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月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ15(ラスト) BL小説 一方、気持ちが悪くなって目を覚ました良太は、つい工藤と久しぶりなのに浮かれて飲みすぎたと後悔しつつ、何もかももどしてやっとラクになった。 「ったく、俺って、もったいないことばっかしてるよな」 自己嫌悪を引きずったまま、ちょっと汚してし
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ14 BL小説 まあ、工藤がブランドもんなんか似合ってるなんてのは、今に始まったことじゃないし。 沢山のモデルやタレントがいたが、このダークグレイのスーツは工藤が一番似合って見えたとか。 年輪と渋みを重ねた分、きっとこの隣に座る男の魅力になっているんだろう、な
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ13 BL小説 最近、飲酒運転の目に余る報道が多くなってから、工藤はこういったレセプションでも極力タクシーを使うか、グラスの酒には一切手をつけないようになった。 良太も、工藤が口をつけていたらと考えて、シャンパングラスも形だけ手に持っていただけだ。 「うわーで
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ11 BL小説 昨年末、大和屋のイベントプロジェクトの件で出演依頼をしたものの、所属事務所には断られたため、まだ古谷に直接合ったことはなかったのだが、MLBで活躍したレジェンド野茂同様、古谷は良太にとってはやはりヒーローなのだ。 「お前、何寝ぼけたこと言ってんだよ
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ10 BL小説 仕方なく良太は、あれは仕事の合間でスタッフも周りに何人もいたのだと、何度も言い訳メールをするはめになった。 「ただでさえ、マスコミ押し寄せてるんだ、気をつけろよ」 「冗談じゃない! ってか工藤、社長、どこ行ったんだよ」 他にもその手の電話やらメー
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ8 BL小説 特に自然や地球温暖化などに関しては下柳のように熱弁を振るうことはないにせよ、機会さえあればそれこそ今ある仕事も良太や秋山に丸投げしてそっちに飛びつきたいのだろう。 だがいかんせん、一国一城の主ともなれば、どうしても放り出すわけに行かないものもある。
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ7 BL小説 そんな様子を見やった良太は、どうせ工藤のことだから、斎藤に良太を引き合わせたというのは、いずれまた自分の代わりに良太を人身御供に差し出そうという魂胆があるに違いないと睨んでいる。 危ない、危ない、自分から火の中に飛び込んじまうとこだった。 この
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ6 BL小説 しかしまさか、撮られているのが良太とは思わなかった工藤は、それを見て苦笑せざるを得なかった。 「かなりの腕だ。そんじょそこいらのカメラマンのやり口じゃないな。名前も…ない」 アスカがわざわざ見開きで置いていったに違いないと怒りつつも、良太はわたわた
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ5 BL小説 「あのっ」 そんな二人に割り込むように声をかけたのは、アスカをしてしたたかと言わせた市川だ。 「あ、悪い、市川さん、ほっといて。沢村、調子悪いとてんで不機嫌でさ」 「すごい、ほんとにお二人、仲いいんですね。始めまして。NTVの市川と申します」 さ
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ4 BL小説 みんな、何かしら人より厄介な人生を抱えて生きてきたせいなのか、この会社の面々に今までもどれだけか助けられたか知れない。 いや、抱えてなくてもか。 ふと、ドラマの撮影前にわざわざアスカがオフィスに立ち寄ったのは、別に良太をからかおうというわけでもな
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ3 BL小説 KBCで六月放映予定のドラマ『花の終わり』のロケに二月の終わりからかかりきりで、北海道や東北方面にしげしげと足を運んでいるのだが、未だに何かにつけて悶着を起こす監督と脚本家の間で四苦八苦だ。 何しろ、スポンサー側が山之辺芽久というモデルあがりの女優
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ2 BL小説 確かに市川と仲はいい。 だがそれはあくまでも互いに仕事上でのことだ。 「第一、このいかにもどっか怪しいとこみたいに撮りやがって、これ、NTVの玄関横なんだぞ! パワスポのみんなとメシ食って、俺がたまたま彼女を乗っけてっただけで! 周りにみんないるし
月夜の猫-BL小説です 春のエピソード、追加しました BL小説 桜の便りもちらほらきかれ 長い冬にもようやく春の兆しがみえてきた感があります。 Primavera2025 に、「月の光が静かにそそぐ(工藤×良太32)」追加しました。 「逢いたい」の後エピソードです。 アレクセイとロジァ も、まだ変更
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ BL小説 「逢いたい」のあとになります。相変わらずドラマ撮影では面倒な面々に振り回されている良太だが、ある日写真週刊誌に良太と局アナの写真が意味ありげに掲載されて慌てふためく。案の定沢村に揶揄されたり、妹や友人からどういうことだと電話やメールが相次ぎ……。
月夜の猫-BL小説です 月の光が静かにそそぐ1 BL小説 乃木にある青山プロダクションの静かなオフィスに無粋な喚き声が響き渡ったのは、桃の節句も過ぎて、時折強烈な春の嵐に見舞われながらも暖かな日差しが混じるようになった三月も始めのことである。 「ちょっとぉ、うるさいわよ、良太。大きな声出さないでくれる? た
月夜の猫-BL小説です 逢いたい15(ラスト) BL小説 部屋を出る前に良太は工藤と今後のスケジュール確認をした。 坂口のドラマが入ってくるとなると、尚更工藤の忙しさに拍車がかかりそうだ。 「この辺り、レッドデータアニマルのドキュメントとの調整が必要になりますよね」 「お前は今のドラマが終わったら少しは
月夜の猫-BL小説です 逢いたい14 BL小説 時間は人の思いなんかそっちのけで過ぎていくし、どんなにこのままずっとこうしていたいなんて言ってみたところで、無慈悲にも朝はくる。 ほんと、沢村の気持ちが嫌ってほどわかるって…… やたら眩しい光に目が覚めた良太がむっくりベッドに起き上ると、工藤はとっくにル
月夜の猫-BL小説です 逢いたい13 BL小説 下着とワイシャツ、それにポカリスエットを買って良太がホテルに戻ると、工藤はソファセットでタブレットを開き、また電話をしていた。 良太は邪魔をしないようにと思いながら広いバスタブに湯を張ると、ゆっくりと身体を沈めた。 工藤に逢いたくて、札幌まで来てみたのだが
月夜の猫-BL小説です 逢いたい12 BL小説 「また連絡してくれ」 「お疲れ様です」 「ではよろしく」 工藤は坂口と宇都宮に素っ気なく返すと、良太を肩に抱えながら出口へと向かう。 コートと良太の預けた土産物の袋を手にバーを出て、工藤は良太をエレベーターに乗せたが、酔いと疲れで頭は眠っているらしい。
月夜の猫-BL小説です 逢いたい11 BL小説 良太の中では、工藤の機嫌がこれ以上悪くならないうちに切り上げたい話題なのだが。 「こいつに役者なんか無理ですよ」 案の定工藤の口調が尖ってきたのを良太はヒシヒシと感じる。 「ほう? 何だか天下のプロデューサー工藤高広の台詞とは思えないな」 口元には笑みを浮
月夜の猫-BL小説です 逢いたい10 BL小説 「川崎だっけ? あ、そういえば君の番組にはよく出てるよね、関西タイガースの沢村。彼って結構気難しいって聞いてるけど」 何だかもう馴染みの友人相手かのように、宇都宮は気さくに話しかけてくる。 「はあ、まあキッズリーグの頃からの腐れ縁のよしみで……」 工藤と坂
月夜の猫-BL小説です 逢いたい9 BL小説 まあ、確かに山内ひとみは演技、美貌ともに申し分ないだろう。 だが、都合つけといてくれ、という坂口の言葉からして、有無を言わせないところがあり、ひとみから文句の一つや二つは覚悟しなければならないだろう。 うっわあ、どうしよう、俺、つい、口がすべっちゃってって
月夜の猫-BL小説です 逢いたい8 BL小説 「そうかぁ? 彼女の方は満更でもないみたいじゃないか? ドラマ、お前のプロデュースだろうが」 なおも坂口は引き下がらない。 「別の仕事で手いっぱいなんで、広瀬に任せてます」 任せてって丸投げの間違いだろ。 工藤のセリフを耳にして、良太が心の中で突っ込みを入れ
月夜の猫-BL小説です 卒業3(ラスト) BL小説 「力、帰るの? 成瀬も?」 啓太が不思議そうに見上げる。 「こいつの合格祝いやるんだよ」 ぶっきらぼうに力が言った。 「何だよ、ここでみんなでやればいいじゃん」 東山の言うことはもっともだった。 「うっせえな、二人だけでやるんだよ!」 「…力っ!」
月夜の猫-BL小説です 逢いたい7 BL小説 「女子高生っても卒業前の三年生から女子大生になるって設定だからな」 坂口が一人頷く。 「にしたって、女子高生、十八歳と俺四十二歳が恋愛しちゃっていいんですかね、下手すると援交?」 「だから君なんだよ。ほかの四十二歳じゃ、ほんとに援交オヤジにしか見えないだろ」
月夜の猫-BL小説です 卒業2 BL小説 あの二年の終わりの面談の時も、担任の加藤の前でカムフラージュしたつもりが最後には変装とかすっかり忘れていた美月である。 卒業式もご愛嬌で眼鏡をかけていたが、傍にいた啓太の母親と何やら意気投合したようで、写真を撮りあったりして素に戻っていた。 「でも何といっても成瀬
月夜の猫-BL小説です 逢いたい6 BL小説 それでも数日ぶりに工藤の顔を見て何やらほっとした良太は、向かいの二人に顔を向ける。 二人は和やかに笑い、冷酒を酌み交わしている。 今夜の打ち合わせはどうやらこの三人だけだったようだ。 テーブルにはジンギスカン鍋がドンと置いてあり、その美味そうな匂いが良太の
月夜の猫-BL小説です 卒業1 BL小説 透明な空気が空を一層高くしていた。 今年は朝晩の冷え込みが激しく、ここ数日少しばかり春めいた風が校庭のメタセコイア並木の枝を揺らしていくようになった。 とはいえまだコートが手放せない三月初旬の十二日は都立南澤高校の卒業式だった。 午後三時頃から「ワンちゃん猫
月夜の猫-BL小説です 卒業(力×佑人) BL小説 西高東低の次のエピソードです。ショートストーリー。 力の母で「カフェりりぃ」のオーナー百合江から、卒業式の後で卒業パーティをするというお達しがあり、卒業生だけでなく、保護者も招くという。力は何で保護者まで呼ぶんだと文句たらたらだが……。
月夜の猫-BL小説です 逢いたい5 BL小説 「ドラマの撮影ですが、色々あるので長引くことを想定してスケジュールは三日取っていたんですが、珍しく午前中だけでリテイクなしで撮影が終わったので、山之辺さんはすぐに東京に戻られました」 良太は端的に仕事の進行について報告した。 「ほう、よかったじゃないか。志村も戻
月夜の猫-BL小説です 逢いたい4 BL小説 千歳空港に降り立った工藤高広は決して不機嫌なわけではなかったが、すれ違う者たちはその鋭い眼光にぞっとしてつい振り返った。 坂口から連絡があったのは二日ほど前のことだ。 坂口との仕事は今までもやり甲斐があるものだったが、ただでさえスケジュール限界のこの時期には
月夜の猫-BL小説です 西高東低16(ラスト) BL小説 「さてっと、そろそろ俺らも帰るとするか」 徐に坂本が立ち上がった。 「いくら合格間違いないとかっつっても、てめぇもちったぁ勉強しろよ」 力が坂本を一睨みする。 「お前こそだ。あんまり佑人を振り回すなよ、まだ受験生なんだ」 「うっせ、わかってる」
月夜の猫-BL小説です 逢いたい3 BL小説 だがあえて佐々木が沢村を突っぱねるのは温度差というより、佐々木の自制心の強さのような気もするのだが。 「ちぇ、逢いたいだけなのによ!」 沢村の気持ちもわからないではない。 いや、むしろ軽井沢のスキー合宿の時も、佐々木に会いたいがために無理やりキャンプ地の宮崎
月夜の猫-BL小説です 西高東低15 BL小説 事実ではあったけど、多分郁磨が想像するような相手ではない。 「友達の合格祝いだよ、力とか、……東山とか」 佑人はとってつけた東山には、心の中で詫びを入れた。 それに力へのプレゼントは持ってきたものの、どちらかというと合格祝いに重きを置いている。 八時の約
月夜の猫-BL小説です 逢いたい2 BL小説 「志村くん、ここなんかいいんじゃないか?」 志村の隣でさっきからタブレットで何やら探していたらしい小杉が、画面を志村に見せる。 「いいですね、ここにしましょうか」 「え、何ですか?」 頷く志村に、良太が尋ねた。 「せっかく思わぬオフになったし、近くの温泉でも行こ
月夜の猫-BL小説です 西高東低14 BL小説 「俺の頭と英語のこと考えると、もし仮になんとかなったとしてもすんげく先になるだろうし、アメリカに逃げるようなマネもいやだった。そしたらさ、河喜多のジジイんとこで、昔の教え子ってのに会って、アメリカの大学から招かれて今S大で教授やってるって、そいつ、コンピュータ駆
月夜の猫-BL小説です 逢いたい1 BL小説 小樽は朝から雪が舞っていた。 二月も終盤とはいえ、さすがに凍えるような寒さの中、撮影は早朝の運河周辺で行われていた。 寒さのせいでさっさと終わらせたかったのかどうか、珍しくゲスト主役の山之辺芽久がたいして文句も口にすることなく、しかもリテイクなしでシーンを
月夜の猫-BL小説です 逢いたい(工藤×良太31) BL小説 山之辺芽久のお蔭で良太に痛くもない腹を探られるのが嫌で、またマスコミに騒がれてただでさえ忙しいのにスケジュールを邪魔されたくはない工藤は、山之辺が出演予定のドラマの撮影を良太に丸投げして、自分は海外から国内から飛び回っていたが、昔なじみの大物脚本家
月夜の猫-BL小説です 西高東低13 BL小説 佑人は力の背中に腕をまわし、ぎゅっと抱きしめる。 「佑人……」 力はそんな佑人を見つめながら再びその唇をふさぐ。 舌を絡ませながら今度はゆっくりと味わうように嬲る力に必死で応えようとする佑人だが、しばらくすると身体の中で力の熱がまたぞろ圧迫感を増しているの
月夜の猫-BL小説です 西高東低12 BL小説 十二月のイブの夜、初めて抱き合った時、佑人はそれこそ夢心地で力に任せてしまったし、力はいつも口では割と乱暴なことを言っているが、佑人に対してどれほどの優しさをもって接してくれているか、もう十二分にわかっている。 けれども今の力は何か切羽詰まったというようすで
月夜の猫-BL小説です 西高東低11 BL小説 「覚えていていただいて光栄です! あの、これ、お兄ちゃんを合格させてくださったお礼です!」 両手で可愛いラッピングのチョコレートを掲げるように美沙に差し出され、佑人は受け取らないわけにはいかなかった。 「いや、合格したのは東山だから。でも、ありがとう、わざわざ
月夜の猫-BL小説です Stand by4(ラスト) BL小説 工藤の手が触れるだけで簡単に良太の身体はまた熱を帯び始める。 サル以下じゃん、俺……… 工藤が欲しくてたまらなくて身体を捩る良太に、工藤が笑って良太の腰を上げさせると、愛されて間もない身体は難なく工藤を飲み込んでしまう。 やがて己の中で焼
月夜の猫-BL小説です 西高東低10 BL小説 「んで、去年、俺はクマタン、お前は加藤、今年はクマタンが異動になったんで、二人とも担任は加藤と、まあ、センセも色々考えてたわけだな。どっちか文系だったら田辺とかだったかもな」 「なこたどうでもいいだろ」 甲本の台詞に力はうざったそうに言い返す。 「フン、お前
月夜の猫-BL小説です Stand by3 BL小説 羽田に着いたのが十時過ぎ、良太が部屋にたどり着いた時はもう十一時を回っていた。 夕べは鈴木さんが世話をしてくれたはずだが、それこそナータンがきっと首を長くして待っているだろう。 なるべく無愛想なオヤジはどこかにおいといて、可愛い愛猫の顔を思い浮かべ
月夜の猫-BL小説です 西高東低9 BL小説 「今年はテスト受験ってなつもりで軽ぅくいくつか受けてんだけど、M大医学部今日発表みたら引っかかっててさ、親に言ったら、お前を合格させてくれる奇特なガッコなんか他にないから、いいとこ狙って浪人なんかするよりそこへ行けとかって」 甲本が親への文句をたらたら話すのを見
月夜の猫-BL小説です Stand by2 BL小説 工藤からスキーはだめになったと聞いたのは水曜日の晩のことで、良太は仕事がらみじゃ仕方ないですよ、と聞き分けよく諦めたつもりだった。 ブリザードが吹き荒れたのは木曜日の朝のことである。 「あたし、もう、今からワクワクしてるの。ゴルフって初心者だから優しく