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月夜の猫-BL小説です 夢見月18 BL小説 「アスカさんならそんなもん跳ね返すわよ、絶対!」 直子のように頼もしいことを考えてくれるファンもいるに違いないが、何にせよ、少しでも早くデマだと実証しないことには前に進めない。 良太は直子の電話を切るとすぐ加藤に連絡を入れた。 「ああ、今調べてるとこです。千雪
月夜の猫-BL小説です 夢見月17 BL小説 今朝がた、青山プロダクション代理人として小田弁護士が、文化芸能の記事は事実無根であり、告訴も辞さないとはっきりインタビューに答えていたので、マスコミが会社に押しかけるようなことはなかったのだが、良太が車から降りた時、どうやら会社の周りに数人マスコミ関係者だろうう
月夜の猫-BL小説です 夢見月16 BL小説 さらに大抵、この手の報道では当の本人のこれまでのプロフィールまで重箱の隅をつつくように情報が流れる。 それだけでなく、これまでにも何かと週刊誌ネタを提供していた事務所の社長である工藤に対しても余計な詮索が入るかも知れないことを良太は懸念していた。 ただし、
月夜の猫-BL小説です 夢見月11 BL小説 「しかしあり得ないことじゃないですね。きついことを言うつもりじゃなくても新人はいじめられたと思うかもしれないし、大御所や脚本家なんかには生意気と思われるかもしれない言動がありますからね」 淡々とアスカ評をする秋山に、「ちょっとお、秋山さんまで、ひどーい!」とア
月夜の猫-BL小説です 夢見月8 BL小説 良太の頭の中には、昨今W不倫で思った以上にマスコミやSNSなどでも叩かれ、ドラマやCMを降板、築き上げてきたキャリアも失墜した美人俳優の騒動が駆け巡った。 人気俳優だったからこそ出演していたCMも多く、高額の違約金が発生したはずだ。 今当人は海外留学という名目
月夜の猫-BL小説です 夢見月7 BL小説 「家元夫人て、俺、もろあの怖いおばはん、そのまんま書いてもうたで」 千雪のセリフに良太は頷いた。 「でしょうとも。茶道に厳しくて京都弁で、佐々木さんのお母さんが出てるって思いましたよ、小説読んでて」 「あのおばはん、出すんちゃうやろ?」 「まさか、冗談じゃないです
月夜の猫-BL小説です 夢見月6 BL小説 「あかんかった? ま、しゃあないやん」 「てんで他人事なんだからな」 呆れて良太は千雪を見やる。 これまでも原作のあるドラマに関わったことがあるが、主演はもちろん、好きな俳優が出てくれるとなると、原作者は感涙もので喜んでくれたりするものだ。 中にはあの人
月夜の猫-BL小説です 夢見月5 BL小説 「あ、この人、兄貴の嫁さんにぴったしや」 千雪が言う写真を見た良太は、「え、この人、も無理。ダメモトで一度オファーしてみたことがあるんですが、もうずーっと先までスケジュール決まってますってマネージャーにけんもほろろでしたもん」と断言した。 「俺ごとき門前払いって
月夜の猫-BL小説です 夢見月4 BL小説 「それやね。多部さんにでけた本もろて、読み返したら、これが結構おもろてな、え、これ、俺が書いたん? て、思わず感心してもた」 「何アホなことゆってんですかっ! とにかく、この話の要の家元のお嬢様、誰に白羽の矢を立てるんですかっ!」 呆れて良太はつい関西弁に染まり
月夜の猫-BL小説です 夢見月3 BL小説 「そういえば、今日は背後霊はどうしたんです?」 腹が減っていたのと弁当の美味さにしばし言葉も忘れてひたすら箸を動かしていた二人だが、ようやく食べ終えてお茶を飲み、一息ついた良太が思い出したように聞いた。 「学会で名古屋や」 こちらもあらかた食べ終わり、お茶を飲
月夜の猫-BL小説です 夢見月2 BL小説 大学四年当時、野球三昧の大学生活を送り、卒業したら父親のちっぽけな整備会社を手伝いながら草野球チームでまた野球やろう、などと甘いことを考えていた矢先、お人よしの父親が連帯保証人になっていた友人がバックレたため、高額な債務を押し付けられ、いきなり土地家工場何もかも取ら
月夜の猫-BL小説です 夢見月(工藤×良太54)更新しました BL小説 夢見月(工藤×良太54)更新しました。 「月澄む空に」、「何となくクリスマス」、「バレンタインデー、良太走る」の後のエピソードになります。 4月からのニューヨーク研修を控え、工藤並みに忙しい毎日を送っている良太に、また難題が降りかかり
月夜の猫-BL小説です 夢見月1 BL小説 いつの間に止んだのか、窓を叩く雨音が聞こえなくなっていた。 キーボードから指を離して、広瀬良太は窓の外に目をやった。 ここのところ、ドラマの撮影で吉祥寺、ドキュメンタリー番組「和をつなぐ」の撮影で金沢、四月からのニューヨーク研修で配信会社ネットプライム本社、
月夜の猫-BL小説です 夢見月(工藤×良太54) BL小説 「月澄む空に」「何となくクリスマス」「バレンタインデー、良太走る」の後、になります。(工藤×良太54) 相変わらず担当する番組の撮影や打ち合わせに東奔西走する良太だが、4月からのニューヨーク研修を控え、次第に東京を離れる、工藤と離れるこ
月夜の猫-BL小説です 上弦の月11(ラスト) BL小説 良太にそんなことを問いただすようなマネもできないが。 工藤は自嘲する。 ちょっと考えただけでも、四十を越えたオヤジより若くてきれいで可愛い女の子の方がいいに決まっているのだ。 覗き見をしているみたいで大人気ないと思いつつも窓から二人のやりとり
月夜の猫-BL小説です 上弦の月10 BL小説 肇のサインを無視したわけではないが、投げる球投げる球全部直球で、あとで肇が怒っていた。 「にしても何だよ、いったい」 まあ、工藤のために何にも予定を入れてなかったから急に空いてしまった休みをどうやって過ごそうと思っていたところだ。 肇やかおりとメシでも食う
月夜の猫-BL小説です 上弦の月9 BL小説 フットライトを残して灯りを落とすと、内装を取り仕切った平造があつらえた厚ぼったいカーテンの隙間から漆黒に浮かぶ上弦の月が目に入る。 細く鈍く放つ月の光を肴に、工藤はグラスの液体を口に含む。 いつもなら甘美なはずの酒が美味くない。 全く。 こんなことなら良
月夜の猫-BL小説です 上弦の月8 BL小説 鴻池が鴻池物産に戻った際には、工藤は自分の出自や性格を考えて、さっさとあとを追うようにMBCを辞めて会社を興した。 工藤がプロダクションを興すのに後押ししてくれたのも鴻池で、工藤の会社のスポンサーとして以後つかず離れずの関係を保っている。 唯一、良太にちょっか
月夜の猫-BL小説です 上弦の月7 BL小説 二月に良太も一度下柳とともに知床に足を運んだ。 ほとんどとんぼ返りだったが、あの究極の自然にほんの少し触れただけでも身体が震えた。 「ありのままの状態で撮りたいからな」 下柳の意気込みにもままならぬものがある。 「絶対、カッコいい作品になりますよ」 思わず
月夜の猫-BL小説です 上弦の月6 BL小説 修習内容には一切触れないが、ベストセラー作家ということは知れていたし、しかもあの風体は検察庁でも大いに話題を振りまいたようだ。 良太も努めて荒木に合わせて相槌を打ち、笑った。 笑いがひきつりかけたところで、お開きになって良太はようやく肩の力を抜いた。
月夜の猫-BL小説です 上弦の月5 BL小説 「後輩だったよね?」 荒木はそんな良太に笑みを浮かべて聞いた。 「いや、後輩なんて、口にするのもおこがましいです、俺、野球バカだったから」 良太は謙遜というより正直に言った。 「工藤のお守りは大変だろう?」 「ええ、まあ……そこそこには」 「何だ、その言い草は
月夜の猫-BL小説です 上弦の月4 BL小説 「そんなの、死んじゃったら何にもなんないじゃない! 要は、高広はその社会正義とやらに負けたわけね」 荒木と小田の話に対して、ひとみが言い切った。 「まあ、置いていかれた工藤が荒れたのはわからないもないさな……」 それまで黙って聞いていた下柳がボソリと口にして間
月夜の猫-BL小説です 橘月2025更新しています BL小説 心地よい季節になりました。 世の中も心地よくなってほしいものです。 橘月2025 季節のエピソードアップしてまいります。 上弦の月(工藤×良太19)、春の終わりからのエピソードです。 よろしくお願いいたします。
月夜の猫-BL小説です 上弦の月3 BL小説 「はじめまして。こんな美人にお目にかかれるとはラッキーだな。ひょっとして、工藤とは?」 荒木と紹介された検事は低い深みのある声で言葉を促した。 「ええ、昔ね。ワンクールで振ってやったけど。今はフリー」 「おや、奇遇ですね。実は私もつい最近フリーに。バツイチですが
月夜の猫-BL小説です 上弦の月2 BL小説 ひとみは笑いながら、下柳の背中をバシと叩く。 「バッカ言え! 俺はただ名前が名前だし………おい、……までってことは、つまり……」 確かに千雪の美貌にあてられた感もないではない下柳はがらにもなくうろたえた。 世間で知られている推理作家小林千雪のぬーぼーとしたダサ
月夜の猫-BL小説です 上弦の月1 BL小説 西麻布にある『庭』は表側から見ると無愛想なコンクリートの壁だが、数段の階段を降り、黒塗りのドアを開けると、一階は緑鮮やかなパティオを囲む吹き抜けのレストラン、地下にシックな大人の隠れ家的バーがある。 「いたいた、ヤギちゃん」 聞き覚えのある通りのいい声に、カ
月夜の猫-BL小説です 上弦の月(工藤×良太19) BL小説 そろそろ桜も終わりに近づいた頃、アスカがお花見をやろうと言い出した。それも会社の裏庭でだ。というのも、会社のビルが建った頃から平造が丹精した桜の木が育って、なかなかの花を咲かせているのだ。良太もこれなら人混みの中に出かけなくても充分花を堪能できると思いつつ
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき20(ラスト) BL小説 「起きろ! 良太!」 耳元で怒鳴られて、良太はようやくからだを起こした。 「れ、ライオンのお手……」 「何を寝ぼけてるんだ」 見回すと自分のベッドの上で、傍らに立つ工藤は、とっくにスーツで決めて仕事モードに入っている。 「ちぇ、何だ、夢か……」 「とっとと
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき19 BL小説 寒っ! 肩にひんやりとした風を感じて、良太は目を覚ました。 「あれ…」 ベッドの中だ。 そういえば確か工藤が酔っ払って帰ってきて、じゅうたんの上に倒れ込んで…… 俺も寝ちゃったのか。 「……ああ、そうしてくれ。相田、カミさん一人で大丈夫か? 小田が今朝
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき18 BL小説 部屋のドアを開けた途端、二匹の猫たちがわらわらと良太目掛けて飛んでくる。 「遅くなったねー、ごめんよー」 足にまとわりつく猫たちに触れると、こわばっていた身体の力が抜ける。 二匹とも待ってましたとばかりにご飯を平らげてしまう。 その食べっぷりはいつみて
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき17 BL小説 オフィスのドアを開けると、よう、と下柳が手を上げた。 「えらい目にあったって? 有吉のヤツに聞いたよ」 「ヤギさん。お疲れ様です」 思いがけない下柳の顔に、良太はちょっと息を抜いた。 「どうしたんだ? まだ何かあったか?」 下柳に無愛想に言うと、工藤はコ
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき16 BL小説 「ちょっとそこで待ってろ」 返ってきたのは有無を言わせぬという感じの工藤の命令だった。 「でも、俺、早いとこ帰っていろいろやることが……」 「待ってろと言ってる!」 良太を振り返りもせず、工藤は強い口調で言い放つ。 これは相当怒ってるぞ、と良太は思う。
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき15 BL小説 一旦地下に降り、長い通路を抜けると先に事務所のドアがあり、その向こうに地上へ出る階段があった。 「お疲れ様です。こちらです」 階段の中ほどで中井が呼んだ。 地上に出ると、日が落ち始めた小さな庭の木陰から白のレクサスの後ろが見えた。 「良太、もう帰っていい
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき14 BL小説 そんな芽久と工藤を見て、良太としては面白くないのは山々だが、芽久の怯えようはただならぬものがあり、岸の脅しにかなり参っているのだろうと見てみぬ振りをすることにした。 芽久が落ち着くまでと、工藤、良太とマネージャーの中井の四人は控え室にいた。 誰もほとんど
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき13 BL小説 下柳と葛西の熱弁に、たまに口を挟む工藤とほんのたまーにボソッと的を得た言葉を口にするのが有吉だ。 もともと彫りの深い顔立ちは日焼けて無精ひげも手伝い、日本人と言われなければわからない。 精悍な鋭い目つきはそれだけで何者かと周りのものを振り返らせる。 そ
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき12 BL小説 『花の終わり』がクランクアップし、ホテル赤坂で制作発表が行われる当日も、どんよりと雲の多い空が東京の街を見下ろしていた。 良太が控え室を訪ねると、山之辺芽久がいつにも増して不機嫌だった。 というより、何かを気にして心ここにあらずという感じである。 彼女の
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき10 BL小説 想像をたくましくして、電話の相手が先日芽久が口走った賢次郎という人物であり、おそらくいつぞやの夜、工藤を訪ねてきた男ではないかと良太は考えた。 「十分渡したって、何、金……? 工藤、…脅されてるわけ?」 おそらく直接問いただしたところで口を割るような男では
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき9 BL小説 良太がついぼそりとそんなことを口にすると、すっかり出来上がった下柳が笑った。 「そりゃ、良太ちゃんがかわいいから、ついからかいたくなるんだろ」 「何ゆってんですか、こっちは真剣に…」 いずれにしても、スタッフの中で有吉とうまくやっていけるかどうか、ちょっと自
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき7 BL小説 お願いしてやってもらうような代物ではないのだ。 未だに坂口なんかまでが良太に役者をやらないかなどと言っていたが、良太ならやらせればそこそこやっただろうことは、工藤にはよくわかっている。 さらにこのぽっとでの役者の下手糞さを見せられた日には、坂口でなくとも良
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき6 BL小説 ANAの最終便は札幌には何とか着いたものの、すぐに吹雪になった。 「まったく、三月だぞ! 気象庁は何してるんだ!」 ついこの間もイラつきながらこの空港を歩いた記憶までが蘇えり、この際、工藤もどうしようもないことだとわかってはいても、どこかに怒りをぶつけたくも
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき5 BL小説 「やたら、そのキーワードを繰り返すからさ。俺に言わせると、そいつは君のことを上っ面だけしか知らないんだ」 藤堂はしれっと言った。 「てことは、上っ面は能天気にみえると」 「賢そうに見えるバカより、バカっぽく見える賢者の方がいいに決まってる」 藤堂得意のわかる
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき4 BL小説 大体、『プラグイン』にしたって、ちょっとくらい仕事がなくたって、どうにかなるような会社じゃないのだ。 代表の河崎にせよ藤堂にせよ、別に働かなくても十分暮らしていける身分である。 なのに、みんな仕事人間だから、仕事に対する姿勢は半端じゃないけれど。 しかし
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき3 BL小説 「業界では鬼が走り出したって、どこでも戦々恐々だって話だよ」 今日もまた、夕方、良太の好きなシュークリームを手土産にふらりと現れた藤堂が言った。 代理店プラグインのスタッフで、元は大手代理店英報堂のエリートだ。 「はあ??」 怪訝な顔で聞き返す良太に、
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき2 BL小説 良太が振り返ると、立ったまま受話器を握り締めていた工藤は一瞬絶句していた。 下柳が知らせてきたのは、青山プロダクションの仕事には起業当初から携わってきた映像制作会社社長の訃報で、自殺だったという。 従業員十数名、外部要員も数十人くらいいただろう、良太が覚え
月夜の猫-BL小説です 月夜の猫-BL小説です BL小説 明け方から強風を伴って降り出した雨が通勤客を悩ませていた。 気まぐれな春の嵐は八時を過ぎても衰えを知らず、都心へと大挙して向かう人々の足を阻んでいる。 幸か不幸か通勤距離数十メートル、徒歩数分という環境にある広瀬良太には暴風雨もあまり関係がない。
月夜の猫-BL小説です 夢のつづき(工藤×良太33) BL小説 夢のつづき(工藤と良太33) 「月の光が静かにそそぐ」のあとになります。(R18) ただでさえ仕事中毒のように国内国外飛び回っている工藤が、ここのところ一段と忙しない。その上、山野辺がまた妙に工藤に絡むのだが、どうも様子が普通ではないし、工藤もこそこそ誰かに会