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月夜の猫-BL小説です 笑顔をください4 BL小説 「武士に二言はないよな?」 念をおす志央に、幸也は苦々しく唸る。 二年生の堺勝浩は、現在生徒会会計を務めている。 実は昨年の夏休み、東京ディズニーランド近くのホテルで、志央も幸也もそれぞれ女の子と一緒に部屋に入ろうとして、よりによって家族と一緒に宿
月夜の猫-BL小説です 西高東低15 BL小説 事実ではあったけど、多分郁磨が想像するような相手ではない。 「友達の合格祝いだよ、力とか、……東山とか」 佑人はとってつけた東山には、心の中で詫びを入れた。 それに力へのプレゼントは持ってきたものの、どちらかというと合格祝いに重きを置いている。 八時の約
月夜の猫-BL小説です 西高東低12 BL小説 十二月のイブの夜、初めて抱き合った時、佑人はそれこそ夢心地で力に任せてしまったし、力はいつも口では割と乱暴なことを言っているが、佑人に対してどれほどの優しさをもって接してくれているか、もう十二分にわかっている。 けれども今の力は何か切羽詰まったというようすで
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ15 BL小説 河崎はワイン一本半ほどを水のように飲み、今度はほろ酔い加減になった浩輔にとりかかると、そのままソファの上でなだれ込んだ。 「お前だけだぞ」 そんなことを時折口走ると、いつの間にか隙間風のように入り込んでいる不安を跳ね返すように、河崎は口づけを施しな
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ14 BL小説 「客に何か言われたのか?」 浩一はちょっと眉を顰めた。 「いや、まあ、藤堂さんに言わせれば、その担当がおかしいんだって………仕事はさ、一つ一つがやりがいっていうか、新しい発見っていうか、そんな感じ」 「そうか」 浩一はそのあとの言葉が続かなかった。
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ13 BL小説 「まあ……そう」 工藤にしては歯切れの悪い答えだ。 「何か、ありました? っていうか、河崎さんもちょっと変だったんだけど……」 「うん、まあ、達也から聞いた方がいいな。俺が話したとかって、やつが怒鳴るに決まってる」 藤堂はそれ以上話そうとしなかった
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ12 BL小説 特に普段厳しい父親も喜んでいたことを浩輔は覚えていたのだろう、辞めることになったと父親に電話をした時はものも言わずに切られたと言い、すごい親不孝だよね、と浩一に連絡をしてきた浩輔は寂しそうに話していた。 ふわふわしてのんびりお気楽そうに見える外見と
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ11 BL小説 しかし、浩一の中ではそれは相容れないことだった。 まさかと思い、心の中で懸命に否定していた。 ところが、河崎の口からはっきりとその事実を告げられ、浩一の心の内に怒りがこみ上げた。 「あなたは一体何を言っているんです? 浩輔は男ですよ?」 「それで
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ10 BL小説 大学時代、河崎、藤堂、村上とお坊ちゃん同士の悪友で、よく遊んだ。 「薬出しとくから、今夜は安静にしてよく寝ることだな」 「入院しなくていいのか?」 河崎は確認した。 「インフルも陰性、入院する理由がない」 「お前、腕は確かなんだろうな?」 直
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ9 BL小説 「あのマンションは」 河崎が口を開いた。 「私が祖父から譲り受けたものですから、私が部屋代を払う必要もないですし、ご心配には及びません」 「はあ、しかし、本当によろしいのでしょうか?」 「はい」 河崎はいつもと同じ強い眼差しを浩一に向けた。 「わかり
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ8 BL小説 「いや、ほんと、一体どうしたんですか? この南極かという寒さは」 三浦が肩をすぼめる。 「そうなんだ、実はねって、俺が知ってるわけないだろう? 気象庁にでも聞いてくれ」 藤堂はお茶目な顔で肩を竦めて見せた。 三浦も河崎も落ち着く間もなく電話でやり取
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ7 BL小説 「何がトップAEだよ、俺なんか」 「なーに言ってんだよ、あの河崎さんの下で二年もいたんだろ? 尊敬に値するって」 自嘲気味な浩輔に、長谷川は感心したように言う。 「やめてくれよ。お前こそ、すっかりエリートって感じじゃん」 「またまた~」 長谷川は明る
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ6 BL小説 「俺もちょっとは頭を過ぎったんですけど、今回は自分で何とかやってみようかと」 浩輔がぼそぼそ言うと藤堂は顔をほころばせた。 「えらいねぇ、浩輔ちゃん。がんばれ!」 頭を撫で撫でされて、「ちょっと、ガキじゃありませんてば!」と浩輔は抗議する。 「風邪
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ5 BL小説 翌日、浩輔にしては珍しくオフィスに着いたのが十時ギリギリだった。 昨夜、風呂に入ってからまたパソコンに向かったのはいいが、うっかり眠ってしまったのだ。 気がつくともういつも家を出る時間だった。 慌てて着替えて地下鉄に飛び乗ってから、少し頭がぼん
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ4 BL小説 「どうもしないが、お前がどんな暮らしをしているかと思って、母さんにも一度行ってみてくれと頼まれてたしな」 宮坂のアパートを引っ越す時、まだ使えるものなどを浩一が知り合いの学生に譲ったりしてくれたのだが、引越しの時は浩一は仕事があったし、友人が手伝って
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ3 BL小説 途端、猛烈な風に真っ向から出くわし、思わず身を硬くして目を閉じる。 「もう三月も近いのに、なんなんだよう」 とにかく早いとこ帰ろうと地下鉄の階段を駆け下りた。 通り道にあるコンビニで弁当を買い、とぼとぼと今の浩輔の住居である河崎のマンションへと辿り
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ2 BL小説 第一、デザイン部でも俺以外は芸大の院を出た佐々木さんを筆頭に芸大や美大、或いは名のある美術学校を出た者ばかりだったし。 浩輔がはあ、とため息をついた時、藤堂のポケットで携帯が鳴った。 「はい、ああ、お世話様です。ええ、今からですか? 大丈夫ですよ、で
月夜の猫-BL小説です いつだってこれだよ1 BL小説 二月も半ばを過ぎ、ここ数日は不安定な天気が続いている。 昨日などは気温がいきなりぐんぐん上昇し、通りを行く人々も上着を脱いで汗を拭きながら歩いていたかと思えば、今日は藤堂氏もマフラーをしっかり巻いてやってきた。 「また冬将 青山にある最近できたばかり
お立寄り有難うございます。お気楽ハピエンBL小説です いつだってこれだよ(河崎×浩輔) BL小説 河崎×浩輔、誰にもやらない、みんな、はっぴぃの続編エピソードです。 元英報堂のエリート営業マンだった河崎、藤堂、三浦とジャストエージェンシーのデザイナー浩輔が、代理店プラグインとして船出してから半年あまり、 いく
月夜の猫-BL小説です 好きだから11 BL小説 若手人気俳優の水波清太郎が覚せい剤所持で逮捕されたことで、出演していたドラマや映画やCMがかなりな損害を被ったというニュースは十月初めに日本中を駆け巡った。 なまじっか人気俳優だったために、CMは放映差し止め、ドラマや映画は撮り直しや映像差し替えなど関係者は大わ
月夜の猫-BL小説です Tea Time25 BL小説 「このまま勝っちゃんのこと放っといていいのかよ」 「気になるんなら、お前がかまってやれば」 「何で俺が?」 あくまでも他人事のように言う幸也に、武人はイラっとして声を上げた。 「だから!」 幸也はくるりと武人を振り返る。 「勝浩が車が欲しいとか、ゼミ合宿
月夜の猫-BL小説です Tea Time23 BL小説 「勝っちゃん、ちょっといいか?」 検診のあと動物たちを落ち着かせると、当番をのぞいてみんなそれぞれ散っていき、最後にユウを連れてボロいクラブハウスを出た勝浩に武人が声をかけた。 「レポートありますから、そんな時間ないですけど」 勝浩は硬い表情のまま武人を
月夜の猫-BL小説です Tea Time22 BL小説 「ユキちゃんって、アメリカ行ってカッコよさに磨きがかかったわね~」 「前から大人っぽかったものね」 「黙ってても女寄ってくるからな~」 幸也が帰ったあとのリビングでは、奈央が口を切って幸也評に沸いていた。 「でも! きっと本気の相手には一筋ですって」 軽い
月夜の猫-BL小説です Tea Time21 BL小説 奈央お手製の軽いイタリアンディナーに、特製のドルチェはパンナコッタ。 明るい二人の美女を中心に大テーブルではおしゃべりに花が咲く。 武人がうまくいけばと画策したはずの当の幸也と勝浩は、互いに意識しながらも電話で喧嘩して以来何日ぶりかで顔を合わせたのでどち
月夜の猫-BL小説です Tea Time20 BL小説 「勝浩じゃん、何でセンセと一緒なんだよ?」 志央は久しぶりも言わないうちから既にジャイアン口調だ。 「何ゆってるの、志央、裕子先生、勝浩さんのお母様じゃない」 「え~~~、ウッソー!」 奈央に言われて志央は本当に驚いた顔をする。 「あなたは大人っぽくなっ
月夜の猫-BL小説です Tea Time19 BL小説 「バーカ、ただのでくの坊になってんなよっての」 幸也は軽くからかう。 「二年半もあれば、十分世の中もわかってきますよ。長谷川さんこそ、あちこちで泣かせてるんじゃないですか?」 「言ってくれるじゃねーか。そろそろわがままなご主人様のおもりに飽きてきたってと
月夜の猫-BL小説です Tea Time18 BL小説 「おう、撮影スタッフのワゴン一台とあと二台ほどくるけど、多分入れ違いだから平気だろ」 「あ、ども、タケさん」 「タケ、撮影なんてさっさとやっつけちまおうぜ、たるい~」 七海の後ろから、さもうざったそうにやってきた志央が早速文句をたれる。 「お前がちゃんと
月夜の猫-BL小説です Tea Time17 BL小説 「いや、どういうわけか面白い具合にいろいろ絡んでいるんだよな~。な、撮影前に明日か明後日、時間取れる?」 『明後日八時頃なら大丈夫っすよ』 武人の思わせぶりな発言に、七海は即答した。 「よっしゃ、わかった。まあ、ここはじっくり策を弄するとしましょ」 とい
月夜の猫-BL小説です Tea Time15 BL小説 出版社の取締役となっていた武人の父のつてで料理本を出してからというもの、奈央のその美貌も手伝ってあっという間にファンが増えた。 テレビにもちょくちょく顔を見せるようになると、今度は広尾の教室とは別に用賀にこのイギリス風な家を建てて住み、撮影などに使うように
月夜の猫-BL小説です Tea Time14 BL小説 秋晴れのある朝、といってももう十一時に近くなっているが。 武人が歩いていたのは、世田谷は用賀の閑静なたたずまいである。 その一角にある門には花で飾られた『Nao Cake House』という木彫りのプレートがかかっている。 チャイムを押して門を一歩踏み入れ
月夜の猫-BL小説です Tea Time13 BL小説 「……………………だめだ」 やっぱり…………あの人と俺じゃだめだったんだ。 うまくいくはずなんか、なかったんだ。 「ほんとに、バカだよな、俺」 ため息とともに自嘲しながら、勝浩は溢れ出る涙を拳で拭う。 所在無く動かした指は、見慣れた番号を押していた。 『よ
月夜の猫-BL小説です Tea Time12 BL小説 『だから何で、俺に言わないんだよ。ミニなんか、ユウだけでいっぱいになっちまうぞ。わかった、アウディだったらいいだろ? お前、運転したことあるし。わざわざ買うことなんかない』 なんとなく幸也の声に険が混じっている。 「あ、ちょ、待ってくださいよ、だってタケさ
月夜の猫-BL小説です Tea Time11 BL小説 「やだー、堺くん、ミニなんだ?」 「かっわいい! 堺くんにピッタシって感じ~」 先輩に借りたのだという勝浩の説明などなんのその、一人二年生の勝浩はゼミの女子学生の間ではマスコット扱いされていて、軽井沢の合宿所となっているホテルのログコテージに着く早々、先輩
月夜の猫-BL小説です Tea Time10 BL小説 ゼミのレジュメはやらなくてはならなかったにせよ、それを理由に幸也を帰したというのが本当のところだろう。 山から降りてきてみると、何だかあれは本当だったんだろうか、とさえ思ってしまった。 よくある夏のなんとか、とか、喉もと過ぎればとか、マイナス思考ばかりが頭
月夜の猫-BL小説です Tea Time9 BL小説 午前一時を回った頃。 ゼミ合宿で発表に使うレジュメをやっと作り終え、勝浩がノートPCをパタンと閉じると、散歩を待ちかねたユウがパタパタと尻尾を振りながらクウンと鳴いた。 「お待たせ、ユウ!」 ドアに鍵をかけるや否や、ユウは勝浩を引っ張って小走りにいつもの散歩
月夜の猫-BL小説です Tea Time8 BL小説 経済的にどれだけ恵まれていようが、大切な相手の心がそばになければ何の意味もない。 自分のやりたいように生きてきたが、欲しいと思っても、どれだけ金を積んでも手に入らないものはあるのだ。 それはここ数年で実感した。 最近ほとんど一人で過ごしたことはなかった。 仲
月夜の猫-BL小説です Tea Time7 BL小説 「ほえ~、さっすが、勝っちゃん、動物好きが高じてもう動物学者かあ。ま、それは置いといてもよ、お前って何でも卒なくこなしそうなくせに、大事にしたい相手にはてんで二の足踏み過ぎンだよ。志央のことだって、何で鳶にあぶらげさらわれる前にモノにしちまわなかったよ? 勝
月夜の猫-BL小説です Tea Time6 BL小説 「そんな昔のこと持ち出してウザいよ、お前。第一、お前ら、こないだの山小屋以来、ラブラブ街道まっしぐら、じゃなかったのかよ?」 それに対して即答できないでいる幸也に、「まさかお前、また何かやらかしたのか?!」と武人が詰め寄った。 「何もやってねぇよ」 そう、山
月夜の猫-BL小説です Tea Time5 BL小説 俺と志央が女を口説いているところを見て、勝浩はあからさまに侮蔑の視線を送ってきた。 それを周りに言いふらすようなことはしなかったが、表ではいかにもな優等生を気取りながら裏では悪さをしている俺たちのことを、面と向かってきっぱりと非難してくれた、可愛い顔に似合わ
月夜の猫-BL小説です Tea Time4 BL小説 「志央、ピアノ習ってただろ? ガキん頃。美央と一緒に。お前、ナイト気取りで習いもしないのにピアノ教室までくっついて行ってたろうが」 「え………? そういや……」 高校の行事で、たまたまピアノの話になったときだったか、子供の頃ピアノの発表会で、全然練習もし