 BL小説 「そうかて、先輩わからんかしれん思て。なんや先輩、また小食やな。せめて天ぷらうどんにしはったら?」 「俺が何食おうとお前に関係あれへんわ」 「あかんがな、ただでさえ細いのに、ほな、出血大サービスや」 ほい、と佐久間は自分が食べていた天丼のえび天をひとつ千雪のうどんの
月夜の猫-BL小説です 氷花1 BL小説 「あ、先輩ぃ、メシ、行かはるやろ? 俺、先行って席取っときますわ!」 研究室のドアを開けた小林千雪を廊下の向こうから大きな声で呼んだのは、法学部三年の佐久間徹という。 推理小説研究会、宮島ゼミときて、さらに修士課程にも進むつもりらしい佐久間は、千雪を追いかけるよう
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ87(ラスト) BL小説 「小夜子の作るケーキのがメチャうまいぞ」 「またお前、小夜ねえのことバカにしよって」 「ほめてるんだろーが。マギーのケーキはもう金輪際ごめんだがな」 小夜子の名前が出ると、千雪はちょっと口を噤む。 「あと、何か月やったっけ」 「十二月まで五カ月だろ
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ86 BL小説 「やつらって?」 アスカが聞いた。 「ああ、こないだ捕まえたやつら」 「捕まえた? ユキが?」 アスカが妙に突っ込んでくる。 「やから、情報提供して、警察が捕まえよったやつらのことや」 千雪の適当な説明にちょっと怪訝そうな顔をしたが、「とにかく、工藤さんも工藤さ
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ85 BL小説 千雪が良太を見つけてから結構もたついたので、二十分ほど経ったろうか。 工藤はドアをガンガンノックした。 その間に秋山と井上も駆け付けた。 「良太!!」 工藤が叫んだ。 「……工藤……さん!」 良太の声が中から聞こえ、やがてドアが開くなり、みんなが中へとなだ
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ84 BL小説 「よう」 気になって良太を見ていた千雪に、井上が声をかけてきた。 「明日、帰るんやて? 何時の便?」 「工藤と同じ」 井上はそう答えてから、にやにやと千雪に歩み寄る。 「なあ、お前もさ、期待だけさせて振りして、工藤の奴も可哀相じゃねーか?」 周りがフランス人
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ79 BL小説 「あ、大丈夫です。新宿西署に後輩がいて、情報をもらっただけなんで、広瀬くんとか工藤さんの名前は一切出してません。それに、関係者から広瀬くんの名前も工藤さんの名前も出てきてませんよ」 それを聞いた工藤は、確かに、金輪際良太に関わるなと男たちを脅しはしたがと眉を顰
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ78 BL小説 「そういや、また来週のゲーノーニュースに久々大センセーも登場するしな」 工藤の発言に、また眉を顰めて千雪は口をつぐむ。 「何よ、それ?」 アスカがすぐ反応する。 いつの間に手に入れたのか、工藤が投げてよこしたゲラには、財界のパーティのあとという説明付きで、今
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ77 BL小説 「俺も聞きてーもんだな? え? 千雪」 皮肉っぽい京助の言葉が追い打ちをかける。 『白昼堂々、アスカ新恋人と激写』などというキャッチコピーつきだ。 「ただ送っていっただけや」 千雪はムッとした顔のまま言った。 「ほう? それで? この二人に何があったかにマスコ
月夜の猫-BL小説です かぜをいたみ66 BL小説 「ちょうど今夜にぴったりのいいワインが手に入ったんだよ」 最初に出てきた髭がボトルを手にグラスを四つテーブルに置いた。 「お、シャトー・ラフィット・ロートシルトじゃないか。確か昔パリで飲んだなあ」 眼鏡が言った。 「君もおいで」 オールバックが千雪の肩を抱く